——ワールドランキングトップ十とガーディアンズの模擬戦は、模擬戦場のあちこちで熾烈な戦いが繰り広げられていた。
『——ほらほら、どうしたの〜? ワールドランキングのトップ十の力はこの程度〜?』
『くっ! 血に飢えた
『ナーシャ! 頭に血が昇っているわよ!』
市街地から少し外れた山では、ナターリヤとカシオペアのジュエルカシオペアとフォーのユニオンドゥベーが魔法を撃ち合っていた。
『マジカルスキル! コマンドコード
『『マジカルスキル! カシオペアジュエルキャッスル!』』
ユニオンドゥベーは、ユニオン
それに対し、ジュエルカシオペアはジュエルマルチシールドを依代に足元に巨大な魔法陣を展開すると、巨大な宝石の城を呼び出して、その攻撃をシャットアウトした。
『ナターリヤ! カシオペア! 援護するよ!』
『俺っちたちの矢を喰らいな! クレイジーガール!』
『『マジカルスキル! オリオンアルテミスアロー!』』
そんな中、カイとオリオンのアルテミスオリオンが飛行ユニットも兼ねたアルテミスマルチボウから、流星の様な巨大な光の矢を放った。
しかし……。
『させない! マジカルスキル! ゴンドコード
スリーのユニオンアリオトがユニオン
『それなら、貴方たちごとまとめて焼いて上げマース! ケルベルス!』
『グルル……! こんがり焼いてやるぞ!』
『『マジカルスキル! ケルベルスガトーインフェルノ!』』
すると、そんなユニオンアリオトとユニオンドゥベー目掛けて、ブールとケルベルスのガトーケルベルスがその三ッ首から地獄の業火を放った。
だが……。
『……トゥーの家族はやらせない……。 マジカルスキル。 コマンドコード
間に割って入ったトゥーのユニオンメグレスが、ユニオン
(どちらも強い……だけど……)
そんな様子を見学席から見ていた美月は冷静に分析した。
いくら名国のプロリーグの選手は、それぞれの国が保有する最高クラスの魔石を支給され、実戦でも戦うことが可能とは言え、やはりそれよりも遥かに上の性能を持つ魔石
しかし、相棒と一緒に磨き上げたバトルスタイルをぶつけ合うウィッチバトルの上澄中の上澄と言うことあって、ワールドランキングのトップ十の面々のバトルスタイルと魔法は、当人たちにしか出せない唯一無二の強さを持っていた。少なくとも魔法に関しては、
だが、ガーディアンズの面々も、軍人であるが故の巧みな連携により、魔法面での弱さを補っており、機体性能では狩っていることもあって、結果的には押していた。
それから、美月は別の戦場へと目を向けた。
『リオ! ドローン武器の細かな操作は任せるぞ!』
『任せて、ヒュドラー』
『人間が人工精霊に道具の様に扱われるなど……哀れにも程があるな……』
海の方では、浜辺でリオとヒュドラーのロードヒュドラーと王のユニオンミザールが激しい剣撃を繰り広げていた。
ロードヒュドラーが大小九機のロードスカートを剣や銃の様に使って自身を援護させながら、本体もロードバスターソードで一気に切り掛かる。
しかし、ユニオンミザールもユニオン
『確かにリオは妾の臣下ではあるが、決して道具ではない! 人工精霊の感情を消して、機体のパーツの一部にしているお主と一緒にするな!』
『ヒュドラーの言う通りだ……! そんなやり方は、僕としても受け入れられない……! 行くよ、ヒュドラー!』
『ああ、リオ!』
『『マジカルスキル! ヒュドラーロードテンペスト!』』
そんな中、ロードヒュドラーはロードバスターソードを筆頭に、十本の剣を操って、巨大な嵐を作り出した。
『口では何とでも言えるが……結局は強さが全てだ……! マジカルスキル! コマンドコード
しかし、ユニオンミザールがユニオン
『チッ! おい、コーラル! サザンクロス! 手を貸さんか!』
ヒュドラーが思わず近くにいるコーラルたちに声を上げるが……。
『ごめん! ちょっと今は手が離せないかも!』
『畜生! 人工精霊との絆がない奴らが何でこんなに強いんだよ!?』
要請を受けたコーラルとサザンクロスのシンサザンクロスは、小型の船のサポートメカに乗って海の上を走りながら、シックスのユニオンアルカイドのユニオン
『そんなの当たり前です。 人工精霊などと言う無駄な感情を持つ
シックスは攻撃の手を一切緩めずに、冷酷にそう告げた。
