「違う……信じてくれ!!」
喉が裂ける。
「本当に正当防衛なんだ!!俺は何も悪いことをしてない!!」
息が荒い。
胸が痛い。
「そもそも館長を殴る動機がないじゃないか!!」
(頼む……通ってくれ……)
だが――
「そんなこと分からない」
一刀両断。
(……だよな)
「高木君、カイジの持ち物を調べてくれ」
「はい……」
(終わった……)
(ここからは……地獄の証拠ラッシュ……)
ポケットに手が入る。
ゴソ……
そして――
「ポケットから白い粉が複数でてきました……」
ざわ……ざわ……
(……あ)
(やべえ)
(麻薬……)
「しかもこれ麻薬です」
――ざわあああああああああああ
「何ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
目暮警部、怒号。
「カイジお前!!!!麻薬がバレて館長を殺したな……」
(え?)
(え?え?え?)
(待て待て待て……)
(話が……一気に飛んだ……!!)
(でも……)
(殴ったのは事実……)
(麻薬持ってるのも事実……)
(……詰んでる……)
(どう見ても犯人じゃねえか……!!)
「警部……取り調べのあの話を聞いた方が……」
(……来る)
(あれ……来るぞ……)
「そうだ」
警部が低く言う。
「お前昨日図書館で、行方不明になった職員と揉めてたらしいな」
(あああああああああああああ)
「図書館で本を枕にして寝ていたのを起こして」
(やめろ……)
(それ以上……言うな……)
(頼む……)
でも止まらない。
(60人……)
(60分の1……)
(引いたのかよ……)
(よりによって……)
(俺が突き飛ばしたやつが……被害者……!?)
頭がぐにゃる。
「そして」
トドメ。
「エレベーターにあった死体のスーツにお前の手形があった」
(……終わった)
「つまり」
警部の声が冷たく響く。
「被害者を突き飛ばし殺害、エレベーターに隠した」
(違う……!!)
「館長にこの件、あるいは麻薬がバレて口封じで殺害……」
(違う違う違う……!!)
「状況や証言を総合するとこうなる……」
一歩、近づく。
「なぁカイジ……」
目が合う。
「前は証言だけだったが今回は違う」
指を折るように――
「スーツに付着しているお前の手形」
(やめろ……)
「口論していた証言複数」
(やめろ……!!)
「鉄パイプの指紋」
(違う……!!)
「麻薬を所有していた事実」
(それは……!!)
「そして本人の殴った自白」
(くそっ……!!)
「返り血」
(……全部……揃ってる……)
「証拠が揃いすぎている……」
静寂。
「これでもお前じゃないと言えるのか」
――ざわあああああああああああああ
(うあああああああああああああああああああ)
(なんだよこれ……)
(どう見ても……俺が犯人じゃねえか……!!)
(完全に……詰み……)
(無理だろこんなの……)
(ひっくり返せるわけが……)
……いや。
(……待て)
(まだだ……)
(まだ……終わってねえ……)
視線を横へ。
コナン。
静かに考えている。
(いる……)
(こうちゃんの意思を継いだガキ……)
(あいつなら……)
(いや違う……)
(今回は……)
(“俺とコナン”でやるんだ……!!)
ギリッ……
歯を食いしばる。
(絶対に……覆す……)
(この絶望……ひっくり返す……!!)
カイジ――
完全敗北の盤面から、“最後の勝負”へと踏み込む……!!
(カイジさん……あなたなら気付けるはず……)
耳に入る。
コナンの“心の声”。
(なぜ館長の手袋のことを言わないんだ……)
(初歩的なこと……)
(……あ)
(手袋……)
(そうだ……!!)
脳が――
一気に繋がる。
(俺……何やってた……)
(完全に……飲まれてた……)
恐怖。
焦り。
罪の構図。
(思考……止まってた……!!)
「ねえ、目暮警部」
コナンが口を開く。
「目暮警部っていつも白い手袋をしているよね?」
(ナイス……こうちゃんの教育……!!)
「警部!!」
俺は叫ぶ。
「館長は手袋をしていた!!」
ざわ……
「理由は本を扱うからというのもありますが……」
(繋げろ……ここだ……!!)
「麻薬を隠してたのは館長で、俺はその証拠を掴んで没収しただけなんです!!」
(押し切れ……!!)
