心読みの逆転探偵録 カイジVS名探偵コナン   作:梅酒24

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ファイル3:アリバイ証言殺人事件 後編

――ざわ……ざわ……

 

「今回の推理は非常にシンプル。部外者の痕跡は俺とカイジの2人。俺は当然殺していないからカイジがやった」

 

――来た。

 

一直線……!

 

余計な枝葉なし、一直線に“俺犯人”へと収束する推理……!

 

「カイジは防犯カメラがあるのを知りつつ、不倫相手の彼女を殺した。動機は恋愛のもつれ。あるいはだいぶ金使い込んだんだよな?彼女と遊んで10回中何回奢って貰ったんだ?」

 

ざわ……ざわ……

 

(くそっ……!)

 

来ると思った……この質問……!

 

これはただの質問じゃねぇ……

布石……!伏線……!詰めの一手……!

 

でも――

 

(嘘はつけねぇ……)

 

ここで見栄張ったり誤魔化したら終わりだ……

こうちゃん相手に嘘は自殺行為……!

 

「……10回だ」

 

ざわ……

 

ざわ……ざわ……

 

「なぁ……男なら奢ってやれよ……」

 

……は?

 

なんだこの話の流れ……?

 

「俺は探偵業で稼ぐけど金ないぜ。なぜかわかるか?」

 

「わからねえよ……」

 

何言ってんだこいつ……

 

「俺は可愛い子に奢っちゃうからね」

 

ニヤッ……

 

「ガハハハハハハハ!!」

 

……うわ。

 

(余裕……!)

 

この状況で笑えるのかよ……!

 

(くそっ……これ……“和ませてから刺す”やつだ……!)

 

「いいだろ俺ニートなんだし」

 

苦し紛れに返す。

 

「よくねーよ、俺はしない。俺が奢る回数の方が多い……」

 

「関係ないだろそんなの個人の勝手だろ!」

 

――言った。

 

「だからだよ……」

 

ピタリと止まる空気。

 

「個人の勝手と言った……それはカイジ、お前の主張……そして俺は違う……」

 

ざわ……

 

ざわ……ざわ……

 

「そういう価値観のずれで殺人は起きるんだ……」

 

――来た……!

 

本題……!

 

「いつも奢っていたら相手はいらだつ、そして注意した……お前は個人の勝手だろと言って殺した……こういう考えもできる……」

 

一歩、詰めてくる。

 

「だから関係ないどころか……大ありなんだよ」

 

……圧。

 

圧がやばい……!

 

空気ごと押し潰される感覚……!

 

「確かに毛利君の言う通りだ……さすがは名探偵……」

 

――周りも完全に乗った。

 

(くそおおおおお……!!)

 

たった一つの質問……

 

「何回奢ってもらった?」

 

そこからここまで展開するのかよ……!

 

(天才……!)

 

(いや……怪物……!)

 

だが――

 

ふと、違和感。

 

(……あれ?)

 

心の声が、ない。

 

普通なら――

 

(ここでこう言えばいい)

(次はこう詰める)

 

そういう思考が流れてくるはずなのに……

 

無音。

 

(なんでだ……?)

 

まさか……

 

(何も……考えてない……?)

 

いやいやいや……!

 

ありえねぇ……!

 

目の前にいるのは名探偵だぞ!?

 

そんな適当な思いつきでここまで詰めれるか!?

 

(でも……)

 

“考えている気配”がない。

 

(じゃあなんだ……?)

 

その時――

 

脳裏に閃く。

 

(将棋……)

 

昔聞いた話……

 

トッププロ――

羽生善治

藤井聡太

 

あのレベルになると――

 

格下相手には“考えずに勝てる”

 

(……まさか……)

 

(こうちゃん……)

 

俺相手に“考える必要がない”……?

 

ぞわっ……

 

全身に寒気。

 

(ノータイム……)

 

(思考すら必要ないレベルで……)

 

(俺を詰めてきてる……!)

 

つまり――

 

(俺は……)

 

赤子同然……!

 

ざわ……ざわ……

 

(くそっ……!)

 

(差が……デカすぎる……!)

 

だが――

 

それでも。

 

(それでも……!)

 

歯を食いしばる。

 

(ここで折れたら終わりだ……!)

 

相手が化け物でも関係ねぇ……!

 

(喰らいつく……!)

 

(一手でも……崩す……!)

 

――ざわ……ざわ……

 

逆転の一手を……探せ……!

 

――ざわ……ざわ……

 

目の前にいる男。

 

笑ってる。

余裕。

力みゼロ。

 

それでいて――

 

俺を完全に追い詰めている。

 

(まごうことなき怪物……!)

 

この状況で――

思考0での口撃。

 

いや……違う。

 

0に“見える”だけ。

 

(適当に喋ってるように見せるのも上手い……!)

 

普通の探偵ならこうだ。

 

情報を集める。

整理する。

並べる。

組み合わせる。

 

そして――

パズルを完成させてから詰める。

 

だが、こうちゃんは違う。

 

その過程が、見えねぇ。

 

(なんだよこれ……)

 

(工程がすっ飛んでやがる……!)

