日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
闇の力は宇宙開闢と同時に生まれ、地球という星を、世界を作った。
しかし、外宇宙の同格存在が『種』蒔き、同格存在が地球に寄生した。
闇の力は生み出した生命を愛した。いずれ滅びると分かっていながら。
「――まずは、名乗るべきだろう。」
青年は、静かにそう言った。その声に敵意はないけれど、アンノウンなんて比較にもならない強さを秘めている事が分かる。
そんな青年は僕を真っ直ぐ見つめたまま、口を開いた。
「私は光の力。かつて、闇の力に仕えた七柱のエル。その一柱だ。」
「……七柱?」
そういえば闇の力も言ってたな。いや、エルロードって確かに原作でも何体かいたけど。七柱もいたの?
「人は我らを、エルと呼んだ。」
「じゃあ……光のエル?」
「そう呼ぶのであれば、それで構わない。」
光のエル。うん。光の力よりは分かりやすい気がする。問題は――。
「とりあえず、一回お互いに矛を収めません?」
「…………。」
「いや、事情は聞いています。地球ががヤバいっていうのも分かります。僕もつい最近、宇宙人の軍隊と戦ったばっかりですし。」
ニューヨークでのチタウリやロキとの戦い。あれを経験している以上、『宇宙からの脅威なんてあるわけない』とは口が裂けても言えない。むしろ、ある。普通にある。めちゃくちゃある。
「だから、人類に対抗手段を持たせようっていう考え自体は分かります。」
「ならば――」
「でも!」
光のエルの言葉を遮る。
「無作為にやるのは駄目です。超能力者を増やして、アギトを増やして。それで全員が力を正しく使える保証なんてないでしょう?」
現に、力を得て暴走した人間、人を殺した人間を僕は見ている。
「人間って、そんな単純じゃありません。力を貰ったからって、全員が正義の味方になれるわけじゃない。」
僕だって、アークルを手に入れた直後は酷かった。一条さんや、警察の皆がいて、色んな人に支えられて、何度も失敗して、それで、どうにか戦えた。………正直最初は復讐者みたいなものだったし。
「宇宙からの脅威に備えるために力を与えて、その力を持った人間同士で争い始めたら意味ないでしょう。だから、一回話し合ってください。」
僕は光のエルを見る。
「闇の力と。」
その瞬間、光のエルの目が、僅かに細められた。
「僕をここに送り込んだのも、あの人です。少なくとも、いきなり殺し合うつもりはないと思います。」
僕を使者にしておいて、交渉決裂した瞬間に『では滅ぼそう』とか言わないよね?ラスボスだから不安なんだけど。
「…………。」
光のエルは答えなかった。ただ、僕をじっと見つめている。
「……なんです?」
「似ている。」
「はい?」
「君の魂は、かつて私が出会った者とよく似ている。」
何の話だ?僕が首を傾げると、光のエルはゆっくりと空を見上げた。
「かつて、私と同格の存在であり、友であったモノがいた。」
「同格?」
「火を司るエル。」
「火のエル……。」
「私と同じく、闇の力に仕えた者だ。」
そこで光のエルの表情が、ほんの僅かに柔らかくなった。
「彼は、多くのことを知っていた。」
「多くのこと?」
「遥か未来に起こることを彼は私に教えてくれた。この星が、いずれ宇宙規模の争いに巻き込まれることを。」
光のエルが続ける。
「宇宙創生より存在するとされる六つの石――インフィニティ・ストーン。」
「…………はい?」
知ってる。いや、待って。知ってるぞ、それ。前世の知識だけど!
「いずれ、それらを巡る争いが、この星へと至る。」
「ちょ、ちょっと待って。」
「そして――」
待ってくれなかった。
「この地球そのものに、巨大な宇宙の神が眠っていることも。」
…………は?
「宇宙の神?」
「そうだ。」
「地球に?」
「そうだ。」
「眠ってる?」
「そうだ。」
何それ知らない。僕の知ってるMCUにそんなのいた?いや、待て。僕、前世で全部見たわけじゃない。アベンジャーズは見たし、アイアンマンも見た。キャプテン・アメリカもソーも見た。………いや、ソーの最後の映画は観てない。その辺で止まってる。
「……巨大って、どれくらい?」
「この星そのものを揺るがすほどに。」
「規模がおかしい!」
何だよそれ!サノスだけでもヤバそうなのに、まだいるの!?宇宙の神!?聞いてないぞ!?
