パーフェクトゲームを目指すには!   作:メタ(ル)

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『━━次のニュースです。昨夜未明、新都にある〇〇ビルと□□本社の一部が損壊。警察によれば事件性があるか不明と』

『速報です。警察からの公表によると、室内に設置されていた暖房器具が誤って爆発したとして今現在事故の方面で調査を進めているとのことです』

「‥‥‥よく、これで隠蔽できたな!?」


翌日、ニュース番組を見た感想。
なぜか隠蔽できてたらしい。


XIII strange fake(ではない)

夜の高層ビルの屋上は、風が静かに、しかし確かな力を伴って吹き抜けていた。

地上から遥か離れたその場所では、街の喧騒すら遠い。眼下に広がる夜景の光だけが無数の星のように瞬き、先ほどまで繰り広げられていた激戦の余韻だけがその場に残されていた。

 

 

「さてと‥‥‥まず何の話を聞きたい、衛宮士郎?」

 

 

穏やかな声音だった。

士郎の目の前に立っているのは、つい先ほどまでメデューサと互角以上の戦いを演じていたペルセウスのマスターと思われる鬼灯先生。

学校では生徒たちに慕われる好教師として振る舞っていた男だ。

だが今は違う。

夜風に揺れる灰色のコートの隙間から覗く左手の甲には、鮮やかな令呪が刻まれている。

それだけで十分だった。

彼が間違いなく聖杯戦争のマスターであることを証明するには。

 

 

「鬼灯‥‥‥あんた、魔術師だったのか?」

 

 

士郎は絞り出すように尋ねる。

信じたくなかった。

だが目の前の現実は、それを否定する余地を与えてくれない。

 

 

「ああ。これでもそこそこ歴史のある日本の魔術師家系の当主でね」

 

 

あっさりとした返答だった。

まるで大した秘密でもないと言わんばかりに。

聞きたくなかったと言えば嘘になる。

だが実際に答えを突きつけられると、胸の奥に重たいものが沈んでいく。

あんな善人の顔をしていた鬼灯先生が魔術師だった。

しかも聖杯戦争の参加者だった。

その事実が妙に重かった。

 

 

「聖杯戦争のマスター、なんだな?」

 

 

「そうだ。この真のライダー偽のアサシンのマスターだ。出てこい、アサシン」

 

 

男がそう告げた瞬間だった。

足元に伸びる影が不自然に波打つ。

まるで液体のように揺らめいた闇の中から、一つの人影がゆっくりと姿を現した。

黒い外套。髑髏を模した仮面。夜そのものを纏ったような気配。

見間違えるはずがない。

 

 

「あのアサシン‥‥‥!」

 

 

そう。

先日キャスターと共に襲撃を仕掛けてきたアサシンだった。

 

 

「あのアサシンのマスターはあんただったのか‥‥‥!」

 

 

驚愕が漏れる。

だが、考えてみれば辻褄は合っていた。

学校の教師である鬼灯なら、自分たちの行動をある程度予測できる。

凛や慎二の不自然な動きからマスターである可能性を察することも容易だろう。

 

そして何より、目の前の男は魔術師として完成され過ぎている。

襲撃した翌日に何食わぬ顔で学校へ現れ、生徒たちと会話を交わす。

まるで何事もなかったかのように。

さらにサーヴァントの運用も巧妙だった。

正面から戦わせるのではなく、奇襲と攪乱のトリッキースタイルに徹底する。

戦力を最大限に活かすための判断が的確過ぎる。

士郎が警戒を強める中、隣に立つセイバーが一歩前へ出た。

 

 

「ありえない。サーヴァントの同時運用など不可能だ。加えて、『真』と『偽』とは何だ?」

 

 

その疑問はもっともだった。

ライダーとして召喚されていたはずのメデューサと同時に存在するペルセウス。

本来あり得ないはずの二騎同時運用。

そして真のサーヴァントと偽のサーヴァントという未知の概念。

聖杯戦争の常識から外れ過ぎている。

士郎ですら異常だと理解できた。

 

 

「順を追って説明しよう。まず二騎同時に運用できている点については、アサシンが極めて特殊なスキルを持っていて‥‥‥別に隠す必要性もないから言うけど、影にいる間は魔力を一切消費しない。ついでに攻撃の魔力消費もほとんどない。つまり、もう一騎サーヴァントを維持できるだけの魔力が余ってるんよ」

 

 

「なっ!?」

 

 

思わず声が漏れる。

そんな能力が存在するのか。

横ではセイバーも僅かに目を見開いていた。

 

