それは、違和感だった。
無人の部屋。
小さく、多く響く誰かの物音。
何者もいないのに、一人で鳴り響く錆びたオルゴール。
なにもないのに、一人で走り回る三輪車。
そして。 微かに聞こえる、たくさんのコドモタチノワライコエ。
それは、否定の果てを目指した筈だった。
何度も自身に問いかけた。
私は⬛⬛⬛なのか? 否。
私は⬛⬛なのか? 否。
私は⬛⬛⬛⬛⬛⬛なのか? 否
己に問い続ける狂気の果てを知るために。
それは、平等のための裏切り劇だった。
待ち続けた。
父であり、師であり、英雄であり皇帝であった男を。
尊敬ゆえに隣り合い、信念ゆえに後ろから貫いた。
あがき続けたあとに訪れたのは凡庸な敗戦と自殺だった。
それは、息子の為の矢だった。
理不尽な決まり事。
不等な言い分。
悪趣味な刑罰。
それらを越え、周りに助けられながら夜に紛れて放たれた弩の矢は、悪代官の首を貫く。
それは、白百合への忠誠だった。
男と女を入れ替え、あらゆる姿で政略の架け橋となり、白百合の影を歩んだ者。
忠誠を捧げしものが花散ろうとも、風と去る花びらを見続けた人生だったり
それは、奪われし者たちの為の信仰だった。
夜と煙と共に現れ、侵略者たちの血によって己を悪魔へと染めた、穏やかな戦士。
囚われ、見せびらかされてもなお戦い続けた原住のシャーマン。
それは、栄光の果てにも逃れられぬ迷宮だった。
かつて愛した者から贈られた糸。
隙を晒さぬための穂先。
討つべき者を誤った悔恨の牛の面。
穂先と糸は結ばれ、牛の面は王を守る盾となり、栄光の果て至ろうとも心は迷宮に残されたまま。
それは、最も静かな聖杯戦争だった。
爆発がない。
事件が知らされない。
いつの間にか隣人が行方を眩ませている。
誰も気づかぬまま戦争が始まり。
気づけば終わりを迎えた聖杯戦争。
人々は知らぬまま、夜の帷の中の神秘は刃の煌めきとなり、マスターは命を晒される。
マスターは互いのサーヴァントの性質を知って疑問に思った。
これ全員対人宝具だけじゃね?
建造物が倒壊するような派手な火力がない。
でも使われたら一撃必殺。
誰も積極的に動こうとしない。
息を殺し、後から討ちに行く機会を伺う息の詰まる緊張感。
サーヴァントはどこかクールで静かな感じの英霊しかいない。
聖杯の降臨地は監督役の神父すら分からないまま。
そして、サーヴァント七騎は正常なクラスなのにやることが暗殺者じみた逸話ややり方をしている。
それを知ったマスターは内心叫んだ。
アサシンまみれの聖杯戦争やんけ!?
投稿予定:未定
Fate/Silence Nocturne
この戦いは、あまりにも静かすぎた。