でもそうしないと今後の展開的に物語がグダりまくるから仕方ないというか‥‥‥。
感想とかよければ書いてほしい、かもです。
基本全て返信します。
衛宮士郎と遠坂凛による剣弓同盟は、今夜もまた冬木の街を駆けていた。
いや、正確には動かざるを得なかったと言うべきだろう。
ルーラーから真の聖杯戦争に関する情報を得たあの日以降、状況は悪化の一途を辿っていた。
慎二が真の聖杯戦争のマスターの一人として参加していること。
その慎二が、反転した沖田総司をセイバーとして従えていること。
さらにはバーサーカーのランスロット━━に扮した切り裂きジャックまでも使役していたこと。
セイバーの真名が露呈したこと。
立て続けに発生した異常事態の数々は、既に通常の聖杯戦争という枠組みから完全にはみ出していた。
とはいえ、慎二のサーヴァント二騎の真名が判明したこと自体は不幸中の幸いだったと言える。
問題は別の部分だ。
なぜ慎二がセイバーの正体を知っていたのか。
その疑問については、当のセイバー自身が一つの推測を口にしていた。
「恐らく第四次聖杯戦争の記録でも見たのでしょう。ランスロットの召喚者は間桐雁夜という‥‥‥間桐の人間で、ルポライターだったそうですから。その手の記録が残されていても不思議ではありません」
静かに語られたその推論は、十分に説得力を持っていた。
第四次聖杯戦争。
セイバーはその戦いで衛宮切嗣のサーヴァントとして召喚されていたという。
だが、士郎には何となく分かっていた。
セイバーはまだ何かを隠している。
語っていない情報がまだ存在している。
もっとも、それを今追及する余裕などなかった。
セイバーの真名についても同様だ。
結局のところ、彼女は自身の願いを含めて深く語ることはなかった。
だが、それで問題になるとも思えない。
アーサー王という存在は確かに弱点は存在する。
しかし、その弱点を的確に突ける魔術師やサーヴァントが今の冬木に存在するのかと言われれば、答えは限りなく否だ。
むしろセイバーというクラスにおいてアーサー王は最上位格。
その真名を隠す必要性よりも、相手へ与える威圧感の方が大きい。
「選定の剣のやりなおし」
その願いについても気にはなったが、今は考える余裕がない。
本来ならもっと踏み込んで聞くべきなのだろう。
しかし現状、自分たちには目の前の脅威へ対処することで精一杯だった。
今夜こうして積極的に動いている理由もそこにある。
目的は情報収集。
そして可能であれば敵サーヴァントの撃破。
真の聖杯戦争。
その全容は未だ見えていない。
下手をすれば数十騎規模のサーヴァントが召喚されている可能性すらある。
そうなれば敵味方の識別。
逸れサーヴァントの存在。
各陣営の戦力。
その全てを把握しなければならない。
さらに問題なのは召喚された英霊たちの性質だった。
善良な英霊ばかりとは限らない。
むしろ悪寄りの存在が複数召喚されていた場合、一般人への被害は避けられない。
それこそライダーやらぱたりと止めたキャスターによる魔力収集の比にもならないだろう。
そんな過去の事件ですら生ぬるいと思える惨劇が起きる可能性すらあった。
だからこそ動く。
今や聖杯戦争という魔術儀式の範疇を大きく逸脱し始めた、この異常な聖杯
さすがに士郎も学習した。
単独行動は危険すぎる。
今は凛と共に行動し、セイバーとアーチャーを加えた二人二騎で動くべきだ。
こうして一行は夜の冬木の街を散策していた。
とはいえ、それは単なる見回りなどという生易しいものではない。
