最後まで読んでくださりありがとうございました!
感謝の気持ちも含め、礎世界線でのifを楽しんでいただけると嬉しいです。
あと二話ですが15分後とその5分後に投稿致します。
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快晴だった。
雲一つない空。
風は穏やかで、
春の匂いがする。
「……本当にやるのか」
低い声。
緊張が、
滲んでいる。
鏡の前。
黒紋付姿の伊黒小芭内が、
珍しく落ち着きを失っていた。
「今さら何言ってるんですかぁ」
宇髄天元が、
呆れたように笑う。
今日は派手だった。
無駄に。
「ここまで準備しといて逃げたら、
派手に縛ってでも連れてくぞ」
「縁起でもない事を言うな」
伊黒の眉間に、
皺が寄る。
その横。
実弥が、
腕を組んで壁にもたれていた。
「まぁでも、
テメェがこういう日迎えるとはな」
「お前にだけは言われたくない」
「喧嘩か?」
「やめてくださいよ二人とも!」
炭治郎が慌てる。
その後ろで、
善逸が既に泣いていた。
「うわぁぁぁ!!
伊黒さん結婚するんだぁぁ!!」
「まだ始まってねぇぞ」
伊之助が、
不思議そうに言う。
「結婚って何だ?」
「今説明すると長ぇ」
実弥が雑に返した。
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別室。
甘露寺蜜璃が、
白無垢姿で座っている。
綺麗だった。
誰が見ても。
柔らかな春の光が、
その姿を包んでいる。
カナヲが、
そっと髪を整える。
「……すごく綺麗です」
甘露寺の目が、
少し潤む。
「うぅ……なんか緊張してきたぁ……」
「さっきから五回目です」
小夜が、
静かにお茶を置く。
禰 豆子が、
嬉しそうに笑う。
「蜜璃さん、
絶対幸せになります」
その言葉に。
甘露寺が、
とうとう泣き始めた。
「うわぁぁん!!」
「泣くの早いです!!」
アオイが慌てる。
部屋が、
一気に騒がしくなる。
だが。
誰も止めない。
今日くらいは、
それでよかった。
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式場。
元鬼殺隊の面々が、
静かに集まっている。
鬼はいない。
刀もない。
でも。
ここにいる全員が、
同じ夜を越えてきた。
失ったものを抱えながら。
それでも、
生き残った人達だった。
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鱗滝が、
静かに空を見る。
隣には義勇。
さらにその横には、
真壁がいた。
「平和な場というのは、
妙に落ち着かんな」
真壁が、
ぽつりと言う。
義勇が頷く。
「分かる」
炭治郎が、
少し笑った。
「二人とも、
まだ周囲見てますよね」
実際。
真壁は、
入口と人の流れを確認していた。
義勇も、
無意識に壁際へ立っている。
完全に癖だった。
「もう鬼は来ませんよ」
炭治郎が言う。
真壁が、
小さく息を吐く。
「分かっています」
「でも、
抜けませんね」
義勇が、
静かに湯呑を持った。
「まぁいい」
短い。
だが。
その声は少し穏やかだった。
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やがて。
障子が開く。
空気が、
静かに変わる。
白無垢姿の甘露寺。
その隣に、
紋付姿の伊黒。
一瞬。
誰も、
言葉を失った。
綺麗だった。
ただ、
それだけが落ちる。
宇髄が、
最初に笑う。
「派手じゃねぇか」
実弥が、
鼻を鳴らす。
「……似合ってんな」
善逸は、
また泣いていた。
「うわぁぁぁぁん!!」
「うるせぇ黄色!!」
伊之助の声。
笑いが起きる。
その空気の中で。
伊黒が、
少しだけ甘露寺を見る。
甘露寺も、
少し照れたように笑う。
無惨戦の夜。
もう戻れないと思っていた。
朝なんて来ないと思っていた。
それでも今。
こうして、
同じ場所へ立っている。
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誓いの盃。
静かな拍手。
春の風。
縁側では、
雀が鳴いている。
鬼殺隊は、
もう存在しない。
戦いも終わった。
だが。
命を繋いだ人達は、
こうして残っている。
炭治郎が、
小さく笑う。
「良かったなぁ」
その声に。
真壁も、
静かに頷いた。
「ええ」
短い返事。
だが。
そこには、
確かな安堵があった。
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宴席。
当然のように、
騒がしくなっていた。
「伊黒さん!!
ちゃんと笑ってくださいよ!!」
「笑っている」
「怖いですぅ!!」
「それは元からだ」
宇髄が吹き出す。
実弥が酒を飲みながら笑う。
善逸はまた泣く。
伊之助は料理を山ほど積む。
禰 豆子が困っている。
カナヲが、
少しだけ笑っている。
その騒がしさを見ながら。
伊黒が、
ふと呟く。
「……悪くない」
甘露寺が、
嬉しそうに目を細めた。
春の陽射しが、
静かに皆を照らしている。
夜を越えた者達の、
穏やかな朝だった。
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おまけ編 ― 祝福の朝 終