クエストのNPCが師匠ヅラしてくる上にクソうざいんですけど 作:伝承者
「【炎帝】! 【炎帝】! ……【炎帝】っ!」
「【全反撃】っ!」
撃ち放たれる炎のことごとくを跳ね返したり身に掠めたりして命を繋いで行く。
あんなアホ火力の炎まともに当たってられないってばよ!
「さっさと当たれっ!」
「当たるかよっ!?」
こちらに明確な死を向けて来ているプレイヤーの名は、ミィ。
新進気鋭の実力派プレイヤー、だったかでちょこっと有名人だった筈だ。
めちゃくちゃ怖えよこの人。
「くっ……この辺りのプレイヤー皆燃え尽きたのかっ!?」
「んぐ……【炎帝】っ!」
「【全反撃】!」
ああもう休み無し!
絶え間なく爆炎がこちらを燃やさんと迫ってくる。
あんなにポーション使ってて大丈夫なのかよ。
「貴様を殺して私も死んでやるっ!」
「ちょっ、何でそうなるんだ!」
色んな意味で修羅場なこの状況。
どうしてミィが俺への殺意で燃え、周りのプレイヤーが灰になってしまったのか。
それは、イベント開始直後にまで遡る
「おお、プレイヤーで一杯だな」
イベントの日となって、集合場所である広場にログインをしてみれば。
そこには我優勝せんと集まった大勢のプレイヤーでみっちみちだった。
「あ、居た居たやっほーツルギ」
「よーリカ。元気だったか?」
「元気も何も、隣で顔見てるでしょ」
剣呑な雰囲気の中、呑気に声をかけて来たのはフレデリカ、通称リカ。
リアルで交友があるが故に、ゲームの中でも話したりする仲だ。
「かっこいい剣じゃん、それが例の奥の手?」
「まぁな。トップ層に勝てるかはともかく一矢報いるつもりだぜ」
「へー……そりゃイベントで出会うのが楽しみだね」
「はは、そん時ゃせいぜい驚いてくれよ」
リカとも程々に会話して。
ゲームの開始時間が近付いてきた。
「おしっ」
「そろそろだね」
気合いの一発を己の顔に向けて、それを皮切りに意識を試合へと向ける。
「じゃ、また戦場のどこかでな、フレデリカ」
「おっけー、相変わらず切り替えはやーい」
そりゃあ開幕油断してました、先手取られて負けましたは洒落にならないし。
あらかじめ気合い入れとくくらいはする。
『ガオー!』
「始まった始まった」
奇妙なドラゴンもどきが出て来て、陽気に解説を始めやがった。
あれ可愛いと思ってイメージしたのかな、だいぶアレな気がするけど。
何はともあれやることは変わらない。
……だった、のだが。
「うああぁ〜っ! 何でこうなるのぉ……!」
「うわ」
転移して最初に出会うプレイヤーがこれである。
俺の出鼻挫くにはこれ以上ないくらい有効な個性である。
初っ端から泣き出すってこれまた珍しいな。
「お、おい大丈夫か?」
「私別に助けようとしてたわけじゃないのにっ! 別にカリスマが欲しかったわけじゃないのにぃーっ!」
「あ、聞いてないなこりゃ」
なんか見たことあるけど、トップ層に半泣きプレイヤーの情報なんてあったっけ?
いや、無い。
そんな面白プレイヤーの情報見たら忘れるわけもないし。
じゃあ女性プレイヤーの誰かか?
「おーい」
「うぅ……もう後にも引けないし……!」
フレデリカ、リカはあんなんだしなぁ。
やべー侍とか聖女? の話はあったけど別にそんな感じでも無さそうだ。
となると……。
「……え、ミィ?」
「うえっ」
あ。
「……」
「……」
「えっと、見てた?」
「ばっちし」
「いつから?」
「飛ばされて来てからずっと」
「……」
あ、やばいなこれ。
ミィの背後に噴火寸前の火山が見える。
「ぁ、え、あ……!」
「えーと、悪い、今のは見なかったことにするから、な?」
「っ……!」
「だから」
落ち着いてくれ、と言おうとして。
その言葉が手遅れだったことに気が付いた。
「え、【
「【全反撃】っ!」
そしてこうなったってわけ。