真の聖杯戦争という異常事態が発生した今、彼らが行っているのは敵戦力の調査であり、生き残るための情報収集であり、そして場合によっては敵サーヴァントとの交戦すら視野に入れた哨戒行動だった。
夜の冬木市は一見すると平穏そのものだ。
住宅街には明かりが灯り、遠くでは車の走行音が聞こえる。
だが、その平穏の裏では複数の英霊たちが活動している。
どこに誰が潜み、どの陣営がどの陣営と結託しているのかも分からない。
そんな状況で足を止めることは、自ら死地へ踏み込むことと同義だった。
「どう、サーヴァントの反応は?」
凛が隣を歩くアーチャーへ問い掛ける。
その声に応じ、アーチャーは周囲へ意識を巡らせるように目を細めた。
「今のところは周囲にはいないな」
返ってきた答えは簡潔だった。
凛は小さく息を吐く。
やはり、そう簡単にはいかない。
真の聖杯戦争が始まってからというもの、敵サーヴァントとの遭遇しているが、それでも都合よく向こうから現れてくれるわけではない。
「いや、だが未遠川の中央部付近にややサーヴァントの反応が濃い」
「本当か?」
「確証まではないがな。少なくとも何らかの戦闘があった形跡ぐらいは期待できるだろう」
どうやら完全な空振りではなかったらしい。
英霊そのものか、あるいはその痕跡か。
どちらにせよ何かしらの手掛かりはありそうだった。
一方で、そのやり取りの最中。
「‥‥‥」
もぐもぐ。
「セイバー‥‥‥?」
士郎が何とも言えない表情で声を掛ける。
当のセイバーはと言えば、たい焼きを片手に歩き食いをしていた。
しかもかなり真剣な顔で。
アホ毛までぴんと立っている。
真面目な作戦会議の最中だというのに、どう見ても食欲を優先しているようにしか見えなかった。
「何でしょうか?」
本人は不思議そうに首を傾げる。
「いや、サーヴァントの反応とかは‥‥‥」
「いえ、あくまでサーヴァントの探知はアーチャーだからこそできる芸当ですから」
セイバーはきっぱりと言い切った。
「一般的なサーヴァントが感知できるのは、対象がサーヴァントであるかどうかをある程度見極めるぐらいです。アーチャーのように広範囲を索敵できるのは特殊な技能と考えていただいて構いません」
説明そのものは極めて真面目で理にかなっている。
しかし、たい焼きを咀嚼しながら言われても説得力が微妙だった。
もっとも、それは事実なのだろう。
アーチャーというクラスは遠距離戦闘を得意とする以上、索敵能力にも優れている。
未だ真名不明の皮肉屋ではあるが、その能力は本物だ。
だが、そのセイバーも全く何も感じていないわけではなかった。
(しかし、何でしょうか?)
たい焼きを食べながらも、その碧眼は僅かに鋭さを増していた。
(探知はできませんが、相当な手慣れが居るということだけは分かります)
説明のつかない違和感。
魔力反応を感知したわけではない。
気配を捉えたわけでもない。
それでも分かる。
長年戦場を渡り歩いてきた騎士としての経験からかAランクに達する直感スキルなのかが警鐘を鳴らしていた。
凄腕の剣士、あるいはそれに類する武人。
尋常ではない実力者がこの近辺に存在している。
そんな感覚だけが胸の奥に残り続けていた。
そうして一行は未遠川の河川敷、そして冬木大橋の袂へと到着する。
空には既に夜の帳が下りていた。
橋を照らす街灯の光が川面に反射し、僅かに揺れている。
平日だからなのか車の往来も少なく、人影も見当たらない。
静か、あまりにも静かだった。
