セリカがタイムスリップして1年生のホシノと同級生になる話   作:気弱

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ホシノの取り調べ 暴走するアヤネ

「……ねぇ、ちょっと待って。おじさん、まだ今日のお昼寝スポットの選定も終わってないし、枕の高さ調整だってこれからなんだよ? なのにこの状況、おじさんの理解を遥かに超えてるっていうか……。

 

……ねぇ、もしかしておじさん、知らないうちに何か悪いことでもした? 給食のプリンを勝手に食べたとか、そういう覚えはないんだけどなぁ……」

 

セリカとのデート——もっとも、誘った当の本人は「……でも、そんなことより今日の計画よ。いい、ホシノちゃん。今日一日、私のストレス発散に付き合ってもらうわよ。……分かったわね?」と、あくまで主導権を握るような口調で、有無を言わせぬ名目を掲げていたが——

 

その劇的な一日から一夜明けた、放課後の対策委員会室

 

ホシノがいつものように「あつ〜い、砂漠のど真ん中で干物になっちゃうよぉ」とだらしなくこぼしながら、重い腰を上げて部室のドアを開けた瞬間、彼女の脳内にあった「放課後のゆったり昼寝プラン」は一瞬でシュレッダーにかけられた

 

そこに広がっていたのは、いつもの騒がしくも温かい部室の風景ではない

 

まるでサスペンスドラマのクライマックスシーンか、あるいは重罪人を追い詰める司法の場のような、異様な緊張感に支配された「完全密室」だった

 

アビドスの暴力的なまでの西日を完全に遮断するように、教室のカーテンは隅から隅まで隙間なく閉め切られ、室内は昼間だというのにどんよりとした薄暗さに沈んでいる

 

空気は心なしか重く、静寂が耳に痛い。そして部屋の中央には、生徒会の備品庫の奥底から発掘してきたのか、錆びついた無機質なスチールデスクと、被疑者の表情を白日の下に晒すための角度の付いたデスクライトが、ポツンと、しかし不気味な存在感を放って鎮座していた

 

「えっ、なに、これ……新手のドッキリ? 先生、どこかに隠れてカメラ回してる? おじさん、そういうテレビ的なリアクション芸は専門外だよ〜?」

 

本能的な危機感を察知し、半笑いで後ずさりしようとするホシノ。しかし、退路はすでに完璧に断たれていた

 

「ホシノちゃん、そんなに急いでどこへ行くんですか〜?」

 

「の、ノノミちゃん?」

 

ノノミがいつものふんわりとした、聖母のような慈愛に満ちた笑顔で立ちはだかる。しかし、その細められた瞳の奥には、一切の逃走を許さない絶対的な意志が鋼のように湛えられていた

 

ノノミはその後、無言のまま抗う隙を与えない柔らかな所作でホシノの肩を抱くと、まるで見えない重力に引かれるように、あらかじめ用意されていた「指定席」へと彼女をエスコートした

 

ホシノが観念して椅子に腰を下ろした、まさにその瞬間

 

「ん、確保。逃がさない」

 

背後に音もなく潜んでいたシロコが、まるで猛禽類のような電光石火の手つきで一本の細いロープをホシノの胴体に回した。短く、そして凍りつくような冷徹な宣言。

 

カチリ、とデスクライトが点灯し、強烈な光がホシノの顔を直射する

 

目の前には、逆光で表情を隠しながらも、眼鏡の奥で獲物を狙う鷹のように瞳を光らせたアヤネ

 

左右を固めるのは、もはや談笑する気配すら微塵も見せず、熟練の捜査官のような威圧感を持って屹立するシロコとノノミ

 

彼女たちはホシノが部屋に入ってきてからというもの、一度も視線を外すことなく、その微かな呼吸の変化さえも見逃さないという構えで立ちはだかっていた

 

あまりのシュールさと、あまりに一方的な「公開処刑」に近いシチュエーション。ホシノの脳内はパニックと困惑で飽和状態だったが、それ以上に「アビドスの最年長」として、どうしてもツッコミを入れずにはいられないポイントが一つあった

