「よりにもよって神霊ですか‥‥‥真名は‥‥‥ッ!!」
「おっと、オレを相手取るのはお前さんじゃ厳しいだろう。宝具━━」
「ぐ‥‥‥転、移‥‥‥」
「チッ、逃げられたかぁ。まぁいい、あの状態なら数日は動けんだろう」
とある一幕
感想ほしいなぁ‥‥‥
励みになるので。
旭将軍。
この名前はかつて源氏のある武将が平家物語で呼称された所謂あだ名だ。
学生の頃は「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響きあり。~」とこの一節から続く文章が最も有名だが、他にも物語な以上様々な逸話が記されている。
例えばこのセイバーが語られているものの一つには「ありがたきつよ弓せい兵、馬のうへ、かちだち、すべて上古の田村、利仁、余五将軍、致頼、保昌、先祖頼光、義家朝臣といふとも、争でか是にはまさるべき」というものがある。
現代語訳すると「義仲はめったにない強弓を引く優れた武者であり、馬上戦でも白兵戦でも、いにしえの坂上田村麻呂、藤原利仁、平維茂、平致頼、藤原保昌、源頼光、源義家たちといえど彼より上ではありえない」という感じである。
要約すると「義仲最強! 他の源平よりもガチで強い! 剣士だけど凄腕のオールラウンダー!」と様々な側面を持っているという意味合いにもとれる。
最もその当人に聞いたところ「弓は確かに引けるが、為朝殿じゃあるまいし」とやや否定気味に答えている。
さて、俺が召喚したのは既に名前を出しているようにかの木曽義仲。
源平合戦で凄まじい武勇を立てた日本のトップクラスの英霊だ。
倶利伽羅峠の戦いなんて歴史の授業で習うから特に有名だよね。
召喚できた理由は恐らく縁。
三郎さんの時に赴いたのもそうだが、前世が滋賀の大津*1生まれだったからっていうのもあるだろうし、他にも元から居るサーヴァントの数騎も少なからず縁がある。
三郎さんとは同じ長野出身で滋賀に関わりがあるし、謙信ちゃんは時代は違うが同じ越後の守護してた人物だし何気に縁が強い。
能力とか宝具を見た感じだとセイバーの中でも上澄みの部類なのだが‥‥‥多分これマスターに召喚されるのを想定されてないサーヴァントだ。
セイバーなのに単独行動(EX)があるおかげか宝具と魔力放出ぐらいしか魔力を持って行かないし、ライダーでもないのに適宜馬に乗るし、対軍宝具が凄い性能してる。
強いってもんじゃない、これは本来の聖杯戦争の術式の目的で召喚される英霊だ。
なのになぜか呼べてしまったのはあの汚染された聖杯がバグり散らかした結果だろうか。
まぁそのバグり散らした聖杯のおかげでこうして強い戦力がアーチャーとセットで当たったワケだ。
ちなみに、アーチャーは同時召喚に引っ張られた結果だろう。
引っ張られた理由は多分同じ聖杯戦争に呼ばれたとかそんな感じか。
そうでなければ都合が良すぎるほどだ。
「只今戻りました、マスター」
「お疲れ様、アーチャー。しばらくは休んでいいよ」
「承知しました」
軽く会話をしてから霊体化をしてどこなに行ったアーチャー。
義仲といいこのアーチャーといい、魔力消費量がそんなにかからないおかげか、魔力切れは起きずらい。
「謙信、ランサーとの戦いの方は?」
いつのまにか戻ってきていた謙信。
やや血痕が見受けられるがほぼ無傷である。
「勝ちましたよ。やはり宝具で対処できましたね」
クー・フーリンを味方にするという選択肢はあった。
既に敵対してる陣営の駒ではあるがルールブレイカーでどうとでもなるのだが、実を言うと動かせる魔力リソースが枯渇しかけて今の状態にクー・フーリンが入るとなるとキツイ。
故に実に不本意だが、このまま言峰に良いように使われる前に潰すことにした。
ちなみに、倒し方についてもっと効率化するために考えていたプランの一つとしてあった案がある。
