超かぐや姫 タイガー道場概念   作:超かぐや姫に脳を焼かれたオタク


原作:超かぐや姫!
タグ:R-15 独自設定 キャラ崩壊
『超かぐや姫って普通ならハッピーエンド無理よな。バッドエンド、タイガー道場……せや』なノリで生まれました
タイガー道場パートだけ見たい方は⭐︎からご覧ください
独自設定、キャラ崩壊を含みますのでご注意を

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超かぐや姫 タイガー道場概念

2030年9月12日

KASSENフィールド内かぐや卒業ライブ特設会場

 

雷、乃依のブラックオニキスの二人

そして真実、芦花が落ちる

 

月からの大軍を相手に健闘したものの、やはりKASSEN内の中立ミニオンとは訳が違うということだろう

まだ残機は残っていてシステム上はリスポーンが可能といっても、これでは……

それは私たちにもいえることで

 

「ここはいい! 走れ、彩葉!」

 

鬼のように禍々しい姿をした帝アキラ──兄の声が聞こえる

チートモードによって全ステータスをぶっ壊れ性能に引き上げたといえ、多勢に無勢なのは変わらない

そう遠くないうちに彼もまた月人の前に屈することになるのは目に見えている

いや、それともツクヨミの監視プログラムに発見されて強制BANされてしまうのが先だろうか

どうすればかぐやを月に連れ帰さずに済む。考えろ、考えろ!

 

──────────

私は

 →兄の助けに入る

  兄に従ってかぐやのもとに走る

──────────

 

帝アキラと月人の間に割って入る

そしてキーボードを思いっ切り振り上げて、彼に向かって振り下ろされた武器を弾く。そのまま渾身の力を込めて月人を押し返した

 

「彩葉、お前……!」

 

背後から帝アキラの唖然としたような声が聞こえる

当然だ

普通なら私もかぐやのもとへ向かって、せめて彼女のそばにいようとしただろう

でもそんなの嫌だった

もう誰かに従って、誰かに責任を押してつけて何かから逃げようとするのは

だから私はそれを口にする代わりに行動でしめす

 

私を中心に再び力の奔流が渦を巻く

仮想空間が歪んで音を立てて軋むのを感じた

しかしそれは先ほどのブラックオニキスたちと合わせ鏡のようで少しだけ違う

 

「おおっと、先ほどのブラックオニキスたち三人に引き続き、いろPもチートモードの使用!

もしやこれはそういう(・・・・)催しだったのでしょうか!?」

 

忠犬オタ公をはじめとした観衆に再びどよめきが走る

この卒業ライブはチートだろうが何でもありのバトルロワイアルであると勘違いしてくれたのは誤算だったが、訂正する必要もないしむしろ有難かった

これならばブラックオニキスのチート使用について、スポンサーをはじめどうとでも誤魔化しが効くだろう

 

私は熱に浮かされる赤子のように腕を左右に広げた

それを合図とするように、次の瞬間アバターが変化を遂げる

 

服装こそはいつものストリート系のファッションだが、体を覆うベルトの一部にかぐやのそれを彷彿とさせる水引が絡みついている

背後からは背を囲むように狐の尾が九つ

目には見えないものの狐耳は一回り大きくなり、頬にはブラックオニキスの帝アキラ、雷、乃依と同じ痣のようなものが浮かんでいることだろう

 

「行くよ、お兄ちゃん。キョーダイ会議の続きをさ!」

「……おう!」

 

帝アキラはリアルに似た笑顔で頷くと、私たちは再び走り出した

私が奏でてかぐやが歌う卒業ライブはまだ序盤

必ずかぐやと一緒に帰るんだ、ここでバッドエンドなんて絶対許さない

 

 

「で、どうするつもりなんだよ彩葉。まさかノープランなんてことないよな」

「当然でしょ。あいつらはどういうつもりか知らないけど、こっちのルールで戦ってくれてる。だからそれを利用しよう」

「なるほど、試してみる価値はある」

 

私たちは襲い来るリョウサン型の月人をちぎっては投げちぎっては投げながら、軽く作戦をすり合わせる

このアバターというか使用したチートは敏捷特化のもので、ブラックオニキスたちのような全ステータス向上ではない。ツクヨミで使用できるレベルのものは高額で学生には手を出しにくいのだ

