トランスフォーマー 〈レギオスティコン〉   作:Ks5118

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 前回よりも文字が増えましたが、楽しんで下さい。


トランスフォーマー レギオスティコン・リベンジ

 遥か昔──

 

 人類がまだ存在する遥か以前、地球はすでに戦場だった。

 

 空は裂け、巨大な機械生命体たちが降り立つ。

 

 彼らは後に「トランスフォーマー」と呼ばれる存在。

 

 その中でも、特に強大な力を持つ者たちがいた。

 

 “プライム”と呼ばれる存在たちである。

 

 彼らの目的はただ一つ。

 

 エネルギーの確保。

 

 そのために建造されたのが、太陽をも喰らう装置──

 

 後に“スター・ハーベスター”と呼ばれる禁忌の機構だった。

 

 しかし、その力はあまりにも危険だった。

 

 太陽を破壊すれば、その星の生命はすべて消滅する。

 

 それを理解したプライムたちは決断する。

 

 この装置は使ってはならない──

 

 彼らは装置を封印し、その起動鍵である「マトリクス」を隠した。

 

 誰にも届かぬように。

 

 だが、その決断に反発する者がいた。

 

 フォールン

 

 最初のプライムにして、最初の裏切り者。

 

 彼は力こそがすべてだと信じていた。

 

 生命の犠牲など、取るに足らない代償だと。

 

 戦いが始まる。

 

 かつて同胞だった者同士が刃を交え、

 

 地球そのものを揺るがす激戦となった。

 

 やがてフォールンは敗れ、封印される。

 

 プライムたちもまた、その戦いの中で姿を消していった。

 

 そして──

 

 その歴史は、長い眠りにつく。

 

 だが。

 

 “すべてが終わったわけではなかった”。

 

 時代は流れ、現代。

 

 人類はまだ知らない。

 

 この星に眠る“過去”の重さを。

 

 そして──

 

 それを知る者が、まだ存在していることも。

 

 荒野の彼方。

 

 風が砂を巻き上げる無人地帯。

 

 その中を、重々しいエンジン音が響く。

 

 一台の大型輸送車──

 

 軍用トランスポーターが静かに進んでいた。

 

 だが、それはただの車両ではない。

 

 次の瞬間、金属が軋み、構造が変形する。

 

 巨大な人型へと変形するその姿。

 

 ガルバス。

 

 かつてサイバトロン星で戦闘教官を務めた戦士。

 

 そして今は──レギオスティコンの指揮官。

 

 彼は空を見上げる。

 

 何もない。

 

 だが、その視線は“何か”を捉えている。

 

「……動き出しているな」

 

 低く、静かな声。

 

 それは確信だった。

 

 彼の背後には、数体の機影。

 

 スカイアーム。

 

 ドレッドウィング。

 

 ブレイクハイド。

 

 ノチェット。

 

 そして──スティンビー。

 

 少数。

 

 だが、どれも一騎当千の戦士。

 

 それがレギオスティコン。

 

「動くのか?」

 

 短く問うドレッドウィング。

 

 ガルバスは、わずかに首を振る。

 

「……まだだ」

 

 その一言に、誰も異を唱えない。

 

 彼らは知っている。

 

 敵の規模を。

 

 ディセプティコン。

 

 そしてテラーコン。

 

 その数は、彼らとは比較にならない。

 

 正面から戦えば──終わる。

 

 だからこそ。

 

「戦いは選ぶ」

 

 それがガルバスの流儀だった。

 

 スティンビーが前に出る。

 

「でもよ! このままじゃ──」

 

 その言葉を、ガルバスは遮る。

 

「焦るな」

 

 一瞬で空気が変わる。

 

「今動けば、無駄に削られるだけだ」

 

 冷静な判断。

 

 感情ではなく、結果を見据えた言葉。

 

 ノチェットが静かに続ける。

 

「……生存率、優先ですね」

 

「ああ」

 

 短く答えるガルバス。

 

 だが、その視線の先には──

 

 すでに別の運命が動き始めていた。

 

 一人の人間。

 

 一つの選択。

 

 そして、かつての同胞。

 

 メガトロン

 

 オプティマス・プライム

 

 彼らとの因縁は、まだ終わっていない。

 

 ガルバスは静かに目を閉じる。

 

 かつての戦場。

 

 かつての選択。

 

 そして──あの瞬間。

 

 “終わらせたはずの戦い”。

 

 だが、それはまだ続いている。

 

「……時が来れば動く」

 

 その言葉は、誰に向けたものでもない。

 

 だが確かに──

 

 これから始まる戦いへの、宣言だった。

 

 砂嵐が吹き抜ける。

 

 その中で、レギオスティコンは動かない。

 

 ただ、待つ。

 

 最適な瞬間を。

 

 すべてを決める、その一手を。

 

 世界各地で、再び異変が起き始めていた。

 

 人類はまだ気づいていない。

 

 だが確実に、“あの戦い”の残滓は動いている。

 

 軍の極秘部隊NESTは、オートボットと共に各地で活動を続けていた。

 

 ディセプティコンの残党を追い、排除するために。

 

 その中心にいるのは──

 

 オプティマス・プライム

 

 かつての戦いで勝利を収めたリーダー。

 

 だがその表情には、わずかな違和感があった。

 

 “終わっていない”

 

 それを理解しているのは、彼だけではない。

 

 遠く離れた地点。

 

 荒野の高台に、レギオスティコンは展開していた。

 

 視界の先には、NESTの部隊とオートボットの姿。

 

 そのさらに先に──戦場。

 

「接触距離、維持」

 

 ドレッドウィングの低い報告。

 

「敵影確認。小規模だが、動きが統制されている」

 

 スカイアームが続ける。

 

 ガルバスは黙ってそれを聞いている。

 

「……どう見る?」

 

 ブレイクハイドの問い。

 

 ガルバスはわずかに視線を動かす。

 

「前哨戦だ」

 

 即答だった。

 

「本命は、まだ動いていない」

 

 その言葉に、空気が引き締まる。

 

 “本命”──

 

 それが何を指すか、全員が理解している。

 

 スティンビーが苛立ったように足を鳴らす。

 

「じゃあ、ここで叩けるだろ! 数も少ねぇ!」

 

 その言葉に、スカイアームが冷ややかに返す。

 

「罠の可能性は?」

 

「……っ」

 

 言葉に詰まるスティンビー。

 

 ガルバスが一歩前に出る。

 

「敵の配置が甘すぎる」

 

 静かに言い切る。

 

「誘っている」

 

 沈黙。

 

 それは確信に近い分析だった。

 

「じゃあ……見てるだけかよ」

 

 スティンビーの声は抑えきれない。

 

 その感情を、ガルバスは否定しない。

 

 だが──

 

「そうだ」

 

 短く答える。

 

「今ここで動けば、敵は“こちらの存在”を確信する」

 

「そして次は、数で潰しに来る」

 

 淡々とした説明。

 

 感情はない。ただ事実だけ。

 

 ノチェットが補足する。

 

「現状戦力での正面衝突は、生存率が大きく低下します」

 

 スティンビーは拳を握る。

 

 理解はしている。

 

 だが納得はできない。

 

 その様子を見て、ガルバスは一言だけ加える。

 

「焦るな」

 

 それは命令ではなく、制御だった。

 

「戦いは、選べ」

 

 その言葉で、スティンビーはようやく下がる。

 

 完全には収まっていない。

 

 だが、止まる。

 

 その時──

 

 遠方で爆発。

 

 戦闘が始まる。

 

 NESTとオートボットがディセプティコンと交戦。

 

 激しい銃火とエネルギー弾が交錯する。

 

 だが、戦力差は明白だった。

 

 それを見つめるガルバス。

 

 その視線は戦場ではなく、“流れ”を見ている。

 

「……やはりな」

 

 小さく呟く。

 

「どうした?」

 

 ドレッドウィングが問う。

 

 ガルバスの視線が、わずかに動く。

 

 戦場の奥──

 

 まだ姿を見せていない“何か”へ。

 

「これは、呼び水だ」

 

 その一言で、全員が理解する。

 

 これはただの戦闘ではない。

 

 その時、スカイアームが新たな情報を拾う。

 

「……反応増大。地下から」

 

 ガルバスの目が細くなる。

 

「来るぞ」

 

 次の瞬間。

 

 地面が爆ぜる。

 

 巨大な影が姿を現す。

 

 ディセプティコン──

 

 だが、通常個体とは明らかに違う。

 

 それを見た瞬間、ガルバスは確信する。

 

「……始まったな」

 

 その言葉には、わずかな重みがあった。

 

 それは予測ではない。

 

 かつて終わらせたはずの戦い。

 

 メガトロン

 

 その名が、頭をよぎる。

 

「まだだ」

 

 誰に言うでもなく、ガルバスは呟く。

 

「今は動かない」

 

 レギオスティコンは、その場を動かない。

 

 目の前で戦いが起きていても。

 

 仲間ではない者たちが苦戦していても。

 

 それでも──

 

 動かない。

 

 なぜなら彼らは知っている。

 

 ここは“まだ”違う。

 

 本当に動くべき瞬間は、

 

 もっと先にある。

 

 砂煙の向こうで、戦いは激化していく。

 

 だがその裏で、

 

 静かに、確実に──

 

 運命が収束し始めていた。

 

 上海──

 

 高層ビルが立ち並ぶ都市の中心。

 

 突如として、大地が唸りを上げた。

 

 振動は一瞬で激震へと変わり、

 

 アスファルトが裂け、地下構造が崩壊する。

 

 そして──

 

 その裂け目から現れたのは、異形の巨体。

 

 ディセプティコン、デモリッシャー。

 

 巨大な車輪構造を脚部に持つその姿は、

 

 建造物すら障害と認識しない“移動する破壊兵器”。

 

 出現と同時に、周囲の車両が宙を舞い、

 

 ビルの外壁が削り取られていく。

 

「ギィィィィィ!!」

 

 金属が軋む咆哮。

 

 それは意思というより、本能に近い。

 

「NEST、戦闘配置!」

 

