独裁国家から逃げた宇宙人と骨無しチキンは冷めてもなんとかなる。 作:遺書の切れ端
その姿はまるで月のようだとは微塵も思わなかった、人命優先。
救急車か保健所どっちに連絡するべきか、
「さん!にー!いち!いち!いち!いち!」
「ゼロを焦らすなぴょん!?」
死ぬ間近なだけあって涙目で、その表情には怒りも混じっている。
人はいつ死ぬと思う? みたいな話題を振るべきだろうか。でもいつかは皆死ぬ。
「今カウントいくつ? あっ……ごめん、あと寿命いくつ?」
デリケートな問題だ、これ以上言い間違えないように気を付けないと。
「言い直さなくていいぴょん!!!! あ、あれぴょん……?」
なんか止まった、まさか。
「月のまま死んでいる……! また俺は守れなかったんだ……くそっ!」
「生きてるぴょん!!!! カウントも止まったぴょん!!」
緊張から解放された安堵で、顔の力が抜けていっているウサ公。
「っち」
今きたねぇ花火とお月見の予定を立てていたのに全てが狂ってしまった、誰か爆発しろよ。
「ひどいぴょん!!! 地球のレビューに☆1を付けてやるぴょんからなぴょん!!!!!」
惑星レビューなんて在るのか。
「☆5どこ? 水星だと同姓婚できるから人気そう」
「月ぴょん」
「え? 独裁餅政治惑星が?」
しゃがんで口元に手じゃなくてウサ耳を当てて小声でヒソヒソ話しかけてくる。
「ここだけの話、☆5以外のレビューは全て消してるぴょんよ……!」
そんなネット通販、ごほんごほん、ソシャゲ会社、ごほっ!ごほっ!全く例えが思いつかない方法をやっていたなんて!!!!
「すげえな輝夜」
「目的が出来たぴょん!」
また立ち上がり生き生きと宣言し出した、もうスクワットだろ。
「がんがれ」
内容は知らないが人の背中は押せる無責任な人間性。
「☆1惑星民も協力しろぴょん」
差別用語だ。
「☆1の手を借りて恥ずかしくないのか?」
「なんでついさっき聞いたシステムで煽れるぴょん!?」
「地球人はな、自分に甘く人に厳しいのさ……」
「ひ、人によるぴょんよ……なんで私が地球人を庇ってるぴょん……?」
「少なくとも俺はそう在りたい!!」
「あるなぴょん、一回決意表明を言わせろぴょん」
「どうせ人参とかだろ?」
「舐めるなぴょん!!! 仲間を月から救うぴょん!!!! あと人参は人参で欲しいぴょん!!」
「どっちか言えば?」
「に、仲間ぴょん。愚問ぴょんね」
フンスと、さも当然だという姿勢に感動した。俺も手伝おう、その宇宙戦争を。
「じゃあ仲間を救えたら、ご褒美に人参で乾杯しようぜ」
そう言った瞬間、急に地面に倒れたウサ吉。
「……うっ! 人参エネルギーが無いと、これ以上活動できないぴょん……!」
ベータカロテン不足か。視力の維持やアンチエイジングなど、人参は美容と健康効果が高いからと納得していない。
「絶対に今作ったよね? 月は餅だけって言ってたじゃねえか、みんな兎は月で止まってんのか!!!! イースター
「……猿のくせに生意気ぴょん」
ボソッと地面に倒れながら言ったのをしっかり聞き取った、もしかしたらこの種族は支配されたままの方がいいかもしれない。
「あーあ!! 言っちゃったよ!!! このコスおばがよ!!!!!」
「可愛い見た目に騙されてるぴょんけどぴょん、私はケンカ強いぴょんよ?」
立ち上がってファイティングポーズを取り始めるウサしぐれ。
「女子中学生みたいなイキり方やめろ」
──それでは聞いてください。
あれは中学生になったばかりのまだ桜が残っている季節だった。
【兎65536】
片耳は餅つきで巻き込まれ潰されて餅にされた、痛みが薬の影響で鈍いせいで千切れてるのに気づいたのは半年後だった。
片目は白いガーゼ、数ヶ月まばたきを忘れていて失明した。
ストレスで色素が抜けたような病的な白髪。
過酷な労働と睡眠制限によりガンギマリな目つき。
兎65536は動画サイトとテレビばかり見ているのでかなり俗世に染まりきっている。
特に暴力的なお笑い番組が好きで、理由は猿同士が殴り合って罵り合っているを見て自分が上位存在だと再認識できるから。