ANGEL WALTZ   作:とくめい

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case クリムゾンインパクト ACT1【嵐の前のひと時】

クリムゾンインパクト、と呼ばれる能力者組織とBLITZの戦闘があった

 

事件があった時、西島京介のみ戦力として五条司と一緒に作戦に同行したが、当時のBLITZの最大戦力と、対能力者特別攻撃隊の隊員は、西島京介以外戦死、医療班も、その7割は戦死している

 

生き残って居たのは、運良く本部にいた者達と、唯一、西島 京介だけだった

 

対能力者特別攻撃隊前総隊長

五条 司(当時32)

京介の前の総隊長

当時最強クラスではあったが、今の京介には及ばない

しかしながら、隊長としての器も、人格も申し分無く、無論素質も十分にあった

京介にとっては兄と呼んでも差し支え無い存在だった

 

 

医療班 前班長

五条 亜紀(当時31)

前総隊長の司と婚姻関係にある

菜流が班長になる前に、戦場のナイチンゲールと言われる程の医療技術と能力を持っていた

 

しかし、この2人を含め、当時のBLITZ内の戦力は、ほぼ戦死している

 

 

 

 

京介はあまりBLITZの中や外に意思表示で言葉を多く言わない

本当に面倒くさそうにBLITZに居る

18歳の時は礼節はある程度まではわきまえてるが、あまり話さない

 

秋浩も、18歳のルーキーとして礼節は弁えてるが、おべんちゃらは言わず、寡黙に周りを見て観察し、行動してる

 

入隊して半年

基本は訓練、何に置いても訓練

能力者が絡む事件はあったが、ルーキーは訓練がメイン

 

何人かは作戦に同行していた、いや、京介以外は全員任務に従事していた

西島京介だけが訓練以外はしていなかった

京介自身不満も無く、淡々とこなしていた

 

泊まりの当番が終わって、帰る準備をしている二日程の非番が入る

変則なルーティンに慣れてきた頃、五条亜紀さんに声を掛けられた

帰ろうとした時に、偶然遭遇した

 

亜紀

「お疲れ様w」

 

京介が敬礼をし、挨拶を返す

「お疲れ様です!」

 

亜紀が近寄って来る、京介に興味ありげに質問する

 

亜紀

「楽に話していいよw軍隊程堅くないから、ちょっと時間貰えないかな?、君と話がしたいんだけど、どう?コーヒーくらい奢るからw」

 

亜紀の予想してない質問に一瞬考えたが

あまり考えずに答えた

 

京介

「お話でしょうか?

構いませんが、何故自分と?」

 

亜紀はニコニコとしながら、その質問には答えず京介の腕を持ちながら話した

ありがとうw君とゆっくり話したかったんだw

そう言いながら自販機ルーム兼喫煙所に連れて来られた

 

外の自販機ルーム兼喫煙所に連れて来られた

BLITZのグラウンドが見える場所だ

 

飲み物を渡され、座る様に促された

 

亜紀

「楽にして話そうよw、ここ座って」

 

促されるまま座った

 

亜紀

「京介くん、君はずっと訓練しかさせて貰えてないけど、作戦に行きたいとかは無い?」

 

質問された事の意味がよく分からない

が、何故質問したのかは分かる

おおかたカウンセリングの様なもので話しかけて来たんだろう

 

BLITZに入って、大抵は何かの任務や作戦に従事して、それなりに功績を出したくて入隊するんだろうが、俺は別にそんなものはどうでもいい

何か功績を残したい訳でも無い

 

訓練、巡回、訓練、巡回

 

本部付けの隊員、ましてや作戦がメインの隊に所属してる隊員は、基本他の隊や班の仕事は出来ない

だからなのか、他に理由があるのか

良く分からないが、あまり興味無い

 

京介

「いや、それが隊長命令なので

それに今のままでも問題無いです」

 

亜紀はその答えを聞いて、何も言わず、ニコニコしながら飲み物に口をつける

1口飲み込み、再び口を開く

 

亜紀

「菜流ちゃんいい子だよねw

真面目で周りも良く見てるしw

お世話焼きな所もあるしw」

 

