遊☆戯☆王 Xeno-N   作:駄蛇

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裏事情ですが、噛ませのつもりだった神崎は、このデュエルで愛着がわいて準レギュラー、またはレギュラーまで昇格しました←

2話使ってのデュエルですが、ついに決着です


決着!破滅を呼ぶ魔物『スクラップ・ヘルサーペント』!

 少し時間は遡り、場所は再びサブアリーナ。

 そこで観戦者もなくひっそりと行われていた葵と篠村のデュエルは、何の危なげもなく、ダメージは最初の《黒炎弾》によるダメージだけで完封していた。

「くそ、そんなカード使ってるなんて聞いてねーぞ!」

「当たり前だよ。これは普段は使わないデッキ。《星の守護者(セイクリッド)》の七波葵のデッキだもん」

「せ、セイクリッド?」

「あれ? てっきり知ってるものだと思ってたんだけど。私のデッキを狙っているのもそれが理由なんじゃないの?」

「知るか! 俺は神崎と一緒にお前のデッキを盗めって言われただけだ」

「それは、誰に?」

「――僕や」

「「……っ!?」」

 一瞬心臓を直接掴まれたかのような寒気に葵はとっさに背後の何者からか距離を開けてデュエルディスクを構える。

 そこに立っていたのは、どこか掴みどころのない印象の男だった。

「あなた、誰?」

「僕? 僕はこれの依頼主や。よろしゅう頼んます」

「あらそう。あいさつをするつもりはないけど、とりあえずあなたを倒せば万事解決っぽいね」

「ん? まさか僕とデュエルするつもりかいな? 止めとき止めとき、嬢ちゃんじゃ相手にならへんって」

 独特なしゃべり方をする彼に少し苛立ちを覚えながら、しかしデュエルの準備は着々と進める。オートシャッフルが終わり5枚のカードをドローする。

「早くカードをドローして。ここで全部終わらせる」

「……はあ、面倒くさいな~」

 わざとらしいため息を零しながらも男は渋々とデュエルディスクを構え、デッキから5枚のカードをドローした。

 直後、その掴みどころがなかった雰囲気が突き刺すようなプレッシャーに切り替わる

「ほな、さっさと済ませましょうか」

 

「「――デュエル!!」」

 

 

【神埼】

1/4000

--○--  

-□■--

【黄昏】

4/1400

-----  

-----

 

「俺のターン、ドロー!」

 

【黄昏】

手札:4→5

 

「俺は手札から《スクラップ・サーチャー》を召喚」

 

《スクラップ・サーチャー》

☆1・地属性・獣戦士族

ATK:100

 

「さらにこのモンスターは自分フィールドに《スクラップ》モンスターがいるとき、手札から特殊召喚できる。《スクラップ・ブレイカー》を特殊召喚。その後《スクラップ・サーチャー》を破壊する」

 

《スクラップ・ブレイカー》

☆6・地属性・機械族

ATK:2100

《スクラップ・サーチャー》

フィールド→墓地

 

 

 仲間の破壊に反応して何度でも蘇る不死鳥を墓地へ送りながら高火力のモンスターを呼び出す。たがその攻撃力は残念ながら《ブラック・マジシャン》には届かない。

 にも関わらず黄昏に守備を固めるような仕草はない。

「さて、バトルフェイズに移行するぞ! 《スクラップ・ブレイカー》で《ブラック・マジシャンガール》に攻撃。 [スクラップ・プレス]」

「何を企んでいる!?」

「もちろん、そのモンスターを倒す算段だよ!

 俺は墓地から罠カード《ブレイクスルー・スキル》を発動!」

「また墓地から罠だと!?」

「墓地の《ブレイクスルー・スキル》を除外することで、フィールド上のモンスター1体の効果を無効にする。対象は《ブラック・マジシャンガール》だ!」

「効果を無効……ってことは!?」

 

《ブレイクスルー・スキル》

墓地→除外

《ブラック・マジシャンガール》

ATK:2600→2000

 

 《スクラップ・ブレイカー》を迎え撃つ《ブラック・マジシャンガール》だが、放った火球は突然威力が弱まった。火力が弱まったことで《ブレイカー》はそれをもろともせず、《ブラック・マジシャンガール》を破壊する。

 人質のはずの生徒から控えめにブーイングが起こったのは嘘だと信じたい。が、それ以上に信じられない光景を目の当たりにして思わず黄昏は眉をひそめた。

 

【神崎】

ライフ:4000→4000

 

「ライフが、減ってない?」

「残念だったな。俺は《ガード・ブロック》を発動していた!

