クウガとアベンジャーズのクロスです。

マーベルは完全ににわかです。

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アベンジャーズ小説を書き直しました!

AIの力も借りています。


変身

 

 

「それで、一つ聞いていいか?」

 

 

ロキを捕らえ、途中で現れたソーとの一悶着を終えたあと。ヘリキャリアのブリッジで、トニー・スターク、スタークさんがコチラを指差してきた。

 

 

「なんでティーンの少年がここにいるんだ?」

 

「……僕のことですか?」

 

「他に誰がいる?」

 

 

僕――十文字黒雄は今、ヘリキャリアと呼ばれるデッカい空飛ぶ船に乗っている。

 

なんで日本の高校生である僕が、S.H.I.E.L.D.の空飛ぶ秘密基地なんかにいるのか。

 

 

話せば少し長い。

 

 

まず僕には前世の記憶がある、いわゆる転生者というやつだ。

 

日本で一度死んで、気づけば十文字黒雄という人間として、この世界に生まれ直していた。だからといって、最初から自分がとんでもない世界に転生したと分かっていたわけじゃない。なんせ完全に現代日本だ。なんなら未来でもなく、前世で死んだ年代よりも過去にいる。

 

最初はタイムスリップ的なヤツか?と思ったけれど、前世と顔と名前は違った。それでも、新しい両親に普通に育ててもらって、父の仕事の都合で海外に住んでいた。

 

 

ただある日、僕たち家族はテロに巻き込まれ、父さんと母さんは死んでしまった。本来は僕も死ぬところだった。そんな僕を庇ってくれた人がいた。

 

旅人をしていた、日本人の青年。

 

五代雄介。

 

その名前を聞いて、そして何よりその顔を見た瞬間、僕はこの世界の正体に気づいた。前世で何度もテレビ越しに見た顔だったから。

 

 

 

――仮面ライダークウガ。

 

 

 

その主人公になるはずだった男。五代雄介、その人だった。

 

しかし、僕を庇った時に負った傷が原因で五代さんは亡くなってしまった。

 

本来なら大勢の人を救うはずだった人が死んでしまった。

 

 

 

――じゃあ、クウガはどうなる?

 

 

 

五代雄介がいない。もしこの世界が僕の知っている『仮面ライダークウガ』の世界ならいずれグロンギは復活する。

 

そしてそれは、現実になってしまった。

 

 

 

帰国した僕が預けられた祖父母の家は、長野県。偶然なのか。それとも何かのーーー呪いか。二〇一〇年、九郎ヶ岳遺跡発掘のニュースを見た瞬間、嫌な汗が止まらなかった。

 

僕は長野県警へ向かった。自分でもアホだったと思う。ただの十五歳の子供が警察署に押しかけて、これから怪物が出てくるなんて説明できるわけもない。

 

 

どうすれば良いか、と悩んでいる内にグロンギが現れて周囲は大混乱。その混乱の流れで、霊石アマダムを組み込んだベルト、アークルを手にしてしまった。

 

烏滸がましくも、僕はクウガになってしまった。

 

そこから先は、まあ、大変だった。

 

先ず、ゴオマに祖父母を殺されてしまった。祖父母の家が教会に近かったとはいえどんな確率だよ。

 

 

本当に一人になった僕は暴走気味に東京までグロンギを追いかけた。

 

最初は家もなく、金もなく、ほとんどホームレスみたいな生活をしながら、グロンギと戦っていた。

 

 

そんな僕を助けてくれたのが、一条薫さんだった。

 

一条さんや警察のみんなに支えてもらって最終的に、グロンギに勝った。

 

 

それが二年前。

 

 

そして、警察の保護下という名の監視下で生活していたら、ニック・フューリーが現れた。正確には最初に来たのはコールソンさんだったけど。

 

S.H.I.E.L.D.は僕の正体を把握していて、

 

「地球規模の危機に備えて力を貸せ」

 

と言われた。一条さんには凄い止められたけれど、色々あって今である。目の前にはトニー・スターク。少し離れたところにはスティーブ・ロジャース、ブルース・バナー、ナターシャ・ロマノフ、さらにさっき空から降ってきた雷神ソー。

 

 

…………いや、改めて考えると凄くない?アベンジャーズだよ?前世で映画館のスクリーン越しのスーパーヒーローたちが普通に目の前にいるよ?

