日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
さて、今度は俺が主役の話だ。……いや、語り手がガモーラだっただけで、さっきの話の俺も主役だったわけだが、……ロナンを倒してザンダーを救ってから、数か月の話だ。
俺たちガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは宇宙のあちこちで依頼を受けるようになり、怪物退治に護衛、奪還、その他諸々、銀河を救った英雄なんだから当然と言えば当然の活躍を――
「賞金次第で何でもやる便利屋の間違いだろ。」
横からロケットが口を挟んできたので無視して続けようとしたが、「おい、聞こえてんだろ」とさらに絡んでくる。
「銀河を救った英雄として、俺たちの名前は宇宙中に知れ渡り――」
「便利屋としてな。」
「うるさい!」
ん゛ん゛。……とにかく、そんな俺たちが受けた仕事の一つがソヴリンでの任務だった。連中が大切にしているアニュラクス・バッテリーを怪物から守るというもので、多少面倒ではあったものの仕事自体はきっちり終わらせたし、普通ならそれで終わるはずだったんだが、
「なのに、誰かさんがそのバッテリーを盗んだんだ。」
俺が睨むと、ロケットは悪びれる様子もなく肩をすくめる。
「置いてあったからな。」
「守るように依頼された物を盗む奴があるか!」
「守れとは言われたが、盗むなとは言われてねぇよ。」
「そういう問題じゃないだろ!」
『I am Groot.』
「ほら、グルートも俺が言ってることが正しいって言ってる。」
「絶対違うだろ!」
話を戻そう。そんなわけでソヴリン艦隊から盛大に追い回され、向こうは大量の遠隔操作艦、こっちはミラノ号一隻という絶望的な状況に陥り、いよいよガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの最後か!?って思ったところで艦隊が次々と爆発したんだ。そして、それをたった一人でやった男が俺たちの前へ現れた。
男の名はエゴ。
「エゴ、だと? インフィニティ・ストーンに関係ある存在か?」
ん? いや関係ないぞ。そんな名前のストーンはないはずだしな。そいつは俺を見て言ったんだ。「自分こそ、お前の父親だ」ってな。
「普通は疑う。」
ネビュラが呆れたように言い、「疑ったよ!」と反論するが、今度はガモーラまで「かなり嬉しそうだったわよ」と冷静に付け加えてくる。
「……そりゃ多少は嬉しいだろ。ずっと知らなかった父親が突然現れたんだぞ?」
俺は地球で生まれ、母さん、メレディス・クイルに育てられ、母さんが死んだ日にヨンドゥたちに地球から攫われた。父親についてはほとんど何も知らなかったのだから、そんな相手が突然目の前に現れて、自分をずっと探していたと言われれば気にならないわけがない。
そして、俺とガモーラ、ドラックスはエゴについていき、奴の惑星へ向かった。そこでマンティスとも出会ったが、問題はエゴ自身だった。
あいつは普通の人間でも宇宙人でもない、セレスティアルっていうヤバイ存在だった。
「……ここにきて、ストーンではなくセレスティアルか。」
ちょこちょこ口挟むね、アンタ。
ええっと、人間の姿は端末のようなもので、本体は俺たちが立っていた惑星そのものがエゴの正体だったわけだ。
「父親が惑星だった気分はどうだったよ?」
ロケットに聞かれても、「上手く説明できない」としか答えようがない。ドラックスだけは「父は惑星だ、か。格好いいではないか」と感心していたが、俺としては格好いいで済ませられる話でもなかった。
エゴは長い年月をかけて宇宙中の惑星へ自分の種を植え、それらを成長させて星そのものを自分へと作り変える『拡張』とかいう恐ろしい計画を進めていた。
