8000年を超えたかぐやが初星学園に入学するお話。


超かぐや姫!×学園アイドルマスターのクロスオーバーです。

別作品の息抜きに投稿。


pixivでもマルチ投稿中。
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8000年を超えたかぐやが初星学園に入学するお話。
超かぐや姫!×学園アイドルマスターのクロスオーバーです。

別作品の息抜きなのでさらっと。


かぐやが初星学園に入学する話 『なよ竹の一番星』

☆00

 

 何でこうなっちゃったんだっけ。

 ベッドに腰掛けながらぼんやり考える。

 

 暗い部屋の一室で、ぼんやりと光る画面には「都立武蔵川高等学校は存在しません」という無機質な一文が表示されていた。

 

 「あ……」

 

 ひび割れた唇から掠れた音が漏れた。

 そのうち、もう枯れたと思ってた瞳からはらはらと涙がこぼれ墜ちた。

 

 「ぐ……ヒック、かぐやが……ドジったから……がこを変えちゃっだから……彩葉と会えないかもじんない……!」

 

 頭のどこか冷静な部分は、まだ私ってこんなに喋れたんだ、なんて感心してる。

 

 滲む視界がちかちかと光り、伏せていた顔を上げると、パソコンとは別になんとなくつけてたテレビでアイドルが楽しそうに歌い踊っていた。

 

 あの夏の私のように、何の心配もなさそうに天真爛漫に。

 

 苛立ち混じりにリモコンを使って消すと、部屋に静寂が訪れた。

 

 八つ当たりしても、叫んでも、泣いても。

 誰かのせいにしたくても、自分の顔しか思い浮かばなかった。

 

 「犬DOGEが居たら、励ましてくれたのかな……」

 

 一人っきりの部屋には当然ながら返事はなかった。

 

 

 ☆01

 

 

 確か始まりは、複製をつくった後に、姫と一緒に『もと光る竹』に時間遡行アルゴリズムを導入しようとしていた時だっただろうか。

 安全装置として、アルゴリズムの乱数で遡行時間にズレが出た時のための、乗員のスリープ機能を姫が提案してくれたのだ。

 こんなもの要る? なんて私は言ってたけど、キャパにはまだ余裕はあるし一応積んでいた。

 

 姫の懸念は見事的中し、航行中に大岩にぶつかった『もと光る竹』は見事に難破、8000年前の地球へと座礁してしまった、破損個所は多く、犬DOGEも破損部分に巻き込まれて復旧不能だった。

 不幸中の幸いというべきか、()()()()()()()()()()()、ナノマシンによる乗員の()()()()()()()()()()()()から、8000年後にタイマーをかけて、ぐっすりと眠っていた訳だった。

 

 タイマーが起動し、自動で肉体を付与されて(赤ちゃん期間をスキップするため月で初期付与を10歳程度に設定してた)目が覚めると2028年だった。

 

 ま、正倉院のど真ん中で目が覚めたせいで、不審者扱いされて摘まみだされたのはまいったけど。

 

 さすがに全裸の女の子を見て同情してくれたのか、正倉院の職員さんが服と靴をくれたので、そのまま、あてもなく奈良の町を彷徨っていると、立派なお鬚のすごく声の堂々としたおじいさんに声をかけられた。

 

 キミ! アイドルに興味はないか! だったっけ?

 

 無一文で東京に行く方法も無くて困ってたから話だけは聞いてみよーって思ったら。その十王っておじいさんは、東京でアイドルの学校をやってるらしく、そこに誘ってくれた。

 お金どころか戸籍すらない事を言っても、だったら学費免除の特待生ならどうだ! とかすごくぐいぐい来るからつい聞いてしまったんだっけ。

 

 「どうして、そこまでしてくれんの?」

 「ははは、なに簡単な話じゃ、そう、ティンと来た、ただそれだけの事」

 

 そう笑った髭の人についていくと、あれよあれよと東京のその人の学校、初星学園の寮生となった、まだ時期的に編入してないけど。

 

 でもまあ、私の目的はアイドルになることじゃなくて彩葉に会う事だったから、寮を拠点に思い出の残渣の残る立川まで出向いて彩葉を探した、寮に入るころには16歳ぐらいまで成長してたから自分の足で探すことは苦でもなかった。

 

 しかし、楽観的な予想に反した現実に膝から崩れ落ちた。

 