「なんて羨ましい。こっちは魔力がカツカツだというのに‥‥‥」と言いかける所だったが、寸前で飲み込むセイバー。

そもそもアサシンのサーヴァントは基本マスターの暗殺に赴く者が多いので魔力の消費が控えめとは言われていたが、このアサシンの能力はそれを越えていた。

異常と言いたいが理論上は可能だ。

だが、本当に問題なのはそこではない。

 

 

「『真』と『偽』について語ると長くなるけど‥‥‥まあいいや」

 

 

鬼灯は肩を竦める。

 

 

「まず“偽”のサーヴァントたち。これは今召喚されている七騎、つまり君らも含まれるんだが、ざっくり言えば偽の聖杯戦争で呼び出された存在だ」

 

「偽の聖杯戦争だと?」

 

 

士郎が眉をひそめる。

 

 

「ああ。偽のサーヴァントには説明されてなかったか。従来通りの召喚方法ではあるんだけど、目的は別にある。君たちはある計画の呼び水として用意された『存在しない聖杯』によって呼び出されたサーヴァントたちなんだよ」

 

「なん、だと‥‥‥?」

 

「聖杯が、存在しない?」

 

 

士郎とセイバーの声が重なる。

存在しない聖杯。

 

その言葉が意味するものを理解した瞬間、二人の表情が凍り付いた。

もしそれが本当ならセイバーは、願いを叶えるために戦ってきた全てが、最初から無意味だったことになるではないか。

存在しないものを追い求めて、決して辿り着けない場所を目指して、戦い続けていたことになる。

士郎は隣を見る。

セイバーの顔から血の気が引いていた。

だが彼は続けた。

 

 

「そして“真”のサーヴァント」

 

 

その一言に、二人は反射的に顔を上げる。

 

 

「さっき言った偽の聖杯戦争。その七騎を呼び水にして、さらに聖杯の予備システムを応用して召喚された英霊たち。それが真のサーヴァントだ」

 

 

夜風が吹く。

静寂の中、豹馬の声だけが響く。

 

 

「七騎以上(・・)。本来の聖杯を求めて戦う、本物の聖杯戦争の参加者たちだよ」

 

 

そして結論を告げるように言った。

 

 

「つまり、君たちが参加していたのは偽の聖杯戦争。聖杯なんて存在しない、戦うだけ無駄な戦い。そして俺が、本来は偽側のマスターだったのに真側への参加権を得てしまった。その結果参加しているのが真の聖杯戦争。"優勝者にはちゃんと聖杯が与えられる"本物の聖杯戦争だ」

 

「‥‥‥待て」

 

 

セイバーが即座に反応する。

 

 

「聖杯はあるのか?」

 

「うん、あるよ」

 

 

向こうも即答する。

 

 

「君が気にしてるのは、自分に資格があるのかって話だろ?」

 

 

セイバーは無言だった。

だがその沈黙が肯定だった。

 

 

「結論から言えば、一応ある。別に偽が真に参加できない理由はないし」

 

 

その瞬間だった。

セイバーの肩から、僅かに力が抜ける。

胸の奥で張り詰めていた糸が緩んだようだった。

願いはまだ消えていない。

その事実だけで十分だった。

 

 

「真の聖杯戦争は基本的には従来通り。ただサーヴァントの召喚方式が特殊でね。半分は逸れサーヴァント。残り半分は偽の聖杯戦争が始まった後に令呪を得たマスターの下へ召喚される。そのせいで逸れのランサーだった奴がああなったけど」

 

「ランサー‥‥‥?」

 

 

士郎の脳裏に、ある人物の姿が浮かぶ。

最初に思い出したのは青タイツのランサーだった。

だが違う。

彼が言っているのは彼ではない。

記憶の奥底から、別の声が蘇る。

 

 

 

『━━我は戦場の裁定者にして、毘沙門天の化身、上杉謙信! 真のランサー(・・・・・・)でしたが、ルーラークラスにチェンジした軍神です!