「むしろ麻薬関係で証拠残さないために手袋をしていたんですよ!!」
沈黙。
「むっ……」
警部、考える。
(効いた……!!)
「分かった。高木!!!!すぐに病院に連絡して確認を」
「はい!!」
(繋がった……)
(まだ戦える……!!)
その瞬間――
コナンがそっと手を握る。
(カイジさん、落ち着いて大丈夫。俺がサポートする)
(……くそ)
(小学生に支えられてる……)
(情けねえ……けど……)
(ありがてえ……!!)
ギリッ……
(負けるかよ……)
(ここで折れたら終わりだ……!!)
「そもそも……」
息を整える。
「殺された被害者の情報をくれ」
「じゃあ僕から……」
高木刑事。
「被害者は前頭部に打撲痕があり、スーツにはカイジさんの手形で3つの指紋がありました」
(3つ……?)
(全部じゃねえ……?)
(なんで……)
(……ん?)
(なぜかべったりじゃなくて一部が消えているんだよなぁ……)
――それだ!!!
「おい待て!!」
「3つの指紋はどういうことだ!?」
「それはだな……」
警部が説明する。
「手形の上から何か布のようなもので消されている」
(……やっぱり)
「ワシはお前が上から消した。だが雑だったため全部が消えなかったと考えている」
(違う……)
(それじゃねえ……)
「あれれ、おかしいな?」
コナン。
(来た……!!)
「どうしたコナン君」
「カイジさんは真正面から押した、それで頭を打って死亡だよね?」
「ああ」
「前頭部が怪我っておかしくない?」
――ざわああああああああ
(そうだ……!!)
(そこだ!!)
「そうだよ!!」
俺は一気に畳みかける。
「俺は押しただけ!!」
(ここまでは事実……)
「寝てたのを起こされてムカついて押した!!でもそれだけ!!」
(やべえ……余計なこと言った……!!)
「その後、犯人の館長が……」
(押し切れ……!!)
「手袋をつけているから俺の手形の上から押して殺したんだ!!」
(……あ)
(やっちまった……)
空気が止まる。
(いや……今の……)
(無理あるだろ……!!)
「カイジさんそれおかしくないですか?」
高木。
(来たあああああああ)
「だとしても前頭部は怪我しません。その場合後頭部ですよね」
「確かに……どうなんだカイジ」
(終わった……)
(館長は物理で押したが俺は言葉で押しすぎた……)
(心の声なしだと……推理ボロボロ……!!)
(くそ……!!)
(でも……まだだ……)
横を見る。
コナン。
(……頼む)
(まだ……終わらせるな……)
カイジ――
“突破口を掴みながらも自滅しかける”綱渡りの極限状態へ……!!
「待て待て待て!!」
(止めろ……流れを……!!)
「そういうことじゃない……!!」
「どういうことだ?」
(……来る)
(ここで止めないと……完全に終わる……)
頭が回らない。
でも止まれない。
(考えるな……)
(ここは……ハッタリだ……!!)
「押して倒れたところを――鉄パイプで殴ったんだ」
ざわ……
ざわ……
(……言った)
(もう戻れねえ……)
(でも……これしかねえ……!!)
(凶器が確定してない以上……ありえるのは鉄パイプ……)
(賭けだ……!!)
「鉄パイプが死因かも知れません」
高木刑事。
(来た……!!)
「鉄パイプにはカイジさんの指紋とお伝えしましたが……血液は2種類です……」
(……!!)
(それを……早く言えよ……!!)
「今すぐ、被害者の血液と照合するように伝えます」
(繋がった……!!)
(まだ……生きてる……!!)
(この線で押し切れる……!!)
だが――
横。
コナンの気配。
(いや……この一手はハイリスクハイリターン……)
(場合によっては……自分の首を絞める)
(……分かってる)
(でも……引けねえんだよ……!!)
「つまり……」
目暮警部が口を開く。
(やめろ……)
(その先は……)
「鉄パイプを使った人間が被害者と館長を殴った……」
ざわ……
「そして鉄パイプにはカイジの指紋だけ……」
――ざわああああああああああああ
(……あ)
(そうなるよな……)
(そうなるに決まってる……)
(俺が……持ってた……)
(俺が……殴った……)
(全部……俺に集まる……)
(やべえ……)
(これ……一歩間違えたら……)
(完全に“俺が二人殴った犯人”になる……!!)
