パーフェクトゲームを目指すには!   作:メタ(ル)

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「ていうかバーサーカー。お前史実では男って伝えられてるはずだが女だったんだな」

「あー‥‥‥(言っちゃって良いかな? まぁいいや)正確には私は並行世界の、女として生まれた宮本武蔵なんだよね」

「!?」


ある主従の会話





裁定者/転生者/夢追人

約束の通りメタンヌは城塞の裏手側へとやって来た。

日陰のあるほどよい風が吹き下ろしてくるような場所だ。

 

 

「‥‥‥居ました」

 

 

周りをきょろきょろと見回っていると件の人物と思わしきものを見つける。

その人物は意外にも若く、シンプルな服装を着た一般人のような見た目である。

 

 

「あの‥‥。」

 

「‥‥‥。」

 

 

「私を呼んだのは貴方ですよね?」

 

「‥‥‥。」

 

 

早速声をかけるメタンヌだが相手からの返事はない。

魔術によるダミーには全く見えないそれはしっかりと呼吸を繰り返しているので生きているのは間違いない。

となればこちらをからかっているのか。

 

 

「からかっているのですか?」

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

 

それでも何もしゃべらない人。

メタンヌは仕方なく彼の体に触れて電流辺りを流そうかと考えた。

 

 

「これ以上喋らないようでは攻撃を‥‥‥?」

 

「zzz‥‥‥」

 

「まさか‥‥!」

 

「zzz‥‥‥」

 

「ずっと寝ていたのですか!?」

 

 

まさかの寝ていたのである。

城壁にもたれかかっているとはいえ、あれは起きていると思ってしまっても仕方のない姿だろう。

よくよく思い出したことだが、あのアサシンが何ともいたたまれない表情をしていたのは、まさかとは思うが待ちすぎた結果、寝不足になっていたということなのだろうか。

何と言うか申し訳ない気持ちが芽生えたメタンヌ。

 

 

「とりあえず、起こしましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━てください」

 

 

ん?何か声が‥‥‥

 

 

「起きてください」

 

 

ああ確かルーラーのサーヴァントと話し合いをするために待ってたのはいいものハードスケジュールをしたせいで寝落ちしていたか。

これでも転生前はオーバーワークには慣れてたんだけど、転生してからというもの弱くなったなぁ。

とりあえず起きるとするか。

 

 

「ぅ‥‥‥あ‥‥‥」

 

「ようやく起きましたか」

 

「‥‥‥天使?」

 

「はい?」

 

「あ、いや何でもない」

 

 

起きたら目の前に救国の聖女(ジャンヌ・ダルク)がいた件について。

なるほど、確かに主人公が一目惚れするわけだ。

一目惚れしかけたが、原作のカップリングになってほしい(疑似的NTRみたいなことをしたくない)から、自身の硬い鋼の意志で耐える。

思わず内心で言ったはずの「天使」というワードが出力されてしまった。

顔を真っ赤にするほどではないが、普通に恥ずかしい。

 

 

「"黒"のアサシンのマスターですね?」

 

「そうだ、名前は相良豹馬。君はジャンヌ・ダルクで合ってるな?」

 

「いいえ」

 

「!!??」

 

 

 

 

 

あれぇ‥‥‥?

 

 

 

 

えーっと‥‥‥何かやらかしたか、俺?

バタフライエフェクトを起こしているのは分かってるけど、ウソだろ!?

原作主人公の気配も一切しないと思ってたけど、まさか主人公&メインヒロイン不在とかそういう世界? ラノベとか二次創作でそういうのはあるけどさぁ‥‥‥。

見た目は確かにジャンヌ・ダルク何だけどよく見れば羽生えてるし神霊系のサーヴァントか。

ほぼ神霊のペルセウスが呼ばれてるから完全な神霊も呼ばれる可能性はあると思ってたけど。

 

 

「失礼を承知ですが、真名をお伺いしても?」

 

「構いませんが(やはり勘違いが起こっていましたか)。改めまして、私の真名はメタトロン・ジャンヌ。大天使メタトロンが英霊ジャンヌ・ダルクを依り代にして召喚された神霊のルーラーです」