 

いや――違う。

 

(俺相手には……その工程すら不要……!)

 

ぞわっ……

 

(舐められてる……!)

 

でも、それが成立してるのが恐ろしい。

 

普通ありえるか……?

 

何も考えないで喋る探偵なんて……!

 

(いや……違う……)

 

考える必要がないレベル。

 

頭の中で電撃が走る。

 

(こいつ……全部“見えてる”んだ……!)

 

だから――

 

整理も、並べも、組み合わせもいらねぇ。

 

最初から“答えの形”が見えてる。

 

(化け物……!)

 

(天才……!)

 

そりゃそうだ……

 

これが“名探偵”。

 

(……納得した……)

 

さらに恐ろしいのはそこじゃねぇ。

 

(コミュ力……!)

 

普通の優秀な探偵は――

 

理屈屋。

偏屈。

人付き合いが苦手。

 

だから情報収集に苦戦する。

 

だが、こいつは違う。

 

酒を飲む。

笑う。

くだらねぇ話もする。

 

俺みたいなクズとも――

自然に会話を合わせる。

 

(隙だらけに見える……)

 

(でもそれが“武器”……!)

 

油断させる。

 

警戒を解く。

 

本音を引き出す。

 

(完璧だ……)

 

理屈もある。

人間味もある。

直感もある。

 

そして――

 

全部が高水準。

 

(あえて……そのキャラを作ってる……?)

 

だとしたら――

 

(神……!)

 

そりゃ有名になるわけだ……

 

納得だ……完全に……

 

ざわ……ざわ……

 

だが――

 

不思議と。

 

(……冷えてきた……)

 

さっきまでの焦りが――

少しずつ消えていく。

 

(そうか……)

 

ここまで差があるなら――

 

逆に開き直れる。

 

中途半端に強い相手じゃない。

小細工が通じる相手でもない。

 

なら――

 

(やることは一つ……)

 

一点突破。

 

どこかにあるはずだ……

 

どんな天才でも――

 

“見落とし”が。

 

ざわ……ざわ……

 

(こうちゃん……)

 

(お前が神でも……)

 

崩す……!

 

(ここからが勝負だ……!)

 

――ざわ……ざわ……

 

(神だとしても……)

 

(おかしい点はある……!)

 

頭の中で、さっきまでの流れを反芻する。

 

こうちゃんの推理。

交友関係の把握。

“怪しい人物はいない”という断言。

 

(……いや、待て……)

 

時間。

 

(急に呼ばれたんだぞ……?)

 

(俺と警部が連絡して……せいぜい30分……)

 

その間に――

 

・交友関係を洗う

・恨みの有無を確認

・関係者を絞る

 

(無理だろ……!)

 

普通に考えれば一日じゃ足りねぇ……

いや、数日かかってもおかしくねぇ作業……

 

(なのに……“終わってる”……?)

 

――電撃。

 

(そこだ……!!)

 

「こうちゃんおかしいだろ?」

 

踏み込む。

 

「何がだ?」

 

いつも通りの顔。

 

だが――

 

「なんで30分程度で身辺調査できているんだよ」

 

一歩、詰める。

 

「他に怪しい奴がいないって言えるんだよ?職場や近所、昔の友人……色々な人に聞いて話を集める……無理だろ……そんなこと」

 

ざわ……

 

ざわ……ざわ……

 

(いける……!)

 

(これは……さすがに無理筋じゃねぇ……!)

 

(神でも無理だ……!)

 

沈黙――

 

「ナハハハハ」

 

笑った。

 

「名探偵だからね」

 

……くっ……!!

 

(その一言で全部流すのかよ……!)

 

(だが……)

 

その瞬間。

 

聞こえた。

 

(守秘義務……言えるわけない)

 

――来た。

 

(聞こえた……!)

 

(こうちゃんの……心の声……!)

 

初めてだ。

 

この事件で初めて――

“中身”が漏れた。

 

(守秘義務……?)

 

(ってことは……)

 

(公にできない情報を持ってる……!)

 

――繋がる。

 

(そういえば……)

 

(警部……言ってた……)

 

“関係者”

 

(そうだ……!)

 

一気に視界が開ける。

 

「なぁ……」

 

声を低くする。

 

「目暮警部はこうちゃんを関係者と言っていた……どういうことだ?」

 

ざわ……ざわ……

 

一瞬。

 

こうちゃんの視線が、警部に向く。

 

「警部殿……困りますよ……そんなことを」

 

(え……警部殿言っちゃったの?)

 

ざわ……ざわ……

 

(来た……!)

 

(今……“考えた”……!)

 

さっきまでのノータイムじゃねぇ。

 

一瞬の間。

 

(効いてる……!)

 

「そもそもだ……」

 

さらに踏み込む。

 

「なんでこうちゃんがここの家に入っていたんだ?」

 

ざわ……

 

ざわ……ざわ……

 

空気が揺れる。

 

明らかに――

 

変わった。

 

(今までの流れと違う……!)