 人類側が即座に展開。

 

 装甲車が広がり、兵士たちが射撃体勢に入る。

 

 同時に、オートボットたちも変形。

 

 その中心に立つのは──

 

 オプティマス・プライム

 

「市民を退避させろ! ここは我々が抑える!」

 

 指揮が飛ぶ。

 

 だが、デモリッシャーはそれを待たない。

 

 巨大な腕を振り下ろし、

 

 ビルの一角を粉砕する。

 

 衝撃波だけで周囲が吹き飛ぶ。

 

「なんだこのサイズは……!」

 

 NEST隊員が叫ぶ。

 

「通常個体じゃない!」

 

 明らかに異常な規模。

 

 オプティマスが動く。

 

 地面を蹴り、一気に距離を詰める。

 

 デモリッシャーが迎撃。

 

 巨大な腕が振り下ろされるが、

 

 オプティマスは滑るように回避。

 

 脚部へ斬撃を叩き込む。

 

 だが、装甲は硬い。

 

 火花は散るが、致命傷には至らない。

 

「耐久が高い……!」

 

 直後、反撃。

 

 至近距離での衝撃波。

 

 オプティマスが弾き飛ばされる。

 

 NESTが援護射撃を行うが、効果は薄い。

 

 その時──

 

 戦場の外縁。

 

 高架道路の上を、銀色の車体が滑るように走る。

 

 異様な速度。

 

 無駄のない動き。

 

 それはディセプティコン──

 

 サイドウェイズ

 

 彼は戦っていない。

 

 ただ、見ている。

 

 センサーが戦場を走査する。

 

 オートボットの配置

 

 NESTの装備

 

 オプティマスの戦闘パターン

 

 すべてを記録。

 

「……オプティマス・プライム、確認」

 

 低く、機械的な声。

 

 視線が固定される。

 

 オプティマスの動き。

 

 回避、接近、斬撃。

 

 そのすべてがデータとして蓄積されていく。

 

「戦闘能力……前回記録と一致」

 

 次に、周囲へ。

 

 他のオートボット。

 

 人類の火力。

 

 連携の精度。

 

「連携精度……向上」

 

 わずかな沈黙。

 

 その瞬間。

 

 サイドウェイズは判断を下す。

 

「情報、十分」

 

 次の瞬間、急加速。

 

 戦場を離脱する。

 

 彼の役割は戦闘ではない。

 

 残されたデモリッシャーは、なおも暴れる。

 

「逃げたか!」

 

 NESTが叫ぶ。

 

 だがオプティマスは違う。

 

 煙の中から立ち上がり、静かに言う。

 

「違う……」

 

「あれは、任務を終えただけだ」

 

 つまりこれは──

 

 戦場の意味が変わる。

 

 これはただの襲撃ではない。

 

 デモリッシャーが再び咆哮する。

 

「フォールンは……蘇る……!」

 

 その言葉が響く。

 

 オプティマスの動きが止まる。

 

「……フォールン」

 

 その名。

 

 過去の記録にしかないはずの存在。

 

 だが、今──

 

 現実として語られた。

 

「終わらせる」

 

 オプティマスが再び構える。

 

 今度は真正面から突撃。

 

 デモリッシャーの攻撃を受け流し、

 

 跳躍。

 

 巨体の上へ。

 

 全出力のブレード。

 

 装甲を貫通し、内部へ突き刺さる。

 

「フォールンは……!」

 

 内部エネルギーが暴走。

 

 爆発。

 

 巨体が崩れ落ちる。

 

 戦闘終了。

 

 だが──

 

 本当に去ったのは、どちらか。

 

 遠く離れた地点。

 

 高速で走る銀色の影。

 

 サイドウェイズはすでに通信を開始していた。

 

「報告する」

 

「オートボット、戦力確認完了」

 

「オプティマス・プライム、生存」

 

「人類部隊との連携、強化傾向あり」

 

 わずかな間。

 

「……計画、次段階へ移行可能」

 

 通信は途切れる。

 

 戦場の情報は、確実に“敵の中枢”へと届いた。

 

 そしてその情報が──

 

 次の戦いを、引き寄せる。

 

 夜の上海。

 

 戦闘の痕跡は、まだ街に残っていた。

 

 崩れた建造物。

 

 焼け焦げた地面。

 

 そして──

 

 人類が回収しきれなかった“残骸”。

 

 その一角。

 

 封鎖されたはずの区域に、微かな影が走る。

 

 低く、静かに。

 

 四肢で地面を蹴る、小型の機械生命体。

 

 ラヴィッジ

 

 犬型のトランスフォーマー。

 

 その動きは獣のようでありながら、

 

 無駄が一切ない。

 

 目的はただ一つ。

 

 ー回収任務

 

 彼の視線が、ある一点に固定される。

 

 瓦礫の隙間。

 

 微かに光る、青白い輝き。

 

 それは──

 

 オールスパークの欠片。

 

 かつての戦いで砕け散った、

 

 創造と破壊の源。

 

 その一部が、未回収のまま残っていた。

 

 ラヴィッジはゆっくりと近づく。

 

 センサーが反応。

 

「対象確認」

 

 低い電子音。

 

 周囲に人影はない。

 

 監視も、今は途切れている。

 

 次の瞬間。

 

 ラヴィッジの口部が展開。

 

 機械的な顎が開き、内部の回収ユニットが露出する。

 

 慎重に──

 

 だが確実に。

 

 オールスパークの欠片を掴み取る。

 

 その瞬間。

 

 エネルギーが微かに脈動する。

 

「……」

 

 ラヴィッジは一瞬だけ動きを止める。

 

 欠片が発するエネルギー。

 

 それは小さい。

 

 だが──

 

 ー“何かを再起動させるには十分な力”

 

 回収完了。

 

 ラヴィッジはすぐに反転。

 

 来た道を戻る。

 

 その動きに一切の迷いはない。

 

 直後。

 

 遠くでサイレンが鳴る。

 

 人類の巡回部隊が近づいている。

 

 だが、遅い。

 

 ラヴィッジはすでに闇の中へ消えていた。

 

 数時間後──

 

 海上。

 

 人類の手が及ばない深海域。

 

 暗闇の底に、巨大な影が横たわっている。

 

 それはかつての支配者。

 

 メガトロン の亡骸。

 

 かつて、

 

 サム・ウィトウィッキー の決断により倒され、

 

 その処理として海へ沈められた存在。

 

 だが──

 

 終わってはいなかった。

 

 その場に現れる複数の影。

 

 ディセプティコン。

 

 その中央に立つのは、あの男。

 

 銀色の機体。

 

 鋭い翼。

 

 スタースクリーム

 

「……回収は完了したか」

 

 冷たい声。

 

 その前に、ラヴィッジが姿を現す。

 

 静かに頭を下げ、口部を開く。

 

 中から現れるのは──

 

 青白く輝く欠片。

 

 スタースクリームの目が細くなる。

 

「それでいい」

 

 その瞬間。

 

 周囲のディセプティコンたちが動く。

 

 メガトロンの亡骸が引き上げられる。

 

 その巨体は損傷している。

 

 だが、完全に破壊されてはいない。

 

「復元を開始しろ」

 

 スタースクリームが命じる。

 

 ラヴィッジが前へ出る。

 

 慎重に。

 

 確実に。

 

 オールスパークの欠片を、メガトロンの胸部へと接触させる。

 

 一瞬の静寂。

 

 次の瞬間──

 

 閃光。

 

 エネルギーが走る。

 

 欠片から放たれる力が、メガトロンの内部へと流れ込む。

 

 沈黙していた回路が、再起動する。

 

「……ッ」

 

 微かな振動。

 

 指が動く。

 

 装甲の隙間から光が漏れる。

 

「システム……再構築……」

 

 断片的な音声。

 

 そして──

 

 目が、開く。

 

 赤い光。

 

 メガトロン が、再び“目覚める”。

 

「……ここは……」

 

 低く、重い声。

 

 スタースクリームが一歩前に出る。

 

「我らが主よ」

 

「あなたは敗北した。しかし──終わってはいない」

 

 わずかな沈黙。

 

 メガトロンの視線が動く。

 

 記憶が蘇る。

 

 戦い。

 

 オプティマス。

 

 そして──

 

 “押さえつけられた感触”

 

「……ガルバス」

 

 低く、唸るような声。

 

 怒りでも、憎しみでもない。

 

 ー“刻まれた屈辱”

 

 ゆっくりと立ち上がるメガトロン。

 

「次は……終わらせる」

 

 その言葉と共に。

 

 かつて終わったはずの戦いが──

 

 再び、動き出す。

 

 深海──

 

 闇の底。

 

 鋼の亡骸が横たわる。

 

 メガトロン

 

 その周囲を取り囲むディセプティコンたち。

 

「始めろ」

 

 誰かの声ではない。

 

 “命令”そのもの。

 

 前に出るのは、

 

 ラヴィッジ

 

 口部が展開する。

 

 だが、現れたのは欠片ではない。

 

 内側から這い出る、異形。

 

 ドクター

 

「フフフ……確認……」

 

 歪な動きでメガトロンの亡骸を調べる。

 

「……足りない」

 

 その一言で、空気が凍る。

 

 ドクターが振り向く。

 

 一体のディセプティコンを指差す。

 

「それを寄越せ」

 

「なっ──」

 

 言い終わる前に。

 

 両隣のディセプティコンが動く。

 

 掴む。

 

 引き裂く。

 

 一瞬で分解。

 

 抵抗は許されない。

 

 残骸がそのまま運ばれる。

 

 ドクターがそれを無造作に接合する。

 

「これで……いい……」

 

 ラヴィッジが再び口を開く。

 

 現れる青白い光。

 

 オールスパークの欠片。

 

「始める……」

 

 胸部へ接触。

 

 閃光。

 

 エネルギーが流れ込む。

 

 停止していた存在が、再び動き出す。

 

「……ッ」

 

 指が動く。

 

「システム……再構築……」

 

 そして──

 

 赤い光。

 

 メガトロン、復活。

 

「……ここは」

 