 

「ねぇ……ちょっと。百歩譲っておじさんがアビドスの埋蔵金を使い込んだとか、給食のプリンを盗み食いした犯人だとしてもさ、この縛り方、いくらなんでも適当すぎない!? 縛ってるっていうより、これじゃあ『ロープを添えてみました』レベルだよ!? 絶対にやる気ないよね? 小学生の工作教室でも、もうちょっとマシな結束を見せると思うんだけど!?」

 

普通、キヴォトスにおいて「身体の拘束」を成立させるならば、特殊合金製のチェーンを何重にも巻き付けるか、あるいは重火器による包囲が「取り調べ」を受ける側への最低限の礼儀というものだろう

 

しかし、今ホシノの腹部にゆるゆると回されているのは、一回転させただけの、そこらの園芸コーナーで投げ売りされていそうな細い麻ロープがたった一本きり

 

縛られているという物理的な実感を抱くことすら難しい、あまりに貧弱な惨状

 

これではホシノどころか、戦闘能力を持たないどころか運動不足の極みである先生でさえ、欠伸をしながら指先一つで、あるいは大きく深呼吸をしただけで「ぷつん」と抜け出せてしまうに違いない

 

「……ねぇ、シロコちゃん。せめてもう一巻きくらいしてくれない? おじさん、なんだか舐められてるみたいで逆に悲しくなってきたよぉ」

 

「ん、それはホシノ先輩が悪い。自業自得」

 

先ほどまで精密機械の一部であるかのように沈黙を守っていたシロコが、ようやく重い口を開いた

 

その声は低く、まるですべての感情を研ぎ澄まされた刃で削ぎ落としたかのような、絶対的な無機質さを帯びている

 

「ええっ? なんでおじさんのせいなの? どういう理屈かな、それは。この茶番劇における唯一の被害者は、間違いなくこの不名誉な格好で晒し者にされてるおじさんの方だと思うんだけどぉ……」

 

困惑を隠せないホシノの訴えに対し、シロコは表情一つ変えずに淡々と事実を突きつける

 

「ん、それは認識が甘い。ホシノ先輩なら、たとえそれが特殊合金製の極太チェーンだろうが、戦車の履帯だろうが、本気で力を込めれば瞬時に引きちぎり、スクラップに変える。重機を吊り下げるための鋼鉄ワイヤーですら、先輩の規格外な筋力の前では、お菓子の袋に付いているビニール紐も同然。だから、物理的に抗っても無駄だという『意思表示』のために、あえてこの安っぽいロープ一本で『形だけ』の拘束にした。無駄な抵抗はやめて」

 

「はい。今のシロコさんの冷徹な分析こそが真実です。ホシノ先輩を本気で物理的に封じ込めるための特注設備や拘束具を設計・調達しようとすれば、アビドス高等学校の貴重な年間予算が数年分は一瞬で雲散霧消します。これ以上の資材を用意することは、戦略的に無意味であると同時に、会計監査を通らない致命的な経費の無駄遣い……いえ、学校運営に対する背信行為に他なりませんから」

 

シロコの無機質な断定を引き継ぎ、アヤネが事務作業を完璧にこなすような手際で、冷たく、そして論理的に同意した

 

その言葉の端々から否応なしに伝わってくる「ホシノ先輩は人間という皮を被った、物理法則を超越したゴリラ」と言わんばかりの残酷なまでの信頼に、ホシノは返す言葉を失い、ただ呆然と天を仰いだ

 

「待って待って! おじさんだって流石に本気でぐるぐる巻きのがんじがらめにされたら、身動き一つ取れなくなるよ!? ほら、よく見て? こう見えても可憐な女子高生なんだからさぁ! 物理法則とか女の子の繊細なプライバシーとか、そういう守られるべきものを大事にしようよぉ!」

 

ホシノは椅子の背もたれに必死に身を預けながら、崩れゆく「守られるべき非力な乙女」という建前を必死に繋ぎ止めようと足掻く。しかし、その必死のアピールも、目の前の冷徹な執行官たちの耳には、砂漠に吹く虚しい風の音ほどの影響力も持たなかった

