有名産駒は基本実装済みだし、本人も後世とかより自分の同期とか当代のことに熱中(そらそう)してるし案外子供はいなさそうだと思うんですよ
向こうに広がる大地には、黄金が輝く。見上げれば、茜がこの星を染め上げる。肌をなぞる風は、故郷とは違う匂い。だだっ広いアメリカの大地。実りの季節だった。
小高い丘に、小さなビニールの屋根。立ち込める湯気に胃がうなる。
旅のお供は美味い飯と優しい音楽、そして心通う最愛の道連れ。ハーモニカを吹きながら、ウマ娘……ステイゴールドは小麦畑を見下ろしていた。
「〜♪」
繰り返す旋律。紡ぎ慣れてきた音色に、今日の思い出をひとつまみ。
「〜♪」
それに、少し気の抜けたオカリナの音が重なる。ステイゴールドが振り返る。見れば、彼女の最愛が自身のオカリナを吹きながら鍋をゆっくり掻き回す。
器用なもんだ。微笑みデュエットに心地を委ねる。
同じフレーズに、少しばかりの手を加え何度も何度も。そうやって曲が成る。それはまるで旅路。歩き、話し、手を取り、出会い、別れる。同じ行動の日々。だがその味にひとつとして同じものはない。
「なぁ、トレーナー」
昔ながらの癖。トレーナーと担当ウマ娘。そんな関係が切れて、変わって。互いの指にゴールドの指輪をはめ合う誓いを経てもなお、呼び方は変わらない。
ダーリン、なんて呼ぶのはガラじゃないし、何より小っ恥ずかしい。だからトレーナー。
歩く道は、私が決めているのに。
「どうしたの?ステゴ」
笑顔で鍋の中身をよそいながらステゴの方を見る。器の中には、真っ白なシチュー。貰ったじゃがいもとビーフがゴロゴロと、贅沢に汁から飛び出す。
それにセットでバゲットを。
ふと、ステイゴールドの記憶が蘇る。数年も前、それでもこうして共に旅をしていたある日。アジアの亜熱帯を歩き、米農家の家に数日泊めてもらったことがあった。農家の手伝いをし、収穫した米を…その土地の調理法で炒められ食べた。そんな記憶。
「…オカリナ、腕を上げたな」
「君の音色が好きだから」
重なるのはどうしてだろうか。土地も食材も作り手だって違う。それなのに、どうしてこんなにも…。
シチューを受け取り、バゲットに浸して頬張る。サクッと音が鳴り、舌にじんわり広がる牛乳の甘み。何かが、ステイゴールドの胸に染み込む。
「美味しい?」
耳が動いたか?しっぽが揺れたか?食べる彼女を優しく見つめる彼の顔に笑顔が浮かぶ。
本当に…私のことが大好きなんだな。
嬉しかった。ステイゴールドはただ…それが嬉しかった。
「ああ、美味しいさ。アンタの料理が1番美味い」
「褒めすぎだって〜。…でも、それはきっと、愛情込めて作ってるから…かな」
同じようにシチューを食べながら男が笑う。ただそれを言うのが当たり前のように、でも…変え難い宝石のように。
愛情、その言葉がステゴに響く。
「愛情…か。そうか、愛情か」
かの景色を思い出したのは、そういう事だったのだろうか。愛情。ありふれた言葉だ。ありふれて、当たり前にそこにある。
愛されること…当たり前に享受してたが……面と向かって、それも…自分が本当に愛している者から言われると…こんなにも幸福なのか。
街を超え、国を超え、大陸を超え。この星に満ちた感情に、ステイゴールドは笑顔を隠せない。
「どうしたの?」
「なんでもない。ただ……愛してるよ、ダーリン」
そう思えばすっと、口から出た。照れ隠しでウェットな比喩なんて使わずに。ただ思いの丈を、真っ直ぐ。
ステイゴールド誕生日おめでとう!!いや~何度思い出しても衝撃の実装でしたね~。それからの驚きの設定。まさに、初期ウマ娘の総決算って感じでした。ずっと言ってる