転生したらヘレティックだった件   作:インなんとかさん

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いつもお読みくださり、ありがとうございます。繁忙期が続いていて更新が遅れて申し訳ありません。また、感想、評価、お気に入りなどしていただければ幸いです。


インとジズ

 

 

 

 

 

 

 轟音、爆発、振動――。

 

 

 旧発電所の調査任務を与えられたカウンターズは、旧発電所内部へと繋がる下水道を通りつつさながら戦時に塹壕内を通るような感覚を覚えていた。

 

「わっ!? な、なに……!?」

 

 恐らく地上にいた大型のラプチャーの誘爆によって発生した振動により、下水道全体が揺れ、天井から埃が落ちる。

 

 地上部分は完全にラプチャーに四方八方包囲され、半ば溜まり場と化していた旧発電所。その内部へ安全に向かうため、小競り合いをしつつ半ばまで下水道を進んでいたところでの事態であった。

 

「感じます……! 火力の音をっ!」

 

 カウンターズに新たに配属されたニケ――ネオンは断続的に繰り返される振動と戦闘音に眼鏡を輝かせ、そんな言葉を吐く。

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! これ私たち狙われてる……? なんで!?」

 

《周囲の状況を確認します……!》

 

 調子外れなそれをアニスが嗜め、指揮官らの状況が最悪な場合を想像して顔を青くし、オペレーターのシフティーが周囲のスキャンを行う。

 

 それを尻目に少し考えた様子のラピが続いて口を開いた。

 

「……明らかに撃破されたラプチャーが自壊している音。それも異常なほど間隔が短い。地上で何かが戦っているわね」

 

「あの数と……? どっちにしても化け物じゃない!」

 

《これは……反応はラプチャーしかありませんが、急速に数を減らしています! す、凄い……まとめて20〜30体のラプチャー反応が消滅して……!》

 

「機器の故障じゃないの……? そんなの絨毯爆撃でもしてるみたいじゃん」

 

「火力っ! 火力です!」

 

「レーダーに映らない……ニケを逸脱した戦闘力……決まりね」

 

"とりあえず、発電所まで行ってから確認しよう"

 

 指揮官の言葉に従い、カウンターズは旧発電所を目指すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 下水道から旧発電所の本館に侵入した頃には、これまで感じていた振動と轟音が嘘のように静まり返っていた。

 

「なによ、これ……?」

 

 そして、外に出てまず目に入った光景は、地表を覆う虫の群が踏み潰されたかのように旧発電所一帯に広がる小型ラプチャーの残骸であり、足の踏み場もない様子のそれをアニスは唖然とした様子で眺めている。

 

「……見覚えのある切り口ね」

 

 また、それらはまるで全てが紙飛行機をハサミで一直線に切ったように異常なほど鮮やかな状態で両断されており、そんな切断面に触れたラピは小さく呟いた。

 

「し、師匠……!」

 

"ああ……"

 

 更に辺りを見れば、旧発電所に点在する建屋が、竹を斜めに割ったかのように斬られて崩れており、それらが乱雑に並び立つ光景は、さながら数十mの刃を持つ何かが居たかのようにしか思えない有様であろう。

 

《発電所の地表及び周辺地域にラプチャー反応はありません。レーダー上では……安全です》

 

"そうか……"

 

 また、旧発電所の本館近くに置かれた夥しい数のロード級ラプチャーの残骸を積み上げて作られた山が、オブジェのように佇み――彼は背筋が凍るようであり、また燃えて粘つくような感覚を覚え、振り返ると何もない筈の空間を眺めた。

 

 そして、人間やニケのそれとは似ても似つかないような悪意と愛情が入り混じった何かを感じつつポツリと呟く。

 

"イン……いるのか?"

 

『えぇ、いますよ』

 

 すると直ぐに彼が見ていた場所から返事がされ、硬い金属音の足音を響かせると直ぐに彼の目の前で止まり、彼の手をなぞるように触れる。

 

『うふふ、私のあなた。また、会えましたね?』

 

 その声と所作は紛れもなく前回の任務でカウンターズを助けた存在であり、地上で生きているニケであるピルグリムを名乗る者――インであった。

 

 カウンターズはそれぞれの反応をしているが、彼女との会話はひとまず指揮官として彼が務める。

 

"どうしてここに? これは君がやったのか?"

