白く輝く様なその見た目は、触らずとも伝わるその柔らかさはその姿を隠す様に、しかし先を透かした透明感を持った薄い隔たり一つを身に纏い私の目の前に存在していた。
私は貴方へと、好意を抱いている。
きっと歪んでいるのだろう。
正しい行いではないのだろう。
しかし最早止まることなど…知る前ならいざ知らず、不可能なことを私の過去が物語った。
遥か過去、しかし擦れず、曇らず、鮮明に思い出す。
幼き私が、初めて貴方と出会った…あの日の事を。
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貴方は私の母に連れられ我が家に赴いた。
初めの邂逅では私は貴方に大した興味を抱けなかった。
ただ、今にして思い返せば、貴方はその当時から今この瞬間までなんら変わらない妖艶さと他者の色に染まりゆく背徳感を纏っていた。
時には紅く、時には黒く、そして時には艶めく熱を持ったとろみを全身に浴び、誰彼構わず誘惑してゆく…。
その変わりゆく様に興味を示す私へと、父と祖父、兄が火照った顔で貴方を勧めたのだ。
私の前に座する貴方は情熱的な紅に身を包みこみ、その身体を艶めきで覆う。
その晒け出された肉肉しさは私の本能を直接的に刺激した。
おずおずと右手を伸ばして、一番初めに感じとれた感覚は凄まじく、呑まれうる程の柔らかさであった。
そして次にその香りに脳を痺れさせながら私の唇が貴方と交わる。
瞬間、痺れた脳に更なるー 痛みとも言える衝撃が走った。
しかし、私はそれに….その…感覚に、恥ずかしげも無く言うのならー 気持ち良くなっていた。
私を襲う快楽は貴方との交わりを、貴方への理解を深めるごとに、強く…高らかに勢いを増す。
…が、ふと我に帰れば、私が蹂躙し尽くした貴方は全く別の色に染まり姉や祖母、母親さえも魅力しその快楽へと誘っていく。
その光景に私は先程までの熱を失い、どころか冷や水を頭から引っ掛けられたかの様に冷静になった。
そして感じた…、不思議な…言い表せない複雑な気持ちを…。
その時確かに私は貴方の柔らかさによって固さを持っていた。
貴方が代わる代わるに自由を奪われ、各々の色へと染められる。自分以外の全てを悦ばせているその様子に私は貴方を蹂躙し尽くした記憶が蹂躙された。
思えば私はここで壊れたのだろう、この時は理解に至らなかったが今なら分かる。
あの感覚は確かな興奮であったのだと。
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ふと現実に帰った私は今日も数多の人間の好みに合わせて媚び、悦びを与えているであろう魔性の貴方に言い表せようのない興奮と情熱的な目線を送る。
幼いあの日には知らなかった、あの快楽とは比べ物にならない、父や祖父、兄さえ知り得ない真の快楽へと、私自身で染めきった貴方へと、思いを馳せながら私は徐に貴方との隔たり、一個95円の絹ごし豆腐のパッケージを破りさるのだった…。