喉が渇く。
(いや……違う……)
(まだだ……)
(ここで終わりじゃねえ……!!)
(館長の指紋……)
(それを引き出せれば……)
(逆転……!!)
(これは……)
(“ハイリスクハイリターン”……!!)
(でも……勝負するしかねえ……!!)
そのとき――
高木刑事の無線。
「……はい……」
(来る……)
(結果……来るぞ……!!)
心臓が跳ねる。
(頼む……)
(ここで……決まる……!!)
カイジ――
“自ら首を差し出す賭け”に踏み込み、運命の結果を待つ……!!
「警部!!」
高木の声。
(来た……結果……!!)
「館長さんは目を覚ましました!!」
(……!!)
「あと手袋していませんでした!!」
――ざわあああああああああああああ
(……は?)
(待て……)
(今なんて言った……?)
「さらに……麻薬をいじるカイジさんを発見したら鉄パイプで襲われたと証言しています」
――ざわあああああああああああああああああ
(えええええええええええええええええええええ)
頭が真っ白。
崩れる。
「なにぃぃぃぃ!!」
コナンの叫びすら遠い。
(おかしい……)
(おかしいおかしいおかしい……!!)
「いやおかしいだろ!!」
俺は叫ぶ。
「俺は確かに館長に殴られた!!」
(感じた……あの衝撃……!!)
「だから手袋していたはずなんだ!!」
「しかしだな」
警部、冷静。
「実際に運び込まれた館長は、複数の医者・看護師の証言で手袋はしていなかったと言っている」
(……終わった)
(完全に……終わった……)
「カイジ!!!!」
警部の怒声。
「お前!!!!」
(来る……)
「手袋していないで、お前の指紋しかないなら――」
(言うな……)
「お前がやったことになるじゃないか!!」
(やめろ……)
「どうなんだ!!」
――静寂
(……どうもこうも……)
(詰みだろ……こんなの……)
(証言……)
(物証……)
(全部……俺……)
(誰がどう見ても……犯人……)
(……はは)
(笑えねえ……)
だが――
(いや……)
(違う……)
(ここで終わるか……?)
(俺は……)
(今まで何度も……)
(“詰み”から這い上がってきた……!!)
ギリッ……
歯を食いしばる。
「どうもこうも……」
ゆっくり顔を上げる。
「つーかここで話してても仕方ねえ」
(逃げるな……)
(向き合え……)
「つーか館長と話をさせてくれ」
ざわ……
(そうだ……)
(俺の土俵……)
(心の声……)
(“タイマン”……!!)
「俺が得意なのはタイマンだ……」
(証拠じゃねえ……)
(人間だ……)
「病院へ連れて行ってくれ」
一歩踏み出す。
「連れていかないなら――」
鉄パイプを見る。
(やるしかねえ……)
「今からこれで自分の頭殴って強制的に行くけどよ」
――ざわあああああああああああああ
(狂ってる……)
(でも……)
(これしかねえ……!!)
「……分かった」
警部が低く言う。
「そうしよう」
(よし……!!)
(まだ終わってねえ……!!)
(館長……)
(お前の“心”……全部暴いてやる……!!)
カイジ――
完全敗北から“最終決戦・タイマン尋問”へと突入する……!!
病院――
消毒液の匂い。
静まり返った廊下。
そして、部屋の中。
ベッドの上で上半身を起こす館長。
その周りに――
俺、目暮警部、高木刑事、少年探偵団。
(最終局面……)
(ここで決まる……)
空気が重い。
(もう……逃げ場はねえ)
(館長か……俺か……)
(どっちが犯人か……)
(全員……答えを待ってる……)
「この野郎!!!!」
俺は叫ぶ。
「嘘をつきまくりやがって!!」
(ぶっ壊してやる……)
(このクソみたいな流れ……!!)
「落ち着けカイジ」
警部。
(……そうだ)
(感情で動くな……)
(重要なのは一つ……)
(手袋……!!)
(あれさえ証明できれば……)
(全部ひっくり返る……!!)
