遊☆戯☆王 Xeno-N   作:駄蛇

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タイトルは遊んでますが、デュエルの内容はきちんとしてます(たぶん)

「当然○○!」は何だかんだ私がツボってるセリフでもあります。
本来と使い方は違いますが、友人の森羅と戦ってるときに、積み込みからのデッキトップ確認するときに私が言ってしまうほどです


今回、レギュラー確定のオリカが出てきます


当然正解!? 2人の少女の仁義なきデュエル

「――デュエル!」

 

【葵】VS【梓】

 

「先攻後攻、どちらでもお好きな方をどうぞ?」

「どこまでも馬鹿にして……!

 なら私のターン、《水精鱗-アビスパイク》を召喚!」

 先攻を選択した葵は、手札のカードを叩き付けるようにデュエルディスクにセットする。それに伴い、兜を被ったマーマンがフィールドに現れた。

 

《水精鱗-アビスパイク》

☆4・水属性・魚族

ATK:1600

 

「そして《アビスパイク》の効果! この子が召喚に成功したら手札の水属性モンスターを墓地へ送り、デッキからレベル3以下の水精鱗モンスターを手札に加える。

 私は手札の《キラー・ラブカ》を墓地へ送って《アビスグンデ》をサーチ!」

 

《水精鱗-アビスグンデ》

デッキ→手札

【葵】

手札:4→3→4

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

【葵】

4/4000

--○--  

--■--

【梓】

5/4000

-----  

-----

 

「わたくしのターン、ドロー」

 

【梓】

手札:5→6

 

 静かにドローするその姿はそれだけで優雅に感じられる。あくまで静かにしているときであり、口を開けばその毒舌が火を噴いてしまうが……

 梓は手札に加わったカードを見て小さく微笑む。

「わたくしはこのモンスターを召喚いたします。おいでなさい、《リチュア・ディバイナー》」

 梓に呼ばれて、胡坐をかき、黒い装束に身を包んだ魚人が姿を現した。そのモンスターの目の前には儀式に使うような装飾が施された鏡が淡く光っている。

 

《リチュア・ディバイナー》

☆3・水属性・海竜族

ATK:1200

 

「《リチュア・ディバイナー》のモンスター効果。カード名を宣言し、デッキトップを確認。そのカードが宣言したカードなら手札に加え、違った場合はそのまま戻します」

「それって博打ってことー? あ、でもデッキトップに戻るならそこまで問題でもないのかなー?」

 眉をひそめるリリアは顎に手を置いて首を捻る。確かに、この手のカードはデッキトップ操作と組み合わせて使うのが普通だろう。似たような効果を持つ《デーモンの宣告》なら外れた場合墓地へ送られるため、最悪デッキ圧縮を兼ねることができるが、こちらはそうはいかない。しかし梓はさも当然のようにカード名を宣言する。

「わたくしは《ヴィジョン・リチュア》を宣言します。[水霊の予言]」

 こちらに微笑みながらカードを宣言した梓はデッキトップを確認する。デッキ枚数を40枚、同じカードが3枚あると仮定しても、確率は今の時点で3/34。まず当たることはない確率だ。しかし、梓の表情に緊張はない。まるでそのカードの正体がわかってるとでも言うかのようにめくられたカードを、葵たち他のメンバーにもわかるように提示した。

「デッキトップは《ヴィジョン・リチュア》。宣言した通りなので手札に加えさせていただきます」

 

【梓】

手札:5→6

 

 その結果にリリア一人だけが手を叩いて驚いていた。黄昏は何か思うところがあるのか黙り込み、葵に至っては呆れたようにため息をついている。

「そして、今加えた《ヴィジョン・リチュア》の効果を発動いたします。このモンスターは、手札から墓地へ送ることでリチュア儀式モンスターをデッキから手札に加えることができます。

 わたくしは《イビリチュア・ガストクラーケ》をサーチいたします」

 

《ヴィジョン・リチュア》

手札→墓地

《イビリチュア・ガストクラーケ》

デッキ→手札

【梓】

手札:5→6

 

「儀式モンスター、ってことは儀式デッキか」

「おや? その様子だと、葵の勝利が色濃くなったと思っているのではございませんか?」

「……まーな。手札消費は水精鱗も激しけど、展開力では分が悪いし」

「それは心外でございますね。ではこのデュエルでその考えを改めていただきましょう。

 わたくしはさらに手札の《シャドウ・リチュア》の効果も発動いたします。このモンスターは墓地に送ることでデッキから《リチュア》儀式魔法をデッキから手札に加えることが出来ます。

 よって、その効果で《リチュアの儀水鏡》をデッキからサーチ」

 

《シャドウ・リチュア》

手札→墓地

《リチュアの儀水鏡》

デッキ→手札

【梓】

手札:5→6

 

「もうカードが揃っちゃったー」

「ずいぶんサーチカードが豊富なんだな、あのカテゴリ」

「リチュアの特徴の一つでございますから。ですが、これで驚いてもらっては困ります。

 わたくしは《サルベージ》を発動いたします。これで墓地の攻撃力1500以下のモンスターである、《ヴィジョン・リチュア》と《シャドウ・リチュア》を手札に加えます」

 

【梓】

手札:5→7

 

「……マジか」

 目の前で起こる現象に黄昏はただただ表情を引きつらせることしかできない。儀式召喚は融合召喚と同等かそれ以上に手札消費が激しい召喚方法だ。そのうえ、必要なカードをすべて手札かフィールドに揃える必要があるため、玄人向けのデッキであるのだが……

「なんでここまで手札揃えて手札が増えてるんだよ」

「これがリチュアの性質でございますから」

儀式(リチュア)の名は伊達じゃない、ってことか」

 涼しい顔で着実に相手を倒す準備を進める梓。これが1ターン目であるというのが信じられない。一方葵はと言うと、すでに見慣れた光景なのだろう。特に驚くこともなく、ただ不機嫌そうにその光景を見守っていた。