なのでいかにもパワータイプなコンゴウ型などは全部帝アキラに任せているのだが、軽やかな手つきで対処していて思わずこの場にふさわしくない感情がよぎりそうになる

それを知ってか知らずか、彼は素早く要点を押さえて行動を開始した

 

作戦といっても単純なもので、私が提案したのは『KASSENのルールで月人が戦っているのなら、それに勝てばあいつらを正規の手段でツクヨミから締め出せるのではないか』というものだ

とても作戦といえたものではないし、普通ならば時間が足りないところだが幸いここに参加しているのはトップのeスポーツ選手。しかもチート付き

十分勝算はある

懸念があるとすれば、最後まで月人たちがルールに則って動いてくれるのか。そして彼らが私たちを無視して本気でかぐやを押さえにかからない保証はあるのかといったところだが、これに関してはやってみるしかないだろう

 

『いろPと帝、急に戦いをやめたかと思えば各々別方向に走り出した。いったいどこに向かおうと……あそこにあるのは櫓だぁ! 2人は謎の軍勢を相手にKASSENしようというつもりなのか!』

 

実況と歓声を聞き流しながら私たちはジャンプ台を利用して櫓へ向かう

ここは特設エリアであるものの、ルール自体はかつて帝アキラの求婚から始まりかぐや争奪戦にも使用されたSENGOKUモードとそう変わりはない

そしてすでに片方のレーンにいる牛鬼たちが落とされていることは確認済みだ

チートとウルトを重ねがけ、超常のスピードを得た私たちを止められるものはいない

瞬く間に櫓を落としてそこから間髪入れずに天守閣へ

 

敵陣地真っ只中とあって、襲い来る敵の数は先ほどまでの比ではない

それとも私たちの目的に気づき、本気で落としにかかってきたか

 

しかしもう遅い。月人たちがどうやってこのゲームのルールを把握したかはわからないけど、付け焼き刃で私たちに挑むなんて論外。ひと言でいって年季が違う

 

『帝アキラ、大将落としを敵方天守閣に打ち込んだぁ!』

 

 

目論見通り1勝をしたと同時に通常の動作同様、私たちだけでなく月人の配置がリセットされてお互いの天守閣に戻される

かぐやの曲が次へと切り替わるのを合図に始まった2戦目は多数対少数の構図は変わらずに、しかし月人もどういうわけかかぐやを狙わなくなって、戦場はもはや通常のSENGOKUへと変化していた

 

月からの軍勢は先ほどとは違ってリョウサン型だけでなくテンニョ・ホテイ・コンゴウ・ズイジュウ型も全面に押し出している

それに対する私たちは真実と芦花を天守閣に残して遠距離特化の乃依とそれを補佐する私、雷がそれぞれトップとボトムの櫓へ。そして高火力を出せる帝は虎バイクにまたがり、直接天守閣へと向かった

文字通りの総力戦だ

 

先に戦況が動いたのはボトムレーン

錫杖で器用に月人の猛攻を凌ぐ雷だが、やはりすぐに手数に勝る月人に押され始める

もはや落ちるのも時間の問題と思われたものの、しかし戦場を支配したのは雷の方だった

正面突破は初めから切り捨て、採用した戦法はお得意の地雷をはじめとするトラップを利用した搦手

これにより牛鬼と月人を丸ごと仕留めにかかるも、倒せたのは牛鬼のみ

最終的に雷は近接戦闘に持ち込んだ末に爆破に自らを巻き込んで相打ちの形で櫓を先取する

 

それに対して私たちはというと

 

「ちょっといろP動きすぎ。狙い定めにくい」

「好きに動いていいって言ったのはどなたでしたっけ?」

 

私がワイヤーで絡めとって、乃依が狙撃。という形を基本として少しずつだが確実に櫓へと近づいている。いや、いた

月人が広範囲から囲むように接近を始めたタイミングで、当然この戦法は使えなくなる

こちらと違って相手の数は無限に等しいのだから、戦力の逐次投入で足りるのは当たり前だった

もはやこれ狙撃じゃなくて爆撃では。と言いたくなるレベルの攻撃を行っても、もはや月の軍勢を削り切ることはできない

先の見えぬ攻防に、思わず嫌な予感が脳裏を掠め始めた時ふいに乃依が口を開く

 

「ここは俺に任せていいよ。いろPはまっすぐ櫓に行って」

「え、でも」

「良いから。合図したら全力でしゃがむこと」

「……ありがとうございます!」

 

マジか、まさかここから牛鬼を狙撃するつもり?

