遊☆戯☆王 Xeno-N   作:駄蛇

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まやかしの戯れ

 四方を炎の壁に囲まれ逃げ場など存在しないデスゲーム。されど両者はそんなことを気にした様子もなく、当然勝つのは自分だとお互いに信じて疑わずデュエルを進行していく。

 

【ニュート】

0/4000

-----  

■■■■-

【黄昏】

0/4000

--○-- ●

-■□■-

 

「俺のターン、ドロー。この瞬間、《破滅へのクイック・ドロー》の効果発動。

 手札0で通常ドローをした場合、さらに1枚カードをドローする」

 

【黄昏】

手札:0→1→2

 

「そしてモンスターとカードをそれぞれセットしてターンエンド。そのエンドフェイズ時、《破滅へのクイック・ドロー》の維持コストとしてライフを700払う」

 新たに加わったカードに目を通した黄昏はこのターンも動かない。準備を整えるとともに次の自分のターンも《破滅へのクイック・ドロー》を利用するために手札をすべて使い切るのみ。

 

【黄昏】

ライフ:4000→3300

 

【ニュート】

0/4000

-----  

■■■■-

【黄昏】

0/3300

-▲○-- ●

■■□■-

 

「僕のターン、ドロー。こちらも手札0ですので、《破滅へのクイック・ドロー》の効果を利用させてもらいます」

 

【ニュート】

手札:0→1→2

 

 作業にも似たデュエルが続く中、デッキからカードを引いたニュートはその手札を確認してわずかに眉が動いた。

 普通であれば気づかないほどの小さな変化。しかし黄昏であれば……似たもの同士の彼らであればその程度の変化でも十分すぎた。

「……来るか?」

「ええ、いいカードを引きましたので。

 ですが、まずは《ピラミッド・タートル》を通常召喚しますので。

 

《ピラミッド・タートル》

☆3・地属性・アンデット族

ATK:1200

 

 数ターンの間モンスター不在であったニュートが満を持して召喚したのは文字通りピラミッドを背負った亀。しかしその攻撃力はアタッカーには届かず、対峙する双頭の獣には太刀打ちできない。

「バトルですので! 《ピラミッド・タートル》で《スクラップ・オルトロス》へ攻撃!」

「攻撃力は《スクラップ・オルトロス》の方が上。ってことは」

「リクルート前提の自爆特攻ですので!」

 四肢と頭を収納して突進する《ピラミッド・タートル》だが、双頭の獣はその甲羅を容赦なく噛み砕く。

 それは戦術としては定番である能動的なリクルート効果の起動方法ではあれど、これは闇のデュエルだ。自爆特攻による衝撃は現実の痛みとなり、攻撃を指示したニュートへと襲いかかる。

 

【ニュート】

ライフ:4000→3500

《ピラミッド・タートル》

フィールド→墓地

 

「くっ……! ですが、戦闘破壊され墓地へ送られた《ピラミッド・タートル》の効果。デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚できます!

 《麗の魔妖-妲姫》をリクルートしますので!」

 

《麗の魔妖-妲姫》

☆1・炎属性・アンデット族

ATK:1000

 

 主の命令に従い玉砕した《ピラミッド・タートル》だがその屍は新たなアンデットモンスターを呼ぶための礎となる。

 新たに現れたモンスターは鏡を抱えた巫女装束の女性。その背後には半透明な尻尾が9つ、ゆらゆらとうごめいている。

「こいつが魔妖(まやかし)か。なんというか、あんたにぴったりなモンスターだな」

「挑発には乗りませんので。

 メインフェイズ2へ移行し、セットしていた《魔妖廻天》を発動しますので! その効果により、デッキから同名カード以外の魔妖カードを手札へ加えるか墓地へ送ります。

 僕は《氷の魔妖-雪娘》をサーチしますので」

 

【ニュート】

手札:1→2

 

 カードの発動とともにニュートの周囲にゆらゆらと陽炎のようなものが漂い始める。それが世間一般で言われる『人魂』だと認識出来たときには、辺りは夜へと変化していた。

 放課後の時間帯とはいえまだ空が茜色に染まり始めたばかりだ。完全に夜にはまだ早すぎる。

 一瞬、黄昏の脳裏に先日射手座の星の守護者(セイクリッド)が使用したフィールド魔法が浮かんだが、それと比べるとかなり『軽い』。それこそ、『まやかし』と表現するのが適切と言うべきだろう。

 警戒は怠らず、されど必要以上に身構えることはなく、黄昏はただじっと相手の処理を見守る。

「《氷の魔妖-雪娘》は、フィールドに同名カード以外の魔妖カードがある場合、手札か墓地から特殊召喚できますので!

