俺が死んだと思っている仲間と会うのが気まずい   作:guruukulu

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以前設けたアンケートで、レヴォルテ派とゼントゥリ派がとてつもないデッドヒートを繰り広げています。

一体どちらが勝つのでしょうか。とても楽しみです。


今回本格的にトゥーリの魔法がお披露目になるので、オリジナル設定が多々出てきます。

人によっては、ちょっと無理がある設定もあるかもしれません。

ご了承ください。


追記 ゲナウ人気投票1位ってマ?


4.うちの子がすみません…

 北側諸国

 

 零落の王墓

 

 

 

 

 

「それでは第二次試験の詳細を説明する」

 

 ゼンゼさんが声を上げる。前には一次試験を合格した魔法使いが18人。全員確かな実力者だ。

 

 試験の内容としては至極単純『零落の王墓の攻略』だ。

 早いもの勝ちという訳ではなく、最深部に辿り着いた者は全員合格となる。

 

 

「待て、ここは多くの冒険者が帰らぬものになった未踏破の迷宮だ。合格者を出さないつもりなのか?」

 

 頭が輝いている魔法使い、ブライさんが抗議の声を上げる。

 が──

 

「────未踏破だろうが前人未到だろうが、ねじ伏せて突き進むんだ」

 

 ブライさんは何も言えずに黙る。

 ゼンゼさんって意外と口喧嘩強いんだよなー。

 

「それに」ゼンゼさんが付け加える。

 

「そんな私の試験に合格した奴が、ここにいるじゃないか」

「そいつは例外だ」

「……まぁそれもそうか」

「ゼンゼさん?! 何で否定してくれないんですか!?」

 

 除け者は悲しいよー

 

 

 

 ……話を戻して、今回の試験は俺とゼンゼさんも迷宮に潜る。誰が最深部に到着したか確認するためだ。

 

 ぶっちゃけ行きたくないんだよなー。シュピーゲルのせいで、俺の複製体が出てくるし、俺を完璧に模した複製体が受験者たちを襲うのは、あまりいい気分ではない。

 

 それでも、俺は将来的には試験官をやることになるだろう。この程度で色々言ってる場合じゃない。

 

「それと明日の夜明けには自動で瓶が割れるようになっている。それが第二次試験の期限となる」

 

 

「それでは試験開始だ」

 

 

 

 

 

 ゼンゼさんの言葉を受けて、受験者たちは思い思いに行動し始める。

 

 ある者は単独で。ある者は協力して。ある者は一次試験の仲間たちと行動した。

 

「うーむ」

 ゼンゼさんは何かを考えているようだ。おそらく付いて行く人たちを決めかねているのだろう。

 

「では私達は君たちに付いて行こう。一番安全に最深部に辿り着けそうだ」

 

 ゼンゼさんはやはりというべきか、フリーレンさん達を選んだ。概ねフリーレンさんの複製体対策だろう。

 

「邪魔しないでよね」

「しないよ。邪魔も手助けも。チラ」

「しませんよ……」

 

 なんで俺に向けて言ってくるんですかね……それくらい我慢できますって。

 

 

 

 そうして俺達は零落の王墓に足を踏み入れた。

 確かに零落の王墓は数多くの被害者が出てる、難関迷宮だ。

 

 それでも、この人ならあっさり攻略できるんじゃないか、そんなことを思ってしまう。柄にもなくワクワクしている自分に少し笑ってしまう。

 

(さぁ。貴女は何を見せてくれるんですか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暗いよー!! 

怖いよー!!」

 

 

 

 ……眼の前で自分より遥かに強い魔法使いが、ミミックの罠にハマっている。別にミミックを見破れなかった訳では無い。分かったうえで引っかかったのだ。

 

 うん。馬鹿だ。

 

 

 

「なぁトゥーリ」

「……なんでしょう」

 

 ゼンゼさんが問いかけてくる。その内容は大体予想できるが。

 

「付いて行く人達まちッンブ!」

「ゼンゼさん。それ以上は言っちゃいけない……!」

(俺も同じ事思ってるから!)