 これにより俺は戦闘ダメージを0にして1枚ドローする」

 

【神崎】

手札:1→2

 

「ちっ……いや、《ブラック・マジシャンガール》を破壊できただけよしとするべきか。俺はこれでターンエンドだ」

 

【神埼】

2/4000

-----  

-□---

【黄昏】

2/1400

--○--  

--■--

 

「ホント、有利な状況ってのは長続きしねぇもんだな。

 だが、このターンでまた巻き返してやるよ。俺のターンだ!」

 

【神崎】

手札:2→3

 

「そして、この瞬間《強欲なカケラ》の強欲カウンターが2つ貯まった!

 メインフェイズにこのカードをリリースしてさらに2枚ドローする」

 

《強欲なカケラ》

強欲カウンター:1→2

フィールド→墓地

【神崎】

手札:3→5

 

「……っ!?こいつはついてるぜ!俺は《魔力倹約術》を発動!

 これにより、俺は魔法カードを使う時にライフコストを払う必要がなくなる。そしてこのカードを発動だ!」

 神崎がそのカードを発動した途端、フィールドにマントを羽織った禍々しい骸骨が現れた。それを見た瞬間、黄昏の表情が強張った。

「その表情、これが何だか知ってるな?まぁ有名だし当たり前といえばそうか。このカードは通常魔法《黒魔術のカーテン》。ライフを半分払うという重いコストを払う代わりにデッキから《ブラック・マジシャン》を特殊召喚できるカードだ。だが――」

「《魔力倹約術》の効果によりライフコストは払わない、か」

「わかってるじゃねぇか。さぁ、現れろ《ブラック・マジシャン》!」

 

《ブラック・マジシャン》

デッキ→フィールド

 

 禍々しいカーテンが一段と大きくなびくと、再び黒装束を身にまとた魔導師が姿を現した。

 その右手に握る杖をこちらに向けられ、黄昏はとっさに身構える。

「これがデッキに眠る最後の《ブラック・マジシャン》だ。そしてバトルフェイズ、まずはその鉄くずを潰すぜ。

 《ブラック・マジシャン》で《スクラップ・ブレイカー》を攻撃! [ブラック・マジック]」

「させるかよ。墓地の《ネクロ・ガードナー》を除外してその攻撃を無効にする!」

 

《ネクロ・ガードナー》

墓地→除外

 

 《ブラック・マジシャン》の放った波動が《スクラップ・ブレイカー》を飲み込む直前、白銀長髪で鎧を身にまとった禍々しいモンスターがその波動を弾く。

 これで《スクラップ・ブレイカー》を守ったとホッとした黄昏だったが、神崎の追撃はまだ終わらなかった。

「ホッとしてるみてぇだが、現実逃避はよくないぜ?お前も知ってるだろ、《ブラック・マジシャン》専用の単体除去カード《千本ナイフ》発動!

 《スクラップ・ブレイカー》を破壊だ!」

「く……っ!?」

 《ブラック・マジシャン》の周囲に数えきれないほどの短刀が出現すると、《スクラップ・ブレイカー》目がけて放たれ、強固な装甲をもつ《スクラップ・ブレイカー》をいとも簡単に貫き、破壊した。

 爆風に顔を覆う黄昏だが、その目の前で爆風から3体の影が飛翔した。

 

《スクラップ・ブレイカー》

フィールド→墓地

《スクラップ・サーチャー》×3

墓地→フィールド

 

「場の同名カード以外の《スクラップ》モンスターが破壊されたとき、墓地の《スクラップ・サーチャー》は何度でも蘇る」

「ちっ、面倒な効果だな。まぁいい俺はこのままターンエンドだ」

 

【神埼】

2/4000

--○--  

-□---

【黄昏】

2/1400

-▲▲▲-  

-----

 

「……俺のターン」

 

【黄昏】

手札:2→3

 

「モンスターとカードを1枚づつセットしてターンエンド」

 

【神埼】

2/4000

--○--  

-□---

【黄昏】

1/1400

-▲▲▲▲  

--■--

 

 ここまでの激戦が嘘のような、静かなターンエンド。それが逆に神崎に不気味さを与えていた。

「俺のターン!……こいつはいいカードだ」

 

【神崎】

手札:2→3

 

「何を企んでいるのか分からねぇが、俺はそのまま全力でいくぜ!

 俺は通常魔法《終わりの始まり》を発動! 墓地に闇属性モンスターが7体以上存在するとき、その内5体を除外することで、カードを3枚ドローする!

