第5戦隊ダス・アイザーン レーナ編   作:生値命

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第3話 砲火の嵐

 進軍開始から時間が経ち、ダス・アイザーン戦隊は目的地の廃村の南周辺にいよいよたどり着こうとしたその時、北の方角からズズンという衝撃と爆音が各隊員のジャガーノートの操縦室の中にすら響いた。

 ユルゲンがモニターを確認すると廃村の遥か北でレギオン達が爆発しているのが見えた。続いてレギオン達の頭上で何かが降り注ぐと爆発を起こしているのがわかった。軍人だった父からあれはミサイルであるとユルゲンは察した。

「準備射撃を開始しました。今はこれだけしか支援が出来ずにすみません・・・。」

「いいや、戦場は火力がものを言う。大したものだよ・・・」

 白アリにしては。と言おうとしたのを飲み込んでユルゲンはレーナとの会話を続けた。

「でハンドラー、戦隊長の俺の好きにしても良いんだな?」

「はい。こちらからは識別信号とパラレイドでしか貴方達を認識できません。現場指揮官の貴方にお任せします。」

 レーナからの確認を得てユルゲンは隊員に命令を下した。

「まずはハンドラーの支援射撃の観測を行いつつ、第1戦隊の救出に向かう為に南部に残存しているレギオンを掃討する。ハヤテ、迎撃砲の着弾観測をハンドラーに報告!」

「俺かよ!?・・・ハンドラーへ、砲弾とミサイルの着弾はしたが観測した限りでは北方を包囲しているレギオンの右端の軍勢しか破壊していない。次の砲撃は左へ2メートル程修正を求む!」

 ハヤテがレーナに正確な砲撃の座標を教えている間にユルゲンは次の命令を遠距離仕様ジャガーノートに搭乗している隊員に与える。

「シャルルとナターシャの小隊は戦車型を中心に砲撃開始!しつこいとは思うが連射せずに1発ずつ撃て!他の小隊は榴弾で近接猟兵型と斥候型を接近させるな!」

 ユルゲンからの命令を受けて隊員達は配置に着くとシャルルとナターシャと呼ばれた小隊長達は早速行動を開始した。ヴェアヴォルフ戦隊は4機で編成される小隊にはそれぞれ役割を与え戦車型以上の強敵には徹甲弾を、近接猟兵型と斥候型の装甲が薄い敵には榴弾を撃つ事で対処していた。

 まずは1機が徹甲弾で戦車型の砲塔と下部とを繋ぐ付け根の部分目掛けて撃つ事で戦車型の砲塔の旋回を防ぐと続いてもう1機が戦車型の砲弾を収納する砲塔後部目掛けて撃つと内部の砲弾に貫通して引火し戦車型が派手に爆発して完全に無力化される。この繰り返しで戦隊にとって脅威となる戦車型を撃破していった。

「戦車型5機撃破!接近してくる近接猟兵型8機撃破!戦(ハプト)隊長(ストルムフューラー)、戦車型2機の砲塔がこちら目掛けて撃ってきます!」

「榴弾が来るぞ!アンカーを射出してかわせ!左右に分かれる!」

 ユルゲンの命令を受けて戦隊はアンカーを射出して前方の左右へと各々素早く移動する事で戦車型の放った榴弾2発をかわそうとするがタダでは済まなかった。「母さん・・!」と泣き叫ぶような声がパラレイド越しにユルゲンにはハッキリ聞こえた。

「被害報告!榴弾の破片で3機小破、2機大破!2名心肺停止!」

ユルゲンが被害報告を受けている間にレーナからの通信が入ってくる。

「マイヤー大尉、戦車型がまだ下部を貴方達の方へと向けていないならチャンスです!脚部とエンジンの破壊を!私の戦隊にも手伝わせます!」

 戦車型のもつ120mm滑腔砲とその厚い装甲は確かに脅威だったが多脚兵器という構造上、どうしても脚が弱点となっていた。さらに足で動く場合履帯式の戦車と違い、どうしても車体の下部に配置する動力源のエンジンが横から狙われやすいという弱点をもっていた。

「分かっている!戦隊、榴弾で戦車型の装甲が薄い脚部、徹甲弾で下部後方のエンジンを狙う!撃て!」

 ユルゲンの命令で戦隊のジャガーノートは目標を振り分けて撃ち始めた。放たれた榴弾が戦車型の脚部を爆風と爆発で四散した破片で脚部を破損させて戦車型を麻痺させると徹甲弾で装甲を貫通してエンジンを破壊する。ユルゲンがはるか前方を見ると第1戦隊と思わしき白色のジャガーノートがレギオン目掛けて砲撃をしており、結果的には挟み撃ちの形で戦車型を次々と破壊する事に成功した。戦車型の脅威がひとまず危機が去った事でユルゲンは額の汗を拭いてレーナに報告した。

「残りの戦車型14機撃破。レギオンは逃走中。ハンドラー・ミリーゼ、追撃は難しいと考える。」

 攻撃の要である戦車型が全て破壊された事で残りのレギオンは蜘蛛の子が散る様に逃げ始めた。ユルゲンとしては追撃したかったが既に戦隊のジャガーノートの弾薬は底をつき、燃料も帰りの分しか残されていなかった。

「分かりました、廃村にいる第1戦隊と合流してください。戦闘不能の兵士は生きていますか・・・?」

「薄っぺらなアルミ装甲で榴弾を喰らって大破したんだ。生きていても重傷だよ。」

 

パラレイドから聞こえる心配そうなレーナの声にユルゲンは吐き捨てる様に答えた。

 

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