 

 幸先は予想以上に不安なものになった。

 

 

 

 

「ガーゴイルだ。動き出す前に倒すよ」

 完全に擬態しているはずのガーゴイルを見破り、安全に対処

 

 

「このメダル色んな場所で見かけますね」

「どっかの好事家が集めてるらしいよ」

 隠されていた宝箱を見つけ

 

 

「ンフー」

 隠し部屋まで見つけ

 

 

「暗いよー!! 

怖いよー!!」

 またミミックに食べられていた。何この人。

 

 命をかけた試験の最中ということを忘れてしまうほど、フリーレンさん達との攻略は楽しいものになった。

 しかし、それを可能にしているのはフリーレンさんの圧倒的な経験値だ。迷宮の特徴をよく理解している。

 

 ただ、フリーレンさんが迷宮を隅々まで探索していたから、進みはそこまで早くなかったが、それでも順調すぎるくらいだ。

 

 

 ──そんな探索は突然終わりを告げた。

 

「!」

(この魔力! まさか!?)

 

 少し離れた壁にもたれかけ、()()から身を隠す。

 そこにはやはり──

 

(俺の複製体だな)

 

 水鏡の悪魔(シュピーゲル)によって完璧に模倣された俺がそこにはいた。通路を妨げるように立っており。周囲には、大中小様々な瓦礫が転がっている。

 情報にあった通り、細かい仕草まで模倣されていて、正直気味が悪い。

 

「どうします? フリーレン様。倒しますか?」

「う〜ん……まだ向こうに続きがありそうだね。よし、フェルン。倒すよ」

 

「あれと正面から戦うのは骨が折れそうだからね。不意打ちで倒すよ」

 

 フリーレンさんとフェルンさんは、魔力を消して俺の複製体に近づく。

 

 ……凄いな。あれだけ魔力を隠せるなんて。多分俺の魔力探知じゃ気付けないぞ。

 でも

 

 

『!』

 複製体がフリーレンさん達の方へ首を曲げる。

 

 

 

一般攻撃魔法(ゾルトラーク)

 

 

 

 複製体が先制攻撃を仕掛ける。速射性に関して言えば、一般攻撃魔法の右に出る魔法はない。

 

 しかしフリーレンさん達は防御魔法を展開して身を守る。

 

 

「気づかれた……!」

 フェルンさんが驚きと困惑の声を上げる。そりゃそうだ。フェルンさんの魔力遮断は完璧だった。

 

 

(そう上手くはいかないか……)

 大魔法使いであるフリーレンさんと自分の実力差は明確だ。それでも、自分がどれだけ食らいつけるか。

 俺は少しの期待を胸に秘めながら、戦いを見守る。

 

 

 

 ────────────

 

 

 

(気づかれた。さっきまで気づく素振りも見せなかったのに……)

 

 複製体の攻撃を凌ぎながら、フェルンは冷静に思考をめぐらしていた。自惚れではないが、魔力操作による気配遮断には自信がある。複製体に気づかれたその瞬間も、フェルンの気配遮断は完璧だった。

 

「なるほど、これだね。フェルン、足どけて」

 

 言われた通りに足をどけると、そこには銅硬貨ほどの大きさの、小石があった。

(!)

 

 小石にはほんの僅かだが、魔力が込められていた。原理は全くわからないが、おそらくフェルンが小石を踏んでしまったことが原因でバレてしまったのだろう。

 

(私のせいで……)

 

 実を言うとこの場面、フェルンは責任を感じる必要は全く無い。それだけトゥーリの魔法は独特で異質だ。実際、あのフリーレンでさえ、小石探知は予測できていなかった。

 

「フェルン。落ち込んでる暇はないよ」

 

 フリーレンとフェルン。二人がかりでなのに、押しきれない。

 いつもなら相手が捌ききれなくなり、魔力切れで倒せる。しかし、眼の前の複製体は魔力切れが起こらない。

 