 除外するのは《見習い魔術師》、《マジカル・アンダーテイカー》、《ジェスター・コンフィ》、《執念深き老魔導師》、《ブラック・マジシャンガール》の5枚!」

 さらに! 俺はこれにチェーンして速攻魔法《連続魔法》を発動! そのコストとして最後の手札《魔力掌握》を捨てる」

「……っ!?」

「このカードは、手札を全て捨てることでチェーンした直前の通常魔法カードを同じ効果になる。もちろん、効果を発動するだけだからコストをもう一度払う必要はない。

 よって、俺は合計で6枚ドローする!」

 

【神崎】

手札:1→0→6

 

 手札があることがそれだけでアドバンテージになるこのゲームにおいて、6枚ドローという破格のドローを垣間見た観客から半ば諦めの声が聞こえてくる。

 それでも、黄昏から絶望の色は見えてこない。

「そのポーカーフェイスすぐに剥がしてやるよ! 俺は《マジカル・コンダクター》を召喚! さらに《拡散する波動》を《ブラック・マジシャン》を対象に発動! 一応言っておくが、《魔法倹約術》のおかげでライフコストは必要ない。

 これでこのターン《ブラック・マジシャン》しか攻撃できない代わりに、《ブラック・マジシャン》は相手の全モンスターに攻撃する!

 そして、魔法が発動したことで《マジカル・コンダクター》に魔力カウンターが2つ乗る!」

 神崎が宣言した直後、《マジカル・コンダクター》の周囲に魔力で出来た球が浮遊する。

 

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:0→2

 

「バトルだ!《ブラック・マジシャン》で全モンスターに攻撃! [ウェーブ・ブラック・マジック]」

 《ブラック・マジシャン》が放った波動は文字通り拡散して全モンスターを覆い、《スクラップ・サーチャー》及び先ほどセットしたモンスターが全滅した。

「この瞬間破壊された《カードガンナー》の……っ!?」

 反撃の準備のために破壊されたセットモンスターの効果を発動しようとした時、デュエルディスクからけたましいブザー音がなる。これはエラーが起こった場合や効果処理ミスを行いそうな場合の警告として鳴るものだ。

「残念だったな! 《拡散する波動》の力を得たモンスターが攻撃し、破壊したモンスターは効果が発動できないんだよ。つまり、戦闘破壊がトリガーとなる効果は無意味。ついでに言えば、てめぇの不死鳥も死んだってことだ」

「……なるほど」

 神崎が下品に笑うのと対照的に、黄昏はただ一言呟いて状況の整理を行った。

「ちっ、少しも動揺しねぇガキだな。

 まあいい、俺は通常魔法《封印の黄金櫃》を発動。その効果でデッキから《死者蘇生》を除外。2ターン後のスタンバイフェイズに手札に加える。これで2ターン後に《ブラック・マジシャン》を蘇生する準備が整ったぜ。

 同時に、《マジカル・コンダクター》に魔力カウンターが2つ乗る。

 カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:2→4

 

「ならそのエンドフェイズにリバースカード《裁きの天秤》発動。自分の手札、フィールドの合計が相手のフィールドの枚数より少ない場合、その差分だけドローする。

 俺の手札は1枚、フィールドは今発動した《裁きの天秤》のみの合計2枚。あんたのフィールドは5枚。よって3枚カードをドローする!」

 

【黄昏】

手札:1→4

 

「……警戒してカードをセットしすぎたのが裏目に出たか」

「あんたならそうやってくれると信じてたんだ。さっきのデュエル含めて俺に何度も知恵比べに負けてるからな」

 どうやら知恵比べは黄昏の方が一枚上手らしい。《拡散する波動》により墓地の《スクラップ・サーチャー》がすべて自己再生不可となり厳しい状況ではあるが、このデュエルまだどうなるかはわからないと言えよう。

 

【神埼】

1/4000

--○○-  

-□■■-

【黄昏】

4/1400

-----  

-----

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

【黄昏】

手札:4→5

 

 通常ドローを経て潤沢となった手札を眺める黄昏だが、その表情は晴れない。一応、今のカードでもある程度までは耐えることはできる。ただ、今黄昏は考えれる限りの最悪の状況を想定している。もしその状況が作り出された場合、今の手札では防ぎきれないのだ。

「もしこの魔法カードを使って、あのモンスターを倒せなかった場合、次のターン《ブラック・マジシャン》、最低でも《ブラック・マジシャンガール》が蘇る。

 ……いや、どうせ今貯まらなくても次のターンで貯まるだろうな。なら――」

 黄昏はため息をつくが、意を決して今さっき手に入れたカードを発動する。

「俺は手札から通常魔法《スクラップ・エリア》を発動!デッキから《スクラップ》チューナーをサーチする。

 俺は《スクラップ・オルトロス》をデッキからサーチ!」

「忘れてねぇだろうな。この瞬間、《マジカル・コンダクター》に2つ魔力カウンターが乗る!」

「もちろん承知の上だ」

 

【黄昏】

手札:4→5

 

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:4→6

 

「そして、まずは《スクラップ・ゴブリン》を通常召喚。さらに手札の《スクラップ・オルトロス》は自分フィールドに《スクラップ》モンスターがいるとき、《ブレイカー》と同じデメリットで特殊召喚できる。

 《スクラップ・オルトロス》を手札から特殊召喚し、《スクラップ・ゴブリン》を破壊する!

