深海戦線 ~ポイントX撤退作戦~   作:八切武士

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最初に…

※公式的なものとは、異なる解釈・設定を多々、ついでに菊地秀行的伝奇作品要素等も若干含まれます。

・戦況 … まぁまぁ、拮抗中。
・艦娘 … 人間じゃありません。
・提督 … 艦娘とは、デビルサマナーと悪魔に近い関係です(召喚・使役する)
・妖精 … 提督と艦娘にしか見えません、艤装の不可思議能力の源です。

 後は、たまに必要に応じて文中に差し挟まれます。

 …正直、あんまり海は出てこないかも、艦これなのに。



 【序 あの日、あの海で】

【In one day, some time, some place】

 

 

 むせ返る様な、鉄さびと重油の臭い。

 炎が消えて行く。

 沈んで行く。

 遠くで光が揺れている。

 

「Hum…JMSDFのlaunchだな」

 

 軽い発射音と共に、信号弾が発射される。

 喧噪が近くなった。

 擦過音と共に、火薬臭い煙が溢れる。

 傍らで立つ少年が、発炎筒を振っている。

 探照灯の光が身近をよぎった。

 大破した船体の軋み、水音以外は静かなものだ。

 全ては尻の下の錆びた鉄塊と共に、水の中に沈んでいる。

 発炎筒が置かれ、少年がきびすを返した。

 

「おい」

 

 声を掛けると足が止まった。

 

「じっとしてろ、10 minutesもしない内に、loungeで一杯やれてるさ」

「…この世界は終わりだと思うか?」

「それは、you達の問題だ、俺のContractは果たした」

「そうだったな、そう、俺達の問題だ」

 

 こつり、こつりと離れた足音が又、止まった。

 

「Hum…一寸違うか」

 

 何かを水から引き揚げる音に振り返ると、少年はびしょ濡れの人間を抱えていた。

 すわ、生存者かと、鈍麻した精神が覚醒する。

 が、駆け寄ってその姿を確かめると、今度は当惑が広がった。

 水に濡れそぼり、抱え上げられているのは、小柄な少女。

 身につけているのは、女子中学生が着用している様なセーラー服だ。

 この封鎖海域を航行していたのは護衛艦だけの筈。

 民間人が紛れ込む筈もない。

 数瞬固まってから、頭を振って気を取り直す。

 兎に角、確認して、必要ならすぐに救命処置をせねば。

 幸い、救援も近い。

 

 手を差し出すのとほぼ同時に、腕に重みがかかる。

 

「First of reborn…」

 

 腕の中の少女から伝わる体温は暖かく、呼吸は規則正しい。

 ふと、違和感を覚える。

 周囲の海水は流出した重油まみれの筈だ。

 だが、この娘は濡れてこそいるが、汚れは付いていない。

 

「youのgrandpaはsalvage of first、fatherはsalvage of last…youのLineageは変わった縁があるな」

 

 説明を求めて少年を見るが、彼は肩を竦める。

 

「落ち穂は拾われ、種は蒔かれた、収穫は俺のContractに含まれてない」

 

 周囲が眩い灯りに満たされる。

 一瞬眩んだ目を開けると、少年は少し離れた浮き輪の上に立っていた。

 

「後は、you guys and girls…you達と彼女達の問題だ」

「どういう事だ!この子は…あいつらは何なんだ!」

「決めるのは、you達だ」

 

 問いにそれ以上の応えは無く。

 少年はひょいひょいと漂流物を跳び移って、闇に消えてゆく。

 

「客は帰ったか…」

 

 周りがすっかり明るい。

 複数の内火艇からサーチライトが照射されている。

 腕の中で少女が身じろぎした。

 

「君は一体誰なんだ?」

 

 腕に緩やかな振動が伝わる。

 心地良く、力強い響き。

 小さくも重々しい、内燃機関の始動音。

 

「ふわ…」

 

 少女は目を開け、若干戸惑った顔をする。

 が、俺の肩の辺りに目をやって微笑みを浮かべると、俺の目を見つめてこう言った。

 

「司令官さん、電です、どうか、よろしくお願いいたします」




 取りあえず、突端。
 作品の始まりと言うよりは、世界の始まりからでした。


【付録:提督と艦娘の係わりの変遷】


 (艦娘出現当時)

実体率 >
 艦娘は通常時実体化しておらず、提督以外には見えなかった。

運用形態>
 実体化保持可能な艦娘は艦隊所属分(1~4艦隊)のみで、戦闘海域に提督が出向き、都度艦娘を召喚していた。(※1)
 召喚を行う度に資材の消費が発生し、提督から距離が開きすぎると実体を保てなくなってしまう状態だった。
 又、提督へのダイレクトアタック!…で艦隊が全て壊滅するリスクがあった。

※1:『デ○ルサマナー形式ね(by 夕張)』

 (艦娘運用中期)

実体率 >
 艦娘は通常時実体化するようになり、提督以外にも見える様になった。

運用形態>
 艦娘を専用の依り代(艤装)に宿らせる事で常時実体化させる事に成功した。
 これにより、艦隊所属分(1~4艦隊)以外の艦娘も実体化させ、提督からどんなに距離が離れても実体化を維持する事が可能になり、“提督へのダイレクトアタック”で即時壊滅は無くなった。
 ただ、艤装の大量生産は困難(職人仕事)だった為、控えの艦娘全てを実体化させる様な提督は居なかった様だ。
 又、提督が特殊能力(※1)で同時に指揮できるのは艦隊所属艦娘のみである為、同時に作戦行動に従事できるのは、艦隊所属の艦娘に限定される。(※2)

※1:『司令官は艦隊に指定した艦娘とは、脳内会話できるのよ…毎朝毎晩、歯を磨いたか、とか、顔洗ったか、寝る前のおトイレはとか…一人前のレディに失礼しちゃうわ!(by 暁)』
※2:これは今でも変わらない。

 (艦娘運用現状)

実体率 >
 艦娘は通常時実体化するようになり、提督以外にも見える上、実体化を提督に依存しなくなった。

運用形態>
 中期に艦娘の依り代として人の手により作られていた艤装が、艦娘が実体化する際に一緒に出現する様になった。
 これにより、控えの艦娘全てが実体化し、騒がしく生活する現在の鎮守府の光景が見られる様になったのである。
 又、実体化を提督に依存しない為、提督の代替わりも可能になっている。(※1)

※1:一度提督になったら、死ぬまで提督なんてブラック企業からの解放である(それで辞めた提督が居るとは言っていない)
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