これはある少女と少女の仲間が、自分たちが残してきてしまった1人の仲間に想いを伝えるお話。
聖夜、きっとその想いは届く。


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思いつきで書いたこと100%の短い物語です。
少しでもこれを読んで楽しんで頂ければ嬉しい


ソードアート・オンライン〜聖夜の贈り物

12月24日。6時30分。今日はクリスマスイヴ。ALOの中にもクリスマスのグラデーションが彩られ、ヴァーチャル充が外にはあふれていた。(ようするにリア充と同じようなものだ)

そんな中、俺、桐ヶ谷和人ことキリトは22層のログハウスにいた。

 

「キーリートーくーん?」

 

彼女はアスナ、saoの中で出会い結婚までした最愛の彼女だ。

澄んだ水色のロングヘアに今は水色と青と白が組み合わさったパジャマのような服を身につけている。

 

「どうしたの?ボーッとしちゃって。」

 

「いや、思い出してたんだ…彼女を…」

 

「そっか…」

 

アスナは彼女、ということで誰のことを指して言ったのか大体予想がついたらしい。

そう、彼女とは俺が昔、saoにまだ閉じ込められていた時に入ったギルドにいた女の子だ。プレイヤー名はサチ。

俺はサチを、彼らを殺してしまった。

その罪はsaoから解放された今も消えない。

この罪はきっと一生消えることはない。

 

「ねぇ…。キリトくん?。君が自分をそんなに責めちゃいけないよ…。きっと、あの子もそう思ってるよ。」

 

これは彼女が俺にかけられる精一杯の言葉だろう。しかし、心にかかった影は取り除かれない。

ふと気づくと、また彼女のことを思い出す。

 

「もう一度、もう一度君に会えたら。君に…俺は…」

そうつぶやいて、アスナと俺はログアウトした。ALOの中で流れているクリスマスソングの音が遠くなっていき、肌に寒さが伝わってくる。目を開くとそこには自分の部屋の天井が広がる。

 

そこに丁度よく妹、直葉の声が聞こえる。

 

「おにーちゃーん。ご飯だよーー。」

 

「今行くー」

 

その時、俺は気づかなかった。電源を消したはずのアミュスフィアが勝手に起動したことに…。

 

「今日はクリスマスだから張り切って作ってみたよ!」

 

「おー!旨そうだな!」

 

七面鳥やナゲットなど色々な食材がテーブルに並ぶ。

 

「よっし、そんじゃ。いただきまーす。」

 

腹が減っていた俺は、直葉と一緒にあっという間に平らげてしまった。

 

「ふぅ…食った食った。」

 

「美味しかったならよかった。」

 

「おう。料理の腕あげたな!スグ」

 

確かにあのポトフ?らしきものができた時より数段料理の腕が上がった。

 

「えへへ」

 

スグは照れ臭そうに笑う。

 

「そうだ!おにいちゃん!クリスマスプレゼントだよ!はい」

 

っと綺麗な紙に包まれたものを開ける。

 

「ぉお!」

 

そこには綺麗に編まれた黒いマフラーがあった。

 

「おにいちゃんのために頑張って編んだんだからね?大事に使ってよ?」

 

「ありがとう。スグ。大事に使うよ」

 

「で」

 

そのスグの言葉の繋ぎにギクッとくる。

 

「おにいちゃんのは?」

 

「え、えーと」

 

俺にとって今までのクリスマスはまさに平日も平日で、特別な日という認識をしていなかった。なのでプレゼントなんてものは準備していなかった。

 

「まさか…おにいちゃん…準備してないの?…」

 

スグが泣きそうな顔でこちらを見てくる。

冷や汗が出てきて、この場面を乗り切る手段をあれこれと考える。しかし、いいものは思いつかない。

 

「ご、ごめんスグ。」

 

「ぅう…」

 

さらにスグは泣き出しそうになる。

ヤバい。どうすれば…。そこであるアイディアが浮かぶ。

 

「そ、そうだ!明日買い物に行こう!そこでなんでも買ってやるよ!」

 

そう答えると先程までの泣き顔は消え、満面の笑みを浮かべる。

 

「本当!?やったーー!」

 

「俺の買える範囲だけだからな。」

 

「うん!」

 

俺の財布が薄くはなるが、スグを泣かせることは阻止したので少しホッとする。

 

その次の日の12月25日にスグにいろんな店を連れまわされて、俺の財布の中身がすっからかんになりかけたことはまた別の話である。

 

 

スグとの食事を終え、また部屋に戻っきた。

 

「ふぅ…」

 

そこで俺は気づく、消したはずのアミュスフィアが起動していたことに。

 

「あれ、俺消したはずだよな?」

 

そんな疑問を抱きながらまたアミュスフィアをかぶる。

本当は少ししたら風呂に入って眠ろうとしたのだがその時の俺はここでアミュスフィアをかぶり、仮想世界に行かなければならないという謎の強迫観念に動かされていた。

 

