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オルクセン連邦国立公文書館館長決定
オルクセン連邦国防総省同意
この書類を星歴995年5月1日一部機密指定を解除し、一部分の一般閲覧これを可とする。
オルクセン王国海軍製作書類
書類整理番号 879-03-KY.bkb001
書類制作時期 星歴879年3月。以降随時追加
書類種類 ベレリアンド戦争海上封鎖関係研究書類
書類題名 封鎖突破船船長並びに封鎖各艦艦長聞き取り纏め
書類通称 キャメロット人船長▉▉▉▉への特別聞き取り
特記事項
当書類にあるオルクセン国民個人名は存命の多数のため、一部役職階級乗船艦艇船舶も含めて黒塗りとする。
当書類にあるキャメロット国民個人名はキャメロット王国との外交関係に考慮して黒塗りとする。
黒塗り部分の機密解除時期は未定。
本文残余部分の機密解除時期も未定。
以下本文
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※注意 当報告書内容は最重要機密扱いとする。
当書類は将来的に発生する可能性がある次の戦争において、我が国もしくは敵国によって確実に実施されるであろう通商破壊戦の研究のため、先のベレリアンド戦争において唯一複数回の封鎖突破を成功されたキャメロット人船長▉▉▉氏への聞き取りを本人並びにキャメロット王国の特別許可を得て実施したものであり、内務省及び法務省においてはありとあらゆる戦争犯罪調査並びに刑法等への証拠品として扱うべきものではなく、同時にキャメロット人船長▉▉▉氏へ訴追並びにキャメロット王国への抗議に絶対に利用するものではないことを我が王グスタフ・ファルケンハインの名においてここに誓約する。
なお公的には我が海軍は海上封鎖を完全に成功させ、1隻の封鎖突破も許していないことになっており、キャメロット王国もそれに同意していることも同時に記す。
よってこの書類は外交関係にも多大なる影響をもたらす恐れがあり、取り扱いには大変な慎重さを要するものであり、閲覧した各員は注意すること。
********************中略*********************
・▉▉▉▉号の行動に関して
▉▉▉▉号は我が海軍艦艇として初めて▉▉▉氏が船長として乗船していた『愛しのエルフ号』と接触した補助巡洋艦(汽帆船)である。
同艦は星歴877年▉月▉▉日に同船とベレリアント半島北方海域においてロヴァルナ船籍の民間船に偽装中に接触。
進路正面に▉▉▉氏が船長として乗船していた『愛しのエルフ号』を確認した▉▉▉▉号は遠距離にもかかわらず、旗旒信号によって『愛しのエルフ号』への停船命令を発する。
なお同艦が発光信号並びに手旗信号を同船に対して用いなかったのは、同海域を航行するロヴァルナ船籍船舶のほぼ全て並びに一部グロワール船籍船舶が通常航海船並びに封鎖突破船共に旗旒信号、発光信号、手旗信号の全てが理解できず、併航してのメガホンによる直接命令もしくは威嚇射撃による停船命令しか効力を得なかった経験のためであり、臨検を実施するための国際法上の手続きの一環並びに、エルフィンド船籍線ならば旗旒信号に反応するために旗旒信号を掲げただけであったので、当初同船が旗旒信号を無視していたことに対して同艦が特にこれといった対応をしなかったことは致し方ないものであったと海軍は判断する。
なお同船は同艦が停船命令を示す旗旒信号ならびに、ロヴァルナ国旗を下げてオルクセン海軍戦闘旗を掲げ直したことを確認しても、▉▉▉▉号が明瞭に旗旒信号を確認できる距離になるまで応答旗をあえてギリギリまで半揚にする、マストに船員を登られて帆を畳むようかに見せかける等の偽装停船行動をとり、▉▉▉▉号乗り組みの士官の全てが帆船出身だったため、それら行為から同船が停船するかと思い込み、停船後の臨検の準備を指示命令していたところ、見張員等からの報告が遅れたこともあり、同船の偽装停船に最後まで気がつかず、同船は同艦を反航する形で突破。