 フィールドにはさきほどリクルートした《妲己》がいますので《雪娘》を手札から特殊召喚!」

 

《氷の魔妖-雪娘》

☆1・水属性・アンデット族

DEF:1900

 

 まるで遊んでいるかのように《妲己》の背中からひょっこりと顔を覗かせたのは、蒼い着物に身を包んだ小さな少女。

 仲間がいれば手札はおろか墓地からも現れるその効果からして、おそらくこのカードが《魔妖》というカードの起点となるのだろう。

「まだ《氷の魔妖-雪娘》の効果は終わっていませんので。特殊召喚に成功後、《氷の魔妖-雪娘》の効果でデッキからアンデット族モンスターを1体墓地へ送ります。

 僕はデッキから《精気を吸う骨の塔》を墓地へ送りますので」

「《精気を吸う骨の塔》か。確か、アンデット族が特殊召喚するたびに相手のデッキトップを2枚墓地へ送るモンスターだったか。なるほど、今回の戦術はデッキ破壊か」

 一度に墓地へ送る枚数は微々たるものだが、特殊召喚……特に蘇生手段の豊富なアンデット族であれば専用の構築にすれば十分に相手のデッキを削ることができる。が、今回は相手が悪かったと言うべきかもしれない。

 今日日、『墓地は第二の手札』と言われて久しい環境では中途半端なデッキ破壊は相手のカードプールを潤すことになりかねない。加えてデッキ破壊をしようとしている相手は墓地活用が十八番と言っても過言ではないデュエリスト。

「リリアが相手なら話は変わったかもしれねーな」

「そんなことは僕自身がよくわかってますので。当然対策も!

 手札から《生者の書-禁断の呪術-》を発動。自分墓地のアンデット族と、相手墓地のモンスターをそれぞれ選択し、アンデット族を特殊召喚しつつ相手墓地のモンスターを除外!

 蘇生するのは当然《精気を吸う骨の塔》、除外するのは《スクラップ・ゴブリン》ですので!」

「……へぇ」

 フィールドに蘇ったのは屍で構築された、天まで届くかと錯覚する巨大な塔。黄昏の相棒でありデッキを回す起点となりうるカードを除外しつつ自分はキーカードを蘇生。その手腕は敵ながら天晴というべきかもしれない。

 あとは大量蘇生の準備さえ整えば、その屍の塔は亡者の力を借りて黄昏のデッキを蝕んでいく。

「つっても、ここまで念入りに準備してんだ。どうせもう動けるんだろ?」

「ええ、()()()レベル2のチューナー《妲己》でレベル1の《雪娘》をチューニング。幽世の焔交わりて、大地に刻みしは争いの足跡(そくせき)。シンクロ召喚。不滅の輪廻《轍の魔妖-朧車》」

 

《麗の魔妖-妲姫》《氷の魔妖-雪娘》

フィールド→墓地

《轍の魔妖-朧車》

☆3・地属性・アンデット族

DEF:2100

 

 牛車に顔がついた付喪神のようなモンスター。どんな効果を持っているのか想像もつかないが、まずはその傍らにそびえ立つ骸の塔が力を発揮する。

「アンデット族が特殊召喚に成功したため、《精気を吸う骨の塔》の効果を発動。あなたのデッキトップを2枚墓地へ送りますので![亡者の誘い]」

 さらに、とニュートが続けるとそれに呼応して墓地への門が開かれる。

「墓地の《麗の魔妖-妲姫》の効果を発動しますので。

 このカードが墓地に存在し、EXデッキから魔妖モンスターが特殊召喚に成功した時、墓地のこのカードを特殊召喚出来ます!

 それにより再びアンデット族の特殊召喚に成功したため、さらに《精気を吸う骨の塔》の効果であなたのデッキトップを2枚墓地へ送りますので![亡者の誘い]」

 デッキ破壊をしつつ再び場に並ぶチューナーと非チューナーの組み合わせ。ならば次に来るのは……

「レベル2のチューナー《妲己》とレベル3の《朧車》をチューニング。幽世の焔交わりて、雄叫び上げしは反目の領主。シンクロ召喚。浸蝕の病魔《毒の魔妖-土蜘蛛》」

 

《毒の魔妖-土蜘蛛》

☆5・地属性・アンデット族

ATK:2000

 

 蜘蛛と鎧武者が融合したかのような新たな姿へと進化するモンスター。さらに、アンデット族が特殊召喚されたことで《精気を吸う骨の塔》の効果によって黄昏のデッキトップから2枚カードが墓地へ送られる。

「だがこれで打ち止め──」

「誰も《妲己》の蘇生効果が1ターンに1度とは言ってませんので! 《妲己》の蘇生効果を発動したターンは魔妖モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない制約はありますが、このコンボを発動するだけであればその制約はあって無いも同然!

 よって《妲己》を蘇生。さらに《精気を吸う骨の塔》の効果でさらにデッキトップから2枚墓地へ送ってもらいますので![亡者の誘い]」

「っ!?」

 再三現れる巫女装束のモンスターと、それに伴うデッキ破壊効果。すでにここまでで黄昏のデッキは8枚削られている。さらに《妲己》の蘇生効果に制限がないとなれば、チューナーと非チューナーが揃っている今の状況は非常に不味い。

「想像している通り、まだ展開は続きますので!

 レベル2のチューナー《妲己》でレベル5の《土蜘蛛》をチューニング。幽世の焔交わりて、生まれ変わりしは傲慢な強者。シンクロ召喚。狡猾の怪異《翼の魔妖-天狗》!