 ゆっくりと立ち上がる。

 

 その瞬間。

 

 空を見上げる。

 

「……呼んでいるな」

 

 次の瞬間。

 

 地面を蹴る。

 

 爆発的な推進。

 

 海面を突き破り、空へ。

 

 水柱が天へと伸びる。

 

 そのまま加速。

 

 止まらない。

 

 ー 一直線に飛ぶ

 

 目的地は一つ。

 

 封印の地。

 

 砂漠。

 

 荒れ果てた遺跡。

 

 そこに、“存在”している。

 

 フォールン

 

 時空を歪める異質な気配。

 

 メガトロンが着地する。

 

 衝撃で砂が吹き飛ぶ。

 

 その場で膝をつく。

 

「フォールン様」

 

 フォールンがゆっくりと視線を向ける。

 

「……目覚めたか」

 

 その声だけで、空気が支配される。

 

 スタースクリームはすでにその傍らに控えている。

 

 スタースクリーム

 

「状況を報告しろ」

 

 メガトロンが顔を上げる。

 

「オプティマス・プライムは生存」

 

「人類と連携」

 

「戦力は増強傾向」

 

 わずかな間。

 

「未確認戦力あり」

 

 フォールンの目が細くなる。

 

「ほう」

 

「戦闘能力……我と同等クラス」

 

 沈黙。

 

「識別不能」

 

「一部では“幽霊部隊”と呼称」

 

 フォールンは静かに言う。

 

「それが答えだ」

 

「……?」

 

 メガトロンがわずかに眉を動かす。

 

 そして──

 

「プライムは、二人いる」

 

 その言葉。

 

「……何だと?」

 

 明確な驚き。

 

「プライムは一人だ」

 

 オプティマス・プライム

 

 それが事実のはずだった。

 

「違う」

 

 フォールンは断言する。

 

「もう一人いる」

 

 沈黙。

 

 だが、メガトロンの中で繋がる。

 

 あの戦場。

 

 自分を止めた存在。

 

「……ガルバス」

 

 その名が、重く落ちる。

 

 ー 噂

 

 ー 未確認戦力

 

 すべてが一つに繋がる。

 

 ー “もう一人のプライム”

 

 フォールンが告げる。

 

「マトリクスを探せ」

 

「それがなければ、我には触れられん」

 

 メガトロンは立ち上がる。

 

「すべてを終わらせる」

 

 その目に宿るのは、

 

 オプティマス

 

 ガルバス

 

 二人のプライム。

 

 そして──

 

「今度は、確実に」

 

 砂漠の空に、緊張が張り詰める。

 

 戦いは次の段階へ。

 

 もはやこれは──

 

 ー “プライム同士の戦い”へと変わった

 

 アメリカ──

 

 大学の講義室。

 

 日常は、何事もなかったかのように続いていた。

 

 だが、その中に一人だけ。

 

 “普通ではいられない人間”がいる。

 

 サム・ウィトウィッキー

 

 彼の前には、一冊の本。

 

 だが視線はそこにない。

 

「……っ」

 

 頭を押さえる。

 

 次の瞬間。

 

 “見える”。

 

 意味不明な記号。

 

 機械の構造。

 

 回路の断片。

 

 それらが、頭の中に流れ込んでくる。

 

「なんだ……これ……」

 

 制御できない情報。

 

 理解できないのに、“知っている”。

 

 ーオールスパークに触れた代償

 

 その影響は、まだ残っていた。

 

「サム?」

 

 隣の学生が声をかける。

 

「大丈夫か?」

 

「……ああ、大丈夫」

 

 嘘だった。

 

 まったく大丈夫ではない。

 

 講義の内容など、もう頭に入らない。

 

 再び、視界が歪む。

 

 今度は、より鮮明に。

 

 “座標のようなもの”。

 

 砂漠。

 

 遺跡。

 

 そして──

 

 “何かが眠っている場所”。

 

「……これ、まさか」

 

 サムは立ち上がる。

 

 無意識だった。

 

 だが確信がある。

 

 ー“これはただの幻じゃない”

 

 その頃──

 

 NEST基地。

 

 オートボットたちが集まっていた。

 

 中央に立つのは、

 

 オプティマス・プライム

 

「上海での戦闘は終結した」

 

 だが、その声は重い。

 

「だが、敵の目的は達成されている」

 

 沈黙。

 

「情報を“取られた”」

 

 それは戦術的敗北に等しい。

 

 別のオートボットが言う。

 

「だが、あの未確認戦力は何だった?」

 

「戦闘ログに存在しない」

 

「噂の……」

 

 言い淀む。

 

「……“幽霊部隊”か?」

 

 別の個体が否定する。

 

「そんなもの、ただの作り話だ」

 

「戦場で消える? 非現実的だ」

 

 ーここでも“噂扱い”

 

 だが──

 

 オプティマスは否定しない。

 

「……いる」

 

 その一言で、空気が変わる。

 

「彼らは実在する」

 

 ざわめき。

 

「確認されたのか?」

 

 オプティマスはわずかに目を伏せる。

 

「……ああ」

 

 短い肯定。

 

「そして、敵でも味方でもない」

 

 その言葉は、重い。

 

 ー“介入する存在”

 

 同時刻──

 

 別の場所。

 

 高速道路。

 

 猛スピードで走る一台の車。

 

 運転しているのはサム。

 

「くそ……何なんだよこれ……!」

 

 頭の中の映像が消えない。

 

 いや──

 

 消えるどころか、はっきりしていく。

 

「砂漠……遺跡……」

 

「呼ばれてるのか……?」

 

 自分でも分からない。

 

 だが、止まれない。

 

 その時。

 

 携帯が鳴る。

 

 相手は──

 

 NEST。

 

「サム、すぐに来い」

 

 緊急の声。

 

「説明が必要だ」

 

 サムは一瞬だけ迷う。

 

 だが、すぐに答える。

 

「……ちょうどいい」

 

「俺も話がある」

 

 車はさらに加速する。

 

 その頃──

 

 砂漠の奥深く。

 

 風が吹き荒れる中、

 

 誰にも知られず、動く影があった。

 

 レギオスティコン。

 

 だが、その姿は遠い。

 

 戦場にはいない。

 

 ただ、“見ている”。

 

「……動き出したな」

 

 ガルバスの低い声。

 

 誰に向けたものでもない。

 

 だが確実に──

 

 ーサムの動きすら把握している

 

 スティンビーが不満そうに言う。

 

「まだ動かねぇのかよ」

 

 ガルバスは答えない。

 

 ただ一言。

 

「まだだ」

 

 すべてが、繋がり始めている。

 

 サム。

 

 オプティマス。

 

 メガトロン。

 

 そして──ガルバス。

 

 それぞれが、別々の場所で動きながら、

 

 ー同じ場所へ向かっている

 

 “マトリクス”へ。

 

 NEST基地──

 

 重いゲートが開き、一台の車が滑り込む。

 

 急停止。

 

 ドアが開くより早く、運転席から飛び出す影。

 

 サム・ウィトウィッキー

 

「サム!」

 

 声をかけたのは、現場指揮官。

 

 ウィリアム・レノックス

 

「どうした、その顔」

 

 ただ事ではないと即座に察する。

 

「説明は中でだ、来い」

 

 有無を言わせない判断。

 

 現場の人間の動きだった。

 

 作戦室。

 

 オートボットたちが集まる中、

 

 中央に立つのは──

 

 オプティマス・プライム

 

「話せ」

 

 レノックスが短く促す。

 

 サムは頭を押さえながら言う。

 

「頭の中に……何かが流れ込んでくるんだ」

 

「記号とか、場所とか……!」

 

 隊員たちがざわつく。

 

「神経系への影響か?」

 

「オールスパークの残留エネルギーの可能性」

 

 分析が飛ぶ。

 

 だが、レノックスは違う。

 

「再現できるか?」

 

 シンプルな問い。

 

 サムは頷く。

 

「……やってみる」

 

 モニターの前に立つ。

 

 ペンを握る。

 

 そして──

 

 描き始める。

 

 止まらない。

 

 意味の分からない図形。

 

 複雑な構造。

 

 配置。

 

 それは“設計図”のようであり、

 

 同時に“地図”だった。

 

 静まり返る室内。

 

「これは……」

 

 一体のオートボットが呟く。

 

「未知の構造だ」

 

 レノックスが腕を組む。

 

「場所は分かるのか?」

 

 サムが息を整える。

 

「……砂漠だ」

 

「エジプト……たぶん」

 

 その瞬間。

 

 オプティマスが口を開く。

 

「……マトリクス」

 

 全員がそちらを見る。

 

「マトリクス・オブ・リーダーシップ……?」

 

 疑問の声。

 

「伝承のはずでは」

 

 オプティマスは断言する。

 

「実在する」

 

「それはプライムの力を制御する鍵だ」

 

 レノックスが即座に反応する。

 

「敵もそれを狙う可能性は?」

 

 オプティマス:

 

「高い」

 

 その時──

 

 通信士が叫ぶ。

 

「司令官! 傍受通信!」

 

 レノックスが振り向く。

 

「出せ」

 

 モニターに波形。

 

 解析。

 

 そして、音声が再生される。

 

「……マトリクスを探せ」

 

 沈黙。

 

「フォールンのために……」

 

 空気が凍る。

 

 レノックスが低く言う。

 

「フォールン……?」

 

 オプティマスの表情が変わる。

 

「……最悪だ」

 

 その一言で十分だった。

 

 レノックスは即断する。

 

「いいか、全員聞け」

 

 一歩前に出る。

 

「敵も同じ物を探してる」

 

「先に見つけた方が勝つ」

 

 ー 完全に戦術判断

 

「即時展開だ」

 

「目的地──エジプト」

 

 隊員たちが一斉に動く。

 

 レノックスはサムを見る。

 

「お前が鍵だ」

 

 サムは小さく頷く。

 

「……わかってる」

 

 その頃──

 

 遠く離れた砂漠の高所。

 

 レギオスティコン。

 

 静かに、すべてを見ている。

 

