パソコンがお亡くなりになったので、スマホの方にWordを入れて書いているんですが、勝手の違いで苦戦中でしばらく更新が滞りそうです
今回のデュエルは今作ってるデュエル構成の中でも1、2を争うお気に入りのデュエルです
体育館の衝撃と轟音で生徒は悲鳴を上げてパニックを起こす。教師も必死に鎮めようとしているが治まる様子はない。
そしてその騒ぎが収まらないころに、更なる衝撃と共に体育館の扉が吹き飛んだ。
そちらに全員の目線が行くと、そこには先ほど黄昏がデュエルをした二人の男とその取り巻きらしき集団、そしておそらく本校の生徒なのだろう女子が人質になっていた。
「大人しくしてねぇと、こいつがどうなっても知らねぇぞ」
「……………」
パニックを沈めたのは、皮肉にもパニックを起こした者だった。ただし、いつ爆発するかわからない爆弾の前にいるかのように緊迫した空気が流れる。
「さて、ここに黄昏って生徒と七波葵はいるか?」
その一言で、目線は一変して黄昏と葵がデュエルをしていたステージの方へと向けられる。その様子に満足そうに笑みを浮かべた神崎は、人質の女生徒を取り巻きに預け、篠村とともにこちらに向かってきた。
「よう、また会ったな」
「今すぐ失せろ」
余裕の笑みを浮かべる神崎に対して、黄昏は不快感を顕にしてそれだけで人を殺せそうなほどの眼光を宿らせて手短に告げる。
「へっ、一度デュエルに勝っただけでいい気になってんじゃねぇぞ」
「黙れ。そもそも、さっきのデュエルで負けたら消えろって言ったはずだろ」
「ああ、だからさっきは消えただろ?今回はただ単にもう一度“偶然”出会った。ただそれだけだ」
「デュエルの腕は並でも屁理屈だけは達者だな。なら今度はセキュリティに突き出してやるよ。ここまでの騒ぎになってるんだ。誰かが連絡してるだろ」
話が早くて助かる、と神崎は隣にいる篠村にデュエルの準備をするように促す。
黄昏の方も、葵とのデュエルを一時中断し、新たにデッキをオートシャッフルして5枚のカードをドローした。
「ま、待ちなさい!」
「あん?」
そこに数人の教師がステージに上がってきた。その姿に、神崎はあからさまに機嫌悪そうに眉をひそめる。
「なんだよ、おっさん」
「生徒を危険にさらすわけにはいかない。校長と教頭が不在の今、ここは我々デュエルアカデミアの教師が相手になる!」
「雑魚に興味はねぇ。おいてめぇら、こいつらの相手をしてやれ」
それを合図に、教師と同じ人数の取り巻きがステージへと上がってくる。そして神崎は腕を組みながら不敵に笑う。
「こいつらは俺の部下の中でも特攻を務めてるやつらだ。こいつらとのデュエルで一人でも勝ったら、お望み通りこいつらを見逃してお前らとデュエルしてやるよ」
「いいでしょう。ではみなさん、行きますよ!」
「「――デュエル!!」」
★
それから数十分に及ぶ教師と取り巻きの激闘が続いたが、間もなくして決着がついた。
「モンスターでダイレクトアタック!」
「ぐぁ……っ!!」
ライフ:300→0
デュエルの終了を告げるブザーと共に膝をついたのは先ほど制止にかかった教師だ。その他の教師も善戦したが、全教師が相手のライフを0にすることはできなかった。
「……まあ地位だけ高くて踏ん反ってるやつよりは骨があったんじゃねぇか?