 

アヤネは深いため息をつくと、白く細い指先で眼鏡のブリッジをクイと押し上げ、冬の夜空のように澄み渡った冷酷な視線をホシノの瞳に突き刺した

 

「……ゲヘナの最高戦力であるヒナ委員長と真っ向から渡り合い、神話の化身たる『セトの憤怒』が放つ絶望的なまでの猛攻を、シールド一枚で簡単に弾き飛ばす。そんなキヴォトス最強の一角にして、生物学的な枠組みを無視した筋力の持ち主に、どの口が『かよわい』なんて言葉を吐かせるんですか? ホシノ先輩が語る女の子像の説得力は、すでにマイナスの極致を突き抜けてブラックホールを形成し、周囲の光さえ飲み込んでいますよ」

 

「うっ……」

 

アヤネが放った、慈悲のカケラも排した容赦のない正論の絨毯爆弾に、ホシノは言葉という言葉を根こそぎ奪い去られた

 

……確かに、自分でもこの安物のロープ程度なら、何百回巻かれようとも「ふんっ」と鼻を鳴らして気合を入れるだけで、朝露に濡れた蜘蛛の巣よりも容易く引きちぎれる確信があった。だが、たとえキヴォトス最強の盾を誇るホシノとて、その頑強な肉体の内側にあるのは、人知れず悩み、揺れ動く繊細な思春期の心なのだ

 

信頼し、愛してやまない後輩たちから、まるで「対物ライフルでも傷一つ付かない重戦車」のようなカテゴリーでストレートに分類されてしまうと、流石に乙女としてのプライドが音を立てて軋んでしまう

 

このまま「ホシノ=物理攻撃無効・怪力無双」という前提で審問を進められては、おじさんとしての威厳どころか、もっと大切で形のない、女の子としての「何か」が永遠に失われる気がした

 

ホシノは冷や汗を拭い、強引にロープの話題をこの泥沼のやり取りから引き抜くことにした

 

「えーと、あはは……分かったよ。おじさんの、その、ちょっとばかり常識外れなパワーについては一旦宇宙の彼方にでも置いとこうか。それで? なんでおじさんはこんな不名誉な格好で、まるで国際指名手配犯みたいな扱いを受けてるのかなぁ? 理由と展開によっては、おじさん今すぐ泣き落としに切り替えちゃうよ?」

 

「ん、それは……アヤネに聞いて。私はただ、ターゲットを確実に確保し、抵抗の意志を挫くための拘束を遂行しただけだから」

 

シロコが感情の起伏を一切感じさせない声で答え、静かにアヤネを顎で示す

 

「私達も、アヤネちゃんの緻密かつ冷酷な尋問作戦に、ただの実行部隊として協力しているだけなんですよ〜。ホシノ先輩、ここから逃げようなんて思わないでくださいね? 逃げたら、もっと太いロープ……いえ、ワイヤーを持ってこなきゃいけなくなりますから。うふふ」

 

ノノミの柔らかい、春風のような笑みが、かえってホシノの根源的な恐怖を煽る

 

二人の不敵な、そしてどこか楽しげですらある包囲網に促され、ホシノは正面に座るアヤネへと視線を戻した

 

先ほどからずっと俯き、卓上ライトが作り出す濃い影の中に顔を沈めていたアヤネからは、凶悪な犯罪組織のボスを自白に追い込む伝説のベテラン刑事のような、あるいは真実を暴くためなら手段を選ばない断罪者のような、圧倒的な尋問オーラが溢れ出ていた

 

針が落ちる音さえ聞こえそうなほどの静寂が支配する室内。アヤネがゆっくりと、獲物の急所をじっと見定める肉食獣のような鋭さで、その固く結ばれた口を開いた

 

「……昨日の! セリカちゃんとの! デート結果を!! 隠し事一つ残さず洗いざらい吐き出させるためですよぉ!!!」

 