 

え?クウガもスーパーヒーローだろって?僕はパチモンみたいなものだからね。

 

内心でかなり感動している僕は、できるだけ平静を装いながら、スタークさんへ向き直った。

 

 

「それで?」

 

「……えっと、それで、とは?」

 

「君がここにいる理由だよ。」

 

 

スタークさんがフューリーへ視線を向ける。

 

 

「まさか日本からスクールトリップで来たわけじゃないだろ?」

 

「彼も招集メンバーだ。」

 

「だから、その説明を求めてる。」

 

 

フューリーの素っ気ない返答に、スタークさんが眉を上げる。すると、近くで端末を操作していたナターシャさんが口を挟んだ。

 

 

「二〇一〇年、日本で起きた未確認生命体事件は?」

 

「知ってる。」

 

 

トニーさんが即答する。

 

 

「連続殺人を繰り返していた怪物共だろ。確か日本だけで相当な被害が出た。」

 

「ええ。」

 

 

ナターシャさんが端末を操作すると、正面のモニターにいくつかの映像が表示された。

 

 

街中に現れたグロンギ。逃げ惑う人々。警察車両。そして――。

 

 

『第4号です! 第4号が未確認生命体と交戦を開始しました!』

 

 

日本語の音声と共に、赤い戦士が映し出された。……うわぁ。自分の戦闘映像をこのメンバーと見るの、滅茶苦茶恥ずかしいな。

 

 

「未確認生命体第4号。」

 

 

ナターシャさんが僕を見る。

 

 

「彼がそうよ。」

 

「…………」

 

 

 

スタークさんがモニターを見て、僕を見る。もう一度モニターを見て、改めて僕を見てきた。

 

 

「君が?」

 

「はい。」

 

「これ?」

 

「僕です。」

 

 

しばらく僕を眺めてから、スタークさんが納得したように頷いた。

 

 

「なるほど。それならティーンがここにいる理由は分かった。」

 

「話が早くて助かる。」

 

「ただし。」

 

 

フューリーの言葉を遮り、トニーさんが僕を指差す。

 

 

「一つ訂正。高校生がいる理由は分かった。君が高校生を連れてきた理由にはまだ納得してない。」

 

「必要な戦力だ。」

 

「君は本当に人を数字でしか見ないようだな。」

 

 

僕は思わず二人を見比べた。

 

 

あー、この感じだ。映画でもこの二人、基本的に仲良くなかった。

 

 

「あ、一ついいですか?」

 

 

僕が手を上げて、ナターシャさんに話しかける。

 

 

「何?」

 

「第4号じゃなくて、クウガです。」

 

「…………」

 

 

ナターシャさんが僕を見つめてくる。

 

 

「クウガ?」

 

「はい。」

 

 

僕はモニターに映っている赤い自分を指差した。

 

 

「クウガ。それが、この姿の名前です。」

 

「警察は第4号と呼んでいたわ。」

 

「それは警察側の呼び方なので。」

 

 

別に第4号が嫌いなわけじゃない。一条さんたちから散々呼ばれた名前だ。それでも、例えパチモノであっても、あの姿の時に名乗るならこっちだ。

 

 

「クウガです。」

 

「そこは譲らないのね。」

 

「はい。」

 

 

ナターシャさんが僅かに口元を緩めた。

 

 

「分かったわ。クウガね。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

ブラック・ウィドウにクウガって呼ばれた、……ちょっと嬉しい。

 

 

「クウガ。」

 

 

今度はスティーブさんが口にする。

 

 

「それが君の名前なのか?」

 

「僕自身は黒雄です。十文字黒雄。」

 

「クロオ。」

 

「はい。」

 

 

発音を確かめるように名前を呼ばれる。キャプテン・アメリカに名前呼ばれた。今日だけで前世の自分に自慢できることが増え続けている。

 

 

「クウガは戦う時の名前、ということか。」

 

「そんな感じです。」

 

「分かった。」

 

 

スティーブさんはモニターへ視線を戻した。

 

 

「それで、この怪物たちと戦ったのは二年前?」

 

「はい。」

 

「二年前?」

 

 

バナー博士が反応した。

 

 

「君、今いくつだい?」

 

「十七です。」

 

「じゃあこの時は、………十五歳?」

 

「はい。」

 

 

バナー博士が少し困ったような顔をする。

 

 

「十五歳でこれと戦っていたのかい?」

 

 

 

モニターを見るとちょうどグロンギとの戦闘で押されてピンチな場面だった。

 

 

「色々ありまして。」

 

「色々で済ませるには、ずいぶん激しい映像だね。」

 

「それは……すみません。」

 

