第5戦隊ダス・アイザーン レーナ編   作:生値命

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第4話 銃殺刑 中編

 廃村の市役所の中へと案内されたユルゲンはレーナの救助対象の補給科の二人を観察していた。戦場というものを理解していないのか2人ともレギオンに簡単に識別されそうな派手な紺色の制服を着ており、一人は操縦士の男でもう一人は機付長の女でありどちらも頭が白系種特有の白い髪で覆われており金髪で碧眼の北方金種(ノーディク)のユルゲンを見る目は侮蔑と恐怖に満ちていた。最初に口を開いたのは男の方だった。

 

「おい・・・そこの金豚!迎えのヘリはまだ来ないのか!?お前たちのハンドラーは何をしている!?」

 

質問というより罵倒が、しかも准尉という自分より下の階級の者から来た事にユルゲンは苛つきつつもパラレイドを通じてレーナに連絡した。

 

「ハンドラー・ミリーゼ、あんたのお仲間はご不満の様だからお迎えのヘリなり何なりをさっさと出してくれ。こいつらのお守なんて御免だよ。」

 

 お守とユルゲンが言ったのにシデンも思わず笑ってしまう。自分達が見下したエイティシックスに馬鹿にされたからか機付長で軍曹の若い女が声を上げる。

 

「お守とは何よ!アンタ達みたいな豚共と一緒にいたくないの!ただの補給任務だったのにこんな事になるなんてとんだ貧乏くじよ・・・」

 

 女の罵倒にユルゲンはますます苛つき、分かりやすく舌打ちすると女に冷たく言葉を返した。

 

「あのな、こちとらアンタを救う為に2人も死んでんだよ。そいつらには礼くらいあっても良いんじゃないか?」

 

 返されたユルゲンの言葉に補給科の女は怒りと屈辱で顔を歪めて言葉を吐き返した。

 

「礼なんてアンタみたいな金系種のファシストに言うもんですか!それに良いファシストなんて死んだファシストよ!」

 

 そう言うと補給科の女はユルゲン目掛けて唾を吐いた。「ファシスト」という言葉は単にファシズムを教条とする者を指す言葉だけではなく自由と平等を標榜する共和国では最大の侮蔑にあたる言葉だった。

 唾が顔に当たったユルゲンは何処か悟ったかの様に一気に冷たくなりその場にいたシデンすら凍り付かせてしまう程で、背負っていたライフルを取り出す彼を制止出来なかった。

 ライフルを構えたユルゲンはそのまま銃床を補給科の女の方目掛けてぶつけた。勢いよくぶつけた木製の銃床は彼女の歯を2,3本折るには十分な威力を発揮していた。補給科の女は痛みで泣きながら横たわったがユルゲンは銃床で彼女の頭をぶつけ続けた。

 

「テメェら白アリのケツ拭く為にこちとら二人も死んでんだよ!それを死んでも良いファシストだと!?売女(ばいた)が!舐めてんのか、あぁ!?」

 

パラレイドでは何も見えないがレーナにも装置を通してユルゲンの激しい憎悪と暴力を通しての興奮が伝わって彼女を戦慄させた。

 

「彼を止めてください!」

 

これ以上はさせまいとレーナは直ちにシデンに止めさせるように命令した。命令を受けてシデンが尚も補給科の女への暴力をやめないユルゲンを掴んで必死に制止する。

 

「マイヤー!何を考えてる!?あたし達の任務はこいつらを助ける事だろ!?」

 

「アンタは黙っていろ!これは俺達の戦隊の問題だ!」

 

 シデンの制止を振り払ったユルゲンはライフルの薬室に弾薬を装填すると安全装置を解除してその銃口を補給科の女目掛けて突きつけた。ユルゲンから銃床を散々ぶつけられて顔が歪んでもそれが恐怖の表情に染まるのは見ていた誰の目にも明らかだった。

 

「お願い・・・もう止めて・・・」

 

女には抗弁する力もなく腕をかざしながら涙ながらに命乞いをしたがユルゲンはそれをあざ笑った。

 

「確かに俺達はアンタの言う(ファシスト)かもな。だがあんた達を救う為に今日その(ファシスト)が2人も死んだんだ。そいつらに礼の一言も言えないなら刑罰が必要だよな?」

 

「ミュラー大尉!銃を下ろしな・・・」

 

レーナが言い終える前にユルゲンはその古いライフルで補給科の女の額を撃ちぬいた。女の死体は糸が切れた操り人形の様にその場でぐったりと倒れ額から勢いよく血を流していた。同僚がほんの数秒で死体になった事にパイロットの男は恐怖で悲鳴をあげる。

 

「死んだ戦友達を侮辱した落とし前は付けさせて貰ったぞ。白系(アルバ)の劣等種(ウンターメンシュ)が。」

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