「う…うぅぅぅ…」
1人の不良が起き上がる。頭を強く打ったらしく、頭を摩りながら周りを見るとその痛みが消えた。
「え、ええええっ…!!!?」
自分の仲間である不良達が寝そべっていた。しかも全員頬やおでこが腫れている。何か強い物でぶん殴られたようだ。
そして思い出す。自分は子犬に石をぶつけようと投げた時、おっさんが現れ逆に投げ返された。
前を見ると何処かへ行くおっさんの後ろ姿が見えた。
「なんなんだよ…あのおっさん」
公園
子犬を連れて近くのコンビニで買ったパンを上げている。
桐生「そいつ、どうするんだ?」
遥「…飼ってあげたい」
桐生「…飼えるのか?」
聞くが遥は首を横に振る。
遥「孤児院は、ダメなんだって」
桐生「孤児院?お前、孤児院にいたのか?」
遥「うん…でも黙って出て来ちゃって…」
桐生「…本当に、お前の母親はここにいるのか?」
遥「手紙にそう書いてあったから…でもお母さんの顔、全然覚えてないんだ…」
桐生「なぁ、他に頼れる人はいないのか?」
知人はいないのか聞くが遥は首を横に振る。
遥「私には、お母さんと『由美お姉ちゃん』だけだから…」
桐生「由美お姉ちゃん…?」
驚いた。遥の言葉から自分の知る女性の名が出た。
桐生「遥、由美って言ったか…!?」
遥「うん、お母さんのお姉ちゃん。お母さんの手紙、持ってきてくれ……」
桐生「!?」
すると遥の身体が傾き始め、桐生は咄嗟に受け止めた。
桐生「おい、どうした…!?」
受け止めた際、身体がほんのり熱かった。
遥「つか…れたぁ…」
こんな夜中まで自分の母親を探し続けていたんだ。体力ももう限界だろう。
桐生(一先ず、休ませないとな…聞きたいこともできた)
『由美』という名が出たのなら遥は間違いなく関係者だ。漸く見つけた手掛かり、失わせはしない。
桐生「一先ず伊達さんに報告だな」
桐生は携帯電話を取り出し、伊達にかける。
伊達『伊達だ。そっちの調子はどうだ?セレナには行けたのか?』
桐生「ああ、だが困ったことが起きた…」
桐生はセレナで情報を得た事、バッカスの人間が全員殺されてた事、そして、遥という女の子を保護した事。
伊達『なんだと!?じゃあバッカスのマスターも?』
桐生「あぁ…」
伊達『そうか…桐生。とりあえずその女の子はセレナに連れて行け、後で警察が保護する』
桐生「分かった」
桐生は電話を切ると遥を抱き抱えて走る。
「わんっ!!」
桐生「ん?」
振り抜くと子犬がついて来ている。自分を助けてくれた遥に恩義を感じたのだろう。
桐生「…好きにしな」
桐生はセレナへと戻った。
事情は伊達から電話で聞かされて知っており、遥は奥の部屋で寝かせてもらっている。
麗奈「相当ショックだったのね…」
まだ小さい女の子にとっては衝撃的な体験だ。それもあって疲れが一気に来たのだろう。
桐生「なぁ麗奈。すまねぇが遥に何か食べる物を作ってやってくれないか?」
麗奈「うん、分かったわ」
遥「おじさん…あれ?…ここは?」
麗奈「私のお店よ。よかった、大丈夫そうね…今、何か作ってくるわね」
そう言って店の奥の扉を開けて出て行く。
桐生「安心しろ、俺の知り合いの麗奈だ」
遥「そっか…ねぇ、あの子は?」
桐生「あの子?…あぁ、あいつか…そこで寝ている」
ふと横を見ると身体を丸くして寝息をする子犬がいた。それを見て遥は笑みを浮かべた。