埠頭で謙信と戦うのだが、そこで謙信が場所をどんどんずらして間桐邸まで引っ張る。
そして催眠が掛かってるサクラを配置して準備完了。
ランサーが投げでも刺しでも宝具を使ったタイミングで謙信が車懸りの陣で分身してダメージを分身一体のみに押さえたと当時に背後にスタンバってたサクラに謙信を刺したことで威力が減衰したゲイ・ボルクの槍先をヒットさせて臓硯を処理しつつ、メタトロンの宝具でクー・フーリンを葬りつつサクラを急速回復させる。
理論上は可能だったが、かなり無茶を通さなければならなかったので先述したクー・フーリンを残す選択に変えた。
「それと、クランの猛犬殿から
「お、マジで? ちょっとばかし無理なお願いだったかもしれなかったけど」
「彼曰く、「余らせまくってた」とのことで」
そうして謙信から渡された物を確認する。
渡された物は全て石板に古代文字が書かれたものだ。
しかしながら、これぐらいの言語であれば時計塔で必修科目だ。
書かれているのは端折るとして、最後に書かれた四文字は「
文字から僅かながら感じるそれは魔力に近しい。
これは追々使うとしよう。
無論、一魔術師が"これ"を習得するというワケではない。
さすがにそこまでご都合主義な肉体と能力は無い。
ただ、メディアが見たがってたし後で見せよ。
「あ、そう言えばアーチャー殿は?」
「霊体化してどこかに行った。まだその辺に居ると思う。そういやアーチャーってお前の時代でも有名だったんか?」
「ええ、それは勿論。生前彼の登場する物語をよく目にしたことがあるので」
一応あの物語が伝わったのは少なくとも平安時代では既にあったみたいだから別に戦国時代にあっても違和感はないか。
お栄ちゃんも人物は違うけど同じ物語を題材に取り扱ってたから、義仲含めてかなり興奮気味だった。
でもなぁ俺少ししか読んだことはないしそれお題材にしたアニメも観たことないから最初に真名を聞かされてもパッと来なかったんだよね。
三国志なんて有名なのに‥‥‥。
もう何度目になるだろうか。
衛宮邸の居間では、再び作戦会議が開かれていた。
窓から差し込む朝の光とは裏腹に、その場を包む空気は重い。
畳の上には冬木市の簡易地図や走り書きのメモが並び、それぞれが持ち寄った情報を整理している最中だった。
面子は屋根上で見張り役をしているアーチャーを除いて
「それじゃあ、今回確認できた真のサーヴァントだけど‥‥‥セイバーは木曽義仲で確定ね」
「ええ、間違いありません」
「それで、アーチャー二騎の真名がロビンフッドとアタランテ。揃いも揃って、弓の名手ばかりね」
凜は小さくため息を吐く。
あまりにも嫌な顔触れだった。
士郎も最初こそ、その名前を聞いて思わず息を呑んだ。
ロビンフッド。
義賊として名高く、圧政に抗った英雄。
映画や小説、童話など現代でも数え切れないほど語られ続ける伝説の弓兵である。
対してアタランテという名には聞き覚えが薄かった。
首を傾げる士郎へ、凜が簡潔に説明したことで、その強さを理解する。
ギリシャ神話に名を残す女狩人。
アルゴノーツの一員であり、弓の技量だけならヘラクレスにも匹敵するとまで伝えられる英霊。
無論、バーサーカーとして召喚されたヘラクレスは狂化の影響で弓を扱えない。
だから単純比較はできない。
それでも神話級の英雄と並び称されるほどの射手であることに変わりはない。
「まだ分かっていないのが、もう一騎の真のアーチャー。それから蛇魔を操る推定真のキャスター。そして昨夜脱落したのが━━」
「真のアサシンです」
凜の言葉を引き継ぐように、
「お爺様が‥‥‥呪腕のハサンだと言っていました。姉さ‥‥‥遠坂先輩」
そう、呟くように言ったのはサクラだ。
なぜ彼女がここに居るか。
それは数時間前に遡る。