 さらに墓地の《妲己》を蘇生、計2体のアンデット族が特殊召喚されたことで《精気を吸う骨の塔》の効果でデッキトップを4枚墓地へ送ってもらいますので![亡者の誘い]

 さらに──」

「おっと、その前に《絶対王 バックジャック》が墓地へ送られたから効果を発動させてもらうぞ。

 デッキトップ3枚を任意の順番に変更させてもらう」

「いくらデッキトップを操作しようとそのカードはすべて墓地へ送られますので!」

「だから続けて墓地の《絶対王 バックジャック》を除外してその効果を発動だ!

 デッキトップは罠カードの《バックドア》。よって俺のフィールドにセットさせてもらう」

「デッキトップを操作した割には役に立たないカードですので。

 もう何もないなら続けます。レベル2のチューナー《妲己》でレベル7の《天狗》をチューニング。幽世の焔交わりて、輿入れしは傾国の美女。シンクロ召喚。破滅の妖婦《麗の魔妖-妖狐》!! それに伴い《妲己》の蘇生と《精気を吸う骨の塔》の効果も発動!」

 

《麗の魔妖-妖狐》

☆9・炎族・アンデット族

ATK:2900

 

 みるみるうちにニュートのフィールドに現れるモンスターが変化していき、その都度《妲己》の蘇生及び《精気を吸う骨の塔》のデッキ破壊が行われる。

 これでこのターンだけで計16枚、《バックジャック》の効果でセットしたカードも含めれば17枚のカードがデッキから削られてしまった。

 デュエル開始時にドローしている手札の数も含めると、実にデッキの半分以上がこのターンでなくなってしまったと言える。

 加えて、ただモンスターを展開するだけでなくニュートのフィールドに佇むのは攻撃力2900の最上級モンスター。《精気を吸う骨の塔》は自分フィールドに他のアンデット族モンスターが存在する限り攻撃対象に選ばれないため、デッキ破壊を止めるには《妖狐》を撃破する必要がある。

 倒せないわけではないが、そう簡単に対処できるわけでもなかった。

 それに《精気を吸う骨の塔》と《魔妖》の相性は非常に良い。下手すると次のターンにはデッキが尽きているかもしれないと考えた直後、ニュートの墓地に送られていた1枚の永続魔法のことを思い出した。

 それを見せつけるように、中性的な容姿の少年は笑みを浮かべて墓地へと手をのばす。

「墓地の《魔妖壊劫》の効果を発動しますので! 墓地のこのカード及び他のアンデット族モンスター1体を除外することで、墓地の魔妖モンスター1体を特殊召喚できます。

  《魔妖壊劫》と《ピラミッド・タートル》を除外して、《土蜘蛛》を蘇生しますので!」

 

《魔妖壊劫》《ピラミッド・タートル》

墓地→除外

《土蜘蛛》

墓地→フィールド

 

 改めてフィールドに這い上がってきた蜘蛛の妖怪だが、ステータスだけを見れば天狗を蘇生するほうが有効。仮に起動効果を発動したいのであれば、さきほどシンクロ素材にする前に使用していればよかっただろう。

 そのどちらでもないならば、考えられるのは一つ。

「魔妖モンスターは蘇生時に効果を発動するカテゴリか」

「そのとおりですので。《土蜘蛛》は墓地から特殊召喚に成功した場合、お互いのデッキトップからカードを3枚墓地へ送ります。

 《精気を吸う骨の塔》の効果も加え、僕は3枚、あなたは5枚デッキトップを墓地へ送ってもらいますので」

 これで黄昏は計22枚のカードがデッキ破壊されたことになる。墓地が肥えたことには間違いないが、次のターンにでも動かなければニュートのライフを削り切る前にデッキ切れになるのは目に見えていた。

 ここまで散々煽られていた鬱憤が溜まっていたのか、相手を見下した様子で少年は笑った。

「ふっ、僕はこれでターンエンドですので」

 

【ニュート】

1/3500

-△○△-  

■-■--

【黄昏】

0/3300

-▲○-- ●

■■□■■

 

「俺のターン、《破滅へのクイック・ドロー》の効果で合計2枚をドロー」

 

【黄昏】

手札:0→1→2

 

「そしてスタンバイフェイズ、墓地の《キラースネーク》の効果を発動。

 墓地のこのカードを手札に加える。ただし、この効果を使用した次の相手のエンドフェイズ時、墓地に同名カードがあれば1枚除外しなければならない」

 

【黄昏】

手札:2→3

 

「《キラースネーク》? 爬虫類族なのはまだしも、なぜ水属性のモンスターを?」

「そもそも俺は七波みたいに属性統一をする構築はしてないからな。リリアほどごちゃまぜではないけど。

 それに前から闇属性の《絶対王バックジャック》だって入ってんだ。手札コスト要因で《キラースネーク》が入っててもおかしくはないだろう?」

 ニュートが感じた違和感を、黄昏がつまらなそうに至極真っ当な理由で片付ける。

 手札を一気に3枚増やした黄昏はメインフェイズへ移行し、現状を改めて観察する。

 フィールドには2枚の伏せカードと2体のモンスター。そして、ニュートの手には1枚の手札が握られている。

 2ターン前は《破滅へのクイック・ドロー》の効果を利用するために手札を0にしたというのに、今回は1枚残したままだ。

 通常召喚権を使用したから処理しきれなかったのか、もしくは手札誘発のカードなのか、考えられる可能性は無数にあるがそのすべてに対応するため、黄昏は己のカードから最適な手を切る。