「動いたな」

 

 ガルバスの声。

 

 スカイアームが言う。

 

「NEST部隊、移動開始」

 

 ノチェット:

 

「人間……サム・ウィトウィッキー」

 

「鍵です」

 

 ガルバスはわずかに目を細める。

 

「……そうだ」

 

 スティンビーが笑う。

 

「じゃあ行くかよ!」

 

 沈黙。

 

 そして──

 

「まだだ」

 

 低く、変わらない答え。

 

 だがその視線は、

 

 確実に“その先”を見ていた。

 

 すべてが、エジプトへ向かう。

 

 戦いは次の局面へ進む。

 

 NEST基地──

 

 出撃準備が加速する。

 

 兵士たちが走り、装備が運ばれ、輸送機が唸る。

 

 ウィリアム・レノックス が的確に指示を飛ばす。

 

「積み込み急げ!」

 

「時間がない!」

 

 作戦は動き出している。

 

 だが──

 

 その“鍵”は、まだ人間だった。

 

 サム・ウィトウィッキー

 

 基地の外縁。

 

 少し静かな場所。

 

「……はぁ」

 

 一息つく。

 

 頭の中の映像は消えない。

 

 砂漠。

 

 遺跡。

 

 マトリクス。

 

「なんなんだよ……」

 

 その時。

 

 風が止まる。

 

 違和感。

 

「……?」

 

 振り向く。

 

 何もない。

 

 だが次の瞬間──

 

 “影”が飛び出す。

 

 地面を滑るように高速接近。

 

 ラヴィッジ

 

「うわっ──!」

 

 反応する暇もない。

 

 体当たり。

 

 サムは地面に叩きつけられる。

 

 鋭い爪が目前で止まる。

 

「動くな」

 

 低い機械音。

 

 完全に制圧。

 

 背部が展開。

 

 ケーブルが伸びる。

 

 サムの腕を拘束。

 

「くっ……!」

 

 抵抗は意味を持たない。

 

 そのまま引きずられる。

 

 警報。

 

「侵入者だ!」

 

 銃声が響く。

 

 だがラヴィッジは止まらない。

 

 弾丸を避け、跳躍。

 

 壁を駆け上がり──

 

 そのまま基地外へ脱出。

 

 数分後。

 

 森の中。

 

 暗い木々の間を、黒い影が疾走する。

 

 ラヴィッジ。

 

 その背に拘束されたサム。

 

「離せ……!」

 

 当然、反応はない。

 

 ただ運ぶ。

 

 ー “目的地”へ

 

 やがて視界が開ける。

 

 森の奥。

 

 朽ち果てた巨大構造物。

 

 廃工場。

 

 鉄骨は錆び、壁は崩れ、

 

 人の気配は一切ない。

 

 ラヴィッジは減速する。

 

 静かに着地。

 

 サムを地面へ投げる。

 

「ぐっ……!」

 

 痛みに顔を歪める。

 

 その時。

 

 奥の闇が、動く。

 

 重い足音。

 

 ゆっくりと現れる影。

 

 メガトロン

 

 その圧倒的存在感。

 

 サムの呼吸が止まる。

 

「……人間」

 

 低く、重い声。

 

 サムは動けない。

 

 本能が理解している。

 

 ー “勝てない相手”

 

 メガトロンが近づく。

 

「お前の中にあるもの」

 

「それを寄越せ」

 

 サムは震えながら言う。

 

「知らねぇよ……!」

 

 嘘ではない。

 

 だが──

 

「関係ない」

 

 メガトロンの一言。

 

「持っている、それで十分だ」

 

 ラヴィッジが一歩下がる。

 

 完全に“引き渡し”が完了した。

 

 サムは後ずさる。

 

 逃げ場はない。

 

 その時──

 

 外から音。

 

 ヘリの接近。

 

 NEST。

 

 基地では。

 

「位置を特定!」

 

 ウィリアム・レノックス が叫ぶ。

 

「森の奥、廃工場だ!」

 

 オプティマスが即座に反応。

 

「向かう」

 

 その頃。

 

 廃工場の屋根の上。

 

 誰にも気づかれず、立つ影。

 

 レギオスティコン。

 

「……ここか」

 

 ガルバスの声。

 

 スカイアーム:

 

「敵主力、確認」

 

 ノチェット:

 

「人間、生存」

 

 スティンビーが笑う。

 

「やっと出番か?」

 

 わずかな沈黙。

 

 そして──

 

「……まだだ」

 

 ガルバスは動かない。

 

 だがその視線は、

 

 ー メガトロンへ向いている

 

 戦いは、始まる直前。

 

 鍵は奪われ、

 

 力が集まり、

 

 すべてが一点に集中する。

 

 森の奥の廃工場。

 

 ここが、次の戦場になる。

 

 NEST基地──

 

 警報が鳴り続ける中、作戦室は張り詰めていた。

 

 モニターに映るのは、森の奥──廃工場。

 

「位置は確定した」

 

 ウィリアム・レノックス が冷静に告げる。

 

「だが──」

 

 一瞬の間。

 

「敵主力がいる可能性が高い」

 

 その意味は明確。

 

 ー突入すれば戦闘は不可避

 

 隊員の一人が言う。

 

「すぐに突入すべきです!」

 

 だが、レノックスは首を振る。

 

「ダメだ」

 

 即答。

 

「今はエジプト作戦が最優先だ」

 

 沈黙。

 

「サムは重要だ。だが──」

 

 言葉を選ぶ。

 

「全体を失うわけにはいかない」

 

 ー完全に“指揮官の判断”

 

 苦渋だが正しい。

 

「部隊は予定通りエジプトへ向かう」

 

「救出は後回しだ」

 

 その時。

 

 重い足音。

 

 振り向く。

 

 オプティマス・プライム

 

「……それはできない」

 

 低く、だがはっきりとした声。

 

 レノックスが見返す。

 

「分かってるだろ、状況は」

 

 オプティマスは頷く。

 

「理解している」

 

 一歩前に出る。

 

「だが、彼は仲間だ」

 

 その一言。

 

 重い。

 

「見捨てることはできない」

 

 レノックスは静かに息を吐く。

 

「だからって全軍を突っ込ませるわけにはいかない」

 

 正論。

 

 だが──

 

 オプティマスはそれを受け止めた上で言う。

 

「ならば──」

 

 わずかな間。

 

「私が行く」

 

 沈黙。

 

 隊員たちが息を呑む。

 

「単独で?」

 

 レノックスが確認する。

 

「ああ」

 

 迷いはない。

 

「時間がない」

 

「敵が動く前に奪還する」

 

 ー完全な単独行動

 

 レノックスは数秒だけ考える。

 

 そして──

 

「……無茶だ」

 

 だが、否定ではない。

 

 オプティマスは動じない。

 

「承知の上だ」

 

 さらに一歩。

 

「彼は我々を信じた」

 

「ならば、応えるべきだ」

 

 レノックスは目を閉じる。

 

 そして、決断する。

 

「……分かった」

 

 ゆっくりと頷く。

 

「行け」

 

「だが無理はするな」

 

 オプティマスは短く答える。

 

「ありがとう、レノックス」

 

 その頃──

 

 森の奥、廃工場。

 

 静寂。

 

 サムは拘束されたまま、床に転がされている。

 

 目の前には、

 

 メガトロン

 

 圧倒的な存在。

 

「時間の問題だ」

 

 低い声。

 

「いずれ吐くだろう」

 

 サムは睨み返す。

 

「……誰が言うかよ」

 

 強がり。

 

 だが、その意思は本物。

 

 メガトロンが一歩近づく。

 

 その時──

 

 外。

 

 風が変わる。

 

 静かに、だが確実に近づく“何か”。

 

 廃工場の外。

 

 闇の中を走る一台のトラック。

 

 急停止。

 

 変形。

 

 オプティマス・プライム

 

 単独。

 

 援護なし。

 

 だがその目には、確かな意志。

 

「サム……」

 

 低く呟く。

 

 そして、前を見る。

 

 廃工場。

 

 その中にいるのは──

 

 メガトロン。

 

 さらにその上。

 

 屋根の影。

 

 レギオスティコン。

 

 ガルバスが静かに見下ろしている。

 

「……来たか」

 

 スカイアーム:

 

「単独行動です」

 

 スティンビーが笑う。

 

「いいねぇ、熱いじゃねぇか」

 

 だがガルバスは動かない。

 

「まだだ」

 

 視線は一点。

 

 ーオプティマス vs メガトロン

 

 戦いは、今まさに始まろうとしている。

 

 森の奥──廃工場。

 

 静寂は、すでに壊れていた。

 

 轟音。

 

 金属がぶつかる衝撃。

 

 オプティマス・プライム と

 

 メガトロン

 

 真正面からの衝突。

 

「ォォォォォッ!!」

 

 拳がぶつかる。

 

 衝撃波が床を砕く。

 

 オプティマスは一歩も引かない。

 

 だが──

 

「甘い!」

 

 メガトロンの一撃。

 

 重い衝撃が直撃する。

 

「ぐっ……!」

 

 吹き飛ばされる。

 

 壁を突き破り、外まで叩き出される。

 

 装甲が軋む。

 

 火花が散る。

 

 すぐに立ち上がろうとする。

 

 だが、動きが鈍い。

 

 ーすでにダメージが蓄積している

 

 そこへ──

 

 空から降下する影。

 

 スタースクリーム

 

 ミサイル発射。

 

 直撃。

 

 爆炎がオプティマスを飲み込む。

 

「終わりだ、プライム」

 

 煙の中から、ゆっくりと現れるオプティマス。

 

 立っている。

 

 だが──

 

 明らかに限界。

 

 片腕が下がり、装甲は破損。

 

 呼吸のような動きすら重い。

 

 それでも前を見る。

 

「まだだ……!」

 

 その意志だけで立っている。

 

 メガトロンが歩み寄る。

 

 ゆっくりと。

 

 確実に。

 

「ここまでだ」

 

 腕が変形する。

 

 フュージョンキャノン。

 

 狙いは──胸部。

 

