パーフェクトゲームを目指すには!   作:メタ(ル)

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オルタ「何気にfateを終わらせるチャンスが来た!」


そう言えば沖田オルタってもとはそう言う存在だったなと思い出した今日この頃。
あ、感想とかお気に入り登録とか是非。




XV 其は騎士王への愉悦に値するか

開戦の火蓋を斬ったのはアーチャー(・・・・・)に標的を定めたバーサーカーだった。

それは誰もが予想していなかった一手だった。

セイバーは一瞬唖然としてしまった。

というのもあの状態のランスロットならば以前の第四次聖杯戦争の時と同じく自分めがけて一目散に飛んでくると思っていたからだ。

狂化してなお王への執着を失わなかった騎士。

いや、だからこそ狂化によってその執着だけが増幅されているはずだった。

にも関わらず、ランスロットは隣にいたアーチャーに対してその刃を振るった。

まるで最初からそう決めていたかのように。

 

 

「aaaaaaa━━!!」

 

「チィ!」

 

 

反応が遅れながらもアーチャーは双剣でその斬撃を受け止める。

激しい金属音が埠頭に響き渡った。

円卓の騎士と謳われた者なだけあってその剣圧は重厚なものかと思われていたのだが、意外にも両者の剣圧は拮抗していた。

火花が散る。

互いの得物が軋む。

押し潰されるような圧力を感じながらもアーチャーは真正面からその斬撃を受け止めていた。

 

 

(どうなってる!?)

 

 

これには当人であるアーチャーも内心では驚きを隠せていなかった。

さすがに自分の実力が湖の騎士には及ばないのは理解できている。

今こうして斬撃を受け止めれたのも単に鍛冶場の馬鹿力的なものが働いたと考えれば納得できる。

しかし、彼が驚いているのはそれではない。

 

 

(投影できない━━ッ!)

 

 

ランスロットの片手に握られているのは赤黒い西洋刀のような短刀。

生前握っていたアロンダイトなる聖剣ではないのは一目で分かる。

だが、何らかの宝具ではあるのは間違いなかったため投影魔術でコピーしようとそれに対して魔術を発動させた結果、何も投影されなかった。

いや、正確には武器の素材だけ読み取ることはできた。

木製だ。

そう、木製である。

つまり今ぶつけあっているのは魔術でできたコピーの金属剣と木製で宝具の状態となった木剣である。

常識ではあり得ない。

普通ならば激突した瞬間に砕け散っている。

手加減‥‥‥ではない。木製とはいえ、あれはDランク相当の宝具だ。

 

 

「気を付けてください、アーチャー! ランスロットは手にした物を全て自分の宝具にする能力があります!」

 

「‥‥‥そういうことか‥‥‥!」

 

 

セイバーの助言を聞いたことでアーチャーは苦虫を嚙み潰したような表情をする。

目の前のバーサーカーことランスロットの能力は自分の能力と相性がとことん悪い。

コピー品の武器を大量に投影して手札にするアーチャーと、それを掴めば自由に自分の宝具と化すことができるランスロット。

多少手札は見せていたとはいえ、こちらの能力を読み切ってバーサーカーをけし掛けたというのか。

 

 

「余所見は禁物だ、騎士王」

 

「グッ‥‥‥セイバー!」

 

 

助言をして隙だらけだったセイバーの所に真のセイバーが一気に抜刀した日本刀を振り下ろしにかかる。

空気を裂く鋭い斬撃。

直感を以てして何とか防いだセイバーではあるが、押されかけている。

 

 

「何て力量だ‥‥‥!」

 

 

セイバーは思わず感嘆の声を漏らす。

目の前の真のセイバーと名乗る少女は見た目こそやや幼い黒人系に見えるが、得物とその顔立ちからアジア圏のそれも日本の優れた剣士なのだろう。

知名度補正があるかどうか分からないが、事実防御で剣を執っていたセイバーが押されている。

しかも力任せではない。

技術だ。

洗練された歩法と体捌き。

無駄のない剣筋。

一太刀ごとに積み重ねられた鍛錬が見える。

 

 

「今こそfate(運命)断ち切る(終わらせる)チャンス!」

 

「ッ! メタい!」

 

 

と、ここで攻勢だった真のセイバーが一歩下がる。

「どういうことだ?」と疑問符を浮かべるセイバーだが、目の前の真のセイバーの動きを見て理解する。

真のセイバーは日本刀を鞘に戻し、腰を据え、力みを抜き、上体の中心軸を真っ直ぐに保った。

そして左手の親指で鍔を押し出すというある特有の動作が成される。

その一連の動作には淀みがなかった。

まるで何千何万回と繰り返してきた日常動作のように。

 

 

(居合の構え‥‥‥!)

