5月1日、朝のホームルーム。 その日、Dクラスの教室は阿鼻叫喚の地獄と化していた。
「おい! どうなってんだよ! ポイント振り込まれてねーぞ!」
「システムエラーか!? 俺、今月ピンチなんだよ!」
池寛治や山内春樹が、スマホの画面を茶柱先生に突きつけて喚いている。 茶柱先生は、冷徹な瞳で彼らを見下ろし、淡々と事実を告げた。
「エラーではない。今月分はすでに振り込まれている」
「はあ? ゼロだぞ!?」
「そうだ。お前たちの今月の評価は『ゼロ』だ」
教室が静まり返る。 茶柱先生は、この1ヶ月間の遅刻・欠席・私語の回数を読み上げ、この学校が『実力至上主義』であり、クラスポイントが生徒の価値そのものであることを暴露した。
「今月の支給額はゼロ。……以上だ」
再び爆発する不満と怒号。 女子生徒の中には泣き出す者もいた。
そんな狂乱の中、俺は隣の席の松下千秋を横目で観察した。
彼女はスマホの画面を見つめている。 『残高:68,000 pt』 先月の支給額の半分以上を残している。 さすがだ。彼女は最初からこのシステムに疑念を抱き、無駄遣いを避けていたのだ。 貧困によるパニックはない。だが——彼女の顔は蒼白だった。
(……金の問題じゃない)
彼女が震えている理由。 それは、このクラスのあまりのレベルの低さに絶望したからだ。
このバカたちと一緒では、Aクラスになど到底上がれない。
自分の能力を隠して「普通の女子高生」を演じながら、楽をしてAクラスに行こうとしていた彼女の計画が、根本から崩れ去った瞬間だった。
俺は机の下で、彼女の震える手をそっと握った。 松下はビクッと反応したが、握り返す力は弱い。
「……言った通りだろ?」
「……っ……」
彼女は唇を噛み締め、悔しそうに俯いた。 俺の予言が的中したこと。そして、この絶望的な状況。
「放課後、俺の部屋に来い。……『金』以上のものをやるよ」
俺の囁きに、彼女は力なく頷いた。
◇
放課後。俺の部屋。 松下千秋は、先日と同じようにベッドの端に腰掛けていた。 前回のような「下着による誘惑」などという余裕はない。 彼女は深刻な顔で、俺を睨んでいた。
「……で? 何の用?」
松下は腕を組み、防衛線を張る。
「私にお金を貸して恩を売るつもりなら、無駄よ。……私、これでも節約家なの。今月くらいなら余裕で暮らせるわ」
彼女は強がってみせる。 「私は他のバカとは違う」というプライドが、彼女を支えている。
「知ってるよ。千秋ちゃんが賢いのは」
俺はコーヒーを二つ淹れ、片方を彼女に渡して隣に座った。
「君が困ってるのは、明日の生活費じゃない。……『未来』だろ?」 「……っ」
「『こんなバカクラスじゃAクラスなんて無理』『私の高校生活終わった』……そう思ってる顔だ」
図星を突かれ、松下が視線を逸らす。
「……そうよ。無理に決まってるじゃない。マイナス評価からのスタートなんて……どうやって挽回するのよ」
「方法はある。……たった一つだけ」
俺はカバンから、一通の封筒を取り出した。 まだ封が切られていない、厚みのある茶封筒だ。
「……何それ?」
「『秘策』だよ。……もうすぐ中間テストがあるだろ?」
俺は封筒を彼女の太ももの上に置いた。 松下がいぶかしげに中身を少し覗く。 その瞬間、彼女の目が大きく見開かれた。
「これ……去年の、中間テストの問題……?」
「正解。いわゆる『過去問』だ」
俺はニヤリと笑う。
「俺は、ある3年生の先輩と個人的なパイプを作ってね。……結構なポイントを払って譲ってもらったんだ」
これは嘘だ。実際には一之瀬帆波のコネクションを一部利用しつつ、裏で俺が独自に入手したものだが、詳細は伏せておく。
「この学校のテストは、過去問と酷似した問題が出ることが多い。……これをクラスの連中に配れば、全員が高得点を取れる」
「そ、そっか……! 平均点が上がれば、クラスポイントも回復する……!」
松下の瞳に光が戻る。 Aクラスへの希望。この泥舟を浮上させるための、唯一にして最強のカード。
「でも、ただ配るだけじゃ面白くないだろ?」
俺の手が、封筒の上から彼女の手を包み込んだ。
「え……?」
「これを平田や堀北に渡して、『みんなで頑張ろう!』なんてやるつもりはない。……それじゃ、俺たちのメリットがない」
俺は顔を近づけ、悪魔の提案をする。
「この過去問を使って、クラスを『支配』するんだ」 「支配……?」
「誰に、いつ、どうやって渡すか。……それをコントロールすることで、クラスの実権を握る。バカな連中に『一ノ瀬旭と松下千秋には逆らえない』と刷り込むんだよ」
松下がゴクリと喉を鳴らす。 彼女の中にある「計算高さ」が、俺の提案に共鳴している。 単なる救済ではなく、自分たちが「影の支配者」になるという甘美な誘惑。
「……具体的には、どうするの?」
「君には『参謀』になってもらう。……どのタイミングでこの情報をリークするか。誰を恩義で縛るか。そのシナリオを一緒に書くんだ」
俺は彼女の肩を抱き寄せ、耳元で囁く。
「金はあるんだろう? なら、次は『権力』を手に入れようぜ。……俺と一緒に」