しかし、それが逆にコーラルたちに火をつけた。
『まさか天下のワールドユニオンが人工精霊をそんな風に扱っているなんて、今でも本当にビックリだわ! だけど、こうしてきららたちから教えて貰った以上、必ず止めて見せるわ! 行くわよ、サザンクロス!』
『ああ、コーラル姉ちゃん! こんな冷血共に、俺らの絆の力を見せてやろうぜ!』
『『マジカルスキル! サザンクロスシントライアングル!』』
シンサザンクロスはサポートメカと連携して、トライアングルで結ばれた水の領域を作り出すと、その中にユニオンアルカイドを閉じ込めようとした。
『させません。 マジカルスキル! コマンドコード
それに対し、ユニオンアルカイドはユニオン
『あなたたちみたいな人たちには絶対に負けないわ!』
『ああ! 俺ら以外の人工精霊たちの為にもな!』
『人工精霊……! 人工精霊……! 本当に鬱陶しい……! あんな
そして、コーラルたちとシックスはそのまま己の信念と一緒に再びぶつかり合った。
『この世界は我々人間のものだ……! 決してお前たちの様な
『いいえ、それは違います……! この世界は人間と人工精霊……それから、全ての
『それを君主たる妾が示してやる!』
その一方で、リオたちと王たちも己の信念をぶつけ合っていた。
そんな中、美月は一番の激戦区になっている市街地へと視線を戻した。
『空を駆けるぞ、ペガスス!』
『ああ、天翔ける私たちの道を示そう!』
『『マジカルスキル! ペガススナイトライトニング!』』
ナイトペガススがマントの様な翼を広げると、ナイトランスを構えて大空へと飛び立った。
そして、流星となってゼロのユニオンメラクへと襲いかかった。
『わたくしたちも行きますわよ、アルゴたち……!』
『『『はい、アーミラ様! お任せ下さい!』』
『『『『マジカルスキル! アルゴゴッデスジャッジメント!』』』』
さらに、ゴッデスアルゴも手に持ったゴッデスロッドを筆頭に、船の様な機体の各部にあるゴッデスキャノンを始めとした火器から黄金のビームを次々に放った。
ワールドランキングトップ十の二人の魔法がユニオンメラクへと襲いかかる。
『まだです! 自分は決めたんです! ナインを守る為にも、どんな
すると、ユニオンメラクはユニオン
そして、そのまま飛び立つと、ゴッデスアルゴの魔法を真正面から打ち破って、そのまま突撃して来ていたナイトペガススとぶつかり合い……そのまま返り討ちにした。
『くっ!? 私たちの輝きを打ち破るなんて……本当に惚れ惚れする程の強さだ……!』
『蘭たちの拳を受け止めたことと言い、本当に世界レベルの強さだな……!』
『そんな悠長なことを言っている場合ではありませんわ……! セブンさんだって頭抜けた強さだと言うのに……この方もそれに並び得る強さがありますわ……!』
『『『この子は私たちよりも明確に強い……!』』』
ワールドランキングのトップ十……それも最初期の黎明期からいる『黎明の星々』二人がかりでも押し切れないゼロの強さに、アーサーたちとアーミラたちは驚愕の声を上げていた。
しかし、ゼロだって無敵ではない。今の無茶が祟ってユニオンメラクには無視できないダメージが発生していた。
だが……。
『マジカルスキル! コマンドコード
ユニオンフェクダが展開したユニオン
『ありがとうございすま、ファイブ兄さん!』
『いえ、ガーディアンズの柱は隊長とゼロ君ですからね。 サポートは任せて下さい』
これのせいで、ただでさえ化け物染みた強さを持つゼロをいつまでも倒しきれない。
だから、まずはファイブから落とすべきなのだが、ゼロもそれをされると不味いのは分かっているので、全力でユニオンフェクダを守っていた。
そして、彼は誰かを守る時は、さらに頭抜けた強さを発揮していた。
『セブンーーッ!!』
『最初の世界大会の時は、終ぞ決着を着ける機会は得られなかったが、今回こそは我らが勝たせて貰うぞ!』
『無駄だ! 二十年前はきららに遅れを取ったが、
そんな中、蘭と竜の炎竜とセブンのユニオンビックベアが、エース同士の激しいぶつかり合いを繰り広げていた。
『竜! もっともっと炎を燃やすルー!』
『ああ、蘭! 我らの魂の炎はまだまだこんなものではない!』
『『マジカルスキル!