 

 

そう、居合術、または抜刀術とも言われている日本特有の剣術だ。

これをするということはほぼ間違いなく真のセイバーは日本人だろう。

柄に手を掛けるその姿は手慣れているとしか現時点でのセイバーには言いようがなかった。

むしろ、それ以外の評価が思い付かない。

 

 

オリジナル(・・・・・)の真似といこうか」

 

「来る!」

 

 

セイバーがそれを察知したと同時に真のセイバーが跳躍する勢いでこちらに向かってきた━━という姿が見えた瞬間。

 

 

「これぞ極地の極み━━」

 

 

 

 

シュッ‥‥‥

 

 

 

 

「消えた!?」

 

 

突如として突っ込んでくるはずだった真のセイバーの姿が見えなくなってしまう。

これにはそれを見ていた士郎や凛も困惑している。

目で追えなかった。

ただそれだけなのか。

それとも本当に消えたのか。

一瞬思考がまっさらになってしまったセイバーだが、

 

 

(いや、これは‥‥‥空間跳y━━)

 

「だが、遅い!」

 

 

空間がゆがむような視界と同時に真のセイバーは既に間合いを詰めていた。

いや正確には、空間がゆがんだかと錯覚させるほどの技術だ。

剣士故に真のセイバーが消えたカラクリに気が付いた。

そして、一瞬にして致命傷となる心臓部の霊核と頭を正面から剣で隠す。

 

 

「えぇ〜っと‥‥‥テキトウに名前つけよ‥‥‥三段突き改!!」

 

 

少し間を開けて真のセイバーが突きを放つ。

直前に恐らく真名解放をしようとしたと思われるが、何と言うか雑っぽさが見受けられる。

今までの空気感を壊すような声ではあるが、それと同じ肉体が持つ得物から放たれた突きは意外にも鋭い。

むしろ鋭すぎた。

冗談めいた口調と剣技の完成度がまるで噛み合っていない。

 

 

「はっ」

 

「ふっ」

 

 

一段目は頭部を狙うが、不可視の剣で防がれる。

 

 

「せい!」

 

「チィ!」

 

 

二段目は喉元を狙うが、少し軌道がズレてセイバーの喉元を掠る。

鋭い痛みと共に赤い線が刻まれた。

 

 

「そこだ!」

 

「ぐっ!」

 

 

三段目は不可視の剣の防御範囲外の鳩尾を狙う。

そして、その突きはセイバーの肉を浅く抉った。

素早い連続突きだ。

 

あれほどの精密さと威力を兼ね備えているのならば、もし防いでなければ致命傷は免れなかった。

しかし、その特殊な技を見た外野(士郎や凛)はその真のセイバーの正体を理解した。

日本の剣術家で三段突きを得意技とする人物なんていうのはその知名度も加味して一人しかいない。

 

 

「まさか、新撰組の沖田総司!?」

 

 

確かに新撰組と言えば剣術に長けた者が多いためセイバーとして呼ぶにはもってこいだろう。

特に沖田総司という人物は歴史の漫画や小説媒体に頻繁に登場するものだから知名度補正も期待できる。

だが、もし彼女が沖田総司だとしたら‥‥‥

 

 

「女性‥‥っていうのは上杉謙信の前例があるから理解できるけど、史実の色白要素皆無なんだけど」

 

 

女性ということはルーラーとして現れた上杉謙信という分かりやすい前例があるので今更だ。

身に着けている羽織もよく見れば模様や見た目こそ差異あれどあの有名な浅葱色の羽織とも見えなくもない。

しかし、伝えられている沖田総司の容姿と随分かけ離れてすぎている。

ある証言では沖田総司は色白だと言われているが、目の前の彼女は褐色肌という色白とは別の類である。

これは一体どういうことか、と思っていた矢先。

 

 

『驚くのも当然だろうな』

 

「慎二!」

 

 

複数の電柱に設置されていたスピーカーから戦闘が始まってから姿を見せない慎二の声が聞こえる。

まるで実況者気取りだ。

いや、実際に安全圏から観戦しているのだろう。

 

 

『良いこと教えてやるよ。そいつは確かに沖田総司だが、より正確に言えば沖田総司の反転霊基(オルタナティブ)だ』

 

別側面(オルタナティブ)?」

 

「英霊の持つ負の側面が召喚者の干渉や強力な呪いによって表在化したif(もしも)の姿です!」

 

