パーフェクトゲームを目指すには!   作:メタ(ル)

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何か昨日体調がクッソ悪い中編集してたんで色々書き忘れてたこともあれば中途半端にしちゃってました。
なお、しばらくはタグのように塩試合です。



感想頂けたら幸いです。
励みになります。





XXⅧ 混ざる世界

「では、始めようか。令呪を以て命じる、宝具を使用せよ妖術師(ソーサラー)、アヴェンジャー」

 

「屍の鏡、暗黒の鏡。扉となりて、かつてこの地で戦った者共を此処へ━━冥鏡宝典(アンブゥ・ネブ・タ・ジェセル)!!」

 

「死した者たちよ、我が傀儡へと成り果てろ━━万霊帰属(ラルメ・ルヴニュ・ア・ラ・メール)

 

 

唐突だが君たちはこの光景を見たらどう思うだろうか?

 

果てしない砂と青空に覆われた大地。

その地平線の彼方から、一部例外はあるものの黒化、あるいは影鯖(シャドウサーヴァント)に近しい状態となった様々なサーヴァントたちがこちらへと押し寄せてくる。

その中心にいるのは第四次聖杯戦争で召喚されたサーヴァントたち。

よく目を凝らせば第四次では見覚えのないサーヴァントまで混じっている。

 

 

破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)!!

 

無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!!

 

 

次々と放たれる宝具に思わず舌打ちが漏れる。

これだから神霊はクソだと言われるんだよ。

神話系の触媒が十倍近くまで値上がりする理由も嫌というほど分かる。

神の権限とかいうチート能力で、都合のいい状態の英霊を好き放題引っ張り出した挙げ句、そのまま宝具まで使わせるとか無法にも程がある。

もっとも、不幸中の幸いと言っていいのは()()()()()()()()()()()ことだろう。

あいつまで混ざっていたら、勝算があるなんて口にする余裕すらなかったはずだ。

 

 

「勝算はあるとはいえ、大丈夫かなぁ‥‥‥」

 

 

そんなことをぼやきながらも、俺は己のサーヴァントたちへ次々と指示を飛ばしていく。

死角から迫ってきた百貌のハサンに魔弾を顔面へ撃ち込み、一瞬動きが止まったところへ踏み込む。

その勢いのまま首を掻っ切ると、百貌は黒い靄となって霧散した。

クッソ、こうなるんならジャックさんを連れて来るんだった。

 

さて、何でこんな状況になっているのかと言うと、話は数時間ほど前まで遡る。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

士郎君とエミヤの戦いが終わって数日。

 

一応答えを得たエミヤ。

願いに諦めを付けたアルトリア。

自分の歪みに気づき、それを正して前に進むことを選んだ士郎君。

RTA勢並みの爆速で共闘側の問題を片付けた。

 

本来であれば二日後ぐらいに言峰を倒しに向かう予定ではあったのだが、メタンヌが数日間相手のキャスターの宝具による効果をもろに喰らっていたため、完全に回復しきるまで五日も掛かってしまった。

元よりルーラー霊基ゆえ耐性はあったのだが、同じ神霊相手に万全の準備を整えた上でカウンターを叩き込まれたせいで、今日まで霊基を意図的に怠惰な状態へ落とし込み、極力魔力を消費しないよう過ごしていたのである。

 

 

「ふっかーつ!」

 

「ああ、疲れた‥‥‥休憩とってもいいかしら‥‥‥」

 

「マスター‥‥‥私たちも休むね‥‥‥大変だった」

 

 

今は怠惰人格ではあるものの、ほぼ完全復活と言っていい状態まで戻っている。

それとありがとうございます、メディアさん。

聖杯の浄化作業も休憩して良いですよ。

 

 

「魔術師の英霊で五本指に入るメディアに、神霊のワルキューレ複数を要してようやく治せる呪いって一体‥‥‥」

 

「━━神霊による強力な洗脳宝具」

 

「は!? 神霊って呼び出せるわけが‥‥‥」

 

「普通なら召喚できないよー。普通なら、ね」

 

 

俺は既に答えを知っている。

ここまで情報が出ていれば、凛の嬢ちゃんも今まで得た情報だけで推理できるはずだ。

案の定、少し考え込んだ後、何かを思いついたように目を見開いた。

 

 

