パーフェクトゲームを目指すには!   作:メタ(ル)

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「あら、アタランテじゃない! 貴女がその聖杯大戦でアーチャーとして召喚されてたのね」

「ああ、久しぶりだなメディア。積もる話もあるし、昔話もしながら━━飲まないか?」(日本酒を両手に)

「‥‥‥酒好きだったかしら、貴女って? まぁ飲めるから問題ないけど。あ、そうだ。ペルセウス、貴方も飲まない? 貴方の恋愛エピソードを是非とも参考にしたく」

「良いよ。丁度お酒飲みたかったし」


※酒好き(謙信、お栄ちゃん)が日本酒を布教した結果‥‥‥





Ⅳ 偽装工作

突然だが、教育実習とは何だろうか?

 

本来であれば、教員免許取得のために学校現場で指導を受ける単位修得プログラムであり、大学四年次の五月から六月、あるいは秋頃に実施されるのが一般的だ。少なくとも、この冬の時期にやって来るものではない。違和感があって当然である。

 

だが、こうした「違和感」は魔術によっていくらでも上書きできる。

 

俺が用いたのは「暗示」と呼ばれる、初歩中の初歩の魔術だ。

効果は対象の認識に依存し、魔力耐性が低いほど強く作用する。逆に耐性があっても、術者の技量次第では一定の影響を与えられる。

 

今回は九州の教育機関として著名な福岡教育大学へ電話をかけ、応対した教員――運のいいことに教頭だった相手に対して暗示を重ねながら書類を偽造させた。

結果として情報の裏付けが強まり、形式的な整合性も確保される。いわば「通ってしまう嘘」だ。

さらにその偽造書類を携えて穂群原学園へ赴き、学園長に対しても軽く暗示を挟むことで、潜入そのものはあっさりと完了した。

 

ちなみに偽造書類の都合上、名前もそれぞれ変更してある。

ペルセウスは「伊勢三杏路」、俺は「鬼灯木伏」と名乗ることにした。

ペルセウスの方は、以前のマスターが使っていた偽名らしく、聖杯戦争中にその名前で普通に高校生活まで送っていたという。よく今までバレなかったものだ。

俺の方の名前については、まあ察する人には察するだろう。*1

 

今回この学園に潜入している目的は、他マスターおよび候補者の観察だ。

妨害が主目的ではない。あくまで、(俺の知る限りの)流れ通りに事態が進行しているかの確認に過ぎない。

それと補足として、ペルセウスにはメディア経由で「霊体化および変装時にはサーヴァントだと感知されにくくなる」魔術を付与してもらっている。

一方の俺自身も、潜伏系の魔術によって存在感そのものを薄め、感知を避ける処理をしている。

 

 

こうして学園に潜入して教育実習生のフリをしながら生活をしているのだが‥‥‥

 

 

「まだかぁ‥‥‥」

 

 

かれこれ1週間、まだメインを出張るサーヴァントが召喚されていないのである。

時系列これズレてるのか?

今は1月29日なのだが、始まる気配が感じられない。

発生している事件もメデューサによる吸血事件ぐらい。

"冬木"という名前な以上、この冬の季節に行われるのは間違いないのだが、もしかすると2月下旬に開始されるのだろうか。

 

ただそれとは別の話題も色々あったりする。

 

 

「悪いね、衛宮君。わざわざ荷物運びまで手伝ってもらっちゃって」

 

「いえ、これぐらい当然ですよ、鬼灯先生」

 

 

教室の外、廊下を挟んだ先で段ボールを抱えながら歩いているのは赤毛の少年。

衛宮士郎━━この学園に通う、ごく普通の高校生であり、そしてfate/stay nightの主人公でもあり、この世界の中心に巻き込まれていく存在でもある。

少なくとも、“普通の高校生”という枠に収まるには少しだけ歪な気配もあるが。

さすがに聖杯大戦みたく主人公不在とかそんなクソッタレな状況じゃなくて助かったと思う今日この頃。

 

 

「鬼灯先生って、意外とこういう雑務もやるんですね」

 

「教育実習生ってのは、わりと何でも屋みたいなもんでねぇ」

 

「そうなんですか?」

 

「まあ、半分は建前だけど(というか教育実習したことないから知らん)」

 