夜が明けてまた作戦会議をしようとした二人だったが、そこに大急ぎでやって来たのがサクラだった。
そして、サクラは自分の全てを語った。
自分は間桐の次代の魔術師候補として育てられてたこと。
数年前から間桐臓硯によって拷問紛いの魔術訓練を受けていたこと。
今回の聖杯戦争で本当の
昨夜なぜか真アサシン諸共、臓硯が消えうせていること。
などなど‥‥‥
この話を聞いて二人の感情は起伏の激しいジェットコースター状態だった。
話を聞き終えた二人はそれに気づかなかった自分たちも責任があるとして謝罪。
特に溝が深かった凜との関係も回復への兆しが見えた。
まだ苗字呼びではあるがすぐに姉呼びに変わるだろう。
サクラの話の中には一部気がかりなものがあった。
例えば、サクラが起きた時に机に置かれていた手紙だ。
内容は「臓硯は排除した。後は自分で生きろ」という短いものだった。
最初こそは何かのいたずらかと思っていたサクラだが、寄生されていた感覚もなければ、蟲のうるさい羽音も無く、例の蟲蔵も綺麗さっぱり焼け焦げていた。
それに伴って間桐の魔術資料の半割以上が消え去っていた。
恐らくこれをやってのけたのは‥‥‥
「相良豹馬ね。焼け焦がしたところを見るにルーラーに協力をしてもらってやったとみるわ」
間桐臓硯は外道だ。
そして輪廻の枠組みから外れかけていた。
つまりルーラー、神に近しいメタトロンであれば裁定を与えるだろう。
ルーラーと完全に協力したということではないだろう。
さすがに利害関係の一致か、ルーラーが権限で相良を動かしたかのどちらかだろう。
真相までは分からない。
そして、現在へと話は戻る。
「‥‥‥きついわね」
凜が疲れ切ったように額へ手を当てた。
誰が見ても状況は最悪だった。
真のサーヴァントの多くは既に同盟を形成している。
各個撃破は極めて困難。
それどころか、敵対勢力が多すぎる。
柳洞寺には偽キャスター、偽アサシン、真ライダー、そして推定真キャスター。
慎二の陣営には真セイバーと真バーサーカー。
さらにイリヤは偽バーサーカーを従え、未確認の偽ランサーも潜伏。
加えてマスター付きの真セイバー、真アーチャー。
独立行動しているロビンフッドとアタランテ。
さらには、まだ姿を現していない真サーヴァントまで存在する可能性が高い。
今は四面楚歌をはるかに超えた状況だ。
恐らくはセイバーとアーチャーの宝具を以てしても全ては倒せない。
既に詰み一歩手前なのだ。
これには目の前のセイバーことアルトリアも顔を下げていた。
敵を作りすぎた。いや、敵対してくるサーヴァントが多すぎたのが原因か。
一部の敵は武人の精神に則って見逃すだろうが、それでも戦って来る奴しかいない。
第四次聖杯戦争とは比べ物にならないこの戦いは若い未熟な魔術師たちにとっては土俵に立てない。
しかし、唯一土俵に上がれるだけの条件が揃うとすれば、話は別だ。
例えば━━まさに、その可能性が向こうから訪れた。
「こんにちは、シロウ、リン、それと‥‥‥サクラね」
「イリヤ!?」
不意に庭先から少女の声が響いた。
声の主は、偽のバーサーカーのマスターであるイリヤだった。
その傍らには霊体化を解いたバーサーカーが静かに佇んでおり、その巨躯が放つ圧迫感だけで場の空気は一変する。
「どうしてここに?」
士郎が警戒を隠さず問い掛けると、イリヤは一拍置いて静かに口を開いた。
「それはね━━」
そう前置きして全員を見回した後、彼女は迷いなく言い放つ。
「単刀直入に言うわ。私と同盟を組んで」
「‥‥‥は?」
あまりにも唐突な申し出だった。
敵として現れるものと思っていた相手から飛び出したのは、まさかの同盟の打診。
この状況で戦力が増えること自体は歓迎すべきだ。
だが、つい先日まで命を狙ってきた相手が自ら協力を申し出るなど、誰が予想できただろうか。
