日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
「はああああああッ!!」
雷鳴が轟き、ソーと、フェイカーが召喚した戦車の軍勢の激突が続く。飛翔し、赤雷を纏う戦車がまるで生き物のようにソーへと襲い掛かる。
しかし、ソーも当然負けてはいない。雷神がストームブレイカーを振るえば、青白い雷が戦車群を薙ぎ払う。ムジョルニアを投げ込めば、軍団に一直線の道ができる。
雷と雷が互いを喰らい合い、衝突するたびに凄まじい衝撃波が広がっている。空中戦だからこそ、周囲に被害は出ていないが、遥か上空で激突が起こるたびに、地上で戦う屈強なアスガルド兵士たちが転がされるほどである。
「ぬぅッ!」
時折、軍勢ではなくフェイカー自身が操る戦車がソーと接触する。ストームブレイカーの一撃が直撃したとしても、赤い雷を全身から迸らせる牡牛は、真正面から雷神の力を受け止め、疾走し続ける。
「いい加減、退けぇッ!」
「こっちのセリフよ!」
ソーが吠え、さらに力を込めようとした時だった。
「――ッ!?」
突然、ソーの表情が変わり、フェイカーも異変に気づいたのだろう、お互いに距離を取り、視線を王城に向ける。
肌が痺れ、空気が震えている。アスガルドという世界そのものが、王城を中心に軋んでいるかのようにすら感じられた。
「……父上。」
凄まじい力が発せられている。老いたとはいえ、九つの世界の頂点に君臨し続けた神王。その力が、これほどの規模で振るわれているのを、ソーは見たことがなかった。
しかし、そんな父と、向き合う力が存在している。
「なんだ……この力は……?」
サノスの力だということは分かる。先ほどまでも父、オーディンと戦いを繰り広げ、最強の神に迫る力を見せていた。
だが、先ほどまでとは明らかに変わった。規模ではなく、質が。
「父上……!」
嫌な予感がし、急ぎ王城へ向かわなければならない、と判断するが、
「余所見とは余裕ね?」
「ぐぉッ!」
雄牛たちが放電し、赤い雷がソーの身体を吹き飛ばす。すぐさま空中で姿勢を立て直しはするが、
「くそッ!」
悪態を吐きながら敵を睨むソー。王城へ向かいたいが、目の前のフェイカーがそれを許してくれない。それに、もしフェイカーを無視して王城に向かってしまった場合、フェイカー本人だけでなく付き従う赤い雷を纏う異形の戦車の大軍勢がアスガルド軍に牙を剥くことになってしまう。
――ここで俺が抜ければ、どれほどの犠牲が出るか想像もできん!?
王城へ行かなければならないが、ここから離れることもできない。ソーの迷いを見透かしたように、フェイカーが肩を竦める。
「大変ね、王子様は。」
「黙れッ!」
一秒でも早くこの難敵を倒すしかない、と武器を構え直した、その時、
……空で光が瞬いた。
「……何?」
フェイカーが顔を上げると、アスガルドの空に、無数の光、光球が出現し、その数を増やしていた。
「これは……!」
千を越えたであろう光球に、ソーが目を見開く。
「行っけ!」
遠くから女性の声が響き、空を埋め尽くす光球が流星群のように戦場に降り注いだ。
「チッ!?」
フェイカーがイラついた顔で舌を打ち、戦車を走らせ、回避に専念する。しかし、光球の狙いはフェイカーだけではなく、背後の赤い雷を纏う軍勢にも降り注ぐ光球が襲い掛かっていた。