 

 

俺はその真名を聞くと卒倒しかけた。

 

 

メタトロン

 

ユダヤ教及びキリスト教、イスラム教に登場する天使の1柱。

その姿は世界の広さにも等しい長身で、36対の翼と無数の目を持つ「炎の柱」として表される。

有名な異称として「契約の天使」、「天の書記」、「神の代理人」などがある。

間違いなくルーラークラスで召喚されるサーヴァントのトップの地位にいるであろう裁定者だ。

 

 

(外典(Apocrypha)は外典でも聖書外典(Apocrypha)の方か‥‥‥)

 

 

外典(Fate/Apocrypha)の外典という物語だから裁定者も外典の存在、一種の皮肉だろうか。

神霊というのは冬木の聖杯では召喚されないはずなのだが、恐らくはバタフライエフェクトによる変な力が働いたのだと思われる。

何てモノを召喚したんだ大聖杯‥‥‥。

 

 

「出会って早々悪いのですが、いくつか質問に答えていただきたく」

 

「内容にもよりますが、できる限りは答えましょう」

 

 

内心では冷や汗をかきながら質問を投げかけ始める。

多分一言でもミスればヤバい。

 

 

「まず最初に脱落した"赤"のバーサーカーの真名。脱落している以上教えてはならないという理由はないと思うのですが、どうでしょう?」

 

「ええ、脱落している以上「教えてはいけない」というルールはありませんのでお教えします」

 

 

大天使から告げられた真名はスパルタクス。

トラキアの剣闘士であり第三次奴隷戦争の指導者。

やはりそういう系の英霊だったか。

後々調べると、ローマ周辺の亜種で召喚されてたわ、今更思い出したよ。

不都合で参加してしまった子ども以外のマスターが全て死亡してるとか扱いずらいサーヴァントだっただろうに。よくこんなものをチョイスする気になったものだ、時計塔は。

 

 

「二つ目、本来の聖杯戦争における「聖杯戦争に参加できるのは7名の魔術師と7騎のサーヴァント。」というルールは既に「7騎と7騎のぶつかり合い」という形で破綻していますが、これに関して何らかのペナルティはあるか回答をしてほしいのですが」

 

「‥‥‥ペナルティの発生は大抵が監督役の裁量にはよりますが、特に無いですね。それと先ほどおっしゃっていた「聖杯戦争に参加できるのは7名の魔術師と7騎のサーヴァント。」というルールは既に破綻しているので気にしなくても構いません」

 

「三つ目、聖杯大戦において『複数召喚』、『複数使役』に関するペナルティは存在するのでしょうか?」

 

「内容は伏せますがあります。このような聖杯大戦であっても、です」

 

(マズいな‥‥‥)

 

 

考えてたプランが出来ない可能性が出てきた。

少し焦っているのもあって微妙に聞きたい内容から少しずれた質問をしてしまった。

それに向こうの回答もプランのケースだとどっちともとれる判定になってしまっている。

ペナルティがどのようなものかは分からないが重いのは間違いない。

仕方ない、この策は中止すべきか。

 

 

「また何かこちらから尋ねたいことが出てくると思いますので、コレを」

 

 

持っていた携帯電話を渡す。

これでルーラーとの連絡手段はついた。

 

 

「いえ、必要ありません。私にはこれ(スマホ)がありますので、電話登録でお願いします」

 

「アッハイ‥‥‥」

 

 

思った以上に現代知識インストールしているルーラー何だなぁ。

この時代には存在しないスマホ持ってるし‥‥‥。

一先ず今日は帰ろう。俺はその場から離れ━━

 

 

一つ、こちらから質問をしてもよろしいでしょうか

 

「構いません‥‥‥が!?」

 

 

振り返ると純白の装いをし、翼を大きく広げた大天使がそこに居た。

サーヴァントって特撮ヒーローものよろしくフォームチェンジがあるんだ。

‥‥‥いや、それどころじゃない。何か凄い眼でこちらを見てきてる。

何か粗相を働いた━━

 

 

この世界で再誕せし領域外の転生人よ。汝はこの世界で何を成す?