「では、わたくしは手札から《リチュアの儀水鏡》を発動し、レベル6の《イビリチュア・ガストクラーケ》の儀式召喚を執り行います。

 本来ならここで手札とフィールドからレベル6になるようにモンスターを捨てる必要があるのですが、《ヴィジョン・リチュア》はこのモンスター1体だけで、どのレベルの《リチュア》儀式モンスターでも賄うことが出来ます。

 よって、わたくしは手札にあるレベル4の《ヴィジョン・リチュア》のみを素材とします。

 禍津日神(まがつひのかみ)にかしこみかしこみ申す。刃向うものの術を見通し蝕む力を得んとせよ、儀式召喚。《イビリチュア・ガストクラーケ》!」

 両者のフィールドの中心に《リチュア・ディバイナー》が持っているような装飾の施された鏡が出現。その中心で《ヴィジョン・リチュア》の幻影が6つの火となって拡散、鏡の縁にある12個の円上の内6ヶ所に灯される。そして鏡が禍々しい影に浸食されはじめ、すべてが黒く塗りつぶされると、イカの胴体から魔術師の女性の上半身が生えているようなモンスターが光と共に降臨した。

 

《ヴィジョン・リチュア》

手札→墓地

《イビリチュア・ガストクラーケ》

☆6・水属性・水族

ATK:2400

【梓】

手札:6→4

 

「そして、儀式召喚に成功した《イビリチュア・ガストクラーケ》のモンスター効果。まずは相手の手札をランダムで確認します。

 では葵、デュエルディスクのランダム機能を起動させてくださいますか?」

「言われなくてもわかってるよ!」

 吠えるように言い放つ葵がデュエルディスクを操作すると、デュエルディスクから伸びた2つの光が葵の手札に照射され、その内容が梓たちにもわかるようにソリッドビジョンで表示される。

「……《アビスグンデ》と《海皇の竜騎隊》でございますか。ずいぶん凶悪な2枚でございますね」

 《水精鱗-アビスグンデ》は手札から墓地へ送られたら墓地の水精鱗を蘇生するカードで、《海皇の竜騎隊》は水属性のモンスターの効果発動コストとして墓地へ送られたとき、デッキから同名カード以外の海竜族モンスターをサーチするカード。どちらも水精鱗では展開の起点となるカードだ。

「そして、《ガストクラーケ》の効果はまだ続いております。確認したカードの内1枚を、デッキへ戻します。

 わたくしは《海皇の竜騎隊》を葵のデッキへ戻します。[輪廻退行]」

 

《海皇の竜騎隊》

手札→デッキ

【葵】

手札:4→3

 

「デッキへ戻すハンデスだと!?」

「え、なになにどうしたのー!?」

「《アビスグンデ》の効果を例にすれば簡単だ。手札が削られるのは痛い、けど《アビスグンデ》のように墓地に行ったことで真価を発揮するモンスターへうまく誘導すればそれはそれでアドバンテージになる。

 けど、手札からデッキに戻されるのはアドバンテージの損失以外にならない」

「それに、私の手札はもう1枚バレてる。情報アドバンテージって部分でも不利ってことだよ」

 《海皇の竜騎隊》をデッキへ戻し、デュエルディスクのオートシャッフルが終わるのを待っていた葵が、黄昏の説明にさらに付け加える。

 相手がアドバンテージを得るだけなら、最悪返しのターンにそれを上回るアドバンテージで巻き返せばいい。しかし、自分のアドバンテージが失われていくのは相手が得るだけよりも痛い。

 相手が弱小モンスターしか出せなかったとしても、それに対処する術をこちらが用意できなかったら結局は負けてしまうのだから……

「さて、このままバトルフェイズに進みたいのですが、墓地の《キラー・ラブカ》が厄介でございますね。ここはカードを2枚セットしてターンエンドでございます」

「待って、メインフェイズ終了時にリバースカード発動《アビスフィアー》。デッキから水精鱗を特殊召喚するよ。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは次の相手のエンドフェイズに破壊されるけどね。

 私は《アビスリンデ》をリクルート!」

 

《水精鱗-アビスリンデ》

☆3・水属性・水族

ATK:1500

デッキ→フィールド

 

「なるほど、次のエンドフェイズということは、このターンのエンドフェイズでございますね。

 メインフェイズ終了時に相手のクイックエフェクトが発動したので一応メインフェイズに戻りますが、わたくしは再びメインフェイズを終了します」

「ならエンドフェイズ時、《アビスフィアー》の効果で特殊召喚された《アビスリンデ》は破壊されるよ。そして、《アビスリンデ》が破壊されたときデッキから水精鱗を1体特殊召喚できる。

 私は《メガロアビス》をリクルート!」

 フィールドにいた青髪の人魚は《アビスフィアー》の効果によって苦しそうにうずくまり破壊される。ただしその亡骸が残した水は新たな仲間を迎える文字通り呼び水となり、鎧に身を包んだサメのようなモンスターが咆哮を上げながらフィールドに姿を現した。

 

《水精鱗-アビスリンデ》

フィールド→墓地

《メガロアビス》

☆7・水属性・海竜族

ATK:2400

デッキ→フィールド

 

【葵】

3/4000

--○○-  

-----

【梓】

2/4000

--○○-  

--■--

 

「私のターン、ドロー!」

 

【葵】

手札:3→4

 

「私は《深海の大ウナギ》を召喚するよ」

 

《深海の大ウナギ》

☆1・水属性・魚族

ATK:600

 

「なら、その召喚時にわたくしは《マインドクラッシュ》を発動いたします」

「……っ!?」

 《マインドクラッシュ》はカード名を宣言し、そのカードが相手の手札にあれば該当するカードをすべて墓地へ送れる強力なカードだ。

 ただし星の数ほどあるカードからノーヒントで1枚選ぶのは不可能に等しく、バウンスやピーピング、もしくは相手のサーチ効果に対して発動するのが基本となるカードだ。だというのにそのそれにも該当しないタイミングに黄昏は眉をひそめていた。

 今の時点でも《イビリチュア・ガストクラーケ》の効果で彼女の手札に《アビスグンデ》があるのはわかっているが、《アビスグンデ》を墓地に送ってしまっては墓地の《アビスリンデ》を蘇生させてしまうためかえって逆効果になってしまう。

 効果解決時に相手の手札を確認できるため、一応ピーピングは可能だが、それだけのために使うのはあまり得策とは言えないはずだが……

(いや、それ以前にどうして《マインドクラッシュ》があるのにさっきの《ガストクラーケ》の効果で《アビスグンデ》をデッキに戻さなかったんだ?