 これも《スクラップ》で破壊された扱いだから、《ゴブリン》の効果で墓地の《スクラップ・ハンター》をサルベージする」

 

《スクラップ・オルトロス》

手札→フィールド

《スクラップ・ゴブリン》

フィールド→墓地

【黄昏】

手札:3→4

 

「さらに俺は手札から通常魔法《手札抹殺》を発動! お互いに手札をすべて捨て、その後捨てた枚数と同じだけドローする」

 

【黄昏】

手札:3→0→3

【神埼】

手札:1→0→1

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:6→8

 

「……よし、これなら」

 新たに加わった手札を見て頷いているが、相手フィールドに佇む《マジカル・コンダクター》の周囲に飛び交う魔力の塊が8つになっており、神崎が準備せずとも次のターンには彼のエースモンスターが蘇る。さらにそんな《マジカル・コンダクター》の攻撃力は1700。今召喚された《スクラップ・オルトロス》の攻撃力も1700。今のままでは《マジカル・コンダクター》と相討ちであり状況は好転しない。

「…………」

 だが対峙する神埼に油断している様子はなく、デュエルディスクのリバースカードに手が添えられている。

 ここでわざわざ魔法カードを発動したぐらいなのだから、《マジカル・コンダクター》を倒す算段ぐらいついていてもおかしくないと信じて疑わないようだ。

「バトル!《スクラップ・オルトロス》で《マジカル・コンダクター》を攻撃!」

 二つ頭の獣を模した《スクラップ・オルトロス》は一瞬で加速し、《マジカル・コンダクター》のもとへと駆けていく。

 だが、すでに《マジカル・コンダクター》の周囲には、魔力カウンターのとは別に数えきれないほどの魔力で出来た球が浮遊しており、《スクラップ・オルトロス》を討たんと放たれ続けている。最初の数発は避けていたものの、次第に避けるのは困難になり、ついに《スクラップ・オルトロス》に直撃。爆風が辺りを包む。

「――ダメージステップに墓地の《スキル・サクセサー》を除外し、《オルトロス》の攻撃力を800ポイントアップする!」

 

《スクラップ・オルトロス》

ATK:1700→2500

 

 爆風で視界が不良好な中から飛び出した《スクラップ・オルトロス》は、《マジカル・コンダクター》の攻撃をもろともせず、その首根っこを食い千切らんと飛びかかった。が、見えない壁に阻まれるように《マジカル・コンダクター》に攻撃は届かなかった。

「何っ!?」

「罠カード《攻撃の無敵化》の効果だ。その効果の内の1つ、このターンモンスターの破壊を無効にする」

「ダメージステップでフリーチェーンの魔法・罠カードは原則攻守変更の効果しか使えないはずだ」

「攻撃宣言時にあらかじめ発動させてもらった。どうせお前なら攻略してくると思ったからな」

「……なるほどな。だが、ダメージは受けてもらうぞ」

 

【神崎】

ライフ:4000→3200

 

 ダメージにより神崎のライフが削れるが、それより《マジカル・コンダクター》が残ったことが一番痛い。渋い顔をしながら舌打ちをした黄昏は、手札のカードを全てセットし、次の神崎のターンに備える。

 

【神埼】

1/3200

--○○-  

-□-■-

【黄昏】

0/1400

--○--  

-■■■-

 

「俺のターンだ。ドロー!」

 

【神崎】

手札:1→2

 

「そしてメイン──」

「──だったらそのスタンバイフェイズ、《ブラック・マジシャン(面倒なモンスター)》が2体並ぶ前に《マジカル・コンダクター》にはご退場いただこうか! リバースカード《ギブ&テイク》発動!

 フィールドのモンスターと墓地のモンスターを選択し、墓地のモンスターを相手のフィールドに守備表示で特殊召喚、フィールドのモンスターのレベルは墓地で選択したモンスターのレベル分上がる!