 

 

 

上杉謙信、ルーラー。

当時は意味不明な状況に振り回され、深く考える余裕もなかった。

だが今なら分かる。

真のランサーというあの言葉の意味が。

恐らく彼女は元々逸れのランサーだった。

だが何らかの要因によってルーラーへ変質したのだ。

 

 

「ルーラーになった理由は大方、抑止力が働いたからだろうな。大規模だし、前回とも形式が違う聖杯戦争だ」

 

 

抑止力という理由で補足する。

士郎には聞き慣れない単語だった。

だが隣のセイバーは納得したような顔をしている。

なら後で聞けばいい。

 

 

「‥‥‥一つ聞きたい」

 

 

セイバーが議題を少し変えるように前へ出た。

視線は真っ直ぐペルセウスへ向いている。

 

 

「ペルセウスよ。貴殿の聖杯に掛ける願いは何だ?」

 

 

その納得顔をしていたセイバーはペルセウスに問いを投げかけた。

というのもペルセウスという英霊は聖杯の情報で知っているが、本人は少なくとも、自分のように人生を悔いている英霊ではない。幸福な最期を迎えたはずだ。

英霊の座には登録されているだろうが、ペルセウスはヘラクレスと肩を並べる大英雄だ。

よっぽどのことがない限り、召喚に応じることは無いだろう。

だからこそセイバーは分からなかった。

聖杯を求める理由がないと思うペルセウスがなぜ聖杯を求める戦いに参加しているのか。

 

しばしの沈黙。

戦闘で消耗していたはずのペルセウスは、呼吸を整えながら静かに口を開いた。

 

 

「僕の願いか‥‥‥ある少年(友だち)との約束を守るため、かな」

 

 

言葉を濁して言ったのはセイバーでも理解できた。

先ほどメデューサとの戦いで語られた内容と繋がっているのだろう。

そこにはきっと、英雄であるペルセウスにとっても譲れない過去がある。

 

 

「さて、これ以上長居する理由もない。そろそろお暇するとしよう」

 

「あ、待て、鬼灯!」

 

 

踵を返そうとする鬼灯に士郎が思わず叫ぶ。

だが二人は立ち去ろうとしていた。

その声に反応し、鬼灯だけが僅かに足を止める。

そして振り返らないまま言った。

 

 

「言い忘れてたが、鬼灯木伏なんてのは偽名だ。本名は相良豹馬。次は本名で呼んでくれ」

 

 

夜風が吹き抜ける。

少しだけ笑った気配がした。

 

 

「じゃあな」

 

ハデスの隠れマント(プルート)━━」

 

 

別れの言葉と共に、相良豹馬は黒い布を頭から被る。

同時にペルセウスが纏うマントが神秘的な輝きを帯びた。

真名解放。

 

次の瞬間、二人の姿は夜の闇へ溶けるように消失した。

まるで最初からそこに存在していなかったかのように。

士郎は反射的に追おうとした。

だがすぐに諦めた。

あれだけ徹底した隠密能力を見せられては追跡など不可能だ。

残されたのは風の音だけだった。

 

 

「‥‥‥?」

 

 

ふと、士郎の視線が足元へ向く。

先ほどまで彼らが立っていた場所。

そこに一枚の紙が落ちていた。

誰かが意図的に置いていったように。

士郎は警戒しながらそれを拾い上げる。

紙には短い文章が書かれていた。

 

 

『真の聖杯戦争について知りたいならこれの裏の場所に行け。ルーラーがそこに居るから説明を受けろ』

 

 

書置きの裏には手書きの簡易地図が描かれていた。

目的地を示す印が一つ。

まるで次の舞台へ導く招待状のように。何て導入は必要だっただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~~~~何とかハッタリが通じたぁ‥‥‥」

 

 

新都の先ほどの戦闘地点から少し離れた場所。

人の気配もなく、戦闘の余波も届かない静かな路地裏で、俺はようやく肺の奥に溜め込んでいた息を吐き出した。

全身から一気に力が抜ける。

 

普通にメデューサ戦で負けかけたのは予想外だった。

いやまぁペルセウスがメデューサを討伐した時は怪物としての全盛期だったからそりゃ本来の全盛期とぶつかれば苦戦するか。

それに互いに手札が切りずらい状況だったってのもあるし。

 

メデューサの他者封印・鮮血神殿は状況的に使用不可能で自己封印・暗黒神殿についてはペルセウスがそれに対するカウンターの宝具を持ってるから早々に取り外したから事実上宝具無し。

ペルセウスは宝具は1度に1つしか使用できないという制約、正確には一度に真名解放できるのは一つまでというルールがあり、一応宝具の真名解放を用いない同時併用はできるのだが、カウンターのキビシスはメデューサが自己封印・暗黒神殿を早々に取り外したがために使う意味が無くなり、青銅鏡の鏡の魔眼はメデューサに聞くわけが無いので盾としか使えない。

更にメデューサは地の利、ペルセウスは令呪というのがあった。

 

互いの有利不利が奇妙な形で釣り合っていた。

よって互いが互角の状況に収束するのは必然だったと言えるだろう。

 