「ぶふっ!? ア、アヤネちゃん!? なんで、おじさんたちが昨日お出かけしてたこと知ってるの!? あの場で決まった突発的な約束だったのに、他のみんなに知られるはずないんだけど!?」

 

あまりの急襲、かつこちらの動揺を見透かした確信犯的な問いに、ホシノは盛大にむせ返り、椅子ごと後ろにひっくり返りそうになった

 

アヤネはスチール机を「バン!」と景気よく叩いて身を乗り出し、戦慄するホシノの鼻先数センチまで顔を近づける

 

その眼鏡の奥の瞳は、もはや理知的な事務員のそれではなく、特ダネを追い詰め、あらゆるスキャンダルを暴き立てるパパラッチか、あるいは禁断の愛憎劇を執筆する熱狂的な作家のそれへと変貌していた

 

「知っていて当然です! 昨日、セリカちゃんが先輩に提案したあの『ストレス発散コース』。あれは元を辿れば一昨日の対策委員会会議の裏で、私たちが総力を挙げて彼女にプレゼンし、刷り込んだ特製プランなんですから! 影から全面支援した私たちに対して、その実地レポートを直接、詳細に報告するのはもはや正当な報酬であり、組織としての義務……いえ、アビドスの鉄の掟です! さあ、言い淀んでいないで、いつ、どこで、何をしたのか全て吐いてください!」

 

「い、いやぁ、そう言われてもだねぇ……。おじさん、そんな大層な報告書に書くようなことは何にも……。ただ楽しく遊んで、クジラさんのぬいぐるみを救出しただけで……」

 

ホシノが泳がせる視線の先には、逃げ場のない閉ざされた重いカーテン

 

退路を完全に遮断された密室で、アヤネの眼鏡が室内の僅かな光を反射してキラーンと不気味に、そして冷徹に発光した

 

「……いいですか、ホシノ先輩。隠そうとしても無駄です。先輩とセリカちゃんの間に、何か特別な、それこそ一言では説明できない『過去』の繋がりがあることくらい、薄々感づいています。それについてはアビドスのプライバシー保護方針として、今は深く詮索しません。ですが!」

 

アヤネはさらに机に身を乗り出し、逃がさないと言わんばかりにホシノの顔を指差した

 

「それとこれとは話が別です! 昨日、あんなに甘酸っぱい雰囲気で一日中過ごしておきながら、清い関係のまま何事もなく解散したなんて口が裂けても言わせませんよ。というか、最終的にはその高まったボルテージの勢いのまま、なし崩し的にホテルになだれ込んで、そこでセリカちゃんを○○○○して、ベッドの上で朝まで○○○○○○したんですよね!? それとも、先に○○○○させてから、腰が抜けて泣きつく彼女に○○○○○のフルコースをお見舞いしたんですか!? どうなんですか!!」

 

「アヤネちゃん!?!? 伏字! 伏字が過ぎるよ!! おじさんの知ってる、規律を重んじる真面目なアヤネちゃんは一体どこに消えちゃったの!? もしかしてこれ、おじさんが普段から仕事を押し付けてるせいで、溜まりに溜まったストレスが取り返しのつかない方向に大爆発しちゃってるの!? もしそうならおじさん謝るから!」

 

あまりの暴走っぷりに、ホシノは反射的に身を乗り出してツッコんだ

 

その瞬間、椅子に回されていた形ばかりの麻ロープが「ぷつん」と情けない音を立てて千切れたが、今のホシノにそれを気にする余裕など一ミリもない

 

隣ではシロコが「ん、アヤネ、想像力が豊かすぎる。……でも、少しだけそのプランの続きに興味がある。今度、参考資料として貸して」と小声で呟き、ノノミは「あらあら、アヤネちゃんったら大胆ですね〜。ホシノ先輩のこんなに動揺した顔、とっても綺麗に撮れてますよ〜」と、最高級スマホのカメラを優雅に回し続けている

 