 

(押せてる……!)

 

名探偵相手に――

 

初めて“引っかかり”を作った……!

 

(いける……!)

 

(崩せる……!)

 

心臓がバクバク鳴る。

 

だが今は――

 

恐怖じゃねぇ。

 

興奮……!

 

(こうちゃん……)

 

(お前にも……隠してることがある……!)

 

ざわ……ざわ……

 

――逆転の糸口、掴んだ……!

 

ざわ……ざわ……

 

――来てる……流れ……

完全に……ツキが来てやがる……!

 

ギャンブルなら今……

バカヅキ状態……!

 

ここで押さなきゃ……嘘だろ……!

勝負師失格……!

 

こうちゃん――毛利小五郎……

確かに化け物……天才……

人間の中じゃ頂点クラス……!

 

だが……!

 

ざわ……ざわ……

 

所詮は人間……!

 

俺は違う……!

心が読める……チート……!

神の領域……!

 

――神はどっちだ……?

 

決まってる……

俺だ……!カイジ神……!!

 

いける……!

根拠はねえ……だがいける気がする……!

 

この感覚……

倍プッシュの時と同じ……!

 

押せ……!

押せ押せ押せ押せ……!!

 

満員電車に客を押し込む駅員みたいに……

無理やりでも……ねじ込め……!

 

「なあこうちゃん!!」

 

声が出る……!

震えてねえ……むしろ乗ってる……!

 

「おかしいだろ!!

なんで警察より先に部屋に入ってんだよ!!

事件の関係者なんだろ!!」

 

ざわ……ざわ……

 

一瞬の沈黙……

 

――効いた……!

 

「……見抜かれたか」

 

きた……!

 

来た来た来た来た……!!

 

流れ……完全に変わった……!!

 

「まぁいい。話す」

 

――告白……!

 

勝ち筋……見えてきた……!

 

「俺はな、夫の巽弁護士に依頼されて調査をしていた。

だから身辺調査も終わっていた……

これは警部殿にも話している」

 

ざわ……

 

ざわ……

 

「そして――

死体の第一発見者は、その巽弁護士だ」

 

――!

 

ざわざわざわざわ……

 

……は?

 

第一発見者……?

 

俺の脳が一瞬止まる……

 

――今さら……?

 

いや……違う……

 

今まで……

一度も考えてなかった……!

 

ぐにゃああああ……

 

俺……バカすぎる……!

 

死体があって事件が始まるなら……

当然いるだろ……!

 

最初に見つけたやつ……!!

 

それを今まで……完全スルー……!

 

――終わってる……!

 

俺……やっぱり……大バカ者……!

 

ざわ……ざわ……

 

だが……!

 

止まるな……!

今は反省してる場合じゃねえ……!

 

むしろ――

 

ここが核心……!

 

「どういうことだ……?」

 

あえて聞く……!

バカのフリ……!

 

いや……フリじゃねえ……

ガチで分かってねえから自然体……!

 

これが俺の武器……!

 

こうちゃんが続ける……

 

「ああ……巽弁護士はな、奥さんが浮気してるんじゃないかって疑ってた……

それで1週間、俺に調査させてたんだ」

 

――ざわ……ざわ……

 

「そしてその相手が――」

 

一拍……

 

「カイジ……お前だ」

 

ざわあああああああ……

 

――終わった……!

 

俺の中で何かが崩れる……

 

え……バレてた……?

 

全部……?

 

あんなことも……

こんなことも……?

 

頭の中をフラッシュバック……

 

風呂……酒……飯……笑顔……

 

――全部監視されてた……?

 

くそ……くそくそくそ……!

 

最悪だ……!

 

「だから警察より先に俺に連絡が来た……

俺は先に部屋を調べた……

だから痕跡が残ってる」

 

(まぁいいだろ……当事者だしな……

俺はやってない……だから犯人はカイジだが)

 

――聞こえる……

 

こうちゃんの心の声……

 

迷いなし……

 

完全に……俺犯人前提……!

 

ざわ……ざわ……

 

……なるほどな……

 

全部……繋がる……

 

こうちゃんはシロ……

警察も動いてる……

証拠も俺に集中……

 

――なら……

 

残る構図は一つ……

 

ざわ……ざわ……

 

こうちゃんの声――

静か……揺れなし……迷いなし……

 

(非犯人……カイジが犯人……)

 

……分かる……

これは本気の思考……

冗談でもブラフでもねえ……

 

つまり――

こうちゃんはシロ……!

 

ざわ……ざわ……

 

じゃあ……整理だ……

 

この家に出入りした人間……

1週間以内……

 

・巽弁護士

・彼女(被害者:死亡)

・こうちゃん(非犯人)

・俺(非犯人)

 

……終わり……

 

ざわ……

 

ざわ……

 

――え?

 

消去法……

 

消えていく……容疑者……

 

残るのは――

 

一人……!

 

電撃……!

