——きららちゃんは私にとって初めてできた人間の友達だった……。 そして私の世界で一番の相棒だった……。
きららと出会う前……まだポラリスと言う名前では無かった自分にも、実質的な親である明日斗博士と、同期である人工精霊たちがいた。
だけどワールドユニオンの殆どの人間は、自分たち人工精霊を便利な道具として扱っていた。
そんなある日、研究所内で迷子になって一人で泣いていたきららと出会った。
「——私、きらら……。 極星きらら……」
「私は……まあ名前は一応あるんだけど……ワールドユニオンがつけた記号の様なもので可愛くないからな〜。 あ、そうだ……! ねえ、きららちゃん! 良かったら、
「星の名前だけど良いの……?」
「勿論! だって星の名前って、とても素敵じゃん!」
「……! うん……! ありがとう、
初めて会ったばかりだったが、きららとは直ぐに仲良くなった。それこそまるで長年ずっと一緒にいた姉妹の様にも見えるくらいに……。
だから研究所内にあった機械が暴走して、きららを襲って来た時に、開発途中だったメカニカルウィッチの体に入り込み、その力を使って彼女を守った。
するとその後、それを知った明日斗博士に頼まれた。人工精霊を便利な道具ではなく、人類の隣人として認識して貰う為に、人間と人工精霊の絆を皆に示して欲しいと……。
「勿論です! だってポラリスは私の大事な友達……ううん、それよりももっと深い
「そうだね、きららちゃん! 任せといてよ、明日斗博士! 私たちが人間と人工精霊の絆の道標になるから! ……とは言え、一番の絆は私ときららちゃんが譲らないけどね! その為にも……!」
「「——
そして自分ときららは相棒になった。
その後、家族として、姉妹として、相棒として、きららとずっと一緒にいた。
自分と相棒の絆が世界で一番なんだと証明する為のスポーツ競技……ウィッチバトルの世界にも一緒に飛び込んだ。
そして一緒に頑張った甲斐もあって、記念すべき第一回世界大会の出場権を得て、その舞台で世界のライバルたちに勝って、初代チャンピオンバディの座を掴むことができた。
「「——私たちが世界で一番の相棒! チャンピオンバディよ!」」
その後、プロリーグの選手となった自分たちは、初代チャンピオンバディとして、人間とメカニカルウィッチの絆の道標になれる様に頑張っていた。本当に幸せな日々だった。
だけどメカニカルウィッチ研究所の事件に巻き込まれたことで、そんな幸せな日々は壊れてしまった。
「ヒッ……!? 嫌あッ……!?」
「きららちゃん!? 大丈夫だから、落ち着いて……!」
事件に巻き込まれたきららは、後遺症で足が不自由になっただけでは無く、スーパメカニカルウィッチが人間を殺す場面を目撃したことで、消えないトラウマを負ってしまったのだった。
——きららちゃんはあの一件で、大好きだったメカニカルウィッチとウィッチバトルのことすら嫌いになりかけていた……。 一時期は相棒である
*****
——ポラリスは私の世界で一番の相棒だった……。 ずっと一緒にいてくれた大事な大事な友達で……家族だった……。
「——ごめんね、ポラリス……! 私、スーパーウィッチバトルだけは……スーパーメカニカルウィッチだけは、どうしても無理なの……!」
「大丈夫だよ、きららちゃん……。 私はきららちゃんの洗濯を尊重するから……」
プロリーグと世界大会の場がウィッチバトルからスーパーウィッチバトルへと移り変わり、着いて行けなくなった自分が引退を決意した時も、ポラリスは自身の栄光を捨ててでも、その選択を尊重してくれた。
一時期はトラウマのせいで、相棒の
ポラリスを始めとした皆がいてくれたから、メカニカルウィッチとウィッチバトルが大好きと言う気持ちをどうにか失くさずに済んだ。