「ギルガメッシュ‥‥‥!」

 

「せいかいー。あいつの入れ知恵だろうね。曲がりなりにもルーラーの霊基も持ってるから、ルーラーしか知らないような召喚の抜け道を知ってても不思議じゃないワケ」

 

「あのアーチャーが、ですか?」

 

「ちなみに汝もルーラーの資格は持ってるよ」

 

「私も!?」

 

 

アルトリアが珍しく目を丸くする。

意外に思うかもしれないが、君もモルガン(君の姉)もルーラーの適性自体は満たしている。

メタンヌから聞いた話では、ルーラーの条件は宗教関係者や聖人、高位神霊であることや、願いを持たない中立者だけに限定されるものではないらしい。

そもそもルーラー(Ruler)という単語には裁定者だけでなく「支配者」という意味も含まれる。

そのため、後世に残る法や統治制度を築き上げた王や政治家なども、条件次第ではルーラー霊基を得られるという。

その例が以前の"黒"のセイバーことシャルルマーニュの別側面であるヨーロッパの父カール大帝や獅子心王の異名で称えられたイングランドのリチャードⅠ世だったりするそうだ。

 

 

「それで、その大天使がカウンターでやられるほどの神霊キャスターって何者なの?」

 

「ンザンビ。アフリカ、主にコンゴで語られるヴィリ族神話の至高神」

 

「!?」

 

「ん? えっとンザンビっていうのは‥‥‥」

 

 

名前だけで一同が反応する中、士郎君だけはぽかんとしていた。

まぁ無理もない。

日本では名前だけなら多少知られている程度だ。

かく云う俺も全て知っている訳ではない。

 

 

「ゾンビ伝承の起源になった奴って言えばそいつがヤバいのが分かるだろ?」

 

「なっ‥‥‥!」

 

 

理解できたようでなにより。

前にゾンビを調べてた時に知ったけど、逸話的に相当凄い神霊だからね。

 

 

ンザンビ

 

アフリカ圏、主にコンゴをはじめとする地域に住むヴィリ族に伝わる至高神であり全ての生き物の母にして大皇女。

ゾンビ伝承の起源となった存在であり、コンゴ出身の奴隷たちが中南米に伝えたことがゾンビ物の基になったとされ、「不思議な力を持つ者」という意味を持つ。

このンザンビの凄まじいところはやはりその逸話だろう。

玉藻の前やティアマトよろしく世界を創造した神の一柱とされていることである。

それだけでも十分危険なのだが、無辜の怪物の影響で後世のゾンビ伝承が混ざり合った結果なのか、宝具や保有スキルによって『死んで英霊の座へ登録されたサーヴァント』を己の手駒へ変える能力を持っている。

ただし、最高レベルの神霊だからか宝具で無条件に手駒にはできず、相手が死にかけだったり、大ダメージを負っている、超至近距離に入っているなど条件で手駒にできるそうだ。それでも規格外の能力だが‥‥‥。

この能力のせいで、大半のサーヴァントはンザンビ相手では相性最悪となる。

実際、ジャンヌ要素がやや混ざった状態のメタンヌですら、至近距離でジャックされかけた。

 

逆に対応可能なのは、今はまだ本体が死んでいないアルトリアや死の概念そのものである幽弋さん、後は曖昧でも死んだ逸話のない者の霊基が混ざったダンテやメデューサならばその効果が効かないだろう。

‥‥‥まぁつまりだ。

 

 

「君らが言峰諸共討って」

 

 

俺は魅せプ目的で大量のサーヴァントをぶつけるなんて真似はしない。

アルトリアとメデューサで言峰側を叩いてもらう。

もう一騎のアヴェンジャーもそうだが、相手は典型的なキャスター型。

前線で暴れるタイプではなく、言峰の傍から離れないはずだ。

 

ああ、ちなみにアヴェンジャーは語ってなかったけどあれね、ニトクリスのオルタナティブ。

しかもご丁寧にアヌビスの霊基を引っ張ってきたヤバい奴である。

軽く説明するとこんな感じ。

 

 

ニトクリス

 