桐生「そいつ、お前のためにずっと着いてきやがった。よっぽど好かれたようだな」
遥「良かったぁ…もう会えないかと思ってた」
麗奈「ずっと離れなかったわよ?」
戻ってきた麗奈は一皿のシチューを持って来た。
麗奈「はい、昨日の残りで悪いけど遠慮しないで食べてね?」
遥「おいしそう…いただきます!」
スプーンを握り、シチューを一口。それから1分も経たず皿は空となった。
遥「ごちそうさまぁ!おいしかった…!!」
麗奈「お口にあって良かったわ」
桐生「遥、さっきお前…『由美お姉ちゃん』って言ってたよな?孤児院に手紙を届けに来てくれてたって…」
遥「うん、すっごく優しいんだよ。由美お姉ちゃん。毎年クリスマスの近いこの時期になると『ヒマワリ』に来てくれて、お母さんからの手紙とかプレゼントとか持ってきてくれたんだけど…」
麗奈「え…!?」
桐生「ヒマワリだと…!?」
桐生、麗奈も驚きを隠せない。何せそれは自分達のよく知る孤児院の名だ。
桐生「遥、お前『ヒマワリ』にいたのか…!?」
遥「ん?うん、そうだよ」
桐生「そして、母親の姉は『由美』…なぁ遥、お前の母親の名前…『美月』じゃねぇのか?」
遥「えっ!?なんでおじさん、お母さんの名前知ってるのっ!?」
桐生の中で確信に変わった…遥の母親は美月だ。
遥「知ってるの?お母さんの事…お母さんどこ?何処なの!?」
桐生「いや、俺も今探してる所だ…情報を集めるためにバッカスに来たが、手掛かりを知ってる奴はもう誰もいない…」
遥「私、知ってるよ」
『!?』
遥「お母さんがいるお店、『アレス』っていうの。そこの場所もわかるよ」
桐生「アレスを知ってるのか!?」
アレスの手掛かりがこんなにもすぐに見つかるとは。
桐生「場所は?」
遥「…その代わり、私も一緒に…良い?私だけじゃどうしてもお母さんに会えないから……ねぇおじさん!良いでしょ!?」
遥は母親に会いたい一心で神室町という危険な街を歩き回って来た。母親である美月の居場所がわかったのだ。今更引くことは出来ないだろう。
しかし今、遥と一緒に居るのはあまりにも危険だ。ヤクザや刺客が現れる。
だが今の桐生なら守れる。
桐生「他にどうしようもないからな…」
遥を連れてセレナを出て、母親の『美月』が働いているアレスへ向かう。
遥「おじさんはミレニアムタワーに行ったことあるの?」
桐生「いや、俺もつい最近知ったばかりだ。まさか『あの場所』にあんなデカいタワーが建つなんてな…」
遥「あの場所?」
桐生「ああ…あそこは昔、色々あった場所だ…良いことも悪いこともあった…」
遥「ふぅん…この街にはたくさんの『思い出』があるんだね」
桐生「『思い出』か…そうだな…」
「あー、ちょっとちょっと」
すると巡回中の警察官に声を掛けられた。
桐生「…何か?」
「すみません。あなた達、どういうご関係ですか?」
遥「え、どういうって…?」
桐生「(職質か…ここは変に言えば怪しまれるな…)見てわかんねぇか?娘と父親だが?」
「あ、そうなんですね!いやーこんな夜遅くに子供を連れたコワモテの人がいるもんで、てっきり人攫いかと思っちゃいまして…すみませんでした!」
桐生「いや…」
「ただ…ちょっと気になるんですよ…さっき、そちらのお嬢さん、『おじさん』っと言ってましたよね?」
桐生「!?」
まずい…聞かれていた…!