 

 

 

おっと‥‥‥。

天使ってのは転生者かどうかを見抜く力でも持ってたのか?

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥大天使ってのは伊達じゃないんだな

 

「否定しないのですね」

 

「別に。否定したところでお見通しだろ?」

 

 

大天使というのは魂の中身を詳しく見れるらしい。

あるいは神の代弁者とはいえ神の領域に踏み込んでいる存在の彼女だから気づいたか。

まぁもうため口で話すとしよう。

難しい質問をしてきた。拒否権は恐らくない。というか拒否したら裁定される。

 

ここは本心を素直に答えるか。

 

 

「今の()には何かを成すつもりはない。強いて言えば‥‥‥生きたい、かな。二度目というチャンスを貰ったからこそ、どんな手を使ってでも俺は今度こそ長く生きたい。どうかな?」

 

「‥‥‥。」

 

 

別に転生したこの世界で何かしたいと思ってはいない。

ただ前世よりも長く生きたい。それだけだ。

 

しばし無言となるメタトロン・ジャンヌ。

しかし、次には‥‥‥

 

 

「はぁーもう良いよ。思ってた以上に生に執着したありきたりの一般人の感性をしてたから、私が裁定する必要ないねー、それにメンドイし」

 

 

何か姿が変わってた。

見た目は幼く、大天使とは思えない世俗染まりな現代っ子である。

聖書的に考えるとしたら『怠惰』か。

 

 

「てなわけでー『貸し』を条件にやって良いよー」

 

「と言うと?」

 

「どうせ〇〇〇で□□□をやるつもりだったんでしょ? △△△で━━━ならちょっと問題だったけど、〇〇〇で□□□なら管轄外ってことでやっても咎めないよー。それに向こうもルール違反してるっぽいし、一々細かく裁定するのがメンドイ」

 

「サンキュー、というかその状態で裁定できるのか?」

 

「問題ないよーもうすぐで━━こうなります」

 

「‥‥‥多重人格か?」

 

「そんな感じですね」

 

 

二重人格のサーヴァントは知っていたが、多重人格の、それもルーラーが居たとは。

サーヴァントって奥が深いなぁ‥‥‥。

しっかし向こうがルール違反してるのは確定か。目星は代行者だが、こりゃ厄介だな。

 

 

「ではまた」

 

 

ルーラーは去っていった。

にしても天使、三重人格ね‥‥‥厄ネタあるかな?*1

そう言えば『貸し』って何なんだろ?

天使の貸しって絶対碌な事じゃない気がする‥‥‥!

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「初めまして、大天使メタトロン様」

 

「こちらこそ、お久しぶり(・・・・・)ですね天草四郎時貞」

 

 

天草四郎は平然とした顔で目の前にいる英霊を見る。

名をメタトロン・ジャンヌ。

救国の聖女(ジャンヌ・ダルク)を依り代に召喚された本物の大天使。

本来であれば会うはずもないイレギュラー中のイレギュラーのルーラー。

そのような者がつい先ほど教会の門を開けてきた。

魔術的隠匿をしていたのにも関わらず正面から堂々と侵入してきたことで自身以外は警戒態勢に入っていたが、

 

 

『武器を下ろしなさい。私は彼と話すためだけに此処に来ました』

 

 

ただ、それだけ。

その一言が全員の動きを止めた。

今この場に居るサーヴァントたちに重圧をかけていたのだ。

 

こうして今は1対1の状況でイスに座って会話を交わそうとしていた。

周りはアサシン(セミラミス)を含め、誰も居ない。

 

 

「失礼ですが、「お久しぶり」とおっしゃいましたね? 私としては身に覚えがないのですが」

 

「こことは違う別の聖杯戦争のような場所でお会いした、とでも言っておきましょう」

 

 

成程、確かにそれならありえるか。

英霊の座は時間の概念がないのでそういうこともありえるだろう。

まさか別の私がかの大天使と会っていようとは。

 

 

「では、そろそろ本題に入りましょう。天草四郎よ、なぜ私を狙った?」

 