 あのボロアパートは大層立派な新築マンションに化けてたし、彩葉に名前を貰ったカフェは焼肉屋だった。

 学校は見つかんなかったし、最後の望みをかけて行ったタワマンは、デザイナーズマンションじゃなくて家電量販店の入った、ただの駅ビルだった。

 

 そこからはどうやって寮の自分の部屋に戻ってこられたのかわからない。

 ぐるぐると回る視界の中で、吐くものも無くなって黄色い胃酸を道端に撒いてたことだけは覚えてる。

 

 寮母さんにあとで聞いたらそこからは丸3日、膝を抱えてうずくまってたらしい。

 よく覚えてないけど。

 

 そして、きっと自分の見間違いだと思って、月での知識まで総動員してネットを洗いざらい調べた結果が、そもそも彩葉が通ってた学校は存在しないという事実だった。

 

 私が作ったから良くわかってるが、『もと光る竹』の時間遡行アルゴリズムに世界を超える力なんかない。

 だから何かがあって、過去にひずみができたからちょっとだけ現在(いま)が変わったとしか考えられない。

 

 そんな時間のお邪魔虫はどう考えても私だ。

 

 会えなくなったぐらいならまだいい、学校がなくなったんだ、もしかして……彩葉が……う、生まれ……。

 

 襲ってきた吐き気に急いでゴミ箱を寄せて、口の中のモノを吐き出す。

 

「ぐ……うっ……」

 

 歯を食いしばっても涙と鼻水が止まらない。

 自分のしでかしたことの重大さに死んでしまおうかとも思うが、そもそもナノマシンで模られたこの体にそんな機能があるのだろうか。

 月人は不死の思念体だ、死に方なんて誰も知らない。

 

 そんなことをぼんやり考えてると、どんどんと扉が鳴った。

 

 「ねえ、まだ生きてる?」

 「ぐず……なに?」

 「隣の部屋の奴の友達? いや……ユニットメンバーなんだけど、てま……隣の部屋の奴があんたの泣く声を幽霊だなんだって騒いで迷惑だから、辞めてくれない?」

 

 髭の人に負けず劣らず堂々とした声。

 確か名前は……賀陽燐羽だっけ、燐羽って呼ばれたはず。

 

 「ごめん……」

 「はぁ……、何であんたグズグズ泣いてる訳?」

 「あの……えっと……」

 

 そのままなんて言えるわけがない、でも……。

 

 「……東京に、立川に着たら、大事な友だちに会えるはずだったの、でも、学校もなかったし、その子の家もなかった……もう生きてるかもわかんない……」

 「えぇ……、それネットとかで騙され……こほん、いい? よく聞きなさい」

 

 前半は何やら小声でしゃべっていたがドアに挟まれてくぐもった声じゃ聞き取れなった。

 

 「一番星(プリマステラ)になりなさい」

 「ぷりますてら?」

 「そ、一番星、私たち初星学園のトップ、その頂に立てば全国で中継が流れる、誰だって、どこに居たって一番星の誕生を見る」

 

 そこでいったん息を入れて、今度はちょっと優しくなった声で言った。

 

 「どこにいるかもわからない、あんたの友達とやらもきっと見てるでしょ? だから、私はここにいるぞって見せつけてやればいい、一番星の輝きで」

 

 ま、ユニット部門は『SyngUp!』が貰うけどね、なんて言いながらドアの前の声は離れて行った。

 

 その言葉を咀嚼する。

 そうか、諦めるのはまだ早い。

 

 まだ京都にいるだけかもしれないし、彩葉がもういないとも限らない。

 誰もが私を知るようになって、それで彩葉に呼び掛けても何もなかったら。

 諦めるのはその最期で良い。

 

 お腹の底から力が湧いてきた。

 涙をぬぐって、鼻水をかんで、それで立ち上がる。

 

 そして、洗面所で顔を洗うために勢いよく外に出た。

 

 

 ☆02

 

 

 今日のダンスレッスンでの最後のステップを踏み切った直後にチャイムが鳴った。

 

 「酒寄……お前は、理論(ロジック)特異性(アノマリー)も越えて資質(センス)のみでここまで成長するとは、今まで見てきた生徒たちの中でも経験がないぞ……」

 「いや~、それほどでも~~」

 「おーい、ほめてないぞー」

 