 

軽く誤魔化しながら返すと、士郎君は納得したように頷いた。

葛木さんが生徒会顧問なのもあってその手伝いで生徒会室に行くとよくいる生徒で、よく会話をするのでそこそこ好感度は稼いでいたりする。

 

目の前の少年が“正義の味方”を目指していることは知識として理解している。

だが、それが実感として迫ってくることはあまりない。

 

ただ一つだけ言えるのは、彼が自分の信念に従って行動しているという点だ。

それ自体は歪みを含んでいようと、間違いなく本物だ。

だからこそ、危うい。

 

まぁどの道、いずれぶつかるだろう。

それは聖杯戦争で。

ただ一言、言うのであれば。

 

 

「━━死ぬなよ」

 

「え?今、何か言いましたか?」

 

「いや、特に何も」

 

 

誤魔化すと、士郎君は少し不思議そうにしながらも、それ以上は追及してこなかった。

早く本来の目的に戻りたいと思いつつも、気づけば教育実習生としての日常は淡々と続いている。

これに似た高校生活をペルセウスは聖杯戦争の期間含め数カ月やってたらしいからさすがだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

とうとう原作とズレ始めていることを考慮しだした俺は行動を開始することにした。

もう原作なんぞ知るか。

というか俺の中途半端な原作知識なんぞアテにならないし。

 

 

まず手始めに監督役に参加表明を手紙(・・)で送り付けた。

原作であれば、アサシンのマスターはメディアであり、そのまま柳洞寺側に収束していくはずだった。だが、この世界線ではすでに事情が違う。こちらは既に戦力が整っている上に、そもそも聖杯戦争そのものから一度降りる判断をしているため、アサシンを改めて召喚する必要がない。

ならば次にやるべきは単純だ。「アサシンのマスターとして、こちらから参加を宣言する」、と。

 

あえて原作と異なる行動を取ることで、微妙なズレ━━いわゆるバタフライエフェクトを意図的に発生させ、状況そのものを動かす。受動的に流れをなぞるのではなく、能動的に歪ませていくための一手だ。

 

そして手紙という形式を選んだのには理由がある。

ひとつは、監督役として控えているであろうギルガメッシュとの不意の遭遇を避けるため。もうひとつは、言峰綺礼に直接対面で探りを入れられ、舌戦の中でこちらの情報を引き出されるリスクを避けるためだ。

暗示を使えばある程度の誤魔化しは可能だが、それも万能ではない。

『暗示』はあくまで魔術であり、魔術的感知の対象になる。対して『潜伏』は感知を薄める方向性ではあるが、それでも完全に安全圏というわけではない。

だからこそ、物理的な痕跡が薄い“郵送”という手段に落ち着いた。

 

 

「速達で送ろ」

 

 

本来であれば使い魔を飛ばすのが手っ取り早いが、今回は手元に専用の使い魔がない。三郎の蛇魔を使うという選択肢もあったが、あれはあれで目立ちすぎる。状況的に余計な誤解を招きかねない。

その結果として選ばれたのが、最もアナログな郵便という手段だった。

だが逆に言えば、それはそれで理に適っている。追跡されても情報として残るのは“架空の差出人”という空白だけだ。

 

 

たったこれだけ。手紙を送ることが『行動』‥‥‥なわけがなく、勿論他にもある。

ただその前に、やらなければいけないことが複数。

 

サーヴァントたちとのコミュニケーションである。

ここ最近は、柳洞寺の“カラクリ屋敷化”対応や教育実習という名目の潜伏生活をしていたこともあり、サーヴァントたちとコミュする時間が極端に減っている。

 

 

「というワケで来たい奴だけでいざ新都へ来たはいいもののなぁ‥‥‥」

 

『?』

 

「お前らマジで頼むから出費押さえてくれ‥‥‥」

 

「フフ‥‥‥」

 

「無理だナ」

 

「無理です」

 

「ん?」

 

 

よりにもよってやって来た奴らが作家系サーヴァント(n^2回目)謙信&オルタ(自由気ままな奴ら)のおかげで財布事情がややヤバい。

この世界の俺の貯金はあるにはあるけど、少ないんだぞ。

あーでもこの中ならダンテが一番マシか。

ああ見えて切り替えができるタイプで、場の空気を読む能力もそれなりにある。少なくとも破滅的な浪費はしない側だ。

 