「その存在が目覚めれば、人類は滅びる。そして、インフィニティ・ストーンを巡る争いによっても、人類は滅びる可能性がある。」
光のエルが僕を見る。
「それを、火のエルは知っていた。………我らも、闇の力も、人間を愛している。」
その言葉には、迷いがなかった。
「故に私は決めた。」
光のエルの身体から、淡い光が溢れる。
「未来において、人間がそれらへ抗うための力を与えると。」
「それが……アギト。」
光のエルは頷いた。
「人が進化し、自らの力で未来を切り拓くための可能性。その種を、私は人類へ与えた。」
なるほど、そういうことか。アギトの力をばら撒いている理由。宇宙の脅威に備えるため。
サノスにインフィニティ・ストーン。そして、僕の知らない地球の中で寝てる巨大な宇宙の神。それらに対抗するために、人類そのものを強くする。理屈は分かった。分かったけど。
「…………ん?」
僕の中で一つ。とんでもなく引っ掛かるものがあった。
未来、インフィニティ・ストーン、地球に眠る宇宙の神、それを知っていた火のエル。そして、
『君の魂は、かつて私が出会った者とよく似ている。』
いや、まさかね。
「光のエルさん。その火のエルって……妙に未来のこと詳しくありませんでした?」
「そうだ。」
「人間の文化とかにも?」
「精通していた。」
「妙な言葉遣いしたりは?」
「時折、理解し難い言葉を口にしていた。」
確定じゃん。
「転生者じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
思わず叫んだ。
光のエルが僅かに首を傾げる。
「てんせいしゃ?」
「絶対そうだろ! 僕と同じだろ、そいつ!」
何やってんだよ先輩転生者!?時間的には何万年も前だから大先輩だけど!
「というか!」
僕は頭を抱える。
「このクソややこしい状況の原因、そいつじゃないですか!?」
未来知識で光のエルに危機を教える。
↓
光のエル、人類を守るために原作よりも対宇宙人、対未来を想定してアギトの力をばら撒く。
↓
光のエル、さらに未来に直接介入し始める。
↓
あかつき号事件が起きないから原作が始まらない。
↓
アギト原作崩壊 → クウガ(僕)が大忙し。
「火のエルぅぅぅぅぅ!!」
余計なことしてくれたな!?いや、善意なのは分かる!未来の危機を知ってたら何とかしようとするのも分かる!僕だって何かしら行動する!だから余計に文句が言いづらい!
「……あれ?」
そこで、ふと思う。
「その火のエルは今どこに?」
会えるなら話を聞きたい。同じ転生者なら、僕が知らない未来について色々聞けるかもしれない。というか、この状況を何とかしろ。お前が始めた物語だろ。
「彼は、もういない。」
「……え?」
「私が目的を果たすため、彼に協力を求めた。」
光のエルが、自分の胸へ手を当てる。
「そして彼は了承した。故に、その力を私の中へ取り込んだ。」
「…………。」
「今も彼の力は、私と共にある。」
…………。
………………。
「火のエル――――――――ッ!!」
何してんの!?
