ブレード・ストレンジャー・アンド・レッドブラック 作:pugcode
立ち上る煙と異臭。鼻をつく血の異臭とホームレスたちの悲鳴。
息を切らせて帰ってきた
「クソッ、もう襲って来やがったのかよ!」
もはや素性を隠す暇など無い。全速力で集落の中に飛び込み悲鳴の元へと駆けつける。
「アイエエエ!」
近い。
目に入ったのは、またあのコピーしたかのようなヤクザの集団。その銃口の先には逃げ惑うホームレスたち。
いつもそうだ。お前らがいるから、笑えねぇ奴らが生まれる。笑えねぇのは俺一人で十分だ。
BLATTTTTTTTTT!
サブマシンガンから雨あられと弾丸が降り注ぐ。万事休す、ホームレスたちは生存本能に従って頭を抱えて縮こまり、己の身を弾丸が貫かないよう祈る事しかできない。
そしてその祈りは通じた。
銃弾の雨に立ち塞がった
銃弾の一つたりとも見逃す事無くその手が捉え、つぶれた弾丸が地面に落ちた。
「ナンダテメーッコラー!」
怒号を上げるヤクザたち。画一的な動きと威圧的な定型文に得体の知れない嫌悪感を覚える
一直線にヤクザたちに向かって疾駆し、引き金が引かれるよりも早くその首を次々と穿っていく。
「「「「アバーッ!」」」」
一斉に飛んでいくヤクザたちの首。遅れて倒れる身体を背後に
「ブッ殺した!」
しかし悲鳴はまだ止まらず、助けを求める人がまだ沢山いる。
──────────
「あぁ? コイツも違うな」
クローンヤクザに両腕を掴まれたホムレスを写真と見比べて、デッドブレードは威圧的なアトモスフィアで言った。
「タ、タスケテ……」
恐怖に呑まれたホムレスは、一縷の望みを賭けて消え入りそうな声で許しを請う。
その後ろには傷だらけのホムレスたちがクローンヤクザによって連行され、デッドブレードの前に引き立てられていた。おお、ナムサン! サンズ・リバーでエンマの前に引き立てられるが如きマッポーな風景である!
「知るかよ」
チン、と冷たい音が響く。
しかしデッドブレードは変らず写真を手にしており、ポーズも変えていない。
皆さんの中にニンジャ動体視力をお持ちの者がいれば、それが視えただろう。いや、ニンジャ動体視力をもってしても視認できなかったかもしれない。
デッドブレードの放つ神速のイアイ・ギリは音すらも置き去りにする領域に達したのだ!
クローンヤクザは何も理解していないホムレスを乱雑に投げ飛ばす。
「アイエッ、アバーッ!?」
助かったと思った安堵。そして投げ飛ばされた驚愕に叫ぶホムレスは、空中分解して細切れになっていく。
生前の彼が会得していた超速の居合切りは、ニンジャ身体能力と組み合わさって神速の居合切りとなっていたのだ。ゴウランガ!
「「「「アイエエエ!? ナンデ!? ニンジャナンデ!?」」」」
同様に引っ立てられていたホムレスたちは、同胞が細切れになった光景を見てNRSを発症、それと同時にしめやかに失禁! 周囲はジゴクめいた光景と化した!
「ムフッ、益々馴染んで来てるなァ。今なら忍者にも刃が届くんじゃァねぇか?」
デッドブレードは前世の記憶を、己を殺した忍者の思い出に浸る。
魔津田黒雨という名の極道だった彼は、裏社会で悪事をカマした。
まだまだこれから、そんな矢先に彼の前に死神が現れた。
居合極めた
しかしそこで終わりでは無かった。
闇の中で、何かの呼び声に応えるように引き寄せられ、気が付けばこの世界にいた。
それも己を殺した存在に近しい存在、いや、それすらを超えるニンジャとして。
己の力に自信があった魔津田はデッドブレードとして、力で裏社会をまた登り始めた。
そしてフリーのニンジャとして名が通るようになった今、メガコーポから機密を持って逃げ出したネズミを捕らえる大仕事を得た。
これが終わればさらに上を、前世よりもデカい存在になれる。
ニンジャになっても魔津田の上昇志向は変わらず、残虐性は更に増していた。
「よし、次だ」
クローンヤクザに次のホムレスを連れてくるよう命じる。
見なくても分かる。コイツは標的じゃない。
しかし、モータルを斬るのは実際タノシイし、良い研鑽になる。
わざとらしく写真と見比べて恐怖を煽り、その嗜虐心を満たす。そして顔を見飽きたなと思い始め、次なる一刀を放つ瞬間。
「待ってくれ!」
「あァ?」