永遠に続く孤独に加えて、奴は宇宙の遥か彼方に、自分と同じセレスティアルが種族として存在していることを知り、いずれ彼らが本格的に活動を始めれば自分は粛清されるかもしれない、という恐怖を抱えていたらしい。
だから宇宙中に自分自身を広げ、星々に根を張り、いずれ来る同種に対抗できる戦力を確保しようとした。
「理屈として理解できないわけではないけど、やってることは最悪よね」とガモーラは言ったが、俺も同感だった。
自分と同種が、遥か彼方からわざわざ自分を殺しにくるかもしれない。だから対策を立てる。エゴにエゴなりの理由があったのかもしれないが、そのために無数の星と、そこで生きている連中を自分自身へ塗り替えていい理由にはならない。
ただ、俺が完全にあいつを敵だと認識した理由は、それじゃない。
エゴは、母さんを愛していたと言った。何度も母さんに会うために地球へ戻り、このままでは自分の目的なんて捨てて母さんと暮らしてしまうかもしれないと思うほど、本気で愛していたと言った。
だから、……母さんの脳に腫瘍を植え、殺した。
最初は何を言われたのか分からなかった。病気で苦しみ、最後には俺の目の前で死んだ母さん。怖くて、最後に差し出された手さえ握ることができなかった母さんを殺したのが、ずっと会いたかった実の父親だった。
「……それで撃ってやった。」
「撃ちすぎだったけどな」とロケットが鼻を鳴らし、ドラックスが「足りないくらいだ」と真顔で返す。
俺はエゴへ銃を撃ち込んだ。父親だとかセレスティアルだとか、そんなことはどうでもよかった。たぶん最初から、俺が思っていたような親子じゃなかったんだ。
一方、ロケットたちはヨンドゥが率いるラヴェジャーズの反乱に巻き込まれていた。ヨンドゥ、ロケット、グルート、クラグリンはその反乱を切り抜け、俺たちを助けるためにエゴの惑星までやって来てくれた。
……そこで俺は、ヨンドゥが昔エゴから依頼を受け、宇宙各地にいるエゴの子供たちを連れてきていたこと、そして、自分が連れてきた子供が一人も戻ってこないことに気づき、最後に見つけた俺だけはエゴへ渡さなかったことを知った。
地球から俺を攫ったのはヨンドゥだったし、ラヴェジャーズの中で俺を育て、何度も怒鳴り、脅し、子供だった俺に「食ってやる」とまで言っていた。だけど、俺をエゴから救ったのもヨンドゥだった。
エゴは本性を隠さなくなり、俺の中にあるセレスティアルの力を利用して『拡張』を開始したため、俺たちは全員でエゴを止めることにした。マンティスがエゴの力を抑え、その間にロケットが爆弾を作り、小さなグルートがそれを中枢へ運ぶ。
『I am Groot.』
「そう、お前だ。何度説明しても爆弾のボタンを理解してるのか分からなかったよ。」
『I am Groot!』
「今怒るなよ!」
ともかく、グルートはやってくれた。爆弾が中枢で爆発し、エゴの核が破壊され、『拡張』は停止した。ただ、崩壊する惑星から逃げる途中、俺とヨンドゥは取り残されちまった。
宇宙空間で生き延びるための装備は一人分。ヨンドゥは迷わず、それを俺に渡してきた。
『エゴはお前の親父かもしれねぇが、父ちゃんじゃなかった。』
あの時になって、ようやく分かった。俺はずっと父親を探していたのに、本当に欲しかったものは、とっくに近くにあった。口が悪くて、すぐ怒鳴って、子供に「食うぞ」なんて言う最低の教育方針で、それでも俺をエゴには渡さず、最後には自分の命まで使って助けてくれた。
エゴは俺を生み出した父親だった。でも、俺を育てた父親はヨンドゥだ。……ヨンドゥが俺の親父だ。
ヨンドゥの葬儀には、かつてあいつを追放したラヴェジャーズたちまで集まり、宇宙を埋め尽くすような光の中で仲間として送り出してくれた。ずっと探していた父親がすぐ近くにいたことに、俺は最後まで気づかなかった。