「リバースカード発動《スクラップ・スコール》。自分フィールドのスクラップモンスターを対象に、まずデッキからスクラップモンスターを墓地へ送った後1枚ドロー。最後に対象にしたスクラップモンスターを破壊する。

 俺は《スクラップ・オルトロス》を対象に、《スクラップ・キマイラ》を墓地へ送り、1枚ドローしてから《オルトロス》を破壊」

 

【黄昏】

手札:3→4

《スクラップ・オルトロス》

フィールド→墓地

 

「さらにスクラップカードで破壊された《スクラップ・オルトロス》が墓地へ送られたことで、こいつと《スクラップ・サーチャー》2体、そして墓地の罠カード《誘爆》の効果をこの順番でチェーンを組んで発動!」

「3枚積みだとしても先のデッキ破壊で《サーチャー》が2枚も落ちるとは、運がいいようですので。ただ……《誘爆》、ですか」

「まずは《誘爆》の処理からだ。こいつは俺のモンスターが魔法カードの効果で破壊された時、墓地から除外することで相手フィールドのカード1枚を破壊できる。

 《オルトロス》を破壊した《スクラップ・スコール》は魔法カード。よって墓地の《誘爆》を除外してあんたが1ターン目にセットしたカードを破壊させもらう!」

 いつものスクラップの展開に追加で発動したカードの効果により、破壊された《スクラップ・オルトロス》の爆風は新たな爆発を呼び、ニュートのセットカードを1枚破壊した。

「破壊されたのは、《ディメンション・ウォール》か。たしか戦闘ダメージを相手に肩代わりさせるカードだったな。

 1ターン目に攻撃してれば逆に俺が大ダメージだったわけだ」

「ですが、このカードを破壊するために《精気を吸う骨の塔》や《妖狐》を破壊するチャンスを失いましたので。墓地には《タスケルトン》がいることもお忘れなく」

「誰が忘れるかよ。それに逆だ。もう一枚のセットカードが残ってるが、これでようやくあんたのフィールドを一掃する準備が整ったんだ。

 その前に残る《オルトロス》と《サーチャー》の効果処理を行うぞ。まずは《サーチャー》2体を自身の効果で蘇生し、最後に《オルトロス》の効果で墓地のスクラップモンスターである《スクラップ・キマイラ》をサルベージ」

 

《スクラップ・サーチャー》×2

墓地→フィールド

【黄昏】

手札:3→4→5

 

「続いて俺は《スクラップ・ラプター》を通常召喚」

 

《スクラップ・ラプター》

☆4・地属性・恐竜族

ATK:1400

 

 フィールドに呼び出したのは先程サルベージした《スクラップ・キマイラ》ではなく、残骸で構成された小型恐竜型のモンスター。甲高い声で威嚇するもその攻撃力は守備表示の《精気を吸う骨の塔》の数値すら下回る。

「当然このまま攻撃するわけじゃない。俺はセットしてあった《スクラップ・ワーム》を反転召喚」

 

《スクラップ・ワーム》

☆2・地属性・昆虫族

セット→ATK:500

 

「どちらもチューナー。一体何をするつもりなので?」

「《ラプター》の効果を発動するんだよ。このモンスターは自分モンスターを破壊することで、スクラップモンスター限定で通常召喚権を1つ増やすことができる。

 俺は《ワーム》を破壊することでその効果を発動![スクラップ・アンド・ビルド]

 そしてこの破壊はスクラップカードによる破壊。破壊された《ワーム》の効果も発動できるから墓地の《スクラップ・オルトロス》をサルベージする!」

 

《スクラップ・ワーム》

フィールド→墓地

【黄昏】

手札:4→5

 

「これでお膳立ては終わった。俺は《ラプター》で増やした通常召喚権で《スクラップ・キマイラ》を通常召喚。

 当然その効果は知ってるよな? こいつが通常召喚に成功した時、墓地の《スクラップ》チューナーを1体特殊召喚できる。

 《スクラップ・ソルジャー》を蘇生だ。[リバイバル・ハウリング]」

 

《スクラップ・キマイラ》

☆4・地属性・獣族

ATK:1700

《スクラップ・ソルジャー》

☆5・地属性・戦士族

ATK:2100

 

 《キマイラ》の雄叫びとともに残骸が戦士の形に構成されて動き始める。黄昏のフィールドがスクラップモンスターで埋め尽くされる光景は、まだ優位な立場にいるはずのニュートでも表情を強ばらせてしまう圧があった。

「まずは墓地の《タスケルトン》をどうにかしねーとな。

 俺はレベル4の《スクラップ・キマイラ》とレベル1の《スクラップ・サーチャー》をレベル5の《スクラップ・ソルジャー》でチューニング。異なる体が集結し、ここに輪廻の竜が顕現する。シンクロ召喚、輪転せよ《アトミック・スクラップ・ドラゴン》!」

 