同艦艦長は直ちに威嚇射撃を命じるが、同船はそれも無視して逃走。
同艦は直ちに反転の上で追跡を試みるも、同艦の最大速力は10ノット(時速 約18.5km)だったため、最大速力16ノット(時速 約30km)を誇る同船には追いつけずに、追跡を断念した。
ただしその情報を接触した僚艦並びに連絡補給船へ素早く提供しており、任務失敗に関してそれを隠蔽することはなく、以後キャメロット船籍の封鎖突破船の存在が補助巡洋艦の間で認知されることとなり、これは十分賞賛に値するものである。
********************中略*********************
・▉▉▉▉号艦長並びに同艦▉▉▉▉大尉の行動に関して
補助巡洋艦▉▉▉▉号(帆船)は二度にわたり、▉▉▉氏が船長として乗船していた『愛しのエルフ号』及び『白銀樹号』の臨検に唯一成功したにもかかわらず、2度とも同船を拿捕せず、解放したことについて、戦後において陸軍参謀本部より海軍に対して強い苦言がもたらされたことは周知の事実である。
ただ臨検に成功した当時の『愛しのエルフ号』及び『白銀樹号』は、1回目の臨検成功時においては、我が国外務省並びに外務大臣閣下の承認を得た上で、赤星十字社の傭船として航海しており、その目的はベレリアンド半島在留外国人の救出を目的として航行。
2回目は我が国に対して一方的通告のみで承認を得たものではないが、我が荒海艦隊が総力を挙げて艦砲射撃を実施したノアトゥンへの人道的救済物資のみを満載しており、キャメロット国王の命令により、キャメロット王国、赤星十字社、聖星教、聖星教王教会の4者が共同で傭船として運行しており、さらにキャメロット国王陛下直筆の御名御璽の入った命令書を同乗している外交官が持参している状況で航行されていたものである。
まず結論から述べるのであるのならば、海軍としては本来ならば臨検そのものをおこなうべき案件ではなかったと断言する。
しかし長期間洋上にあった▉▉▉▉号は命令を即時受領する能力を有さず、そもそも我がオルクセンを含む全ての国家が洋上で行動する艦艇に対して命令を即時所領させる手段を持たない現状においては、▉▉▉▉号が臨検をおこなってしまったこと自体は致し方ないものであるとも断言する。
1回目のベレリアンド半島在留外国人の救出時航行に関しては、ベレリアンド戦争当時において第三国との関係を良好な状態に勤めなければならない外務省としては第三国人に被害が及びことは断固として避けなければならない要件であり、既に1回目の引き揚げ船が運航されていたとはいえ、未だ残留していたキャメロット人並びに当初予想していなかった外国人観光客の迅速なるベレリアント半島からの避難が必要な状況においては『脱出船にて戦争継続に必要な戦略物資の密輸がおこなわれたとしても致し方ない。そもそも1隻が1回の航海で輸送できる戦略物資は少量であり、他国との外交関係を維持するためには必要悪である』と、我が王をはじめとして外務大臣、内務大臣、陸軍大臣が決をし、航行の許可を下したものである。
しかし洋上にあった▉▉▉▉号にその指示命令を即時伝達することは困難であり、そのため▉▉▉▉号は『愛しのエルフ号』の航行許可が出されていたことを知らぬままにベレリアンド半島西方海域において同船を強制的に停船の上で臨検をおこなおうとしてしまい、さらには同船の護衛に付いていたキャメロット国装甲艦との間で洋上でにらみ合いというという外交的大問題を誘発しうる事態を引き起こした。