だが約束は約束だ。てめぇらはそこで大人しくしてな」
「く……っ!すまない、黄昏君。我々ではかなわなかった。どうか無事でいてくれ」
取り巻きたちにステージから降ろされるなか、満身創痍の身体で申し訳なさそうに頭を下げる教師を一瞥した黄昏は、その返答の代わりとでも言うようにデュエルディスクを構えた。それに倣って神崎と篠村もデッキから5枚のカードをドローする。
「今度はさっきのようにはいかねぇぞ」
「それが本当になればいいな。いくぞ!デュエ――」
「待って」
デュエルを始める宣言をする直前、葵がそれを制止した。見ると。その手には黄昏と同じように新たな5枚の手札が握られている。
「今回は私も参加させてもらうよ。」
「……俺はタッグデュエルはする気はない。《スクラップ・サーチャー》の効果的にも相性悪いしな。
あんたも観客席のほうでセキュリティの到着を待ってろ」
「それは嫌。君に任せっきりなんて私が気に入らないの。
タッグが嫌なら、一人こっちによこして。1体1のデュエルでどうかな?」
「…………」
俺はどっちでもいい、とでも言うように黄昏は神崎たちの反応を伺う。二人は顔を見合わせたあと、篠村が前に出た。
「ならオレが相手になってやるよ。どうせコイツを倒した後でお前のデッキも貰うつもりだったんだ。神崎はそのガキの相手を頼む」
「……だそうよ?」
「好きにしろ」
不愉快そうに舌打ちをした黄昏は、頭を掻きながらため息をついた。
「ありがと。じゃあ、場所を変えようか。ここで二人デュエルするには狭いでしょ?この先にサブアリーナがあるから」
「オレはどこでもいいぜ」
両者納得のいく内容が決定し、それぞれの場所へと移動していく。その最中、不意に黄昏は葵を呼び止め、その耳元で小さくささやいた。
「――――」
「……そう、ありがと。参考にさせてもらうね」
「へますんなよ」
「君こそ」
サブアリーナへと向かう背中を見送った黄昏は、改めて神崎と対峙する。
「一応、改めて自己紹介するか?」
「必要ない。さっさと始めるぞ」
「ああそうかい。なら、今度こそてめぇのレアカードをいただくぜ!」
「「――デュエル!!」」
【黄昏】VS【神崎】
★
黄昏たちのデュエル開始の合図を背に受けながらサブアリーナへと移動した葵は、篠村と向かい合わせに立つ。
「準備はいいか?」
「…………」
「おい、いいの……か?」
すでに手札を持った篠村に対して、葵は俯いたまま手札は愚かデッキすらデュエルディスクから外していた。
痺れを切らした篠村が近づこうと一歩踏み出したところ、目の前の少女のただならぬ雰囲気に動きが止まった。
「な、なんだよ。なんか企んでんのか!?」
齢16際程度の少女が放っていい威圧感ではなく篠村は踏み出した一歩を引いてさらに数歩後ろに下がる。
それから約10秒程度、一人の少女によって支配された張り詰めた空気がゆっくりと緩まった。そして葵は
「あ、ごめん。待たせたね」
「お、おう……」
別に何をされたわけでもないのに冷や汗をかいていた篠村は、表情を引きつらせて曖昧な返答を返す。
その傍ら、葵はデュエルディスクにデッキをセットし、オートシャッフルが終わった後5枚のカードをドローする。
「じゃあ、始めよっか。先行は譲るよ」
「な、ならいくぞ……」
「「――デュエル!!」」
【篠村】VS【葵】
「いくぞ、オレのタァーン!」
【篠村】
手札:5→6
「オレは《黒竜の雛》を攻撃表示!」
《黒竜の雛》
☆1・闇属性。ドラゴン族
ATK:800
現れたのは卵から孵化したばかりの黒い竜。名前からして何のモンスターの雛なのかは想像するに容易い。そして、それが何を意味するのかも……
「かわいいモンスターだね」
「見た目で判断すると痛い目見るぜ!オレは《黒竜の雛》の効果を発動!
このカードを墓地へ送り、このモンスターの成長した姿を手札から特殊召喚する!
現れろ《真紅眼の黒竜》!」
《真紅眼の黒竜》
☆7・闇属性・ドラゴン族
ATK:2400
雛は光に包まれると瞬く間に成長し、紅の眼を光らせる黒竜へと姿を変える。その雄叫びがサブアリーナ内に轟くと、それに合わせて篠村はすでに勝利したかのように笑い出した。
「どうだ!世界に数枚しかない激レアのレッドアイズだ!