 

『その指輪、着けて下さって嬉しいです』

 

『えっ、指輪? わぁ、キレイ』

 

 インは指揮官の左手の薬指――から右手の薬指に嵌め変えられた指輪に触れつつそう呟く。

 

『渡した時に言った通り、それを着けていれば私から会いに行けますので。尤もアークほどの位置まで深く潜られてしまえばわかりませんからプライバシーは守っているつもりですよ?』

 

『いいな、いいなぁ……』

 

『それともうひとつの質問ですね? ええ、この辺りのラプチャーは私が片付けておきました。何か不都合があったなら申し訳ありませんが……まあ、構わなかったでしょう?』

 

『あっ、先輩。おっきいラプチャーのコアとか貰っていい?』

 

『ええ、もちろんいいですよ。カウンターズの方々だけでは到底持ち帰れないでしょうから』

 

『やった!』

 

「ちょっと待ってよ」

 

 彼に状況説明をしていたインであったが、余りにも看過できない突っ込みどころに耐え兼ねたアニスが声を掛ける。

 

『なんでしょうかアニス? がめついですね。一応、ラプチャーは散らしましたが、この発電所は、ラプチャーの集合地点にもなっています。なので回収部隊を派遣した頃にはそれなりに数が集まり直していて、回収作業は難しいと思いますよ?』

 

「あっ、そうなのね。なら任務を優先して早く――違うわよ! いや、違くないけど違うの! 明らかに2人いるわよね!? 誰なのよ!」

 

『これは失礼しました。隣に来てください』

 

『はーい』

 

 するとやや間延びしたトーンの返事の後、インの横まで足音が響き、鳥が翼を開くような音と共に続けて声が出される。

 

『ジズだよ、先輩の後輩。よろしくね?』

 

 とても簡素な自己紹介だけ行われ、それ以上の事は特になかった。

 

《えっと……新たなピルグリムでしょうか?》

 

「ピルグリムは沢山いらっしゃるんですね! 知りませんでした」

 

「いないわよ。なんかうちの指揮官様に付き纏ってるだけ」

 

「それはそれで凄いことでは?」

 

 シフティーの呟きにアニスとネオンが反応していると、ジズの方が先に動いた。若干、鼻息を荒くした息遣いが聞こえる様子である。

 

『へへ……"インディ"先輩ってスゴイでしょ? 3分ぐらいで辺りをこんな風にしちゃうぐらいだし』

 

『ジズ』

 

『スゴイんだよ! "尻尾"でびゅんびゅん! "剣"でずばばばって! インディ先輩に斬れないものなんてないんだから』

 

『ジズ』

 

『それにすっごく優しいし! "他のみんな"もインディ先輩をだいすきだから』

 

『ジズ』

 

『えっ、どうしたのインディ先輩?』

 

 短時間でカウンターズに情報を浴びせ掛けるジズは、恐らく自分が言いたいことを一旦全て言い終えた後で止まった。

 

 インとカウンターズの間で絶妙な雰囲気か流れるが、ジズは特に気にした様子もないように思える。

 

『ジズ……』

 

 そして、やや重めにインから呟かれた名前の後――ぽふっと頭に手が乗るような音が響き、髪の擦れる音から更に前後に動かされた。

 

『あなたは美しいですね』

 

『はへ? ふへ……へへへ……先輩すき』

 

『……それはそれとしてジズ。カウンターズにも任務がありますからコアが欲しければそろそろ回収した方がいいですよ』

 

『あっ、そうだね』

 

 そして、インは少しジズの頭を撫でてからそう諭し、ジズはラプチャーのコアを回収するために向かって行った。

 

 それを見届けたインはカウンターズの方へと再び向き合う。

 

『さて……』

 

「どうしたのインディ先輩?」

 

「どうしましたかインディ先輩?」

 

『…………』

 

 そして、早速のカウンターズ2名による名前弄りにインは閉口した。

 

「……イン」

 

『……ラピピは優しいですね。あなたも撫でてあげましょう』

 

「…………」

 

 気を使ったのか遅れてそう呼んだラピは、インの返事により無言で距離を取った。その様子に何か少しだけインは寂しそうにしているような雰囲気に彼は感じる。

 