 ー完全なトドメ

 

 サムが叫ぶ。

 

「やめろ!!」

 

 届かない。

 

 メガトロンの指が引かれる──

 

 その瞬間。

 

 “何か”が割り込む。

 

 爆発。

 

 メガトロンの一撃が弾かれる。

 

「何……?」

 

 煙の中。

 

 一つの影。

 

 静かに、そこに立つ。

 

 ガルバス

 

 オプティマスの前に。

 

 完全に、“盾”として。

 

「……遅い」

 

 低い声。

 

 メガトロンの目が見開かれる。

 

「貴様……!」

 

 記憶と一致する。

 

「ガルバス……!」

 

 空気が変わる。

 

 ー“噂”が現実になる瞬間

 

 ガルバスは振り向かない。

 

「動くな」

 

 短く言う。

 

 オプティマスに向けて。

 

 その声には、明確な意思があった。

 

「今は休め」

 

 オプティマスはわずかに目を見開く。

 

 だが──

 

 崩れる。

 

 その場に膝をつく。

 

 ー重症

 

 ガルバスが前に出る。

 

 メガトロンと真正面から対峙。

 

「……久しぶりだな」

 

 メガトロンが笑う。

 

「貴様も現れたか」

 

「ならば、まとめて終わらせる」

 

 その言葉と同時に、スタースクリームが上空から狙う。

 

 だが──

 

 ガルバスは一切動じない。

 

 背中の武装が展開。

 

 ブレード。

 

 シールド。

 

「来い」

 

 その一言。

 

 次の瞬間──

 

 衝突。

 

 メガトロンとガルバス。

 

 互角。

 

 衝撃が周囲を吹き飛ばす。

 

「やはりか……!」

 

 メガトロンが低く唸る。

 

 ー“同格”の実感

 

 その時──

 

 遠くから音。

 

 ヘリ。

 

 装甲車。

 

 NEST。

 

 そして──

 

 オートボット部隊。

 

 ウィリアム・レノックス

 

 オプティマス・プライム の仲間たち

 

 完全武装で到着。

 

 戦況が変わる。

 

 スタースクリームが叫ぶ。

 

「メガトロン様、増援です!」

 

 メガトロンは舌打ちする。

 

「……チッ」

 

 視線をガルバスに向ける。

 

「今回はここまでだ」

 

 一歩下がる。

 

 スタースクリームも上昇。

 

「撤退する!」

 

 ディセプティコンたちは即座に離脱。

 

 闇の中へ消えていく。

 

 静寂が戻る。

 

 その場に残るのは──

 

 倒れたオプティマス。

 

 そして、その前に立つガルバス。

 

 NESTとオートボットたちが到着する。

 

 レノックスが叫ぶ。

 

「サムは!?」

 

 サムが弱々しく手を上げる。

 

「ここだ……」

 

 無事。

 

 だが全員の視線は──

 

 ガルバスへ。

 

 誰も言葉を発せない。

 

 ー噂の存在が、目の前にいる

 

 ガルバスは振り向かない。

 

 ただ一言。

 

「……遅かったな」

 

 その声は、責めているわけではない。

 

 事実を言っているだけだった。

 

 そして──

 

 ゆっくりと歩き出す。

 

 止める者はいない。

 

 誰も、動けない。

 

 ー“理解が追いつかない”

 

 レギオスティコン。

 

 噂の部隊。

 

 その中心。

 

 ガルバス。

 

 戦場に、確かに現れた。

 

 森の奥──廃工場跡。

 

 戦闘の痕跡だけが残る。

 

 崩れた鉄骨。

 

 焼け焦げた地面。

 

 静まり返った空気。

 

 その中心に横たわるのは──

 

 オプティマス・プライム

 

「スペースを空けろ!」

 

 ラチェット が前に出る。

 

 即座に状況を確認。

 

「損傷レベル……極めて深刻」

 

 腕部破損。

 

 内部回路露出。

 

 エネルギー漏出。

 

 ー戦闘継続どころか、生存も危うい状態

 

 ラチェットが処置を開始する。

 

 工具が展開。

 

 火花が散る。

 

「エネルギー供給ラインを再接続……!」

 

 応急処置。

 

 だが──

 

「ダメだ……!」

 

 初めて焦りの声。

 

 周囲が凍る。

 

「パーツが足りない!」

 

 沈黙。

 

 ラチェットが続ける。

 

「損傷部位の代替が不可能だ!」

 

「このままでは維持できない!」

 

 ー修復不能

 

 サムが駆け寄る。

 

 サム・ウィトウィッキー

 

「そんな……」

 

 ラチェットが睨むように言う。

 

「完全修復には“中核”が必要だ」

 

「通常のパーツでは意味がない!」

 

 つまり──

 

 ー“何か特別なもの”が必要

 

 その時。

 

 オプティマスの目が、わずかに光る。

 

「……サム……」

 

 弱い声。

 

 サムが顔を近づける。

 

「ここだ、いる!」

 

 オプティマスはゆっくりと動く。

 

「……選ばれし者が……」

 

 言葉が途切れる。

 

「……導く……」

 

 完全に停止。

 

「オプティマス!」

 

 サムが叫ぶ。

 

 だが反応はない。

 

 ラチェットが静かに言う。

 

「生命反応……低下中」

 

「時間がない」

 

 絶望が広がる。

 

 その時──

 

 サムが頭を押さえる。

 

「っ……!」

 

 また“来る”。

 

 情報。

 

 映像。

 

 砂漠。

 

 遺跡。

 

 そして──

 

「マトリクス……!」

 

 全員が反応する。

 

「それだ……!」

 

 サムが叫ぶ。

 

「それがあれば助かる!」

 

 ラチェットが即座に反応。

 

「理論上は可能だ」

 

「だが存在が確認されていない」

 

 サムが食い下がる。

 

「でも、これがあるんだ!」

 

 頭を指す。

 

「場所、分かるんだよ!」

 

 沈黙。

 

 ウィリアム・レノックス が一歩前に出る。

 

「……他に手は?」

 

 誰も答えない。

 

 つまり──

 

 ーこれが唯一の選択肢

 

 レノックスが決断する。

 

「よし……行くぞ」

 

「エジプトだ」

 

 短く、強く。

 

「全戦力、移動準備!」

 

 兵士たちが動き出す。

 

 ラチェットはその場に残る。

 

 オプティマスの傍で。

 

「……持ちこたえろ」

 

 小さく呟く。

 

 その頃──

 

 少し離れた高所。

 

 誰にも気づかれず、見下ろす影。

 

 レギオスティコン。

 

 ガルバスが静かに状況を見ている。

 

「……限界か」

 

 ノチェットが言う。

 

「このままでは、助かりません」

 

 スカイアーム:

 

「介入しますか」

 

 沈黙。

 

 スティンビーが苛立つ。

 

「助けられるならやれよ!」

 

 ガルバスは動かない。

 

 そして──

 

「……必要ない」

 

 低く断言する。

 

 全員が見る。

 

「マトリクスがある」

 

 その一言。

 

 ーすべてを見通している

 

 ガルバスは背を向ける。

 

「行くぞ」

 

 レギオスティコンが動き出す。

 

 向かう先は同じ。

 

 ーエジプト

 

 時間はない。

 

 オプティマスの命。

 

 マトリクス。

 

 フォールン。

 

 すべてが、砂の大地へ集まる。

 

 決戦は近い。

 

 夜明け前──

 

 NEST基地。

 

 巨大輸送機のエンジンが唸る。

 

 兵士たちが次々と乗り込む。

 

 緊張が、空気に満ちている。

 

 機内。

 

 サム・ウィトウィッキー は座席に座り、頭を押さえていた。

 

「……また来る」

 

 ぼそりと呟く。

 

 横にいた兵士が不安そうに見る。

 

「大丈夫か?」

 

「分からない……でも」

 

 顔を上げる。

 

「近づいてる」

 

 ーマトリクスに近づくほど、情報が鮮明になる

 

 その頃──

 

 別の場所。

 

 空。

 

 闇の中を高速で飛ぶ影。

 

 スタースクリーム

 

 通信を開く。

 

「メガトロン様」

 

 応答。

 

 メガトロン

 

「人間は確保できなかった」

 

 苛立ち混じりの報告。

 

「だが位置は特定している」

 

「エジプトへ向かっている」

 

 短い沈黙。

 

 メガトロンが低く言う。

 

「構わん」

 

「いずれ来る」

 

 ー目的は同じ

 

「そこで奪えばいい」

 

 スタースクリームが続ける。

 

「そして……もう一体のプライム」

 

 その言葉。

 

 空気がわずかに変わる。

 

「……ガルバス」

 

 メガトロンの声に、明確な警戒が混じる。

 

「奴も現れる」

 

 スタースクリーム:

 

「戦力としては未知数ですが……」

 

「危険です」

 

 メガトロンは短く言う。

 

「知っている」

 

 ー“同格”の認識

 

「だが問題ない」

 

 その言葉には自信があった。

 

 さらに別の場所──

 

 砂漠の縁。

 

 静かに進む影。

 

 レギオスティコン。

 

 ガルバスを先頭に歩く。

 

「人間は移動中」

 

 スカイアームが報告する。

 

「ディセプティコンも同様」

 

 ノチェット:

 

「衝突は避けられません」

 

 スティンビーが笑う。

 

「やっと派手になるな」

 

 だが──

 

 ガルバスは静かに言う。

 

「目的を見失うな」

 

 全員が止まる。

 

「我々の任務は戦闘ではない」

 

 その言葉。

 

 ー“戦うための部隊ではない”という異質さ

 

「必要な時だけ、介入する」

 

 スカイアームが小さく頷く。

 

「了解」

 

 再び、輸送機内。

 

 サムが目を見開く。

 

「……見えた」

 

 全員が振り向く。

 

「場所が……はっきりした」

 

 震える声。

 

「ピラミッドの奥……地下……!」

 

 兵士たちがざわつく。

 

 その時。

 

 ウィリアム・レノックス が前に出る。

 

「いいか、全員聞け」

 