 

真のセイバーを相手取りながらもざっくりと説明をするセイバー。

「何て邪法を‥‥‥!」と思いながら剣技を互いにぶつけているが、セイバーはどことなく疑問、というよりも確信があった。

目の前の剣士から感じるものが説明と一致しないのだ。

 

 

「貴女は、正確には負の側面ではないですね! その剣筋と磨き上げられた歩法! 悪性を持った者ができる領域ではない!」

 

「そうだ、騎士王! 私は沖田総司(私ノーマル)の負ではなくただ『抑止』のために作られた無垢な存在だ!」

 

 

剣を打ち合って数度。

どちらも切り傷が見受けられるが、やはりセイバーが傷が大きいか。

剣のリーチの差があるが、剣術のみ(・・)であればセイバーも自分の持ち味を完全に活かせるだろう。

 

 

「煉獄ブーメラン!」

 

「剣を投擲した!?」

 

「面倒な━━」カキンッ!

 

「そして、魔人パンチ!!」

 

「がっ!」

 

「セイバー!!」

 

 

しかし、総合的な技量を考えるならば真のセイバー事沖田オルタの方が上だろう。

現にこうして長刀をブーメランのように旋回させてきたり、手に魔術的な炎を纏わせて連続で殴って来る。

本来の力を出せれば少なくとも完全な互角の勝負に持ち込めたのだろう。しかし、悔いている暇はない。

戦場で必要なのは結果だけだ。

 

 

『いいぞ! もっとやれセイバー!』

 

「というマスターの命令のため、貴様をここで倒そう」

 

再び剣を構える沖田オルタ。

 

 

一方でアーチャーとランスロットの戦いも苛烈を極めていた。

沖田オルタとセイバーの戦いに目を奪われがちだが、こちらもまた一瞬たりとも気を抜けない死闘である。

 

放たれる殺意。

飛び交う武器。

英霊同士の戦いが埠頭のあちこちで激突音を響かせていた。

 

 

「Aaaaaarcherrrrrr!!」

 

 

「チィ、面倒な事この上ない!」

 

 

セイバーから聞かされた情報もあってか、得意分野での攻撃を控えて、遠距離から弓矢でチクチク削りながら稀に近距離戦を仕掛けている。

本来のアーチャーであれば剣を投影し、手数の多い戦法を選ぶだろう。

だが相手はランスロットだ。

投影した武器がそのまま敵の戦力になりかねない。

それが分かっている以上、安易な投影は自殺行為に等しい。

対してランスロットの方は狂化が入っているはずなのにも関わらず冷静に左手に持つグロッグ19で本来の射程距離範囲外の銃弾を放つこともあれば、その辺の石や砂利を宝具にして投げつけてくるので厄介な事この上ない。

 

ただの石ころやただの砂利。

本来なら誰も気に留めないそれらが、彼の手に掛かれば殺傷力を持った宝具へと変貌する。

相性が悪い。

あまりにも悪すぎた。

 

 

「Fooooooooo!」

 

「そこだ!」

 

 

放たれた銃弾を矢で相殺。

空中で火花が散る。

通常ならあり得ない光景だ。

だが英霊同士の戦いではそれすら序の口だった。

 

 

「Haaaaaaa!!」

 

「セイッ!」

 

 

赤黒い西洋剣擬きと模造中華剣がぶつかり合う。

激しい衝撃。

火花が飛び散る。

互いの得物が軋みを上げる。

そして、その最中。

ランスロットは更に予想外の行動に出る。

 

 

「cha‥‥nge」

 

「了解したバーサーカー。さぁ私が相手だ抑止の守護者(同業者)

 

「奴め、本当にバーサーカーか?」

 

 

アーチャーが思わず眉をひそめる。

剣術やその他技量はまだ疑う材料ではない。

仮にも円卓最強と謳われていたため、武術に関するスキルを所持しているからあれほどの動きを見せれたのだと理解できる。

しかし、一瞬だけ視線をセイバー同士の戦いに向けて、すぐに入れ替わりを判断して、すぐに真のセイバーと息ぴったりに入れ替わる。

今の行動は明らかに理性を持っていなければ動けない芸当だ。

狂化している英霊の動きではない。

 

状況判断、役割分担、連携。

どれも理性が前提となる。

だからこそアーチャーは疑ってしまう。

しかし、待っている余裕はない。

投影(トレース)が一切できない日本刀を持った同じ類の者が剣を向けてきた。

 

