遊☆戯☆王 Xeno-N   作:駄蛇

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1か月以上更新が遅れてすいませんでした

相変わらず忙しくて、暗くて重い文章が目立ったのでその修正と、
今回から数話にかけて時間軸がごちゃごちゃとした話になりそうなので、その調整に手間取ってしました。

無視できない行事があって少なくとも1、2週間は更新が滞ってしまうかもしれませんが、気長に待っていただけると幸いです


今回はデュエルはなし+比較的短めです


水面下で蠢く不穏な影

 昼休み、普段は使われず、人通りも少ない空き教室で、葵とリリアは二人で昼食をとり、デッキ調整のテストデュエルをしていた。

 何度目かのデュエルが終わったところで時刻を確認すると1時半を過ぎている。次の実習の移動時間を考えると、そろそろ切り上げるべきだろう。

「だいぶデュエル安定してきたね、リリア」

「えへへ、あおいんのおかげだよー」

 デッキを片付けながら、二人はここ数日間のデュエルの感想を述べる。

 最初の方は回るときと回らないときで差が激しかったが、なぜか今では構成は酷いはずなのに普通のデッキ構成と同じぐらい安定していた。

 これがモンスターに好かれるってことかな、などと黄昏が言っていたことを思い出しながら、葵は椅子から立ち上がって固まった身体をほぐしていく。

「にしても、黄昏君も変なデッキ調整の仕方をするよ……

 私にはテストデュエルだけをさせて、デッキ調整は全くさせてくれないんだから。一体どんな調整してるの?」

「あー、ごめんー。遊糸からデッキが完成するまでは教えるなって、耳が痛くなるほど言われてるんだー」

「もう、私だけ除け者だよ。わざわざこんなところの使用許可をとってまで私にやらせるんだったら、ちゃんと詳しく教えてほしいよ」

「あおいんごめんねー」

「リリアは悪くないよ。まったく、一体黄昏君は何を考えてるんだか、ホントに言葉足らずなんだか……ら……?」

「どうしたのー?」

 不機嫌そうに口を尖らせる葵はそっぽを向くが、その際に偶然戸の方を見た彼女はその戸が少し開いているのに気付いた。それだけなら特に気にするほどでもなかったのだが……

「ちょ、あおいん!?」

 突然出入り口に向かって走り出した葵は慌てるリリアに目もくれず、そのままの勢いで戸を引いて廊下へ出ると辺りを確認する。が、その直後葵の目の前の景色が逆さまになる。

「……え――」

 一瞬何が起こったのかわからず呆然としていた葵は、しばらくして自分が戸の向こう側にいた『誰か』に投げられたのだと理解した。

 だが、直後に背中に強い衝撃を受けたことで再び思考は停止し、息が止まって悶える。天上を仰いだまま動けない彼女は、せめて相手の姿だけでも確認しようと首だけ動かす。すると長い直線の廊下の先にある曲がり角を曲がる人影が見えたが、学生より背丈の高い男性の姿が見えただけでそれ以上の特徴を捉えることはできなかった。

「あおいん、大丈夫!?」

 切羽詰まったリリアの声と、彼女の駆け寄る足音が聞こえてくる。いつもの間延びした口調じゃないということは、余程心配してくれているようだ。

 彼女に抱きかかえてもらう頃には息もできるようになり、軽くせき込みながらも自分で立ち上がる。

「ありがとう、リリア」

「ホント心配したよー。いきなり走り出してどうしたのー?」

「誰かに見られてたみたい。目が合ったから、つい条件反射でね」

「条件反射で捕まえようと走り出せるあおいんってすごいねー。普通だったら怖くて動けないよー」

「リリア、それって血の気が多いって言いたいのかな?」

「あおいん怖い、顔がすごく怖いよー!?」

 自分の分のデッキも持ってきてくれたリリアにお礼を言うつもりだったが、代わりに引きつった笑みを浮かべる。するとリリアは顔を真っ青にして首が取れそうなほど横に振るため、呆れた葵は肩をすくめてデッキを腰のベルトに固定する。

「もう……って、あ!?」

「ど、どうしたのー?」

「デッキ、盗まれたみたい」

 リリアから渡された《水霊使いエリア》や《融合》が入っているデッキとは別に、『アイドルの七波葵』用のデッキが入ったケースが、彼女の制服のベルトから無くなっていた。

「だ、大丈夫なのー?」

「たぶん、さっきの人影に盗まれたのかな。もちろん探し出して取り返すつもりだけど、重要なカードは今仕舞ったデッキの方に入ってるし、最悪代用はできるよ。盗まれたっていうのは気分悪いけどね。