 呆れた顔をしたダンストレーナーのレッスン結果の講評に、照れくさそうに髪を指で巻いてみる。

 こういう小ボケにもちゃんとツッコミを入れてくれるから、割とこの人は好きだ。

 

 ライバー活動でやってたライブでも多少感じていたが、どうやら私にはアイドルの才能というものがあるらしい。

 調子が上がる(好調)たびに集中力(集中)が同じくらい上がっていくという固有の精神性と、完全無欠な天賦の才が、まるで私だけをスポットライトで照らしたような存在感をステージの上でもたらす。

 サビに入る頃には、まさに絶好調で、立ち位置チェックなんかしなくたって、自然と浮かぶ演出計画で模擬ステージの初見の観客相手にすらシュプレヒコールを煽れた。

 

 酒寄みたいなのを至高のエンタメと言うのだろうなとは、その時を袖で見ていた先生の言葉。

 

 そうそう、初星学園の中等部の3年3組に編入してからは、苗字が無いのも不審がられるので、彩葉から借りて、酒寄かぐやと名乗ってるの。

 

 ちょうど冬のHIF? って大きな大会? が終わった後に編入したこともあって、最初はあんまり馴染めなかった。

 そんで、持ち前の明るさで友達100人増やして大逆転! って思って色々やってみたけど、残念ながら相変わらずいまだにちょっと浮いてる。

 

 いや、最初は上手く行ってたんだけどさ、なんかかぐやちゃん天才すぎて、レッスンのたびにみんなヒキ気味になっていって、最後には離れる人の数に反比例して笑顔が怖くなっていく燐羽ぐらいしか残んなかったんだよね。

 

 なので、今日もダンスレッスン室には私とトレーナーの2人きり、クラスで抑えてる共同練習の時間なのに。

 

 「あっ、かぐや! やっぱりこんなところにいた! ボーカルもビジュアルもレッスン室がぎちぎちでうっとおしいったらありゃしない!」

 「おっ、燐羽じゃん、おつー」

 

 騒がしくレッスン室に入って来た燐羽は、いまだに私から離れない数少ない友達だ。

 

 燐羽に発破をかけてもらった(と勝手に私が思ってる)あの日のすぐ後にあった冬のHIFで念願の相手を倒したらしい燐羽はしばらくの間、ふっといなくなっちゃいそうだった。

 

 レッスンのたびに周囲の技術をメキメキと取り込んで成長し続けた結果、遠巻きに見られるようになり始めてた私を見てからは、なんか急に生気を取り戻して、真似っ子? 私も得意なのよソレ、だなんて言いながらなんだか楽しそうに絡んでくるようになった。

 ……どういう心境の変化だったんだろう?

 ま、いっか。

 

 まー、仲良し三人組の時の燐羽に近づくと、髪の長い子……手毬だっけ? が怖がって燐羽の後ろに隠れるし、それを見たもうひとりの子が睨んでくるしで、授業中ぐらいしか話さないんだけどね。

 

 どこに行ってもふわふわとした異物感で浮きっぱなし、月でもここでも。

 

 でも、夏のHIFで優勝するまでの辛抱だから耐えられる、一番星になれば私の居場所(彩葉)がきっと見つかる。

 

 「んで、どしたの? また勝負やる? 今かぐやが勝ち越してるけどぉ?」

 「やんないわよ、疲れるし、そうじゃなくて、かぐや、あんた忘れてない?」

 

 忘れてる? なんだろう。

 

 「なんかあったっけ?」

 「はぁ……、あのね、あんたの目標って一番星でしょ?」

 「うん」

 「で、直近の夏のHIFに出場して勝つつもりなんでしょ?」

 「そのとーり!」

 「それで、来月のNIAは出場登録したの?」

 「にあ?」

 

 急に猫の真似はじめてどうしたんだろう、物まねバトル?

 首を傾げてると、鉛のようなため息を溢した燐羽は、急に眉を吊り上げて私を叱りつけた。

 

 「こんのおバカ! next idol audition! 略してNIA! 不定期開催の大会で、無名がHIF出場のためのファン数を稼ぐためには必須の登竜門! 授業でさんざんやったでしょうが!」

 

 あんたがこのまま黙って口開けてたってHIFに出場できるわけないでしょ! と続けて燐羽は言った。

 

 ……え、マジ? やばいじゃん。

 

 「たく……ほら」

 

 燐羽が真っ白いプリントを一枚渡してきた。

 どれどれ……エントリーシート?