 空気が締まる。

 

「目的は二つ」

 

 指を立てる。

 

「一つ、マトリクスの確保」

 

 もう一つ。

 

「オプティマスの救出」

 

 短く、だが重い。

 

 ー作戦の核心

 

「敵も来る」

 

「確実に戦闘になる」

 

 全員が理解する。

 

 逃げ場はない。

 

 レノックスが最後に言う。

 

「だが──」

 

 一瞬の間。

 

「やるしかない」

 

 その言葉に、全員が頷く。

 

 空を飛ぶ輸送機。

 

 砂漠へ向かう。

 

 その下。

 

 すでに戦場は待っている。

 

 フォールン。

 

 メガトロン。

 

 ガルバス。

 

 そして──

 

 ー二人のプライム

 

 すべてが交わる時が近づいていた。

 

 灼熱の砂漠──

 

 太陽が低く傾き、長い影を落とす中、オートボットたちは慎重に足を進める。

 

 輸送機が砂を蹴立て、兵士たちが展開する。

 

「周囲を警戒しろ!」

 

 ウィリアム・レノックス の指示が飛ぶ。

 

 その中心で、サム・ウィトウィッキー が頭を押さえ、砂を踏みしめる。

 

「……ここだ」

 

 頭の中の映像と一致する。

 

「間違いない」

 

 その時。砂が崩れる音。

 

 全員が振り向く。

 

 影が浮かび上がる──古びた機体、錆びついた装甲。

 

 ゆっくり立ち上がるのはジェットファイアー。

 

「……久しいな」

 

 低く、年老いた声。

 

 オートボットたちが警戒する。

 

「識別信号……オートボット?」

 

 ジェットファイアーはサムに視線を向ける。

 

「……人間か」

 

 レノックスが銃を構える。

 

「止まれ!」

 

 しかしジェットファイアーは一歩も止まらず、周囲を見渡す。

 

「その頭の中……見えるぞ」

 

 サムが驚きの声を上げる。

 

「知ってるのか!?」

 

 ジェットファイーは頷く。

 

「場所も、意味もな」

 

 古代の知識を持つ導き手としての威厳が漂う。

 

 一方、砂漠の別の地点。

 

 ガルバス率いるレギオスティコンが進む。

 

「……来たか」

 

 低く呟くガルバス。

 

 近づくにつれ、二つの影が見えてくる。

 

 大型の影:ランドエイジ

 

 細身で軽快な影:ブラックウィドウ

 

 スティンビーが笑う。

 

「遅ぇよ!」

 

 ガルバスが静かに説明する。

 

「遠くにいたためだ。近くの奴らよりも遅れた」

 

 ランドエイジが肩をすくめる。

 

「状況確認を優先していた」

 

 ブラックウィドウは笑みを浮かべながら言う。

 

「メガトロン復活、フォールンも動いている」

 

 そして、目をガルバスに向ける。

 

「それに……あなたも出てる」

 

 ガルバスは冷静に答える。

 

「状況が変わった」

 

 スティンビーがにやりと笑う。

 

「やっと派手になりそうだな」

 

 ランドエイジは静かに構え、ブラックウィドウは軽く銃を回す。

 

 ーこれでレギオスティコンの戦力はほぼ揃った

 

 しかし──

 

 ガルバスの視線の先には、まだ遠くに控えている仲間たちがいる。

 

 彼らも必要な時に合流する予定だが、今は距離を置き、動きを監視している。

 

 再び、サムたちの側。

 

 ジェットファイアーが低く言う。

 

「マトリクスは“試練”の先にある。選ばれし者しか辿り着けない」

 

 サムが息を呑む。

 

「俺が……行くしかないってことか」

 

 ジェットファイアーは頷く。

 

「そうだ」

 

 レノックスも前に出る。

 

「護衛はつける」

 

 しかしジェットファイアーは首を振る。

 

「無意味だ」

 

 全員が止まる。

 

「道は一つではない。だが正しい道は一つだ」

 

 サムは拳を握る。

 

「……行く」

 

 砂漠の戦いは、こうして次の段階へ。

 

 導き手、鍵、守る者、奪う者、そしてまだ遠くに控える者たち──

 

 すべての勢力が、決戦の舞台に収束しつつある。

 

 灼熱の砂漠を進むサムたちの視界に、突然砂煙が渦巻く。

 

 風の中に異様な振動。オートボットたちの感覚が一斉に警報を鳴らす。

 

「敵だ!」ジェットファイアーが叫ぶ。

 

 砂の中から現れるのは、スコルポノック と、ヴィレッジ。

 

 巨大なスコルポノックは鋏を構え、ヴィレッジは素早く跳躍し、鋭い爪とマシンガンを装備している。

 

「後退だ、サム!」ジェットファイアーが指示を出す。

 

 しかし、距離は短く、逃げ場は少ない。

 

 スコルポノックが地面を叩きつけると、砂が跳ね上がり振動が全員に伝わる。

 

 ヴィレッジが跳躍し、正確な射撃でジェットファイアーを狙う。

 

 エネルギー弾が彼の装甲を直撃、火花が飛び散る。

 

「ぐっ……!」ジェットファイアーが地面に膝をつく。

 

 重症だ。

 

 サムは思わず振り向く。

 

「ジェット……!」

 

 砂煙の中、スコルポノックは鎌状の腕を振り下ろす。

 

 ジェットファイアーは必死にブレードで防御するが、反撃の余力は少ない。

 

「まだ倒れるわけには……!」

 

 ジェットファイアーは呻きながらも、サムを守ろうと盾になり続ける。

 

 ヴィレッジが連続射撃を浴びせ、スコルポノックも前に進む。

 

 圧倒的な力に、サムの足が止まる。

 

 しかし、砂煙の向こうに微かに見える光──

 

 遠方で待機していたガルバスたちレギオスティコンの姿。

 

 彼らはまだ距離を保ちつつ、必要な瞬間に飛び込むタイミングを見計らっている。

 

 ジェットファイアーの装甲に亀裂が入り、エネルギーが漏れ始める。

 

「サム、離れろ!」

 

 声は震えていたが、サムは固く拳を握る。

 

「行けない……行くなら一緒だ!」

 

 ジェットファイアーは息を切らしながら、サムを庇い続ける。

 

 その背中に、砂漠の熱と敵の攻撃が容赦なく襲いかかる。

 

 スコルポノックの一撃で砂が大きく舞い上がる。

 

「……まだだ、ここで倒れるわけには……!」

 

 ヴィレッジが連続跳躍で攻撃を仕掛ける。

 

 ジェットファイアーは装甲の一部を破壊され、もはや完全な防御は不可能。

 

 しかし、遠方の砂煙の向こうで、ランドエイジとブラックウィドウ、他のレギオスティコンの影が微かに動く。

 

 まだ距離はあるが、戦場へ飛び込む準備は整いつつある。

 

 サムはジェットファイアーを支えつつ前に進む。

 

「諦めない……!」

 

 砂漠の空気は震え、巨大な影が戦場に降り注ぐ。

 

 敵、味方、導き手、守る者、すべてが、この戦いに向けて緊張の瞬間を迎えていた。

 

 ジェットファイアーは重傷でありながらも、サムを守る盾となる──

 

 次に起こるのは、レギオスティコンの介入か、あるいはさらに大きな衝突か。

 

 砂煙が舞う砂漠。

 

 ジェットファイアーは全身に亀裂の入った装甲を押さえ、呼吸を荒くしながら立ち上がる。

 

 血のように漏れるエネルギーを振り絞り、彼はスコルポノックを睨む。

 

「……ここで、引かれるわけにはいかん……!」

 

 スコルポノックは鎌を振り上げ、再び攻撃を仕掛ける。

 

 しかしジェットファイアーは、最後の力を込めて反撃に転じた。

 

 ブレードを鋭く振り下ろし、敵の鎌に正確に衝突。

 

 エネルギーが爆発し、砂煙が立ち上る。

 

 次の瞬間、スコルポノックは力尽き、砂に倒れ込む。

 

 ヴィレッジはその光景を目にし、わずかに後退する。

 

「……無駄だったか」

 

 素早く跳躍し、砂煙の中へ姿を消した。

 

 ジェットファイアーは膝をつき、重症のまま砂に体を押し付ける。

 

 だがその視線の先に、巨大な影が現れる──遠方、砂嵐の向こう。

 

 地面が揺れ、砂が空を舞う。

 

 巨大な力が形を成す──

 

 デバステーターが誕生したのだ。

 

 サムは目を見開く。

 

「……あれが、デバステーター……!」

 

 恐怖と驚きが入り混じるが、その胸には決意が芽生える。

 

 マトリクスの試練は待ってはくれない。

 

 この目で確かめ、手に入れるしかない──

 

 ジェットファイアーは微かに微笑むように頷く。

 

「行け……サム……」

 

 重症ながらも、サムを後押しする意思は明確だった。

 

 サムは砂煙の中を駆け出す。

 

 マトリクスの置かれた場所、ピラミッド内部へと向かう足取りは迷いなく、力強い。

 

 背後では、砂漠に立つレギオスティコンたちの影が微かに揺れる。

 

 ガルバスやランドエイジ、スティンビー、ブラックウィドウたちも、遠くから状況を見守りつつ、必要な時に戦場に飛び込む準備を整えている。

 

 砂漠の熱風が吹き抜ける。

 

 衝突の余波は広がり、巨大な戦力が動き出す中、サムは一歩ずつ、マトリクスに近づく。

 

 ジェットファイアーの重傷、ヴィレッジの撤退、そしてデバステーター誕生──

 

 すべてが、これからの戦いの布石となる。

 

 砂漠の熱気の中、サムは必死の足取りでピラミッド内部を抜け出し、マトリクスをしっかりと抱えていた。

 

「……オプティマス……待っててくれ!」

 

 息を切らしながらも、手の中の輝くマトリクスを握り締める。

 

 ジェットファイアーの重傷を目にし、背後で遠方の砂煙に揺れる影を確認しながらも、サムは一歩一歩前へ進む。

 

 その時──

 