 《海皇の竜騎隊》の効果発動条件は、コストで墓地へ送られることだ。一度墓地に送れば再利用は面倒になるのに……)

 眉をひそめる黄昏の目の前で彼の疑問が晴れる間もなくデュエルは進んでいく。

「わたくしが宣言するのは、《聖なるバリア-ミラーフォース》でございます。手札の確認はよろしいですか?」

「……1枚あるよ」

「残りの手札は先ほど確認した《アビスグンデ》と……《貪欲なウツボ》でござますか。では、《ミラーフォース》を捨ててください」

 

《聖なるバリアーミラーフォース》

手札→墓地

【葵】

手札:3→2

 

「すごい、また当たったー!!」

「梓、デュエルでもその『眼』が優利に働くのはやっぱりズルいと思うんだけど?」

「……ああ、やっぱりそういうことか」

 先ほどと同じように目を輝かせているリリア。しかし、葵はため息交じりに尋ね、返答の代わりに梓は口元を隠して小さく笑う。さらに、葵の言葉で黄昏は自分の予想が当たったらしく、肩をすくめた。

「別に、カードに細工をしているわけでもなく、自分の力を有効活用しているだけでございますよ」

「その有効活用がチートだって言ってるんでしょうが!

 デッキトップや相手の手札が、ピーピングカード使う必要なくわかるなんて不利に決まってるよ!」

「それを考慮してわたくしにデュエルを申し込んでいる方に言われても、自業自得としか感じないでございますよ」

「うぐ……」

「それに、完全に『視』えるわけではございませんよ。モンスターならその姿のシルエット、魔法や罠カードなら描かれているイラストのシルエットがぼんやりと『視』えるだけでございます。

 ですので、わたくしが知らないモンスターが相手だとどうすることもできません」

 それでも十分脅威であることに間違いない。なおも葵は口をとがらせて抗議するもののいつまでたっても微笑み返すだけの梓にこれ以上は時間の無駄だと悟り、頭を切り替えてデュエルを進めていく。

「なら、《メガロアビス》の効果。自分フィールドの水属性モンスターを1体リリースすることで、このターン2回攻撃することが出来る。

 私は《深海の大ウナギ》をリリース。さらに《深海の大ウナギ》はフィールド上から墓地へ送られたとき、エンドフェイズまで自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」

 

《深海の大ウナギ》

フィールド→墓地

《水精鱗-メガロアビス》

ATK:2400→2900

《水精鱗-アビスパイク》

ATK:1600→2100

 

 《メガロアビス》は《深海の大ウナギ》を食らい、その力を増す。さらに《深海の大ウナギ》の幻影が《メガロアビス》と《アビスパイク》に力を与え、《メガロアビス》が梓のモンスターの攻撃力を上回った。

「よし、これで……

 バトル、《メガロアビス》で《イビリチュア・ガストクラーケ》を攻撃。[メガトロン・ソー]」

 《メガロアビス》が右手に持つ巨大な得物で《イビリチュア・ガストクラーケ》に襲い掛かる。しかし、その手に持つのこぎりのように荒い石の刃が振り下ろされることはなく、《メガロアビス》の巨体が怯むほどの激流によって攻撃は不発に終わった。

「この瞬間、伏せていた《ポセイドン・ウェーブ》を発動いたします。その攻撃を無効にし、その後わたくしのフィールドの水属性モンスターの数×800ポイントのダメージを相手に与えます。

 わたくしのフィールドには2体の水属性モンスターがいるので、1600ポイントのダメージでございます」

「きゃ……っ!?」

 攻撃を防いだ激流は梓のフィールドにいる水属性モンスターの力を得てさらに勢いを増し、《メガロアビス》を押し返すだけにとどまらずに葵のライフまで削った。

 

【葵】

ライフ:4000→2400

 

「さあ、まだ《メガロアビス》の2度目の攻撃も、《アビスパイク》の攻撃も残っておりますよ?」

「わかってるよ、そんなこと!」

 このターンでケリをつけるつもりで考えていたが、伏せカードによる妨害でそれが不可能になったことで前のめりになっていた体勢を一旦戻して状況を再確認する。

(一応、モンスター(みんな)の攻撃力は梓のモンスターたちより高い。ダメージを優先するならここで一掃してもいいけど、問題は墓地にある《リチュアの儀水鏡》。あれは墓地からデッキに戻すことで、リチュア儀式モンスターをサルベージすることができる。

 リチュアにはサーチカードが豊富にあるから、不用意に儀式モンスターを墓地へ送るともう一度《ガストクラーケ》を召喚されてハンデスされるんだよね……)

 葵は視線を落とし、自分の手札を確認する。すでにバレてしまっている手札だが、これ以上手札が減ってしまうのは勘弁したい。

「仕方ない、かな。私は《メガロアビス》で《リチュア・ディバイナー》を攻撃。[メガトロン・ソー]」

「く……っ!」

 攻撃対象を《イビリチュア・ガストクラーケ》から攻撃力の低い《リチュア・ディバイナー》に変更する。伏せカードも無いため、今度こそその攻撃は梓にダメージを与える。

 

【梓】

ライフ:4000→2300

《リチュア・ディバイナー》

フィールド→墓地

 

「ダメージを優先したようですが、《ガストクラーケ》は残しておくのですか?」

「わかってるくせに言わないでよ。私はカードを1枚伏せてターンエンドだよ」

「ふふふ、流石に手札を《アビスグンデ》だけに絞りますか」

「当然でしょ。それから、エンドフェイズに《深海の大ウナギ》の効果で上がっていた攻撃力は元に戻るよ」

 