 

「――巽弁護士……!!」

 

心臓が跳ねる……!

脳が焼ける……!

 

そうか……そういうことか……!

 

俺……今までずっと――

犯人の“心の声”に頼ってた……

 

でも違う……!

 

聞かなくてもいい……!

 

排除すればいい……!

削ればいい……!

 

最後に残ったやつが――犯人……!

 

ざわ……ざわ……

 

「はは……なるほどな……」

 

笑いがこみ上げる……

震えじゃねえ……確信の笑い……!

 

――チートの新しい使い方……!

 

確定……!

 

もう迷わねえ……!

 

「なぁこうちゃん……」

 

一歩踏み出す……

全員の視線が刺さる……!

 

「犯人……分かったんだ」

 

「……俺じゃないぞ」

 

「分かってる」

 

即答……!

 

「犯人は――」

 

溜める……

 

ざわ……

 

ざわ……

 

「巽弁護士だ……!!」

 

ざわあああああああああ……

 

空気が揺れる……!

警部の目が見開く……!

 

その瞬間――

 

ガチャ……

 

玄関のドアが開く音……

 

全員が振り向く……

 

そこに立っていたのは――

 

背が高く、スーツを完璧に着こなした男……

髪も整い……隙のない顔……

 

いかにも“できる男”……

 

巽弁護士……

 

「すみません……家主なのに仕事で遅くなりまして」

 

――表の顔……

 

だが……

 

ざわ……ざわ……

 

聞こえる……!

 

(あの浮気野郎……まだ捕まってないのかよ……

俺が殺してやったのに)

 

――来た……!

 

きたきたきたきたきたきた……!!

 

確定……!

完全確定……!!

 

心の声……

犯行の自白……!!

 

もう迷いはねえ……!

 

俺の敵は――

警部でも……こうちゃんでもない……

 

こいつだ……!!

 

巽弁護士……!

 

「……てめえ……」

 

自然と口が開く……

 

怒りか……

それとも勝利の確信か……

 

「よくも俺の女を――」

 

――あ……

 

一瞬、思考が止まる……

 

……違うか……

 

奪ったのは……

 

俺か……?

 

ざわ……ざわ……

 

だが……関係ねえ……!

 

今は……ただ一つ……!

 

こいつを落とす……!!

 

ざわ……ざわ……

 

――確定……!

 

もう揺るがねえ……

犯人は……巽弁護士……!

 

なら後は――

作業……!

 

ギャンブルで言えば……

イカサマがバレた後のディーラー潰し……

勝ち筋が見えてる勝負……!

 

俺は……心が読める……

相手は……嘘をつくしかねえ……!

 

ざわ……ざわ……

 

これ……例えるなら――

レベル100の伝説モンスターと……

レベル5のチワワ……!

 

勝負にならねえ……!

 

――ワンパンだ……!

 

「……なんだその目は」

 

巽が睨む……

冷たい……が……その奥……

 

(やべえ……バレてるか……?いや、まだだ……)

 

――丸見え……!

 

震えてやがる……!

 

「俺の奥さんと浮気した上に……

殺しまでして……」

 

声を荒げる……!

 

「この人間の屑が!!」

 

ざわ……!

 

空気が張り詰める……

 

だが――

 

「ちげーよ」

 

即答……!

 

一歩前に出る……

逃げねえ……!

 

「俺は殺してねえ」

 

(くそ……強気に来やがった……)

 

「そうだよ……俺と奥さんはな……」

 

あえて言う……

刺さる言葉を選んで……!

 

「ラブラブだったんだよ」

 

ざわ……ざわ……

 

「お前とは冷え切ってた……

終わってたんだよ関係は……!」

 

巽の眉がピクリと動く……

 

(黙れ……黙れ黙れ……)

 

効いてる……!

 

さらに押す……!

 

「そして――」

 

間を置く……

 

「殺したのは……」

 

指を突きつける……!

 

「お前だろ……巽!!!!」

 

ざわあああああああ……

 

空気が爆ぜる……!

 

「ふん……」

 

巽が鼻で笑う……

 

だが……

 

(やべえ……完全に核心突かれてる……)

 

――震えてる……!

 

「くだらん……」

 

一歩踏み出す……

今度は奴が距離を詰める……

 

「証拠はあるのか?」

 

鋭い目……

だが中身は――

 

(証拠なんてあるはずねえ……押し切れる……)

 

見えてる……!

 

「証拠……?」

 

俺も笑う……

 

「いらねえよそんなもん」

 

ざわ……

 

ざわ……

 

「は?」

 

巽が一瞬固まる……

 

「お前……」

 

「全部顔に出てんだよ」

 

一言……叩きつける……!

 

「今だってそうだ……

焦ってる……震えてる……」

 

(なに言ってやがるこいつ……!)

 

「図星だからだろ?」

 

「馬鹿なことを……!」

 

声を荒げる巽……

 

だが――

 

(落ち着け……まだだ……まだ押し切れる……)

 

――全部見えてる……!