「お父さんに対して『おじさん』なんて呼ぶなんてないですよね…もう一度聞きますが、どういうご関係ですか?」
ここで応え方を間違えれば警察に取り押さえられる。何を応えるか頭を動かしていると、遥が前へ出た。
遥「あの、お巡りさん…ごめんなさい!!」
「へ…?」
遥「本当はパパじゃなくておじさんなの…おじさん、喧嘩して家出してきた私を助けてくれたの。仲直りするまではウチにいていいよって…それまでおじさんがパパになるって…」
「え、喧嘩?」
遥「うん…それで眠れないからパパ…おじさんと一緒にお散歩してたの。ごめんなさい。だから、もうおじさんの事悪く言わないでください!」
「あ、いや…こちらの方こそ失礼いたしました!」
遥の名演技に桐生も驚く。この年でここまでの度胸を持っているのは中々いない。
桐生(やるじゃねぇか、遥)
桐生「分かってくれればそれでいい。俺達はもう家に帰るからよ…行こうぜ、遥」
「うん、おじさん!」
桐生が手を伸ばすと、遥は元気よく返事をしてその手を掴み、仲良さげに去っていく。
それを見送る警察官は桐生達が遠くに行くのを確認すると携帯を取り出した。
「こちら『ドック』…ターゲットを神室町、交番前で発見…ミレニアムタワー向かっている模様…なお『実験体』も同行している…」
『こちら『コンドル』…了解、ターゲットと実験体はこちらで追跡・捕獲に向かう…そちらはもう1つの任務につけ』
ドッ「了解…」
携帯を切るとそのままパトロールに戻る。
「すみません」
ドッ「はい何か」
ドガッ!!
ドッ「ぐあああっ!?」
後ろから声が聞こえ、振り返った瞬間殴られた。
「お前かぁ…最近ウチらをつけてるいうんわ…」
殴った相手は刺青が見える素肌に金色のジャケットを身に纏う黒い眼帯をした男。
ドッ「お前は…!?」
真島「ちと…つらぁ貸してもらおうか?」
嶋野組若頭兼真島組組長『真島吾朗』。
遥「ここだよ、おじさん」
桐生「ここは…!」
2人が辿り着いたのは神室町の中央に位置するミレニアムタワーだ。
遥「すごい立派なビル…きっとお母さん、頑張ったんだよ」
桐生「この中に店を構えるなんて、そう簡単にはできないからな」
遥「私、こんなに高い建物、登った事ないよ。上からはどんな景色が見えるのかな」
桐生「神室町どころか、東京中が一望出来るだろうな」
遥「すごいなぁ、お母さん…」
自動ドアから中へと入り、ビルのエントランスを進んでいき、複数あるエレベーターホールの前へとたどり着き、入る。
桐生「アレスがあるのは何階だ?」
遥「60階だよ」
カチッ…
桐生「……?」
カチカチッ…
60階のボタンを押すが何も反応がしない。
遥「おじさん、ちょっといい?」
すると遥がいくつかの階のボタンを押す。
桐生「何してるんだ?」
遥「おじさん、60階押して」
桐生「あ、ああ…」
言われた通り60階のボタンを押すと、今まで反応しなかったボタンの明かりが点灯し、動き出した。
桐生「驚いたな…暗証番号か!」
遥「お母さんがね、教えてくれたの。お店の自慢の1つだって」
桐生「ふっ、さっきの演技といい、遥は物分かりが早いようだな…将来は女優になれるかもな」
遥「えー?それは流石に言い過ぎだよ。ふふふ…」
桐生達の乗ったエレベーターが、最上階へと向かい始め、あっという間に到着した。
エレベーターの扉が開いた時、驚いた。何せそのフロア全てが店、アレスだったのだ。
遥「すごい…お城みたいに広いね!」
桐生「フロア丸ごと全部だなんて…大した店だ…バブルの頃でも見たことねぇよ…」
広大なフロアの中央には踊り場。入って左側にはいくつかのテーブル席に加え、ピアノまで置いてある。右側にはバーカウンターとナイトプールまで備わっている。
遥「バブル?おじさん、バブルって何?」
桐生「バブルってのはその…なんだ…簡単に言えば、日本人がみんな金持ちだった頃だ」
遥「へぇ!じゃあおじさんもお金持ちだったの?」
桐生「そうだったかもな…今じゃ全部弾けちまったからな…」
遥「あ、おじさん…これ…」
遥が何かを見つけた。それは壁に飾られた女性の写真だった。
桐生「これは…まさか…!」
飾られてた写真の下に『美月』と書かれた名札がある。この女性で間違いないようだ。
遥「この人が私のお母さん…綺麗な人…」
桐生(確かに由美にそっくりだ…でもおかしい…そっくりすぎる…姉妹ってのはこんなに似るものなのか?)