 ……エリア、とりあえず捜索をお願い」

『了解なのです、マスター』

 リリアに聞かれないような小さな声で《エリア》に指示すると、《エリア》は快く頷いて犯人らしき人影が逃げて行った方へ向かった。

「先生に言った方がいいと思うよー? 不審者だったら危険だしー」

「ああ、そうだね。後で言いに行くよ」

 それにしても、と葵は気づかれないようにホッと胸を撫で下ろす。

 盗んだ相手が精霊を知覚できるかわからないが、少なくともこのアカデミアには黄昏以外に知覚できる人間がいないはずだ。

 こうして《エリア》に依頼しておけば周囲に怪しまれずに捜索できるのだから、偶然とは言え黄昏に言われてた通りに《エリア》が入ったデッキでデュエルしていたのが功を奏したといえよう。

「あ、そういえば、黄昏君来なかったね。というか、今日見た?」

「んー、見てないよー?」

 顎に指を置いてしばらく視線を漂わせてから首を横に振るリリアに葵は短く返答する。以前デュエルモンスターのルール改定の説明会をサボった彼のことだから、今日もただの欠席かサボりだろう、と片付けたい葵なのだが、なぜかそれでは納得がいかなかった。

「もしかして遊糸、どっかでトラブルにでも巻き込まれてるのかなー?」

「え?」

「いや、ただの勘だよー。でも、遊糸ってなんかゆうくんに似てて、どこか危ないんだよねー。自分が望まないトラブルに巻き込まれるというか、無意識に渦中に突っ込んでいくというかー……」

「……今日ほどリリアの直感が当たってほしくないって思ったことはないよ」

「うん、私もー。何なら連絡してみるー?」

「私たち、黄昏君の連絡先知らないよ?」

「あ……」

 しまった、とポカンとするリリアに、思わず葵は苦笑いを浮かべる。それにより少しばかり空気が和んだ二人は、これ以上気にしても仕方がないと踏ん切りをつけて会話を変える。

「そういえば、リリアが言ってるゆうくんって一体どんな人なの?

 あだ名は聞くけど詳しことって聞いたことないよね?」

「あー、そういえばそうだねー。

 えっとー、確かスクラップデッキを使ってたっていうのは前に話したよねー?

 確かゆうくんは孤児院の出身で、それも年長だったみたいだから、すごく面倒見がいいのー」

 アタシもよく遊んでもらってたなー、と昔を懐かしんでいるリリアに対し、その状況を思い浮かべた葵は思わず口から本音がこぼれる。

「リリアの場合だと、遊んでもらってたって言うより面倒見てもらってた、って方がしっくりくるね」

「うー……」

 頬を膨らませて上目遣いで睨んでくるが、彼女の雰囲気だと迫力はまるでなかった。

 そんな彼女に思わず吹き出し、そのせいでさらに頬を膨らませてそっぽを向かれてしまう。慌てて慰めようとするが、どうやら本格的にご機嫌を損ねてしまったようだ。

「ごめんって、リリア。機嫌直して、ね?」

「ふーんだ」

「どうすれば機嫌直してくれる?」

「今日出た課題見せてー!」

「だーめ」

「けちー」

 言い慣れたようにテンポよく交わされる会話から、これがいつも行われている日常であることは言うに及ばず。

 しかしこれがアイドルデュエリストという立場を変に意識しない友人との会話だからこそであり、それを自覚している少女はこの日常のありがたさを噛み締めていた。

「あのねえ、今日の課題ってプレート魔法とかリバイバルモンスターとか、つい最近習ったもの関係ばかりだよ?

 それぐらい――」

 自分でやりなさい、と言いおうと振り向いた葵は突然口を閉じる。

 不思議に思ったリリアは葵の目線を追うように振り返ってみると、行く手を阻むように彼女の前に一人の少女が立ちふさがっていた。

「ごきげんよう、七波さん」

「……どうも」

「あら、昼だというのに元気がありませんわよ?

