日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
「超変身!」
アークルから金色の雷光が迸る。赤かった装甲が青へと変わり、その上から金色の意匠が浮かび上がった。
ライジングドラゴン。
今の僕が安全に使える形態の中でも、速度と跳躍力に優れた姿だ。正面では、光のエル――アギト・シャイニングフォームが両手を腰へ伸ばしていた。
「……げ。」
光が集まり、その手に二振りの刃が現れた。シャイニングカリバー。
「武器まで出すんですか!?」
「君も使えばいい。」
「持ってないんですよ!」
ドラゴンロッドは、その辺にある棒状の物を変化させないと作れない。ここは自衛隊基地とはいえ屋上だ。何かないか!?
視線を巡らせ――
「もうこれで!」
僕は屋上の端まで一気に駆けると、そのまま手すりを蹴り飛ばす。
ガァンッ!!
金属製の手すりがへし折れ、宙を舞う。それを掴んだ瞬間、アークルから伸びたアマダムの力と、金の力を流し込む。
ただの手すりは、青と金の長棍、ライジングドラゴンロッドへと姿を変える。
「ヨシ!」
『いや、ヨシじゃないだろ!?』
上空から氷川さんの声が聞こえた。
『自衛隊の施設ですよ、ここ! 手すり壊してますよ!』
「今それ言います!?」
『言いますよ!』
「氷川。」
『はい!?』
「黒雄の援護に集中しろ。」
『一条さんまで!?』
頑張って、氷川さん。
たぶん今日だけで始末書が何枚必要になるか分からないだろうけど。
「いくぞ、少年。」
光のエルが動く。速いけど――!
「ライジングドラゴンの速さを舐めるな!」
僕も屋上を蹴る。真正面から戦う必要はない。相手はアギトのシャイニングフォーム、原作で言えば最強形態だ。
しかも中身はアギトの力を人類に与えた光のエルで、さらに火のエルまで取り込んでいる。そんな奴と真正面から殴り合う?
無理無理無理。だから、
「速さで時間を稼ぐ!」
屋上を駆け、攻撃を躱しまくる。
光のエルがシャイニングカリバーを振るってくるが、身体を沈めて回避。そのまま横を抜け、背後へ。振り返りざまにライジングドラゴンロッドを突き出す。
「遅い。」
「マジかっ!?」
振り向きざまに、シャイニングカリバーで弾かれた。衝撃で手が痺れる。けど、止まってはいられない。ライジングドラゴンの脚力で大きく跳び、屋上に設置された設備を蹴って方向転換。
上からロッドを振り下ろす!
ガキィンッ!!
また防がれた。
「くっそ!」
いや、攻撃が効かないのは気にするな。ヒットアンドアウェイに徹しろ。追ってくる光のエルから逃れるように走り、跳び、屋上を縦横無尽に駆け回る。
「速い、いや身軽だな。」
「そりゃどうも!」
褒められて喜んでる場合じゃない!光のエルがどれくらい強いのか分からない以上、下手に攻撃を受けるわけにはいかない。
後、この施設には子供が大勢いるはずだ。そんな場所で、シャイニングフォームと全力の殴り合いなんて始めたら、周囲がどうなるか分かったもんじゃない。
………だけど、こっからどうすれば。
色々と考えながら戦っていると、間合いを詰められた。ヤベ、避けられない。なら、防ぐ!
ガァァァァンッ!!
「――え?」
確かに受け止めた。シャイニングカリバーとライジングドラゴンロッドが真正面から激突した。次の瞬間、
「ちょ、待っ――嘘でしょ!?」
身体が吹き飛ばされ、屋上の縁を越えてしまう。
「黒雄!!」
『十文字君!!』
まずい、落ちる!いや、待て。僕、クウガだった。
「っと!」
空中で身体を捻り、落下しながら体勢を整え、そのまま両足で着地する。
足元のアスファルトに亀裂が走るが平気。そのまま立ち上がり、ヘリを見上げた。
「大丈夫です!」
一条さんに手を振ってみせる。上空では氷川さんもこちらを覗き込んでいた。
『本当に大丈夫なんですか!?』
「大丈夫です! ただ――」
手を見ると、まだ痺れている。
「強すぎません!?」
一発。たった一発だ。ライジングドラゴンロッドで真正面から防御したのに、そのまま屋上から叩き落とされた。速さなら何とかなる。少なくとも、一方的に攻撃されるほどじゃない。でも、パワーが違いすぎる。
「どうする……?」
ライジングドラゴンで戦えば、動きにはついていけるけど、一発まともに受けたら吹っ飛ばされる。
だったらライジングタイタン?いや、ライジングタイタンならパワーと防御力は上がるけど、今度は――。
ドンッ!!
目の前に何かが落ちてきて、土煙が広がる。
「……追ってきたよ。」
光のエルは屋上から飛び降りてきたらしい。
「君はまだ、本気ではないようだね。」
「そりゃそうですよ。」
ドラゴンロッドを構え直す。
「話し合いに来たのに、いきなり最強形態になる奴がどこにいるんですか。」
「すまんな、私の目的は話し合いではない。」
光のエルが動いた。咄嗟に横へ跳ぶ。直後、シャイニングカリバーが僕のいた場所を薙ぎ払う。風圧だけで身体が揺れる。
距離を取っても追ってくるので、基地の敷地内を駆け抜ける。
隙を見て、連続で突きを放つ。
一撃、二撃、三撃。その全てが弾かれる。
「このっ!」
四撃目。光のエルが身体を僅かに傾けるだけで避けられた。直後、
ドンッ!!