 

「なぁ……」

 

一歩……さらに詰める……

 

「なんで殺した?」

 

静かに……

だが逃がさねえ声……

 

「浮気がバレたからか?」

 

ピクッ……

 

「それとも……」

 

畳みかける……!

 

「最初から邪魔だったか?

自分の“完璧な人生”にとってよ……!」

 

「黙れえええええ!!!」

 

ついに爆発……!

 

ざわあああああ……

 

「貴様みたいな底辺が!!

俺の何を知っている!!」

 

(なんでだ……なんでここまで分かる……!?)

 

――詰み……!

 

「知ってるさ……」

 

ニヤリ……

 

「全部な」

 

ざわ……ざわ……

 

「お前……終わりだよ……巽」

 

空気が凍る……

 

逃げ場なし……

 

チェックメイト……!

 

ざわ……ざわ……

 

「なぁカイジ……」

 

巽の声……落ち着いてやがる……

余裕……いや“演技の余裕”……!

 

「法廷でも殺人でも……証拠が全てだ……」

 

一歩……近づく……

 

「お前のそれは何だ?

ただの言い合い……感情論……

ヤクザの恫喝と同じだ……」

 

ざわ……

 

ざわ……

 

「勝ち負けは出ない……

必要なのは――証拠だ」

 

――ぐっ……

 

確かに……そうだ……!

 

警部相手じゃねえ……

利根川でもねえ……!

 

気合と圧で押し切れる相手じゃない……!

 

こいつは……弁護士……

論理の化け物……!

 

ざわ……ざわ……

 

……だがな……

 

逆に言えば――

 

論理で勝てばいいだけだ……!

 

犯人は見えてる……!

答えはある……!

 

なら……そこに辿り着く道筋を

無理やりでも通せばいい……!

 

――つけ……!

 

つけつけつけつけ……!!

 

一点突破……!

 

「死亡推定時刻――」

 

空気が締まる……

 

「家主のあんたは……この家のどこかにいた」

 

巽の眉がわずかに動く……

 

(……ほう……)

 

「俺が来たのを監視カメラで確認……」

 

畳みかける……!

 

「そして――」

 

指を突きつける……!

 

「俺に罪を着せるために……

隠れて彼女を殺した……!」

 

ざわああああ……

 

「タイミングを見て第一発見者……

通報……」

 

――これだ……!

 

この家で……

外部犯なし……!

 

なら――

中にいたやつがやるしかねえ……!

 

しかも家主……

隠れる場所なんていくらでもある……!

 

実際俺は……

あの時軽くしか見てねえ……!

 

――盲点……!

 

「それで?」

 

巽が口を開く……

 

静か……冷たい……

 

「論理とは……その程度か?」

 

ざわ……

 

ざわ……

 

……来る……!

 

だが――引かねえ……!

 

「違う……」

 

一歩前へ……!

 

「お前……アリバイないだろ?」

 

ピタッ……

 

空気が止まる……

 

「なんで?」

 

「決まってんだろ……!」

 

声を張る……!

 

「この家に……隠れてたんだからよ!!」

 

ざわあああ……

 

――逃げ道なし……!

 

ここでひるむな……!

押せ……押し切れ……!

 

「ハハハハハ……」

 

巽が笑う……

 

乾いた笑い……

 

「証拠がないと?」

 

――ない……

 

だが……

 

関係ねえ……!

 

こいつが犯人なんだ……!

 

なら――

ある前提で突っ込む……!

 

ギャンブルだ……!

死のプール……飛び込め……!

 

「ねーよ」

 

言い切る……!

 

ざわ……ざわ……

 

「……ほう?」

 

「でもな……」

 

睨み返す……!

 

「お前が犯人なんだよ……!」

 

(こいつ……!?)

 

「証拠なんて……後からついてくる……!」

 

完全にブラフ……!

 

だが――引かねえ……!

 

「あったらどうする?」

 

――来た……

 

カマかけ……!

 

典型的な詐欺師の手口……!

 

だがな……

 

俺は……揺れねえ……!

 

なぜなら――

お前が犯人だからだ……!

 

「上等だ……!!」

 

叫ぶ……!

 

「あったら――」

 

拳を握る……!

 

「逆立ちして……!!」

 

ざわ……!

 

「ごめんなさいって謝ってやるよ!!!!」

 

ざわああああああああ!!

 

一瞬の静寂……

 

「HAHAHA……」

 

巽が笑う……

 

「さすがクズだ……」

 

見下す目……

 

「突っぱねれば押し切れると思っている……

浅い……浅すぎる……」

 

(全部見えてる……こいつの思考……)

 

「俺はな……」

 

一歩……詰める……

 

「クズから依頼人を守ってきた……

だから分かる……」

 

指を向けられる……

 

「お前のような人間の考え方がな……」

 

ざわ……

 

ざわ……

 

「じゃあ見せてもらおうか……」

 

ニヤリと笑う……

 

「逆立ちで謝る姿をな……」

 

――っ……!