《メガロアビス》

ATK:2900→2400

《アビスパイク》

ATK:2100→1600

 

【葵】

1/3200

--○○-  

--■--

【梓】

2/2300

--○--  

-----

 

「ではわたくしのターン、ドロー」

 

【梓】

手札:2→3

 

 デッキからカードをドローした梓は、()()()()()()に視線を向けて小さく笑った。

「残念ながら、葵の葛藤は無駄になりそうでございますね」

「どういうこと?」

「すぐにわかりますよ。まずは《死者蘇生》を発動いたします。効果を説明する必要はありませんね? 再びおいでなさい、《リチュア・ディバイナー》」

 

《リチュア・ディバイナー》

墓地→フィールド

 

「さらに《リチュア・ディバイナー》のモンスター効果。わたくしは《儀式の準備》を宣言し、デッキトップを確認します。[水霊の予言]」

「……っ!?」

「ではデッキトップを確認いたしますが……宣言通り《儀式の準備》でございますね」

 そのカード名に表情をこわばらせる葵。そして流れるように処理を行っていく梓は、本来博打になるはずの《リチュア・ディバイナー》の効果でさえ一連の流れのように正解させ、手札に加える。

 

【梓】

手札:2→3

 

「では、一気に参ります。わたくしは先ほど手札に加えた《儀式の準備》を発動いたします。これにより、デッキからレベル7以下の儀式モンスターを手札に加え、その後墓地の儀式魔法を手札に加えます。

 わたくしは《イビリチュア・マインドオーガス》をサーチ、さらに《リチュアの儀水鏡》をサルベージ」

 

《イビリチュア・マインドオーガス》

デッキ→手札

《リチュアの儀水鏡》

墓地→手札

【梓】

手札:2→3→4

 

 またも1枚のカードで2枚のカードを得るアドバンテージで、梓の手札が潤っていく。同時に、手札に儀式魔法と儀式モンスターが揃う。

 彼女らの戦術を例えるなら、葵が強弱のある『波』なのに対し、彼女はいわば『循環』だ。墓地へ送られたカードを再利用し、モンスターを展開する。故に手札消費が激しいはずの儀式デッキでも手札が尽きず、さらなるモンスターを呼び出す準備も整うのだ。

「では《リチュアの儀水鏡》を発動いたします。素材にするのは《シャドウ・リチュア》。こちらも《ヴィジョン・リチュア》同様、いかなるレベルのリチュア儀式モンスターの儀式も賄えます。

 ()しき魔物にかしこみこしこみ申す。輪廻の(ことわり)を破り無へと還す力を得んとせよ、儀式召喚《イビリチュア・マインドオーガス》!」

 

《シャドウ・リチュア》

手札→墓地

《イビリチュア・マインドオーガス》

☆6・水属性・水族

ATK:2500

【梓】

手札:3→1

 

 再び両者の中心に鏡が出現し、光と共にフィールド下半身が巨大なカサゴと化した女性魔術師のモンスターが降臨する。濁って虚ろとした目の魔術師はゆらりとした動きで右手に握る杖を振るう。するとその動きに合わせて水が巻き上がり、両者を包むように広がっていく。

「ちょ……っ!?」

「ただのソリッドビジョンですから息を止めなくても大丈夫でございますよ、葵」

「わかってても反射的にするもんでしょ! さっさと効果処理してよ、心臓に悪いから」

「わたくしはこのままでもよろしいのですが?」

「デュエル進まないからさっさとしなさい!」

 仕方ありませんね、とわざとらしく肩を落とす梓は《イビリチュア・マインドオーガス》の効果処理を行っていく。

「《イビリチュア・マインドオーガス》は儀式召喚に成功した時、墓地のカードを5枚まで選択し、それぞれのデッキに戻します。

 デッキに戻すのはわたくしの墓地の《サルベージ》、《死者蘇生》、《儀式の準備》、《マインドクラッシュ》、それから葵の墓地の《キラー・ラブカ》の5枚でございます。[魂魄(こんぱく)昇天]」

 

《キラー・ラブカ》

墓地→デッキ

《サルベージ》、《死者蘇生》、《マインドクラッシュ》、《儀式の準備》

墓地→デッキ

 

「えっと、確かそれに似た効果の罠カードあったよねー? 使用制限かかってるぐらい強いやつ」

「ああ、リチュア専用だし罠カードのような使い方はできねーけど、《転生の予言》の相互互換だな。

 いや、それより……」

 効果によって墓地のカードがデッキへ戻り、オートシャッフルが行われている光景を眺めながら、黄昏の表情は険しくなる。

 《キラー・ラブカ》がデッキに戻ったことで《メガロアビス》を守る手段をなくしてしまったのも事実だが、気になることがもう一つあった。

「今の七波、なんかいつも以上に荒れてないか?」

「あ、やっぱり遊糸も思ったー?」

 どうやらリリアもそれは感じていたようで、黄昏の疑問に頷く。

 プレイングに関してはそこまで雑さは感じられないが、その分言葉や態度が妙に目立つのだ。特に先ほどの《イビリチュア・マインドオーガス》の時の効果処理のときの言動。

 彼女が梓に荒っぽい口調になるのはよしとして、それでも相手を威嚇するような言動は彼女らしくなかった。

 何かあるのは明白だが、今のところ梓は変わらず掴みどころのない態度で接しているため、いつものことなのかもしれない、と2人は無理やり自分を納得させて見守ることにした。

「では、厄介だった《キラー・ラブカ》がいなくなったのでバトルと参りましょう。《イビリチュア・マインドオーガス》で《メガロアビス》に攻撃。[ヘイト・ディーペスト]」

「つ……っ!」

 《イビリチュア・マインドオーガス》のカサゴのような部分が目の前に巨大な水球を生成すると、魔術師がその手に握る杖を振る。するとその水球が意思を持ったかのようにうごめきだし、無数の牙となって《メガロアビス》をハチの巣に変える。

 

【葵】

ライフ:2400→2300

《水精鱗-メガロアビス》

フィールド→墓地

 