 地面が揺れる。砂が舞い上がり、熱風の中に異様な気配が押し寄せる。

 

「……くっ……またか……」

 

 サムの声は震える。

 

 影が砂煙の中から浮かび上がる。

 

 巨大な姿──フォールン。

 

「……ここにいたか、人間よ」

 

 その声は冷酷で、古代の怒りを含んで響く。

 

 サムは後ずさる。

 

「やめろ……俺はただ……!」

 

 フォールンの手が伸びる。

 

 マトリクスの光を捕らえ、強引に奪い取ろうとする。

 

「だ、だめ……!」

 

 サムは必死に抵抗する。

 

 光を放つマトリクスを抱き締めるが、フォールンの圧倒的な力に抗えない。

 

 その瞬間、激しいエネルギー波がサムを押し流す。

 

 息が詰まり、胸が痛む。

 

 視界が白く霞む。

 

「……オプティマス……ごめん……」

 

 サムの体が地面に崩れ落ちる。

 

 心臓の鼓動は徐々に弱まり、呼吸も止まろうとしていた──

 

 完全な心肺停止状態。

 

 フォールンは手にマトリクスを持ち、サムを見下ろす。

 

「人間の力など、結局は所詮、使い捨てか」

 

 冷たく吐き捨てるように言い、マトリクスの光が闇に染まる。

 

 砂漠の熱風に、サムの無力さと絶望が混ざり、辺りを不気味に漂わせる。

 

 遠くで見守っていたレギオスティコンたち──

 

 ガルバスは冷静な目で状況を見定める。

 

「……計画通りではないが、次の瞬間に全てを取り戻す」

 

 低く呟き、遠方に待機していた仲間たちに合図を送る準備を整える。

 

 ジェットファイアーは膝をついたまま、サムを見つめる。

 

「……耐えろ……サム……!」

 

 その目には、仲間としての強い決意が宿る。

 

 サムの生命は危機に瀕している。

 

 しかし、戦いはまだ終わらない──

 

 マトリクスを巡る争い、フォールンとの最終決戦は、これから本格的に動き出す。

 

 砂漠の熱風の中、戦場は静寂を取り戻したかのように見えた。

 

 しかしその静けさは、嵐の前の緊張でしかなかった。

 

 重傷を負ったジェットファイアーが、かろうじて立ち上がる。

 

 膝に傷を抱え、装甲の一部は破損し、エネルギーが漏れ続ける。

 

 それでも彼の目はオプティマスに向けられていた。

 

 遠方の砂煙の中、ガルバス率いるレギオスティコンの影が見える。

 

 スカイアーム、ドレッドウィング、ブレイクハイド、ノチェット、スティンビー、そしてランドエイジとブラックウィドウ──

 

 すべての戦士が、オートボットたちと合流する瞬間を待ち構えていた。

 

 ガルバスの低い声が響く。

 

「全員、準備はいいか……オートボットと共に戦う」

 

 その言葉に、レギオスティコンたちは無言で頷く。

 

 戦いのための心を一つにする瞬間だった。

 

 ジェットファイアーはオプティマスの元に進み、手を差し出す。

 

「オプティマス……これを使え……俺のパーツを……」

 

 膝をつき、力を振り絞る。

 

「これを組み込めば……お前は……物凄い力を手に入れられる……!」

 

 彼は胸部の装甲を外し、機械の心臓──自分のコアを取り出す。

 

 光を放つそのコアを、震える手でオプティマスに差し出す。

 

「これで……俺は……使命を全うする……最後まで生きて……」

 

 オプティマスは驚き、そして深い感謝の表情を浮かべる。

 

「ジェットファイアー……お前の覚悟を無駄にはしない!」

 

 その光景を見たガルバスは、レギオスティコンたちに指示を出す。

 

「よく見ろ、全員! オートボットと協力するんだ。今ここで、力を合わせる! 我々は家族だ、仲間だ──共に戦え!」

 

 スティンビーが拳を握り、スカイアームは冷静に周囲を警戒する。

 

 ランドエイジとブラックウィドウも、ガルバスの言葉を胸に決意を固める。

 

 砂漠の空には、遠方で監視していたフォールンやメガトロンの影も見える。

 

 デバステーターはまだ地を揺らし、ヴィレッジも撤退後に戦況を見守る。

 

 しかし今、この瞬間──オートボットとレギオスティコンが一つの戦線を形成した。

 

 ジェットファイアーは重傷ながらも、自らの犠牲でオプティマスを強化した。

 

 その存在は、今や連合軍の希望そのものとなる。

 

 砂嵐の中、戦士たちは互いに視線を交わす。

 

 全員の心に、決意が燃え上がる。

 

「ここで……絶対に止める──フォールンも、メガトロンも、全てを!」

 

 ガルバスの声が響き、砂漠の戦場を支配する。

 

 これが──最終決戦の幕開けだった。

 

 砂嵐の中、戦場は静かな緊張に包まれていた。

 

 しかし、それはほんの一瞬の前触れに過ぎなかった。

 

「全員、行くぞ!」

 

 ガルバスの声が砂煙を切り裂く。

 

 レギオスティコンたちは沈黙のまま頷き、整列する。

 

 冷徹な戦闘教官だったガルバスの眼差しは、仲間たちに確かな指示を伝えていた。

 

 遠方でフォールンが静かに待ち構える。

 

 メガトロンも復活直後の怒りを滲ませ、デバステーターの背後に控える。

 

 砂漠全体が戦闘の気配で揺れ動く。

 

 その瞬間、オプティマスの胸部にジェットファイアーの心臓が組み込まれた光が炸裂する。

 

 エネルギーが迸り、オプティマスの姿が一瞬にして鋼鉄の光に包まれた。

 

「……これが……俺の力だ!」

 

 オプティマスの声は低く、しかし確固たる決意に満ちていた。

 

 砂煙を切り裂くように、彼は前進を始める。

 

 ガルバスは部隊に命じる。

 

「各員、オートボットと連携だ! 目標はフォールンとメガトロン!」

 

 スカイアームは高速飛行で敵陣をかき乱す。

 

 ドレッドウィングは空から正確無比な砲撃を浴びせ、ブレイクハイドは地面からの突撃で敵の足止めを行う。

 

 ランドエイジは巨大シールドで仲間を守りつつ、同時に大型ハンマーで敵の装甲を打ち砕く。

 

 ブラックウィドウは敵の側面を突き、巧みに撹乱を行う。

 

 砂煙の中、オプティマスはジェットファイアーのコアによる増幅されたエネルギーで、圧倒的な力を振るう。

 

 デバステーターが前進してくるが、オプティマスは一撃で地面に叩きつけ、鋼鉄の巨体を跳ね飛ばす。

 

 その力に、メガトロンも一瞬後退を余儀なくされる。

 

「これが……人間と戦士たちの力の結晶……!」

 

 ガルバスが低く呟く。

 

「見ろ、仲間たち──我々の連携が、勝利を導く!」

 

 オートボットとレギオスティコンの連携は完璧だった。

 

 サイドウェイズやヴィレッジの情報を活かし、敵の動きを予測、攻撃の要所を封鎖する。

 

 各部隊の攻撃が同期し、フォールンの前進を阻む。

 

 ジェットファイアーの犠牲により強化されたオプティマスは、フォールンの攻撃を受けてもなお立ち続ける。

 

 彼の拳が振り下ろされるたび、砂漠の地面が割れ、風が巻き上がる。

 

 ガルバスは冷静に指示を出す。

 

「スティンビー、側面を押さえろ! ノチェット、支援回復と防御を!」

 

 戦場での動きは一糸乱れず、まるで長年の連携訓練を積んだかのように精密だった。

 

 砂漠の熱風の中、オプティマスの眼光がフォールンに突き刺さる。

 

「俺は……決して負けない……!」

 

 ジェットファイアーの意思が宿った力で、オプティマスはまさに覚醒状態。

 

 周囲のオートボットとレギオスティコンも、互いの攻撃が連動し、圧倒的な連合攻撃を展開する。

 

 砂塵の中、戦場は光と轟音、鋼鉄の衝撃で揺れ動く。

 

 フォールンもメガトロンも、これまでとは明らかに異なる力の前に立ち尽くしていた。

 

 砂漠の戦場は、まるで嵐の渦中にいるかのように揺れていた。

 

 熱風と砂塵、破壊された装甲の破片が舞う中、オプティマスは胸部のジェットファイアーのコアによる増幅が完全に統合され、全身に圧倒的な力が漲っていた。

 

「……さぁ、出動だっ!」

 

 オプティマスの声は震えることなく、鋼の意志そのものだった。

 

 その眼光は、フォールンを真っ直ぐに射抜く。

 

 ガルバスは冷静にメガトロンと向き合う。

 

 二人の視線が交錯する瞬間、過去の戦いの記憶がフラッシュバックする。

 

「メガトロン……これで決着をつける時が来たな」

 

 ガルバスの声には、冷厳な戦士としての覚悟と、部隊を守るリーダーとしての慈愛が同時に宿っていた。

 

 メガトロンも応じる。

 

「ガルバス……お前もまた、かつてのプライムの力を持つ者か……!」

 

 鋼鉄の拳を握り、戦闘態勢に入る。

 

 戦場の中央で、オプティマスとフォールンが激突する。

 

 フォールンは古代のプライムの力を駆使し、マトリクスを奪ったことで増幅された力でオプティマスに襲いかかる。

 

 しかしオプティマスは冷静に回避し、素早く反撃。

 

 拳と拳がぶつかり、衝撃波が砂漠を引き裂く。

 

 オプティマスの動きは精密かつ圧倒的で、フォールンの攻撃を封じつつ反撃を重ねる。

 

 一方、ガルバスとメガトロンの戦いも熾烈を極める。

 

 メガトロンの強力なエナジーブラスターをガルバスは剣とシールドで弾き返す。

 

「お前の力は確かに凄まじい……だが俺は、仲間を守るために戦う!」

 

 ガルバスは言い放ち、鋭いブレードでメガトロンの装甲を切り裂く。

 