 理由は明確。避けているのだ、一般攻撃魔法を。

 全てではないが、自分に向かってくる3割ほどの一般攻撃魔法を避けている。魔法使い、ひいては人にあるまじき反射神経だ。

 

 加えてフリーレンたちの目的は、この通路を通ること。なので通路を壊しかねない規模の魔法は使えない。

 状況がことごとく、複製体の優位に働いていた。

 

 トゥーリが一般攻撃魔法の射出をやめ、防御魔法を全面展開する。

 

 本命の魔法を使い始める合図だ。

 

 

(! なにか来る)

 

 

 

物を回転させる魔法(ヴィルリーエ)

 

 

 

 瞬間。複製体の周りにあった瓦礫が、突如回転し始めた。

 そして──

 

 

 

ヒュンッ

 

 

 

 目にも止まらぬ早さで放たれた。

 フェルンはなんとか防御魔法で身を守る。

 

「これは『石を弾丸に変える魔法(ドラガーテ)』!?」

「似ているけど少し違うね。でも厄介なことに変わりはない。フェルン後ろ」

 ガン!! 

 

 フェルンの死角から石が襲ってくるが、間一髪のところで防ぐ。フリーレンの助言がなければ、どうなっていたか分からなかった。

 

(まさか周囲にあるすべての石を操れる!? やはり『石を弾丸に変える魔法(ドラガーテ)』とは別物)

 

 思考しながらも、複製体の猛攻は続く。四方八方から飛んでくる石を防ぎながらもフェルンは反撃をやめない。

 

 

 

 そして遂に、フェルンの魔法が複製体の横腹をかすめた。

 

(よし。このまま押し通せる)

 

 一瞬複製体の魔法の勢いがなくなったことで、フェルンには幾分か余裕ができた。

 

 

 

 

 

 その余裕を見逃すほど、複製体は甘くはなかった。

 

 

 

 

 

(落ちっ!?)

 

 

 突然の軌道変換。フェルンは対応ができず、石が足に直撃する。

(痛っ!)

 

 体勢を崩すフェルンを庇うように、フリーレンが前に出て防御魔法を張る。

 

「フェルンあいつの魔法が分かったよ」

「『物を回転させる魔法(ヴィルリーエ)』だ。まさかこんな使い方をするなんてね」

 

 石は、右に左に下にまるで生き物のように動いている。その動きを予測することは極めて困難だ。

 

(最初は直球だけで攻めてきて、こちらが余裕を見せたら変化を加えてくる。やっぱりあいつ知性があるね。しかもあの様子だと、まだ何か手を隠している)

 

 この攻撃を防ぐには防御魔法を全面展開する他無い。攻撃に対応するように防御をしていれば、いずれ対処が難しくなる。

 

 長期戦になれば負けるのはフリーレンたちだ。

 

 

「仕方ない。後が面倒になるから使いたくなかったんだけど」

 

 

 

一般攻撃魔法(ゾルトラーク)

 

 

 

 通路を埋め尽くすほどの巨大な魔法陣が出現した。一直線の通路に、逃げ場所はない。

 

 放たれた魔法は周囲の物をまとめて破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

「……助けてくれてありがとうございます、フリーレン様。ですが……」

 

 フェルンは眼の前の通路を見る。通路はもちろん酷い有様だ。ここを通ろうとは、誰も思わないだろう。

 

「しょうがないよ。こんなところで時間を使うわけにはいかなかったからね。フェルン、足見せて。さっき怪我していたでしょ」

「あっありがとうございます」

 

 強敵を退けたことにより、周囲の空気が緩む。

 しかし、フェルンの目にはある光景が映る。

 

 フリーレンが吹き飛ばした通路に、不自然な穴が空いていたのだ。

 

「! フリーレンさ──」

 

ガッガン!!! 