 

 「どしたの? これ」

 「NIAの出場申請書、さっさと書いて出してきなさい」 

 「おー、ペン……ペン……あれ? 燐羽ー、どこやったっけ?」

 「知らないわよ……、ほら、ペンぐらい持っておきなさい」

 

 う……ペン字苦手なんだよな……、何とかパソコンで打ち直せないものか……。

 

 「さ……かより……かぐや……できた!」

 「相変わらず字が下手ねぇ、実は右利きなのにワザと書いてない?」

 「あー! いぢわるいってるー!」

 

 スマホだと普通なのに、と言いながら私とのトーク画面を見てる燐羽。

 

 ちらりと時計を見るとそろそろ放課後練習用の次のコマの人たちが来る時間だ。

 私たちが話し込んでるのを遠巻きに見守りながら休憩してたダンストレーナーに緩く手を振られながら見送られて、レッスン室を後にした。

 

 「ね、燐羽! 一緒に職員室行かない?」

 「いやよ、一人で行ってきなさい、私はこの後用事があるの」

 「え~~」

 

 NIAで待ってるから、なんて言いながらウィンクして燐羽は角に消えていった。

 

 根緒先生のところ一人で行くと、馴染めてないのを心配してか色々聞かれてめんどうなんだよな……。

 

 「はー、行くかぁ……」

 

 私の独り言は夕日に染まる廊下に溶けて行った。

 

 

 ☆03

 

 

 いざ始まったNIAでは、プロデューサーにプロデュースされてる皆は営業で自治体イベントやら商業施設とかに行っていたが、一人ぼっちの私は案件の獲得が出来なくて営業はできなかった。

 しかし、得意の配信で勝るとも劣らないファン数の獲得に成功し、1次オーディションも大成功(1.5万)、二次オーディションも確かな手ごたえ(40万)を感じた。

 

 配信でライバルになりうる黒鬼もヤチヨも居ないしね、ツクヨミもないし。

 

 そんなこんなで、今日はついに最終オーディションの当日だ。

 競い合うライバルたちの中には、今回は珍しくユニットではなくソロで参加している燐羽の名前もあった。

 

 「緊張してるんじゃないかと顔を見に来てみたら、いい顔してるじゃない」

 「にひひ~、かぐやちゃんは今日もかわいい☆」

 

 自分の番が終わったのか燐羽が様子を見に来たらしい。

 

 「はいはい、そういえば似たようなキャラでやってた落ちこぼれもいたわね、NIAには出てないみたいだけれど」

 「えー! まさかのキャラ被り!」

 「ま、せいぜい頑張んなさい、あなたが最も明るく輝く星になった時、被ってるのは向こうになるんだから」

 

 燐羽はいっつも褒めてるんだか貶してるんだかよくわからないことを言う。

 

 「ああそうだ、このNIA最終オーディション『FINALE』の優勝者ライブは放送されるから、もしかしたら、かぐやの夢、叶うかもね? 私に勝てたらだけど」

 

 へ? 全然知らなかった。

 でも……、まあ……。

 

 「んー、でもいいよ」

 「そ、もう諦めたの?」

 「ううん、彩葉にまた会うのはかぐやの夢、でもせっかくなら一番星に、頂点になってからスーパーかぐやちゃんを見せつけて再会したい、私一人でここまで来れたんだぞーって!」

 「ふぅん……、あんたなら成れるかもね、迷い人すら照らす、北極星みたいな一番星に」

 「北極星? うーん、かぐやどうせなら月が良いな~~」

 「月?」

 「そー! 月から来たかぐや姫! どやー」

 

 ぶいの字を燐羽に見せつけるうように突きつけると、呆れたように鼻で笑って、燐羽は自分の控室へと戻っていった。

 えー良くない? キャッチフレーズに。

 実際2回来たようなもんだし。

 

 ま、いいか。

 さあ、そろそろ本番だ。

 

 

 ☆04

 

 

 一礼をして、ステージに立つ。

 燐羽のスコアは65万点、歴代のNIA優勝者に匹敵するスコアだ。

 でも、まぁ、不安はない。

 

 観客の声すら途切れる一瞬の隙に音楽が始まる。

 