桐生は美月があまりにも由美に似ているので逆に怪しく感じた。
桐生「なぁ遥…今更だが、なんで孤児院に入ったんだ?」
遥「わかんない…どうしても迎えに行けないって…手紙で何回も聞いたんだけど、それしか…」
桐生「…由美も、そう言ってたのか?」
遥「うん、ただ…最後にお姉ちゃんが来た時に、お母さんからだってこれを…」
そう言って取り出したのは花のような装飾が施された小さな鍵穴が付いた銀色のペンダント。
桐生(ペンダントか…)
遥「それで私思ったの…本当にもうお母さんと会えなくなるかもしれないって…」
桐生「…そいつの中身は?」
遥「わかんない。開けようとしたけど鍵がかかってるみたいで開かないの」
桐生「それなら俺に任せろ」
遥「おじさん、開けられるの…!?」
桐生「これぐらいならな…」
桐生が能力で鍵のおもちゃを作ろうとした時だ。
チイン…
エレベーターの到着音が聞こえた。
エレベーターの中から出てきたのはスーツ姿の男達。ただならぬ雰囲気だ。桐生はこいつらを自分と同じヤクザだと直感的に感じた。
「あんた、桐生さんでっか?元堂島組の…」
短髪で平べったい顔と細い目が特徴の長身の男が前へ出る。
林「お初にお目にかかります。ワシ、五代目近江連合本部の『林』言いまんねん。噂はよう聞いてまっせ」
五代目近江連合舎弟頭補佐『林弘』。
桐生「近江連合…目白に言われたか?」
桐生は恐らく目白から言われたのだと思った。
林「目白?なんでワシがあないな奴のいうこと聞かなあかんのです?」
桐生(違うのか…じゃあこいつら、何しに)
ピリリリリリリ…!
林「電話なってまっせ。どうぞ気にせんと取ってください」
林に電話に出るよう勧められ、ゆっくりと携帯電話を取り出す。
桐生「桐生だ」
伊達『伊達だ。錦山、100億のホシが分かったぞ』
電話の相手は伊達だった。調査していた100億の犯人がわかり、連絡してきたのだ。
伊達『由美だ。お前の追ってる由美がホシだ』
桐生「なんだって…!?」
なんと、100億を盗んだ犯人は由美だった。
伊達『現場に『指輪』が落ちてたらしい』
桐生「指輪?…まさか!?」
伊達『そうだ。10年前、お前から預かったあの指輪だ。兎に角、東城会は彼女とその『共犯の女』を追っているそうだ』
桐生「共犯…!?」
その時後ろに美月の写真に目が入る。共犯者は美月だと感じ取った。
伊達『お前の思っている通りだ…明日セレナで話がしたい。大丈夫か?』
桐生「…ああ」
電話を切った桐生は、林達を睨む。
桐生「そうか…お前らも由美と美月を…生憎だが、ここにはいねぇぞ?」
近江連合は消えた100億の情報をどこかで知り、それを盗み出したであろう由美と美月を追ってここまで来たのだろうと桐生は思った。
林「いえ、ワシらはそこのお嬢さんに用があるんですわ」
遥「えっ!?」
しかし林は遥に用があると言った。
桐生「…なぜ遥を?」
林「それは言えまへんなぁ…ワシらも近江連合のモンですさかい。桐生さん、ここは大人しゅうその子渡したってぇな」
桐生「ふっ…随分舐められたもんだな…」
ドッ…!!!!