急に話の振り幅が変わった、言ってる事の意味が良く分からない、言葉通りに取れば、勿論そのまま肯定する

しかし何かを聞き出したいのか、何を聞きたいのか、分からない

答えあぐねいて居ると亜紀が再び口を開く

 

亜紀

「……BLITZ、辞めたい?」

 

以外な質問に思わず答えてしまった

本来隊長格が口にしない、言っていいのかも分からないが、隊員に向けてのBLITZの批判にも取れる言葉

 

京介

「ハイ、辞めたいです」

 

答えて気付いた、なかなか間抜けな声で返事をしたと思う

意外な質問に理解する前に口から出てしまった

 

それを聞いて亜紀が吹き出した

何が面白いのか、ケラケラと無邪気に笑って居る

ひとしきり笑った後、息を整えながら息も絶え絶え言う

 

亜紀

「良かった……」

 

良かった?何が良かった?言葉の意味も分からない

何が良かった?

言葉の意味を理解するより先に

肩を寄せて頭を撫でられた

犬でも撫でてるかの如く、亜紀はケタケタ笑いながら京介の頭を抱き寄せながら撫でてる

 

京介は頭が混乱している

なんなんだ?何故この状態になる?

亜紀はそのまま続けた

 

能力が発現した事、それが原因で理不尽な扱いを受けた事、何度もBLITZに助けを求めたが無視された事

それがBLITZの局長や、攻撃隊の耳に入って無かった事

特殊部隊が軽く見て上層部や他の隊員に伝わらない様にしてた事

 

それを攻撃隊の隊長や隊員達が責任に感じてる事

BLITZの対応が原因で街が焼け野原になった事

妹の事、菜流の事、秋浩の事、母親の事

何処から仕入れたか分からない情報を話された

京介が誰にも言ってない事ですら話された

 

反面安心した部分もある

この半年、同じ隊に居る五条司の事は、否が応でも目に入る

話し方、行動、訓練時の対応、色々目に入る

この人はお節介で世話焼きで優しいんだな

京介が司に感じた印象

 

そんな男が無責任な訳は無いよな……

そんな男が、子供の訴えを無視する訳無いよな……

亜紀の話と自分の見たもので、ある意味では答え合わせが出来た様なものだ

 

入隊時に、自分が頭を下げる必要が無い場面なのに、対能力者特別攻撃隊の総隊長が

ヒラ隊員に向かって頭を垂れた

何故、責任を感じる必要が無かったのに、誤解を解く事も無く京介達に頭を下げたのか

 

罵倒も覚悟の上だったのだろう

きっと、BLITZである事、その総隊長である事、能力者である事、大人である事

それらの全ての責任を感じたんだろう

司本人も、恥じたのかもしれない

 

京介は何も言えずそのまま聞いていた

 

五条司は、隊員の前ではヘラヘラ話すが

基本寡黙であまり感情を人には話さない

五条亜紀もそれを理解してる為、あまりそれを人に話さない

 

亜紀

「お話、付き合ってくれてありがとうねwまた今度ゆっくり話したいな w、今度は妹さんのお話とかね」

 

亜紀はそう言うと、最後に頭を優しくひとなでして去っていった

 

 

 

クリムゾンインパクトの2週間前

 

木星の衛星の一つに、巨大な建築物の様なものがあった

人か住める様に、大気を作れる装置はどの星や衛星にも設置はしていた

しかし、植民地にするには衛星が調査されて居ない衛星だった

 

他の支部が行ってたのか?

アメリカやイギリス、ロシア、フランス

全世界の支部に調査をしたかの確認はしたが、何処も返答はNoだった

 

となると、宇宙人の仕業、もしくは星間連合に属さない何かの仕業

 

それに伴いBLITZの現地調査が決定の様なもので、それに向け、先遣隊とは名ばかりの調査隊を送り込む事になる

 

BLITZの隊長格同士での会議の結果、攻撃隊が戦力を選定して向かう事になった

 

それを総隊長から、ブリーフィングで各小隊長に向かって伝えられた

 

いつもの調査とは違うほぼ全軍での出撃、各々から質問はあったが、1番聞きたかったのは、攻撃隊全軍で行く必要性は?