光の雨が次々と兵士たちに着弾し、爆発していく。
『――ッ!?』
次々と爆発する光。直撃を避けた兵士たちも爆風によって吹き飛ばされ、戦車の進軍が止まった。
「この攻撃は……真魚か!」
ソーは即座に振り向くと、
「ソーさん!」
白銀の装甲と頭部から伸びる六本の角が目印のアギト・シャイニングフォームの姿へ変身した風谷真魚が、ゴウラムの上に立ち、一本の杖を掲げている。
杖の先端が輝くたび、新たな光球が生み出されていき、見る間にアスガルドの空が光で埋め尽くされていった。
「遅くなりました! 援軍です!」
真魚が杖を振り下ろすと、再び光球が一斉に飛翔し、フェイカーの軍勢に襲いかかる。それぞれの兵が、防御しようとするが、光球は次々とそこへ着弾し、軍勢そのものを押し返していく。
「援、軍……?」
ソーが呟き、視線を地上へ向けると、その表情が明るくなる。地上でも、戦況に変化が起きていた。
「行くぞ、バッキー!」
聞き覚えのある声が聞こえ、円形の盾が飛翔し、サノス軍の兵士が倒れる。盾は壁へ当たって跳ね返り、別の兵士を打ち倒した後、持ち主の手に戻る。
地球が誇るヒーロー、キャプテン・アメリカこと、スティーブ・ロジャースがアスガルドにやってきた。その隣では、
「右から来るぞ!」
バーンズが銃撃を浴びせ、アスガルド兵の死角へ回り込もうとしていた敵兵を撃ち倒す。
二人だけではない。地球から到着した戦力が次々とアスガルド軍へ合流し、崩れかけていた戦線を立て直していく。それを見たソーの顔に、ようやく笑みが戻る。
「来てくれたか――アベンジャーズよ!」
雷神の歓喜の声が戦場へ響き渡った。
「ソーさん! 王城に、凄くヤバい奴がいます!」
「分かっている! だが、このフェイカーという娘め、侮れん!」
真魚も詳しい状況までは分かっていないが、王城から放たれる力は尋常ではなかった。フルパワーの黒雄とドルマムゥの戦いを直に見ているからこそ分かる。
オーディンともう一人、立ち昇る異質なエネルギー。二人とも一つの次元を支配していたドルマムゥより強く、本能的に危険を感じるほどの力だった。
「だったら、この赤い人は私たちが受け持ちます!」
真魚が杖をフェイカーへ向ける。
「ソーさんは急いで、オーディンさんの援護を!」
「助かるが、そう簡単に相手が務まる敵では……待て。今、私たちと言ったか?」
「はい!」
真魚の返事と同時に、戦場に凄まじい風が吹き荒れ始める。大気そのものが唸りを上げ、アスガルドの空を駆け抜け、一瞬で巨大な竜巻が発生する。
「何よ、急に!?」
フェイカーの赤い髪が激しく靡く。竜巻は凄まじい勢いで巨大化し、空を駆けていた戦車を次々と巻き込み始めた。
数十もの戦車が、巨大な渦の中へ飲み込まれていく。
その竜巻の中心には、翼を広げた存在が浮かんでいた。人型ではあるが、その姿はどこか巨大な鷹を思わせる。鋭い嘴、大きく広げられた翼、神々しさと異形さを同時に備えた姿。エルロードの一柱、風のエル。
その両翼が大きく羽ばたき、竜巻がさらに勢いを増す。
「この程度の軍勢で、風を縛れると思うな。」
「エルロード……闇の力の使徒か!」
ソーが目を見開いた直後、光が瞬き、フェイカーの視界を眩い閃光が覆う。
――何か来る!