乃依が溜めのモーションに入り、彼の身体が僅かに光を帯び始める

その狙いを察した私は押し出されるままに走り出す

月人はなるべく無視、最短のルートで真っ直ぐに

 

「今!」

 

乃依の声に弾かれるように地面に倒れ伏す

次の瞬間その私の背中をなぞるように、彼のウルトが迸った

顔を上げると射線上の地形もろごと牛鬼も月人も蒸発している

その付近にいた敵も余波で吹き飛んでいる。立て直しまではもう少しかかるだろうことが予想ついた

しかしその代わり射手である乃依は……

 

「朝日をお願いね」

 

視界の端に表示される彼のHPバーが削り切れていく。減少スピードは緩まることなく、そのまま0へ

奥歯を噛み締めながら私は彼の開いてくれた血路を突き進み、櫓を獲得した

 

 

「ごめん遅れた!」

「いや、助かる……ッ!」

 

私が月人陣地のへたどり着くと、そこでは帝アキラが上位個体を相手に大立ち回りを繰り広げていた

やはりだがこの兄は味方にするととても心強い

10年ぶり近い共闘とはいえやはり兄妹。守り守られ投げ投げられ、時には武器の入れ替えも交えながら以心伝心に天守閣へと近づいていく

 

敵の首魁格であるボサツ型は依然として他個体に対し常識外れのバフをばらまいていた

表示されている能力を流し見るだけで、その数は10種以上。恐らく詳細表示すればさらにたくさん出てくることは容易に想像できた

プレイヤーに与えられている能力の範囲では撃破不可能であり、チートによってそこから逸脱してもそこは変わらない

月人たちはハナから負けるつもりなんてないのだ

 

「まあそれは私たちも同じなんだけど、ね……っ!」

 

天守閣に続く階段

より狭くなった足場の直上から仕掛けられる攻撃を、捌いて崩して弾き落とす

階段から吹き飛ばされたズイジュウ型は、しかし空中にとどまって体勢を立て直そうとするも直後に追い打ちをかけて地面に叩き落とした

視線を外してゲージに目を落とす。……うん、イケる

 

いつでもウルトを放てることを確認して隣を見た

乃依と同じように全力で攻撃をぶっ放して、今度は私が道を切り拓く

一定の距離で威力が減衰するとはいえ、ここからであれば大将落としまで兄が進む道を確保できるはずだ

 

私の意図するところが伝わったようだったが、彼は首を横に振った

 

「いやそれは駄目だ、防がれる」

「……!」

 

帝アキラが指さした方をたどると、ボサツ型がそれまで閉じていた瞼を開きこちらをじっと見つめていた

ああ、確かにアレは駄目だ

アレに見られているだけで足の裏が地面に縫い付けられているかのような錯覚すら覚える。ウルトなんて通用するなんて考えられない

でも

 

「それが諦める理由になんてならない、でしょうが!」

 

思い切りウルトを使う。ただし放つ先は天守閣でなくボサツ型

キーボードから放たれた斬撃は当然のように無力化される。だけど一瞬だけでも目隠しになってくれるならそれでいい

 

「せぇぇぇの!」

「おいおいおいおい、待て待て待て! ……あ」

 

私の攻撃で道を作れないというなら、道なんて作らず直送してしまえ

ウルトを放った反動をそのままにもう一度フルスイング

キーボードはそばにいた帝アキラに命中し、月人たちを通り越して天守閣まで吹き飛ばす

心なしかこちらを恨みがましそうににらみつけた後、彼は曲芸じみた動きで体勢を立て直しそのまま大将落としへウルトを叩き込んだ

 

『キマったァァァ! やはりチームに勝利をもたらすのはこの男。それはこの戦いでも例外ではなかった! 見事謎の軍勢を相手にストレートで勝利をもぎ取りました!』

 

システムメッセージが私たちの勝利を伝え、敗北した月の軍勢は一斉に退去させられる

終わった……?