戦闘の痕跡があると聞いていたからこそ、その静寂はむしろ不気味に感じられる。
何も、誰もいない。
まるで少し前までここで激しい戦いが繰り広げられていたことなど嘘だったかのような光景だった。
「にしても、相当なレベルの英霊が居たことは間違いないでしょうね」
凛がそう呟く。
その視線の先には大量の蛇魔の死骸が転がっていた。
地面には無数の矢が突き刺さり、所々には抉れた痕跡まで残っている。
戦闘そのものは既に終わっている。
だが、残された爪痕だけでも激戦だったことが容易に想像できた。
「矢はアーチャーだとして、蛇魔は恐らく‥‥‥蛇魔?」
言いかけた凛が不意に言葉を止める。
「どうした、遠坂?」
士郎が怪訝そうな顔を向ける。
すると凛は蛇魔の死骸を見つめたまま何かを考え込み、やがて小さく呟いた。
「なるほど、そういうこと。面倒なことしてくれるじゃない‥‥‥。」
そして顔を上げる。
「いい、士郎*1」
「え?」
「恐らくだけど、相良先生の居る陣営にもう一体いるわ」
その言葉に士郎の表情が固まる。
「蛇魔を操る真のキャスターが」
「━━!?」
思わず声が漏れた。
それも無理はない。
既に三騎同盟というだけでも絶望的な戦力差だ。
そこへ更に別のサーヴァントが加わるとなれば、正面から勝つことなどますます不可能になる。
「あなたがランサーに刺された時にキャスターと戦ってた話は聞いてるでしょ」
「ああ、確かダンテが蛇魔を操ったとか‥‥‥あれ?」
そこまで口にした瞬間、士郎も違和感に気付いた。
確か図書館で借りた神曲やダンテの逸話に関する内容が書かれた本には━━
「「蛇魔は存在しない/わ」」
二人の言葉が綺麗に重なる。
ケルベロスも、マレブランケもいる。
どちらも神曲に登場する存在だ。
だからダンテがそれらを使役していても不思議はない。
しかし蛇魔だけは違う。
ダンテとも神曲とも何の縁もない存在だった。
今思い返せば不自然極まりない。
ダンテが蛇魔を操っていたという事実そのものに大きな違和感があった。
ならば答えは大きく絞られる。
「真のキャスターがダンテに蛇魔を貸し与えた。普通は他のサーヴァントに使い魔を貸し与えることは無いから、ほぼ間違いなく同盟を組んでいるとみて良いわね」
凛の推論は極めて合理的だった。
一応他に蛇魔の支配権を奪った可能性もある。
だが、あれほど強力な使い魔を扱うキャスターがわざわざ他者の使い魔を乗っ取るような回りくどい真似をするだろうか。
むしろ最初から協力関係にあったと考える方が自然だった。
「ハッキリ言って、あの陣営は今の私たちだけだと真正面から相手はできないわ。引篭ってるバーサーカーか慎二が蹴散らしたタイミングで漁夫の利を狙うぐらいしか攻略方が思いつかないわ」
凛は苦々しくそう言った。
現実的な判断だ。
感情ではなく戦力差を見ている。
だからこそ厳しい結論になる。
「‥‥‥ああ、そうだな」
士郎の返事も歯切れが悪い。
否定できないからだ。
少なくとも現状、自分たちは弱い。
偽のサーヴァントしか従えていない陣営と、偽と真のサーヴァントを複数抱える陣営。
その差は決して小さくない。
自分(たち)の力でどうにかできる段階は、既に過ぎ去りつつあった。
「これ以上の長居は無用だし、場所を変えましょ」
凛がそう告げる。
確かに情報収集は終わった。
ここに留まる理由はない。
だが、その判断は僅かに遅かった。
~~~
「射抜け! ━━
~~~
それは突然だった。
セイバーの表情が変わる。
アーチャーの視線が一点へ向く。
ヒュン!!