そう認識した瞬間、フェイカーの敵はすでに目の前まで来ていた。
「チッ!」
フェイカーが右手を振るう。赤い光が収束し、一瞬で一本の剣が生み出される。
凄まじい金属音が響き渡ると、フェイカーの目の前には、もう一人アギトがいた。姿だけを見れば、真魚とほぼ同じアギト・シャイニングフォーム。
だが、纏う力が異なる。真魚が人として進化の果てへ至った存在ならば、こちらは源流。闇の力が最初に生み出したエルロード、光のエル。
その背中には、本来のシャイニングフォームには存在しない、光によって形作られた巨大な翼が広がっていた。そして両手にはシャイニングカリバーが握られ、その片方が、フェイカーの生み出した剣と真正面からぶつかっていた。
間髪入れずに、もう片方のシャイニングカリバーを振るう光のエル。フェイカーは剣を握っていない方の手で手綱を引き、雄牛に放電させることで無理矢理に光のエルを引き剥がす。
「ソーさん!」
ゴウラムの上で杖を構える真魚、戦場の風を支配した風のエル、そしてシャイニングカリバーと光る翼を携えた光のエルがフェイカーとソーの間に割って入る。
「ここは、私たちに任せてください!」
一瞬、悩んだソーだったが、実力者である三人を信じ、
「……分かった! 任せたぞ!」
身体が青白い雷へと変わり、ソーは王城へ向かって一直線に飛翔する。フェイカーは追わなかった。
真魚が杖を振るい、追加の光球が展開される。
風のエルが翼を広げた。竜巻が形を変え、今度はフェイカーを包囲するように複数へ分裂していく。
さらに、光のエルがシャイニングカリバーを構える。
逃げ場を潰すように、三者がフェイカーを囲んでいた。三人を見渡すフェイカーは、特に驚くことはせず、怯えもせず、警戒する様子すらない。ただ、
「ふーん。」
興味がなさそうに呟いただけだった。赤い剣を肩へ担ぎ、首を僅かに傾げる。その視線が最初に真魚へ向かい、次に風のエル、最後に、光のエルへ向けられる。
「三人ね。」
真魚が答える。
「三人ではないですけど、私たちが相手です。」
「そう。」
フェイカー、ヴィスティナは、それだけ返し、身体から発せられるリアリティ・ストーンの赤い輝きを強くする。
「まあ。私は目的のものを手に入れてもらったし、サノス様の様子を確認するに、もう足止めも必要ないんだろうけどさ、」
その目には呆れが宿っていた。
「アンタら、自分たちの実力ぐらい正しく見積もりなさいよ。」
ーーーーー
不意に、王城から紫色の光が立ち昇った。
「……ッ!」
思わずそちらへ視線を向ける。遠く離れたこの場所からでも分かるほど、尋常ではないエネルギーが王城を中心に膨れ上がっていた。その力と相対しているのがオーディンさんだということも分かる。アスガルド全体を震わせるような神力、間違えようがない。
問題は、その相手だ。
感じるインフィニティ・ストーンの気配。これなパワー・ストーンか。ただこれ、もしかして……パワー・ストーン、二つ揃ってないか?
単体でも十分すぎるほど危険なはずなのに、今感じている紫色のエネルギーは明らかに先ほどまでとは違う。ちゃんと比較したわけではないけれど、直感的に感じてしまう。
――勝てないかもしれない。
オーディンさんが、ではない。僕が行ったとしても、勝てないかもしれない。
「……援護に行くべきだよな。」
ここでエボルを放置するわけにはいかない。しかし、オーディンさん一人に任せていい相手とも思えない。そう考えていた僕の視界を、突然、青い閃光が埋め尽くした。
「余所見は駄目だろ。」
「ッ!」
考えるより先に身体が動いた。雷のエルから受け取った力と封印エネルギーを全身へ巡らせた直後、全身を青い装甲で覆ったエボルが真正面から突っ込んでくる。
先ほど自分のフィールドを僕にあっさり破壊されたことなど忘れたような突撃だったが、さすがは強化変身というべきか、
――速い!
先ほどまでとは明らかに違う。青い残像だけを残し、エボル・スペースフォームが一瞬で間合いを詰めてくる。
「はあッ!」
僕は雷光と封印エネルギーを拳へ纏わせ、接近してきたエボルの顔面目掛けて突き出した。エボルは即座に腕を上げて防御するが、拳が触れた瞬間、青い空間フィールドがガラスのように砕け散る。
やっぱり、対封印エネルギーのフィールドは破れる。そのまま踏み込み、間髪入れずに追撃の拳を叩き込む。しかし、
――バキィン!