実況も歓声も今だけは耳に入らない

すとん、とその場に座り込む

同時にかぐやの曲も終了し、私たちは卒業ライブを完遂した

 

「やったよ、私たち勝ったんだよ!」

 

アウトロを弾き終え、キーボードから手を離すとようやく達成感が追いついてきた感じがした

思わずスマコンをつけたまま意識を現実に回帰させると、隣にいるかぐやをこれでもかと抱きしめる

 

違和感

 

……彼女はいつまで経っても抱きしめ返してくれない

いつものように無邪気な声で笑いかけてくれも、無茶苦茶に私を引っ張り回してもくれない

どうしたの、かぐや。一緒にパンケーキ作ろうよ

 

「……かぐや?」

 

抱きしめた手を緩めて、彼女の顔を見る

かぐやは私を見てはいなかった

ただ虚な表情でどこかを──窓の外、月を見ている

 

何かおかしい

 

そうだ、静かすぎる

ここはタワマンの上階で防音性に優れているといっても限度はある

窓を開けているからいつもこの時間でも漏れ聞こえてくる、近くにある大通りから聞こえる車の走行音や人の声。家電が駆動する音

その全てが今は聞こえない

ただ静寂のみが部屋を満たしている

 

刹那、爆発音

衝撃波にやや遅れて室内に到達したそれはあらゆるものを揺らして、棚に飾ってある記念品などを床へ落とす

 

「何、これ」

 

窓へ駆け寄ると下はすでに地獄絵図だった

車が多重事故を起こして爆発炎上。先ほどの音はこれだろう

それ以外にも多くの家から──もちろん階下からも──煙が立ち上っている

夜の帳に閉ざされた中で不吉なほどに輝く月と、あちこちからあがる火の手が世界を照らしていた

怪我した人が路上に溢れかえり、悲痛に満ちた叫び声がここからでも聞き取ることができる

こんなの普通じゃない

 

未だ床にへたり込んでいるかぐやを引っ張ってでも無理矢理逃げようとするも、すでに手遅れだった

いや、ライブをここで始めようとした時点で逃げ場なんてなかったのかもしれない

 

床から半透明の手が生える

まるでエイリアンをデフォルメしたような頭身に、頭部には顔の代わりに灯篭が付いている

下の階から抜け出てくるように飛び出してきくる非現実溢れるその容姿は、ここで見るはずのないもの

 

「月人、なんでここに……?」

 

なんでもなにもない。かぐやを取り戻すためだ

つい口からこぼれたその疑問に、理性が冷静に返答する

 

身体が動かない

異変は身体だけに留まらず思考すらも絡め取っていった

その場から逃げようという気は掠れ消え、むしろかぐやを差し出すことが当然という気すら起きてくる

 

──────────

私は

   月人に勝てるわけがない

 → こんなところで終われるワケない

──────────

 

「じょう……だん——ッ!」

 

そのありえない現象を全て黙殺

かぐやを囲む月人を掻き分けて彼女を搔っ攫い、何とか部屋を脱出する

そのまま廊下を突っ切り、そしてエレベーターの電源が入っていないことに気づいて立ち止まった

恐らくここら一帯の電源が軒並み落とされている。さっきの事故の原因もこれか

 

「そうだ非常階段ならまだ──」

「もういいよ、彩葉。部屋戻ろ?」

「──よくない!」

 

かぐやを引っ張って非常階段まで走る

床から壁から天井から、次々と現れる月人を無視して何とか目的の扉にたどり着いた。重々しいそれを開いて外に

 

「え」

 

踏み出した先は非常階段ではなく、私たちが暮らしている部屋

 

「いや、駄目だよ。だったら、それじゃあ何のために」

 

まだ動けるはずなのに

体力も気力もまだ残っているというのに体が動かない

先ほどまでは何故か動けていたというのに、今度こそ捕まってしまったという予感だけがあった

 

しゃりん、と鈴のようなこの場には場違いな音が聞こえる

煙とは違う。奇妙な雲が周囲を包み、大気は甘く不思議な静謐さによって満たされた

一息空気を吸うごとに多幸感が溢れ、視界がかすんでいく

たまらず床に倒れ伏した

 

空……いや、月から何かが降りてくる

数はそれほどおおくない。1、2……

かれらはゆっくりとそばにいるかぐやに近づいていった

だいじょうぶ、これくらいならわたしのキーボードですぐに乗りきれる

まってて、すぐにすきをみつけてたすけるから

 

私は私が今どうなっているのかも分からないまま、ありもしない月人の隙を探り続ける

それはかぐやが連れていかれても変わらずに

最後に彼女が見せた悲しげな瞳も目には入らないくらい

ずっとずっと、探し続けていた

 

【BAD END】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

タイガー道場はへんてこコーナーです。

ハッピーエンドが好きな方、

原作のキャライメージを大切にしたい方はご注意ください

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

──────────

この先はタイガー道場です。アドバイスを受けますか?