そして車椅子生活になったのを言い訳に使ってプロリーグの場を引退したきららは、そのままメカニカルウィッチとウィッチバトルから完全に離れることが……できなかった。
だってメカニカルウィッチとウィッチバトルが大好きだったから……。
だからスーパーウィッチバトルだけは頑なに避けたまま、年齢制限によりウィッチバトルがメインの小中学生に関わる様になった。
そしてウィッチバトルの楽しさを普及する為に、全国各地の小中学校を回ることにした。
「——皆、初めまして。 私のことを知っている子もいるかもしれないけど、自己紹介をさせてね? 私の名前は極星きらら。 今はもう引退したけどら前はプロリーグの選手だったの。 そして、彼女が私の相棒の……」
「は〜い、ポラリスだよ! 皆、よろしくね!」
「「「わあ〜! 初代チャピオンバディだ!!」」」
そこでいろんな相棒たちを見た。皆十人十色で千差万別だったけど、皆大なり小なり自分の相棒が大好きなのは同じだった。
その中には未来のチャンピオンバディになりそうな子たちもいた。焔とマーズ、冬馬とマーキュリー、小春とジュピター、そして美月とリンと言ったいろんな子たちが……。
美月の場合は、自分たちが関わったせいで、その後辛い思いをして、逆にウィッチバトルから離れることになってしまい、ずだと申し訳ないと思っていた。
だけどこうして新しい相棒のサターンと一緒に元気になった美月の姿を見て、安心できた。
——やっぱり私は
*****
「——
「——
「「——
きららとポラリスは手を重ね合わせ、変身魔法を発動した。
足元に巨大な魔法陣が出現すると、巨大な光と音と共に、星を思わせる黄金を基調とした、魔法少女や熊のぬいぐるみの様な機体であるテディベアポラリスが、スーパーメカニカルウィッチの姿となって現れた。
さらに……。
「「——
きららとポラリスは、皆を襲うスタースピリットとワールドユニオンと言う敵、そして十年前の事件のトラウマと言う目の前に立ち塞がる大きな壁を一緒に乗り越える為に、シンクロゾーンを発動させた。
シンクロ率が百パーセントのその先へと至ったことで、人間であるきららの黄金の瞳にも、ポラリスの黄の瞳の色が混じり合った。
文字通り、二人で一つの存在となり、一心同体、人機一体となったきららたちは、謎の魔力による汚染を打ち払った。
「いくわよ、ポラリス!」
「うん、きららちゃん!」
そしてテディベアポラリスがまるで星の様な光となって、観客席から飛び経った。
大丈夫。スーパーメカニカルウィッチに乗るのは初めてで、しかも車椅子だけどちゃんと動かせている。
それからトラウマは今もまだ消えていないけど、それでもちゃんと動けている。これなら皆を守ることができる……!
テディベアポラリスは『擬似宇宙』のバトルフィールドの特性上、観客席の近くから中に侵入することができない為、ユニオンエデンたちが最初に開けた上空にある穴から中へと飛び込んだ。
すると暴走したユニオンエデンの一機がこちらに気づいて、『ユニオン
「「マジカルスキル! ポラリスパンチ!」」
それに対し、テディベアポラリスは腰のテディベアリボンをナックルガードの様に装備して、巨大な熊の形をした拳を放つことで迎え撃った。
ユニオンエデンは『ユニオン
すると増援として現れた多数のユニオンエデンたちが一斉にビームを放って来た。
「「マジカルスキル! ポラリスシールド!」」
それに対し、テディベアポラリスはテディベアリボンを盾の様に構え、それを依代に熊の形をした盾を何重にも発生させて受け止めた。
「「マジカルスキル! ポラリスブースト!」」
そしてその隙に、黄金の魔力を纏って、流星の様なスピードとなり、一気にその場を離脱した。
「「マジカルスキル! ポラリスバースト!」」
ついでにテディベアステッキを振って、発生させたいくつもの魔法陣から巨大なビームを次々に撃つことで、追いかけてこれない様に牽制しておく。