まさかオレが持ってるとは思わなかっただろ!」
「コピーした紛い物の間違いじゃないの?」
希少価値の高いレアカードは、それだけで相手の動揺を誘うことが出来る。黄昏の《スクラップ・ヘルサーペント》がいい例だ。人は予測をしながら生活をする生き物であり、その予測が外れると人は相手に主導権をもっていかれる。
すなわち、このようなごろつきが持ってるとは思わない《真紅眼の黒竜》が召喚されたら相手の意表をつき、それに順応する前にデュエルの決着をつけるのが篠村の目論見だった。
しかし、葵は動揺するどころかそのカードの正体まで気づいていた。
「い、いつから気づいていた?」
「さっきのデュエルからだよ。たしか、『グールズ』だっけ?他人のレアカードを強奪するデュエルギャングだよね。
それにあなたのデッキテーマ性が強過ぎなんだよ。だから気づかれて予想をたてられた」
そしてこれも一つの心理戦。葵が彼のエースモンスターを《真紅眼の黒竜》だと知ったのはついさっき、黄昏にこっそり知らされたときだ。もちろん相手が『グールズ』なんてことすら知らなかった。しかし、それを言えば相手は少しだけ冷静さを取り戻してしまう。
お前の手の内はお見通しだ、ということを相手に思い込ませるにはこれぐらいのはったりはデュエルでは当たり前なのだ。
(まあ、“私が”とは言ってないし、嘘は言ってないんだけどね)
「ちっ、これだから察しのいいガキは嫌いなんだ」
「残念だったね。最初のターンは攻撃できないからこのままターンエンド?」
バカ言うな、と篠村は手札のカードを一枚掴む。
「1ターン目にダメージがないと思ったら大間違いだ!オレは通常魔法《黒炎弾》発動!
自分フィールドの《真紅眼の黒竜》1体を選択し、その元々の攻撃力分のダメージを与える!」
「く……っ!?」
攻撃は来ないと踏んでいた葵だったが、《真紅眼の黒竜》の攻撃名でもあるその魔法により《真紅眼の黒竜》の火球が放たれたのは予想外でとっさに顔を覆う。
【葵】
ライフ:4000→1600
「《黒炎弾》を使ったターンは《真紅眼の黒竜》は攻撃できないが、そもそも1ターン目は攻撃できない。オレはこのままターンエンドだ」
| 【篠村】 3/4000 --○-- ----- | 【葵】 5/1600 ----- ----- |
いきなり半分以上のライフを削られた葵は、されど慌てないよう深呼吸をしながらカードをドローする。
【葵】
手札:5→6
「ねぇ」
「あん?」
「あなたたちはさっきのライディングデュエル、元々私のデッキ目当てだったんだよね?」
「そうだが?」
「それって、あの程度のデッキで私に勝てると思ってたってこと?」
なんだそういうことか、と篠村は鼻で笑う。
「当たり前だ。そもそも、今使っているデッキは俺たちの身元がバレないようにここぞという時しか使わねえんだよ。お前に接触する前にお前がどういうプレイングをするのか分かりきってる。
まあ、オレが《真紅眼の黒竜》を持ってることを知ってるのは想定外だったが、それはただ状況が同じになっただけだ」
「ずいぶん熱心なんだね」
「いいからさっさと進めろ。話で時間延ばしてセキュリティ待ってるのか? 残念だがセキュリティが来てもオレたちの部下の相手で手一杯だろうよ」
「それもそうだね。さっさと終わらそうか」
そう言って手札から一枚のカードをデュエルディスクにセットする。そのカードの発動をする前に、葵は思い出したように篠村に言葉を投げかける。
「ここからは、アイドルデュエリストじゃなくて、本気の『七波葵』を見せてあげる! 私は手札から魔法カード発動──!」
「な、そのカードは……!?」
直後、篠村は直感する。デュエル開始前の絶叫、篠村のエースカードの指摘。その全てが計算されていたとは言えないが、はっきりとわかっていることが一つだけあった。
(オレは最初から、コイツの手の上で遊ばれていたのか……っ!?)