第6王朝末期のエジプトを統治したとされている女王。

一応史実の人物なのだが、まだ依然として彼女の存在を示す証拠が発見されてないためどちらかと言えばエジプト神話の出身だろう。

特にニトクリスの鏡というのが有名でこの鏡は地獄のようなあるいは冥府を映し出すと言われている。

そんな彼女が反転霊基かつエジプト神話で某ジャンプの作品の影響で知名度が高そうなアヌビスの神格を取り込んでいる。

メタンヌがギリギリで真名看破した情報によれば鏡を用いた宝具とアヌビスの化身としての宝具とスフィンクスを複数体召喚するという能力があるらしい。

神霊ではあるが、悪性のサーヴァントだから召喚に応じれた可能性が高い。

 

ンザンビもそうだが、教会という死者の骸が沢山ある場所に死者の魂や骸を用いる神霊という最悪のベストマッチが起こってしまっている。

つまり、スフィンクスを含め生きる屍ことゾンビの相手をしなければならない。

となればその掃討する役割を俺が引き受けることにする。

俺が言峰のところに向かってもお門違いがすぎるし。

 

俺たちは攻め側ではあるが本質は守備側である。

教会には一応攻め込むが言峰は本命である聖杯の奪取のためにサーヴァントを連れてこの円蔵山にやって来るだろう。

山門は侵入者対策でこれでもかとトラップを仕込んでいるが相手は高位神霊だ、正門を潜らなければならない条件を無視して別角度から侵入してくるだろう。

 

 

「故に、攻撃側と守備側に分けることにした」

 

 

守備側にはヘクトール、ジャックさん、ペルセウス、ダンテ、ヘラクレス、アタランテ、ロビン、メディアを配置する。

ヘクトールは防衛の名手。

アーチャー勢は遠距離制圧。

ジャックさんやペルセウス、ダンテは豊富な手札と物量で穴を埋められる。

そしてヘラクレスを置く最大の理由は、万が一にも敵へ奪われ暴走する事態を防ぐためだ。

加えて、聖杯を奪われた時点でこちらの敗北が確定するため最後の砦として残すべきなのだ。

イリヤには悪いが、伝家の宝刀「やっちゃえバーサーカー」は今回は封印してもらう。

本気で勝ちにいく。

 

攻撃側は残るsn組に三郎さん、幽弋さん、謙信、義仲、周瑜。

こちらは完全な突破部隊だ。

残りのサーヴァントは霊体化させ、無駄な魔力消費を抑える。

オルタやメタンヌも前線へ出したかっだが、各軍師サーヴァントから「万一に備える切り札は残すべき」と強く止められた。*1

少なくとも、余程の想定外でも起こらない限りこの布陣で負けることはないだろう。

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

「そう思ってたんだがなぁ‥‥‥」

 

 

言峰は予想通りというべきか、ついにこの円蔵山へ姿を現した。

スフィンクスの群れに加え、魂を持たないゾンビまで引き連れていたが、その程度なら事前の想定の範囲内だった。

問題はその直後である。

開幕早々、躊躇なく令呪を使用して宝具を発動させやがった。

奴らがやったことを簡潔に説明するなら、冬木の聖杯へ汲み上げられていた歴代サーヴァントの魂の残滓を、ニトクリスの鏡によって一時的に再構築し、さらに僅かな黒化を施したということだ。

その直後、ンザンビの宝具によって、その再現された英霊たちを強制的にゾンビのような状態へ変質させ、自軍の戦力として組み込むという離れ業までやってみせた。

厄介極まりないことに、そいつらのほとんどは単なる操り人形では終わらない。

ほぼフルスペックの思考能力と戦闘技術を保持したまま、連携まで取りながらこちらへ襲い掛かって来る。

 

 

「真名看破しますね。馬に乗ってるのがイスカンダル、ライダーです。二本槍を構えているのがディルムッド・オディナ、ランサーですね。残りは面倒なので真名とクラスだけ言いますね。バーサーカーでランスロット、キャスターでジル・ド・レェ、アサシンで百貌のハサン」

 

「第四次のサーヴァントですか‥‥‥」

 

 

念のために謙信が真名看破*2をしているが、やはり召喚された面々は、その()()が第四次聖杯戦争へ参加していたサーヴァントたちだった。

その顔触れを見回したアルトリアは、一人だけ姿が見当たらないことに違和感を覚えたらしい。

アーチャーことギルガメッシュがいない。

しかし冷静に考えれば、それも当然だっか。

あいつは冥府へ送られた以上、聖杯へ魂が回収されることはない。

ならば魂の残滓そのものが存在せず、呼び出しようがなかったということだろう。

 