「何!?」
またフィールドを砕いた感触がした。直前にフィールドは破壊したのに、その下から新しい空間フィールドが現れ、僕の二発目の拳に込めた封印エネルギーを吸収した。
「それだけ姿を変えて、やってることはそっちも大分力押しじゃないか!」
「このボトルのコンセプトが、そもそも脳筋だからね! インフィニティ・ストーンの力を引き出し、留め、身体強化はもちろん、能力の向上、さらには全身にその能力を循環させることも――フベラッ!?」
「隙だらけだ!」
説明を続けるエボルの顔面へ拳を叩き込み、その頭が大きく跳ねた。
「痛いな!」
「戦闘中に長々と説明するからだよ!」
そう返しながら、すぐに違和感に気づく。確かに打撃は通った。だが、拳が触れる直前に新しいフィールドが展開されていた。
――また張られている。能力封印はできていない。
一つを破壊されれば、その下にもう一つ。一枚目が封印エネルギーを受け止めている間に、新しいフィールドを作り続けているらしい。
「なら、殴り続けッ――」
「そっちだって隙だらけだ!」
「ッ!」
エボルが殴り返してくる。僕は身体を反らして拳を躱したが、その時にはすでに、エボルの掌に青い渦が発生していた。
「させるか!」
即座に封印エネルギーを放つ。エネルギーの奔流が青い渦を捉え、その構造を崩していく。だが、完全には消えない。外側の渦が消滅した直後、その内側から一回り小さな青い渦が現れた。
――二重にしたのか!?
「喰らえ!」
消し去りきれなかった渦が迫る。
「シッ!」
素早く脚を蹴り上げ、足先に纏わせた封印エネルギーで青い渦を蹴り砕く。しかし、その隙にエボルはドライバーのレバーへ手を伸ばし、勢いよく回転させていた。
『Ready go!』
「必殺技!?」
全身を走っていた青い光が一気に増幅する。
『Space finish! Ciao!』
空間が歪み、全身に青いエネルギーを纏ったエボルが一瞬で眼前へ現れた。
蹴りを打つのに完璧な間合い!
その身体は横向きになり、伸ばされた片脚には膨大なエネルギーが集中している。避ける時間はない。
「はあああああッ!!」
なら、真正面から迎え撃つ。
一瞬で集められるだけの雷光と封印エネルギーを右腕へ集中させ、そのまま拳を突き出した。
拳と足刀が激突、青と黄金のエネルギーが爆発し、周囲へ撒き散らされた。凄まじい衝撃に僕とエボルの身体が同時に吹き飛び、互いに地面を削りながら後退する。
「……ッ。」
右腕が痺れている。さすがに必殺技だけあって重い。一方、瓦礫の中へ突っ込んだエボルも身体を起こしながら、
「おかしいよな。初見せフォームの必殺技を放ったのに、パンチで相殺されたよ。あの流れなら、もう少し驚いてくれてもよくない?」
「こっちも必死なんだ。」
「それもそうか。」
エボルは軽く肩を竦めながら立ち上がったが、その声から余裕は消えていない。
「だけど、フィールドや攻撃で常に封印エネルギーだけを吸収していれば、一方的にやられることはない。それに――」
青い複眼が僕ではなく、その向こうにある王城へ向けられる。
「君、焦ってるだろ?向こうが気になる。だから、焦る君が雑になったところを狙わせてもらうよ。」
厄介。実際、コイツを無視して王城へ向かうことはできない。背中を見せれば追ってくるだろうし、僕が離れればアスガルドの兵士や民が狙われる可能性もある。だからといって、ここでいつまでも戦っているわけにもいかない。
どうする――。
「だったら別のヤツがテメーの相手をすれば良い話だろ?」
突然、聞き覚えのある声が響いた。
「……!」
僕とエボルが同時に振り向いた瞬間、一直線に炎が走る。
「おっと!」
エボルが飛び退くと、その直後、先ほどまで立っていた場所で炎が爆発した。