「リンクスタート!」

 

仮想世界への合言葉を口で紡ぐ。

部屋の肌寒さが遠くなっていき、またあのログハウスに”はずだった”

 

眼前に広がるのは暖かい暖炉が燃えるログハウスではなく、大きな広場に綺麗にゆらゆらと降る雪が積もり、大きなクリスマスツリーがあった。

 

「ここは?」

 

見覚えのない広場に思わず動揺する。それに身につけているのは革の黒いロングコートに黒いブーツ、耳はエルフのようなとんがったものではなく、丸い人間の耳を、していた。そこで気づく。

 

「これは…saoの頃の俺じゃないか!」

 

一体なぜ?という疑問が浮かぶがなぜここにこの姿でいるのか見当がつかない。

どうにか脱出する方法を試すがメニューウィンドウは出てくることはない。

仕方なく周りを見渡してみるとクリスマスツリーの木の下に1人の人影が見えた。

 

「おーい。そこの人ー、ここって一体…」

 

そこまで言葉を発するとその人影が誰かわかった。わかってしまった。

 

そこにいたのはあの日あの浮遊城で、俺が殺してしまった女の子…。サチ本人だった。

 

「な、なんで…」

 

「こんばんは、キリト」

 

彼女の声を聞き思わず涙が溢れる。

 

「サチ…本当にサチ…なのか?」

 

「うん、そうだよ。キリト。」

 

ぁあ。本当、本当に彼女だ。

そう確信すると俺の口からは懺悔の言葉が溢れ出る。

 

「ごめん…ごめん…俺は…君を…君たちを…!」

 

溢れ出る懺悔を最後まで言うことをサチの優しい抱擁が遮った。

そして、ゆっくりと離れる。

 

「もう…キリトのことだからまだ引きずってるんじゃないかってみんな言ってたよ?」

 

クスクスっとサチは笑う。

 

「みんな?」

 

「うん。ケイタたちだよ。特にケイタは最後に酷いことを言ってしまったってすごい落ち込んでたんだから。」

 

「そうか…ケイタたちが」

 

ケイタはサチたちが死んだあと、俺に「お前が僕たちに関わらなければよかったんだ」と罵倒したのち、自殺した。

どの出来事も未だに鮮明に覚えている。

 

「俺こそ…謝って済むことじゃないけど、ごめん…君たちを…守ることができなくて…」

 

「キリトは悪くないよ。ただ、あの時私たちに生き残れる力がなかっただけ。」

 

「そんな…!」

 

君たちが死んだのは俺のせいだ。といおうとしたが、それではきりがなくなるので出かけた言葉を押さえ込む。

 

「私ね、嬉しかったよ。キリトが私たちのことをそんなに思っていてくれたんだから。だから、神様にお願いして。この日にだけ時間をもらったんだ。」

 

「サチ…」

 

サチはゆっくりと息を吐く、そして告げる。サチが、ケイタたちの最後の言葉を。

 

「ありがとう。キリト。私達(俺達)は大丈夫だよ(だぜ)?だからキリトは前に進んでください(進んでくれ)。いつか、私達(俺達)があの城に居た意味を見つけて、それを教えてください。それまで私達(俺達)は君を見守っているよ。」

 

その言葉を発すると周りの雪が眩しく光り始めた。その光はどこまでも強く、周りの景色がだんだんと霞んできた。

 

「サチ!みんな!」

 

だんだんと消えゆく複数の人影に手を伸ばす。そして、精一杯の声を出して言う。

 

「わかった!必ず、必ず君達があの城に居た意味を見つける!そして、必ず伝えるよ!」

 

ありがとう。さようなら。

霞む意識の中、その言葉を告げた。

 

ふと、肌に刺すような寒さを感じる。

目を開くと自分の部屋の天井が広がっていた。

 

「ここは…」

 

俺の部屋だ。それになぜか頰には涙が伝っていた。しかし、なぜ泣いていたのか思い出せない。

そこに妹の声が聞こえる。

 

「おにいーちゃーん。お風呂空いたよー」

 

「わかったー」

 

何かとても悲しいけど優しい夢を見ていた気がする。それになぜか心がすっきりしている。

そうして、俺は風呂に入るために自分の部屋を出た。

 

その後、ALOの中でキリトのナーブギアのメモリー自体にに≪死者の願い≫という復活アイテムがあることに気づくのは少しあとの話だ。

 

頑張って。キリト。




クリスマスイヴにキリトに起こった不思議な出来事、お楽しみいただけたでしょうか?
時系列でいうとどこらへんでしょうか?多分アリシゼーションが始まる前あたりです。
ジラーチとユウキの物語も頑張って書いていくのでよろしくお願いします。

届くことがなかったあなたの想いが届きますように。

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