 スタートさえしてしまえば一瞬でボルテージが上がってく私の体は、その高まった集中力で演出計画どおりに魅惑の視線を観客へ向ける。

 お、失神した。

 

 ツクヨミの中でのライブじゃなかなかないハプニングがありつつ、スポットライトを気にしつつ何度も確認した立ち位置でアピールを重ねていく、何度も、何度も。

 

 見せ場のたびに、眼下のサイリウムの海が左右に揺れて、まるで波のよう。

 

 ほんとはHIFで歌うはずだった、ヤチヨの曲。

 変わってしまったこの世界には居ない彼女の歌は、彩葉がいっぱい頑張って作ってくれた私の歌よりも、きっと今の彩葉には届くだろうから。

 悔しくはないよ? 歌ってるの私だし!

 

 次のHIFは半年弱あと、でも燐羽に提示されたもしもがよぎってしまうから、あえてこの曲にした。

 

 きっとどこかで頑張りすぎてる彩葉に届くように。

 

 あっ、終わっちゃった。

 えーと、えーと、なんだっけ? あ、一礼!

 

 結果なんて、降壇するときの袖で見ててくれた燐羽の顔で見るまでもなかった。

 

 

 ☆05

 

 

 「で、どうだったの? NIAで歴代最高点(150万)を出した気分は?」

 「えー? ふつーだよ? HIF(つぎ)が本番だしねー」

 「2位にそれ言う訳?」

 「そなこと言ってー、燐羽うれしそうじゃん?」

 「強敵が居ないと張り合いが出ないだけよ、次は『SyngUp!』(私たち)が相手だから、覚悟しなさい」

 

 私の優勝で幕を閉じたNIAも終わって、桜舞う季節になり、私たちは内部進学とはいえ、入学式への出席のために講堂へ歩いていた。

 外部生たちは慣れていないせいか、まだ余裕があるのに焦ったように私たちを追い抜かしていく。

 これもまた風物詩らしい。

 

 そのうち、なんだか見覚えのあるお団子を付けた黒髪が、私たちをすり抜けようとして地面のレンガに蹴躓いて転びそうになるのを咄嗟に手を取って支えてあげる。

 

 「大丈夫?」

 「あっ! ごめんなさい!」

 

 私は、その声に、その顔に、その瞳に、目を見開きながらなんとか言葉を絞り出す。

 

 「ね、あなたのお名前は?」

 

 知ってるよ、彩葉っていうんだよね?

 

 「えと、酒寄彩葉って言います、あなたは? 確かNIAの優勝者ライブで歌っていた……」

 

 この1年弱、ずっと聞きたかった声で、一番聞きたくなかった質問をされる。

 他人行儀な敬語で。

 

 「かぐやはねー、酒寄かぐやっていうの」

 

 でもしょうがないよね、初対面なんだもん。

 私、声、震えてないかな?

 

 「珍しい苗字なのに同じアイドル科なんて奇遇ですね!」

 

 違うの、あなたから貰ったんだ、名前も、苗字も。

 

 「ね! 彩葉はアイドル科? って今言ってたかー」

 

 口角を上げろ! 笑え! さんざん練習しただろ、私!

 

 「ええそうなんです、ギリギリ首席は取れなかったんですけどね……」

 「へー、すっごい! あ、そうだ!」

 「はい?」

 

 思わず食い気味で言ってしまったから、ちょぴり怪訝そうに見られる。

 でも言わなきゃ。

 

 「彩葉、かぐやのプロデューサーになって!」

 「は? え? 私、アイドル科なのに……、プロデューサー……? 何で?」

 

 何でって言われてもなー、前世で決まってる的な?

 

 「んー、一目惚れ?」

 

 そしたら彩葉はこう言ったの!

 

 「ん??????」

 




[Remember] 酒寄かぐや
プラン:センス(好調)
Pアイテム:プロデューサー無しのためロック
スキルカード:「私は、わたしのことが好き。」
レッスン開始時手札に入る
「完全無欠」と「天賦の才」を生成し、即座にコスト0で発動。
以降、好調増加時、同数の集中を獲得(この効果は増加量増加の影響を受けない)。
以降、アクティブスキルカード使用時、パラメータ+7。


かぐやがヤチヨにタメ語で喋る時、内心彩葉が敬語とか使いな?って思ってるの良いですよね。


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