 

五条司は索敵部隊の話と、他支部のBLITZとの話し合いを合わせて、結果を出した

間違い無く、スカーレットスコルピオの拠点の一つだと

 

何が起きるか分からない

こちらから出向くには、最大戦力で一気に叩く必要性があった

万が一間違えた場合は、その時の責任を取ればいい

確証があった、確信を持っていた

 

ブリーフィングが終わってから

司が京介に声をかけた

 

「京介w時間ある?w」

 

京介

「なんでしょう……」

 

「訓練しようぜw屋内の実戦形式w」

 

京介

「……はっ?」

 

司がフラメンコのダンサーの様な仕草で手を叩く

 

「ハイハイハイハイw皆ちゅーもーく!

今から2時間後に屋内訓練場で実戦形式の訓練しますよぉ!w」

 

小隊長一同

「はっ?……」

 

唐突な提案

小隊長一同はまた何時もの事かとやれやれと言う感じで返事をした

 

小隊長一同

「……りょーかーい……」

 

気の所為か面倒そうな雰囲気が漂う

 

京介

「実戦訓練ですか?」

 

「そうそうw

今回は京介も来て貰わないと行けないからw」

 

京介

「自分より、三条大尉の方が適任かと思いますが……」

 

「…お前は多分そう言うとは思ったwでもまぁそうもいかんのよw、一応言っておくけど、お前の同期での出撃はお前だけの予定だからさw」

「聞かれる前に答えるけどw正直お前より戦闘は弱いのw、それはイコール死に直結するんでなw」

「スカーレットスコルピオってそう言う連中だからw

……それとここだけの話wお前はうちの小隊長より既に強いよw」

 

その言葉が腑に落ちない表情で返事をする京介

「…了解です…」

 

屋内訓練場

 

「ハーイw揃ったねーw

今からルールの説明するからなーw」

 

小隊長

「……あの、何故急に屋内訓練を?」

 

「イイ質問ねーw

今回の作戦は、戦闘力の関係でルーキーちゃんも出撃しまーすw

そのルーキーちゃんはこちらの西島京介くんでぃすw

それで、まぁ小隊長以下の隊員が実力も分からないのに実戦で後ろを任せられるか不安だろうから、とりあえずここで軽ーく実戦訓練をした方がわかりやすくて、皆の不安を払拭出来るかと思った次第でーすw」

 

小隊長一同

「……あぁ〜……」

 

「ハイ、わかった所でルールの説明ねw

武装はゴムナイフ1本

屋内に敵の勢力が潜伏、完全武装の20人

敵役は銃器の使用を認めるけど、ペイント弾のみねーw

能力も建物壊さないなら使っていいよーw

潜入側は、京介と秋浩の2名w」

 

京介、秋浩

「……はっ?二人だけですか?」

 

「そう二人wキツイ?w

出来なそうなら増やすけどw」

 

動じてる秋浩に反して、京介は言う

京介

「問題無いです……」

 

「んじゃ敵役は……3番隊にお願いしようかw

20人配置して、出来たら連絡ちょうだいw」

 

3番隊隊員

「小隊長……さすがにこれは……」

 

3番隊小隊長

「……いや、もしなんだったら、総隊長とやるくらいに考えてた方がいいだろうな……」

 

3番隊隊員

「え……幾らなんでもそれは……」

 

3番隊小隊長

「わざわざ総隊長が不利すぎる条件で訓練させるんだ……

俺たちもそれなりにやる気になってないと危ないって事だろうさ……」

 

3番隊隊員

「……了解しました……」

 

京介

「…秋浩、お前は後ろだけ警戒してて貰える?」

 

秋浩

「え?後ろの警戒ってもよ」

 

京介

「いや、何か見えたら教えてくれるだけでいいのよw

勘違いでもいいし、お前の目に何か映ったら教えてくれればw」

 

秋浩

「おっおう!……」

 

京介がその返事を聞いた直後、銃器や能力を使う前に、3人が秋浩の前に投げ捨てられた

 

秋浩

「はっ?……」

 

京介

「後ろ、なんか見えた?w」

 

秋浩

「おっおう……異常無し……」

 

京介は秋浩に笑顔を向けて、軽く頷くとそのまま階段から上に登った

 

屋内訓練場は5階建ての小規模ビルを模倣している

残り4階にあと17人

 