「ヨンドゥは、あなたが最後に分かっただけでも十分だったと思うわ。」
そう言ってくれたガモーラに、俺は「……だったらいいけどな」と返すことしかできなかった。
なんてったって、そのヨンドゥ自身がニヤニヤしながらこっちを見ているんだからよ。
「なんで俺はこんな恥ずかしい内心を本人の前で暴露してんだ!?」
「ガハハハッ、お前が勝手に始めたんだろうが!」
ヨンドゥはなんと生きていた。なんでも昔、ある科学者から賭けで、『自分を仮死状態にすることで宇宙空間でも生きていられる装置』なんてものを手に入れていて、土壇場でそれを使ったらしい。
葬式で盛大な花火が上がっている最中に、仮死状態が解けたから、駆けつけてくれたラヴェジャーズを含め、俺たちは大慌て、大騒ぎだった。
「……多分あれ、母が作ったものよ。本来は自分用に作ったらしいけど、用途は分からなかったわ。」
そんなこんなで、エゴとの戦いが終わり、マンティスは俺たちの仲間になり、クラグリンはヨンドゥのヤカの矢を受け継いだ。まあ、当のヨンドゥが生きていて、クラグリンは返そうとしたが、ヨンドゥは「もうお前のもんだ」と言って受け取らなかった。……後でロケットに新型を作らせていたが。
そして俺たちは、ガモーラとネビュラの母親を元に戻す方法を探す旅を再開した。ガモーラは「あなたたちには関係ないでしょう?」なんて言っていたけれど、関係ないわけがない。
エゴは俺の実の父親だったが、ヨンドゥは血なんて繋がっていなかったけど、俺の父ちゃんだ。ガモーラとネビュラだって、サノス夫妻とは血が繋がっていないかもしれないが、それでも間違いなく家族だ。
そして、俺たちガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは家族だ。だったら、俺たちがガモーラたちを手伝うのは当然だ。
「誰が家族だ。」
ネビュラが即座に否定し、ロケットまで「勝手に俺を入れんな」と鼻を鳴らす横で、ドラックスだけが「私は家族で構わないぞ」と嬉しそうに頷き、ヨンドゥはまた大笑いを始め、クラグリンも合わせて笑ってやがる。グルートも『I am Groot』と手を上げる。
「グルートも家族だってよ。」
「ロケット、お前、今の本当にそう言ったのか?」
「細けぇこと気にすんな。」
マンティスが楽しそうに笑い、ガモーラも呆れたようにため息を吐いていたけれど、その口元は少しだけ笑っていた。宇宙は馬鹿みたいに広いんだ。だったら、どこかに答えがあったって不思議じゃない。
見つからなければ、見つかるまで探せばいい。幸い、旅をする仲間には困っていない。
ーーーーー
「――というわけで、俺たちはエゴを倒した後、地球に来たんだ。」
長い話を終え、俺は大きく息を吐いた。
ロナンとの戦い、ガーディアンズの結成、ガモーラとネビュラの過去、サノスとその妻、エゴ、そしてヨンドゥ。話すつもりのなかったことまで随分と喋ってしまったが、何より納得できないのは――。
「だからって、母親の墓参りに来ただけの俺たちを拘束する必要あるか?」
両手の拘束具を持ち上げながら目の前の連中を睨む。
そう。俺たちは今、地球にいるのだ。
エゴとの戦いが終わってから、俺はずっと帰っていなかった故郷へ行き、母さんの墓参りをすることにした。一人で行くつもりだったんだが、ガモーラたちまで当然のようについてきて、結局ガーディアンズ全員で地球までやって来た。
母さんの墓の前で色々報告して、少し昔を思い出して、それで帰る。本当に、それだけのつもりだった。