「‥‥‥え?」
ポタリ‥‥と凛の頬から突如として血が出る。
自分たちの真横に何かが飛来した。
幸いにもその飛来物は狙いが少しずれたのか凛の頬を掠める程度で済んだ。
音速を越えていたであろうその飛来物、否、矢は冬木大橋の鉄骨の間を潜り抜け、その先にあった停泊していた船に命中する。
するとその船が燃えだし、やがて周りの船舶にも火が乗り移っていた。
自然発火なんてものではない、ボウボウと燃えたぎる地獄のようなの炎だ。
「真のアーチャーか!!」
セイバーとアーチャーがすぐさま戦闘体制に入る。
あの一撃は弓矢の一射。
あれほどの一射は間違いなく宝具だ。
そこから類推するに真のアーチャーか。
狙撃場所は矢の軌道的にかなり低い場所から。
となれば冬木大橋の下を流れる未遠川の上流か。
にしても
焦げたようなにおいを感じるが今の宝具で燃えた船からだろうか。
そうして、冬木大橋の向かい側から人影が現れる。
パカパカと遠からず聞こえる音と移動速度からして馬に乗っている。
やがてその人影の全貌は見える。
「鎧武者?」
見えたのは白い甲冑に兜を被った‥‥‥日本の武者を連想させるような姿そのものだった。
よく見ると赤い面頬を装着しているため顔は分からない。
その人物との距離が10mにも満たない距離になったところで件の鎧武者は馬から降りる。
「ライダー‥‥‥」
セイバーが馬に乗っていたことからそのクラスが真っ先に思い浮かぶ。
が、目の前の鎧武者は腰に帯刀していた大太刀を抜く。
「いえ、セイバー、ですか」
「如何にも」
ここで初めて鎧武者が喋る。
声色はややくぐもっているが男性。
やはりセイバーなようだ。
沖田総司といいこれで真のセイバーは二人目か。
「此度セイバーとして召喚された者だ。そして、先刻の一撃は同盟を組んでいるアーチャーによるものだ」
「随分と情報を言うのだな、真のセイバー」
「私
今の発言から真のアーチャーが同盟者。
それも複数形で嘘偽りのない言葉を言ったように正統派の英霊であるのだろう。
「成程。さぞ、高名な日ノ本の武士とお見受けする」
「そう言ってくれるのはありがたいものだ、騎士のセイバーよ」
互いに理解する。
得物は剣、そして正統派の武芸者の英霊。
故にこれは自分たちだけの戦いなのだと。
「アーチャー、あなたは下がってください」
「いいのかね? いつあのセイバーの同盟者であるアーチャーが弓を引くか」
目線を向ける。
目の前の鎧武者のセイバーは先ほどの、恐らくは矢が飛来した上流地点に視線を向け、静かに頷いた。
「アーチャーを下がらさせた。と解釈してよろしいですね?」
「ああ」
やはり目の前のセイバーは高名な武士なのだろう。
ここまでして一騎打ちの戦いの場を整えてくれた以上応えなければ、騎士としての名が荒む。
一歩、セイバーが前に出る。
士郎や凜はここで割り込むのはダメだと悟り、内心で「頑張れ」と祈る。
同時、真のセイバーが再度腰に携えていた大太刀を引き抜いた。
「断言しよう、貴殿は悪ではない。むしろ誰かのために戦える尊き存在だ。しかし、我がマスターの命において貴殿を斬る。すまぬな、騎士のセイバーよ」
「そっくりそのままお返ししましょう、
偉大なる騎士王が対峙するは白き鎧を纏う武士。
両者剣を構える。
空気が一段と重くなる。
張り詰めた空気だ。
やがて冬木大橋の下を通る未遠川に風が吹きつけ、音を立てた。
「はぁァァァッ!」
「はぁァァァッ!」
その瞬間、両者はぶつかり合った。
その剣圧で橋が揺れた。
今回は短め。
白い鎧に兜、馬に乗る‥‥‥誰でしょうね(すっとぼけ)。
前話でも修正して書いてますがアーチャーまたはランサーのどちらかは和鯖というのは誤りです。
本来であれば和鯖なのですが同時召喚の影響で‥‥‥という感じです。
‥‥‥ストックはあるけどモチベが湧かない。
感想とかでモチベを付けてるのでこうも感想とかがないと、自分の作品って人気ではないんだなと思ってしまう節があったりします。
かといって感想書いてを遠回しに言ってもそれはそれで申し訳ないですし。
しょもない後書きとなってしまって申し訳ありません。