「ところでそろそろ自己紹介をしてもよいでしょうか?」

 

『はい、構いませんよ。カウンターズの皆さんの逞しさは驚嘆に値しますね。もちろん、美徳です』

 

「ネオンです。スパイをしています。不躾ですが……火力についてどうお考えですか?」

 

『はい、ありがとうございます。私はインと申します……インと申します。あなたがスパイなら私は……ニンジャですね。火力ですか? それは――』

 

 するとインの周囲が揺らぎ、次の瞬間に鋭い風と大気を震わせる感覚を肌で覚えると、斬撃波としか言いようのない何かが地面に走り、百数十mに渡って巨大で鋭利な斬撃を刻む。また、その発生から完了までにはほぼ無音であり、まるでその場が元からそうであったかのように亀裂だけがあった。

 

 どうやら周囲の異様な有り様は、このような斬撃によって大半が生み出されたものなのだろう。完全にアークの常識に喧嘩を売っているが、そのレベルでなければ地上で生き抜くことは出来ないとも言える。

 

『あればあるほどいい……私はその道のプロと言っても過言ではありません。力こそ王の故です』

 

「――! 師匠……この方……とても良い方です!」

 

"そうか……"

 

 互いの言っていることは若干異なるような気もするが、互いにとってはあまり関係ないらしい。インについては今のところ少々拗れた善人であるため、この場では深く追求せず、任務の優先度もあるためジズを待ってから任務へと戻るのだった。

 

 

 

「ではイン先輩と呼びますね?」

 

『ネオンは賢いですね……まるでバハムートです。この娘を毎回、銃弾3発ぶち込むオチ要員にするとか正気ですか』

 

 

 

 それと、どうやらインはとてもネオンが気に入ったらしい。恐らくほぼ同じ波長の人種なのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カウンターズが調査のため、発電所の地下区画にある制御区画へ向かい、内部にも存在していたラプチャーをなぎ倒しながら進む。

 

 

『ラピ……ラピ……』

『アニス……アニス……』

『ネオン……ネオン……』

 

『うん、覚えた』

 

『よろしくね、みんな。えへへっ……』

 

 

 その途中、ジズにカウンターズの面々が自己紹介する場面があった程度で、地下区画への侵入は滞りなく運んだ。

 

 

 

「ねぇ、さっき尻尾って言ってたわよね? 思考転換のリスクとか大丈夫なの?」

 

『触りますか? 尖端の刃には危ないので触れないでくださいね。手脚を改造する訳ではなく、浮遊型の独立ユニットや、飛行ユニットのような追加武装に近いと…………アニス? そこは尻尾ではありませんが?』

 

「わ、わぁ……モデルみたいなスタイルしてるのね……」

 

『――ええ、美しいでしょう? ふふ、そう……私は美しいのです』

 

「アニス、止めて」

 

「ラピも触ったら? ボディの密度とか凄いわよ」

 

「………………」

 

 

 また、会うのが2回目で、化け物染みた戦闘力があろうとも特に気後れしない辺り、かなり関係がいいらしい。もしくは単純にカウンターズが大物なのかも知れない。

 

 ちなみにラピも触った。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 制御区画に侵入すると、小型のラプチャーが周囲の機械に取り付いており、明らかに何らかの作業をしている様子であった。

 

「あのラプチャーたち、何をやっているのでしょうか?」

 

『ああ、見ての通り、発電所を動かしていますね』

 

『珍しいねー』

 

「そんなことあり得る……? ラプチャーが人間の文明を利用するわけ――」

 

『今まではそうかも知れませんね。けれど、とっくに人類淘汰という本来の役目を終えたラプチャーなら、暇潰しにどのような進化をしても特に疑問はありませんよ? ラピピもそう思いませんか?』

 

「…………操作しているわ、アニス」

 

「本当ね……」

 

 何故かラプチャーの話題をラピに振ってくるインを無視しつつ、カウンターズはラプチャーが発電所を稼働させていたという事実を確かに確認する。

 

『なぜやっているのでしょうね? お腹が空いたのでしょうか? 今のラプチャーは半永久的に動き続けますが、だからと言ってお腹が空かないこともありませんから。私から見ても年々生物のような動きをするラプチャーが増えているような気がします。うふふ、美しいですね』

 

「どういう立場で言ってるのよ、あなた?」

 