松下は迷っていた。 だが、その迷いは「拒絶」ではなく、「覚悟」を決めるための時間だった。 彼女は俺の方を向き、真剣な眼差しで問い返してくる。
「……本当に、Aクラスに行けるのね?」
「俺といれば、必ず」
「……わかったわ。」
契約成立。 彼女は自分から、俺の肩に頭を預けてきた。
「ただし……私の貯金、あてにしないでよね。ポイントは渡さないから」
「いらないよ。……俺が欲しいのは、金じゃなくて『君自身』だからね」
俺は彼女の顎を指で救い上げ、その唇を親指でなぞった。
「その代わり……今月は金がないバカたちが、必死にバイトや節約をするだろう。ストレスも溜まるはずだ」
「……だから?」
「俺もストレスが溜まるんだよ。……優秀な『参謀』殿には、俺のガス抜きも手伝ってもらわないと」
「最低。」
「乗るしかないだろ?この前の続き、必死に一人で慰めてた分、たっぷりサービスしてやるよ。」
「…乗る。ただし、勘違いしないでよね」
彼女は俺を睨みつけ、吐き捨てるように言った。
「これはビジネスよ。あんたみたいな『裏切り糸目』に、私が本気で惚れるわけないでしょ。」
「ハハッ、最高の褒め言葉だね」
俺はその罵倒を心地よく受け止め、彼女の肩を押し倒した。 松下は抵抗しなかった。だが、ベッドに沈むその体は石のように強張っている。
まるで「心までは売らない」と主張するかのように、彼女は冷ややかな目で俺を見上げていた。
「さっさと済ませなさいよ。……どうせ、私の身体が目当てなんでしょ?」
「ああ、そうだね。……でも、そんな怖い顔しないでよ」
俺は彼女の上に覆いかかり、まずはその唇を塞いだ。 強引なキス。 松下は唇を閉ざして拒もうとするが、俺は舌で強引に抉じ開け、彼女の口内を蹂躙する。
「ん……っ! むぐ……っ!」
唾液が混ざり合う水音。 数分間、息もできないほど濃厚に絡み合わせた後、俺は唇を離した。 銀色の糸が、二人の間で切れる。
「はぁ……っ、はぁ……っ! ……へたくそ……っ」
息を切らしながらも、まだ減らず口を叩く。 その気丈さが愛おしい。
「いい味だ。……じゃあ、次はこっちかな」
俺の手が、彼女の制服のボタンを外し、ブラウスを左右に開く。 露わになった鎖骨、そしてレースに包まれた胸。 俺は首筋に顔を埋め、わざと敏感な場所を選んで舌を這わせた。
「ひゃぅっ……!」
松下の喉から、可愛らしい悲鳴が漏れる。 俺はその反応を見逃さず、執拗に同じ場所を攻め立てた。耳の裏、うなじ、そして喉仏。
「んっ……や、やめ……っ! くすぐったい……!」
「嘘だね。……ここ、すごく熱くなってるよ」
「ちが……っ、あんたなんか……きらい……っ!」
「嫌い」と言いながら、俺の髪を掴む彼女の手には力が入っていない。 むしろ、しがみつくように引き寄せている。
俺の手はさらに下へ、スカートの中へと侵入する。 シンプルな白いレースの下着越しに、秘所を掌で圧迫し、ゆっくりと円を描く。
「あ……っ! んあ……っ!」
「罵ってくれよ、千秋ちゃん。……俺みたいなクズに、こんなところ触られて最悪だって」
「さ、さいてい……っ! 死ね……っ! んぅ……!」
罵倒の言葉が、快楽の喘ぎ声に混じって溶けていく。 俺は指の動きを早め、同時に首筋にキスマークを刻みつけた。 痛みと快感の波状攻撃。
「あ、あっ、だめ……っ! おかしくなる……っ!」
「なればいい。……君のその澄ました仮面、全部溶かしてやるよ」
俺は彼女の太ももを大きく広げさせ、その間に深く体を割り込ませた。 そして、下着をずらして直接、一番弱い部分を指先で弾いた。
「————ッ!!??」
松下の背中が大きく反る。 声にならない絶叫。 彼女の瞳から、生理的な涙が溢れ出した。
「はぁ、はぁ……っ! あ、あ……っ」
彼女の瞳孔が開いている。 もう、罵倒の言葉は出てこない。 頭の中が真っ白になり、俺に与えられる刺激だけが世界の全てになっている。
「どうした? ……まだ『クズ』って言えるか?それなら…」
俺は意地悪く手を止め、耳元で囁いた。またお預けにされるのではないか。 焦らされた松下は、涙に濡れた瞳で俺を見上げ、首を横に振った。
「ううん……っ、だめ……やめないで……」
「ん? 聞こえないな」
「……おねがい……」
プライドの塊だった彼女が、俺のシャツを弱々しく握りしめる。 そして、熱に浮かされたような、とろんと蕩けた表情で、小さく呟いた。
「……優しく……して……」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋にゾクゾクとした震えが走った。 あの冷徹な松下千秋が。 計算高く、他人を見下していた彼女が。 俺の前で完全に堕ち、慈悲を乞うている。
これ以上の征服感があるだろうか。
「……よく言えました」
俺は満足げに笑い、彼女の額にキスを落とした。
「ご褒美だ。……たっぷりと可愛がってやるよ」
再び、俺の指が動き出す。 今度は先ほどよりも優しく、ねっとりと。 松下は「あぁん……っ」と甘い声を上げ、自ら腰をくねらせて快楽を受け入れた。
俺の部屋には、彼女の理性とプライドが完全に決壊する音が、朝まで響き続けた。
これにて一旦締めとさせていただこうと思います。
気が向いたらまた書きます。