炎竜は炎の籠手から巨大な炎の竜を生み出し、そのままそれを操る様に拳を放った。
『蘭! お前では俺には勝てない! マジカルスキル! コマンドコード
それに対し、ユニオンビッグベアは胴体のユニオン
そして、そこから究極を体現した超巨大なビームを放った。
『『はあぁぁぁぁぁーーッ!!』』
『うおぉぉぉぉぉーーッ!!』
巨大な炎の竜と超巨大なビームをがぶつかり合い、巨大な音と光と共に、模擬戦場を激しく揺らした。
凄まじいパワーだ。合体マジカルスキルでもないのに、それに匹敵する……いやそれを越えかねない程の威力がある……。
これがワールドランキングの三位とワールドユニオン最強の実力……世界の実力……!
そして、そのぶつかり合いはやがて限界を迎え、模擬戦場内を巻き込む程の大爆発を起こした。
美月たちのいる見学席は特別なマジカルバリアに守られている為大丈夫な筈だが、本能的な恐怖から思わず目を閉じてしまった。
やはり、お互いに実戦仕様のせいか、いつも以上にリアルな衝撃だった。
『ハァ……! ハァ……!』
『……』
そんな中、ボロボロになりながらもまだ戦闘不能になっていない炎竜と、まるで痛みを気にしていない様にダメージを受けても物ともしないユニオンビックベアが互いに睨み合っていた。
その他の場所でも、どの機体も激闘と先程の大爆発によりダメージを受けていたが、まだ誰も戦闘不能にならずにそのまま睨み合いを続けていた。
しかし、それでも明確に立ち上がっているのはセブンのユニオンビックベアとゼロのユニオンメラクのみ。やはりこの二人は別格だ。おそらく、チャンピオンバディクラスの実力がある。
二大チャンピオンバディが美月の護衛の為にこの模擬戦に参加していない以上、その二組に匹敵する強者のいるガーディアンズがこのまま行けば有利だが……。
——その時だった。
『……はい、こちらセブン大佐。 ……分かりました。 直ぐに向かいます』
模擬戦中にも関わらず、外部と何やら通信を交わしたセブンが、突如ユニオンビッグベアの武器を下ろした。
そして、そのまま蘭たちに背を向けた。
『ーーッ!? まだ勝負はついていないルー!』
『悪いが呼び出しがあったのでな……。
『『『了解!』』』
セブンがそう告げると、ガーディアンズの面々もそれに素直に従って模擬戦を中止した。
さっきまであんなにも敵意を出していたのに……。やはり軍人と言うだけあって、切り替えが早い。
『セブン!!』
『くっ! おのれ!』
勝負が不完全燃焼で終わることに、蘭たちが思わず声を上げる中、美月の少し離れた場所にいたナインも、席から立ち上がった。
「黒土さん。 申し訳ありませんが、今日のところはこれにて失礼します。 ですが、黒土さんたちがエデンに滞在する以上、
「ナインさん……」
ナインはそう口にすると、模擬戦の進行を務めていた英斗と一緒にどこかへ行ってしまった。
そして、残されたワールドランキングのトップ十の面々の声が聞こえて来た。
『まだルー! 蘭たちは負けてルー!』
蘭たちはそう言いつつも、悔しそうな声を上げていた。
*****
——その日の夜。
美月たちは白金代表が手配したホテルに戻って来ていた。
しかし、ホテルとは言え、ここがワールドユニオンの本拠地のエデンである以上、絶対に安全とは言えない……。
そこで、男女で別れるものの、可能な限りまとまって同じ部屋に泊まることになった。
特に美月とサターン、それからネオンとネプチューンは狙われている身なので、美月とサターン、ネオンとネプチューン、小春とジュピター、きららとポラリス、蘭と竜の面々で同じ部屋で寝ることになった。これなら大分安全だろう。
だが、それはあくまでも寝る時の話なので、まだ寝るには早いこの時間、皆は貸し切った大部屋に集まっていた。これも安全対策の一環である。
「——あのまま模擬戦が続いていたら、きっと蘭たちが逆転していたルー! 二十年前はセブンとビッグベアに負けっぱなしで終わったけど、今回は絶対に勝てる筈だったルー!」
「そうね、蘭ちゃん。 蘭ちゃんはあれからずっと努力を続けているものね……」