「なぁ……」
ゆっくり、館長を見る。
「あんたは、手袋をしていたよな」
(言え……)
「歩美ちゃんを襲ったとき」
「していないし、襲っていない」
(……)
(来た)
(心の声……)
(手袋は争点になるから処分した……)
(……やっぱりな)
(処分は確定……)
(問題は……どこだ……)
「嘘だ……」
一歩踏み込む。
「お前は手袋が争点になると考えて――」
(組み立てろ……)
「病院に運ばれる途中に外した……」
ざわ……
「おそらく気絶を装ってな……」
(ここだ……!!)
「気絶した振りをしていれば、誰も手袋を外したとは思わない」
沈黙。
「知らないな」
館長、即答。
「そしたら救急隊員に確認してもいいんだ」
(……来るか?)
(崩れるか?)
(それとも……)
(なるほどなるほどそう推理するが違うんだな……)
(……!?)
(違う……?)
「いいぜ、するさ」
(やってやる……!!)
だが――
「運び込まれる時点でしていなかったという報告があった……」
――ざわあああああああああ
(……は?)
(どういうことだ……?)
(じゃあ……いつ外した……?)
「最初からしていなかったんだ」
館長が言う。
「指紋はカイジのだけ」
(……)
「そして血痕も2種類……」
(……)
「つまり、お前がやったんだ」
――ざわああああああああああああ
「え?そうなの?」
「そうですよね、警部さん」
「その通りです」
(……違う)
(何か……おかしい……)
(今の流れ……)
(妙に……スムーズすぎる……)
「おい!おい!おい!」
俺は割り込む。
「おかしいだろ?」
「え?」
(ここだ……)
(違和感……)
「なんで俺の指紋だけって知ってるんだよ?」
――静寂
(来い……)
(引っかかれ……)
「しかも血痕も2種類だなんて……」
(踏み込め……!!)
「お前が犯人だから知ってるんだろ」
――ざわあああああああああああああ
(決まった……!!)
横でコナンの気配。
(カイジさん……上手い……)
(わざととぼけて、犯人しかしらない情報を引き出した……)
(詰みの一手……!!)
(ちっ……失言したか……)
(来た……!!)
(心が揺れた……!!)
だが――
館長、崩れない。
(……なに?)
(普通ここで崩れるだろ……)
(なんだこのジジイ……)
(いや……違う……)
(経験……)
(場数……!!)
「いや、推理できる」
館長、冷静。
「被害者の彼は前頭部を殴打された跡、わしもそうだ」
(……)
「人を殺そうとするなら使い勝手のいい武器を使う」
(……)
「二つの事件は同一人物と考えた」
(論理で来た……!!)
「なら二つの血痕であんたの指紋だけというのは当然の推理」
(くそ……!!)
「そもそも指紋はカイジ、お前のだけだ」
(押し返された……!!)
「どう見てもお前が犯人だろ」
――ざわあああああああああああああ
(……やべえ)
(このジジイ……)
(ただの犯人じゃねえ……)
(“戦える犯人”……!!)
(しかも……)
(俺のハッタリを……論理で潰してきやがる……!!)
(くそ……!!)
(でも……)
(まだだ……)
(まだ……終わってねえ……)
(手袋……)
(あれが……まだ残ってる……!!)
カイジ――
“経験で押し返す老獪な犯人”との最終頭脳戦へ突入する……!!
くそ……決まったと思ったんだが……!
心の中で歯ぎしり……だが――
次の瞬間、館長の目が細くなる。
(ふん、ここで奴の心を折る)
来た……嫌な流れ……!
「そもそもカイジ君、君の職業はなんだ?ちゃんと働いているのか?」
「は?今それ関係ないだろ?」
即座に返す……が、内心はざわ……ざわ……
分かってる……これはただの質問じゃない……人格を崩す攻撃……!
「関係大ありだ。答えないのか?まあいい。わしは小中高と勉強をし続けて、帝都大学に入学した、そして公務員試験に合格をしてから地方行政に携わり、図書館の館長までなった……私の年収は1053万円です」
ざわざわ……
4桁……!異次元……!
「何がいいたい?」
「わしは金も地位もある。ゆえに麻薬を売ったり、人を殺すというのはリスクが高くそのような行動は選ばない……また60年生きているが一度も警察のお世話になったことがない……そうですよね?目暮警部」
「……ああ。もちろん調べたが、何も起こしていないどころか勤務態度は満点。60年間無遅刻無欠席、人事評価も優秀……」
ざわざわ……
空気が変わる……!