 

YES  /  NO

──────────

 

夏の日差し差し込むのどかな街の、その一角にある屋敷

母屋から少し離れた敷地内にその建物はあった

 

時代と共に消えゆく“和”の風格を、未だ強く残す修練場

外界から隔絶された聖域然とした雰囲気

心なしか涼しく感じるその理由は間違いなく、この場に不自然に鎮座している業務用エアコンの功績だろう

 

正面には床の間が

本来は禅の言葉を書いておくべきだろう掛け軸には、大きくとてもユニークな字で【やおよろー】【流行に乗り遅れた】と書かれていた

 

その前に二人の人物。女性と少女が立つ

 

「今日のアタシをいつものアタシと思うなよ? 今のアタシは忠犬なんかじゃない、タイガーだ! ディープでアンダーグラウンドな宴の始まりだぜ!」

 

女性──どう見ても忠犬オタ公──は道着に竹刀という、もはや絶滅危惧種なスパルタセットを身につけている

 

「さあ、弟子一号! このコーナーの趣旨を説明しなさい!」

 

オタ公に促され彼女の隣にいる、旧式の体操服を着た少女──どう見ても小さい月見ヤチヨ──が前に出た

 

「押忍! ここは超無理限界ギリな彩葉をハッピーエンドまで連れていく、キュートでポップでデンジャラスなおまけであります! もはやこの物語の本筋といっても過言ではないのでしょうか!?」

「マーベェラス、ワンダフォー。花丸つけたげる〜。そう、超かぐや姫といえば華やかな映像美の裏でバッドエンドすれすれの攻防を繰り広げているでお馴染み。きっと本編彩葉も何度も選択をミスしてはここのお世話になったはずよ」

 

オタ公は感涙しながらどこかで見たことがある動きでヤチヨの頭に花丸を描くと、流れるようにカスの嘘を吐いた

ツッコミ役不在のカオスは修正されることなく話は続いていく

 

「さあ今回の彩葉は……あちゃあー、月人に勝っちゃったかぁ。人に頼ることを覚えた直後にこれだよ。まぁ、みんなここは勝ちたくなるわよねー」

「一応花火大会で月人が現実に介入できることが示唆されてるんだよね。赤子スタートとはいえ、実際にかぐやも月から来てるわけだし」

「その通り。ハッピーエンドに必要な素養は、その場でいかに大局を見た判断ができるか否か。少しでも甘い考えを見せようものならバッドエンド直葬だから、そこんとこよろしく」

 

今回は月人が現実にやってきたことでなす術なく蹂躙されたという終わり

肉体に干渉されたことで“竹取物語”と同じ最後を辿ったのである。意志の力の身で自由に動き回れるアバターとは違うのだった

 

「まぁ好きな子のことは守りたくなるのが人情ってもんよ。ちゃんと説明しなかったかぐやちゃんも悪いから責任は半々ってところね──じゃあ弟子一号、今回の対策は?」

「押忍、KASSENをやり直してかぐや姫の元へ向かうのであります!」

「そう、この世には戦ってはいけない相手というものがいるのです。急がば回れ、忠犬には骨ガム。場の道理が相手にあるうちは無闇に飛び出さないこと」

 

オタ公はヤチヨの説明にうんうんと頷き、竹刀を肩に担ぐとコーナーの締めに入った

 

「それじゃあ今回はこの辺りで。また次の稽古で会いましょう」

「ばいばーい」

「ばいば──あれ、そういえば最後の選択肢ってもう片方を選んだらどうなったの?」

 

オタ公の疑問に、ヤチヨは勿体ぶったように不敵な笑みを浮かべて告げる

それは幼気な少女ではなく、幾年もの月日を生きてきた本来のヤチヨのもので

 

「ああ、アレ? 単純だよ──超かぐや姫 月編開幕」

「エ? ナニソレ気になる!ちょっと、ねぇ── 」

「それじゃあ今度こそ。ばいばーい」

 

【終劇】

 




蛇足ですが今回の彩葉は、マンションに凸った朝日によって救出されています
彼女が吸ったものは本当にただ『戦う意志を奪うもの』なので、病院も数日で退院後すぐに実家に強制送還
ツクヨミにログインはできるとは思いますが恐らくメンタル的に立ち直れるかは不明。当然Reply2番が生まれるかも分からなくなります
そういう意味でのBAD ENDです

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