 

「他騎も看破します。ディルムッドの横にいる槍兵がフィン・マックール、ランサー。骸骨を付けたハサンはそれぞれ呪腕のハサンと‥‥‥名前は読み取れませんでしたが『空想電脳』という宝具を持ったハサンですね。あ、後ランサーでクー・フーリンも居ますね」

 

 

第三次のランサーとアサシンに加え、第五次で敗退したランサーとアサシンまで混ざっている。

ちっ、そいつらまで引っ張り出してきたか。

とはいえ、第三次聖杯戦争以前に参加していたサーヴァントたちについては、聖杯へ残っていた魂の残滓が少なかったらしい。

その結果、再現できたのはこの程度が限界だったというわけだ。

 

 

「想定しうる最悪の事態にならなかっただけまだマシか」

 

 

そう口では言ってみたものの、内心では楽観などできるはずもない。

何より予想外だったのは初手でイスカンダルが王の軍勢を発動してきたことだ。

 

通常、固有結界は維持するだけで膨大な魔力を消費する上、世界そのものが異物として認識するため、抑止力による修正が働き、長くても十分程度しか維持できない。

ところが目の前へ広がるこの砂漠は、一向に崩壊する気配がない。

見渡す限り地平線まで広がる世界は薄れる様子すら見せず、まるで最初からこの世界そのものだったかのように安定して存在している。

またあの二騎が神霊の権限を使って、本来の固有結界の制約ごと捻じ曲げやがったのか。

 

 

「まあいいか。とりあえず君らは言峰の排除に向かってくれ。ここにいる連中の掃討は俺たちだけで十分だ。余計な足止めを食らう前に目的を優先してくれ」

 

「ですが、現状は固有結界の内部です。この状況では、使用者が解除しない限り外へ脱出することは━━」

 

「不可能、と言いたいんだろうが‥‥‥いや、方法ならちゃんとある」

 

 

基本的に固有結界とは、一度取り込まれれば展開者が解除するまで外へ出られない絶対領域だ。

世界そのものを書き換える心象世界である以上、内部から脱出する術はほぼ存在せず、それ故に魔術の極致とまで称されている。

だが、それはあくまで"基本的には"という話でしかない。

世界に深く干渉する術式であるが故に、抑止力や世界そのものとの相性問題による例外はいくつも存在する。

世界を塗り替えるほどの力は、同時に世界から修正されやすいという欠点も抱えているのだから。

 

 

「義仲、いけるか? 今なら令呪の補助も惜しまない」

 

「無論。だが、この一撃は通常の魔力供給では足りぬ。確実を期すなら令呪を使用してもらいたい」

 

「了解した。それじゃあ遠慮なく使わせてもらうとしよう」

 

 

左手の甲に刻まれた令呪が淡い紅光を帯び、静かに脈打つような輝きを放ち始める。

今現在三画残された令呪のうち、一画を消費した。

契約を通して奔流のような魔力が義仲へと一気に流れ込み、その霊基を本来の限界すら超える領域まで強引に押し上げていく。

 

 

「令呪を以て命ずる━━宝具《勇往邁進・倶利伽羅峠》を発動せよ」

 

「承知した。この身、この一撃に全てを懸けよう」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。一体何をするつもりなんですか‥‥‥!」

 

「まあ見てなって。すぐ意味が分かるからさ」

 

 

令呪による膨大な魔力を受け取った義仲は、ゆっくりと愛刀を構える。

霊基そのものが一段階引き上げられたことで、その存在感は先ほどまでとは比較にならないほど膨れ上がり、この場の空気すら震わせ始めていた。

これこそが、かつて木曽義仲が倶利伽羅峠で成し遂げた奇策、その逸話を宝具として昇華させた切り札である。

一人の武将が歴史へ刻み付けた勝利が、神秘として現代へ再演されようとしていた。

 

 

「いざ‥‥‥参る。ここにかつての戦いを」

 

 