《アトミック・スクラップ・ドラゴン》

☆10・地属性・ドラゴン族

ATK:3200

 

 全長なら《精気を吸う骨の塔》にも匹敵する巨体。その攻撃力は《妖狐》を超える3200。3体以上の素材を必要とするのに見合う風格を放つ3つ首の竜が黄昏のフィールドに舞い降りた。

 その咆哮はソリッドビジョンならまだしも、実体化してる闇のデュエルなら多少は周囲に被害が出てもおかしくないほどの威力を有していた。にもかかわらず見える範囲で窓ガラス等が割れてないことを見ると、こういった衝撃も結界の外には一切漏れないらしい。

 それを確認して内心安心した黄昏は、呼び出したモンスターを雑に撫でながら苦笑いを浮かべる。

「まー、素材が重い割に効果が限定的過ぎて使うタイミングがかなり限られるのが悩みなんだけどな。

 逆に言えば、今この状況ならこいつほど頼りになるモンスターはいないわけだ」

 言いながらひらひらと手札の一枚を見せつけてからフィールドにセットした黄昏。

「そんじゃ、派手に行って来い! 《アトミック・スクラップ・ドラゴン》の効果発動! 自分フィールドのカード1枚と、相手の墓地のカード3枚までを選択し、自分のカードを破壊しつつ相手の墓地のカードをデッキへ戻す!

 俺は今セットした自分のカードと、あんたの墓地の《タスケルトン》、《超電磁タートル》、そして2枚目の《魔妖壊劫》を選択して効果を発動する! [フラックス・キャパシタ]」

 3つの龍の頭が上下左右に均等な距離を取るように展開し、丁度アルファベットのYのような形状になると各々の口が開放。3つの口へみるみるうちにエネルギーが収束されると、やがてそのエネルギーは頭部から首を伝い、最終的には体全体へ行き渡ったエネルギーが激しくスパークし始める。

 次の瞬間、魔妖モンスターが現れてから薄暗くなっていた空間を白で塗りつぶす程の閃光とともに、発生した落雷により黄昏が選択したカードは破壊。ニュートの墓地にあった3枚のカードは強制的に持ち主のデッキへ戻りオートシャッフルを始めた。

「そして今破壊されたセットカードは《呪われた棺》。セットされたのこのカードが破壊された時相手は『手札をランダムで1枚捨てる』か『自分フィールドのモンスター1体を破壊する』か、そのどちらかを選択する。

 手札とフィールド、どっちを1枚消費するか選んでもらおうか」

 このカードの最大の特徴は処理が効果解決時であるため、サクリファイスエスケープで対処できないことだ。

 フィールドのモンスターか手札。どれかを確実に処理できる状況でニュートが選んだのは……

「なら、僕は『自分フィールドのモンスター1体を破壊』を選択しますので。

 ただし、その効果にチェーンして手札の《ホップ・イヤー飛行隊》の効果を発動。相手メインフェイズ時に手札のこのカードを特殊召喚し、このモンスターとフィールドの他のモンスター1体でシンクロ召喚できます。

 レベル2の《ホップ・イヤー飛行隊》でレベル5の《毒の魔妖-土蜘蛛》をチューニング。その蹄を打ち鳴らし雷鳴を轟かせろ。シンクロ召喚、不純の霊獣《ボルテック・バイコーン》」

 

《ボルテック・バイコーン》

☆7・光属性・獣族

ATK:2500

 

「そして《呪われた棺》の処理により、《ボルテック・バイコーン》を破壊しますので」

 純潔を司る一角獣とは対をなす、不純を司る二角獣のステータスは主力としては十分。されど《呪われた棺》の魔の手によって早々に墓地へと引きずり込まれてしまった。

 そもそも今回の彼のデッキはアンデット族主体のデッキ破壊という構成だ。なのに獣族を出すということは……

「破壊された《ボルテック・バイコーン》の効果を発動しますので。このモンスターが相手によって破壊された場合、お互いのデッキトップから7枚墓地へ送ります」

「まあ当然デッキ破壊の効果持ちだわな」

「それだけでは終わりませんので。

 墓地にある《毒の魔妖-土蜘蛛》の効果を発動。元々のレベルが7のシンクロモンスターが戦闘、もしくは相手の効果で破壊された場合、墓地の他のアンデット族モンスターを除外することでこのモンスターを墓地から特殊召喚できます。

 墓地の《スケープ・ゴースト》を除外して《土蜘蛛》を蘇生しますので![魔妖怪し]」

 さらに《土蜘蛛》が蘇生すれば《精気を吸う骨の塔》の効果でさらに2枚デッキトップを墓地へ送らなければならない。これでデッキ破壊効果だけで30枚以上が墓地へ送られることになる。

「だったらデッキが尽きる前に手札を確保するまでだ。

 《土蜘蛛》の蘇生効果にチェーンして墓地の《ダメージ・ダイエット》を除外してその効果を発動!」

「デッキ枚数が風前の灯火だというのに今更ダメージ軽減など──」

「ああだからこいつはただの着火剤だ。さらにチェーンして墓地にある《ロータリー・ブースト》の効果!