流れを掴むこともできず、対策をとる暇すら与えず、篠村の知らない七波葵の姿が牙をむく。
★
そして場所は戻り黄昏たちのデュエルはたった今1ターン目の神崎のターンが終わったところだった。
神崎のフィールドの上空には四つの円で構成された魔法陣がのその一角が一段と明るく光を放っており、さらにデュエリストの中では知らないものはいないほどの知名度を持つカード《強欲な壺》の欠片が、フィールドで異彩を放っており、セットモンスターとセットカードも一枚ずつ存在している。
| 【神埼】 2/4000 --▲-- -□□■- | 【黄昏】 5/4000 ----- ----- |
手札をほとんど消費して展開された神崎のフィールドの状況を、黄昏は口に出して確認し始めた。
「……《魔法族の結界》は、そのカードと自分フィールドの魔法使い族をリリースすることで、最大4つまで乗せることが出来る魔力カウンター分ドローする永続魔法。
そこに《魔力掌握》を使ってさっそくカウンターを溜めつつデッキから同名カードをサーチ。
そして《強欲なカケラ》は通常ドローするごとにカウンターを乗せて、2つ乗った時点でリリースすることでデッキから2枚ドローできる永続魔法。
そのセットモンスターとリバースカードも予想はつくが、ずいぶんと念入りな布陣だな。
さっきのデュエルで怖気づいたか?」
挑発気味に尋ねた黄昏に、神崎はバツが悪そうに眉をひそめる。
「ふん、さっきのは向こうのガキのデッキを盗むだけなら十分なデッキだった。てめぇみたいな手練れを相手にするとは思わなかっただけだ」
「つまり本気じゃなかったってことか。負け惜しみにならなければいいな」
言葉による心理戦が繰り広げられるなか、黄昏は静かにデッキからカードをドローする。
【黄昏】
手札:5→6
「じゃあ、まずはその手札にあるだろう切り札を捨ててもらうぞ!俺は手札から通常魔法《手札抹殺》を発動!
お互い手札を全て捨てて捨てた枚数だけドローする」
【黄昏】
手札:5→0→5
【神崎】
手札:2→0→2
手札交換を行った黄昏は、ドローしたカードの確認より先に相手の墓地をデュエルディスクの機能で確認する。そして予想通り墓地に二枚目の《魔力掌握》はない。先程セットされたカードは《魔力掌握》で間違いないだろう。
けど、と黄昏はディスプレイに列挙された相手の墓地のカードの内の一枚に目を通した直後、してやったりといった表情を浮かべる。
「墓地に送られたのは《執念深き老魔導師》ともう1枚のモンスター。やっぱり手札に握っていたか、《ブラック・マジシャン》のカードを!」
その名前を口にした途端、人質となっている生徒たちからどよめきが起こる。
「やっぱり、ってことは俺がどんなデッキを使うのかわかっていたのか」
「《ビックシールドガードナー》、《ギルファーデーモン》、《暗黒騎士ガイア》、《カースオブドラゴン》、《竜騎士ガイア》、そして《クリボー》――――」
淡々と挙げられていくカードの名前は、先ほどのデュエルで神崎が使ってたモンスターたちであり、同時に“ある人物”の使っていたカード軍でもある。
「『武藤遊戯』、デュエリストじゃなくても知ってる伝説のデュエリストの使っていたカードだ。ここまで露骨なリスペクトデッキを使っていたから、もしかしたらと思ったらその布陣だ。
可能性は十分あるだろ。
まあ、どうせコピーカードなんだろうけどな」
確認するまで半信半疑だったけどな、と続ける黄昏の考察に拍手が響く。
その主は、今現在相対している神崎だった。
「これは驚いた!まさかそこまで気づいていたとはな。やっぱりお前は他の雑魚とは違うみたいだ」
「そいつはどうも。ってことは向こうはレッドアイズデッキか。一応七波に忠告しておいてよかったな……
俺は《スクラップ・ハンター》を召喚」
現れたのは、両手が武器で足がキャタピラになっている小さなモンスター。攻撃力は下級アタッカーとしては少し不安が残る数値だが、黄昏の中ではこれでも大丈夫と判断したらしい。
《スクラップ・ハンター》
☆3・地属性・戦士族
ATK:1600
「《スクラップ・ハンター》でそのセットモンスターを攻撃する」
《スクラップ・ハンター》がそのチェーンソーでセットモンスターを攻撃すると紫の装飾を纏った魔導師が真っ二つに切り裂かれた。
その直後、神崎のフィールド上空に浮かぶ魔法陣に新たに光が灯る。
「伏せモンスターは《見習い魔術師》だ。
魔法使い族が破壊されたことで、《魔法族の結界》に魔力カウンターが一つ乗り、さらに《見習い魔術師》が戦闘破壊された場合デッキからレベル2以下の魔法使い族を一体フィールドにセットできる」
《魔法族の結界》
魔力カウンター:1→2
《見習い魔術師》
☆2・闇属性・魔法使い族
DEF:800
フィールド→墓地
「やっぱりセットモンスターは《見習い魔術師》か。となると、そのセットモンスターも同名カードか?」
「それはどうかな?」
「そりゃ言わないか。別に次のターンでわかるからいいけどな。カードを2枚セットしてターンエンドだ」
| 【神埼】 2/4000 ---▲- -□□■- | 【黄昏】 3/4000 --○-- --■■- |
「俺のターン!
