ヤチヨが鯖、彩葉がマスターの聖杯戦争
Twitterで素敵な概念を見かけたので書かせていただきました
FateはFakeとFGO二次しか見たことのないニワカです
元ツイ→ https://x.com/Rei_ta1225/status/2032625798273011960

Pixivにも投稿しています→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27584263

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聖杯戦争に巻き込まれた彩葉がヤチヨを召喚する話

――今は昔。ではなくて? 超未来だったり? いやいや、大昔でも超未来でもなくて?

 ――今とあんまり変わらないちょっと未来の、だけど貴方たちが知るのとは、少しだけ違う世界。

 

「あった、良かったぁ…」

 夜の学校に一人、普通の女子高生が忘れ物を取りに来ていた。

「ありがとうございました、先生」

「気をつけて帰れよ、酒寄」

 彼女の名は、酒寄彩葉。

 ――彩葉って呼ぶべし!

 

「もうこんな時間…今日は睡眠時間二時間かぁ…?」

 その時、奇妙な音を彩葉の耳は捉えた。音のした方向には公園。

 彩葉の足がその中へと向かいかけるが、好奇心を抑え込む。

(こんな事してる場合じゃない。早く家に帰って予習しないと…)

 その時、公園の柵を越えて何かが飛んできた。

「ウワッ!?」

 それは、バス停の看板にぶつかり地面に落ちる。

「人…?」

 彩葉が近寄ると、それは甲冑を身にまとい剣を手に持つ、赤メッシュの入った金髪の男だった。

「あのー大丈夫ですか…?」

 何故かこうなったかは知らないが、看板を破壊する勢いでぶつかったのならいくら甲冑でも衝撃は大きいはず。そう考えた彩葉が声をかけると。

「逃げろ!」

「えっ?」

 唐突な警告に困惑した瞬間、再び柵を越え何かが飛び出してきた。それは顔は見えないが長身痩躯の男。手には月明かりを反射して光るナイフ。それを彩葉に向けて振り下ろす。

 しかし、その輝きは一瞬で彩葉とナイフの間に割り込んだ甲冑男の剣に弾かれた。

「早く!」

「ハイッ!」

 我に帰った彩葉は体育の成績一〇の足で逃げ出す。甲冑男に、何故か彩葉を狙ってきたナイフの男。彩葉の本能が逃げ出せと全力で叫んでいた。

 

 がむしゃらに走る事しばらく。彩葉は家の前まで戻ってきていた。

「何だったのよ…」

 甲冑男に、ナイフを持った不審者。現実とは思えない。

(うん。幻覚だ。そうに違いない)

「早く寝よ…」

 家の鍵を開け、中に入る。ここは彩葉の祖父母が知人から譲り受けた一軒家で、今は彩葉が借りている形になっている。何やら以前の住民はここで何かの魔術的儀式を行っていたようだが、彩葉にはそれは些細な問題だった。

 彩葉は魔術師の家庭に生まれた秀才である。兄と共に一族の悲願へと大きく近づくと期待されていた。

 しかし、父親の死で歯車が狂った。母親は父のいない分を背負う責任感からか兄妹に厳しく接するようになり、兄は「やりたい事がある」と家を出て行った。そして彩葉は母親に自身を認めさせるため、家を出て自分で研究を進めることを決めたのだ。

 

 天井から、鳴子の音が鳴る。ここは魔術師の家。侵入者を検知する結界は当然張られている。

「――ッ!」

 すぐさま彩葉は自身の魔術回路を起動させた。その瞬間、上からの殺気。防御の魔術を発動し、攻撃を防ぐ。攻撃の下手人が、彩葉の目の前に立つ。

 確かに鍵は締めた。だが、先程も彩葉の命を狙った髑髏の面を被った男は確かに目の前にいた。

「罠は全て抜けたと思ったのだが…まさかその先にも罠を用意していたとは。なかなか優れた魔術師のようですね」

「そりゃどうも!」

「貴方に恨みは無いが…マスターの命です。その命、この暗殺王ザイードが頂きましょう!」

「そうは…いくかッ!」

 同時に、簡易的な攻撃用の魔術を飛ばす。

 しかし、その全ては踊りのような動きで回避される。

(でもこれで…いい)

 攻撃すると同時、一つの部屋へと飛び込む。すぐさまザイードが追いかけると、そこには地下へと続く扉があった。

「ふむ…工房ですか。ここは彼に任せますか」

 

 半地下の魔術工房。彩葉がここに越してきた際からあり、恐らくは前の住民が遺したのだろう。そこで彩葉は、備え付けられた武器を構え、魔力を巡らし、いつザイードが襲撃してきてもいいよう備えていた。

 しかし、その備えはあっさりと打ち破られる。それは、ザイードと同じく髑髏の面を被ってはいるが、速さが比ではない。

 彩葉は知らぬことだが、彼女が戦っているのは英霊の影法師(サーヴァント)暗殺者(アサシン)。その中でも多芸に優れる百の貌のハサンである。

 その中でも速さに優れた迅速(マクール)の動きに、彩葉は対処できない。先ほども見た銀の閃き。ただ一つ違うのはそれを防いでくれる者も、術も無いこと。もはやこれまでと覚悟を決め…。

 しかし、その未来は後ろから突き出された傘に弾かれた。

「まさか、七騎目のサーヴァント…!」

 月光が小窓から入り、部屋の中を照らす。

 蛇の目傘を持ち、和洋折衷の衣装に身を包んだ女性は、彩葉の方を向いてこう言った。

「問おう、貴方が、私のマスターか?」


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