だが▉▉▉▉号艦長並びに同艦臨検隊隊長である▉▉▉▉大尉は我が国の名誉のため、クリッパー型帆船に武装を施した程度の補助巡洋艦にもかかわらず、キャメロット国装甲艦に対して一歩も引かず、最終的には同船に対して『戦闘海域における航海に関する注意助言』のみを実施した上で、同船船内においてオルクセン海軍の練度の高さを示す訓練を同船に乗船していたキャメロット海兵隊と共同でおこない、その練度の高さから同船船長▉▉▉氏より賞賛された上に『戦闘海域における航海に関する注意助言』に対しての礼品を頂くなど、臨検隊隊長▉▉▉▉大尉は最終的にはほぼ完璧と言える対応をおこなっており、同時に▉▉▉▉号艦長は軍人であると同時に命令が受領できない遠隔地で単艦で行動中の際には外交官としての任も負うことになる軍艦艦長として最初期の臨検実施以外についてはほぼ完璧な対応であったと海軍は断ずる。
実際、▉▉▉氏より提供を受けた当時の航海日誌には我が国に対する非難は一切記されておらず、賞賛と感謝のみが記されていたともここに明記すると同時に、同船を傭船として運行していた赤星十字社並びにキャメロット政府からも如何なる抗議もなかったことも明記する。
2回目のノァトゥン人道的救援時における▉▉▉▉号艦長並びに同艦臨検隊隊長である▉▉▉▉大尉、▉▉▉▉少尉による『白銀樹号』及び『愛しのエルフ号』によって構成されている船団に対する臨検実施は、キャメロット王国、赤星十字社、聖星教から我が国に対しての一方的通告があったのは確かであるが、当該地域支配勢力と交戦していたと当国としてはなんら回答していない段階であり、我が国艦艇による臨検は国際法上からも完全に合法的なものであり、▉▉▉▉号艦長並びに▉▉▉▉大尉、▉▉▉▉少尉は一切の非難のいわれはない。
しかし同船団は我が国に対して好意的中立国であったキャメロット王国、完全中立であった国際組織である赤星十字社、若干的勢力寄りであったもののキャメロット王国以外の星欧各国に対して多大なる影響力を持つ聖星教が共同で運行していたものであり、状況が判明した後は臨検はせずに直ちに退船し、以後は監視追跡のみにとどめるべきであったと断ずる。
最終的な対応については船内から弾薬一発も発見できない状況から、拿捕は実施せずに出発港への帰還を命令し、船団長である『白銀樹号』船長より了承する旨を書面にて記させたものの、▉▉▉▉号との距離がとれた後にそれを無視して再度ノアトゥンへの航海を再開したのは真に遺憾であり、同船団の行為は我が国の誇りを傷つけるものである。
されど同船団の使命を考慮するのならば、船団長である『白銀樹号』船長ならびに同船団の行動は、我が海軍としては真に遺憾であると同時に、海の男としては賞賛せざるを得ないものである。
さらに第1回目の臨検時にも述べているが、今回も臨検はおこなうべきではなかったと断じているが、同時に臨検実施は洋上にあって即時連絡体制の構築が不可能な艦艇においては任務上当然なものであり、同船団に対する出発港への帰還命令は状況を考慮するのならば情報が途絶しているといっても過言ではない▉▉▉▉号艦長並びに▉▉▉▉大尉、▉▉▉▉少尉は考え得る最善の行為をとり、外交関係の悪化を避けたといっても過言ではないと海軍としては断言する。
実際、▉▉▉氏より提供を受けた当時の航海日誌には我が国に対する非難は一切記されておらず、我が海軍が任務に忠実なこと並びに規律の高さにへの賞賛のみが記されていたともここに明記すると同時に、同船を傭船として運行していたキャメロット政府並びに赤星十字社、聖星教、王教会から如何なる抗議もなかったことも明記する。
********************中略*********************
★付箋メモ→ゼーアドラー号艦長ルックナー中佐に関しては本人が当時の行動について、戦後30年ほどたってから『白銀樹号』の封鎖突破を除いて詳細に記した自伝を出版し、さらに同誌が現在も絶版されずに版を重ねていて入手が容易なため、同艦並びに同中佐部分の黒塗りはしないものとする。
