成り代わりたちの強くてニューゲームな世界再構築 作:冴月冴月
ちなみにビルダーズ兄妹の間のノリは、口調こそ違えどドラクエ11のカミュマヤ兄妹みたいな感じです。大体は。
ゲーム内で最初の仮拠点になる、あの崖下の小屋にて。
後頭部に大きな鏡餅*1をビルドされた兄妹が、シドーによって説教をかまされていた。
「まさか目覚めて早々クライミングしに行く馬鹿が漂着したとは思わなかったぜオレも」
「許してちょ〜よ」
「反省してま〜す」
「反省してない時の言い方だろそれ」
あの後2人は、般若の如き顔で探しに来たシドーにより回収された。
夜の暗闇の中、目を赤く光らせ、根こそぎ引っこ抜いてきた枯れ木を担いで*2迫ってくる様は、流石に本職が破壊神とだけあり死を直感する程度には怖かった。*3
シドーは心底面倒そうにため息を吐きつつ続ける。
「あとオマエらな、ここはゲームじゃなくて現実なんだから探索し過ぎたら日が沈むのも当然だろ。タスク終わるまで時間止まっててくれる優しい世界じゃないんだぞ?」
「はい……」
「失念してました……」
「本当に10年以上この世界で生きてきたのかコイツらは」
シドーは再びため息を吐くことになった。
「所でなんで俺たち転生者だってバレたの?」
「開始早々真正面の宝箱に触らずに右の崖に行く奴がこの島のこと何も知らない奴なわけないだろ」
「確かに」
「いや居たかもしれないじゃん初見から右の崖登ろうとする人」
「居たとしたら流石に天邪鬼過ぎないかソイツ?」
「だーれが天邪鬼よ*4」
そして当然のように転生者だとバレていた。シドー側も既に転生者仲間だと明かしたので、今この3人は互いの素性をわかった上で会話をしている。
シドー曰く察した根拠は『2人漂着してきた時点で既に予感はしてたが、一直線に創世録を読みに向かった痕跡を見て確信した』とのこと。確かに創世録は初見なら知ってるはずは無い。
だからと言って真っ先に読みに行くな阿呆*5。
「というかこの部屋、壁直されてるじゃん。君がやったの?」
頭をさすりながらクリエが部屋を見回す。
本来チュートリアルで修復するまで歯抜けになっているはずの壁が、しっかりと砂で埋められていた。
「あぁ、1マス埋める程度ならできたぞ。積み上げようとしたら途端に上手くいかなくなったが」
シドーが壁の直した部分にもたれかかる。砂部分が崩れる様子はない。
「へぇー、凄いじゃんシドー」
「全く褒められてる気がしないんだが」
「でもシドー
「それは
シドーのこめかみにビキリと青筋が浮かんだ。
「……まあいい、見ての通り部屋自体は完成してるから後は食料調達とベッド作成さえできれば最低限の生活環境は整うだろ。さっさと素材集め「…う、うーん……?」て……」
そう言いかけたシドーの声に被さるように、少女の声がか細く聞こえた。
一同が同時に振り返る。
部屋の隅にベッド代わりに置かれた砂ブロックの上で横たわっていた人影が、ゆっくり身を起こしていた。
桃色のサイドテールに青いワンピースの少女。
「どこ…ここ……?」
寝ぼけ眼を擦り、薄目で室内を見回し━━━━━壁にガラ悪くもたれかかるシドーに目が留まる………
「……い」
「…い?」
「嫌あああ! 海賊に身包み剥がされるううぅ!!!」
少女━━━━━ルルの目覚めの一声目は悲鳴で始まった。
できる範囲で家を直し、ルルを介抱し、初っ端からルート外れるフリーダム兄妹を連れて帰りお説教したらルルに不審者扱いされるシドー君に悲しき過去()