「ああ、すまない!困らせるつもりで言ったんじゃないんだ。」

 

 

バナーさん、良い人だよな。

 

 

「彼が自分から戦ったのか?」

 

 

今度はスティーブさんがフューリーへ尋ねてる。

 

 

「そう聞いている。」

 

「警察には止められましたけどね。」

 

 

そう付け加える。

 

 

「でも、クウガじゃないとグロンギとはまともに戦えなかったので。」

 

「グロンギ?」

 

「未確認生命体の自称です。」

 

「なるほど。」

 

 

スティーブさんが僕を見る。

 

 

「なら、君は二年前から戦士だったわけだ。」

 

「戦士…………一応?」

 

「なぜ疑問形なんだ。」

 

 

スタークさんからツッコミが入った。

 

 

「いや、自分から戦士って名乗るの恥ずかしくないですか?」

 

「少なくとも、あれだけ派手に戦っておいて一般人は無理がある。」

 

「それはそうですけど。」

 

 

すると。

 

 

「何を恥じる必要がある!」

 

 

 

急に大きな声が響く。ソーはモニターに映るクウガを見てから、僕を見る。

 

 

「若くして怪物を相手に民を守ったのであろう?」

 

「まあ……はい。」

 

「ならば誇るがいい!」

 

 

ドンッ、と肩を叩かれた。この人、普通に叩いただけなのに重い。

 

 

 

「ハッハッハ! 若き戦士よ、自分のことをどう思っているかは知らんが、守るために戦った事があるならば、もうお前は戦士だ!」

 

 

笑いながら更にバシバシ叩かれた。痛い、これ普通の人だと折れるんじゃない?

 

 

「随分気に入られたな。」

 

 

 

トニーさんが呟く。

 

 

「若き戦士は歓迎すべきだ!」

 

「だそうだ、クウガ。」

 

「光栄です。」

 

 

これは本当に。

 

 

「私も同感だ。」

 

 

スティーブさんが続いた。

 

 

「年齢は関係ない。自分の意志で戦い、人々を守ったのなら、敬意を払うべきだろう。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

キャプテン・アメリカ本人からそんなことを言われたらメチャクチャ嬉しい。……………嬉しいんだけど。

 

 

――ちらっ。

 

 

僕の視線は、スタークさんへ向けてしまう。

 

 

トニー・スターク。

 

 

……いや、本物だよ。さっきから頑張って普通に喋ってるけど。僕、前世ではアイアンマン派だったんだよ。その当人が今、目の前にいるんだよ?

 

当人がさっき、僕のことクウガって呼んだんだよ?ヤバい、かなり嬉しい。

 

 

「何?」

 

「え?」

 

 

スタークさんと目が合った。

 

やば、見すぎたかな?

 

 

「さっきから僕のこと見てる。」

 

「いや、別に。」

 

「別に?」

 

「……有名人かいるな、と思って。」

 

「今さら?」

 

「今さらです。」

 

 

スタークさんがコチラをじっと見て、

 

 

「もしかして、僕のファンかい?」

 

 

なんか本人を前にして認めるの、すごく恥ずかしいぞ。

 

 

「図星だろ?」

 

「……まあ。」

 

「まあ?」

 

「好きですよ、アイアンマン。」

 

 

言ってしまったら後には引けない。一瞬意外そうな顔をしたスタークさんは、直ぐに口元を吊り上げた。

 

 

「なるほど。」

 

「なんですか、その顔。」

 

「いや?」

 

 

絶対嬉しそうじゃん。

 

 

「見る目がある。」

 

「自分で言います?」

 

「事実だからな。」

 

 

実際に相手すると面倒臭いけど、この感じも含めて本物のトニー・スタークが目の前にいるって実感が湧いてきて、更に感動してくるから困る。

 

 

「キャプテンより?」

 

「スターク。」

 

 

スティーブさんが呆れたように名前を呼ぶ。

 

 

「なんで張り合うんだ。」

 

「純粋な質問だ。」

 

「君も答えなくてーー」

 

「アイアンマンの方が好きですね、あっ。」

 

「「「…………」」」

 

 

時が止まったよ。バカ正直に言ってしまった。

 

 

「………ほら。」

 

 

遅れてトニーさんが勝ち誇ってる。

 

 

「何が『ほら』なんだ。」

 

「若者人気。」

 

「競ってない。」

 

「戦っている姿を見ただろ?あの赤、お揃いだな。」

 

スティーブさんがため息をつき、少し残念そうなのは意外だった。

 