 

 

 フリーレンたちの横の壁を突き破って複製体が突撃してくる。

 複製体がフリーレンの懐に入り込み──

 

 

 一般攻撃魔法(ゾルトラーク)

 

 そうなところでフェルンが撃ち抜いた。杖をまだ持っていたから間に合ったが、それでもギリギリだった。

 

 複製体は、フェルンの魔法によって腹部に穴が開けられ、体がボロボロと崩壊していった。

 ようやく複製体を仕留めたことを確認して、安堵の息を吐く。

 

 

「強敵でしたね……」

「そうだね。後で本人にも色々聞いてみようか」

 

 

 ──────────

 

 

「58秒。俺に極めて有利な状況でこれか。もっと頑張らないとなぁ……」

 

 俺の複製体とフリーレンさん達の戦いは、なんというか予想通りだった。

 

 俺の魔法の特異性で一矢報いるも、結局はフリーレンさんの圧倒的な個の力で圧倒。接近戦もフェルンさんの前じゃ意味をなさなかったか。

 

 俺の魔法は物を回転させる魔法(ヴィルリーエ)物を自転、もしくは公転させることができる魔法だ。

 発動条件は杖で対象に直接触れることで、回転の軸はこちらで自由に決めることができる。

 

 一見扱いづらいように感じるこの魔法だが、意外と汎用性がある。

 

 先のフリーレンさんとの戦いでは、周囲の石を自転させ勢いをつける。そこから公転によって打ち出す。速度がついたら公転を解除し、その後小石は慣性の働きによってそのまま直進する。

 

 これで擬似『石を弾丸に変える魔法(ドラガーテ)』の完成だ。さらに回転のかけ方を工夫することで、小石の軌道を(ある程度)操ることが可能になる。

 しかし、これでは環境に左右されすぎてしまうので、近接戦闘もかーなーり鍛えているのだが、フェルンさんにあっさり撃ち抜かれちゃった☆悲しい。

 

 

「長い間生きてきたけど『物を回転させる魔法(ヴィルリーエ)』をあんなふうに使う魔法使いは初めて見たよ」

 

 フェルンさんの治療を終えたフリーレンさんが声をかけてくる。何でこの人当たり前のように回復魔法使えるんですかねぇ……

 

「それはどうも。今は試験中なので、魔法談議はまた次の機会にしましょうか」

「そうだね。今はここからどうするかを考えようか」

 

 目の前の通路は見るも無惨な姿になっている。ここを通るとなると、かなりの時間がかかりそうだ。

 

「どうするんですかフリーレン様? もうここ通れませんよ」

「フッフッフッ。フェルン、道ならここにあるじゃないか」

 

 そう言ってフリーレンさんは、複製体が造った穴を指差す。おそらく複製体はここに別の通路があることを気づいたうえで、ここに陣取っていたのだろう。

 いざという時の奇襲兼脱出口になるように。(じゃないと、あそこにいた説明がつかない)

 

「まさか、ここを通るんですか?」

「迷宮に隠し通路はつきものだよ」

 

 フリーレンさんは臆することなく進んでいく。それを見てフェルンさんも後に続いていく。

 

「ゼンゼさーん。俺達も早く行きましょう」

「! そっそうだな」

 

「ゼンゼさん、さっき俺の複製体じっと見て、何考えてたんですか?」

「別に……」

「え、なんで不機嫌なってるんですか」

「うるさい」

 

 ぐぇ、横腹どつくのはやめてくれないですか……

 

 

 

 ──────────

 

 

 私はただトゥーリの複製体のことを呆然と見つめていた。

 

 複製体の挙動はトゥーリと全く同じで、頭では理解していても心が追いついていなかった。

 

 

 どうしても怖くなってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼンゼさーん。俺達も早く行きましょう」

 

 トゥーリの言葉によって意識が引き上げられる。

 そうだ、本人はここにいる。トゥーリは死んでない。

 

 これじゃ、まるで重い女みたいじゃないか。

 

 

 私はいつもよりトゥーリに体を寄せ、迷宮を進んだ。




初戦闘回でした

もっと上手くなりたいな…

小石探知についてはまた次回
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