『!!?』
桐生が放たれる殺気。それを受けて感じ取ったヤクザ達はあまりの圧に後退りしてしまう。
桐生「この程度で俺が退くとでも思ったか?」
林「…噂以上ですわ…お見逸れしました。ムショで腑抜けたかと思いきや、この10年間、欠かさず刃を研いでたっちゅうことですか…」
林は一礼すると、さっきまで雰囲気が変わった。
林「お前らぁ!!ぶち殺したれや!!」
『おおッ!!!!』
桐生「遥、下がってろ」
遥「う、うん…!」
「死ねやぁ!!」
1人のヤクザが殴りに掛かるが桐生はヒラリと躱す。
「オラァ!!」
2人目のヤクザが死角から殴りにくるが、それをわかっていたように回転しながら躱し、その勢いで肘打ちを後頭部に喰らわす。
「ぐおおお…!!?」
「こ、このボケがぁ!!」
3人目が横から殴りに掛かる。1発、2発と避けた時、膝が脇腹に直撃した。ヤクザはやったと笑みを浮かべようとした時、腹に硬くてデカい物が突き刺さった。
それは桐生の拳だ。
桐生「セイヤァ!!!」
『ぐあああああああああああッ!!!!?』
拳を突き刺したまま、ヤクザ達に向けて放り投げた。桐生の殴る力が乗った人間砲弾。その威力は本物の砲弾レベルだ。
林「流石は桐生さんでんなぁ…ほんま殺すんが惜しいわ…」
桐生「なら、どうする?」
林を睨む桐生。その圧は素人が受ければ尻込みするだろう。だが林は睨み返す。
林「ワシはこう見えて舎弟頭補佐やっとるんですわ…こいつらやられてすぐ逃げるような腰抜けとちゃうんやッ!!」
林が仕掛ける。桐生は迎え撃つがギリギリのところで躱され顔面に1発拳がヒット。
桐生「ッ!」
林「シャッ!!」
続いて素早く足払いをし、桐生を転ばせた。すぐに起き上がるそこに林の膝蹴りがまた顔面に入り、桐生に軽い脳震盪を与えた。
桐生「くっ!」
林「これで終いやッ!!」
桐生の頭部目掛けて林のヤクザキックが襲い掛かる。
しかし、桐生は後ろに仰け反り、キックを躱した。
林「なっ!?」
桐生「ハッ!!」
そしてその仰け反りの反動を利用し、低姿勢からのサマーソルトキックを林の腹部に喰らわせた。
林「がっ……!!?」
そのあまりの痛さによるショックで腹を抑えながら失神した。
桐生「ふぅ…遥、無事か?」
桐生が遥を呼ぶと物陰から現れた。
遥「おじさん!おじさんこそ、大丈夫?」
桐生「ああ…これぐらい、かすり傷だ」
遥「よかった…ねぇおじさん…なんで私、あの人達から狙われてたの?…私はただ、お母さんに会いたいだけなのに…」
遥はただ母親を探しているだけ。なのに怖い目に遭ってばかりだ。そんな遥に桐生は優しく頭に手を置いた。
桐生「大丈夫だ…怖い思いをするかもしれねぇが、俺はお前を守る。そして必ず遥の母親の元に連れてってやる…絶対だ」
遥「おじさん…」
桐生「それとも、もう帰るか?」
遥「…いやっ!ここまで来たんだもん!!私、お母さんに会うまで帰らないっ!!」
桐生「ふっ…そうか」
決意は固い。状況に応じ対応し、恐れずに向かっていく。それはまるで『鋼』のようだ。
桐生「それじゃあ、セレナに」
チイン…
するとエレベーターの到着音が聞こえた。
エレベーターが開くと、中から赤い野球帽を被った男が出てきた。
ザシュ!!
『!!?』
その瞬間、桐生の腹が長く鋭い杭のようなものが突き刺さった。
「ターゲットと実験体を確認…」