すると、コールソンさんがソワソワした様子で話に参加してくる。

 

この人はキャプテン派だからな。

 

 

「ちなみに、他に好きなヒーローは?」

 

「他ですか?」

 

 

そこで、一人のヒーローが浮かんだ。

 

赤と青のスーツ。ニューヨークを飛び回る、親愛なる隣人。

 

 

「……スパイダーマン。」

 

「誰?」

 

 

ですよね、まだいない。

 

「いえ、忘れてください。」

 

「今のは気になるな。」

 

「本当に何でもないです。」

 

 

なんとか誤魔化そうとしたところで。

 

 

「まあいい。」

 

 

スタークさんがあっさり引いてくれた…………いや、この人の場合あとで普通に掘り返してきそうだな。

 

 

「それより。」

 

 

スタークさんの視線が、モニターに映るクウガへ戻る。

 

 

「さっきから気になってたんだけど。」

 

「はい?」

 

「この姿。これ、スーツじゃないよな?」

 

 

やっぱりそこに食いつくよな、この人。

 

 

「スーツじゃないです。」

 

「じゃあ鎧?」

 

「それも少し違います。」

 

「ふむ、分からないな。それじゃあアレは何なんだい?」

 

「僕自身が変化してる、っていうのが一番近い、のかな?」

 

 

僕の返答を聞き、スタークさんの目つきが、完全に科学者のソレになってる。なんなら、バナー博士も少し興味を持ったらしく、モニターを見ながらこちらへ寄ってきた。

 

 

「変化っていうのは、細胞レベルで?」

 

「たぶん。」

 

「たぶん?」

 

「僕も全部分かってるわけじゃないので。」

 

 

科警研でも散々調べてもらったけれど、アマダムについては未だに分からないことの方が多い。

 

 

「変身には何を使う?」

 

「アークルっていうベルトです。」

 

「ベルトか。今、持ってるかい?」

 

「持ってるというか……。」

 

 

僕は自分の腹を指差す。

 

 

「普段は体の中にあります。」

 

 

スタークさんとバナー博士の動きが止まり、僕の腹あたりを凝視し始めた。

 

 

「……体の中?」

 

 

バナー博士が聞き返してくる。

 

 

「はい。」

 

「ベルトが?」

 

「正確には、アマダムっていう霊石?が体内にあって、変身するとアークルっていうベルトの形で腰に出てきます。」

 

 

スタークさんが改めて、僕の腹を見る。バナー博士も。………オジサン二人揃って若者の腹を凝視するはのやめて。

 

 

「霊石アマダム。」

 

 

スタークさんが繰り返す。

 

 

「未知の鉱物?」

 

「たぶん。」

 

「エネルギー源は?」

 

「分かりません。」

 

「どうやって人体と融合した?」

 

「気づいたら。」

 

「気づいたら?」

 

「色々ありまして。」

 

 

我ながら雑だが、説明しようとすると本当に長くなる。

 

 

「日本では調べたのかい?」

 

 

バナー博士が聞いてくる。

 

 

「はい。科警研で何度も。」

 

「結果は?」

 

「身体と完全に融合してるらしいです。」

 

「拒絶反応は?」

 

「今のところはありません。」

 

 

バナー博士が少し考え込む。

 

 

「興味深いな。」

 

 

うわ。ブルース・バナーに興味深いって言われたよ。

 

  

「体組織の変化は可逆的?」

 

「可逆?」

 

「ああ。変身した後は元に戻るのか、って質問だよ。」

 

「なるほど、変身解除すると普通に戻ります。」

 

「そこら辺は僕と同じか。あれだけ怪人と戦闘したのなら服や着替えには苦労しただろう?」

 

「………えっと、それは元に戻る瞬間を見られないように、ってことですか?」

 

「ん?いいや、流石に変化すると着ていた物はダメになっただろうから………そうか、警察と連携していたならそういった心配はなかーー」

 

「変身した後、元の姿に戻ったら服も元通りになりましたよ?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「「…………」」

 

「服を着た状態で変身しても?」

 

「はい。靴とかヘルメット、なんならポケットの中身も。」

 

「元通りに?」

 

「なりました。」

 

「「…………」」

 

「裸には?」

 

「ならなかった、ですね。」

 

「…………本気で君の体を研究したくなってきたよ。」

 

「冗談ですよね!?」

 

モルモットは嫌だ!