「吸収されたの!?」
「本人の了承は得ている。」
「そこじゃない!」
唯一事情を知ってそうな転生者がもういない!しかも!僕は改めて光のエルを見る。強い。滅茶苦茶強い。
そりゃそうだ。
「エルロード二体分じゃないですか! そりゃ強いわ!」
「厳密には――」
「そこはいいです!」
僕は額を押さえる。頭痛くなってきた。
闇の力。光のエル。火のエル。アギト。インフィニティ・ストーン。地球に眠る巨大な宇宙の神。
情報量が多すぎる。だけど、一旦。そう、一旦だ。話を戻そう。
「……それでも。」
僕は息を吐いて、光のエルを見る。
「闇の力と話してください。あなたが人間を守りたいのは分かりました。」
たぶん、この人は、本気で人間を愛している。だからこそ、未来の危機を知って、黙っていられなかった。
「でも、闇の力だって同じでしょう?あの人も人間を愛してる。だったら――」
「だからこそ、私は彼と相容れない。」
「え?」
光のエルの声が低くなる。
「彼は知っている。」
「……何を?」
「この星に眠る存在を。それが目覚めれば、人類は滅びることも。それでも、彼は人間そのものを変えることを拒む。」
「それは……。」
「彼は人間を愛している。」
光のエルの目に、明確な苦しみが浮かんだ。
「愛しているからこそ、人間が人間ではなくなることを認められない。たとえ、その先に滅びが待っていようとも。」
「いや、それは……。」
極端すぎる。でも闇の力ならあり得るな。
「私は、それを受け入れられない。」
光のエルが拳を握る。
「何もせず、人間が食われ、滅びる未来を待つなど。」
ちょっと待って。今、さらっと怖いこと言わなかった?
「人間、食われるんですか!?」
「正確には地上の生命全てからエネルギーを吸収し、誕生と同時にその星は滅びるそうだ。」
「何それ、怖っ!?」
本当に何なんだよ、その宇宙の神!サノスよりそっちの方が気になってきたんだけど!
「故に、私は心を殺した。」
光のエルが静かに告げる。
「たとえ今の世に混乱を生もうとも。たとえ、私の与えた力によって争いが生まれようとも。それでも未来に、人間が抗うための可能性を残す。」
その決意は固く、説得はできない。少なくとも、今すぐには。
「……どうすりゃいいんだよ。」
思わず呟く。闇の力はアギトを認めない。光のエルはアギトを増やし続ける。どっちも人間を愛してる。どっちも人間を守ろうとしてる。なのに、その方法が真逆だ。
「一条さん……。」
こういう時、あの人ならどうするだろう。そんなことを考えた――その時だった。
ガシャン!
屋上へ続く扉が、勢いよく開いた。そこに立っていたのは――。
黒い装甲。機械的な複眼。巨大な武装を纏った戦士。
「……G4。」
僕の口から、その名前が漏れた。
『対象を確認。』
通信機越しに、女の声が響く。オーダールームにてモニターに映る僕の姿を見つめながら、深海理沙は冷静に告げた。
『水城一尉。対象の少年――十文字黒雄は、未確認生命体第4号と認定。』
G4の中で、水城史朗の目が細められる。
「こいつが……。」
二年前、日本中を騒がせた未確認生命体事件。その中心で戦い続けた、正体不明の第4号。その正体が目の前の少年。
「十七歳の……ガキ?」
「いや、そこ気にします?」
思わず突っ込んだ。
『水城一尉。』
深海の声。
『攻撃してください。』
「ちょっと待て!」
僕は水城を見る。
「今、そういう状況じゃ――」
水城は聞かなかった。G4の武装が展開される。
「俺は……。」
その目に浮かんでいたのは、焦燥。そして、執念。
「G4だ。」
駄目だこの人。完全に自分のプライドに呑まれてる。背部兵装が動く。嫌な予感がする。
「だから、ちょっと待て。」
見覚えがある。いや、原作知識にある。それは確か――。
『多目的巡航ミサイル――ギガント、発射準備。』
「馬鹿かぁぁぁぁぁぁっ!?」
ここで撃つな!!僕もいる!光のエルもいる!というか自衛隊基地の屋上だぞ!?何考えてんだ!?
「ギガント、発――」
その瞬間。
バァンッ!!
乾いた銃声が、空から響いた。
「っ!?」
G4の肩部から火花が散る。狙撃でギガントの発射態勢が崩れた!?
