カイジがデスノートを拾った世界 ~死神黙示録 カイジ 鉄骨渡り編~ 作:梅酒24
ざわ……ざわ……
(……おかしい)
鉄骨の上――
夜風が吹き抜けるその細い道で、俺は確信していたはずだった。
次に落ちるのは――
最初にフルネームを教えてきた、あの男……
(あと数十秒……!)
後ろから、コツ……コツ……と靴音。
ゆっくり……だが確実に近づいてくる。
(焦るな……!)
俺は自分に言い聞かせる。
このゲームの本質――
それは“度胸”でも“運”でもない。
(焦らないこと……!)
時間制限はない。
つまり――急ぐ必要も、競う必要もない。
慎重に……一歩ずつ進めばいい。
そうすれば――
勝手に死ぬ……!
ざわ……
(あと少しで……)
俺は前を見据えたまま、歩みを止めない。
背後の存在など、もはや“死体予備軍”。
(落ちろ……!)
――だが。
……1分。
……2分。
(……は?)
ざわ……ざわ……
(なんでだ……)
本来なら――
とっくに“落ちている”はずの時間。
それなのに。
コツ……コツ……
(近い……!)
気配が――
3メートル……いや、それ以上に迫る。
(なんで落ちねぇ……!)
背筋が凍る。
ゆっくりと――
振り返る。
そこにいたのは――
「……どうした?前、進まねぇのか?」
――高木。
生きている。
ざわっ……
(嘘だろ……!)
脳が拒絶する。
(書いた……!俺は確かに書いた……!)
名前も……条件も……時間も……!
完璧だったはず……!
なのに――
(まさか……)
ざわ……ざわ……
頭の奥で、ひとつの可能性が浮かび上がる。
(偽名……!)
心臓が跳ね上がる。
(あいつ……最初から俺を疑ってやがった……!)
そして――
致命的な事実に気づく。
(確認してねぇ……!)
名簿で……
“最初にフルネームを聞いた奴”を――
照合していない……!
時間がなかった。
焦っていた。
そして何より――
(勝ったと思い込んでた……!)
ざわ……ざわ……
“全員書いた”という達成感……
それが――油断を生んだ。
(クソッ……!)
背後。
3メートル。
2メートル。
(まずい……!)
この距離――
押されれば――
終わり。
真っ逆さま……!
(どうする……!)
鉄骨の上。
逃げ場なし。
振り返るか?
いや、バランスを崩す……!
走る?
論外……!
(考えろ……!)
ざわ……ざわ……
(まだ……終わってねぇ……!)
だが――
「……なぁ」
低い声。
背後から。
「お前……さっきから妙に落ち着いてるよな」
ぞわっ……
(読まれてる……!)
「まるで――」
一歩。
距離が詰まる。
「“俺が落ちるのを知ってた”みてぇだ」
ざわああああ……!!
(終わる……!)
次の一手を誤れば――
死。
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