 自分墓地の罠カード1枚が効果を発動するために除外された場合、その1枚とこのカードをデッキに戻してカードを2枚ドローできる!

 さらにチェーンしてリバースカード《無謀な欲張り》発動! 2ターンの間通常ドローを封じる代わりにカードを2枚ドローする!」

 

《ボルテック・バイコーン》

フィールド→墓地

《毒の魔妖-土蜘蛛》

墓地→フィールド

【黄昏】

手札:3→5→7

 

 怒涛のカード処理により一気に手札を補強した黄昏だが、その手札を活かす前にまずは先送りにしていた問題に目を向けなければいけない。

 それをわかっているからこそニュートもカードプレイングに驚きはしても、自分の優位性は揺るがないものとして余裕の表情を浮かべていた。

「まずはその後《土蜘蛛》を蘇生し、次に《ボルテック・バイコーン》の効果でお互いのデッキトップからカードを7枚墓地へ送ります。そしてアンデット族が蘇生したことで《精気を吸う骨の塔》の効果でさらにあなたのデッキトップ2枚墓地へ送ります[亡者の誘い]」

 さらに、とニュートはダメ押しと言わんばかりに宣言する。

「《毒の魔妖-土蜘蛛》は墓地から特殊召喚された場合、お互いのデッキトップからカードを3枚墓地へ送ることができますので!」

 3体のモンスターによる立て続けのデッキ破壊を受けた黄昏は1枚1枚、枚数を確認するようにデッキを墓地へ送っていく。

 デュエルモンスターズのメインデッキは40~60枚がルールとなっているが、リリアのようなイレギュラーな構成であったり、何かしらの思惑がある場合を除けば40枚に近づけ、目的のカードをドローできる確率を高めるのが基本だ。

 黄昏もその例にもれず、40枚丁度に絞っている。

 デッキ破壊に臆せずにいつも通りドローしていた黄昏のデッキは枚数すでに空前の灯火。そこに先程のデッキ破壊と《ロータリー・ブースト》や《無謀な欲張り》による2枚ドローしたということは……

「デッキの残り枚数は0。次にドローを迎えたその時、あなたの負けは確定しますので」

「ならそれまでにケリを付ければいい。《無謀な欲張り》でドローロックされたターンも含めれば、まだ俺のターンは3ターンもある。十分すぎるだろ?

 それにこれだけ手札も墓地が肥えれば、当然俺もただでは終わらねーぞ。墓地に送られた《夜刀蛇巳》の効果を発動!

 このカードが効果で墓地へ送られた場合、このカードを特殊召喚できる」

 

夜刀蛇巳(やとのかみ)

☆4・水属性・爬虫類族

DEF:600

墓地→フィールド

 

 墓地から這い戻ってきたのはまたも鉄くずとは似ても似つかない真っ黒な大蛇。スクラップ主体なら属性のシナジーがある《リバイバル・ゴーレム》の方がよいだろうに、わざわざこのようなモンスターをチョイスした黄昏の真意は彼にしかわからないだろう。

 なにはともあれ、立て続けにモンスターの効果が発動し混沌を極めていた処理が一段落ついた。一度息を整えて黄昏は状況を整理する。

 デッキのカードがすべて墓地へ送られたことで《ブレイクスルー・スキル》や《スキル・サクセサー》と言ったカードも落ちて入るが、これらのカードは墓地へ送られたターンには使えず、墓地から発動できるのは自分のターンに限られる。今は気にするだけ無駄だ。

 それよりも注目するべきはニュートの使役する魔妖のシンクロモンスターたち。

「レベルが2つ高いシンクロモンスターが破壊されれば自己再生しつつ、自己再生に成功すれば効果発動、か……

 魔妖のシンクロモンスターは全員に共通してそうだな」

 黄昏だけでなくほとんどのデュエリストがモンスターの効果確認を怠ることが多いのは、白熱したデュエルで冷静さが欠けている場合もあるが、おそらく一番の理由はデュエル進行のテンポ感を重要視するからだろう。

 特にプロは中継される関係上ある程度決まった尺や視聴者という存在を無視できず、見ている側が退屈しないプレイングを言外に求められている。故にプロやそれに準ずる者を志すものは無意識に自分の知識だけで解決しようとする節がある。こればかりはデュエリストの性のようなものであり、改善されることはほぼないのかもしれない。

「それが原因で負けたら元も子もないんだけどなーっと……

 さて、《土蜘蛛》はデッキ破壊、《妖狐》はモンスター除去。《天狗》は魔法&罠カード除去で《朧車》は戦闘破壊耐性付与か。

 《アトミック・スクラップ・ドラゴン》の効果はもう使っちまったし、《天狗》が蘇生する前に用済みの《破滅へのクイック・ドロー》を《罠解卓上》へインフェクトだ」

 

《罠解卓上》

IV:0→1

 

「これで《天狗》蘇生時に《破滅へのクイック・ドロー》が破壊されることはない。《タスケルトン》や《超電磁タートル》みたいな厄介な墓地発動もない。となれば、あとは攻める以外に選択肢はねーよな!