「この炎……。」
炎の向こうから、三つの影が歩いてくる。
一人は、大地を踏み締めるたびに周囲を震わせるエルロード――地のエル。
もう一人も同じくエルロードの姿を取り、その周囲に大量の水を浮かべた水のエル。
そして、その二人の中央には、全身から炎を立ち昇らせる赤い戦士がいた。赤と黒の重厚な姿、アギト・バーニングフォームに変化した火のエルが拳を握り締めると、さらに激しい炎が腕を包み込んだ。
「よぉ。」
火のエルが僕を見る。
「手助けするぜ、クロオ。」
「……火のエル。」
その背後では水のエルが静かに構え、地のエルもエボル・スペースフォームを見据えている。
火、水、地の三柱のエルが、僕の援軍として戦場へ現れていた。
ーーーーー
「……嘘だろ。」
思わず、そんな言葉が口から漏れた。目の前に広がる光景を、スティーブはすぐには理解できなかった。
先ほどまで赤い雷を纏う戦車の軍勢と、眩い光、そして巨大な竜巻がぶつかり合っていた戦場。その中心には巨大な亀裂が走り、周囲の建物は崩れ、瓦礫の山がいくつもできている。
そして、その中心に三人の戦士が倒れていた。
「真魚……!」
白銀の装甲は解除はされておらずアギト・シャイニングフォームのままだが、真魚は瓦礫の中に倒れ伏している。僅かに身体が動いていることから意識はあるらしいが、立ち上がる様子はない。
その少し離れた場所には、光のエル。こちらもシャイニングフォームの姿を保ったまま地面に倒れていた。背中に広がっていた巨大な光の翼は消滅し、二本のシャイニングカリバーも手から離れ、地面に転がっている。
そして、巨大な翼を持つ風のエルまでもが、崩れた建物へ叩き込まれるように倒れていた。先ほどまで戦場全体を覆い、何十もの戦車を纏めて巻き上げていた竜巻は、もうどこにも存在しない。
「……何が、起きた?」
スティーブは唖然とした表情で呟くことしか出来なかった。自分たちが援軍に来て、ソーを王城へ向かわせてから、それほど時間は経っていない。そのはずなのに、
「……三人とも、やられたのか?」
隣にいたバッキーも銃を構えたまま、目の前の光景を信じられない様子で口を開く。その時、ガラガラと音を立てながら、赤い戦車が地上へ降りてきた。
二頭の牡牛が足を止め、フェイカーは何事もなかったかのように戦車から飛び降りた。軽い音を立てて着地し、赤い髪が揺れる。
傷らしい傷は、ほとんど見当たらない。
「……ああ。」
スティーブたちの視線に気づいたフェイカーが、ようやく納得したように声を漏らした。倒れている真魚、光のエル、風のエルへ順番に目を向ける。
だが、勝ち誇ることも、嘲笑うこともしなかった。ただ、当然のことを説明するように口を開く。
「良い?」
赤い剣を肩へ担ぎ、フェイカーは淡々と告げた。
「さっきのアスガルドの王子や、あのバカが足止めしてる厄介な奴。それと、サノス様が戦ってる王様がおかしいだけで……」
リアリティ・ストーンの赤い輝きが、その全身から静かに溢れ続けている。スティーブが反射的に盾を構え、バッキーも銃口を向ける。
それでも、フェイカーの態度は何一つ変わらない。
「強いのよ、私たちは。」
赤い光が、一際強く瞬いた。
人類の進化の果てへ到達したアギト。闇の力が最初に生み出した光のエル。そして、アスガルドの空を覆うほどの暴風を操っていた風のエル。
その三人が、僅かな時間で全員倒された。
「……。」
スティーブは何も答えなれず、ただ、盾を握る手に力を込める。援軍は到着し、崩れかけていた戦線も立て直した。ソーを王城へ向かわせることにも成功した。
それでも、目の前に立つ女一人を止められるのか。
その問いにだけは、今のスティーブには答えを出せなかった。