「さらに《イビリチュア・ガストクラーケ》で《アビスパイク》に攻撃。[クランク・オブ・エイビス]」

「あ、ぐ……っ!」

 

【葵】

ライフ:2300→1500

《アビスパイク》

フィールド→墓地

 

 続く《イビリチュア・ガストクラーケ》の触手が《アビスパイク》を捕え、握りつぶす。2体の儀式モンスターによってフィールドを一掃されてしまうが、まだ葵に休む暇はない。

「では、最後に《リチュア・ディバイナー》で直接攻撃でございます」

「つっ!?」

 

【葵】

ライフ:1500→300

 

「カードを1枚セットしてターンエンドでございます」

 

【葵】

1/300

-----  

--■--

【梓】

0/2300

-○○○-  

--■--

 

 ライフはまだ残っている。しかしリチュアモンスターたちの猛攻によって一掃された葵のフィールド、それにともなってセーフティラインを越えた葵のライフ、総合的に見て絶望的と言っても過言ではなかった。

 しかし葵は臆せずカードをドローする。

「私のターン、ドロー!」

 

【葵】

手札:1→2

 

「っ!? このカードなら!」

 ドローしたカードは《水精鱗-ディ二クアビス》。レベル7でありながら、手札の水属性モンスター1枚を墓地へ送るという、他のレベル7の水精鱗より比較的軽いコストで特殊召喚できる効果を持っている。

 さらに、その効果で特殊召喚した場合はデッキからレベル4以下の水精鱗モンスターをデッキからサーチ出来るため、水精鱗の展開の起点となる強力なカードだ。

(この子を《アビスグンデ》をコストに特殊召喚して、適当なレベル4の水精鱗をサーチしつつ、《アビスグンデ》の効果で《メガロアビス》を蘇生すれば形成を逆転できる。

 攻撃後は《ガイオアビス》をエクシーズすれば攻撃と効果も制限できる。よし、これで……)

『――マスター!!』

「……っ!?」

 頭の中で戦術を立てて実行に移そうとしたその時、切羽詰まったような様子の少女の声が彼女の動きを制止させる。リリアではない。ましてや梓の声でもないその声は必死に彼女に呼びかけていた。

『まずは落ち着くのです、マスター。さっきから攻め急ぎ過ぎなのです!』

 声の質からして葵より年下、そして脳に直接響くように聞こえてくる声の主を、彼女は知っている。一度深呼吸をして心を鎮め、葵はその声の主に声をかける。

「ありがとう」

『どういたしましてなのですよ、マスター――』

 姿の見えない声の主はホッとしたように口調を緩めるとその気配を消した。

「少しは落ち着かれましたか、葵?」

「おかげ様でね。私はリバースカード発動《貪欲なウツボ》。手札の水属性モンスター2体をデッキに戻して3枚ドローするよ!」

 

【葵】

手札:2→0→3

 

「良いカードは引き込めましたか?」

「さあ、どうだろう? 私はモンスターを1枚とカードを2枚セットしてターンエンドだよ」

 

【葵】

0/300

--▲--  

--■■-

【梓】

0/2300

-○○○-  

--■--

 

 不敵に笑う葵のフィールドは、先ほどまでの激流のような攻撃から一変、手札のカードをすべて伏せる守りの姿勢となった。しかしその目に絶望の色は見えない。それどころか、嵐の前の静けさにさえ感じてくる。

「……あおいん、急に雰囲気変わったねー。どうしたんだろー?」

「確かに、少なくとも目つきは変わったな。さっきみたいに勝ち急いでないから、あのセットカードが本命なのかブラフなのか見抜くのは一苦労だ」

 さっきの葵は間違いなく《貪欲なウツボ》を使わず攻めようと前のめりになって。おそらく逆転の手段が手札に揃っていたのだろう。

 それを行動に移す直前、葵は不自然に動きを止めたようにリリアは見えただろうが、その時黄昏は彼女の背後に何かがいるような気配を感じていた。

(姿は見えなかったけど、《ゴブリン》と同じ気配だった。もしかして、『あれ』が葵の持つ精霊か……?)

 予想はいくらでも立てられるが、それに答えられる人は現在デュエルで勝敗を分ける駆け引きを行っている。水を差すのも気が引けるため、黄昏はその疑問を飲み込んでデュエルの行方を見守ることにした。

「では、わたくしのターン、ドロー」

 

【梓】

手札:0→1

 

「《リチュア・ディバイナー》のモンスター効果。わたくしは《リチュアの儀水鏡》を宣言してデッキトップを確認いたします。[水霊の予言]。

 ……デッキトップは当然《リチュアの儀水鏡》。そのまま手札に加えます」

「貴女とうとう断言したよね!?」

「事実でございますから」

 

【梓】

手札:1→2

 

 相変わらずのやり取りをしながらも、梓の視線は己の手札に向けられ、戦術を練っていく。

(わたくしの手札は《シャドウ・リチュア》と《リチュアの儀水鏡》。これで儀式モンスターが手札か墓地にあれば、墓地にある《リチュアの儀水鏡》を利用して儀式召喚できましたが、流石に高望みでございますね)

 続いて視線は葵のフィールドへ。

(セットされた1枚のモンスターと2枚のリバースカード。どれもシルエットがまったく『視』えないということは、わたくしの『眼』に干渉できる力を持っているということ。

 葵にそのような力がないのは確認済みなので、セットモンスターは()()()()()で決定でございますね。

 とは言っても、リバースカードの問題がまだ残ってございますが……

 《ミラーフォース》のようなカウンター型か、はたまた守りに徹したカードか……)

「どうしたの梓? 珍しく長考してるよ?」

「葵の子供っぽい感情の起伏をどうにかできないか考えていたところでございますよ」

「大きなお世話だよ!!」

 とりあえず葵をからかって自分のペースを保つ梓は、葵のリバースカードが《ミラーフォース》であると想定して動くことに決定する。

「ではこのまま参ります。《イビリチュア・ガストクラーケ》でセットモンスターに攻撃。[ヘイト・ディーペスト]」

 《マインドオーガス》の作り出す水の牙がセットされたモンスターに迫る。しかしそれを待っていたかのように葵はリバースカードに手を伸ばした。

「この瞬間を待っていたよ!