1階の隊員の事を踏まえ、初めから能力や銃器を使ってはいたが、京介にはかすりもせず、発砲させる事も一切せず

淡々と3番隊の隊員を気絶させていた

叫び声もあげる余裕すらない速さで次々に

 

予想はしていたが、想像を飛び越えた動きの京介に、秋浩はカバーもサポートも要らないのだと実感した

戦場に出れば百戦錬磨だろう

しかし当の本人にやる気のやの字もありはしない

いや、逆に戦う気で戦場に出てしまえば、これほど恐ろしい事態は無いと感じた

 

京介

「後二人?」

 

秋浩に問う、秋浩は半分呆れとも取れない顔で答える

 

秋浩

「……ふたりw」

 

屋内訓練場から屋上に出た

二人を待ち構えていたのは、3番隊小隊長、そして副小隊長の二人

 

3番隊小隊長

「…君つっよいなぁw

うちの隊員が手も足も出なかったかぁw

呆れると言うか、末恐ろしいと言うかw」

 

3番隊副隊長

「褒めんでください!!

隊員が弱いのか、京介が強いのかは分からないですが、ルーキーに惨敗ですよ……」

 

3番隊小隊長

「うん?wそりゃあルーキーちゃんが強すぎるんだろうw

うちの隊は斥候部隊だwそれを叫び声も上げずに仕留められたら、ねぇ?w」

 

3番隊副隊長

「何の躊躇も無く、ルーキーにしては良く出来てますね……戦闘経験は薄いはずなのに……」

 

3番隊小隊長

「お前はいいよw多分怪我をする……負け扱いなw」

 

3番隊副隊長

「えぇ……さすがに酷く無いですか……」

 

3番隊小隊長

「作戦前に余計な怪我人出したくないのw

俺に何かあればお前が変わるんだからよw」

 

3番隊副隊長

「……了解です……程々にしてくださいよ……危なくなったら停めますからね…」

 

3番隊小隊長

「さてさて、秋浩も下がってなw危ないからw京介、訓練の仕上げだ……力比べと行こうかw」

 

3番隊小隊長の能力は見ていない

バチバチと音がする

察するに、木火土金水の金属性の何かではあるだろう

2メートルを切る程度の体躯を屈め、何かしてこようとしている

京介は構えようともしない

 

秋浩の目には二人が同時に姿を消した様にしか見えなかった

風切り音と砂ぼこりが舞う

そして刹那の瞬間、3番隊小隊長が、京介に組み伏せられ、地面に寝かされていた

 

秋浩、3番隊副隊長

「はっ?」

 

二人の動きは誰にも見えて無かった

秋浩は驚愕した、小隊長クラスで、既に自分の想像を絶する

しかしそれよりも、それすら手玉に取ってる京介の底の知れない強さ

3番隊副隊長も京介の強さを見誤って居た

自分よりはるかに格上の小隊長が、一瞬で寝かされて居たからだ

 

3番隊小隊長

「……はっwなかなか強いなw」

 

京介

「……すんません……もう一度お願いできますか?」

 

3番隊小隊長

「応っ!もうひとつ!!」

 

京介

「…了解です」

 

また二人の姿が消える

妙な耳鳴りが起きる

3番隊小隊長が倒される

 

10数分程度だが、同じ光景が何度も繰り広げられた

そして、3番隊小隊長が急に大笑いをする

 

3番隊小隊長

「ハッハッハッ!!強いなぁw強いw良いぞぉw西島京介w

手加減したとは言え、ここまで手玉に取られるなんてなw俺たちを越えられるwとりあえず今日は負けだw」

 

3番隊小隊長が、のそのそと京介の所に近寄り、京介の手を取りゴムナイフを首に当て、血糊をつける

 

まさかの訓練の終了である

 

3番隊副隊長

「大丈夫ですか?途中から俺も見えなくなってましたが……」

 

3番隊小隊長

「アレは強いw……実は手加減しとらんのだw多分俺たちはすぐ追い抜かれるw」

 

自身の隊の小隊長が、手加減してないと聞いた副隊長は、開いた口が塞がらなかった

 

 

クリムゾンインパクトの1週間前

 

京介は1日の業務を終え次の日から二日程非番になる、そのため家でゆっくり出来ると少しウキウキしていた

お菓子を買い込んで見てない映画でも見ようと考えていた矢先

司と亜紀が声を掛けてきた

 