・ゼーアドラー号及び同艦艦長ルックナー中佐の行動に関して
補助巡洋艦ゼーアドラー号(汽帆船)及び同艦艦長ルックナー中佐は二度にわたり、▉▉▉氏が船長として乗船していた『白銀樹号』と接触し、これの臨検拿捕を試みたもの、▉▉▉氏の操船技術の高さ及び姦計、そしてゼーアドラー号であったキルシュバオム型を凌駕する性能を有していた『白銀樹号』との性能差により、臨検拿捕に失敗している。
しかし他の臨検対象船が逃走を試みても威嚇射撃をおこなえば停船したのに対して、実戦経験を有する元海軍軍人であった▉▉▉氏が船長を務める『白銀樹号』においては、『唯一の友好国の船舶を誤射以外で撃沈することはない』と判断されていたことと船長当人の胆力から、ありとあらゆる威嚇射撃の効果が全くなく、同船を拿捕臨検するためには外交関係の悪化を覚悟して撃沈もやむを得ない上での攻撃を実施するか、武装した臨検隊を強制移乗させる以外の方法がないという状況であった。
その様な状況下にも関わらず、ゼーアドラー号及び同艦艦長ルックナー中佐は可能な限りの努力をおこなったことは海軍がそれを証明する。
しかし繰り返しであるが▉▉▉氏の個人能力並びにキルシュバオム型を凌駕する性能を有していた『白銀樹号』との性能差により臨検拿捕に失敗している。
1回目の『白銀樹号』とゼーアドラー号との遭遇は、5回目の封鎖突破時にあたる星歴877年3月▉▉日であったが、この際は停戦命令を徹底的に無視して逃走を試みる『黄金樹号』を名乗る同船を拿捕臨検しようと試みるも、強制移乗する機会に恵まれず、さらに同船が近隣にもう1隻封鎖突破船がいるように偽装する魔術通信をおこなっていたことが、ファーレンス商会が入手情報に『封鎖突破船は白銀樹号と黄金樹号の2隻』と一致したこと、さらに4回目の封鎖突破時に同船と接触した友軍艦艇が『白銀樹号と黄金樹号の2隻が封鎖突破を実施した』という情報を、接触に成功したゼーアドラー号を含む近隣の友軍艦艇と情報共有をおこなったことが重なり、近隣にも他船がいないかを注視しつつ同船への強制移乗を試みていたことと、同船が偽装機雷を投下したため、それを偽装だと判断することが出来ないゼーアドラー号が回避と同偽装機雷の爆破処分を優先したため、さらに日が暮れたために同船に振り切られている。
なおその際に同船の左舷には『白銀樹号』、右舷には『黄金樹号』と記しているのを発見し、封鎖突破船は1隻であり、2隻であるというのは偽装であることを看破したのはルックナー中佐の優秀さの現れであり、『白銀樹号』船長▉▉▉氏も航海日誌並びに聞き取りにおいてルックナー中佐を絶賛していることをここに明記する。
なおゼーアドラー号は『白銀樹号』に振り切られた後も同船の行き先がノアトゥンであると判断し、最大船速である16ノット(時速 約30km)で追跡するも、逃走中の様子から最大船速12ノット(時速 約22km)と推測していた同船に追いつくことが出来ず、ルックナー中佐及び同艦航海長等の計算から『18ノット(時速 約33キロ)、最低でも16ノット(時速 約30km)』と同船の最大速力を推定するも、後に実際の最大速力は22ノット(時速 約41km)と判明し、各封鎖艦艦長を驚かせると同時に、最後までその最大速力を発揮することなく封鎖突破をやりおおせた▉▉▉氏の能力の高さと『白銀樹号』の舵の効きの良さを再度証明する形となった。
2回目のゼーアドラー号と『白銀樹号』の遭遇は、1回目遭遇の約3日後の復路の際に発生。
この際、ゼーアドラー号は前日の昼に接触することに成功した同型艦である▉▉▉▉号と共に同船を待ち伏せし、相変わらず偽装最大速力である12ノット(時速 約22km)で航行していた同船と接触に成功。