 リバースカード発動《和睦の使者》! このターンのエンドフェイズまで私のモンスターは戦闘破壊されず、戦闘ダメージは0になるよ」

「守るタイプのカードでございましたか……!」

「その感じだと、《ミラーフォース》で一網打尽にしてもらってから再度儀式召喚をするつもりだったんだろうけど、あてが外れたね」

 《イビリチュア・ガストクラーケ》の攻撃がセットモンスターに直撃する直前、葵のフィールド上空に現れた天女の唄声がセットモンスターの周りに光の壁を生成。

 セットモンスターへと迫っていた触手は光の壁に阻まれて攻撃は無意味に終わった。ただし攻撃対象になったことは無効になっていないため、セットされていたモンスターはルールに従いリバースする。

 リバースされ、フィールドに現れたのは青い髪に青い目、ローブを身に着け右手には杖を携えた少女の姿だった。

 

 ――《水霊使いエリア》。それが彼女の名前であり、葵の所有する精霊のカードだった。

 

「よし《エリア》、ちゃっちゃと終わらせるよ!」

『はいなのです、マスター!』

「《水霊使いエリア》はリバースした時、相手の水属性モンスター1体のコントロールを、この《水霊使いエリア》がフィールドに存在する限り永続的に奪えるよ。

 対象は《リチュア・ディバイナー》!」

『 [マインド・マジック]なのです!』

 《水霊使いエリア》が杖を振るい、その先端を《リチュア・ディバイナー》に向けると、相手の意思に関係なくその体が浮き上がり、こちらのフィールドへと呼び込んだ。

 

《リチュア・ディバイナー》

フィールド(梓)→フィールド(葵)

 

 発動条件が難しいためサポートカードが必要になるが、このコントロール奪取は《水霊使いエリア》が表側表示でいる限り半永久的に奪えるうえ行動の制限もない。さらに……

「《和睦の使者》の発動下だから、この子も戦闘で破壊されることはないよ。まだ手は残ってる?」

「今の手札ではどうすることもできません。わたくしはモンスターを1枚セット、《イビリチュア・マインドオーガス》を守備表示にしてターンエンドでございます」

 

《イビリチュア・マインドオーガス》

ATK:2500→DEF:2000

 

【葵】

0/300

--△○-  

---■-

【梓】

1/2300

-▲○△-  

--■--

 

「私のターン、ドロー!」

 

【葵】

手札:0→1

 

「さて、ここでどうにかしないと結局負けになるんだよね。どうしようかな……」

『マスター、《リチュア・ディバイナー》の効果は使わないのです?』

「あ、そうだね。じゃあ景気づけに私は《リチュア・ディバイナー》の効果を発動するよ!

 宣言するのは《サイクロン》!」

「勝利の女神は微笑んでくれるのでございますか?」

「それは、このカードを引けばわかること……だよ!」

 不敵に笑い、勢いよく引かれるカード。果たして勝利の女神は微笑んだのか、その場の全員が息を飲んでそのカードを確認する。

「……《海皇の狙撃兵》」

「思いっきりはずしてんじゃねーか!」

「あははは……これは幸先悪いなぁ」

 突っ込まずにはいられなかった様子の黄昏に苦笑いで返す葵。おそらく手札にあるカードで展開は出来るが、梓の伏せカードだけが不安要素だったのだろう。

「運に見捨てられているようでございますね」

「運がないなら力ずくで呼んで来ればいいんだよ、こうやってね! 私は《深海のディーヴァ》を召喚するよ!」

 

《深海のディーヴァ》

☆2・水属性・海竜族

ATK:200

 

 葵の父親である将生も使用していた……黄昏は知らないだろうが、実は将生の扱うモンスターの代名詞でもある、レベル3以下の海竜族をリクルートできる汎用性の高いチューナーモンスターが葵の目の前に現れる。

 将生の場合はダイレクトアタッカーの《スカイオニヒトクイエイ》を特殊召喚したが……

「私がデッキから呼ぶのはレベル1の海竜族モンスター《海皇子 ネプトアビス》だよ!」

 

《海皇子 ネプトアビス》

☆1・水属性・海竜族

DEF:0

デッキ→フィールド

 

「《ネプトアビス》? 聞いたことないモンスターだな」

「まあ、最近海皇の新モンスターのモニターとして貰ったカードだからね。今のところ私しか持ってないよ」

 ちょっと壊れ気味な効果なんだけどね、と視線を逸らす葵と対象的に《ネプトアビス》は携えた三叉鉾の調子を確かめるように振り回し、相手を威嚇していた。

 ……それに怯えた《水霊使いエリア》が頭を抱えて丸くなっているため、彼女の預かり知らぬところでカオスになっているが、黄昏もはや突っ込む気にもならずに無視することにする。

「それで、ここまででその伏せカードは使わないのかな?」

「はい、今はまだ使いません。そのまま続けてもらって構いませんよ?」

「じゃあ、私は《ネプトアビス》の効果を発動するよ。1ターンに1度、デッキから海皇モンスターを墓地へ送るのをコストに、デッキから海皇モンスターを手札に加えるよ。

 私はデッキから《海皇の狙撃兵》を墓地へ送って、《海皇龍ポセイドラ》をサーチ!」

 

《海皇の狙撃兵》

デッキ→墓地

《海皇龍ポセイドラ》

デッキ→手札

 

【葵】

手札:1→2

 

「さらに、水属性モンスターの効果のコストとして墓地へ送られた《海皇の狙撃兵》の効果。相手フィールドにセットされたカード1枚を破壊するよ。

 破壊するのはもちろんその伏せカードだよ!」

 《海皇の狙撃兵》の幻影は自分が持つボウガンを構えて梓のセットカードへ照準を向け、放つ。結局そのカードは発動されることもなく、呆気なく墓地へと送られていった。

 

《ポセイドン・ウェーブ》

フィールド→墓地

 

「破壊したのは、また《ポセイドン・ウェーブ》。相変わらずいやらしいカード伏せてるよね、梓って」

「先ほどのターンに勝ち急いでくれたらわたくしの勝ちで幕が下りて、あなたを見下せたのでございますが……残念でございます」

「貴女それ仮にも巫女の身が言うセリフじゃないよね!?」

「ちゃんと敬うべきものには敬っておりますのでお構いなく」

「私が構うんだよ! 全く、このやり取りしたの何回目?