 

「ハハハッ、研究は冗談だけど、分からない事が多いなら改めて調べてみるのも悪くはないんじゃないかい?」

 

「それはそうですけど………」

 

「話に区切りが付いたのなら僕からも質問だ。この姿の時の強度はどれくらいだい?」

 

「フォームによります。」

 

 

フォーム、という言葉にスタークさんはすぐ反応した。

 

 

「フォーム?」

 

 

また食いつかれた。

 

 

「形態が複数あるってことか?」

 

「はい。」

 

「何種類?」

 

「基本は四つです。」

 

「基本は?」

 

 

そこ拾うんだ。

 

 

「赤のマイティ、青のドラゴン、緑のペガサス、紫のタイタン。」

 

前世の呼び方を採用して、呼んでたけど警察の皆さんは赤の姿、とか赤、とかのままだったな。

 

「違いは?」

 

「それぞれ得意分野が違います。」

 

 

スタークさんが顎に手を当てる。

 

 

「パワー型、スピード型、遠距離型みたいな?」

 

「そんな感じです。」

 

「なるほど、なるほど。」

 

 

ふむふむ、と頷くスタークさんはめちゃくちゃ楽しそうだ。

 

 

「武装は?」

 

「あります。」

 

「内蔵?」

 

「いえ、手に持った物を変化させます。」

 

「何を?」

 

「棒とか、銃っぽい物とか、剣になりそうな物とか。」

 

 

今度はバナー博士まで眉を上げた。

 

 

「物質変換?」

 

「たぶん。」

 

「またたぶんだね。」

 

「本当に分からないんですよ。物質を原子レベルで再構築してるとか、なんとか。」

 

 

僕が苦笑すると、バナー博士も少し笑ってくれた。

 

 

「いや、ごめん。君に聞きすぎたね。」

 

「いえ。」

 

 

むしろ前世で見ていた天才科学者二人に、クウガについて質問攻めにされてるこのすごい状況は本音で言えば楽しいです。

 

 

「つまり。」

 

 

スタークさんが指を折っていく。

 

 

「身体強化。形態変化。物質変換。しかも全部、体内の謎の石が起点。」

 

「そうなります。」

 

「で、十五歳から使って怪人と戦い続けた、と。」

 

「はい。」

 

「よく生きてるな。」

 

 

さらっと言われたけれど、

 

 

「僕もそう思います。」

 

 

これは本当に、何度死にかけたか分からない。

 

 

「副作用は?」

 

 

バナー博士が、今度は少し声音が変え、さっきまでの純粋な好奇心じゃない質問をしてくる。

 

 

「あります。」

 

 

僕も真面目に答える。

 

 

「力を使いすぎると身体への負担が大きいです。特に強いフォームは。」

 

 

後は、暴走のリスクも同様に高まる。

 

 

「強いフォーム?」

 

 

スタークさんが聞き返す。

 

 

「どれくらい強い?」

 

「……あまり使いたくないくらい。」

 

 

それだけ答える。ライジングやアメイジングならまだしも、 

 

アルティメット

 

あれは、なるべく使いたくない。

 

 

スタークさんは何か察したのか、それ以上追求はしてこなかった。

 

  

「なるほど。」

 

 

代わりに、

 

 

「じゃあ今度、ちゃんと調べよう。」

 

「え?」

 

「僕のラボで。」

 

「いやいやいや。」

 

「心配するな。切らない。」

 

「切る可能性があったんですか!?」

 

「冗談だ。」

 

 

絶対半分本気だろ。

 

 

「スターク。」

 

 

ナターシャさんが呆れたように口を挟む。

 

 

「怖がらせないで。」

 

「怖がってないですよ。」

 

 

そう言ってから。

 

 

スタークさんを見る。

 

 

「……本当に切らないですよね?」

 

「切らないよ、傷つくな。」

 

「傷つく、は嘘ですよね?」

 

「バレたか?」

 

 

本当にこの人。

 

 

「僕としても。」

 

 

バナー博士が穏やかに言う。

 

 

「もし君が嫌じゃなければ、データは見てみたい。」

 

「バナー博士なら全然。」

 

「僕は?」

 

「スタークさんは誰か信用できる人の立ち会い付きでお願いします。」

 

「信用の差がひどい。」

 

 

だってウルトロンやらヴィジョンやら、勝手に何か作り始めるタイプだし。

 

 

「まあいい。」

 

 

スタークさんは気にした様子もなく、もう一度モニターに映るクウガを見る。

 

 

「クウガ、か。」

 

「はい。」

 

「悪くないんじゃないか。」

 

 

アイアンマンにクウガ褒められた?