 インのやや調子外れな言葉にアニスが呆れた様子で答え、その間にラピは調査と記録を終えた。

 

「指揮官。アークへ戻ることを提案いたします。調査という任務は達成しました」

 

"そうだな。帰ろう"

 

「ラジャー。シフティー、後ろのルートを確保――」

 

 そして、撤退を決めたその直後、ラピの死角からラプチャーのビームが発射され――それに辛うじて反応したラピは紙一重で躱し、反射的に射撃位置へと意識を向ける。

 

「気づか――」

 

『………………』

 

 その直後、対象を失い明後日の方向に飛んだ筈のビームは――僅かな空気の振動と共に通常は有り得ない角度で跳ね返り、ラピの頸部を吹き飛ばした。

 

 ラピの頭部は指揮官の足元に落ち、身体は地面に崩れ落ち、硬い音だけを響かせる。

 

「ラピ!? このっ……!」

 

「ラ、ラピ……!?」

 

『あら? 油断しましたね、ラピピ』

 

『えっ……?』

 

 悲鳴に近い声を上げるカウンターズに反して、インは全く変わらない様子であり、またジズはインとラピの残骸を交互に見合わせて目を丸くしている。尤も光学迷彩を纏った2人の様子がカウンターズに伝わることはない。

 

 直ぐに臨戦態勢に入るアニスとネオンとは異なり、彼はラピの頭と目を合わせたまま呆けたとも表情を失ったとも言える様子をしていた。

 

「ねえ、確りしてよ指揮官様! 敵が来てるよ!」

 

『うふふ……可愛らしいですね、美しいあなた』

 

『先輩、あんまり性格よくないよ?』

 

 アニスが指揮官の意識を戻すため喝を入れたところで、施設全体が激しく揺れる。それに困惑するアニスとネオンだったが、真っ先に動いたのはインであった。

 

『どうやら楽しい遠足はここまでのようですね。撤退の準備を。もちろん、殿は我々が務めましょう』

 

『えっ……わ、わかった!』

 

《前方及び右方向からタイラント級を感知! 識別信号! グレイブディガー……じゅ、11体です!》

 

「じゅういち!?」

 

 その直後、巨大なトンネル掘削ドリルをワームにしたようなタイラント級ラプチャーである1体のグレイブディガーが、コンクリート壁を突き破りながらカウンターズへと飛び込み――その直後、立て続けに2度放たれた斬撃により、周囲の空間ごと十字にその列車のような巨体を半ばまで斬り裂かれる。

 

『まずは1匹ですね』

 

 そして、勢いのまま慣性に突き進んだそのグレイブディガーは、カウンターズの手前で崩れ落ちると2度と動くことはなく永遠に停止した。

 

 しかし、周囲の振動は徐々に強まっており、残りの10体が集結するのも時間の問題であることは明白だろう。

 

 そのため、指揮官とカウンターズはラピの頭部を回収してから鉱車を使って外部に出るルートでの撤退を決める。

 

 その間にも2体目のグレイブディガーが到来し――やはり斬撃による圧倒的な破壊によって切断され、ただの残骸へと変わった。

 

『どちらかと言えば、施設が持ちませんか』

 

 しかし、グレイブディガーが施設の地下部分を破壊しながら通って来た上、インの範囲攻撃による余波で制御区画は既に壊滅的な被害を受けて異様な警報が鳴り響き、また倒したグレイブディガーの残骸がスパークを放ち、自壊の兆候を見せている。

 

『化け物は化け物にお任せを。それでは皆さま、ご機嫌よう』

 

『へへっ、みんなばいばい! よかったら、また遊んでね?』

 

「――ッ! ごめん……! 行くよ! ネオン!」

 

「はい! ありがとうございます! イン! ジズ! また、会いましょう!」

 

 礼を述べてからカウンターズは撤退し、その背を2体のピルグリムは見送ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し呼び出し過ぎましたね」

 

 瓦礫の山のようになった制御区画と、"10体"のグレイブディガーの残骸を前に光学迷彩を切ったイン――ヘレティックのインディビリアはそんな言葉を呟く。

 

「1体通しちゃってよかったの?」

 

「はい、アークのニケには功績が必要ですからね。多少削ってはおきましたし、あれぐらい撃破できなければ話にもなりません」

 