 まあいいや、伏せカードもないし、手札に何が握られてたかはわかってる。それに貴女のデッキに相手のターンに発動できる手札誘発のカードがないのは知ってるし、このまま一気にいくよ!

 私はレベル2の《深海のディーヴァ》でレベル3の《リチュア・ディバイナー》をチューニング――」

「あ、あれってもしかしてー!?」

「――弱者の憤怒を纏いて強者にその牙を突き立てよ! シンクロ召喚、渦巻け《神海竜ギシルノドン》」

 

《深海のディーヴァ》

フィールド→墓地

《リチュア・ディバイナー》

フィールド(葵)→墓地(梓)

《神海竜ギシルノドン》

☆5・水属性・海竜族

ATK:2300

 

「やっぱりシンクロ召喚だー! あおいんシンクロモンスターなんて持ってたのー!?」

「黙っててごめんリリア。いつも使ってるデッキはアイドルデュエリストの『七波葵』って役に必要なデッキで、こっちはちょっと事情があってお父さんにも秘密にしてるデッキなんだよ」

 水精鱗と海皇を操り、エクシーズを使いこなすアイドルデュエリスト。それが一般的に知られている葵の全容だ。しかし目の前にいる彼女はその全容と全く違う少女だった。

 しかし、彼女の進撃はまだまだ続く。

「さらに私はリバースカードを発動《融合》!」

「七波のやつ、融合召喚までするのか!?」

「プロで活躍するならいろんな手段を持っておかないといけないからね。まあ、このデッキを公の場で使ったことないし、専用カテゴリでもないのをここまで混ぜてるのは私ぐらいだろうけどね。

 さて、私はフィールドの《水霊使いエリア》と、手札の《海皇龍ポセイドラ》を融合!

 水霊を操る魔術師よ、海底を総べる海龍よ、海原を巡る魔導師となりてその力を振りかざせ!融合召喚。我が親愛にして崇高なる僕《海流魔導師リヴァイエリア》」

 

《水霊使いエリア》

フィールド→墓地

《海皇龍ポセイドラ》

手札→墓地

【葵】

手札:1→0

《海流魔導師リヴァイエリア》

☆8・水属性・魔法使い族

ATK:3000

 

 眩しいほどの光から現れたのは《水霊使いエリア》の下半身が海竜と一体化したような融合モンスター。その姿はどことなく《イビリチュア・マインドオーガス》と雰囲気が被っているように思えた。

「まだまだいくよ! 私は《リヴァイエリア》の効果を発動。1ターンに1度、自分フィールドの水属性モンスター1体をリリースすることで、《水霊使いエリア》以外の融合素材にした種族に対応した効果を発動できる。

 私は《ネプトアビス》をリリースして発動するよ。これにより、海竜族を融合素材とした《リヴァイエリア》は、このターン貫通効果を得て、モンスターと戦闘するときはダメージ計算時に攻撃力が800ポイントアップするよ!」

『《ネプトアビス》さん、《ポセイドラ》さん、力を貸してください。[フェロー・ユニット]!』

 《リヴァイエリア》の魔術師部分が杖を抱えて何やら呪文を唱え始める。それに対応するように《ネプトアビス》が淡く輝き、光となって消滅。その光をまとった《リヴァイエリア》の海竜部分が耳をつんざくような咆哮をあげた。

 

《海皇子 ネプトアビス》

フィールド→墓地

 

「さらに、《ネプトアビス》にも水属性モンスターの効果の発動コストとして墓地へ送られたときの効果があるよ。この効果で墓地の海皇モンスターを1体特殊召喚する。

 私は《海皇龍ポセイドラ》を蘇生するよ!

 さらに、フィールド上からレベル3以下のモンスターが墓地へ送られたとき、《ギシルノドン》の攻撃力は3000になる!」

 

《海皇龍ポセイドラ》

☆7・水属性・海竜族

ATK:2800

墓地→フィールド

《神海竜ギシルノドン》

ATK:2300→3000

 

 

「攻撃力がほぼ3000のモンスターが3体って、なんつーごり押ししてんだあいつ」

「あわわわ……」

「さて、じゃあいこっか」

 とてつもなくすがすがしい笑みで指を鳴らしている葵の姿は、まるで何か大切なものをどこかに置いてきたよう。その笑みを向けられたわけでもないのに、黄昏の隣でいるリリアは小動物のように小さく震えていた。

「バトル! まずは《海皇龍ポセイドラ》でセットモンスターを攻撃!」

「つ……っ! セットモンスターは《シャドウ・リチュア》でございます」

 

《シャドウ・リチュア》

フィールド→墓地

 

「さらに《ギシルノドン》で《イビリチュア・ガストクラーケ》を攻撃。[憤怒の牙]」

「く……」

 

【梓】

ライフ:2300→1700

《イビリチュア・ガストクラーケ》

フィールド→墓地

 

 2体の大型モンスターが暴れた結果、梓のフィールドには守備表示の《イビリチュア・マインドオーガス》のみ。

 ただし残る葵のモンスターはこのターン貫通効果を持っており、それを止める手立ては梓は持ち合わせていなかった。

「お見事、葵」

「……心なしかバカにされてる気がするんだけど?」

「してますので」

「《リヴァイエリア》やっちゃって! 梓を吹っ飛ばすぐらい強力な一撃を!! 《リヴァイエリア》で《イビリチュア・マインドオーガス》を攻撃!!」

『さ、さすがに無理なのですよ……

 でも《マインドオーガス》さん、梓さん……お覚悟を、なのです! [レヴィアタン・ボルテックス]!』

 葵の宣言に反応して、《リヴァイエリア》は戸惑いながらも海竜部分を大きくうならせて《イビリチュア・マインドオーガス》に迫る。

 《イビリチュア・マインドオーガス》もそれに反応し、緩やかにだが迎え撃つ体勢に入る。そのとき一瞬だけだが両者の目があった。

 守備力が劣る《イビリチュア・マインドオーガス》はこの戦闘で確実に破壊される。が、その濁った眼の奥に確かな闘志を宿しているのを、《リヴァイエリア》となった《エリア》は感じ取った。