 

「こっちの方がいいんじゃないですかね?」

 

「いや、さっきの方が似合ってたぞ」

 

「もう一回だけ試すかナ」

 

 

女子3名はそこそこお高いブティックで色々試着して、観賞して、別のコーデを試着するの繰り返し。

あれもこれもと服を試し、鏡の前で確認し、気に入らなければ即別コーデへ。

なんだかんだ言ってこいつらも一般人に近しい感性を持っていたりするのである。

なお、ここに来ていないメタンヌは怠惰モードで寝てる*2し、アタランテはそのメディア相手に懐かし話に花を咲かせている。

 

 

「フフ、何だかんだ私たちサーヴァントも娯楽に浸ることの一つや二つはあるよ。あ、会計は頼むよ」

 

「あーい‥‥‥合計金額は3万。まだ出費としてはマシな方か‥‥‥」*3

 

 

イタリアンレスランを一人で3万円って安い方じゃない?

俺はあまり訪れることがないから知らないけど。

 

 

「というわけでマスター、三名分の支払いお願いしまーす!」

 

「あぁ‥‥‥はい‥‥‥」

 

 

完全に財布係である。

この三人もここぞという時ははっちゃけるタイプである。

特にこういうマスターが色々買ってくれるタイミングだと尚更。

一応、購入した服はそのまま元の世界へ持ち帰ることができるらしいため、単純な浪費ではないのが救いではある。

 

今さらながら思うが、冬木の聖杯戦争においてアジア圏サーヴァントの適応力はかなり高い。

知名度補正による戦闘力の底上げもそうだが、こうして現代文化に溶け込んだときの違和感のなさが尋常ではない。

傍から見れば今の俺らは年齢的にも大学のサークルみたいに見えるだろうし。

 

 

さて、こういうデート染みた行為をしてサーヴァントの好感度が上がっているのだが、読者諸君は思うだろう。

「サーヴァントと"そういう関係"になるのでは?」、と。

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うとそんなことはない。

残念なことに。

 

 

というのもお栄ちゃんはああ見えて既婚者(子持ち)だし、謙信ちゃんも一説だと既婚者(ただし子は全て養子)、アタランテは信仰上の問題多数だし、オルタは察するに藤丸立香love勢(多分そういうこと)だし、メタンヌは聖書的に色々マズい。

なので俺はある程度距離を保って使い魔(道具)、ではなく友人の距離間で接しているし、それを察してかサーヴァントの連中も適切な距離間で接してくれている。

一夫多妻制とかいう概念が三郎さんの時代、昔の日本にはあったがそれをこの現代の倫理観の下やるわけにもいかないし、それをする度胸なんてない。

まぁ祭位(フェス)だからそれなりに魔術師から求婚されるので、本気で愛せるような人がいるなら結婚するつもりだが‥‥‥。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

ここまで地味なコミュニケーション取りで、前置きが長くなってしまったが、ここからが『行動』だ。

場所は柳洞寺の敷地内にある霊脈が濃い場所。

そこにはメディアが作成してくれていた魔法陣があった。

 

 

「つくづく俺は聖杯戦争に愛されてるんだろうな‥‥‥」

 

 

左手の甲にある4画(・・)の令呪を見ながら呟く。

 

本来の冬木の聖杯戦争というもののマスターの選考基準について。

実はある程度決まっており、まず遠坂、マキリ、アインツベルンの聖杯戦争御三家の本家に最初に令呪が浮かび上がる。

残り4枠の内1枠が確定で魔術協会より派遣された者で、残り3枠は他に参加したい者であれば早い者勝ちの予約制で浮かび上がるように仕組まれている。

しかし、聖杯戦争の認知度が低いためか予約制で参加するのは多くても2組。

となるとどうなるかと言うと、聖杯が冬木市を中心にマスターとなる者を選考するのである。

これの選考基準は御三家の縁者(養子も含まれると思われる)>魔術協会所属者≧野良魔術師>魔術使い>魔術回路持ち一般人というような大小関係がある。

先ほど言ったようにこれを冬木を中心に選考するので冬木から近いければ近いほど選ばれる確率が高くなる。

 

これが一般的な冬木の聖杯の知識なのだが、この世界の汚染された冬木の聖杯だとここに悪性の強い奴が選ばれやすい傾向にある。

まぁこれは御三家の参加者を除くと時計塔から2名、縁者から1名、ラストが俺というようになっているので今回は関係ない。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

 

なぜ俺に令呪が増えたか?