そんな大部屋では、癇癪を起こしている蘭を、きららがやんわりと宥めていた。きららが以前、蘭のことを親友だと言っていた通り、本当に仲が良い。
そして、そんなきららたちの側ではポラリスと竜が会話していた。
「しかし……今回の模擬戦ではビッグベアの奴と話す機会を得られなかったな……」
「竜……ビッグベアはもう、ワールドユニオンが利用している感情が消去された人工精霊と同じ状態になっているらしいんだ……」
「何だと……!? おのれ、ワールドユニオンめ!」
ポラリスの説明を聞いた竜が思わず怒りの声を上げていた。
今きららたちが話題に上げたセブンとビッグベアと言えば、記念すべき最初の世界大会の決勝戦できららたちと激闘を繰り広げたことで有名だ。
しかし、美月は一応はその時のバトルの映像を見たことがあったが、一時期ウィッチバトルから離れていたこともあり、詳しく知っている訳ではなかった。
故に美月はふと疑問を口にした。
「あの……二十年前のセブンさんとビッグベアってどんな感じだったんですか……?」
「そうね……二十年前と言えば、美月ちゃんはまだ生まれていなかったものね……」
「美月ちゃんが知らないのも無理もないよねー」
そんな美月の声を聞いたきららとポラリスがどこか懐かしむ様にそう口にした。
すると、記念すべき最初の世界大会に出場した黎明の星々の面々も懐かしむ様に口を開いた。
「懐かしいルー! あの時はきららたちと出会ったりして、いろいろあったルー!」
「そうだな、蘭。 きららたちとの出会いは中々衝撃的だったな……」
「フッ! あの頃はまさに、私たちの黄金時代と言っても差し支えなかったからね!」
「まあ、今でも私とアーサーは黄金時代だがね! ハハハ!」
「そうですわね。 プロリーグの選手として、こうして二十年近くバトルして来ましたが……やはり今でもあの時のバトルの記憶が一番印象に残っていますもの……」
「「「私たちとアーミラ様の大切な思い出なのです!」」」
「そうね! アタシとサザンクロスも今でもあの時のことは覚えているわ! サザンクロスが最初に猫を被っていたこととか!」
「ちょ!? コーラル姉ちゃん!? 俺の黒歴史をバラすのは止めてくれよ!?」
「ハハハ……。 ヒュドラーはあの頃から初代面の人たちにいろいろやっていたな……」
「リオよ! 君主たる妾が堂々と振る舞うのは当然であろう! おい! 何故ため息を吐いているのだ!?」
蘭と竜、アーサーとペガスス、アーミラもアルゴたち、コーラルとサザンクロス、リオとヒュドラーは次々にそう口にした。
すると、焔たちが興奮気味な様子で口を開いた。
「あの……! もし良かったら、二十年前の最初の世界大会の話を聞かせて貰えませんか? 俺たち、バトルの映像は何度も何度も見返したんですけど……!」
「はい……! バトルの裏側の話も是非聞きたいんです……!」
「あたしも! あたしも!」
「そうだね。 僕も興味がある」
「わ、わたしくもです……わ……!」
焔と冬馬と小春と輝、それから美月がそう口にすると、他の子供組の面々も同意する様に声を上げた。
すると、きららたちが微笑ましそうに口を開いた。
「そうね……。 こうしてエデンに再び訪れて、蘭ちゃんたちとも再会したことだし……二十年前のお話を再び語るのに良い機会かもしれないわね……」
「それなら蘭もいろいろと話したいことがいっぱいあるルー!」
「フッ! 演者の役割はこの私に任せたまえ!」
「はいはい、アーサーさん。 脚色しない様に、少し静かにしていて下さいまし」
「アハハ! アタシたちの冒険譚を楽しんでくれると嬉しいわ!」
「そうですね。 是非僕たちの話を聞いて下さい」
そして、黎明の星々の面々がそう口にすると、初代チャンピオンバディにして、黎明の一番星と呼ばれたきららが代表する様に口を開いた。
「——それじゃあ、皆聞いてくれる……? 黎明の一番星の物語を……」
諸事情により、来週の投稿はお休みになります。
次回の投稿は11月8日日曜日8時30分になります。