接触と同時に新たな偽装最大速力である16ノット(時速 約30km)で逃走を図る同船を、僚艦と共に最大速力である16ノット(時速 約30km)で追跡しつつ、魔術通信でタイミングをとって同船を追い込んで強制移乗を試みるも、同船船長▉▉▉氏の能力の高さと、4時間にわたり独自の船歌を2隻に聞こえるような声量で歌い続けるという同船の高い士気に裏付けされた操船とが合わさり、2隻共に強制移乗する機会に恵まれず。
さらにその歌を魔術通信でも流したことによりゼーアドラー号と▉▉▉▉号の通信士達が混信状況下での魔術通信を実施する状況となったため、普段よりも疲労の蓄積が遙かに速かった上に、その疲労が限界に達しようとしていた時に、ベレリアンド戦争中盤以降において陸軍も複数回受けることとなった魔術通信妨害を同船が突如として開始したために、疲労の極にあった通信士達がほぼ一斉に倒れたために同船を共同で追跡していた僚艦との通信が途絶し、その隙を突かれて同船は2隻を振り切り、16ノット(時速 約30km)で逃走。
ゼーアドラー号と▉▉▉▉号はその後2時間、距離にして32海里(約60km)ほどを2海里(約3.7km)前後の間隔を詰められないまま追跡するも、石炭の残量を考慮して追跡を中止した。
追跡断念はゼーアドラー号と▉▉▉▉号の任務を考慮すると致し方ないものであったと海軍は断言する。
3回目のゼーアドラー号と『白銀樹号』の遭遇は停戦発効翌日のことであり、さらにその遭遇は▉▉▉▉号による臨検後に『白銀樹号』と『愛しのエルフ号』によって構成されたノアトゥン人道救援船団が出発港への帰港命令を無視し、再度ノアトゥンへ向けての航海中のことであった。
接触と同時に双方共に相手方を確認。
『白銀樹号』は直ちに『愛しのエルフ号』を分離してノアトゥンへの航行継続を指示の上で、非武装船であるにもかかわらずゼーアドラー号の足止めを図るべく、偽装最大船速である16ノット(時速 約30km)でゼーアドラー号へあえて接近。
『愛しのエルフ号』は非武装の無動力帆船にもかかわらず、ノアトゥンへの航海を継続。
この2隻の行動は海軍としては停戦発効後のことなので評価は避けるが、海の男としては敬意以外を感じることが出来ない素晴らしい行動である。
ただ既にゼーアドラー号は停戦命令を受領しており、不必要な血が流れることはなかった。
同船が同艦より停戦発効を知らさせると減速し、交戦の意志がないことを示した後、併航したゼーアドラー号とメガホンによる直接会話で情報交換を実施し、既に停戦発効後でることと友好国船籍船によって構成された救援船団であることから、まだ停戦発効を受領していない友軍艦艇からの不慮の攻撃を避けるためにノアトゥン沖まで同船及び、追いついた『愛しのエルフ号』の護衛を実施した後、同船団より分離し、新たな命令を受領するまで哨戒任務を継続した。
なお後日、キャメロット国王陛下直筆による、同船団を拿捕しなかったことと護衛したことへの感謝状が、同王家侍従と我が国駐箚キャメロット公使から手交により海軍大臣に届けられたことも明記する。
このことからも艦長とは単なる軍人であるだけではなく、高度な政治的判断も必要とされる外交官でもあることが証明されたものであると海軍は判断している。
********************中略*********************
我が海軍補助艦艇による『愛しのエルフ号』並びに『白銀樹号』に夜封鎖突破が成功した原因を以下に羅列する。
・『愛しのエルフ号』並びに『白銀樹号』の能力の高さ
・船長である▉▉▉氏並びに各船員の能力の高さ
・プリズム式双眼鏡による我が軍艦艇をより遠距離での発見
・偽装保険契約や偽装情報流出、出航後に偽装航路をとるなどの偽装工作の数々。
・ベレリアンド戦争初期でエルフィンド船籍船舶や近隣各国の民間船舶による封鎖突破が尽く失敗させた状況下で、各補助巡洋艦が疲労状態であったこと。
