無事パソコンが戻ってきました。
他のやつは知らないですけど、Google Chromeってアカウントにブクマとかネットのパスワードとか記憶してくれるんですね。
パソコンが壊れる前にここのアカウントとパスワードをメモしておくの忘れていたので助かりました。
今回はデュエルなしです
再び土煙が舞い上がり、再びステージの様子は周囲からわからなくなったが、デュエル終了のブザーが黄昏の勝利を告げている。黄昏はそれを耳にするとホッとしたのかその場に崩れ落ちた。その息は、非常に荒い。
ソリッドビジョンによるデュエルはモンスターの立体映像しか映さないが、視覚的に来る精神的疲労は無視できないものだ。プロのデュエリストでも大会のようなハイレベルなデュエルは何度もできるものではなく、大会もデュエリストは数時間、場合によっては1日の休憩を挟んでいるのだ。しかし黄昏のそれは、どうやらそれだけではないようだ。
「煙で周囲から見れなくなってて助かった……
デュエルが終了し、ソリッドビジョンで出来た煙も収まってくると黄昏は右腕を押さえながら立ち上がり、神崎の元へと向かう。
神崎の方も疲労困憊の様子で膝をついていたが、その表情は穏やかで直接手を出してくる様子はない。
「完敗だ。今後一切、俺たちはこのデュエルアカデミアの生徒に危害を加えねぇよ」
「セキュリティにぶち込むんだ。当たり前だろ」
「まだ俺より上が一人いるんでな。そいつにも話を付けておくってことだ」
「あっそ……」
素っ気なく返した黄昏はさらに言葉を続けようをするが、何かを感じ取ったかのように顔を上げた。それを不審に思った神崎もそれにならって黄昏の目線の先、サブステージへと続く通路の方に顔を向ける。
そこにいたのは、葵とデュエルをするためにサブアリーナへ向かった篠村だた。
その姿を確認した神崎は、申し訳なさそうに頭を下げる。
「篠村、悪い……
デュエルは負けだ。俺たちは今後一切ここの生徒に――」
「下がれ、神崎!」
言うが早く黄昏が神崎を庇うように前に立ち、デッキからカードを引いて確認をすることもなくフィールドにセットした。その直後、篠村が立っていた通路の奥からどす黒い火球が見えたかと思うと、篠村が炎に包まれ、さらにもう一発がこちらにすさまじい速さで向かってきて、黄昏たちのいるステージに直撃すると爆散した。
その光景に再び悲鳴が上がるが、その煙が晴れた後その場所にいたのは黄昏と神崎、そして……
「ナイスタイミングだ、『ゴブリン』」
黄昏以外何が起こったのかわかっていない状態で、しかし神崎はそんなことに目もくれず炎に包まれた篠村の元に駆け寄り、自分の上着で叩いて炎を消しにかかる。
炎が収まったあと生死の確認をしているが、どうやら最悪の事態は避けたらしい。が、それでも危険な状態には変わりない。早く治療をしないといけない状態で、火球が放たれてきた通路から拍手の音が聞こえてくる。全員が通路の方に目をやると、その影から出てきたのは一人の男。直感的にピエロを連想するような、ひょうひょうとした印象の男性だった。
「いやー、まさかあれを防ぐとはさすがやね」
「ジン!」
「神崎、お前は篠村をつれて病院に行け!」
デュエルディスクから《スクラップ・ゴブリン》のカードを取り除いて新たなモンスターカードをいつでも召喚できるように構えた状態で神崎を促す。
「……悪い」
神崎は黄昏とジンと呼ばれた男を交互に見て、一言礼を言いながらその場を離れ、体育館を後にした。それにならって放心状態だった生徒たちも我先にと体育館の出口へと殺到し、しばらくすると体育館には黄昏とジンの二人の気配だけになっていた。
ジンをまっすぐ見据える黄昏の表情は、デュエル中に見せる獲物を狩るような目ではなく、ただ静かな怒りの表情だった。
「ふう、ようやく静かになったな~。さて、聞きたいことはぎょうさんあるんやけど、まずは
「……言うと思うか?」
ジンの指摘でとっさに黄昏は右腕を庇うように半身になる。一瞬だけ見えたその腕は不自然にごつごつとしているように見えたが、確認する前に黄昏の体の影に隠れてしまった。
「まあそうやろな。モンスターが実体化してたし、大方僕と同じ『サイコデュエリスト』かなんかやろ」
『サイコデュエリスト』とは、主にデュエルモンスターのカードの効果やモンスターの実体化させることができる特殊な力を持つデュエリストの総称である。その力は非常に危険で、力を制御できないとデュエルで相手を負傷させる恐れがあり、長い間忌み嫌われてきた。だが、最近では力をコントロールするための施設も充実し、大体のサイコデュエリストは普通に生活をしてるが……