 

その時……

 

「カイジ……」

 

横から声……

 

こうちゃん……!

 

「お前……アホだな……」

 

ざわ……

 

ざわ……

 

「普通……第一発見者は疑われる……」

 

……?

 

「だからこそ――」

 

一拍……

 

「あるんだよ……アリバイが……」

 

――は?

 

ざわあああああああ……

 

空気が一変する……

 

背筋に冷たいもの……

 

……待て……

 

……それ……

 

やばくねえか……?

 

ざわ……ざわ……

 

は?

は?

はぁ……?

 

頭が追いつかねえ……!

 

「アリバイは……こうちゃん……?」

 

理解不能……!

思考停止……!

 

俺の中で組み上げていた“勝ち筋”が……

ガラガラと……崩れていく……!

 

「いやな……ホテルで調査報告をしてたんだ。3時間くらいな」

 

3時間……?

 

ざわ……ざわ……

 

おかしい……

おかしいおかしいおかしい……!

 

俺の能力……

“心の声”……!

 

あれは確かに――

 

(私が殺してやったのに)

 

聞こえた……!

間違いなく……巽から……!

 

なのに……

ホテルで3時間……?

 

両立しねえ……!

完全な矛盾……!

 

ぐにゃあああああああああああああああ!!!

 

「じゃあ……なんだよこれ……!」

 

俺は叫ぶ……半狂乱……!

 

「犯人が家にいて……でもホテルにもいるってことかよ!!」

 

無理……!

そんなの……物理的に……!

 

「あっ……双子だ!」

 

苦し紛れ……!

だが――

 

「ねーよ」

 

一蹴……!

 

即死……!

 

「巽弁護士は一人っ子だ」

 

終わり……

完全終了……!

 

ざわ……ざわ……

 

「フフフ……ハハハハハ……」

 

巽の笑いが……刺さる……!

 

「そういうことだ……害虫」

 

ぐっ……!

 

「アリバイという盾……論理の盾……

それを崩せない以上……君の負けだ」

 

圧……!

理詰め……!

逃げ場なし……!

 

「証拠、動機、状況……全て君を指している……」

 

ぐにゃ……

 

確かに……そうだ……

全部……俺に向いている……!

 

だが――

 

(ブハハハハハ……崩せるもんなら崩してみろ……)

 

……聞こえた

 

(俺のアリバイトリックは完璧だ……)

 

……聞こえた……!!

 

ざわっ……!!

 

安心……!

 

確信……!

 

そうだ……

ある……!

 

“トリック”が……!!

 

俺の能力は……嘘をつかねえ……!

 

「……ああ……」

 

俺はゆっくり顔を上げる……

 

「やっぱりお前が犯人だ……巽……!」

 

ざわ……ざわ……

 

「まだ言うか……」

 

「言うさ……!」

 

ここからが勝負……!

 

ギャンブル……!

 

「なあこうちゃん……」

 

俺は振り向く……

 

「俺の推理が正しいなら……

“ありえないこと”が起きてるはずだ……」

 

「……何がだ?」

 

「巽はホテルにいた……でも家でも犯行……」

 

矛盾……!

 

「なら……その間に“何か”してる……!」

 

ざわ……

 

「つまり……」

 

俺は指を突きつける――!

 

「席を離れた時間があるはずだ……!」

 

静寂――

 

そして……

 

こうちゃんが口を開く

 

「……ああ」

 

ざわっ!!

 

「一度だけな……」

 

きた……!!

 

「トイレで……5分ほどだ」

 

ざわざわざわざわ……!!

 

5分……!

 

たった5分……!

 

だが……十分……!

 

針の穴……

糸を通す……その瞬間……!

 

脳が回る……回る……回る……!

 

「……そこだ……!」

 

俺の中で何かが繋がる……!

 

ざわ……ざわ……

 

ここから――逆転……!

 

地獄の底からの……

一発逆転……!!

 

ざわ……ざわ……

 

「5分で……戻って……殺して……また戻る……」

 

俺は言い切った……!

これしかねえ……!

この一本道……!

 

だが――

 

「無理だ」

 

こうちゃんの一言……

冷水……!

頭からぶっかけられる……!

 

「ホテルはここから車でも30分……往復60分……

さらに犯行時間……どうやっても無理だ」

 

ざわ……

 

ざわ……ざわ……

 

え……?

 

思考が止まる……

凍る……!

 

「……なんでだ……」

 

おかしい……!

絶対おかしい……!

 

だって聞いたんだ……!

あの声を……!

 

(俺が殺してやったのに)

 

間違いねえ……!

あいつが犯人……!

 

なのに……

この“物理”が邪魔する……!

 

ぐにゃああああああああああああああ!!!

 

「くそっ……!」

 

俺は頭を抱える……!

 

5分じゃ無理……

距離が無理……

時間が無理……!

 

全部……無理……!

 

じゃあなんだ……!?

 

「……テレポートでもしたってか……!」

 

自嘲……!

笑えねえ冗談……!

 

だが――

 

ざわ……

 

違う……!