・『愛しのエルフ号』並びに『白銀樹号』が3度目の封鎖突破を成功させた後、その情報をあえて流出させた結果、途絶していた近隣各国の民間船舶による封鎖突破が再度盛んになったことによって、それを阻止し続けていた各補助巡洋艦が疲労状態であったこと。
特に我が国製と推測されるプリズム式双眼鏡は驚異であり、それらを複数装備した『愛しのエルフ号』並びに『白銀樹号』は船員能力の高さも合わさり、『理論的には発見できる最大距離』で我が海軍の補助巡洋艦を発見することに多々成功しており、その見張り能力は我が海軍の能力を凌駕していたと推測できる。
実際、『愛しのエルフ号』並びに『白銀樹号』が我が補助巡洋艦らしい艦艇を発見できていても、補助巡洋艦らしい艦艇は同船を発見できていなかった可能性が非常に高いと推測されている。
さらに封鎖突破船を『白銀樹号』に乗り換え後は、新たに加わった白エルフ船員を夜間見張り員として採用しており、それによって安全な夜間無灯火航行を成功させており、▉▉▉氏は見張りを最重視していた面が強い。
なお汽船である『白銀樹号』は新型機関を採用した上で燃料に上質の無煙炭を使用し、さらに蒸気機関誕生時から機関員として勤めていた白エルフ族の熟練機関員を採用しており、そのために同船の石炭はほぼ完全に燃焼されていたため煙が大変薄く、発見をさらに困難にさせていた面もあったことも注視しなければならない。
********************中略*********************
ベレリアント戦争における通商破壊戦において、各補助巡洋艦艦長がもっとも困惑した点は、旧エルフィンド、キャメロット、オルクセン船籍の船舶を除いて、旗旒信号、発光信号、手旗信号による通信が困難であった点がある。
発光信号は近年、万国条約によって通信方法が各国で共通化されたが、特にロヴァルナ船籍線には全くと言っていいほど理解されなかった。
続いて手旗信号並びに旗旒信号は、我が国並びに旧エルフィンドはキャメロット国に習ったものを採用しており、三国間の船舶並びに艦艇艦では円滑な通信が可能であったが、これらは万国条約によって未だに定められたものではないため、手旗信号並びに旗旒信号も一部のグロワール船籍の大型船及び旧エルフィンド、キャメロット、オルクセンの三国間の船舶並びに艦艇艦以外では理解されることがなく、早急なる万国条約制定による、万国共通の手旗信号並びに旗旒信号の制定を強く求めるものである。
ただ万国条約制定による万国共通の手旗信号並びに旗旒信号は、現在のキャメロット式をそのまま採用するのがもっとも相応しいと判断する。
********************中略*********************
・『愛しのエルフ号』諸元
クリッパー型帆船
全長76.2m
全幅9.44mm
総トン数880トン
3本マスト、最大マスト長13.7m、
最大積載量約449トン
最大速度16ノット(時速 約30km)
・『白銀樹号』諸元
元エルフィンド海軍向け通報艦
艦形式としては装甲帯巡洋艦形式の新理論検証艦
帆走設備全廃
見張り用マスト2本
積荷用デリックを2基増設
全長91.4m
全幅 14m
排水量3150トン
最大積載量約480トン(空船室、船内通路にも積載時)
最高速度22ノット(時速 約41km)
『白銀樹号』はエルフィンド海軍向けとして建造されていたものの、進水式直前にベレリアンド戦争勃発のために建造を停止。
後にキャメロットの民間企業に売却されて貨客船として竣工した後、▉▉▉氏の個人所有船となる。
艦艇としての運用思想としては、設計者等からの聞き取りは不能だが、▉▉▉氏によると『通報艦として単独艦で長期間行動でき、敵に発見されても逃げ切れるだけの速さを持った上に、相手が独行艦ならば躊躇せずに攻撃でき、艦隊決戦にも投入できる火力を持つ軍艦』とのこと。
