美少女しかいない部活で、部員全員から「私だけは味方だからね」と耳打ちされたんだが   作:古野ジョン

5 / 5
第5話 態度

「あれ? 何か話してました?」

「えっと、それは……」

 

 愛宕の単純な疑問に、言葉を詰まらせている瀬峰。そりゃ、自分のことが可愛いかどうか聞いていた――なんて、後輩に言えるわけがないか。でも……何も言わないのも不自然だし、代わりに答えておこう。

 

「瀬峰が、『私のことを可愛いと思うのか』って――」

「ちっ、違う! そんなこと言ってないっ!」

「えっ?」

「私が遊佐くんにそんなこと聞くわけないじゃん! ひまりさん、気にしないで」

「なら、いいですけど……」

 

 愛宕は首をかしげつつ、ブース内に入ってきた。俺の近くに置いてあったリュックサックのファスナーを開け、中からノートや筆箱を取り出している。

 

「すいませんっ、荷物を取りに来ただけなのでっ! また行ってきますっ!」

「そっか。気をつけて」

「じゃっ、失礼します!」

 

 慌ただしい奴だな、なんて思いながら愛宕の背中を見送る。ふと視線をやると、瀬峰はやや頬を赤く染めつつ……じっと俺の方を見ていた。

 

「そっ、それで……私のこと、可愛いと思う?」

「『遊佐くんにそんなこと聞くわけない』とか言ってなかった?」

「きっ、気のせい! 気のせいだからっ!」

「ええ……」

 

 必死に両手を振って否定する瀬峰を見て、半分唖然としたように口を開いてしまう。一分も経たないうちに矛盾した発言をするのはやめてくれないかな……。

 

「でっ? 可愛いと思う?」

「……いや、その」

 

 瀬峰は二人きりだと本当に態度が変わる。他の二人がいるときは事務的な対応に終始しているのに、俺しかいない時は(誤解を恐れずに言えば)ちょっと面倒な女の子という感じだ。……ちょっとやり返してみてもいいかもしれない。

 

「『可愛い』って言ったらどうするんだ」

「えっ?」

「俺が瀬峰のことを可愛いって言ったら……何があるんだ?」

「えっと、それは……」

 

 言い返されるとは思っていなかったのか、瀬峰は俯いて何も言えなくなっていた。やっぱり可愛い。クラスにいたらついつい目で追ってしまう、まさしくそんな存在だな。さて、意地悪するのもこれくらいに――

 

「二人ともっ、お疲れ様~っ!」

「「!?」」

 

 ブースのドアが開いたかと思えば、今度は志津川先輩が部屋に入ってきた。どうやら委員会の仕事が終わったらしく、ルンルンとした足取りでこちらに向かってくる。

 

「ごめんね、意外と長引いちゃった。さあ咲季ちゃん、練習しましょう?」

「あっ……はい。そうしましょうか……」

 

 自分に背を向けて準備をしている志津川先輩のことを、瀬峰はやや不満げに見つめていた。結局、可愛いかどうかを伝えることは出来なかったけど……まあ、いじらしい瀬峰を見ることが出来たからよしとするか。

 

 パソコンの画面に向き直りつつ、背後から聞こえる瀬峰の声に耳を傾けたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

純潔騎士団は童貞神父の色に狂う 〜拗らせ処女の巣窟で女神が純潔の戒律を撤廃したらどうなるか。反動ですんごいことになった〜(作者:ジョイントリーゼント)(オリジナルファンタジー/恋愛)

 人類の敵、魔族が強大な脅威としてある世界。聖十字教会は対魔族の有力な対抗馬と目されるも、魔族軍の強大さに苦戦は必至で、最前線へ駆り出されるだろう白銀聖騎士団は危険も大きい。▼ そんな状況で、信仰に殉ずる信徒たちへの褒美として、女神は遂に決定した。――聖騎士に課せられた「純潔の戒律」を撤廃することを。▼ 結果、これまで押さえ込まれていた騎士たちの想いは爆発す…


総合評価:315/評価:7.22/連載:16話/更新日時:2026年04月22日(水) 20:55 小説情報

学校でカウンセリング部を始めたら病んだ美少女たちの激重ハーレムができたんだが(作者:崖の上のジェントルメン)(オリジナル現代/恋愛)

なんの取り柄もなかった俺の唯一の特技は「相談事を受けること」。▼それを活かそうと思い、胸の内をなんでも相談できる、カウンセリング部なるものを作った。▼いろんな人の相談を受けて、少しでも何か力になれれば嬉しいな……と、そう思っていた。▼これは、俺がいろんな人たちの幸せを願う話。▼※昔書いていたもののリブート作品です。▼


総合評価:4065/評価:8.46/連載:25話/更新日時:2026年02月10日(火) 20:01 小説情報

男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴(作者:陽波ゆうい)(オリジナルファンタジー/恋愛)

男女比3:1の世界に転生した。▼って、おいこれ、男がチヤホヤされる貞操逆転世界ってやつじゃねーじゃん!?▼野郎が多くなったら、寝取りが増えるだけだろっ。▼だから俺は、女の子にモテることを諦めることにした。▼※カクヨムでも掲載しています。


総合評価:3129/評価:7.97/連載:23話/更新日時:2026年05月03日(日) 20:58 小説情報

「――先生、俺死にたいんですよ」(作者:性癖×)(原作:ブルーアーカイブ)

バカ「(クソキショ長文)――先生、俺死にたいんですよ」


総合評価:1292/評価:7.61/連載:2話/更新日時:2026年02月03日(火) 03:10 小説情報

ネッ友(自称行き遅れ)の「結婚してくださいよ~」にOKしてみた翌朝、玄関に綺麗なお姉さんがいた(作者:古野ジョン)(オリジナル現代/恋愛)

「なんで住所分かったんですか!?」「グー〇ルマップで特定しましたよ?」▼※カクヨム、小説家になろうにも掲載


総合評価:1458/評価:8.47/完結:39話/更新日時:2026年02月28日(土) 21:09 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>