 俺は墓地の《スクラップ・サーチャー》をお前のフィールドに特殊召喚し、《スクラップ・オルトロス》のレベルを1上げる!」

 

《スクラップ・サーチャー》

墓地→フィールド(神崎)

《スクラップ・オルトロス》

レベル:4→5

 

 

「そして《スクラップ・サーチャー》は特殊召喚されたとき、そのフィールドいる《スクラップ》モンスター以外の表側表示のモンスターを破壊する! [パーツ・リジェクション]」

 《スクラップ・サーチャー》から飛び散った破片が、《ブラック・マジシャン》と《マジカル・コンダクター》に向けて飛び散る。

 その瞬間、神崎が更なるカードを切った。

「そう何度も食らってたまるかよ!!

 速攻魔法《墓穴の指名者》! 相手墓地のモンスター1体を除外し、このターン除外した同名モンスターの効果は無効化される。

 てめぇの墓地にある《スクラップ・サーチャー》を除外することで今特殊召喚された《スクラップ・サーチャー》の効果も無効だ!」

 黄昏の墓地から不死鳥の1体が除外され、その影響は神埼のフィールドに呼び出された《スクラップ・サーチャー》にまで魔の手が伸びる。まるで翼をもがれた鳥のように地面に落下したその姿からはみるみるうちに力が失われ、飛び散った破片もただの鉄くずとして魔法使い達には払われてしまう。

「ちっ! 防御系のカードも握ったか!!」

「それだけじゃねぇ、《墓穴の指名者》も魔法カード。《マジカル・コンダクター》の魔力カウンターはさらに貯まる!」

 

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:8→10

 

「そしてメインフェイズだ。俺は今ドローした装備魔法《ワンダー・ワンド》を《マジカル・コンダクター》に装備!

 これにより《マジカル・コンダクター》の攻撃力は500ポイント上がり、さらに《マジカル・コンダクター》自身の効果で魔力カウンターも貯まる!」

 

《マジカル・コンダクター》

ATK:1700→2200

魔力カウンター:10→12

 

「じゃあお待ちかねのショータイムだ! 俺は《マジカル・コンダクター》の効果を発動! 魔力カウンターを7つ取り除き、取り除いた数と同じレベルの魔法使い族モンスターを墓地から特殊召喚する。

 《ブラック・マジシャン》を蘇生!」

 

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:12→5

《ブラック・マジシャン》

墓地→フィールド

 

 《マジカル・コンダクター》の周囲に浮遊していた8つの魔力の球の内7つが円を描き、やがてそれは魔法陣へと変わっていく。そしてその魔法陣から再び、黒装束を身にまとった魔導師がその姿を現した。

 2体目の黒装束の魔導師が登場すればさすがの黄昏も表情を歪めるが、不意に神崎は黄昏の名前を煽りながら呼ぶ。

「黄昏よぉ。てめぇはどうせ、次のターンに《死者蘇生》で復活する《ブラック・マジシャン》のことを考えてるんだろ?

 残念だったな、《死者蘇生》を待たなくても揃うんだよ! 俺は伏せていた《軌跡の復活》を発動!自分のフィールド魔力カウンターを2つ取り除き、墓地の《ブラック・マジシャン》か《バスター・ブレイダー》を特殊召喚する。

 墓地のもう1体の《ブラック・マジシャン》を蘇生!」

 

《マジカル・コンダクター》

魔力カウンター:5→3

《ブラック・マジシャン》

墓地→フィールド

 

「まだまだ行くぞ!《ワンダー・ワンド》を装備した《マジカル・コンダクター》をリリースして2枚ドロー!」

 

《マジカル・コンダクター》、《ワンダー・ワンド》

フィールド→墓地

【神崎】

手札:0→2

 

 更なるドローを重ねる神崎の展開はまだまだ続く。さすがの黄昏も負けを意識し始めるぐらいの引きの強さだ。

「……っ!これは今までで最高の引きだ!手札1枚をコストに装備魔法《D・D・R》を発動!

 除外されていた《ブラック・マジシャンガール》を帰還させる!」

 

【神埼】

手札:1→0

《ブラック・マジシャンガール》

除外→フィールド

 

「……マジかよ」

 その光景を見た黄昏は、思わず呟いた。

 神崎のフィールドには《ブラック・マジシャン》が3体、《ブラック・マジシャンガール》が1体が並んでいた。

 過去今までこのような光景を見たものはいただろうか? いやいないだろう。

 

 未だかつて見たことがないデュエルを自分がしている。

 

 それだけで黄昏の気分は高揚していた。

「前言撤回する。お前は今まで会ったデュエリストの中でもトップクラスだ!

 一人のデュエリストとして敬意を表して、名前を名乗らせてもらう。俺は黄昏遊糸だ」

神崎零司(かんざきれいじ)だ。俺もここまで本気のデュエルをしたのは久しぶりだ。礼を言うぜ!黄昏ぇっ!