「京介っチャオ!w」

 

京介

「…なんですか、そのあだ名は……」

 

「いやごめんごめんw

明日非番だろ?俺たちも被って非番なんだけどさw

良かったら飯食いに来ねぇ?w」

 

京介

「…飯……ですか?」

 

「うんうんw亜紀がお前と一緒に飯食べたいらしくてさw

なんなら妹ちゃんも一緒にどうかと思ってさw

まぁ無理にとは言わないからさw予定があったら全然いいしw」

 

京介

「……今日ですか?」

 

亜紀

「あっ、予定あったら合わせるからw無理しないでいいのwしのぶちゃんだっけ?w1度会いたいなって思ってw」

 

京介

「忍ですか……ちょっと連絡しますんで……

まだお二人は帰らないですよね……」

 

「隊室に居るから、声掛けてくれよなw」

 

京介

「……ハイ、ちょっと連絡します……」

 

そう言うと京介は自販機ルーム兼喫煙所に行って忍に連絡をした

 

京介

「忍?家に帰った?」

 

「うんw家だよwどうしたの?w」

 

京介は事の顛末を忍に話した

忍は興味ありげにその話を聞く

忍は食い気味に行きたいと返事をする

京介は反応が意外だったので、確認を重ねた

 

京介

「……行きたいんか……」

 

「ダメ?お兄ちゃんの上司さんのお話とか聞きたいし、お料理も他のお家のお料理は勉強になるしw」

 

京介

「……ダメじゃねぇよ、わかった、今伝えるから、迎えに行くから支度してな……」

 

「ヤタ!んじゃ待ってるからw気をつけてねぇw」

 

忍の返事を司に伝えに向かう

細かく家の情報を貰う

亜紀は腕捲りをして、気合いを入れて料理を準備する気で意気込んでる

 

それじゃあ後でと見送られる

 

車で帰路に着く

車内で京介が考えていた

……他人の家の食事なんて、何年ぶりだろうな……

 

心配を他所に、忍が明るい声で出迎えてくれる

 

「おっかえりーwお母さんねw、ママ友会の打ち合わせで、もう少し遅くなるから食べててってーw」

 

京介

「おう、んじゃシャワーだけ浴びるから、もう少し待っててくれな」

 

忍の頭を撫でながら伝える

忍はうん、と返事をしてソファに寝転がった

 

準備が出来ると忍もウキウキとして、出かける準備完了だった

そのまま二人は五条家に向かい、車を走らせた

忍がウキウキした様子で、楽しみだと話してるうちに、五条家に到着する

 

想定よりデカイ屋敷に忍もウキウキとしている

呼び鈴を鳴らす

ハァーイと明るい亜紀の声が聞こえた

 

玄関を開けて目に入ったのは

不自然な程満面の笑みを浮かべる、上裸にエプロン姿の筋肉モリモリマッチョマンの変態……もとい司だった

 

京介も家ではおチャラけて忍を笑わせようとするので慣れてはいたが、BLITZが堅いイメージがあった忍は、妙なツボに入ってケラケラと笑い出してしまった

 

それを見た司は、何故か勝ち誇った表情でいらっしゃいと言葉をかけた

言葉と同時にボディビルダーの様にポーズを変えると、更に忍が笑った

釣られて京介も顔を背けて肩を震わせ笑った

この時、12月である

 

時間にして2分も無いくらいではあるが、背後から亜紀が声をかける

 

亜紀

「寒いから早く入ってもらってよw玄関先で何してんのw」

 

「応wいや、思いのほか受けたからw」

 

BLITZとは全く違う雰囲気で、優しく暖かかった

 

家に入ると、亜紀が優しく迎えてくれた

 

亜紀

「いらっしゃいw寒かったでしょうw、ごめんね〜、せっかく来てもらってw、しっかりおもてなしするからw」

 

お邪魔しますと兄妹で挨拶をし、室内に通された

早く着替えてこいと亜紀に急かされ、司は着替えに行った

 

忍は緊張がほぐれてはいたが、京介の手をずっと握っていた

 

嫌いなものは無いかと尋ねられた時、京介は職業がら大丈夫だが、忍に聞き損ねて居た事を思い出し亜紀は慌てて聞いた、勿論無い、と

 