「うるさいです! 私は昨日、お二人のGPS座標が重なったまま不自然に動かなくなる瞬間を、心臓をバクバクさせながら今か今かとモニターしていたんですよ!? なのに、結局セリカちゃんから届いたのは、あまりにも無味乾燥な『おやすみなさい』の一言だけだったんですよ!? 対策委員会のブレーンとして、私の立てた『アビドス新婚さんいらっしゃい計画 重なる夜編』が完遂されたのかどうか、その詳細を隅々まで確認する権利が私にはあります!」

 

「計画名が酷すぎるよぉ! 何そのピンク色のタイトルの同人誌みたいな不健全な名前! そもそもおじさんたちはただ、健全にバッティングセンターに行って、その後も二人で公園でお話ししただけで、そんな○○○なことはこれっぽっちもしてないからね!? 本当だよ!?」

 

「あ、今自分でも伏字の部分をピンク色の脳内で意識しましたね!? 自白したも同然、確信犯です! さあ、観念して全て白状しなさいホシノ先輩! 正直に、どのタイミングで○○○して、どっちから○○○○○を仕掛けたのかを言えば、今のロープを一重から二重に増やすだけで勘弁してあげますから!」

 

「それ増やしてるじゃん! むしろさっきから全然ディールが成立してないよぉ! おじさんの慈悲に甘えないで! むしろ拘束の密度が上がって、おじさんの身体的自由が一方的に奪われてるじゃん!! プライバシーの保護はどこにいったのさ!!?」

 

暗い教室の中、スポットライトを浴びたホシノの悲痛な悲鳴と、普段の冷静さを完膚なきまでに置き忘れたアヤネの暴走した欲望が、木霊となって無人の校舎に響き渡る

 

隣ではシロコが「ん、アヤネのシナリオ、少し過激だけど……タクティカルに考えると有効。参考になる」と、なぜか戦闘手帳に熱心なメモを取り始め、ノノミは「あらあら、アヤネちゃんったら。でも、ホシノ先輩のこんなに赤くなった顔、一生の宝物ですね〜。後で先生にも共有しましょうか〜」と、最高画質の動画を回し続けていた

 

結局、この一方的な「秘密の尋問」は、夕闇がアビドス全域を包み込み、夜の帳が下りるまで執拗に続き、最後には精神的に限界を迎えたホシノが、「……セリカちゃんが、その、最高にかっこよくて……おじさん、ちょっとだけドキドキしちゃったんだよぉ! だから、変なことはしてないってばぁ!」と、顔を茹で上がったタコのように真っ赤にして本音を白状するまで、決して解放されることはなかった

 

そのあまりにピュアで破壊力抜群な告白を聞いた瞬間、アヤネは満足げに鼻血を拭い、シロコは静かに親指を立て、ノノミは感極まってハンカチを噛みながら拍手を送ったという

 

――そんな、自分を巡って部室で繰り広げられていた対策委員会の「裏の狂乱」など、露知らず

 

今日も今日とて、セリカは馴染みの「柴関ラーメン」のカウンターで、威勢のいい声を元気に張り上げていた

 

「はい、お待たせ! 特製チャーシュー麺よ! 伸びないうちにさっさと食べなさいよね! 全く、よそ見しないで食べること!」

 

夕べのデートで、結局ホシノに「かっこいい」と言わせることこそ叶わなかったものの、心の内の葛藤をすべて吐き出し、溜まっていたストレスを綺麗に洗い流したセリカ。どこか晴れやかで、自らの真っ直ぐさを肯定されたような誇らしげな笑顔を浮かべながら、彼女は今日も元気にバイトに励んでいた

 

明日、部室のドアを開けた瞬間に待ち受けているであろうアヤネたちの「全部分かっていますよと言わんばかりのニヤニヤとした視線」と、昨日とは打って変わって「どうしても合わせられないホシノの泳ぐ視線」が、一体何を意味しているのかを知る由もないまま

 

セリカの元気な声が、アビドスの心地よい夜風に乗って、いつまでも響き続けるのだった




アヤネちゃんを暴走させたい欲があります(?)
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