「お前は明らかに力を悪用してる裏の人間だな」
「そりゃ、こんな力あるのに有効活用せなもったいないやろ。デュエルディスクはみな常備してるさかい怪しまれへんし、そこいらの武器よりよっぽど便利やで」
「だろうな。けど、俺はお前が誰だろうが、どこで何していようが興味ない」
ただ、と黄昏はその眼光を強めてジンに尋ねる。
「七波に危害を加えてないだろうな?」
「七波? ああ、こいつやろ?」
そういって男は少女の青髪を乱暴に引っ張って黄昏に見せつけてきた。葵は全身を負傷しており、今は気を失っているようだった。その光景に黄昏の表情に微かな変化があったが、それを知ってか知らずか追い打ちをかけるようにジンは懐から一つのデッキを取り出す。
「ずいぶん得意げに僕にデュエル仕掛けてきたわりには張り合いなかったな~。
まあ目的のデッキは手に入れたし、僕としては問題ないんやけどね」
「《ヘルサーペント》!!」
勢いよく叩き付けて召喚された《スクラップ・ヘルサーペント》は目の前の敵を丸呑みにせんと突撃する。しかし、骨と皮だけのような痩せた黒い腕がその突進を阻み、逆に弾き飛ばされた。
黒い腕と、それに弾き飛ばされた《スクラップ・ヘルサーペント》が消えるのを横目にジンはため息をつきながらやれやれと首を振る。
「危ないな~。この子が怪我したらどうするんや?」
「なら離せばいんじゃないか?」
口調はいつも通り、しかしその右手には新たなカードが握られている。それは離すまで攻撃するということを暗に示していた。それにジンは渋々といったように葵から手を放し、肩をすくめながら両手をあげた。
「あー堪忍、堪忍やで。さすがに何回も攻撃されたら敵わんわ」
「待て、そのデッキもだ」
「あん?あんた、さすがにそれは欲張り過ぎやで。それなら代わりのデッキをがないと――っと!?」
へらへらとした態度を続けていたジンだが、突然の人影に彼は身体は大きくそらして辛うじて避け、返す刃でその人影に蹴りを入れる。
蹴りを入れられた人影は黄昏の近くまで転がってようやく静止する。その人影の正体は……
「な、神崎!?」
「へっ……これでさっきの借りは返したぜ、黄昏」
篠村を抱えて出て行ったはずの神崎だった。そしてその近くには、ジンの足元にいた葵も横たわっていた。どうやら彼が特攻して助けてくれたようだ。
お礼と、どうして戻ってきたのかを尋ねようとしたところで、ジンは神崎にゴミを見るような目でワザとらしいため息をついた。
「神崎ぃ、あんたにはがっかりやで。高い金だして依頼してやったのにこのざまかいな。篠村は、まああまり期待していなかったんやけどな。しかも最後にこんな真似して、どういうつもりや?」
別に、と神崎は自嘲気味に笑いながら葵の上体を起こし、後のことを黄昏に任せると、まっすぐジンを見据えて立ち上がった。
「俺たちグールズは金で雇われてるだけだ。そこに信頼関係もクソもないんだから裏切ってもおかしくねぇだろ。それに、俺たちは金額分の仕事をしただけだぜ? あんなはした金じゃこれぐらいだってことだよ、エセ関西人」
「エセ……まあ、それはそれや。
さっきの死にぞこないをどうしたのか知らへんけど、戻ってきたってことは敵討ちか?」
「お前とデュエルする暇なんてねーよ。
「ずいぶんと律儀やな~。でも、一つ忘れてへんか?」
崩れた笑みを戻し、ジンはその手に持つものをわざとらしく振って見せる。
それは、デュエリストにしか理解できないが、当人にとっては命と等しいと言っても過言ではないもの。
「俺の本命はこっちや。所有者がどうなろうが――」
「俺と篠村って、グールズに入る前から手癖が悪くてな、よくセキュリティに世話になってたんだ」
「……何の話や?」
突然語り始めた神崎に眉をひそめるジンだが、当の神崎は気にせず続ける
「いつもはマジシャンの真似事で金を稼いでよ、それでも足りない分は――」
そう言って懐からデッキを取り出し、その成果を見せびらかすようにジンの方に向けた。その一番上のカードは、神崎のデッキには入っているわけがなく、同時に葵のエースであったモンスター『水精鱗-ガイオアビス』だった。
「――こうやってスリしてたんだよ。デッキを盗むぐらい俺や篠村なら朝飯前だ」
「な、アホ言え! デッキならここに……『ブラック・マジシャン・ガール』やて!?」
慌てて確認したデッキの一番上は、同じく葵のデッキには絶対に入っているわけがない、しかし神崎のエースカードの1枚。
「神崎、お前もしかして……っ!?」
「デッキの入れ替えマジックだ。楽しんでもらえたか?