本来、セイバーというクラスは剣技を極めた英雄であり、魔術を主戦術とする存在ではない。

魔術師のように世界へ干渉する術を操る者ではなく、あくまで己の剣一本で戦場を切り開く英雄である。

だが、木曽義仲という男だけは違う。

源平合戦という日本史に名を残す激戦を駆け抜け、その武勇だけではなく卓越した知略によって幾度も戦局を覆した英雄であり、その功績は八百年以上経った今なお語り継がれている。

だからこそ抑止力は、一人の武将が戦場そのものを支配したという逸話を、一つの世界として結実させたのだろう。

 

 

「━━勇往邁進・倶利伽羅峠(ゆうおうまいしん・くりからとうげ)!!」

 

 

その瞬間、世界そのものが軋むような悲鳴を上げた。

耳障りな破砕音を響かせながら現実そのものへ無数の亀裂が走り、その裂け目から滲み出る黒い波紋が空間全域へ怒涛の勢いで広がっていく。

次の瞬間には、先ほどまで広がっていた荒野のほとんどが墨を流し込まれた絵画のように塗り潰され、相手の視界の全てが底知れぬ無明の奈落へと姿を変えていった。

それは既存の空間を破壊したわけではない。

世界そのものへ別の世界を上書きし、現実を書き換えているのだ。

 

 

「驚いたなぁ‥‥‥まさかセイバーが、こんな宝具を隠し持っているとは。確かお前さんも似たようなモンを持ってただろ?」

 

「‥‥‥」

 

 

少し離れた場所から様子を眺めていた神霊たちも、この異常極まりない光景には流石に目を細めていた。

興味深そうに笑みを浮かべる者もいれば、静かに腕を組んだまま現象を観察し続ける者もいる。

この規格外の宝具を値踏みするような視線で固有結界を見据えていた。

 

 

「な‥‥‥、これは‥‥‥」

 

「‥‥‥ありえない。こんなことが、一介のセイバーに‥‥‥」

 

 

こちら側の反応もまた、予想以上に分かりやすいものだった。

中でも最も大きく表情を変えたのは、やはりエミヤだった。

固有結界という魔術が何であるかを誰より理解しているからこそ、その瞳には隠し切れない驚愕が宿っている。

それも当然だ。

剣士として召喚されたサーヴァントが、魔術師ですら生涯辿り着けない領域へ足を踏み入れているのだから。

 

 

「‥‥‥固有結界」

 

「これが、木曽義仲のもう一つの宝具‥‥‥」

 

「まさか、生前は魔術と縁の薄い一武将が、魔術の極地に到達しているなんて‥‥‥」

 

 

固有結界。

それは魔術師にとって到達点の一つであり、己の心象風景を現実へ投影し、世界そのものを一時的に塗り替える禁域の秘術である。

かつてアルトリアが目にしたイスカンダルの『王の軍勢』も固有結界ではあるが、あれは召喚された英霊たち全員が魔力供給という形で展開を支えているからこそ成立する極めて特殊な例外だった。

故にライダークラスでも扱うことが出来た。

 

一方、義仲のこれは決定的に違う。

令呪と魔力量の多いマスターの魔力補助こそ受けているものの、この世界を展開している主体は、あくまで木曽義仲ただ一人だけだ。

生前は魔術師ですらなかった一人の武将が、自らの武勇と逸話だけを礎として魔術の極致へ到達している。

その事実は、この場にいる魔術師たちが長年積み重ねてきた常識を根底から覆すには、十分すぎるほどの衝撃だった。

 

二つの世界は互いを侵食し合い、境界線では空間そのものが悲鳴を上げるように激しく歪み続けている。

重なり合った場所にはぽっくりと穴が開いている場所がある。

 

 

「往け」

 

「感謝します」

 

 

そしてそのまま二つの固有結界が重なったことで世界そのものへ綻びが生じ、通常なら存在しないはずの出入り口が一瞬だけ姿を現した。

そこから士郎君たちは一気に固有結界の外へと駆け抜けていく。

俺らの目の前に立つは、先ほどまで王の軍勢を展開していたライダー━━イスカンダルだ。

第四次聖杯戦争の記録から再現された存在でしかないとはいえ、この予想外の状況さえも愉快な戦場の変化として受け入れたのだろう。

豪快に笑みを浮かべたまま大剣を高々と掲げ、その覇気だけで周囲の兵たちを鼓舞する。

 

 

「猛牛をいざ進め!」

 