 数値がものを言う、公正なゲームだからこそ今は安心して攻撃できるが、そうでなければ攻撃をためらっていたかもしれない。

『《マインドオーガス》さん……

 いきます、[レヴィアタン・ヴォルテックス]!!』

「そしてこの瞬間、《リヴァイエリア》の攻撃力は800ポイントアップ!」

 

《海流魔導師リヴァイエリア》

ATK:3000→3800

 

 雰囲気の似た2体はお互いに人ならざる部分がぶつかり合う。迫りくる触手をすべて噛みちぎり突き進む《リヴァイエリア》は《イビリチュア・マインドオーガス》を容赦なく粉砕。

 それだけにとどまらず、《リヴァイエリア》が纏っていた水流は相手モンスターの守りを物ともせずその威力を梓の元まで届かせる。

 

【梓】

ライフ:1300→0

 

 その攻撃が決定打となり梓のライフを0にした瞬間デュエルディスクから勝者を称えるブザーがけたましく鳴り響た。

 

 

 デュエルが終了したことで2人はデュエルディスクを仕舞い、そして距離を詰める。

 握手でもするのだろうか、と予想をしていた黄昏だが、その目の前で葵が得意そうに笑みを浮かべた。

「どう梓、文句なしの勝利だよ!」

「はい、予想通りの結果でした」

「は?」

「言ったでございましょう? わたくしの『眼』は『本質』を見抜くと。その『本質』とは、何も物体の正体だけではないのでございますよ。デュエルなら、そのデュエルの流れというものを『視』ることができます。

 今回のデュエル、わたくしが優勢になった場面があったと思いますが、そのときでさえも、あなた側に流れる圧倒的な流れにわたくしが小手先の変化を加えただけでございました」

「つまりなに? 貴女はこのデュエルの決着が最初からわかってたってこと?」

「そういうことでございますよ。あたなの考えは複雑そうで実際はとてもわかりやすいので」

「それって、見かけ倒しって言いたいのかな!?」

「ふふふ、わたくしにぎゃふんを言わせることが出来なくて残念でございましたね、葵」

「ああもう、今に絶対ぎゃふんと言わせてやるんだからね!」

「さて、それまでわたくしが生きているでございましょうか?」

「~~~~~~!!」

 もはや音と表現するべきではと思うほど、理解不能な声を出す葵。これではどちらが勝ったのかわからない状態だが、それを端から見ている黄昏たちには、梓の言葉も負け惜しみにしか聞こえなかった。

 案外、その余裕そうな表情の下では巫女としての自分を投げ捨てて葵同様に荒れているのかもしれない。

「……なんだろう、すごいハイレベルのデュエルを見てたはずなのに、この閉まらない感じ」

「あ、あははは……とりあえず、あおいんを止めにいこっかー?」

 このあと、止めに入った黄昏にも飛び火してさらにカオスになった状態が10分ほど続き、葵の体力が尽きるまで収まらなかったのは言うまでもなかった。




セットモンスター無視してもいいのにわざわざモンスターを一掃する七波さんマジ鬼畜

ただ、七波にシンクロ使わせるのは想定外でした(汗)
これ考えてるときは赤馬さんのデッキとコンセプト被ってることが頭から飛んでましたので……
書き直す気はありませんが←

ようやく七波の精霊《水霊使いエリア》が出せました!
ここや他の小説投稿サイトでも何作か遊戯王のSSを見てますが、他の霊使いに比べて圧倒的な支持率を持ってる気がします。

そして七波の切り札となるカード《海流魔導師リヴァイエリア》のお披露目です。ステータスもライバルカードのものになってます。
↓以下OCG風の効果紹介です


-----------

《海流魔導師リヴァイエリア》
☆8・水属性・魔法使い族
融合
ATK:3000 DEF:2500

「水霊使いエリア」+水属性モンスター

①このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動する。
その相手モンスターを持ち主の手札へ戻す。
②このカードが魚族、海竜族、水族のいずれかを融合素材にして融合召喚している場合、1ターンに1度、自分フィールドに表側表示で存在する他の水属性モンスター1体をリリースすることで、それぞれ以下の効果を発動できる。
・魚族:相手の手札を確認し、1枚選択して墓地へ送る。
・海竜族:このターン、このモンスターが相手モンスターと戦闘を行うとき、ダメージ計算時に攻撃力が800ポイントアップする。またこの時、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が越えた分だけ戦闘ダメージを与える。
・水族:相手フィールドに表側表示で存在する、最も攻撃力の低いモンスター1体のコントロールを、このターンのエンドフェイズまで得る。


今回は出番がありませんでしたが、攻撃したモンスターをダメージ計算後にバウンスする誘発効果と、融合素材によって効果が変わる起動効果を持った融合モンスターです。
効果はそれぞれ《水霊術-葵》、《憑依解放》内蔵の《憑依装着-エリア》、《水霊使いエリア》の効果をベースにしています。
少々強力な気もしますが、融合するのに《水霊使いエリア》が名指しなのと、《月の書》で裏にされたり、蘇生や帰還したときは②の効果は使えなくなるのでバランスはとれてるかと……

あと、このカード考えてて思ったんですが、遊戯王のライバル位置のキャラって大体融合モンスター使ってますね。
GXのライバルが誰なのか微妙なところですが、クロノス、万丈目、カイザーなど、一応候補のキャラは全員融合使ってますし、ゼアルは最初シャークさんがライバル位置にいましたが、《ツイン・フォトン・リザード》使ったカイトさんも後々ライバル位置になってましたし
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