まあ、急いでたら『ブラック・マジシャン・ガール』を抜く暇はなかったけどな」
「か、神崎ぃ……!」
「――ずいぶんと余裕がなさそうではないか、ジン?」
してやったりと笑みを浮かべる神崎、そしてその神崎に対して、驚愕の表情を浮かべる黄昏と表情を歪めるジン。三者三様の反応を取る中、ドスの利いた声が響き渡った。
その声によって体育館に張りつめていた一触即発の空気は取り除かれ、とっさにその場にいた全員が声のする方に目をやる。そこには熊かと思うほどの大柄で圧倒的存在感を放っている男が腕を組んで佇んでおり、それを見たジンはバツが悪そうに顔をしかめてその男の名前を口にする。
「大神はん、なんぼなんでも早すぎまへんか? まだ通報されてそない経ってへんやろ」
「偶然この近くをパトロールしていたのでな。まあ、神崎から託された篠村を病院に搬送する準備や生徒たちの誘導をしていたら時間がかかってしまったがな!」
「はあ、その運の良さはホンマ反則やで。で、どないするつもりや?ここで僕捕まえるつもりか?」
「いや、さすがに応援がない今お前と一騎打ちはどう転ぶかわからんからな。どうだ、ここでお前が手を引くなら俺も手を出さんが?」
「……まあ『ブラック・マジシャン・ガール』を手に入れられただけでも儲けもんやな。ほな、これでおいとまさせてもらいますわ……と、その前に」
ジンは首を黄昏の方に向けるとその笑みに一層不気味さを合わせて口を開ける。
「一応君は初対面やから自己紹介や。僕は
そう言ってこの場から離れようとしたジンの背中に向かって、神崎はさらに言葉を放つ。
「俺は絶対にそのカードを取り返しにいく。それまで首を洗って待ってな!」
「まあのんびり待たせてもらいますわ」
背中越しに返答しながら、ジンは通路の闇の奥に進んでいき、その気配も闇の中へと消えて行った。
完全にジンの気配が消えると、体育館では何とも言えない空気が流れる。特にこの状況が理解できないうえ、葵を抱えているせいで身動きもとれない黄昏は居心地の悪さに二人から顔をそらしてしまう。
その静寂を破ったのは、神崎のある一言だった。
「篠村の件、ありがとうございました」
「がはははっ、いいてことよ! お前のところのリーダーにはいろいろと世話になったからな。重症患者を病院に搬送するぐらいなら上も文句は言うまい。
ただまあ、さすがに生徒に手をあげたとなるとしばらく独房送りだろうがな」
土下座でもするのではと思うほど低く頭を下げた神崎と、それを見て豪快に笑う大神と呼ばれたセキュリティらしき大男。犯罪集団のはずのグールズとセキュリティの異様な光景に唖然とする黄昏だったが、二人はお構いなく話は進んでいく。
それに対して何か抗議でもすれば説明をしてくれたかもしれないが、別に必要はないか、と自己判断してそのまま黄昏は葵を支えている状態で待機することにした。
間もなく他のセキュリティも駆けつけると、彼らは神崎の連行と共に黄昏たちを連れて体育館を後にする。
外では先ほど体育館から逃げ出していた生徒たちの手当てやカウンセリングが臨時のテントで行われていた。黄昏も例に漏れずに一通りの手当てを施される。
といっても、デュエルによる精神的疲労以外はとくに何もなかった黄昏はすぐに解放された。対して、意識を失っている葵は黄昏の隣を通り抜けるように担架で救急車へと積まれ、病院へと搬送された。
その光景にざわざわと生徒の中から不安の声が出てくるが、そのざわめきが大きくなる前に、手当てを終えた教師陣が生徒の注目を仰ぐ。
「七波さんは念のために検査入院をするだけです。セキュリティの人からも、命に別状はないとの説明を受けました」
その言葉に、生徒から安堵のため息がこぼれた。それを確認すると、先ほどより柔らかい口調で説明を付け加える。
「今後のことは後ほど連絡しますので、みなさんも今日は帰宅して、ゆっくり休んでください」
──後日、デュエルアカデミア・ダイス校の全校生徒に1週間の自宅待機が改めて連絡された。
ソリッドビジョンのデュエルってやってみたいけど直接攻撃されるのは怖いから勘弁ってのがヘタレな僕の心境です。
そういえばアークファイブ、いつかは来ると思っていたけどデュエリスト兼リアリストが来ましたね。あとしれっとワンキルした忍者も気になります。
ただ公式でハブられた儀式(EXデッキから出ないからかもしれないけど)を使うミエルにはもうちょっと頑張ってほしかった。