この瞬間、《強欲なカケラ》の効果、このカードに《強欲カウンター》を一つ乗せる」
【神崎】
手札:2→3
《強欲なカケラ》
強欲カウンター:0→1
ドローにより加えたカードを見た神崎は、セットしていたモンスターに手を伸ばす
「俺は伏せていた《マジカル・アンダーテイカ―》を反転召喚!
そのリバース効果により、墓地のレベル4以下の魔法使い族を特殊召喚する。
《見習い魔術師》を蘇生し、さらに見習い魔術師は召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、自分フィールド上の魔力カウンターが乗せられるカード、《魔法族の結界》に魔力カウンターを一つ乗せる」
《マジカル・アンダーテイカー》の描いた魔法陣により《見習い魔術師》が蘇り、さらに《見習い魔術師》が右手に握る杖を振るうと、上空に浮かぶ魔法陣が新たな光を得る。
《マジカル・アンダーテイカ―》
セット→ATK:400
《見習い魔術師》
墓地→フィールド
《魔法族の結界》
魔力カウンター:2→3
「そしてこれで魔力カウンターは全部だ!俺は伏せていた《魔力掌握》を発動!
《魔法族の結界》に魔力カウンターを置いてデッキから《魔力掌握》をサーチする!」
《魔法族の結界》
魔力カウンター:3→4
【神崎】
手札:3→4
「魔力カウンターが4つ貯まった。ということは……」
「当然《魔法族の結界》の効果を発動する!
《見習い魔術師》とこのカードを墓地へ送り、カードを4枚ドローだ!」
先ほど4つすべての円が輝きだした魔法陣は、一段と輝きを増したかと思うと、《見習い魔術師》と共にその光は収束。その光は神崎のデッキに吸収され、鈍く光るカードを上から4枚ドローする。
《魔法族の結界》
フィールド→墓地
《見習い魔術師》
フィールド→墓地
【神崎】
手札:4→8
大量ドローを成功させた神崎は、まるで勝利を確信したかのように手札からモンスターをフィールドへ召喚する。
「まずは手札の《ジェスター・コンフィ》の効果だ! こいつは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる!」
玉乗りをしながらフィールドに現れた小さなピエロはまるで敵をあざ笑うかのように手をたたいており、そのモンスターの主である神崎も神崎は煽るように黄昏へ語りかける。
「てめぇは《ブラック・マジシャン》を墓地に送れて安心してんだろうが、《ブラック・マジシャン》がコピーカードだって言ったのはてめぇ本人だよなぁ?」
「まさか……」
「そのまさかだ!2体のモンスターをリリースして、現れろ《ブラックマジシャン》!」
《マジカル・アンダーテイカー》
フィールド→墓地
《ジェスター・コンフィ》
フィールド→墓地
《ブラック・マジシャン》
☆7・闇属性・魔法使い族
ATK:2500
怪訝そうに眉をひそめた黄昏の目の前で、《マジカルアンダーテイカー》と《ジェスター・コンフィ》を生贄に黒の装束を身にまとった魔術師がその姿を現した。
実際にその姿を見たことがあるわけではない、武藤遊戯その人が相棒として数々の困難を乗り越えてきたと言われているカードだ。
「できれば、こんなところで拝みたくはなかったな」
「軽口を言っていられるのも今の内だ。手札から《黒・魔・導》を発動!自分フィールドに《ブラック・マジシャン》がいるとき、相手の魔法・罠カードを全て破壊する。
その伏せた2枚のカードを破壊だ!」
《ブラック・マジシャン》の攻撃名でもある放つ黒い波動が黄昏のセットしていたカードを2枚とも焼き払った。
普通なら動揺を隠さずにはいられない状況だが、黄昏はむしろしてやったりといった表情で“破壊されたセットカードを発動する”。
「俺は破壊された《リ・バウンド》と《呪われた棺》の効果を発動!