ピタリと首筋で止まる刀。デッドブレードは声の主の方を見て、メンポの下に笑みを浮かべる。
そこにいたのは写真の男。メガコーポから逃げ出した研究者、アザマだった。
「探してるのは私、そうでしょ」
「自らお出ましなんて殊勝なコトだなァ、どういう風の吹き回しだ? エ?」
アザマは身を隠していた瓦礫の山から離れてデッドブレードに近づく。武装は無く抵抗の意思も無い事を示すために手を広げて。
「どうもこうもない。これ以上、無意味な殺しはして欲しくないから出てきた。それだけ」
単身丸腰でニンジャに相対するという恐怖を御し、並々ならぬ決意でアザマはデッドブレードの目を見据える。サングラス越しでも分かる冷たく鋭い眼光に身を震わせるが、それでもアザマは歩みを止めなかった。
「ムフッ、ムフフフフフ!」
突如笑い出すデッドブレード。邪悪に満ちた腹の底からの笑い声は、アザマの心臓を鷲掴みにして歩みを止めさせた。
「テメェ、何か勘違いしてねェか?」
デッドブレードはサングラスの奥で嗜虐的な瞳を歪ませ、首を鳴らす。
「依頼はな、『逃げたネズミを処分しろ』って内容なんだよ。テメェが生きてようが死んでようが報酬は変んねェんだよ!」
おお、ナムサン! ここネオサイタマにおいて木っ端の研究員の代わりなどいくらでもいるのだ。機密情報漏洩のリスクを考えれば社員の命など安いという暗黒メガコーポの合理的判断!
そしてなによりもデッドブレードは生粋の極道にして邪悪なニンジャ! その嗜虐心を満たす事に何の躊躇があろうか!
「ナ、ナンデ……」
「それに無意味じゃねェ。テメェらは良い練習台になるし、ゴミ共の悲鳴を聞きながら切り刻むのは最高に気晴らしになるからなァ~~~~~~!」
アザマの決意は打ち砕かれ、その顔は見る見る絶望に染まっていく。この悪魔の前では自分の決意こそが全くの無意味であったことに。
それを見てデッドブレードは、メンポの下で更に口角を吊り上げた。
「それじゃぁ、そろそろ仕事をさせて貰うぜ」
デッドブレードは恐怖を煽るため、わざとらしく音を立てて刀を握る。
そこに一切の慈悲は無い。アザマは死を覚悟し、ギュッと目を閉じた。
白刃が刹那に鞘走り、周囲の炎を映して赤い軌跡を描く!
万事休す! アザマはこのまま一刀両断されてしまうのか!?
CRASH!
響き渡る強烈な金属音。おお、デッドブレードの刀は軌道の途中で静止しているではないか!
一体何が神速の刃を止めたのであろうか?
ニンジャ? 否。
全速力で駆けつけた
「アザマさん、間に合ってよかったっス」
「君は……シノハ=サン!」
更なる力を腕に込め、デッドブレードの刃を押し返す
対するデッドブレードは驚愕と困惑に満ちた表情で後ずさる。
「後はオレに任せて、逃げてください」
忍手”暗刃”の構えを解かず背後のアザマに告げる。本当は遠くまで逃がしてやりたいが、対する相手の実力を体感してそうもいかないという事を実感していた。
(
しかし、一度やると決めたからには貫き通す。それが忍者の覚悟だ。このヤクザはブッ殺す。
恐る恐る逃げるアザマ。対峙する忍者とニンジャが残された。
「ムフッ、こんな巡り合わせがあるなんてなァ。つくづく俺は幸運だ」
メンポごしでも分かる邪悪な笑みを浮かべるデッドブレード。
それを見て、やはり殺すしかないと決意を固める
揺らがぬ殺意を感じ取ったデッドブレードは、まるで旧友に話しかけるように笑いながら口を開く。
「なァ坊主、お前の名前、聞かせてくれよ」
「……」
「おおっと、そうか、それはシツレイだったな。ニンジャの作法を忘れていた」
デッドブレード無造作に刀を下げ、一切隙の無いオジギを行う。
神聖なるニンジャのイクサにおいて、アイサツは絶対の掟。古事記にも書かれた掟を
「ドーモ、デッドブレードです。またの名を」
そして顔を上げるデッドブレード。あろうことか、彼はメンポを外してその素顔を晒した!
「魔津田黒雨です」
魔津田黒雨。
かつて戦い、自ら誅した極道の名だ。
それが再び、自分の目の前に立ち塞がっているのだ。
「……そういう事かよ」
再燃する怒りを殺意に変換し、暗刃を模る手を一層固くする。
テメェら極道がもう一度立ち塞がるというのなら、何度でも倒すまでだ。
「帝都八忍、
決めようか、忍者とニンジャ、どちらが