「待って。つい先日まで好戦的だったあなたが、そこまで態度を変えてまで同盟を申し込む理由は何?」
「そうね。最初こそは嘘つきセイバーとシロウへの私怨で戦う気満々だった」
「イリヤスフィール! それは‥‥‥」
「今も許す気はないわ。けど、そんなことを言っていられる状況じゃなくなったの」
「‥‥‥。」
やはりイリヤとアルトリアは以前から面識があるらしい。
何があったのかは当人たちにしか分からず、今ここで踏み込むべき話でもない。
やがてイリヤは、その場にいる全員の表情を見渡すと、重大な事実を静かに告げた。
「例の柳洞寺の四騎同盟は、シンジの陣営とルーラーが共謀して、聖杯の予備システムすら無視し、サーヴァントを複数体召喚するというルール違反を犯しているわ」
━━想定通り。
盗聴器でそれを聞きながら俺は某新世界の神を頭に思い浮かべていた。
昨夜に動かしたのがあいつらだけだと思ったら大間違いだ。
慎二君も動かした。
イリヤなら、恐怖による精神的な足止めが解けた頃には必ず戦場へ向かう。そう読んでいた俺は、あらかじめ慎二君をアインツベルンの森の近くへ配置しておいた。
狙いはただ一つ。
イリヤと遭遇させ、戦闘を誘発すること。
結果は、ほぼ思惑通りだった。
その時に繰り広げられたオルタ&ジャックVSバサクレスの激突は、まさしく凄絶の一言に尽きる。
森の木々を薙ぎ倒し、大地を砕き、爆音と衝撃波が幾度となく辺りを揺るがす。サーヴァント同士の激突とは、ここまで常識外れなのかと改めて思い知らされるほどの死闘だった。
いくらヘラクレスが最強格の英霊だと言っても、相手はバックアップを受けた抑止の守護者と、十分な魔力さえ供給されれば際限なく増殖を続ける殺人鬼。
純粋な一対一ならともかく、この組み合わせはあまりにも噛み合いすぎている。
ヘラクレスは幾度となくジャックたちを薙ぎ払い、圧倒的な膂力で押し潰そうとしたが、その度に増え続けるジャックが戦線を維持し、オルタが隙を逃さず斬り込む。
攻めても攻めても数が減らず、防いでも防いでも鋭い一撃が飛んでくる。
さしものヘラクレスですら押し切ることはできず、終始互角という形で戦場は膠着していた。
そして、その均衡が続いたところで。
慎二君は予定通り、絶妙なタイミングで撤退を選択した。
逃げるだけなら簡単だ。
だが今回欲しかったのは撤退ではなく、"情報"だった。
だからこそ彼には、最後に一つだけ演技をしてもらった。
普段通りの、少し調子に乗った口調で。
『ああ、そうだ。今度は新たなサーヴァントで戦ってやるよ。こっちはルーラーと大規模同盟のルールの穴を突く召喚でサーヴァントの数は揃ってるんだ! じゃあなー!!』
そう叫びながら、そのまま森の奥へと姿を消していく。
わざと。
本当にわざとらしく。
普段の慎二君らしく。
ボロを零してみせた。
これでイリヤはこちらがルール違反*6をしていると認識する。
当然、そんな相手を単騎で攻略できるとは考えない。
ましてや、多数のサーヴァントが連携する同盟が存在すると知れば尚更だ。
ならば答えは一つ。
自分たちも同盟を組むしかない。
━━そう、同盟だ。
結局のところ、この作戦の真の目的は、こちらがルール違反をしていると大々的に宣伝することではない。
衛宮君たちとイリヤ陣営を自然な形で協力関係へ持ち込み、ギルガメッシュによる奇襲に対抗できる体制を整えさせること。
それこそが本命だった。
浄化した大聖杯がある以上、最悪はこちらだけでも対応できる可能性はある。
だが、"万が一"は存在する。
この世界では、その万が一こそが人を殺す。
だからこそ、小聖杯もギルガメッシュが容易に手を出せない場所へ避難させておく必要がある。
保険は多いほどいい。
一つの策だけで勝てるほど、この戦争は甘くない。