「征け、我が軍勢(ヘタイロイ)!!」

 

 

その号令と共に、二つの固有結界が生み出した異形の戦場で軍勢同士が真正面から激突した。

松明を角へ括り付けた猛牛の群れが轟音を響かせながら突撃し、それを迎え撃つように無数の兵士たちが槍や剣、盾を構えて一斉に前へ踏み出す。

激突の瞬間、大地を揺るがすような衝撃が幾重にも響き渡り、砂塵と炎が渦を巻いて戦場全体を飲み込んだ。

猛牛は兵を跳ね飛ばし、兵は命を顧みることなく槍衾を築き、その勢いを少しでも削ごうと必死に食らいつく。

英雄同士の逸話がぶつかり合ったことで、戦場そのものが悲鳴を上げるように震えていた。

そして、その激突を合図とするかのように、周囲で様子を窺っていたサーヴァントたちも一斉に動き始める。

それぞれが己の獲物を構え、次なる敵を見据えながら、この混沌極まる戦場へと躍り出ていった。

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

というのがここまでの経緯である。

無理やり原作Fate√に近しい展開になるよう、あちこちへ細工を施してきた。

おかげで大筋は狙い通りに進んではいるものの、その反動がヤバいな。

にしてもだ‥‥‥

 

 

「あははははは! 斬る! 薙ぐ! 刺す! これで20人目!」

 

「甘い! そんな投槍では我が伊吹の肉体は傷つかんぞ!」

 

「‥‥‥」

 

「焔と共に消えよ、炎刃・一閃!」

 

「拘束、そして射抜け!」

 

 

こっちのサーヴァントたち強すぎだろ‥‥‥。

全員何かスイッチが入ったのかってぐらい無双してるし。

あ、でも幽弋さんは無心にやってるか。

なぜかそれを見た敵方のハサン系アサシンたちが怯えてるけど。

 

 

 

 

 

 

*1
なお軍師鯖が助言した理由はマスターの魔力切れの考慮と病み上がりのメタンヌを出すのは申し訳ないという理由

*2
なんだかんだランスロットの宝具判定に対して成功させてる




というワケで真のキャスターがンザンビ(requiemキャスター)とアヴェンジャーがニトクリス・オルタでした!
なおここのオルタは100%アヌビスです。


補足:

メタンヌがンザンビにやられた理由はメタトロン・"ジャンヌ"だから。
本来のメタトロンなら微量のダメージで抑えられるところがガワがジャンヌという英霊だから効きやすくなった感じです。
後述したようにンザンビにはstay night時のアルトリアや概念に近しい幽弋のハサンやペイルライダー、マクスウェルの悪魔、召喚不可能な範囲ならマーリンやスカサハをぶつければ恐らく能力は効きません。

後半の戦闘は本来であればもっと緊迫した感じに書く予定だったんですが‥‥‥モチベのダウンと正直別の番外編でこいつらの活躍シーン書いた方が良さそうとなり、影鯖擬き塩試合になりました。

影鯖擬きは寡黙、思考回路あり、宝具使用可の冬木にある記憶から作られた存在です。なので能力も一部弱体化しておりイスカンダルの宝具も呼び出した兵は100名弱です。
ギルガメッシュは冥府に直送されたので呼び出せませんでした。

何気に 王の軍勢VS倶利伽羅峠 と固有結界どうしの対決だったりしますが、まぁ塩試合ですのでどっちが勝つかは‥‥‥。
ハサンたちは幽弋をみて怯えているのは呼ばれないと持ってたゆうよという上司(中間管理職)が現れたから。

この話でようやく真のサーヴァント全真名が出揃いました。

セイバー:木曽義仲(sr)
アーチャー:周瑜(sr)
ランサー:ヘクトール(fgo)
ライダー:メデューサ・剣(fgo)
キャスター:ンザンビ(requiem)
アサシン:呪腕のハサン(sn)
バーサーカー:切り裂きジャック(sf)
アヴェンジャー:ニトクリス・オルタ(fgo)

こんな奴らでやる聖杯戦争があったらあなたは何を選ぶでしょうか?




最後に言っておくのですが、塩試合です。
次に書く予定の番外編とかはそうならないように努力するつもりですので大目に見て欲しいです。
というか私は文学に才がないので‥‥‥


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