そして、戦いはセイバーとランスロットへと移り変わる。

互いに剣を構える。

その目は酷い後悔に満ちたような者もいれば、それがどうしたとでも言わんばかりの鉄仮面を被る者がいる。

片や過去に囚われた王。

片や正体を隠した狂戦士。

 

 

「aaaaaaaarrrthuuurrrrrrr!!!」

 

「ぐぅ‥‥ランス、ロット!!」

 

 

真正面から堂々と仕掛けてくるランスロットにセイバーは剣で受け止める。

ギィイという金属が悲鳴を上げるような音が埠頭に響く。

地面が軋む。

互いの足元が僅かに沈む。

純粋な膂力だけならばランスロットが上だ。

 

 

「Aaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

「ハァッ!」

 

 

すると今度は激しい斬り合いへと発展していく。

常人であれば見る事すら叶わない剣術の披露会だ。

一撃、二撃、三撃と。

刃が交差するたびに火花が散り、衝撃波が周囲へ広がる。

士郎でさえ辛うじて追える程度。

凛に至っては魔力反応で補完しなければ追跡すら困難だった。

 

 

「fooo!」

 

 

厄介なことにランスロットは剣技の中で銃を的確に撃って来る。

更に言えば先ほど真のセイバーが斬撃の中で披露していた剣の柄の上を持って振り下ろすタイミングで下に持って行くことでリーチをやや増やすという地味ながら有効な戦略を取って来る。

戦い方そのものは荒々しい。

だが、その荒々しさの中へ理屈が混ざっている。

それがセイバーに違和感を与えていた。

剣技も厄介ではあるが少々荒々しい(・・・・)ため回避さえすれば余裕で躱せる。

本来のランスロットならばもっと洗練されていたはずだ。

もっと隙が無く、もっと美しかった。

 

 

「aaaaarthurrrrr!!」

 

 

上段の薙ぎ払い。

狙いは喉元。

避ける。

 

 

「ハァ!」

 

 

斬撃を入れる。

ランスロットの鎧に命中する。

鈍い衝撃音。

だが浅い。

致命打には程遠い。

 

 

「Aaaaaaa‥‥‥」

 

 

素早い連続斬り。

ナイフのような短刀によるものか。

バックステップで余裕で躱す。

 

 

「foooo━━!!」

 

 

間髪入れずに銃弾を放つ。

狙いは心臓。

読めている。

体を右にずらして回避する。

銃弾が風を裂いて通り過ぎた。

 

 

「■■■■■■━━!!」

 

 

言語化できない叫び。

またも突っ込んでくるランスロット(バーサーカー)

両手に持つのは金属のポールにアロンダイトを模した西洋刀。

先ほどまでとは別の武器だ。

その場にある物を即座に宝具化している。

加速しながらのその斬撃をセイバーは防ぐ。

 

 

「Aaaaaaaaa!!」

 

「━━お前(・・)は!」

 

 

火花が飛び散る。

激突した刃同士が耳障りな金属音を撒き散らし、衝撃によって周囲の空気が震える。互いに鍔迫り合いとなったその瞬間、セイバーは目の前の狂戦士を真っ直ぐに見据えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は一体何者だ!!

 

「「!!??」」

 

 

その言葉に真っ先に反応したのは戦いを見守っていた凛と士郎だった。

何を言っているのか。

相手はランスロットではないのか。

第四次聖杯戦争で騎士王と剣を交えた円卓最強の騎士。

目の前の狂戦士はどう見てもその姿をしている。

 

だが、当のセイバーだけは違った。

剣を交えたからこそ分かる。

目の前の存在は決定的に何かが違う。

 

 

「動きが単調だ! ランスロットの剣筋でもなければ、騎士の剣術でもない!」

 

「aaaarthurrrrrr!!」

 

 

狂戦士は答えない。

いや、答えられないのか。

唸り声を上げながら再び斬り掛かってくる。

横薙ぎ、袈裟斬り、そして突き。

連続して放たれる攻撃は確かに速い。確かに鋭い。

しかし、その一つ一つに覚えがない。

セイバーはそれらを剣で弾きながら確信を深めていく。

違う。

ランスロットはこんな剣を振るわない。

 

 

「ハァッ!」

 

 

不可視の剣が唸りを上げる。

斬撃が狂戦士の肩口を掠める。

だが、バーサーカーは怯まない。

血飛沫を散らしながらなお前へ出るその姿は、まるで獲物へ食らいつく獣そのものだった。

 

 

「お前の戦い方は人体の急所を狙い過ぎている!」

 

「arthur! arthur! arthur!!」

 

「騎士の剣ではない!」

 