正直ガチで横やり入れようかとも考えてた。

万が一に備えて幽弋さんを影に潜ませたり、1km離れたビル群にアタランテを配備したりとやっていたが。

さすがに令呪を使われるとは思わなかったが、サーヴァントは生前の逸話にある程度縛られるというものがあるおかげで助かった。

 

 

「多分だけど、ソレがなかったら相打ちかこっちが負けてたろうね」

 

 

ペルセウスもこう言うぐらいである。

こいつは満身創痍だったが、俺が作成した魔力注射というアドレナリン注射みたいなものを使用してほとんど回復しきっていた。

 

 

「アドリブ高めのウソだったけど、あれで信憑性取れるかな?」

 

「問題ないよ。空想のルールや情報はちゃんと考えてあったから、後はルーラーと打ち合わせでどうにかできる」

 

 

屋上で語った偽と真のサーヴァントや聖杯戦争があったでしょ?

あれは当初はただ召喚されたサーヴァントの数に違和感を持たれないために作った空想の設定。

メタンヌが見せた偽の聖杯戦争と真の聖杯戦争が交差する聖杯戦争から着想を得てるよ。

逸れのサーヴァントはその場凌ぎ(アドリブ)だけど。

しかし実際に構築してみると案外使い勝手が良かった。

ただ人数の辻褄を合わせるだけではなく、こちらが物語全体を誘導するための口実としても機能する。

結構色々な調整をできるんだよね。

例えばアインツベルンを消極的なムーブにしたりとか。

 

結果として、今では当初の数倍は設定が増えている。

我ながらよくこんなものを短期間で組み上げたと思う。

 

あのタイミングで士郎君たちに事情を話して同盟を組まなかった理由はいくつかある。

 

例えば、主人公たちが成長せず物語の形を成さなくなって俺の見たかった原作カップリングという奴が見れない可能性がある。

 

例えば、調整をしくじってメデューサ討伐後にサクラか臓硯が暴走してHF√突入して何もかもご破算する可能性が高いから。

 

例えば、何かの拍子で英雄王が本気を出す可能性があるから。

と枚挙にある。

 

結局あの時に全てを話すと上手いこと調整できない。

ならば、まだ敵対関係を維持しながら自然な流れで物語を進行させた方が遥かに扱いやすい。

ぶっちゃけ俺らは主人公の舞台装置(マクガフィン)として動くだけで良かったりするのだ。

 

とか何とか考えていると、近くを徘徊していた謙信ちゃんが"重い荷物"を持ってこちらに合流して来た。

 

 

「持ってきましたよ、マスター。念のため"害虫対策"は施しておきました」

 

「オッケー、じゃあそれをそのまま柳洞寺に縄グルグル巻きして運んどいて」

 

「了解です」

 

 

軽く頷く。

次の瞬間には、謙信ちゃんの姿は夜の街へ溶け込むように消えていた。

謙信ちゃんはそれ━━間桐慎二を人目の付かないように建物の上を闊歩して運んでいった。

意識はない、どうせ抵抗だの何かして鎮圧するために気絶させたのだろう。

あのタイミングで起きたら複数の意味で最悪だろう。

 

まぁそんなことはどうでもいいとして、慎二君を運んだ理由は簡潔に言えばまだ彼には価値があるからだ。

ちょっとばかり暴れて主人公たちの動きを調整してほしいし、後は‥‥‥いくつか実験(・・)もしてみたいし。

 

 

「間桐慎二、君は()の提案を引き受けてくれるだろうか?」

 

 

その名を静かに口にする。

そして誰にも聞こえない声で呟いた。

 

 

 

 

 




今回のまとめ:


相良君:無理やり偽の聖杯戦争が起きてる体で通した。なお、ガチでstrange fakeが発生しかけた模様。ちなみに、最後にミステリアスな雰囲気を出してはいたが内心ではクッソ焦ってる。

ペルセウス:実は(メデューサはペルセウスに討たれる運命にあるという)テクスチャが無ければ引き分けか負けてた。万が一の時に備えてアタランテや幽弋さんを配置していた。

セイバー:自分が偽の聖杯戦争に呼ばれた偽サーヴァントに過ぎないと嘘を吹き込まれた青王。なお、まだ一度も魔力消費型の宝具を使ってないのでfate√の状況みたく倒れていない。

士郎:目の前の教育実習生が魔術師だと知った原作主人公。遠坂に連絡を入れて会議シーンに入ろうとしている。


ちなみにですが相良君が主人公陣営に味方していない理由は聖杯の予備システムの起動阻止でしたが、それとは別で下手に指示するよりも動かしやすかったりあわよくば不意打ちを狙おうと画策しているから。

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