「何だ!?」
僕が空を見上げると、そこにいたのは一機のヘリコプター、警視庁のヘリだった。そのヘリの側面、開け放たれたドアから身を乗り出し、ライフルを構えているのは、
「一条さん!?」
二年前から変わらず、僕の戦いに平然と銃を持って突っ込んでくる人だ。
「黒雄!」
いや、嬉しいよ!?助かったけど!でも、
「撃っちゃったの!?」
自衛隊の装備を!?警察官が!?そんな一条さんの隣では、G3-Xを装着した氷川さんが完全に固まっていた。
『一条さん。』
「なんだ。」
『ここ、自衛隊の基地で、僕たち警察ですよね?』
「そうだな。」
『今、無理やり上空まで来ましたよね?』
「そうだな。」
『…………撃ちました?』
「撃った。」
『撃った!?』
氷川翔一、混乱。当然だ。
『いやいやいやいや!?』
G3-Xの中で氷川が叫ぶ。
『これ大丈夫なんですか!?』
「後で考える。」
『後で!?』
「黒雄たちの安全が先だ。」
氷川さん、頑張って。僕も二年前は似たような気持ちだった時もあります。一条さん、僕が絡むと本当に無茶するから。
前に向き直ると、光のエルがは空を見上げていた。一条さんに氷川さん。そして、改めて僕を見る。
「なるほど。」
光のエルの身体から光が溢れた。眩しい。思わず腕で目を覆う。光が膨れ上がり、人の形を飲み込み。そして、別の姿を作り上げていく。
光が収まり、そこに立っていたのは。白、赤、金、複眼、そして角。その姿を僕は知っている。
知っているからこそ、言葉が出なかった。
「アギト……?」
違う。ただのアギトじゃない。その姿は、
「シャイニングフォーム……。」
アギトの最強形態じゃん。光のエルの正体がシャイニングフォームって何!?
「君の力を見せてみろ。闇の力が、君をここへ遣わしたのであるのならば、」
間違いなく戦う気だ。
「待って待って待って!」
「君こそが――」
光のエルの姿が消えた。速――。
ドンッ!!
「ぐっ!?」
咄嗟に腕を交差させる。次の瞬間、凄まじい衝撃が両腕を貫き、身体が吹き飛ばされる。
「うわぁぁぁぁっ!?」
屋上を転がる。
「黒雄!」
一条さんの声が響く。僕は転がりながら体勢を立て直し、どうにか立ち上がる。
「いきなり何するんですか!?」
「君が、私たちの争いに対する答えなのかもしれない。」
「だからって殴る必要あります!?」
光のエルが再び構えた。
その向こうではG4が武装を立て直し。上空では警視庁のヘリが旋回し、一条さんがライフルを構え、氷川さんがG3-X姿で混乱している。
何だこれ?本当に何だこれ!?
「超変身!」
とりあえず、マイティフォームでアギトの最強形態の相手は無理!
ーーーーー
状況を見守っていた闇の力と水のエルは光のエルの発言を聞いていた。
「あの、」
「なんだ。」
「光のエルが『闇の力が君をここへ遣わしたのであるのならば、君こそが私たちの争いに対する答えなのかもしれない』と申しておりましたが、」
「…………。」
「そうなのですか?」
水のエルが尋ねる。
「あの少年を遣わされたのは、そのためなのですか?」
闇の力はしばらく何も言わなかった。そして小さく、本当に小さく、ため息を吐いた。
「……あの者は。」
額へ手を当てる。
「あの者は相変わらず、深読みが過ぎる。」
闇の力は、もう一度ため息を吐く。
「私はただ、話し合えと言っただけだ。」
「では、あの少年が現在、光のエルに攻撃されているのは――」
「……想定外だ。」
「左様ですか。」
再び、深いため息が漏れた。
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「わーー。なんか凄いことになってきたね、ゴウラム。」
『ーーーーッ』
闇の力の使徒である7柱の内、火の柱は友である光の柱に世界の真実を語った。滅びの運命にあると。生命だけでは、その滅びの運命からは逃れられないと。
光の柱は嘆き、闇の力にも直訴した。生命が生きていくために、力を与えるべきだ、と。
闇の力はその直訴を受け入れなかった。愛する生命体から必要とされなくなる事を恐れたからだ。
周囲は愛する生命が自分を超える可能性を恐れたりからだと思った。
生命を救える可能性を持つ生命、『人』の可能性に賭けた光の柱は人と天使の争いに介入した。
そして、自身に道を示した友に助けを乞うた。
同じく、人に手を貸していた火の柱は友の願いを受け入れた。
そして、光の柱はより強い柱となり闇の力と争うも、破れた。
されど人を救うという思いが薄れることはなく己を遥か未来へと送る。
そして、光はーー