「正直に答えましょう。貴女様を狙った理由は私の計画の邪魔になると見込んだからです」

 

「計画というのは?」

 

「世界平和━━いえ、人類の救済です」

 

「成程。その殉教の精神と世界平和を願う心は素晴らしいものだと思います。ここでなければ賞を授与したいほどですが」

 

「はは、かの大天使様にそのようにおっしゃられると嬉しいですね」

 

 

彼女は嘘をついていない、本心だ。

まさか自分の願いに賛同してくれるとは予想だにしなかったので意外と喜んでいる。

 

 

「良いでしょう。前回の襲撃の件は水に流します。以降は気を付けてください」

 

「そちらの寛容な心に感謝します」

 

「では次に、人類の救済方法は第3魔法によるものですね?」

 

「大天使様はお見通しでしたか‥‥‥。おっしゃる通り私は第3魔法、天の杯(ヘブンズフィール)を行使することで人類の救済を行う予定です」

 

 

第三魔法、それすなわち不老不死である。

聖杯による魔力を利用して聖杯の本来の使われ方である第三魔法の適応を過去・現在・未来問わずすべての人類に行うことによって恒久的な世界平和でありながら誰一人不幸にさせない世界を創ることを目的として使用することが天草の大聖杯にかける願いだ。

様々な創作・哲学で「人類の救済」という壮大な命題に対する1つの解答とされているが、同時にある意味間違った解答ともされる。

さて、これを聞いて大天使はどのような意見を呈するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━好きなようにしなさい

 

「はい?」

 

「本来であれば聖杯戦争を裁定するルーラーとして貴方に裁定をするのが正しいのでしょう。しかし、別人(別の影法師)とはいえ私は貴方に恩があります。なので此処で恩を返すという意味合いも込めて━━好きにやりなさい、天草四郎時貞よ」

 

「‥‥‥。」

 

「ただし、私は貴方の行く末を最後を見届けるだけで手助けはしません。それは"黒"の陣営にも同じです」

 

「つまり、どちらの陣営にも付かず、干渉をしない限り中立的な立場に居る、と?」

 

「はい。貴方が大聖杯を使って天の杯(ヘブンズフィール)を使うとしても止める気はないです」

 

 

ありがとう別世界の私。

どこかの聖杯戦争でまさかこの大天使様に恩を作ってくれていたとは。

ここまでお膳立てされた絶好の機会を逃さないと改めて計画を実行しようと気合を入れ決意を宿す天草。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、台無しなことを言ってしまうと、この世界線は"黒"の陣営が愛されまくった世界線である。

つまり、"赤"の陣営は確定で敗北することを筆者から述べられているのである。

 

 

 

 

 

*1
もう彼女には無いです




今回のまとめ:


転生相良君「あー眠みぃ‥‥‥ゑ、ジャンヌ・ダルクじゃない!?メタトロン!? 何ていう奴を召喚してるんだ大聖杯‥‥‥」

怠惰「いちいち裁定するの面倒だしやりたいことやっていいよー」

転生相良君「マジで!?」


~~~


天草「ありがとう別の自分。メタトロンに恩を売っていたおかげで計画が順調です。介入しないという言質は取りましたしこれで自害防止用の令呪も浮かせられる」

メタンヌ(1臨)「本来なら介入すべきですが、互いにルール違反をしてますし、もう裁定したところで無駄ですね」(諦め)




というワケで主人公のメタンヌの邂逅&天草とメタンヌの邂逅でした。
もう質問の内容で転生相良君がなにをしようとしているのか大方分かりましたよね。
メタンヌが相良君の正体に気が付いたのはギル様の千里眼のような「魂と肉体が一致していない~~」みたいな感じで一瞬でバレました。
聖杯大戦におけるメタンヌの心情としては「抑止が可哀そうだから挙手して来たけど、色々面倒だから静観。ルール違反は‥‥‥ある程度までなら見逃す」とのことです(それでいいのか大天使‥‥‥)

ちなみに、この話までは"黒"の陣営は皆、ルーラー=ジャンヌだと勘違いを起こしていました。ガチ神霊が召喚されているなんて普通は思いもしませんからね。


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