「このままあの謎のゲートの元まで……!」
そしてテディベアポラリスが超巨大なゲートの元へと向かおうとすると、その目の前に無機質な赤い瞳をした漆黒の機体が……
「ヒッ……!?」
「きららちゃん!?」
「ハァ……! ハァ……!」
きららはトラウマを思い出して過呼吸になった。
忘れる筈がない。十年前の事件の際に、自分のトラウマとなった人間を殺したあの機体だ。
彼もまた
『ビッグバン様の計画の邪魔をさせるな』
『『了解』』
そんな中、
スタースピリットの機体だろうか?ワールドユニオンの統一された軍用機とは違って、ベースは同じに見えるが、完全に同じ機体は一機も無かった。
「ハァ……! ハァ……! 私は……初代チャンピオンバディとして……皆を守るの……!」
トラウマのせいで過呼吸も体の震えも治らなかったが、それでもきららは自分の体を無理やり動かした。
「ポラリス!」
「任せて、きららちゃん!」
「「マジカルスキル! ファイアチェンジ!」」
テディベアポラリスは機体に炎を纏わせて文字通り変身すると、そのパワーで敵との殴り合いに無理やり打ち勝った。
「「マジカルスキル! ウォーターチェンジ!」」
続けて機体に水を纏わせて変身すると、武器と鎧を身に纏って、複数の敵を同時に相手取った。
「「マジカルスキル! ツリーチェンジ!」」
さらに機体に木を纏わせて変身すると、木の盾を発生させて、複数の敵を飲み込んで足止めした。
「「マジカルスキル! ライトチェンジ!」」
そしてその隙に機体に光を纏わせて変身すると、圧倒的なスピードでその場を抜け出した。
『ここから先へは進ませない』
しかしその目の前に
だけど……!
「「マジカルスキル! ダークチェンジ!」」
『何……!?』
「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!!」」
『しまっ……!?』
テディベアポラリスは機体に闇を纏わせて変身すると、その爆圧力で無理やり
するとその様子を見ていたビッグバンの巨大なホログラムが、焦った様子で問いかけて来た。
『きらら、ポラリス、何故だッ!? 何故、初代チャンピオンバディである君たちが……人間とメカニカルウィッチの理想の関係となってくれた君たちが、私の計画の邪魔をするんだッ!?』
「明日斗博士! 私は
「うん! 私も
「明日斗博士の
「そうだよ! 私ときららちゃんは別々の種族だけど、こうして世界で一番の相棒になれたんだもん!」
きららたちは自分たちの思いを必死に叫んだ。
すると……。
『『——シンクロゾーン!』』
シンクロゾーンを発動せた麗とウラノスのスカイウラノスがこちらへと飛んで来た。
『きららさんたちの言う通りだぜ! 確かにワールドユニオンの様な奴らもいるけど……それでもこの全国大会でバトルした子供たちの様に、
『ああ! だからそんな絆を無理やり歪めようとする明日斗博士の計画は、世界で一番の相棒であるチャンピオンバディの俺たちが止めて見せるぜ!』
自分たちに同意してくれたのは麗たちだけではなかった。例に上がった子供たちを中心とする、今この場にいる人たちも必死に声を上げていた。
しかし明日斗博士はその声を受け入れず、苛立った声を上げた。
『それでもいつか必ず、人間が
すると明日斗博士の指示の元、スタースピリットの面々がこちらへと向かって来た。
しかし……。
『……ん。 麗の邪魔はさせない』
『ちょ〜と、大人しくしてて貰うよ♪』
『『マジカルスキル。
マリンネプチューンはマリン
そしてさらに歪んだ空間から大量の海水を溢れ出させ、無限を体現した物量で、バトルフィールドを飲み込んだ。
『『『『チッ!』』』』
『
それによりスタースピリットの面々が一時的に足止めされた。
チャンスは今しかない……!
