カイジがデスノートを拾った世界 ~死神黙示録 カイジ 鉄骨渡り編~ 作:梅酒24
(上等……!)
(それしかねぇ……!)
ざわ……ざわ……
運命の残り時間――
4分。
ざわ……ざわ……
(もう……時間がねぇ……!)
視界。
ほとんどの人間が――
スタート地点に整列している……!
(終わる……!)
(このままじゃ……何もできずに……!)
そのとき――
「カイジさん……」
佐原。
異様な落ち着き。
「これは……」
「カイジさんがやるしかないっす」
(……?)
「俺の声は……高い」
「黒服の声は……低い」
(だから……なんだ……?)
「え?」
思考が追いつかない。
佐原、さらに近づき――
「黒服みたいに……」
「本名で叫ぶんすよ」
(……!?)
脳に電流。
「すると……」
「本人なら……振り返る」
ざわっ……!
(そうか……!)
(顔と名前を……一致させる……!)
「名簿にある名前……」
「知らないやつを……呼ぶ」
「反応したやつが……本人」
(いける……!)
(これしかねぇ……!)
残り時間――
3分。
(やる……!)
深呼吸。
喉を押さえる。
低く……
低く……
黒服の声を、模倣……!
「……佐藤 恒一!」
ざわ……
一人――
振り返る……!
(いた……!)
(これだ……!)
すぐにメモ。
顔と位置。
(次……!)
「高橋 恒一!」
また一人――
ピクリと反応。
(確定……!)
ざわ……ざわ……
最初は怪訝な空気。
だが――
(気にするな……!)
(時間がねぇ……!)
連続。
連呼。
「山口 勝平!」
「中村 悠一!」
「木村 拓哉!」
振り返る者。
無反応の者。
(振り返ったやつだけ……拾う……!)
(それ以外は切る……!)
ざわ……ざわ……
心臓。
爆発寸前。
(急げ……!)
(急げ……!)
残り――
1分。
(足りるか……!?)
最後の一人。
「……渡辺武!」
一瞬の沈黙。
そして――
振り返る。
(よし……!)
ペンが走る。
書く。
書く。
書く……!
そして――
完成。
・最初にフルネームを教えた奴
・苗字と名簿で照合した奴
・振り返って特定した奴
全て――
繋がる。
(揃った……!)
(全部……揃った……!)
ざわ……ざわ……
鉄骨。
開始直前。
だが――
俺の中ではもう終わっている。
(勝ち……!)
(完全勝利……!)
(イージーウィン……!)
口元が歪む。
(あとは……)
(時間差で……死ぬ……!)
(全員……!)
ざわ……ざわ……
だが――
このとき俺はまだ知らない。
“勝ち”と思ったその一手が――
最大の綻びになることを……
***
ざわ……ざわ……
(……静かだ)
鉄骨の上。
普通なら――
震える。
足がすくむ。
一歩が……出ない。
だが――
違う。
(軽い……)
まるで――
道路の白線の上を歩いているみてぇだ……!
ふらつきもない。
恐怖もない。
あるのは――
確信……!
ざわ……ざわ……
(あいつら……)
前後に並ぶ人間。
必死の形相。
汗。
震え。
命を削るような一歩。
だが俺は違う。
(もう……決まってる……!)
(こいつらの結末は……!)
ドクン……
次の瞬間――
「うわあああああ!!!」
ガタンッ……!
落下音。
ざわっ……!
一人。
また一人。
(来た……!)
内心で笑う。
(そうだ……)
(それでいい……!)
俺が書いた通りに……!
次々と――
落ちる。
叫ぶ。
消える。
ざわ……ざわ……
(気持ちいい……!)
ぞくりとする快感。
自分でも気づく。
(俺……今……)
(神の視点に立ってる……!)
人の生死を――
紙一枚で操る。
その結果が――
この光景。
(完璧だ……)
(下準備……完璧……!)
足取りはさらに軽くなる。
まるで――
重力が消えたかのように。
ざわ……ざわ……
(このルール……)
(負けようがねぇ……!)
鉄骨渡り。
通常なら地獄。
だが――
俺にとっては――
ただの通過儀礼……!
(デスノート……)
(アドバンテージが……デカすぎる……!)
桁が違う。
勝負ですらない。
(クク……)
笑いが漏れる。
周囲のざわめき。
恐怖。
絶望。
それすら――
遠い……!
まるで別世界。
(あと……半分……!)
ゴールが見える。
光。
救い。
だが俺には――
それすらも“結果”に過ぎない。
(勝ちは……もう決まってる……!)
(あとは……歩くだけ……!)
また一人。
落ちる。
悲鳴。
そして静寂。
(いい……)
(もっとだ……!)
(もっと……落ちろ……!)
冷酷な思考。
だが――
それすら自然。
(これは……ギャンブル……!)
(勝つためなら……何でもやる……!)
ざわ……ざわ……
このときの俺は――
疑いすら持っていなかった。
この勝利が――
揺るがないものだと……!
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