社交辞令のやり取りを終えて、未だに玄関のやり取りが頭から離れない忍は、落ち着くまでケラケラと笑っていた

 

手伝おうとしていた忍に対し、亜紀はお客さんだから座ってていいと諭し、可愛いやら良い子やら忍を褒めていた

 

褒められる事に慣れて無い忍は、顔を真っ赤にして照れていた

それがますます亜紀の母性をくすぐり、忍は照れて話せなかった

 

ちょうど司が着替えて2階から降りてきた

改めていらっしゃいと声を掛け

忍と亜紀の様子を見ながら、柔らかい笑顔で見ていた

 

京介達と早くこうしたかった事

妹の忍と仲良くなりたかった事

BLITZでの訓練や司の様子

上司としての事

京介に気を張らせたくない事

亜紀が京介を弟の様にかわいがって居る事

 

様々な話を、亜紀の手料理を食べながらしていた

忍は料理が上手くなりたい

お兄ちゃんが上手く出来てるか心配していたとも話した

忍が居ないところでは、二人に頼るしか無いから、忍が京介をお願いしますと

 

様々な話と食事が美味しく、楽しい時間はあっという間だった

 

お腹がいっぱいになった忍は、ウツラウツラとしていた

 

泊まって行けと提案されたが、初めて来た上官の家に泊まるのははばかられる

しかし、次に来た時は泊まらせて欲しいと話し、五条家を後にした

 

ウツラウツラしながら、京介に抱き抱えられ、忍は呟いた

「あの人達ならお兄ちゃん大丈夫だね」

声には出さないが、京介も頷いた

 

 

クリムゾンインパクトの3日前

 

五条家に招待された後、別段特別には何も変わりなく過ごしている

せいぜい忍がまた行きたいとせがむ程度だ

亜紀さんの手料理がお気に召したらしい

たしかにアレは美味かった

司さんのイレギュラーな行動も楽しんだ様だ

総隊長がアレでは、笑う他ない

 

響華さんにと料理をもらって帰った

響華さんも大分褒めていた

それをあの二人に伝えたら、分かりやすく大喜びしていた

今度の作戦が終わったら、家族で食べに来いと招かれた

楽しみが増えた

忍の喜ぶ顔も、響華さん相手にアレをやるかどうか分からない司さんも

 

ただ作戦が長くなりそうだ

本の少しだけの我慢

我慢するのは慣れている……

 

今度の作戦に秋浩が連れていかれないのを愚痴っている

秋浩は2番隊に配属されていたが、小隊長、副隊長にダメだとキッパリ言われた様だ

 

本部に留守番は退屈だと嘆いている

 

菜流も同じく、亜紀さんに本部付けと言われたらしい

菜流は聞き分けが良いから、別に愚痴は言わないが、俺に対する視線がキツイ

多分怪我をするなと言う意味なんだろが

実戦部隊に無傷は厳しいだろう

小言は覚悟しなくてはならない

 

何事も無く過ぎて行く日々が、このまま続けばいいと思う

儚き夢とは思う、BLITZが全員暇になれば、それが本当は一番いいのはまた皮肉だろうか

 

 

クリムゾンインパクトの前日

 

今日は半休で、作戦に参加する隊員が全員帰された

明日に備えて各々ゆっくり休んで、備えろとの総隊長の命令だ

 

家に帰っても、時間的にはまだ誰も居ない

忍はまだ学校だし、響華さんは夕方にしか帰らない

とりあえず風呂に入って少し眠ろう

ゆっくり湯船に浸かり

目を閉じる

菜流、響華さん、忍、司さん、亜紀さん

何故か顔が浮かぶ

 

普段は飲まない酒を少し飲んだからかな?

 

大きい作戦には初めてだ

初めて参加する……

作戦自体が初めてだな……

 

……考えた所で仕方ない

やれる事をやってみよう……

 

思いのほか長風呂だったらしい、忍が帰って来た

バタバタと足音を鳴らして、風呂場に来た

 

「お兄ちゃん?入ってるの?w」

 

京介

「あぁ、悪い今上がるよ」

 

「…ねぇねぇw一緒に入ってもいい?w」

 

京介

「?一緒に?、まぁ良いけど……嫌じゃないか?」

 

「なんで?w嫌じゃないよw待っててねw」

 

またバタバタと足音が右往左往する

 

ガラっ!!