盗聴器の向こうでは、こちらの企みなど露ほども知らず、今もなお話し合いが続いている。
内容も、ほぼ予想通りだ。
今俺が頭の中で整理した内容を、そのまま口に出していると思ってもらって構わない。
『━━っていうように今すぐに同盟を組みたいのだけれど‥‥‥』
「?」
『まずはそっちの状況をどうにかしないとね』
その瞬間だった。
パチン。
乾いた破裂音が響いたかと思えば、
「っ!?」
直後、ヘッドフォン越しに耳をつんざくような爆音が炸裂した。
鼓膜を殴りつける衝撃に思わず顔をしかめ、慌ててヘッドフォンを外す。
耳鳴りが残る。
ノイズが激しく暴れ回り、正常な音声は完全に途切れていた。
チッ、こりゃバレたな。
『盗‥‥聴、き‥‥‥』
途切れ途切れの音声を最後に、一つ目の盗聴器が完全に沈黙する。
『分かった?あなた達の情報は筒抜けだった。次はテレビの裏』
次々と破壊されていく盗聴器。
現代の機器に魔術師の大抵は疎いと言うが、こいつは魔術師殺しの血を引いてるのかそう言うところに妙に鋭い。
本来だったらもう少し起動させたかったがやむを得ないか。
『これで、最g━━』
最後の音声が激しいノイズに飲み込まれ、
ぷつり、と完全な沈黙が訪れる。
仕掛けた盗聴器は、一つ残らずロストした。
やられた、こうなると幽弋さんの方法は二度も通じないだろうから、こいつらの行動を正確に予測しないと負ける。
「仕方ねぇ‥‥‥メタンヌ、悪い。先に教会を監視して、あいつらが来たら動いてくれ」
「分かりました」
計画変更だ。
本来ならこれは後の言峰戦で使いたかった手札だが、こうなると失敗する可能性がある。
速めにやっておかないとマズい。
聖杯戦争において、表向きのマスターたちが集う場所。
それが冬木教会だ。
礼拝堂を包む空気は静まり返り、誰一人として無駄口を叩こうとはしない。
重苦しい沈黙だけが場を支配していた。
「では集まったようなので、これより柳洞寺に拠点を置く大規模同盟陣営について語ろう」
やがて、その張り詰めた空気を切り裂くように言峰が静かに口を開く。
そこで語られたのは、先ほども触れられていた偽のキャスターと偽のアサシンを中心として始まった大規模同盟についてだった。
彼らは本来のサーヴァントたちが表舞台で激戦を繰り広げる裏側で、一歩ずつ、着実に勝利への布石を打ち続けていた。
間桐臓硯が聖杯の予備システムを起動させたことを察知した彼らは、何らかの手段によってそのシステムへ割り込み、新たに二騎のサーヴァントを召喚。
それによって四騎による同盟を成立させた。
さらに慎二を取り込み、何らかの方法でバーサーカーとセイバーを召喚させる代わりに協力関係を結ばせる。
そうして勢力を拡大し続けた結果、いつの間にか逸れサーヴァントまでも何騎か取り込み、現在の大規模同盟へと至っていた。
常識では到底考えられない速度と規模である。
恐らく、ルーラーとは開戦前から繋がっていた可能性が高い。
そうでもなければ、御三家以上に聖杯戦争の性質を熟知していることも、ここまで大胆な無法を成立させられることも説明がつかない。
加えて、真の聖杯戦争のルール、その最後の一節の「この聖杯戦争の監督は聖堂教会ではなくルーラーが執る」というこの文面にも大きな違和感があった。
なぜ、わざわざ聖堂教会を排除する一文を加えたのか。
もしこれ自体が、ルーラー側に都合が良くなるよう改変されたルールなのだとしたら━━。
「こちらが介入すると不都合がある。そう捉えられるだろう」
言峰の結論に、その場の誰もが納得する。
例えば、上杉謙信が口にしていた「元真のランサー」という言葉。
あれが事実なら、彼女は本来、自らの願いを抱いて召喚されたサーヴァントだったはずだ。
そんな存在がルーラーという絶対的な権限を得た以上、その権限を利用して自らの願いを叶えようと好き勝手に動く可能性は十分にある。