設計思想としては我が海軍が運用しているグラナート型巡洋艦同様に石炭庫を空間装甲と利用している先進性もあるが、装甲帯を未だ採用しているという古くささもある。
ただしその装甲帯の材質が今までのものより軽量ながらも耐性を向上させた新鋼材を採用しているらしく、装甲帯によって艦の重心が高くなることを可能な限り押さえている。
さらに驚くべきことに衝角を廃止して攻撃力より航海能力を優先させており、新鋼材による高重心化を可能な限り押さえていることも推測できる。
他にも舵の効きも『封鎖突破時』の様子からかなり良いことが推測できる
機関は我が国が特許を取得している三段膨張機関と酷似したものであるが、細部に違いが多々あり、蒸気圧も若干であるが高めであり、我が国のものをそのまま違法に模倣したものでないと推測されると同時に、特許も取得している状況である。
ただし機関ついては▉▉▉氏の許可により、▉▉▉氏と同船機関長である白エルフ立ち会いの上で短時間の調査で成されたものあり、特許は確認しているが実際の機関そのものの入手はおこなっていないので、正確な性能は不明であるが、試験では22ノット(時速 約41km)を達成したとのこと。
よって『白銀樹号』の総合的な航海性能は非常に高いと推測でき、我が海軍艦艇でこれほど高い航海性能を持った艦は未だに存在しないのではないかとも推測できる。
ただし衝角の廃止による敵艦撃沈能力の喪失は流石にやり過ぎではないかと断ずる。
全体の設計思想はグラナート型巡洋艦より先進的であると推測されるが、ベレリアンド戦争後に建造が開始され、現在4隻目が建造中である最新艦種である『防護巡洋艦』には及ばないものと推測される。
ただし装甲帯の材質については▉▉▉氏の許可により一部分を削り取ったものを分析した結果であり、絶対に正しいものではない可能性があることを明記する。
そして設計そのものは防護巡洋艦には及ばないものの、設計思想自体は近いものと推測される。
もし同船がエルフィンド海軍艦艇として予定通り竣工し、さらに複数艦が存在した場合、我が海軍艦艇の脅威となっていた可能性が非常に高く、さらに仮定を重ねるものであるが、同艦が単艦で通商破壊戦に投入された場合、我が国の補助巡洋艦とは比較にならない驚異であり、4隻ほどでも我が国の海上輸送路を遮断もしくは著しい妨害ができた可能性が非常に高いと推測する。
さらには我が国の補助巡洋艦によっておこなわれた通商破壊戦への対抗戦力として同艦を投入した場合、単艦同士の戦闘で合っても我が国補助巡洋艦を容易に撃破し、通商路の維持が可能であった可能性が非常に高いと推測する。
なお『通報艦』としてし能力が高すぎるため、予算名目上『通報艦』としていただけの可能性が高いが、建造をエルフィンド側に提案し、実際に建造したキャメロット側にて当船に関する論文等が発表されていないことや戦後おこなわれた旧エルフィンド海軍への調査では書類が処分されていたのと、関係者が尽く戦死もしくは行方不明なため、詳細は判明せず。
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星暦893年9月5日 内務省▉▉▉制作
キャメロット国企業『シルバー』社に関する第3回報告
キャメロット国民▉▉▉氏設立のキャメロット王国の船運会社『シルバー社』は現在もなお、反オルクセン的親エルフィンド的立ち位置であると『誤解』されている。
そのためエルフィンド再独立派白エルフ族が多々接触し、同社社員として採用され、同社内に浸透している状況であるが、前回報告書同様に同社社員としてに採用されたエルフィンド再独立派白エルフ族のほぼ全てが、同社社員として安定した生活を手にした結果『親オルクセン派』に自然転向しており、内務省▉▉▉としては相変わらず困惑している状況である。