 

風呂の扉が勢い良く開く,忍が元気良く入ってくる

 

「さっむ!!」

 

まぁ、日中とは言え12月だもんなぁ……

そそくさと身体を洗い、髪も洗ってようやく湯船に浸かる

幸い風呂場をでかく作ったお陰で、3人くらいは入れる

 

忍がほくそ笑みながら近づいてくる

 

京介

「どうした?」

 

「うぇっへっへw、お兄ちゃんとお風呂久しぶりだもんw」

 

何気ない言葉に和んでしまう

忍の頭をゆっくり撫でながら、そんなに入りたかったか?と聞いてみる

当たり前と言われた

それだけ寂しかったんだろう

悪い事をした

響華さんと一緒に入ったりしてるが、忍は俺が分からない所で我慢してるんだろう……

 

ゆっくり二人で浸かったら、さすがにのぼせたらしい

忍がヘロヘロになった、背伸びはしているがまだ子供だ

 

風呂場から出してやり、夕飯にはまだ早いから、コンビニでアイスでも買ってくると伝えた

ヨロヨロで手を振り、行ってらっしゃいとか細い声で言われる

 

車で数分のコンビニで、普段高くて買えないアイスを、袋いっぱい買って帰る

 

タイミング良く忍が着替え終わった所だった

普段食べれないアイスを、喜びながらありがとうとほうばる

 

まだまだあると、冷凍庫にしまう

隣に身を寄せ、はしゃぎながらアイスを食べる妹が居る

 

……これだけで良かったんだよ……

 

響華さんが帰ってきた、いい時間になってる

どうやら少し眠ったらしい

忍は俺にしがみついて寝て居る

頭を撫でて起こす

寝ぼけておはようと声を出す

 

寝起きでお腹が空いたのか、忍のお腹の音が聞こえた

響華さんはそれを聞いて、待っててねとパタパタと準備をする

 

もう少し寝てて良いかと聞かれる

良いよと答えると、またしがみついて眠った

 

響華さんに何か手伝おうかと尋ねる

笑みを浮かべながら、お兄ちゃんは忍ちゃんと待っててと話す

忍を起こさない様に配慮したんだろう

 

食事が出来、良い匂いが漂う、匂いに釣られて忍が起きる

頭を撫でて、おはよう、とからかう

忍は寝ぼけながらも笑顔でおはよう、と返す

 

しばらくは家に帰れないから、一旦この団欒は味わえない

 

今日は何故だか忍が俺から離れたがらない

食事の時も隣で食べている

他愛もない話をして、食事を終え、デザートにまたアイスを食べる

二人とも喜んでくれて嬉しいと感じた

 

忍は部屋に居ると歩いていった

 

それを見届けた響華さんが、俺に向き直り聞いてきた

 

響華

「お兄ちゃん?……お仕事、辛くない?」

 

急に何を言ってるのか分からなかったが

心配してるのはわかった

 

京介

「辛くはないよw大丈夫……」

 

響華

「無理だけはしないでね?」

 

そう言うと、俺を抱き締め頭を撫でる

何故急にそんな事をされたのか、良く分からない

だが、悪い気はしない、しばらくそのままでいた

 

響華

「明日から出張なんでしょ?気をつけるのよ?」

 

頭を撫でながら問われる、無言で頷く

 

手を離され、目を見て言われた

 

響華

「待ってるからね」

 

無言で頷く

 

自信を持って、返事が出来なかった

 

作戦は早朝だ

早めに休むと伝え、部屋に向かう

おやすみなさいと言われ、おやすみと答える

 

部屋で寝ようとすると、忍が入って来た

どうした?と聞くと

一緒に寝たいと照れながら言われる

 

別に良いと答えるが、疑問を聞いてみる

 

京介

「何故今日はくっつきたがるんだい?w」

 

忍が答える

「わかんないけどこうしてたいw」

 

そこで問うのはやめた

同じベッドに入り、忍の頭を撫でながら、眠りに付く

 

京介

「帰って来たら、スイーツ食べ放題にでも行くか?……」

 

忍が答える

「うんwいっぱいケーキ食べるw」

 

一緒に行こうな……

 

 

 

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