メタトロンについては依然として不明な点が多い。
だが、限りなく黒に近い。
ここまで露骨なルール違反を犯している陣営へ何一つ制裁を下していない時点で不自然すぎる。
彼女もまた、何らかの目的をもって彼らと共謀している可能性は極めて高かった。
まぁこのルールを語ったのが彼女自身なので確定なのだが。
もっとも。
これはその場の誰一人として気付いていないことなのだが、彼らの推理には一つ、大きな落とし穴が存在していた。
真の聖杯戦争が始まったタイミングを、間桐臓硯が聖杯の予備システムを起動させた瞬間だと解釈している以上、時系列そのものが噛み合っていないのである。*7
だが、その矛盾に気付ける者はいなかった。
そして彼らは、それ以上に重大な事実を見落としていた。
━━新都で起きたガス漏れ事件。
あの事件で確認された使い魔は竜牙兵だった。
偽のキャスターが使役するのは『神曲』由来の怪物。
推定真のキャスターが操るのは蛇魔。
ならば。
竜牙兵を操っていたキャスターは、一体誰なのか。
つまり、この時点で「大規模同盟にはさらに別のキャスターが存在する可能性が高い」という結論へ辿り着ける。
しかし、その場にいる全員が連日の戦闘による疲労と神秘の秘匿への対応に神経を削られていたため、そこまで思考を巡らせる余裕は残されていなかった。
「━━そのため、此度重大なルール違反をしている大規模同盟陣営に対して討伐命令を下そう」
最後に告げられたその一言は、礼拝堂の空気をさらに重く沈ませた。
それが意味するものは明白だ。
現時点で判明しているだけでも、最低八騎。
八騎ものサーヴァントを正面から相手にしなければならないということである。
こちらにも強力なサーヴァントは集まりつつある。
それでもなお、戦力差は絶望的と言わざるを得ない。
誰もが、その現実を理解していた。
「本来であれば私のサーヴァントであったランサーを貸し出すつもりだったのだが、既にルーラーが彼を排除したために教会としては支援はほとんどできない」
「あなたがランサーのマスターだったのね‥‥‥」
「ああ。成り行きではあるがね」
綺礼がマスターだった。
一瞬だけ意外に思ったものの、冷静に考えれば今さら驚くような話でもない。
既にランサーがルーラーによってやられていたということは驚きだが、こうしてランサーが表に出なかった以上倒されていてもおかしくはない。
結局、その日の会議はそこから少し会話をしてからお開きとなった。
各々が束の間の休息を取ると同時に、まだ味方へ引き込める逸れサーヴァントがいるかもしれないという僅かな可能性へ賭け、それぞれ探索へ向かう。
しかし、その願いが叶うことはなかった。
街の隅々まで探し回っても、新たな協力者となるサーヴァントは最後まで一騎として姿を現さなかった。
「すみません、マスター。やられました。神霊、です」
「やっぱりかぁ‥‥‥予測してたとはいえ、やられた。というか何で
「そして英雄王の入れ知恵かもう一騎います‥‥‥。それと、しばらくの間は休ませてください。次に行うことの時にはほとんど回復しきってるかと思いますが、今は対魔力で抑えてますが‥‥‥」
「令呪いるよな? それとお前が見るからにヤバい状態にさせる相手って何?」
「できれば二画‥‥‥ヴィリ族神話の至高神‥‥‥」
「おい! マジで大丈夫か!? メディア、早く来てくれ!!」
真のアーチャー
・出典が三国志
・義仲の参加した聖杯戦争に参加している
→つまりサムレム出身
→ということは‥‥‥
真のキャスターのスキル(一部)
神性(A):そもそも神霊。恐らくはギルガメッシュが何らかの裏技を仕組んだと思われる。
メタトロンの解釈によっては真キャスターの能力は刺さります。
ただし、弱体化しているため手駒にすることは難しいですが。