一気に傾く天秤……
善人――館長
クズ――カイジ
「だから聞いた……例えば、金に困っている人間が生活苦を理由に、麻薬の売買をし、それが見つかったから殺害……捕まっても牢屋で衣食住を確保……そんな考えだろう。でだ?君は職業は一体何で、警察のお世話になったことがあるのか?」
ぐっ……!
「俺はフードデリバリーをしている。警察のお世話にもなっている」
「で、金には困ってないか?」
「それは……」
詰まる……言葉……!
なんなんだよこれ……!
なんで今、俺の人生の話になってる……!
だが――理解してしまう。
これは推理じゃない。
印象操作……!
「金はない……だから最近この図書館を家代わりに寝に来ていたんじゃろう。図書館はお金がないけど時間がある大人は結構来ているし見てきている。そしてそのような人間がトラブルを起こし逮捕……この60年の間で何度見てきたことか……警部さんも何度かありましたよね?」
「そうですね。図書館を寝場所にしていた人間で金に困って強盗や誘拐、万引き……その数50人以上は……」
ざわざわ……
やめろ……
やめろやめろやめろ……!
全部……当てはまってる……!
金がない
図書館に入り浸る
警察沙汰
トラブル体質
俺じゃねえか……!
対してあっちは――
エリート
無欠勤
高収入
無犯罪歴
天と地……!
ぐにゃあああああああああ……
世界が歪む……!
俺は……
バイトすら続かない……
めんどくさくなってバックレ……
パチンコの休憩室で時間潰し……
金がないから揉める……!
クズ……完全にクズ……!
このままだと――
「だからカイジがやった」になる……!
論理じゃない……
雰囲気で殺される……!
ざわ……ざわ……
そのとき――
手が……温かい。
右――コナン
左――歩美ちゃん
お前ら……!
(カイジさん……ちゃんと就職できるのかな)
(カイジさん……もっと働こう)
え、そこ!?
事件じゃなくて人生!?
でも――
その心配が……妙に刺さる……
笑えねえ……でも……
伝わる……
こいつら……
本気で俺のこと心配してる……!
……くそ
かっこわりいな、俺……
でも――
こんなガキに心配されて終わるかよ……!
ざわ……ざわ……
まだ終わってねえ……!
勝負はここからだ……!
ざわ……ざわ……
違う……違う違う違う……!
今のは推理じゃねえ……人格否定で流れを持っていこうとしてるだけだ……!
そうだ……ここで折れたら終わり……
館長の狙いはただ一つ――話を逸らすこと……!
俺の生き方なんてどうでもいい……!
重要なのは一つ……
手袋をどこに隠したか……そして、いつ外したか……!
――そこだけだ……!
「……ああ……」
一度、息を吐く……
震える声を押さえ込む……!
「俺はクズの人生を歩んできた……!」
ざわ……ざわ……
自分で言う……あえて言う……!
逃げない……ここで逃げたら全部終わる……!
「でもな……今はな……全うに生きている!!!!」
腹の底から絞り出す……!
「救急隊が来た時には手袋をしてなかったんだったら――」
ここだ……核心……!
「あんたは俺に殴られたあとに外した……それしかない……!」
ざわ……ざわ……
「つまり、手袋が争点になると考えて気絶した振りをして手袋を外したんだ……!」
頭の中で繋がる……点と点……!
「そういえば部屋は暗かった……気付けない……!」
――静寂。
そして――
(ちっ……。見破られたか……そうさ、殴られて手袋さえ隠せばわしの勝ち……現場にいたら、処分できない……だから気絶して現場から消えた……館長になるにはピンチすらもチャンスに変える機転のよさが必要)
……来た……!
心の声……!
核心……確信……!
ざわ……ざわ……
よし……!前進……!
確実に一歩踏み込んだ……!
だが――
「面白いそういう考えもあるが、証拠はない。証拠がないならやったやってないのいたちごっこ」
ぐっ……!
来るよな……そこ……!
結局そこに戻る……証拠……!
「そうだな……」
でも引かない……!
「じゃあ証拠は探せばいい」
一歩踏み出す……
睨みつける……!
「どこに処分したんだ?」
館長の目がわずかに揺れる……!
「現場にはなかった……つまりあんたはポケットかなんかに入れた手袋を――」
ここから先……
勝負の分岐点……!