 《ブラック・マジシャン》で《スクラップ・オルトロス》を、他のモンスターも総攻撃だ!」

 すでにどの攻撃が誰に向けてのものか分からない、総攻撃力9500の魔力の塊が黄昏を襲う。直後、ソリッドビジョンとは思えない、体育館全体を震わせるほどの衝撃とともにステージを爆炎が覆った。

 その光景に、生徒や教師はもちろん神崎の取り巻きからも悲鳴が上がる。これは最悪の辞退すらあり得るんじゃないか、とさえ思える状況だった。

 しばらくして煙が晴れてくるにつれて混乱も収まっていき、静寂の中ステージの状況が明らかになっていく。まず確認できたのは神崎。もちろんライフも残っており、観客と化していた人々は彼の勝利で決まったのだと思っただろう。

 しかし、冷静な分析をした一人があることに気付いた。

 

「デュエル終了のブザーが鳴ってない?」

 

 その呟きは波紋のように生徒の間で広がっていき、一時は静まり返っていたホールの中がざわざわと騒がしくなっていく。

「………………」

 そして煙により状況がよくわかってない神崎だが、彼は彼で黄昏がまだ負けてないことは直感で分かっていた。ブザー音がなっていないのもあるが、神崎が攻撃を行う直前、黄昏の表情に変化があったのだ。

「あいつ、笑ってやがった。まだ何か企んで……っ!?」

 直後、神崎の首筋に冷たいものが当たる感触がした。とっさに振り向くがもちろんそこには何もなく、首元に何かがあったわけでもなかった。

「今のは、なんだ?まるでナイフを押し付けられたような感覚。

 ……いや、というよりむしろあれは蛇?」

 何が起こったのか分からず独り言を呟きながらどうにか情報を整理しようと努めている。しかしその答えがでるわけもなく、先に煙のほうが完全に晴れる。

 3体ものモンスターから総攻撃を受けたそこには、“デュエルを続ける黄昏遊糸”が佇んていた。

 

【黄昏】

ライフ:1400→50

 

「一応聞いておく、どうやって耐えた? 明らかにオーバーキルの数値だっただろ」

「ああ、普通に食らっていたら終わっていた。()()()が発動できなかったらな」

 盛大に被った土埃を払いながら、黄昏は種明かしをするように自分が発動していたカードを指さした。

「なるほどな、《ハーフアンブレイク》か!」

「このカードは、フィールドのモンスター1体に戦闘破壊耐性を付加して、そのモンスターを介した戦闘ダメージを半分にする。

 俺はそれを《スクラップ・オルトロス》に対して発動した。《オルトロス》と《ブラック・マジシャン》の攻撃力差は800、《ブラック・マジシャンガール》との攻撃力差は300よって俺が受けたダメージは800×3+300の2700の半分の1350だ」

「はは、はははは……すげぇ!まさかこの攻撃を耐えるなんて思ってもみなかったぜ!

 俺はこれでターンエンドだ。これで《ギブ&テイク》の効果も切れる。

 俺は全力を出し切った。お前の全力を、この絶体絶命の状況をどうにかしてみろ、黄昏!」

 

《スクラップ・オルトロス》

レベル:5→4

 

【神埼】

0/3200

○○○○△  

-□---

【黄昏】

0/50

--○--  

--■--

 

「俺のターン……」

 静かに指をデッキトップに乗せ、次引くべきカードを思考する。が、すぐに自嘲的に笑った。

 何を引くかじゃない。引いたカードでどうするのかを決めるんだ。答えは、カードがすべて知っているのだから。

「ドロー!」

 そして引く、おそらく最後の通常ドロー。結末は、すべてそのカードが示してくれる。

 

【黄昏】

手札:0→1

 

「「……………………」」

 黄昏のドローの行方を、その場にいたすべての人間が固唾を飲んで見守っている。どちらが勝ってもおかしくないこのハイレベルのデュエル。すでにここにはデュエルアカデミアの黄昏遊糸も、デュエルギャング『グールズ』の神崎零司も、生徒も教師も取り巻きも存在しない。

 いるのは『黄昏遊糸』と『神崎零司』という2人のデュエリストと観客だけだ。

 すべての建前、立場を投げ捨てて、デュエリストだからという単純な理由で対峙する。

「いくぞ。俺は《スクラップ・キマイラ》を通常召喚!」

 現れたのは黄昏のここぞという時に出される、《スクラップ》の潤滑油の1枚だった。

「続いて《スクラップ・キマイラ》の効果。召喚成功時に墓地の《スクラップ》チューナーを1体蘇生できる。

 俺は《スクラップ・ソルジャー》を蘇生!