「普通なら殺されちゃうと思うけど……」

 

「彼らはとても美しいので大丈夫ですよ。むしろ、私が見初めたのですからそれぐらいして貰わねば困ります」

 

 そう言いつつインディビリアは尻尾でグレイブディガーの大きな残骸を切り裂きながら手で更に退かし、何かを探し始める。

 

「そっかぁ……でもよかった。インディ先輩にも大好きな人ができたから、えへへ……」

 

「……と、おっしゃいますと? 私はあなた方のことも先輩方のことも平等に愛しているつもりですが?」

 

「あっ、うん。そうなんだけど違くてね。インディ先輩って昔から楽しそうに誰かを斬ろうとしてばっかりだったから、他に楽しそうなことができて嬉しいなって! ね?」

 

「……………………私ってジズにすらそんな風に見えていたんですね」

 

 屈託のない笑みから放たれたジズの言葉にインディビリアは少し固まると、目頭を押さえて溜め息を吐いた。

 

 そんな様子の彼女を眺めたジズは少し淋しげな様子で更に口を開く。

 

「でも……どうしてラピを斬っちゃったの? お友達なのに」

 

「いいえ、斬っていませんよ」

 

 グレイブディガーの残骸を退かし続けていたインディビリアは――遂に折り重なるようになっていた首のないラピのボディを発見し、それを引き抜くとその場に座り込む。

 

「外れたラプチャーの放ったビームが、偶々私の尻尾で跳ね返ってラピピの首に当たっただけです」

 

「えー……」

 

 言い訳にすらなっていない言い訳にジズが半目でインディビリアを見つめるが、彼女はラピの胴体に触れて何かを確かめており、気にした様子はない。

 

「うふふ、なるほど、このように……。レッドフード、随分お元気そうで何よりですね」

 

「れっどふーど?」

 

「いいえ、こちらの話です。ええ、次は斬りますから……」

 

 それだけ言って笑うと、インディビリアはラピのボディを持ち上げてジズへと差し出す。

 

「へ?」

 

「差し上げます。確認は済みましたし、元々そのつもりでしたので」

 

「い、いらないよぉ……」

 

「よくコアを見てください」

 

「コア…………あっ! コアがふたつある!? どうして!?」

 

「ふふふ、ね? スゴいでしょう? こんなもの他に見たことがありません。そうですね?」

 

 インディビリアの問いにジズは首をブンブンと縦に振って答えた。

 

「そういった意味でも彼らは特別なんです。まあ、後ろめたくなるのはそうだと思いますので、レヴィが本当に困ったときに渡すといっぱい褒めて貰えると思います」

 

「えへ、へへ……そうかな? そうかも……?」

 

「だからこれは私との秘密ですよ?」

 

「う、うん! わかったよ」

 

 そこまで会話をしたところで、周囲の施設の各所から爆音が響き、グレイブディガーの残骸もそれぞれがバチバチとスパークを起こし始め、辺りが激しく揺れる。

 

「ひゃわっ!?」

 

「潮時……いえ、手遅れですね。ジズ、おいで」

 

「…………?」

 

 その言葉でジズはインディビリアの目の前に立つ。そんなジズを抱擁するようにインディビリアが抱き締めると、身体が輝き、ジズを飲み込みながらそのシルエットが徐々に巨大化していく。

 

 

『楽にしていてください、私のジズ。外まで運びますから』

 

 

 そして、その巨体がサソリのような像を結ぶのと、発電所全体が消し飛び、巨大な爆炎と化すのはほとんど同時であった。

 

 

 

 

 

 







〜 簡易登場人物説明 〜

インディちゃん
よくも悪くも必要があれば、如何なることでも即断で行う個人主義者。どちらかと言えば明らかにクズなへんな女。強くて余裕そうな雰囲気を出すことが得意。退魔の剣とか空きビンでテニスとかしてくれるタイプのボスキャラ。ピルグリムの鑑にしてヘレティックの屑。

ラピ
ラピピ、まだあんまりラピラピしていない頃。

アニス
打てば響く良い女。最大の武器は恐らく黄金の精神。

ネオン
かわいい火力。

ジズ
かわいい娘。

レッドフード
へんな女によく好かれる女。拗らせヒロインの誘蛾灯。



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