 

 

「……どうした?」

 

「いえ。」

 

 

多分ちょっとニヤけてしまった。

 

 

ーーーーー

 

 

その後もスタークさんとバナー博士からいくつか質問を受けたけれど、フューリーが「遊びは終わりだ」と打ち切ったことで、ひとまず話はお開きになった。

 

 

僕はS.H.I.E.L.D.の職員に案内され、用意された部屋へ。

 

簡素なベッドと机だけの部屋。空飛ぶ秘密基地の中なんだから当然か。

 

 

「……ふぅ。」

 

 

ベッドに腰を下ろす。濃い時間だった。本物のアイアンマンと話した。キャプテン・アメリカにも名前を呼ばれた。ソーには肩を叩かれた。ブルース・バナーにアマダムやブラック・ウィドウとも仲良くなれた気がする。

 

改めて考えると凄すぎるな、今の状況。

 

 

「…………ん?」

 

 

そこで、ふと違和感に気づいた。一人いない。

 

アベンジャーズのメンバーにして弓の達人、ホークアイことクリント・バートン。

 

 

「……あ。」

 

 

思い出した。クリント、ロキに操られてるじゃん。

 

 

そして、この後――、思わず立ち上がる。

 

 

「ヘリキャリアが襲撃される。」

 

 

完全に忘れてた。ロキを捕まえて、ソーも来た。なら今は映画の中盤。この後、ロキのセプターを巡ってスタークさんとバナー博士が調べ始める。S.H.I.E.L.D.が四次元キューブを使って兵器開発をしていたことがバレる。キャプテンはフューリーを問い詰める。ソーも怒る。スタークさんも煽る。バナー博士も段々苛立つ。ナターシャさんもいる。

 

そして。

 

全員が揉めているところに洗脳されたクリントたちが襲撃してくる。

 

 

「……マズい。」

 

 

僕は急いで扉へ向かう。

 

襲撃だけなら僕がいる以上、映画より被害を減らせるかもしれない。問題はその後だ。

 

 

ハルクが暴走。ソーと戦う。エンジンが停止してスタークさんとキャプテンが修理。それからロキが脱走して――。

 

 

「…………」

 

 

コールソンさんが危ない。映画ではロキに刺されて亡くなるだ。それがアベンジャーズがまとまるきっかけになっていた。

 

完全に忘れてた。さっきまで普通に話して、僕の中で、もう映画の登場人物じゃなくなってたから。

 

 

「いやいやいやいや。」

 

 

それは駄目だろ、知ってるのに、これから死ぬって分かってるのに、何もしないとか。

 

僕は部屋を飛び出した。

 

 

「黒雄君?」

 

 

廊下へ出たところで、S.H.I.E.L.D.の職員が驚いたように振り返る。

 

 

「コールソンさんはどこですか!?」

 

「コールソン捜査官?」

 

「はい!」

 

「確か現在は――」

 

 

その瞬間。

 

 

ドォンッ!!

 

 

船体全体が大きく揺れ、警報が鳴り響き、赤い非常灯が点滅を始めた。

 

 

『警告。船体左舷に損傷。全職員は――』

 

 

僕は走り出した。

 

 

「どこへ行くんです!?」

 

 

止める声を無視して走る。頭の中で映画の流れを必死に思い出すが、細かい順番までは覚えてない。

 

 

画面ライダークウガと同じで何年前に見たと思ってるんだ。 

 

それでも、あの人はここで死ぬ。なんかドラマ版で実は生きてた的な話があるとは聞いたことことはあるけど知るか。

 

 

腰に手を当てることで体内のアマダムが熱を帯び、アークルが出現する。

 

間に合わせる。

 

 

「変身!」

 

 

僕の叫びと同時に、身体を赤い装甲が包み込んだ。

 

 

クウガ、マイティフォーム。

 

 

「伝説だろうが原作だろうが塗り替えてやる!」

 

 


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元パーティーメンバーに『ざまぁ』されないように世界の果てまで逃げる(作者:hoge55)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

日本人である前世の記憶を持つ男が自分のことを主人公だと思って人生を謳歌していると、パーティーを組んだ少年が“無能”と呼ばれて強烈な主人公力を持っていたため分からされていると、その少年が追放されたのを見て気付いた。▼「これ“ざまぁ”されるやつでは?」▼最強となった少年に“ざまぁ”されないように逃げて、誰にも脅かされないスローライフを送るまでのお話。


総合評価:10929/評価:7.04/完結:7話/更新日時:2026年07月05日(日) 20:00 小説情報


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