 

俺の中で何かが引っかかる……!

 

“前提”……!

 

そうだ……今……

俺は“ある前提”に縛られている……!

 

「……待て……」

 

俺はゆっくり顔を上げる……

 

「なんで俺……“移動した”って決めつけてる……?」

 

ざわ……ざわ……

 

無理……無理……無理……!

 

5分で移動?

そんなの不可能……!

 

だが――

 

「……待てよ……」

 

頭の奥……

ひっかかる違和感……!

 

家とホテルが遠い……

なら――

 

「……逆だ……!」

 

ざわっ……!!

 

俺の中で何かが弾ける……!

 

「ホテルで……殺したんだ……!」

 

声が震える……

だが確信……!

 

「彼女を……!」

 

ざわざわざわ……!!

 

一気に記憶がフラッシュバック――!

 

風呂……!

そうだ……俺……見た……!

 

「……死体……なかった……!」

 

うおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

繋がる……!

バラバラだったピースが……!

 

「そうだ……そういうことか……!」

 

脳が焼ける……!

回転……超回転……!

 

巽……あいつは……!

 

「ホテルに呼び出したんだ……!」

 

ざわ……!

 

「彼女を……あらかじめ……!」

 

こうちゃんと打ち合わせ……

その裏で――

 

「隣の部屋……あるいは別室に……!」

 

ざわざわ……!

 

「そして……トイレと言って席を立つ……」

 

5分――!

 

その意味……!

 

「その5分で……殺した……!」

 

静寂――

 

「そのあと……何食わぬ顔で戻る……!」

 

(その通りだ……!)

 

きた……!!

 

確信……!

 

「そして打ち合わせ終了後――」

 

俺は止まらねえ……!

 

「死体を回収……車に運ぶ……!」

 

ざわざわざわ……!!

 

「家に戻り……防犯カメラを避けて……!」

 

裏口……!

死角……!

 

「死体を風呂に運び込む……!」

 

完全再現……!

 

「そのあと……玄関から帰宅を装う……!」

 

「……っ!」

 

巽の顔が歪む……!

 

(全部……読まれてる……!)

 

「そしてタイミングを見て――」

 

俺は指を突きつける……!

 

「“第一発見者”になる……!」

 

ざわああああああああああ!!!

 

「こうちゃんを呼び……

警察を呼び……

全部“発見された事件”に仕立てた……!」

 

沈黙――

 

重い……空気……!

 

「……これだ……」

 

俺は呟く……

 

「正解は……これだ……!」

 

ざわ……ざわ……

 

ざわ……ざわ……

 

来てる……流れ……!

俺の中で……全部……繋がってる……!

 

止まらねえ……!

口が……勝手に回る……!

 

「なぁ……警部……!」

 

一歩踏み出す……!

もう引かねえ……!

 

「俺の推理を埋めるために……確認しろ……!」

 

視線が集まる……

だが関係ねえ……!

 

「巽とこうちゃんがいたホテル……その近くに泊まってた客……

その中に“彼女”がいたはずだ……!」

 

ざわ……!

 

「偽名の可能性が高い……!

だから写真で照合……監視カメラも洗え……!」

 

止まらねえ……!

 

「さらにその部屋……!」

 

指を突き立てる……!

 

「毛髪……指紋……繊維……!

掃除してても完全には消えねえ……!」

 

ざわざわざわ……!!

 

「必ず残ってる……“いた証拠”が……!」

 

俺の頭が冴える……冴えまくる……!

 

「死体の移動もだ……!」

 

空気が張り詰める……!

 

「そのまま運ぶわけねえ……目立つ……!

だから……飯を運ぶ台……カート……!」

 

「……!」

 

誰かが息を呑む……!

 

「シーツでもかけて……運んだはずだ……!」

 

どんどん繋がる……!

 

「そして帰宅……!」

 

俺はさらに畳みかける……!

 

「駐車してから玄関に入るまで……

死体を運ぶなら時間がかかる……!」

 

ざわ……!

 

「10分以上……いやそれ以上だ……!」

 

「防犯カメラで割り出せるはずだ……!」

 

そして――決定打……!

 

「死斑……!」

 

静寂――

 

「死体を動かせば……血が移動して痕が出る……!」

 

「……っ!」

 

「それで分かる……!」

 

俺は叫ぶ……!

 

「運ばれたかどうかが……!」

 

拳を握る――!

 

「早く調べろ!!」

 

ざわあああああああああああああ!!!

 

数十分後――

 

廊下に響く足音……!

 

ドタドタドタドタ……!!

 

「目暮警部!!!!!」

 

高木刑事……息を切らして飛び込んでくる……!

 

来た……!

来た来た来た来た……!!

 

「報告しろ……!」

 

「はい!!」

 

ざわ……ざわ……

 

「事件当日……ホテルの監視カメラに奥さんの姿を確認しました……!」

 

ざわあああああ!!

 

「偽名でしたが……!」

 

「部屋から毛髪、繊維、指紋を検出……!」

 

「隣の部屋にいたことが確認されました!」

 

ドンッ――!!