 俺はレベル4の《夜刀蛇巳》をレベル4の《スクラップ・ラプター》でチューニング。異なる身体が集結し、ここに破滅の魔物が誕生する。シンクロ召喚、這い上がれ《スクラップ・ヘルサーペント》!!」

 

《スクラップ・ヘルサーペント》

☆7・地属性・爬虫類族

ATK:2800

 

「っ、これが……」

 満を持して現れたのは黄昏のエースモンスターである破滅の化身。そのモンスターの情報はニュートにも伝わっているらしく表情が強ばるのがわかったが、まだ黄昏のメインフェイズは終わらない。

「俺のフィールドにスクラップモンスターがいるため、手札の《スクラップ・オルトロス》は特殊召喚できる。

 その代わり場のスクラップモンスター1体が犠牲になるわけだが、今回は特殊召喚した《スクラップ・オルトロス》自身を自壊させる!」

 これまで幾度も仲間を食らうことで崩壊する体を安定させてきた双頭の獣だが、今回はおとなしく崩壊の時を待ち、墓地へと送られていく。

 これだけを見ればただの犬死でしかないが、当然そんなプレイミスを黄昏がするわけがない。

「自壊だろうとスクラップモンスターの破壊効果には変わりない。よって墓地へ送られた《スクラップ・オルトロス》の効果を発動!

 このカード以外の墓地のスクラップモンスターである《スクラップ・ブレイカー》をサルベージ! さらに、スクラップモンスターの破壊に反応して、さっきシンクロ素材で墓地へ送られていた《スクラップ・サーチャー》は再びフィールドへ舞い戻る!」

 

【黄昏】

手札:4→5

《スクラップ・サーチャー》

墓地→フィールド

 

「これで最後! 今サルベージした《スクラップ・ブレイカー》は相手フィールドにモンスターがいる時手札から特殊召喚できる。そのデメリット効果により蘇生したばかりの《スクラップ・サーチャー》を破壊する」

 《スクラップ・オルトロス》同様に、急ごしらえでフィールドに降り立った《スクラップ・ブレイカー》は崩れそうな体を《スクラップ・サーチャー》の部品で補い、その犠牲によって安定させる。

 デッキがなくなろうと、すでに手札と墓地に主要カードが揃っていればスクラップは止まらない。これで黄昏のフィールドにはアタッカークラスのモンスターが3体並び、相手のフィールドを一掃する準備は整った。

「バトル! 《アトミック・スクラップ・ドラゴン》で《妖狐》を攻撃。[アトミック・ハウンド・クラッシュ]」

「そのダメージ計算時に《ガード・ブロック》を発動しますので! この戦闘で僕はダメージを受けず、カードを1枚ドロー」

「だが戦闘破壊までは防げない」

 

【ニュート】

手札:0→1

《妖狐》

フィールド→墓地

 

 3つの首から放たれたレーザーに為す術もなく葬られた《妖狐》だが、ニュートの手札は補充され、さらに墓地の魔妖が目を覚ます。

「この瞬間墓地の《翼の魔妖-天狗》の効果を発動しますので! 元々のレベルが9のシンクロモンスターが戦闘、もしくは相手の効果で破壊された場合、墓地の他のアンデット族モンスターを除外することでこのモンスターを墓地から特殊召喚できます。

 墓地の《背護衛》を除外して《天狗》を蘇生しますので。[魔妖怪し]」

 破壊された《妖狐》の残骸が突風を巻き起こし、まるで《妖狐》の姿が最初から()()だったかと言わんばかりにフィールドに舞い降りる魔妖シンクロモンスター。

 本来であればこのタイミングで《精気を吸う骨の塔》の効果が発動するところだが、すでに黄昏には墓地へ送るデッキが存在しないため不発に終わる。

「ですが《天狗》の効果が残っていますので! 墓地から特殊召喚に成功したとき、相手フィールドの魔法&罠カードを1枚破壊します。

 僕は……《絶対王バックジャック》の効果でセットされていたカードを破壊しますので!」

「その効果にチェーンして墓地の《スキル・プリズナー》を除外して効果を発動! 俺のフィールドのカード1枚を対象として、そのカードを対象に発動したモンスター効果を無効にする。

 あんたが選択したセットカードは知ってる通り《バックドア》。わざわざ破壊される義理もねーから防がせてもらうぞ」

 《天狗》は自身が現れたときに発生した竜巻を、その手に握る羽団扇で操って黄昏のセットカードを狙う。しかしその竜巻は透明な壁に阻まれて霧散してしまった。

「結果はどのカード狙おうが無意味だったわけだが、それでも《バックドア》は今破壊するべきカードってわけでもないと思うんだが?」

「別に、特に深い意味はありませんので。もちろん《スキリ・プリズナー》が落ちてあることは確認済みですので、あわよくば破壊しようと思ったまでのこと。

 強いて言うなら、あなたの墓地に《荒野の大竜巻》が2枚しか落ちていませんので、残るセットカードに最後の1枚が混じっている可能性を考慮しました。

 こちらの不利益となる危険性を孕んでいるセットカードへ手を出す必要性はないと判断するのが当然ですので?」

「なるほど、()()()()あんたはそういう結論になるか。

 《天狗》の効果処理が終わったからバトルステップに戻るぞ。スクラップモンスターが攻撃した次のバトルステップ時、《スクラップ・ヘルサーペント》の効果によりフィールドのモンスターを1体破壊する。