 

アインツベルンは少女一人に任せてただ傍観することを選んだ。

 

遠坂は縁者がいても一般人しかいない。

 

マキリは長の間桐臓硯がいるがあれを参加者判定するか怪しい。

 

魔術協会も既に枠が出揃っていた。

 

聖杯は衛宮士郎を選んだ。

 

 

ここで本来ならメディアがもう1枠を取っていたのだが、受肉のために令呪を2画使い切り召喚していなかった。

つまるところアサシン枠という1枠がフリーだったのだ。

そして聖杯がラスト1枠のマスターとして大聖杯の設置場所に近い、(特殊な)魔術師の俺を選んだ。

あるいは世界の抑止力的な何かが働いたか、バタフライエフェクトか。どちらにせよ“空き枠が埋まるべくして埋まった”という感覚だけがある。

 

 

元からサーヴァントと契約しているという面子を保つために残していた令呪1画に、追加されるように浮かび上がった3画の令呪。結果として計4画。

この世界で令呪が宿ったということは、すなわち新たなサーヴァント召喚が可能になったという意味でもある。

 

 

「サーヴァント召喚‥‥‥」

 

 

まさか人生で2回目のサーヴァント召喚となるとは。

魔術師がサーヴァント召喚を複数回行う機会は少ないと思われがちだが、実際はそうでもない。亜種聖杯戦争の乱立により、常連の参加者や召喚代行者といった半ば職業のような概念すら存在している。

 

 

早速召喚したいところだが、俺は一度立ち止まって考える。

触媒はない。必然的に縁召喚になる。つまり運ゲーだ。

 

 

「冬木の聖杯戦争だとアサシンはハサン固定……いや、亜種聖杯戦争だとハサン以外を呼べる術式もあったな。ただそれでも候補は限られる」

 

 

ハサン以外を呼べるとしても、この聖杯は東アジア圏の英霊は基本的に排除される。さらに神霊の召喚も不可。だが聖杯の汚染によって反英霊は混入可能。

そうなると“当たり枠”は絞られる。

 

 

「大戦で城の宝具を見せたセミラミス……いや神性持ちはギルガメッシュ相手に危ない。中東の亜種で暴れた狂信者のハサンもアリだが制御が怪しい。ネロは……まあ汎用性はあるか」

 

 

「うーん‥‥‥如何せん当たり枠が少ないうえ、対ギルガメッシュを想定すると神性持ちのセミラミスは除外するからなぁ‥‥‥」

 

 

思考が回るほどに選択肢は減っていく。

 

 

「うーん……東アジア圏が呼べないのが痛いな。佐々木小次郎みたいな例外、どうやって引いたんだあれ」

 

 

アサシンの中でも上澄みである李書文や、亜種聖杯戦争で見かけた燕青も候補にはなるが、縁召喚で狙える保証はないし、対ギルガメッシュへの決定打にもなりにくい。

 

 

「……仕方ねぇ。エクストラ込みで広げるか」

 

 

アサシンに拘るより、エクストラクラスまで含めて“当たりの母数”を増やす。合理的な判断だ。

ワンチャンでルーラーが来る可能性すらあるし、東アジア圏の例外引きも期待できる。

 

 

「対ギルガメッシュにメチャいいサーヴァントっている?」

 

 

山の翁(キングハサン)

 

「アヴェンジャー適性持ちノッブ」

 

「丑御前」

 

「アルターエゴで千子村正」

 

「キングプロテア」

 

「テュフォン・エフェメロス」

 

 

「オーケー‥‥‥半分は知ってる奴来たけどもう半分はガチで知らないな」

 

 

この中から選ぶとしたら織田信長かな。

次点で千子村正。

正直、知らない方の面子は“強い”以前に“制御できるか怪しい”枠だ。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師■■■■■■■。手向ける色は‥‥‥あ、いらないんだった」