 メガトロンも激しく反撃し、両者の間で火花とエネルギーの閃光が絶え間なく飛び交う。

 

 オプティマスはマトリクスの力を最大限に活かし、フォールンの攻撃を次々と打ち破る。

 

 フォールンの巨大な拳やエネルギー波を、オプティマスは正確に受け流しつつ反撃を加える。

 

 砂漠の地面は割れ、衝撃で周囲の岩や砂が空に舞い上がる。

 

 ガルバスもまた、メガトロンを圧倒する攻撃を繰り出す。

 

 ブレードが閃き、ミサイルが炸裂し、両者の戦いは砂塵と轟音の中で激化する。

 

 しかしガルバスの冷静さと戦術眼は、メガトロンの予測を上回る。

 

「これで……終わりだ、メガトロン!」

 

 ガルバスの声に、怒りと慈悲、両方が込められる。

 

 遠方では、レギオスティコンとオートボットたちが戦況を支援しつつ、敵の援軍を封じている。

 

 スカイアームやドレッドウィングは空中から支援砲撃を行い、ブレイクハイドやランドエイジは地上戦で敵の進行を阻む。

 

 全員が、一丸となって二大プライムの戦いを支えていた。

 

 戦場の熱と光の中、オプティマスはフォールンを押し込み、マトリクスの輝きで包み込む。

 

 ガルバスはメガトロンを追い詰め、決定打を放つ。

 

 砂漠の風が止み、轟音が消えた瞬間、戦場には静寂が訪れる──

 

 二大プライムの力と、仲間たちの絆が、ついに戦いを収束へと導こうとしていた。

 

 砂漠の戦場は轟音と光の嵐の後、かすかに揺れる砂煙だけを残していた。

 

 オプティマスの拳から放たれたマトリクスの光が、フォールンを完全に封じ込める。

 

 古代の力を持つフォールンは必死に抵抗するが、圧倒的な光とオプティマスの意志の前に次第に力を失っていく。

 

「……これで終わりだ……フォールン!」

 

 オプティマスの声は鋼の意志そのものであり、揺るぎはなかった。

 

 フォールンは最後の力を振り絞るが、マトリクスの力で押し込まれ、砂漠の地面に膝をつく。

 

 そのまま、光に包まれ、封印されたように動かなくなる。

 

「……プライムの力……恐ろしい……」

 

 フォールンの呟きは風に消え、戦場には静寂が戻る。

 

 一方、ガルバスとメガトロンの戦いも激烈を極めた。

 

 ガルバスはブレードとシールドを駆使し、メガトロンの全攻撃を受け流しつつ、的確に反撃を重ねる。

 

 ついにメガトロンの装甲に大きな亀裂が入り、彼は力尽きる寸前まで追い詰められる。

 

「……これが……我らの絆の力か……!」

 

 ガルバスは叫びながら、最後の一撃を叩き込む。

 

 メガトロンは轟音と共に砂煙の中に倒れ、動きを止める。

 

 砂漠の戦場には、勝利の余韻と共に、まだ熱を帯びた破壊の跡が残っていた。

 

 オプティマスやサム、オートボットたちは戦いの余韻に浸りつつ、砂塵の向こうに動く影を見つける。

 

「行くぞ!」

 

 ガルバスの低く響く声が砂煙を切り裂いた。

 

 レギオスティコンたちは一斉に動き出す。

 

 戦場の荒れ地を踏みしめながら、仲間たちは各々ビークルモードへ変形していく。

 

 スカイアームはハーレーダビッドソンに、ドレッドウィングはF-35の戦闘機に、ブレイクハイドは装甲車に──

 

 それぞれが戦闘の疲労を最小限に抑えつつ、迅速に撤退するための形態を取る。

 

 そして、ガルバスが静かに前に出る。

 

 彼は一瞬、戦場を見渡し、鋭い視線をオートボットたちに送る。

 

「俺が先導する」

 

 その声に、レギオスティコンたちは頷く。

 

 ガルバスは変形を開始した。

 

 鋼鉄の装甲が音を立てて折れ、再構成される。

 

 彼の背中や腕部が変形を終えると現れたのは──エイリアンタンク。

 

 タイヤとキャタピラを融合させた、独特の走行形態。

 

 形状は、かつてのメガトロンのビークルモードに似た威圧感を持つが、ガルバス独自の洗練されたデザインだった。

 

「全員、行くぞ!」

 

 ガルバスの号令と共に、レギオスティコンたちは砂煙の中を疾走する。

 

 キャタピラの轟音とエンジンの振動が、戦場の静寂を切り裂き、彼らの撤退を印象付ける。

 

 遠くでオプティマスやサム、オートボットたちはその姿を見送る。

 

「……彼らは、本当に強い」

 

 サムは小さく呟き、ラチェットが頷く。

 

「噂でしか知らなかった存在が、こうして姿を見せてくれるとはな」

 

 砂塵の向こう、レギオスティコンたちは速度を上げ、戦場を後にする。

 

 ガルバスのエイリアンタンクは先頭を行き、仲間たちを安全に導く。

 

 その姿は、戦場での孤高の指揮官としての威厳と、仲間を守るリーダーとしての覚悟を象徴していた。

 

 オプティマスは胸のマトリクスを抱え、静かにその背中を見つめる。

 

「またいつか、共に戦う日まで……」

 

 砂漠には再び静けさが訪れ、夕陽が赤く戦場を染める。

 

 レギオスティコンの撤退は、勝利と犠牲を胸に刻んだまま、風に溶けていった。

 

 砂漠の戦場はすでに静寂に包まれ、破壊の跡は徐々に風と砂に溶け込んでいた。

 

 オプティマスは胸のマトリクスを抱え、仲間たちの安否を確認する。

 

 サムは完全に意識を取り戻し、ラチェットとノチェットの支援で身体を整えながら、戦場の光景を静かに見つめていた。

 

 遠くの砂煙の向こう、ガルバス率いるレギオスティコンのビークルたちはすでに姿を消していた。

 

 ガルバスはエイリアンタンクのビークルモードで先頭を行き、仲間たちを守りながら安全な場所へと撤退した。

 

 スカイアーム、ドレッドウィング、ブレイクハイド、ランドエイジ、ブラックウィドウ──全員がそれぞれのビークルモードで戦場から離脱し、仲間を守った戦士としての誇りを胸に刻んでいた。

 

「本当に……ありがとう」

 

 サムは小さな声でつぶやく。

 

 オプティマスは優しく頷く。

 

「彼らの力があったからこそ、我々は勝利できた。

 

 彼らの存在は噂以上のものだった。だが、それ以上に、守るべきものを持つ者として、彼らは行くべき道を選んだのだ」

 

 ディスペンサーは到着し、残骸の整理やオートボットたちの修復を指揮する。

 

 損傷したオートボットの補修や、破壊された都市設備の復旧、戦場の跡地の調査──

 

 作業は決して簡単ではないが、仲間たちの力で着実に進められていく。

 

 サムは遠くに消えたレギオスティコンの背中を思い浮かべ、深く息をつく。

 

「彼らは……また戻ってくるかな」

 

 オプティマスは胸のマトリクスを握り、力強く答える。

 

「いつか必ず。また、共に戦う日が来るだろう」

 

 地球には平穏が戻りつつあった。

 

 人々は戦いの傷跡を知らず、オートボットたちの存在もほとんどが隠されている。

 

 だが、サムやオプティマス、そしてオートボットたちは確かに、世界の未来を守ったことを知っていた。

 

 サイバトロンでは、戦いでの犠牲と勝利の報告が伝えられ、プライムたちの遺志とレギオスティコンの働きが尊重される。

 

 ガルバスと仲間たちは自らの行くべき場所へ戻りつつ、必要があればいつでも戦いに駆けつける覚悟を胸に秘めていた。

 

 夕陽が砂漠を赤く染め、砂塵が静かに舞う。

 

 サムはオプティマスと並び、仲間たちの姿を思い浮かべる。

 

「……僕たち、また頑張ろうね」

 

 オプティマスは微笑むように頷く。

 

「そうだ、未来はこれからだ。守るべきもののために、共に歩もう」

 

 砂漠の風が静かに吹き抜け、戦いの記憶と絆は新たな光と共に未来へと繋がっていく。

 

 オプティマス、サム、そしてオートボットたち──

 

 すべての戦士の心に、確かな平和と希望が息づいていた。




■ ガルバス・プライム

性別:男性
所属:レギオスティコン
元所属:サイバトロン星での戦闘教官
役職:リーダー/戦闘指南役
性格:
冷静沈着で判断力が高く、厳格
仲間を家族のように守る面倒見の良い指揮官
スティンビーの主な抑え役、戦略的バランサー
武装:
右腕:フュージョンブラスター
左腕:収納式エナジーブレード
背中:ガルバスブレード、ガルバスシールド
両肩:収納型ミサイルポッド
ビークルモード:
戦闘前:M1070A1 HET(重機輸送トレーラー)
フォールン戦後:エイリアンタンク(メガトロンのビークルモードに似た乗り物)
変化のポイント:
重厚な防御型から、俊敏・ステルス寄りの戦闘スタイルへ
戦場での奇襲や高速移動を活かした指揮・護衛能力が増強
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21世紀を生きていた男が、銀河英雄伝説の帝国側に転生した。▼その家は青眼帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世により帝国騎士に叙されたマッケンゼン家だった。▼青眼帝と初代の誓い、そして父との約束の為に時には、不条理や危険、困難に阻まれながらも騎士道精神を守ろうとするゴットフリートが、特権階級の腐敗が蔓延る末期のゴールデンバウム朝銀河帝国において帝国軍人を志し「良き騎…


総合評価:418/評価:7.44/連載:11話/更新日時:2026年05月02日(土) 17:00 小説情報

魔都? 多分グルメ界とか裏のチャンネル(作者:柚子檸檬)(原作:魔都精兵のスレイブ)

イザナミ「知らん……何あれ……怖……」


総合評価:747/評価:8.59/短編:4話/更新日時:2026年04月17日(金) 22:51 小説情報


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