なのに地球へ降りた宇宙船はあっさり捕捉され、墓参りの最中に眼帯を付けたオッサンに、赤と金の派手なアーマー野郎、マントを着た怪しい奴。それから赤と青の全身タイツスーツを着たやたらよく喋るガキと、ついでに超強い女の子二人まで現れ、気がつけば俺たちは全員まとめて拘束されていた。
「墓参りしてたんだぞ!? 普通、墓参りしてる奴を武装した連中で囲むか!?」
「宇宙船で地球に不法侵入した武装集団が墓地に集まっていたら、普通は警戒するだろ。」
派手なアーマーを着た髭の男、スタークに冷静に返され、俺は少し考える。
「……そう言われると、ちょっとだけ分かるけど。」
「ちょっとなのかよ。こういっちゃなんだが、地球ってチタウリの軍勢に競り勝てる程度には力のある星だろ? よく考え無しに墓参りしたな。」
ロケットが呆れていたが、俺はそこら辺の事情を知らなかったんだ。俺にとっての地球は星間移動の技術なんてない宇宙の辺境だったんだからよ。
話をしていく中で発覚したが、地球側にとって、サノスは最大級の危険人物らしい。
俺たちの話を最後まで聞いていた眼帯のオッサン、フューリーはしばらくガモーラを見つめた後、「お前たちの話を聞いていると、こちらの認識と随分違う」と前置きしてから尋ねてきた。
「サノスは宇宙各地を侵略している存在ではないのか?」
ガモーラは少し考えてから首を横に振る。
「……かなり強引な方法でストーンを探しているのは事実よ。それに、人々を虐げている執政者や軍なんかを壊滅させたこともある。でも、少なくとも無差別に星を襲ったり、住民を虐殺したりなんてことはしていないわ。」
「父は死者も可能な限り減らすように動いている。サノス軍にもその方針は徹底されているはずだ。」
ネビュラもそう付け加えたが、スタークは納得しなかった。
「じゃあ、ニューヨークは?」
俺は詳しく知らなかった、っていうか全く知らなかったけど、チタウリの軍勢が地球のニューヨークを襲撃し、その背後にサノスがいたことを地球側は把握しているらしい。
「あれはロキっていう新参者が指揮していたんでしょう?」
ガモーラはそう言ってから少し表情を曇らせる。
「最近の父は焦っているのよ。母を元に戻す手掛かりがまったく見つからないから、ストーンに繋がる情報を追うことばかり優先して、他の者の暴走にまで介入しなくなってしまった。ロナンの件もそのケースね。」
「つまり、ニューヨークへの攻撃までサノスが細かく指示していたとは限らない、と?」
フューリーの問いに、ガモーラは頷いた。
「少なくとも私が知っている父なら、人口の多い都市へいきなり軍を送り込んで無差別攻撃させたりはしないわ。でもロキに軍を貸した責任までないとは言わない。父が周りを見なくなった結果なら、父にも責任はあるもの。」
そこまで聞いても、スタークの表情は晴れていない。
まあ俺だって、自分の故郷を襲った軍隊について「上司がちゃんと管理していませんでした」なんて説明されたところで、簡単に納得できるとは思えない。
ただ、そんな中で変なマントを着た男、ストレンジが妙なことを言ってきた。
「……今、神の国アスガルドがサノス軍から襲撃を受けている。」
ガモーラとネビュラが同時に固まった。
「……襲撃? そんなはずはないわ。」
「サノス軍の大艦隊が出現し、現在アスガルド軍と交戦しているそうだが?」
「インフィニティ・ストーンがアスガルドにあるのなら、父がストーンを探しにアスガルドまで行くことは分かるわ。でも、いきなり攻撃なんてしないはず。せいぜい空に艦隊を並べて兵を降ろして、ストーンを渡せって脅すくらいのはずよ。」
……いや、それ十分に怖い気がするのは俺だけだろうか?
俺がそう思っている横で、ネビュラも「相手が拒絶したとしても、すぐ全面攻撃へ移行するとは考えにくい」と言っている。
だったら、なぜ戦闘が起きているんだ?