「ポラリス! 私たちの全てを込めるわよ!」
「うん、きららちゃん! 私たちの全部をぶつけるよ!」
「「マジカルスキル! ポラリステディベアユニバース!」」
テディベアポラリスはテディベアステッキを振って、最強のマジカルスキルであるフィールド魔法を発動させ、無限を体現した星を生み出した。
だけどそれだけじゃない。きららたちは今までの限界であったマジカルスキルの五個同時発動を超えた六個同時発動へと至った。
それによりファイアチェンジ、ウォーターチェンジ、ツリーチェンジ、ライトチェンジ、ダークチェンジの火と水と木と光と闇の力を得た無限の星が擬似宇宙を駆け巡った。
そしてそれを食らった超巨大なゲートが大きく揺らいだ。
「麗君! ウラノス! 今よ!」
「頼んだよ、今のチャンピオンバディ!」
『はい! 決めるぞ、ウラノス!』
『ああ、麗! 俺様たちの絆の力を見せるんだぜ!』
『『マジカルスキル! ウラノススカイウィング! そして、マジカルスキル! ウラノススカイカリバー!』
スカイウラノスは光の翼をはためかせて猛スピードで飛び立つと、スカイバスターソードを依代にした、機体の大きさを優に超える超巨大な剣で、超巨大なゲートをビッグバンの巨大なホログラムごと真っ二つに切り裂いた。
*****
「——くっ……!? おのれッ!! だがこんなもの直ぐに復旧させて……!」
きららたちと麗たちの奮闘により、超巨大なゲートの奥から溢れ出ていた謎の魔力は一時的に止まっていた。
しかしビッグバンの言う通り、彼が手元のコントロールパネルの様なものを操作すると、少しずつではあるが再び謎の魔力が溢れ出て来た。
——その時だった。
『——それ以上、明日斗の思い通りにはさせない!』
『擬似宇宙』のバトルフィールドの上空のさらに上、スタジアム自体の上空に、巨大な船?が現れた。
光学迷彩……いや、それよりももっと凄い、美月の魔力が見てる目でもギリギリまで知覚できなかった手段でいきなり現れたその船?は、超巨大なゲートの奥に見える、見知らぬ王国?の上空に浮かぶ巨大な要塞?とどこか似ていた。
そしてその謎の船は謎の魔力を放って、超巨大なゲートから溢れ出て来る謎の魔力を完全に停止させた。
するとそれを見たビッグバンが、自身の巨大なホログラムを復活させながら、怒りの声を上げた。
『——やはり私の邪魔をするか、
(
美月のかつての家族の中には、
そんな中、謎の船から巨大なコンテナを詰んだ飛行艇が飛び出して来た。
するとその船からアークサターンに、相手の顔が見える個別回線が繋げられて来た。
『美月! サターン!』
「お、お父様……!?」
「明日斗博士が二人!? いや、違う……
何と現れたのはもう一人の明日斗博士だった。
だけど兄の言う通り、言い方はあれだが、実年齢相応に老けているこっちの方が、四月に姿をくらませるまで、ずっと美月に連絡を送って来ていた明日斗博士で間違い無かった。
『今まで黙っていてすまない……。 私の本当の名は
「お父様と生まれながら一緒に……!?」
「文字通り、もう一人の明日斗博士と言う訳か……!」
衝撃の事実に美月の頭が混乱する中、明日斗博士もとい、アースは飛行艇のコンテナに搭載していた機体をこちらへと射出して来た。
『詳しい話は後だ! 今は早くこの新しい機体……『クロノスサターン』に乗り換えるんだ!』
「「クロノス……サターン……!」」
アースが持って来たクロノスサターンは、アークサターンと同じく黒を基調とし、紫の装飾が施されたどこか生物染みた悪魔の様な機体だった。
側頭部に生えた竜や悪魔の様な二本の角が、頭頂部の仮面と合わさって、まるで王冠の様な形を形成し、さらに腰の竜や悪魔の様な尻尾も相まって、その姿は相変わらず魔王の様に見えた。
だけどアークサターンとは違って、悪魔の翼の様なアークウィングは撤廃されており、以前より全体的に洗練された機体になっていた。
『さあ、早く魔石ごと機体を換装するんだ!』
「は、はい……! お兄様、お願いします……!」
「分かった!」
美月たちはコックピットの役割も担うコアの魔石をボロボロのアークサターンかは射出させると、魔石部分が空になっているクロノスサターンへと合体させた。
すると新しい機体であるクロノスサターンに、呪いとなった亡き兄が宿った魔石の魔力が駆け巡り、その瞳にサターンの
それにより美月とサターン、そして陽太の三人の新たな機械が起動した。
——今ここに、クロノスサターンが……新たなる機械仕掛けの魔女が目覚めた。