 アイドルたる者、この“シャルロッテ・バックハウス”のようにテレビの外であろうと常に明るくありませんと!」

 金髪縦ロールにドレスグローブという、絵にかいたようなお嬢様キャラの女子生徒こと、シャルロッテは口元に手を置いて高笑いしながら胸をはる。

「貴女はアイドルどころか、それに近いことすらしたことないでしょうが」

「私ほどの美貌とデュエルタクティクスがあれば、その気になれば十分やっていけますわ。

 ただ周囲が許可を出してくれないだけですのよ」

「うん、周囲が常識ある人たちで良くてよかったよ。

 それからアドバイスさせてもらうと、貴女は少し落ち着くということを覚えた方がいいと思うよ?」

「私ほど落ち着いた人はいませんわ!」

「……お嬢様、流石にお嬢様を落ち着いた人と評価するには無理があるかと。旦那様からももう少しおしとやかに、と私の方にまで念押しされていますので」

 いつの間にかシャルロッテの背後に佇んでいた黒髪でショートヘアの女子生徒が冷静なツッコミをいれる。確かシャルロッテの部下と言う名の世話係で、直接名前を聞いたことはないが、シャルロッテが『()()()』と言っていたはずだ、と葵は思い出す。

「先ほどまで殿方から迫られていて、あしらうのに手間取ってましたの」

「それは課題の提出が遅れているから、先生が注意に来ただけでは?

 続けて申し上げますと、旦那様からお嬢様の世話係を頼まれているとはいえ、昼休みすべてを私の課題写しに費やすのは如何なものと思います」

「………」

 シャルロッテの一言に対して必ず二言が返ってくるキザミの言葉でシャルロッテの表情が固まる。が、流石と言うべきか表情を引きつらせながらも続ける。

「そ、そもそも! 私のデュエルはコンボを重視したデッキですの」

「……うん?」

「つまり、常に冷静に状況を観察し、的確なカードを切ることがひちゅっ……」

「…………」

「…………」

 一瞬にしてなんとも言えない空気となり、シャルロッテの表情も見る見るうちに赤くなっていく。正直、あのまま彼女が話し続けていると顎に一発食らわせてやろうか、などと物騒なことを考えていた葵からすれば、頭に上っていた血がいい感じに引いて助かったのだが……

「で、的確なカードを切ることが、何?」

「うわー、あおいん鬼畜だー」

 後ろから若干引き気味の親友の声が聞こえるが、当たり前のように無視する。そしてそんな彼女と向かい合っている、空気を壊してしまった張本人はと言えば、我慢の限界が来たのだろう。茹でダコかと思えるほど耳まで真っ赤になりながら半ばやけくそで葵を指さす。

「せ、宣戦布告ですわ! 今日の午後の合同実習であなたとデュエルいたします。よよ、よろしくて!?」

「あ、逃げた」

 言うだけ言うとシャルロッテはさっさと走って行ってしまい、世話係のキザミも無言のまま一礼してさっさと歩いて行ってしまった。

「メンタルの弱いお嬢様だね、ホント」

「あおいん、なんかさらに黒くなってない?

 トドメ刺したのはあおいんだと思うよー」

「どこがよ、最初から最後までシャルの自爆だよ?」

 腕を組んで眉をひそめる葵にリリアは苦笑する。

「それで、宣戦布告は受けるのー?」

「まあ、別に受けても問題ないし、受けるつもりだよ。《エリア》のデッキしかないから、バレないようにデュエルすることになるけど、まあシャル相手なら問題ないかな」

「昼休みに廊下であおいんに話しかけてくるのは何度も見かけるけど、あの人たちってどんなデッキなの?」

「二人とも特殊勝利デッキだよ。まあ、シャルは特殊勝利に目が行き過ぎていてプレイングが雑な部分多いし、あのキザミって人の方が強いうえにえげつないんだけどね。

 というか、リリアが他の人のデッキについて聞いて来るなんて珍しいけど、どうかしたの?」

「んー、なんか嫌な予感がするんだー。あおいんも気を付けてねー?」

「まさか一日に二回もリリアの嫌な予感を聞くとは思わなかったよ。もしかして、今日は厄日かな、なーんて」

 おどけてみせる葵だが、リリアの表情は曇ったままだ。もしかすると、先ほど実験室前で起こったことを含めて心配になっているのか、リリアは再三念を押してくる。

「気を付けてね、あおいん」

「うん、ありがとリリア」

 葵が微笑みかけると、リリアも少し気が楽になったのか表情が和らぐ。さて、と気持ちを切り替えるためにあえて声を出した葵は授業の準備のために再び歩き出し、リリアもその後を追った。




もう3週間ほど前になりますが、クラッシュオブリベリオン2箱予約してたので【竜剣士イグナイト】を作成しました
まだ汎用カードを入れてなくて守りは非常に弱いですが、比較的手札が事故になることが少なくて展開が鬼畜ってますね

効果の都合上、手札が0になることが多いですが、対策を取ればガチデッキ同士のデュエルは問題なさそうです
これで勝ちに拘らないネタデッキ作成に力を入れられます←
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