全員が考え込んでいると、赤と青のスーツのガキ――確かこいつもピーターとかいうらしい――がおそるおそる手を上げた。
「その……今のガモーラさんたちの話が全部本当なんだとしたら、もしかしてなんですけど……先制攻撃したの、アスガルド側だった可能性なんて、あったりしません?」
そんなことあるわけ、………おい、地球組。なんで深刻そうな顔で黙った。
ーーーーー
「……ソーなら、あり得る。」
ジーン・グレイの一言を聞いた瞬間、俺、ニック・フューリーは否定の言葉を返せなかった。
それどころか、スタークもストレンジもサラも、揃って何とも言えない顔をしている。おそらく全員、同じ光景を想像したのだろう。
アスガルドの空を埋め尽くす正体不明の大艦隊、地上へ降りてくる武装した兵士。それを見上げる雷神ソー。そして、……相手が要求を口にするより先に飛んでいくムジョルニア。
俺は組んでいた腕の一方を額に持っていく。手のひらの隙間から隣を見るとトニーがゆっくり頷き、ストレンジまで何とも言えない表情で頷いている。
「……待って。」
サノスの娘であることが発覚した宇宙人、ガモーラが不安そうに顔を上げた。
「本当にアスガルド側が先に攻撃したわけじゃないでしょうね?」
誰も答えない。答えられなかった。サノス軍がアスガルドへ大艦隊を展開した時点で、脅迫であることに変わりはないが、彼女たちの証言が正しいのなら、最初から虐殺や侵略を目的としていたとは限らず、そこへアスガルド側が先制攻撃を仕掛けた可能性も完全には否定できない。
そして何よりソーだ。否定材料としては弱すぎる。
「俺たちを縛って長々と事情聴取してる場合じゃなくないか?」
クイルと名乗ったセレスティアルと地球人のハーフが拘束された両手を持ち上げ、ロケットと名乗った喋るアライグマが「珍しくクイルの言う通りだ」と続ける。
「珍しくは余計だ!」
騒ぎ始めた二人を無視し、ガモーラがこちらを見てくる。
「もし父が本当にアスガルドにいるなら、私たちが止めに行くわ。」
「可能なのか?」
俺が尋ねると、ガモーラの目に迷いはなかった。
「可能かどうかなんて関係なしに、止めるのよ。父と、アスガルドが本気で争えばどちらにも死者が出る。それに、父の左腕にあるパワー・ストーンは私たちの母なの。」
ネビュラも当然のように頷いていると、クイルまで「俺たちも行く」と口を挟み始めた。
「クイル、これは私たちの家族の問題よ。」
「だから何だよ。お前とネビュラの母親を助けるって話なら、さっきまで散々してただろ。それに俺たちはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだ。宇宙で戦争が起きてるなら、止めに行くのが仕事だろ?」
「今回は珍しく格好いいこと言ったな。」
「ロケット!」
『I am Groot.』
「グルートも行くってよ。」
「ならば私も行こう。九つの世界に名を轟かせる雷神ソーとは一度戦ってみたい!」
「お前は目的が違う!」
「おいクラグリン! 俺たちもせっかくだから行くぞ! アスガルドでもサノス軍でも恩を売れるなら悪くない!」
「そうですね船長!」
「今は俺たち専用の船がねぇから船長じゃねぇけどな!」
拘束されたまま騒ぎ始める宇宙人たちを眺めながら、俺は頭痛を覚えていた。
サノスの養女が二人に、宇宙育ちの地球人とセレスティアルのハーフ。喋るアライグマと木に、筋肉ダルマ。感情を読み取る女……コイツ、自称ウルトロンの元の身体の宇宙人と同じ種族か? それと肌が青い男と見た目だけなら地球人とあまり変わらない男。
その全員がこれからアスガルドへ向かい、サノスと雷神の間に割って入るつもりらしい。
「……それで?」
ガモーラが拘束された両手を持ち上げ、見せてくる。
「いつまでこれを付けておくつもり?」
トニーがこちらを見て、ストレンジもこちらを見てくる。ピーター、サラ、ジーンまでこちらを、俺を見てくる。
「……なぜ全員で俺を見る?」
「責任者っぽいからじゃない?」
ジーンの答えに、俺は眉間へ皺を寄せてしまう。
「『っぽい』ではない。」
「じゃあ責任者なんですね。」
ピーターが余計なことを言う。
「坊やは黙っていろ。」
「すみません。」
深いため息を吐き、改めて拘束された宇宙人たちを見回す。危険なのは間違いないし、信用できるかどうかも、まだ判断できない。だが、少なくとも今ここで拘束し続けるより、アスガルドで何が起きているのかを確認する方が先だ。
「……トニー。」
トニーも額を押さえながら頷く。
「ああ。嫌な予感しかしない。」
「奇遇だな。俺もだ。」
その横で、ピーターが小さく手を上げ、
「あの……本当にソーさんが先に攻撃してたら、どうします?」
再び沈黙が落ちる。そして何より腹立たしいことに、誰一人として、その可能性を否定できないことだ。