 

ガキィンッ!!と重厚感溢れる金属音と共に剣がぶつかり、火花が散る。そして、その直後に銃声が響いた。

 

 

「ッ!」

 

 

至近距離から放たれた銃弾を首を傾けて回避する。

頬を掠めた弾丸が後方のコンテナに穴を開けた。

しかし、それすらもセイバーの疑念を深めるだけだった。

ランスロットは確かに宝具の特性上あらゆる武器を扱う。

だが、今目の前にいる存在の戦い方は違う。

武器を使いこなしているのではない。

殺すために使っているのだ。

 

 

「お前の剣は人を守るための剣ではない!」

 

「Aaaaaaaaa!!」

 

「戦士の剣でもない!」

 

 

再び激突し、衝撃で地面が砕ける。海風が荒れ狂う中、狂戦士は一切の躊躇なく喉を狙い、眼球を狙い、心臓を狙う。

人体を効率よく破壊することだけを目的とした剣。

それは騎士の剣ではない。

ましてや円卓最強と謳われた男の剣では決してない。

 

 

「ただ人を殺すためだけに磨かれた技術だ!!」

 

 

その瞬間、セイバーの瞳に確信が宿った。

目の前の存在はランスロットではない。

少なくとも中身は違う。

何者かがランスロットの外殻を纏っている。

だからこそ、問い質さずにはいられなかった。

 

 

「答えないというのであれば!」

 

 

風が爆ぜる。

セイバーが一瞬で加速した。地面を蹴り、常人では知覚することすら叶わない速度で一歩のうちに間合いを潰す。

狂戦士が反応する。

剣を振り上げる。

銃口を向ける。

だが、遅い。

 

 

「そこだァァァッ!!」

 

 

上段から振り下ろされた一閃。

迷いのない騎士王の剣。

 

 

 

 

ガンッ!!

 

 

 

 

轟音と共にヘルメットが砕け、金属片が夜空へ舞い散った。

そして、砕け散った兜の奥からその顔が姿を現す。

 

 

「aaa‥‥ア‥‥‥あぁ‥‥‥」

 

「なっ‥‥‥!」

 

 

セイバーが息を呑む。

凛も。

士郎も。

誰もが言葉を失った。

そこにあったのは人の顔ではなかった。

 

赤く発光する瞳。

煤を塗り固めたような黒い肌。

まるで人間の悪意そのものを形にしたかのような異形。

人類史の闇を凝縮した怪物でありながら、それでいて確かに知性だけは残されている。

そのアンバランスさが見る者に本能的に何かを抱かせる。

 

 

「やはり付け焼刃の剣術では誤魔化し切れなかったか」

 

 

低い声だった。

先ほどまでの獣じみた咆哮ではない。

理性ある者の言葉であり、それだけで戦場の空気が変わる。

セイバーは剣を構えたまま問い掛けた。

 

 

「お前は一体‥‥‥」

 

 

すると、異形の男は静かに剣を下ろす。

赤い瞳が細められた。

まるで名乗ることそのものに意味を感じていないかのような無機質な仕草だった。

 

 

「マスターより真名は告げても構わないと言われている」

 

 

夜風が吹き抜ける。

埠頭を包んでいた喧騒が、一瞬だけ遠のいたように感じられた。

そして、いつのまにか服装が英国紳士風の装いとなった異形の男は静かに口を開く。

 

 

「ならば告げよう━━私の名はジャック・ザ・リッパー」

 

 

その名を聞いた瞬間、凛の表情が凍り付いた。

士郎の背筋を悪寒が走る。

歴史を知らぬ者ですら耳にしたことのある名。

人類史に刻まれた最悪級の連続殺人鬼だった。

 

 

「真のバーサーカーとして召喚された英霊であり‥‥‥」

 

 

男は淡々と続ける。

まるで他人事を語るように。

感情の欠片も無く。

 

 

「‥‥‥ただの犯罪者(クリミナル)だ」

 

 

 

 

 




真のバーサーカーはジャック・ザ・リッパー(sf偽バーサーカー)!?

タイトルから察してたと思いますが、アニメ版strange fakeのタイトルオマージュです。
結構書いてて思ったのが皮肉多いですよねこの作品。
真アサシンが偽アサシンになってたり、偽バーサーカーが真バーサーカーになってたり、幸運だった桜だからこそプロトライダーを呼べたりと。

ちなみに、ランスロットに化けれてた理由は次の話で語ります。
先に言っておくとこれは相良だからこそできる方法です(一応sfのフラットも思いつきさえすればできるかも)。
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