《リ・バウンド》によりカードを1枚ドロー。さらに《呪われた棺》はフィールドのモンスターを破壊するか、手札をランダムで1枚捨てるかを相手に選択させるカードだ。
さあ、どっちか選べ!」
「なん……!?どっちも破壊をトリガーにするカードだと!?」
「さあ、フィールドの《ブラック・マジシャン》か手札のカード1枚。どっちをお前は犠牲にする?」
有利な状況から一気に形成を逆転されたような状態になり、神崎は《呪われた棺》の効果を再確認して歯噛みする。
《呪われた棺》の効果がどのカードに及ぶのか決定するのは効果解決時。つまり囮役を事前に選択してサクリファイス・エスケープ等で逃げる、といった芸当ができないのだ。
「どっちを選択するかは決まったか?」
「ああ、俺は手札を捨てる効果を選ぶ!」
「なら効果処理に――」
「待ちな。俺はそれにさらにチェーンを組む。速攻魔法《ディメンション・マジック》!
自分フィールドに魔法使い族がいるとき、自分フィールドのモンスターをリリースして手札から魔法使い族を特殊召喚する。
《ブラック・マジシャン》をリリースして俺が特殊召喚するのは《ブラック・マジシャンガール》だ!さらに、追加効果でお前の《スクラップ・ハンター》を破壊する!
わかってると思うが、《ブラック・マジシャンガール》の攻撃力は墓地の《ブラック・マジシャン》の数×300アップする。墓地にはさっき手札から捨てられた《ブラック・マジシャン》を含めて2枚。よって《ブラック・マジシャンガール》の攻撃力は2600だ!」
《ブラック・マジシャン》
フィールド→墓地
《ブラック・マジシャンガール》
☆6・闇属性・魔法使い族
ATK:2000→2600
手札→フィールド
《スクラップ・ハンター》
フィールド→墓地
《ブラック・マジシャン》の足元に魔法陣が現れたかと思うと、《ブラック・マジシャン》の弟子である魔導師《ブラック・マジシャンガール》がその姿を現し、さらにその魔法陣の力を借りた《ブラック・マジシャンガール》が放った攻撃で黄昏の《スクラップ・ハンター》が破壊された。
「《サーチャー》がいないときに《スクラップ・ハンター》が破壊されたのは痛いが仕方ないか。それに次は《呪われた棺》の効果処理だ」
デュエルディスクに搭載されたランダム選択により、神崎の手札の1枚に光が照射される。
そのカードに神崎は苦い顔をしながらその手札を墓地へ送る。
「墓地に送られたのは……《バウンド・ワンド》か。
たしか、魔法使い族のみの装備可能で、装備モンスターのレベル×100ポイント攻撃力が上昇するカードだったな。
それを装備したレベル7の《ブラック・マジシャン》は攻撃力3200。それで《ハンター》を攻撃して1600ダメージ。その後《ディメンション・マジック》で《ブラック・マジシャンガール》を特殊召喚して2600のダイレクトアタックをすれば俺のライフは0だった。
残念だったな。ワンターンキルが出来なくて」
「ちっ、さっきのデュエルでも思ったが、てめぇホント絡め手が多いな」
「俺の戦い方だ。お前にとやかく言われる筋合いはねえよ。《呪われた棺》の効果処理が終わったなら《リ・バウンド》の効果でドローする」
【神崎】
手札:3→2
【黄昏】
手札:3→4
「せめてダメージだけは与えてやるよ!《ブラック・マジシャンガール》でダイレクトアタック。 [ブラック・バーニング]!」
「つっ!?」
《ディメンション・マジック》による破壊のときは波動のようなものを放ってきたが、今度は自身が握る杖に拳大の火球を生成、それを放ってきた。
【黄昏】
ライフ:4000→1400
ダメージを与えられたことでライフが大きく削られたが、黄昏はそれとは別の部分に驚いていた。
「その《ブラック・マジシャンガール》、まさか本物か?」
「……ああ、こいつは俺が昔から持ってるカードだ。だが、なんでわかった?」
「さあ、なんでだろうな?」
言う気はないか、とはぐらかす黄昏に対して小さく舌打ちした神崎はそれ以上は追及せず、カードを1枚セットしてターンを終了した。
DMのパンドラ戦はBMG初出回なのもありますが、魔法・罠合戦が好きなのであのデュエルは僕の中でお気に入りの1試合です