 さらに墓地の《ボルト・ヘッジホッグ》の効果も発動。自分フィールドのチューナーがいる場合、墓地のこのモンスターは特殊召喚できる!」

 

《スクラップ・ソルジャー》

☆5・地属性・戦士族

ATK:2100

墓地→フィールド

 

《ボルト・ヘッジホッグ》

☆2・地属性・機械族

ATK:800

 

 立て続けに墓地から蘇る黄昏のモンスターたち。チューナーと非チューナーの組み合わせでなん通りかのシンクロモンスターが呼び出せるが、その中にはレベル8となる組み合わせも存在する。

「ってことは、来るか?」

「お望み通り見せてやるよ!俺はレベル4の《スクラップ・キマイラ》を、レベル4の《スクラップ・オルトロス》でチューニング。

 異なる身体が結合し、ここに破滅の魔物が誕生する。

 シンクロ召喚。這い上がれ《スクラップ・ヘルサーペント》!」

 

《スクラップ・キマイラ》、《スクラップ・オルトロス》

フィールド→墓地

《スクラップ・ヘルサーペント》

☆8・地属性・爬虫類族

ATK:2800

 

 再び現れた蛇を模した《スクラップ》モンスター。そのモンスターの放つプレッシャーは4体の魔導師を統べる神崎の背筋を凍えさすほどだ。

 そして、先ほど感じた首元にナイフが当てられた感覚が、さらに明確に具現化する。それは今目の前にいるこのモンスターの牙だ。イメージとはいえ、神崎の身体は完全に拘束され、その頭を今にも食い千切らんと大口を開いているのだ。

 無意識に足がすくんでいるが、それを誤魔化すことも含めて神崎は声を張り上げて立ち向かう。

「いいぜ、来いよ。俺のこの全力のフィールドを、てめぇの全力でどこまで崩せるのか見せてみろ!!」

「ああ、このターンで決着をつけてやるよ!」

 黄昏は自分の手を高らかに挙げ、宣言するようにその言葉を口にする。

「さあ、反撃を始めようか!

 バトル! 《ボルト・ヘッジホッグ》で守備表示の《スクラップ・サーチャー》を攻撃!」

 

《スクラップ・サーチャー》

フィールド→墓地

 

 小さなネズミがその身体を回転させ、鉄くずで構築された鳥を一撃で粉砕。ダメージも入らずなんとも小規模なバトルだったが、黄昏にとってはこの戦闘もなくてはならない重要な手順だ。

「続いて《スクラップ・ソルジャー》で《ブラック・マジシャンガール》を攻撃。[残骸の一閃]」

 《スクラップ・ソルジャー》はその身体とは釣り合わないほど俊敏な動きで《ブラック・マジシャンガール》の懐に潜り込み、反応させる暇がないほど高速で《ブラック・マジシャンガール》を切り伏せた。

 序盤はブーイングこそ起こった行為だが、2人による真剣デュエルに批判を飛ばす人間はもはや誰もいないだろう。

 

《ブラック・マジシャンガール》

フィールド→墓地

《D・D・R》

フィールド→墓地

【神崎】

ライフ:3200→3100

 

「ぐ……っ!?だが、まだ俺のフィールドには《ブラック・マジシャン》3体が残っている!」

「1体残らず片づけてやるよ!《スクラップ・ヘルサーペント》の効果を発動。自分フィールドの《スクラップ》モンスターが攻撃した次のバトルステップ時に、フィールド上のモンスター1体を破壊する。

 俺はまず1体目の《ブラック・マジシャン》を破壊! [ルイン・レイン]」

 

《ブラック・マジシャン》

フィールド→墓地

 

 《スクラップ・ヘルサーペント》の身体を覆う鱗の一部が上空に打ちあがるとその破片は無数のパーツへと空中分解、それはまさしく小さな雨のような破片となり魔術師へと降り注ぐ。

「《スクラップ》モンスターの攻撃ってことは……」

「もちろん《スクラップ・ヘルサーペント》自身も効果適応される。

 続けていくぞ!《スクラップ・ヘルサーペント》で《ブラック・マジシャン》に攻撃。 [ヘイト・スワロー]!