 

確定……!

 

「さらに……!」

 

まだある……!

 

「巽邸の防犯カメラ……!」

 

全員が息を飲む……!

 

「駐車から玄関に入るまで……20分……!」

 

ざわあああああああ!!!

 

「明らかに不自然です……!」

 

「そして……死体……!」

 

来た……決定打……!

 

「死斑が確認されました……!」

 

「一度別の場所に置かれ……運ばれたことが分かります……!」

 

完全勝利……!

 

「さらに……!」

 

まだ刺す……!

 

「巽弁護士の車のトランクから……!」

 

静寂――

 

「奥さんの毛髪と指紋を検出しました……!」

 

終わり……!

 

チェックメイト……!

 

ざわざわざわざわざわ……!!!

 

「くそおおおおおおおおおおおお!!!」

 

巽が叫ぶ……!

 

崩壊……!

 

論理の城……完全崩壊……!

 

ぐにゃああああああああああああああああ!!!

 

勝った……!

 

完全勝利……!

 

俺は……!

 

またしても……!

 

地獄から……這い上がった……!

 

ざわ……ざわ……

 

だが思う……

 

一歩間違えれば……

今頃……俺が……!

 

――捕まってた……!

 

震える……!

 

だが……笑う……!

 

「へっ……」

 

これが……カイジ……!

 

綱渡りの人生……!

 

ざわ……ざわ……ざわ……!

 

****

 

静まり返る室内――

 

俺は……ゆっくりと息を吐いた。

 

もう……隠す必要はない。

 

「……ああ、そうだ」

 

すべては――

最初から決まっていた。

 

俺は……恵まれていた。

 

金も、環境も、親も。

 

だが――

同時に、縛られていた。

 

「小学生の頃からだ……」

 

朝から晩まで勉強……

遊び?そんなものはない。

 

中学受験――

失敗は許されない。

 

周りの子供が笑っている中……

俺は机に縛り付けられていた。

 

「高校も……大学も……同じだ」

 

一貫校などという甘えはない。

常に試験……常に競争……!

 

落ちれば終わり……

それだけの世界。

 

ざわ……ざわ……

 

「そして司法試験……」

 

あれは地獄だ。

 

何度も落ちる者を見た。

心が壊れていく者もいた。

 

だが俺は――

 

「受かった」

 

血を吐くほどの努力……

眠る時間を削り……

人生すべてを捧げて……

 

掴んだ。

 

“弁護士”という地位を。

 

そして――結婚。

 

「やっと……手に入れたと思った」

 

普通の人生。

 

安らぎ。

 

報われる時間。

 

だが――

 

崩れた。

 

「あいつだ……」

 

カイジ……

 

あの男……!

 

何も持たない……

何もしてこなかった……!

 

努力も……苦労も……!

 

なのに――

 

「俺の妻と笑っていた……」

 

ざわ……ざわ……

 

しかも――

 

「俺の金でだ」

 

豪遊……

 

酒……

 

遊び……

 

ふざけるな……!

 

「俺がどれだけ犠牲にしてきたと思っている……!」

 

叫びが漏れる……

 

抑えきれない……!

 

「人生を……全部だ……!」

 

遊びも……青春も……自由も……!

 

すべて捨てて……!

 

ようやく掴んだものを――

 

「あいつらは踏みにじった……」

 

軽く……

笑いながら……!

 

「許せるわけがない……」

 

静かに言う……

 

だが中は――煮えたぎっている。

 

「だから……決めた」

 

裁くと。

 

「俺が……裁くと」

 

ざわ……ざわ……

 

「まず……妻だ」

 

裏切り。

 

それだけで十分だった。

 

ホテルに呼び出し――

そして……

 

「終わらせた」

 

「そして……」

 

視線をカイジに向ける……

 

「お前だ」

 

お前も……同罪だ。

 

「本来なら……お前も同じように処分するつもりだった」

 

ざわ……

 

「だが……」

 

計画が崩れた。

 

予想外だったのは――

 

「お前が……ここまで食い下がるとはな」

 

皮肉な笑み……

 

「無能だと思っていたが……」

 

「違ったらしい」

 

俺は目を閉じる。

 

終わりだ。

 

すべて……

 

「……これが俺の罪だ」

 

逃げも隠れもしない。

 

ただ一つ――

 

確かなのは……

 

「俺は……間違っていないと思っている」

 

ざわ……ざわ……

 

「努力しない者が……努力した者を踏みにじる……」

 

そんな世界は――

 

「間違っている」

 

沈黙――

 

その言葉は……

 

正義か……

狂気か……

 

誰にも分からないまま――

 

事件は、幕を閉じる。

 

 エンド 愛の為に




次回、怪盗キッド登場!!!!

ファイル4:怪盗キッドの祝杯 前編

https://syosetu.org/?mode=write_novel_submit_view&nid=405920
こちらのお話と同じ世界線のキッドです。Lと戦い終わった後の話になります。



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