「病院で処分した」
(ちっ……)
その一瞬の舌打ち……
見逃さねえ……!
ざわ……ざわ……
来てる……追い詰めてる……!
あとは――場所……!
考えろ……考えろ……考えろ……!
病院……
処分……
短時間……
バレない……
この部屋?
違う……すぐ見つかる……!
ゴミ箱?
いや、回収される……!
ポケットに入れたまま?
論外……!
……待て
水で流せるもの……
トイレ……!
――そこだ……!
ざわ……ざわ……
繋がった……!
あと一手……
あと一手で――ひっくり返る……!
ざわ……ざわ……
来た……全部、繋がった……!
逃げ道はねえ……あとは叩き潰すだけ……!
「……あんた、トイレ行ったよな?」
静かに、だが確実に刺す……
逃がさない問い……!
「ああ」
――肯定。
その一言で十分だ……!
「トイレに流した……というか、それしかない!!!!」
一気に踏み込む――!!
(くっっっっ……)
来た……来た来た来た来た……!!
この反応……確信……!
ざわ……ざわ……
「トイレを調べてくれ!!!!」
吠える――!!
この場の空気ごと支配するように……!
「切り刻んで捨てている!!!!」
止まらない……止めない……!
今ここで黙ったら終わる……!
「その手袋が発見されたら――」
指を突きつける……館長へ……そして警部へ……!
「同じものを用意してスーツの布の痕と照合しろ!!!!」
畳みかける……!
一切の間を与えない……!
「それが一致したら――もう言い逃れはできねえ!!!!」
ざわ……ざわ……
まだだ……まだ終わりじゃねえ……!
「館長の部屋を捜索しろ!!!!」
一歩踏み出す……!
「麻薬の売買をしてるなら証拠があるはずだ!!!!帳簿でも、連絡手段でも、隠し場所でもな!!!!」
頭が冴えていく……
まるで別人みてえに……!
「それと同時に――」
拳を握る……!
「取引場所を割り出して購入者を呼び寄せろ!!!!」
現場を完全に掌握するイメージ……!
「そこで確保して――販売人がこの館長だったか確認しろ!!!!」
――静寂。
俺は……吠えた……!
指示した……!
反撃の隙を一切与えず……叩き込んだ……!
ざわ……ざわ……
そして――
「警部!!!!」
高木の声……!
「切り刻まれた手袋……トイレの排水から発見しました!!!!」
――来た。
決定打……!
ざわ……ざわ……
逃げ場なし……
完全包囲……!
さらに――
病院で処分できた人間は……館長のみ……
証明完了……!
その後は――雪崩のようだった……
館長の部屋から証拠……
麻薬の取引記録……
呼び寄せた購入者……
証言……物証……全部揃う……
――詰み。
館長、崩れる。
ざわ……ざわ……
……終わった。
やっと……終わった……。
***エピローグ***
だが――事件後……
「カイジさん!!!!!!」
「こんな時間まで子供たちを連れ回して!!!!」
「何考えてるのよ!!!!」
――地獄。
少年探偵団の親……
そして蘭……怒号……!
ざわ……ざわ……
ぐっ……耳が痛え……!
でも……
……いい。
不思議と……悪くねえ。
怒鳴られてるのに……
どこか、あったけえ……。
ふと見る――
コナン、歩美、光彦、元太。
……こいつらがいたからだ。
俺は……折れなかった。
追い詰められても……
逃げなかった……。
勇気……もらったんだ。
……ガキに。
ざわ……ざわ……
「……ありがとな」
小さく呟く。
聞こえてねえだろうけど……それでいい。
――怒られるのも、悪くねえ。
なぜなら俺は……
今まで、もっとどうでもいいことで怒られてきたんだからな……!
お前らは心の友 エンド
次回、服部平次登場!!!!
工藤新一VS服部平次VS毛利小五郎VSカイジ
ファイル8:外交官殺人事件
面白いと思っていただけたら、ぜひ評価していただけると嬉しいです!!
評価が高いほど、現在連載中の作品の更新頻度も上がります!
外交官殺人事件は、工藤新一VS服部平次VS毛利小五郎VSカイジの推理勝負!事件を解くのは誰だ!?
-
工藤新一
-
服部平次
-
毛利小五郎
-
伊藤カイジ
-
毛利蘭