 そして最後の《ブラック・マジシャン》も[ルイン・レイン]で破壊だ!」

 《スクラップ・ヘルサーペント》が2体の《ブラック・マジシャン》の内1体を丸呑みにすると、間髪入れずに身体の一部を射出、最後の《ブラック・マジシャン》を蜂の巣にした。

 

【神崎】

ライフ:3100→2800

 

 微かに土煙が舞うフィールド。最初の前座とも言えるバトルの後、黄昏のエースモンスターの効果と合わさり4体もの魔導師たちは跡形もなくすべて葬られた。

 まさに破滅の雨。《スクラップ・ヘルサーペント》が存在するフィールドには等しく破滅が降ってくるのだ。

 その光景に、神崎はまだライフが残っているにも関わらずその場に崩れ落ちる。その姿からはすでに戦意は喪失していた。

「嘘だろ……本当にやりやがった。俺の全力を、こうもいとも簡単に」

「このモンスターを使ったからには、俺はデュエルで負けるわけにいはいかない。ダメ押しだがこのターンにトドメをさす!

 リバースカード《破壊神の系譜》発動! 相手の守備表示モンスターを破壊したターン、自分フィールドのレベル8以上のモンスター1体はもう一度攻撃できる!」

 発動されたカードから放たれる光を受けた《スクラップ・ヘルサーペント》が一際大きな鳴き声を上げると、ソリッドビジョンのはずなのに体育館のガラスに罅が入り始めた。加えて、《スクラップ・ヘルサーペント》の姿もテレビの砂嵐のように一部掠れているようにも見受けられる。

「まず……っ!? 俺は《スクラップ・ヘルサーペント》でダイレクトアタック! [ヘイト・スワロー]」

 《スクラップ・ヘルサーペント》の様子に何かを察した黄昏は矢継ぎ早にダイレクトアタックを宣言する。それによって神崎は《スクラップ・ヘルサーペント》の攻撃によって丸呑みにされてしまった。

 

【神崎】

ライフ:2800→0

 

 《ヘルサーペント》の攻撃で再び煙が立ち込めステージの様子がわからなくなるが、今度こそ鳴り響いたブザー音が、無情にもデュエルの決着を告げるのであった。




当初やりたかったこと
・ヘルサーペントの効果判明

最終的にやろうと思ったこと
・ヘルサーペントの効果判明
・ブラマジ関係のサポートカードほぼ全て使用
・ジャストキル

………どうしてこうなった


以下OCG風の効果とその裁定(wiki風)↓

スクラップ・ヘルサーペント
☆8・地属性・爬虫類族
ATK:2800 DEF:2000
シンクロモンスター・効果

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1)自分フィールド上の『スクラップ』モンスターが攻撃を行った次のバトルステップ開始時に、フィールド上のモンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを破壊する。
この効果でこのモンスターを対象に選択することはできない。
このとき、フィールド上にこのモンスター以外存在しない場合、このモンスターを破壊する。
(2)このカードが相手によって破壊され墓地に送られた時、自分の墓地の存在するシンクロモンスター以外の『スクラップ』モンスター1体を対象として発動する。
そのモンスターを特殊召喚する。


(1)の効果について:
・『ファントム・オブ・カオス』等の効果で名前をコピーしたモンスターの攻撃時でも発動する。
・効果の発動が決定するのはダメージ計算後。その後バトルステップに入ってまず最初に効果が発動されます。(『戦闘を行った』について詳しくは『剣闘獣』や戦闘のwikiを見てください。)
・もしスペルスピード2以上の効果でバトルステップ時に名前を『スクラップ』に変更しても効果は発動されない。逆に『スクラップ』が名前を変更されても発動する(そんなカードあるのか知らないですが……)あと、ダメステ時は攻守の増減効果ぐらししかフリーチェーンのカードは発動できないので、ダメージ計算後に名前変更のときなどは考えていません。
・効果対象になったモンスターが効果解決時にいなくなっていた場合は不発。もしそれでフィールドにヘルサーペントしかいない状況になっても、自壊効果はしない。
・『邪竜星ガイザー』のような効果対象にならないモンスターとこのモンスターしか存在しない時は効果は不発となり、自壊もしない。『安全地帯』を使ってるモンスターのときも同様。
・効果で破壊できない等の効果、または他の効果によって同様の効果が付与されているモンスターを選択することはできる。(もちろん破壊はされない)
・自壊が確定してからモンスターが特殊召喚されても、関係なくヘルサーペントは破壊される。
・バトルステップに入ってこのモンスターの効果を発動し、その効果にチェーンして破壊された場合など、効果解決時にこのモンスターがフィールドに存在していない時も、破壊対象のモンスターは破壊される。
・ただし、このモンスターが自爆特攻した場合など、バトルステップに入る前にフィールドに存在しない場合は発動されない。


以上が、私が思いつく限りの、効果を見るだけではわからない裁定です。(2)の効果は『スクラップ・ドラゴン』等と同じ裁定です。
穴はないとは思いますが、もし見つけた場合は修正します
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