 

 

というワケでこれ以上議題を増やす必要はなかったので召喚してみよう。

前使っていたカンペだったので懐かしい1節が目に入ったのでそのまま口に出してしまった。

ここは聖杯大戦ではない、聖杯戦争だ。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師■■■■■■■」

 

 

改めて召喚だ。

 

 

「━━告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うのならば応えよ」

 

 

触媒は無し。

もうこの際だ、アサシンでもエクストラクラスでもいい。

 

 

「━━誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

最悪、弱い能力のサーヴァントだったとしても仕方がない。

ありえないとは思うが、もし主人公が途中で脱落するような事態になれば、その時はその時だ。

 

その場合の対ギルガメッシュ戦は、ほぼ総力戦になる。

本気状態のメタンヌ、沖田オルタ、そして謙信。そこに手厚いサポートが加わったガチ構成だ。

メタンヌ曰く「本気を出せば悪くて相打ちには持ち込める」とのことだったが、正直それは“相打ちで済めばいい方”の評価でもある。

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ━━!」

 

 

詠唱が完成する。

魔力の流れが収束し、確かに“何か”は呼ばれている手応えがあった。

 

よっし! 召喚成功したな。

縁召喚だったが、これは間違いなく成立している。

頼むから強いサーヴァントであってく━━

 

 

 

 

 

――シーン

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥?」

 

 

あれ?

サーヴァントが召喚されたはずなのに‥‥‥出てこない?

 

 

「何かやらかしたりしたか俺?」

 

 

ありえそうなのは初手で呪文をミスってやり直したことぐらいしかない。

いやホントに何でだ?

あ、もしかしてエクストラクラスやらアサシンの固定を解除する呪文をそういや入れてなかったな。

多分そのせいで召喚したはずのサーヴァントの姿も影も━━

 

 

 

 

アサシン、召喚に応じ参上した━━問おう、汝が我のマスターか?

 

 

 

静寂に包まれた、夜の暗闇にて。

その夜の静寂を裂いて、声が落ちた。

目の前に立つはアサシンと名乗る、骸骨の仮面を被る暗殺者。

重く、乾いた声には圧があり、ただのアサシンという言葉では片付けられない存在感がある。

エクストラクラスではなく順当にアサシンだった。

 

骸骨の仮面を被るそれは間違いなくハサンのそれだった。

 

 

「‥‥‥ハサン、だな?」

 

「‥‥‥。」コク

 

 

俺の問いかけに目の前の仮面は頷く。

短く、確かな肯定だ。

 

 

「真名は‥‥‥あ、いや二つ名を教えてほしい」

 

「我が名は━━━━のハサンだ」

 

 

その名は俺も噂程度でしか聞いたことが無かったが、今の状態から察するに間違いがなかった。

間違いなくアサシンの中で強力なサーヴァントだろう。

しかし‥‥‥

 

 

「当たりなんだけど‥‥‥召喚されるらな今じゃねぇんだよなぁ‥‥‥」

 

 

対ギルガメッシュという一点に限れば、理想とは噛み合わない。

戦力としては申し分ないのに、欲しい方向性だけが違う。

召喚されたアサシンは俺の表情を見て困惑?してるのか。いや、しているのだろう。

 

 

 

なんかごめんな、アサシン。

俺の「ギルガメシュ戦に有効なサーヴァント」という理想像から外れたばっかりに。

 

 

 

 

 

 

*1
ヒント:苗字と名前を分けて、木伏→キブシとすれば‥‥‥

*2
「着せ替え人形疲れた‥‥‥。他の人格にも肉体の疲労感が伝わるんだよね。じゃあ寝る」とのこと

*3
感覚麻痺




何気に言い忘れてましたが転生相良君はアポの相良同様「暗示」、「潜伏」、「防御(ただし生贄無し)」といった魔術は扱えます。
ただし防御魔術は先述したように生贄を使っていないのでデバフリセット方面に応用が利く低レベルの魔術になってます。


ちなみに‥‥‥

しれっと転生相良君はアサシン(ハサン固定解除)の呪文を言い忘れてます。
なので、ハサンが呼ばれちゃいました。
召喚されたハサンは‥‥‥誰でしょうね?


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