なおそれでもエルフィンド再独立思想を棄てないごく少数の者は、同社が積極的に長期航路船舶もしくは海外拠点に分散させており、エルフィンド再独立運動に物理的に参加できない状況下に置いている。
さらに外部のエルフィンド再独立派がテロ活動用武器弾薬や違法エリクシル剤の密輸も相変わらず『誤解されている』同社に持ちかけられているが、同社がすぐにキャメロット並びに我が国の治安機関に秘密裏に通報しているため、把握した範囲並びにおとり捜査の物を除いてオルクセン国内外に流通したものは存在していない。
しかしそれを外部のエルフィンド再独立派が察知している様子は未だ無いものと判断している。
なお同社の存在に対して我が国の一部により強い非難が常に起こっているが、治安面からみると同社の存在は大変ありがたいものであり、監視を緩めることはないが、同社への国内からの非難は抑制するべきではないかと意見する。
なお同社へもっとも強い非難をおこなっている個人、団体、組織はファーレンス商会が支援していると思われる。
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当公文書を閲覧した戦史研究家カール・マルシャルの個人的メモ
海軍の『愛しのエルフ号』並びに『白銀樹号』に対峙した各補助巡洋艦並びに各艦長に対する評価は矛盾した内容が併記されており、海軍にとって如何に同船と同船船長であった『二角帽』氏が外交上も含めて大変厄介な存在であると同時に、船乗りとして賞賛せざるを得ない傑出した人物であったことがうかがわれる。
実際、私が取材した同船並びに同氏と接触した各補助巡洋艦の各艦長等は同氏のことを賞賛しつつも時折困惑した表情も浮かべていた。
特にルックナー中佐(当時)は、最後まで同船が最大船速である22ノット(時速 約41km)を発揮しないまま封鎖突破を成功させたことに対して『屈辱に感じるほどだ』と述べている。
なお二角帽氏は船長職を辞した後は、彼が設立した海運会社『シルバー社』の社長として就任し、さらにキャメロット国王より騎士に序せられている。
彼が存命の間には『エルフィンド号』、『白銀樹2世号』、『愛しのエルフ2世号』、『黄金樹2世号』、『カランシア号』、『キーファ号』、『ファマリア号』等を竣工させ、現在もシルバー社は、相変わらずオルクセン国籍の企業と誤解されつつ、キャメロット国籍の船運会社として存続しており、二角帽氏の妻であった白エルフが大株主兼会長として勤めている。
現在所有している主要船舶は全てコンテナ船やタンカーをはじめとする貨物船であるが、極小規模な旅客用設備を各船共にも伝統的に有しており、世界各国の船旅愛好家に愛用されている。
なお現在所有している主要船舶は以下の通りである。
『愛しのエルフ6世号』、『白銀樹5世号』、『エルフィンド4世号』、『黄金樹5世号』、『カランシア4世号』、『キーファ4世号』、『ファマリア号4世号』、『二角帽3世号』。
なお同社が『カランシア』名称の船舶並びに、我が国の沿岸警備隊で『リョースタ』名称の巡視船が新造される度に、様々な理由をつけて非公式で2隻で併航するのがいつの間にか伝統になっており、これは我が国の極一部で現在も強い非難の対象となっているが、世界各国の船舶艦艇愛好家、そしてキャメロット並びに我が国の海軍海警関係者とっては敬意を示すべきイベントとして認知されている。
なお前回の2隻併航時には、我が国海軍に所属する、通称『屑鉄戦隊』の3隻も、偶然なことに2隻の近距離を同方向に向けて航行したことも記す。
なおこの併航時に『カランシアン』名称の船舶が商業航海に既に投入されていた場合、併航が予定されている航海時の極少数ある客室は一瞬にして売り切れるとのこと。
ただし同社が『当時の関係者』として認定した者に関しては、一時的な特別乗船が許可されるとのことである。
執筆者より『ご愛読、真にありがとうございました』とのことです。