 蘇生して早々だが《天狗》には退場してもらうか![ルイン・レイン]」

 《スクラップ・ヘルサーペント》から射出された残骸の破片が雨はニュートのフィールドへ降り注ぎ、蘇生したばかりの《天狗》を破壊。

 《天狗》のレベルは7。レベル5の《土蜘蛛》はすでに蘇生しているため先程のような現象は起こらずに、巻き上がった無数の羽はそのまま霧散する。

「次に《スクラップ・ブレイカー》で《土蜘蛛》を攻撃。[スクラップ・プレス]」

「守備表示ですので当然ダメージはありませんので。そして元々のレベルが5のシンクロモンスターが戦闘、もしくは相手の効果で破壊されたことで墓地の《朧車》の効果を発動!

 墓地の他のアンデット族モンスターである《氷の魔妖-雪娘》を除外することで《朧車》を蘇生しますので![魔妖怪し]

 さらに墓地から特殊召喚に成功したことで《朧車》の効果を発動! 自分フィールドのモンスター全てに戦闘破壊耐性を付与しますので!」

「だとしても効果破壊はできる。再びバトルステップに戻って《スクラップ・ヘルサーペント》の効果で《朧車》を破壊!

 これで魔妖モンスターの蘇生は打ち止めだ。[ルイン・レイン]」

「……っ!」

 再度降り注いだ残骸の雨で牛車の付喪神も粉砕。残るモンスターは戦闘破壊耐性こそ付与されたがステータスは低い。

「そして《サーチャー》で守備表示の《妲己》を攻撃」

「ですが《朧車》の効果で戦闘では破壊されませんので!」

「ならバトルステップ開始時に《ヘルサーペント》の効果で《妲己》を破壊![ルイン・レイン]

 続いて《ヘルサーペント》で《精気を吸う骨の塔》を攻撃。当然こっちも戦闘破壊されないが、再びバトルステップ開始時に《ヘルサーペント》の効果で破壊![ルイン・レイン]」

 立て続けにニュートのフィールドへ襲いかかる破滅の雨は戦闘では破壊されないモンスターを容赦なく葬り去っていく。

 破壊されても別の姿となり蘇生する魔妖といえど、破滅の雨そのものを防げるわけではない。黄昏のモンスターがすべて攻撃を終える頃には、ニュートのフィールドはモンスターが1体もいない更地へと変わり果ててしまった。

「さて、これで俺のモンスターは全員攻撃し終えたわけだけど、あんたなら次にどうなるのか、わかるよな?」

「……《破壊神の系譜》ですので」

 御名答、と小さく笑い発動したのはニュートの宣言した通りのカード。

 相手の守備モンスターを破壊したターンにレベル8のモンスターに追撃効果を付与する罠カードだ。

「あんたのフィールドにモンスターはいない。ダイレクトアタックだ。[ヘイト・スワロー]」

「っ、ぐ……あぁっ!?」

 

【ニュート】

ライフ:3500→700

 

 攻撃力2800の直接攻撃という大ダメージでニュートのライフは一気にセーフティーラインを切る。そしてこのデュエルは闇のデュエル。

 黄昏が指示を出したのか、《スクラップ・ヘルサーペント》の牙はニュートの手前の地面を大きく削る程度に抑えられ、彼の身体はその衝撃で吹き飛ぶだけで済んだ。とはいえ致命傷になりかねないダメージには変わりなく、吹き飛ばされたニュートは周囲を囲む炎の壁、正確にはその手前にあったらしい透明な壁に叩きつけられた。

「……バトルステップ開始時、《スクラップ・ヘルサーペント》の効果で《スクラップ・サーチャー》を破壊する。[ルイン・レイン]」

 

《スクラップ・サーチャー》

フィールド→墓地

 

「カードを3枚セットしてターンエンドだ」

 

【ニュート】

1/700

-----  

-----

【黄昏】

3/3300

-○○○- ●

-■■■■

 

 倒れたニュートに目もくれず、黄昏は淡々とセットカードを補充してターンを終了する。

 その瞳からは先程のような闘争心は鳴りを潜め、今はただ相手を観察する機械のような冷たい視線を向けるのみ。

「あんたのターンだ。まだ立つ気力は残ってるか?」




これどっちが悪役かわかんねーな()

さて、今回のデュエルを構成する際に決めたことなのですが、ペンデュラム召喚やリンク召喚、そして今後出るかもしれない新しい召喚法に関しては今のところ採用は未定です。一応出そうと思っている場面はあるんですがかなりイレギュラーかつまだまだ先の話なので……
また、効果の一部にPモンスターやLモンスターを指定する記述があるものは使用を控えます。(今回のデュエルで餓者髑髏出さなかったのもそのためです)
例外的に《ピンポイント奪取》のようなエクストラモンスターを指定するような感じの効果であれば、効果説明をぼかして使用する可能性もあります

※2023/12/31
アンケートは39話にて大きく描写を変えたものに対してものです。
1つの話にまとめて表示するのは無理そうなので、急遽ここへ移動させてきました。
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