「ぐぅっ!?」
蹴りが腹に入り、身体が宙に浮く。そのまま数メートル吹き飛ばされ、地面を転がる。
「痛ったぁ……!だったら!」
アークルへ意識を集中させる。ライジングドラゴンじゃ、まともに受けられない。
「超変身!」
青と金の装甲が紫と金へ。身体が一回り大きく、重くなる。
ライジングタイタン。
「これで!」
立ち上がった僕に、光のエルが一気に距離を詰めてくる。シャイニングカリバーが振り下ろされるが、今度は避けない。
両腕を交差させる。
「来い!」
ガキンッ!!
よし!滅茶苦茶重い斬撃だけど、吹き飛ばされてない!ライジングタイタンの防御力なら、光のエルの攻撃を受け止められる!
次は反撃――。
「――遅い。」
目の前から光のエルが消えた。
「どこ――」
背中に衝撃。急いで振り向くが、いない!?
今度は横か!?肩に蹴りを受ける。耐えられるが、
「ちょ、ちょっと!」
縦横無尽に動き回られ、攻撃されるたびに火花が散る。ライジングタイタンだから耐えられる。耐えられるんだけど!
「反撃できない!」
ライジングドラゴンロッドをライジングタイタンソードに変化させ振るうも、避けられ、一度も当たらない。
ライジングドラゴンなら動きについていける。でも、攻撃を受け止められない。ライジングタイタンなら攻撃を受け止められる。でも、動きについていけない。
「強いな、コンチクショウ!」
「力のみでは、私には届かない。」
「今まさに実感してますよ!」
シャイニングカリバーが振るわれ、ライジングタイタンソードで受け止めるが地面が割れるほどの衝撃がくる。
「ぐぅぅっ……!」
防御してるだけじゃ勝てない。いや、そもそも勝つ必要あるのか?僕、説得しに来たんだけど。
「……本当に何で戦ってるんだ、僕。」
「戦いの中でしか見えぬものもある。」
「そういう戦闘民族みたいなこと言わないでください!」
純粋に強い。アンノウンとは比較にならないし、グロンギの上位連中とも違う。二年前、僕が戦った中でも、ここまで力と速度を高い次元で両立していた相手はほとんどいない。
総合力ならあの軍服野郎よりも強いぞ。
しかも、光のエルがどこまで本気なのかも分からない。
「それでも立つか。」
「そりゃ……。」
ライジングタイタンソードを構え直す。
「これくらいで倒れてたら、二年前にとっくに死んでますよ。」
「そうか。」
光のエルは改めて二本のシャイニングカリバーを構える。
「ならば、見せてみろ。」
その全身から、再び光が溢れ出す。
「君が、何故あの方に選ばれたのかを。」
「たぶんそれ、勘違いなんですって!」
こちらが地面を蹴ると同時に、光のエルも動いた。
金色の雷光と白い閃光が激突する戦いは、まだ終わらない。
ーーーーー
屋上でG4が、ゆっくりと上体を起こした。
『システム再起動。損傷軽微』
水城の視界に、機械的な表示が次々と浮かび上がる。その視線が地上で戦う二つの影を捉え――敵と認識する。
立ち上がり、傍らへ転がっていた大型多目的巡航ミサイルランチャー、ギガントを拾い上げた。
『目標再捕捉』
照準が、ライジングタイタンへと重なる。
『攻撃を再開しなさい!』
「了解。」
深海の声を受け、水城がギガントを構えるが、
「させるか!」
再び上空から銃声が響き、
ダンッ! ダンッ!
一条がヘリの側面から身を乗り出し、ライフルを撃つ。弾丸がG4の腕に着弾し、照準を逸らす。いくら追尾機能があろうとも撃たれながらでは発射できないようだ。
G4の顔が、ゆっくりと上空へ向く。
『新たな妨害対象を確認、排除しなさい!』
一条が息を呑む。ギガントが今度は自分たちに向いた。
「まずい!」
氷川も気付いた。あれが発射されれば、ヘリに避ける手段はない。一条がもう一度ライフルを構えようとするよりも早く、
『一条さん、下がってください!』
「氷川!?」
G3-Xを纏った氷川が、開いたドアから身を乗り出す。
そして、
『うおおおおおおっ!!』
「氷川!」
飛び降りた。屋上へ落下したG3-Xが着地と同時に転がり、すぐさま立ち上がる。そのままG4へ突進した。
「はぁぁぁぁっ!!」
ドンッ!!
G3-XがG4へ組みつく。発射寸前だったギガントの砲口が大きく逸れ、そのまま二人は激しく屋上を転がった。
『くっ……!』
氷川はG4を押さえ込みながら、ギガントを掴んでいる腕を必死に押し上げていた。だが、押し返される。
G3-Xのパワーも決して低くない。それでもG4は、その先にいる。
『うおおおおっ!』
氷川が更に力を込める。しかしG4は無言のまま、その腕を振り払った。
『ぐっ!』
さらに拳が飛んでくる。氷川は両腕で防御するが、衝撃で大きく後退、そこへG4が踏み込んでくる。
氷川も拳を振るう。互いの拳が装甲へ叩き込まれ、火花が散る。続けて氷川が蹴りを放つがG4は受け止め、その脚を掴み、そのまま投げ飛ばした。
『ぐあっ!』
G3-Xが屋上を転がる。上空のヘリから、一条がその様子を見下ろしていた。このまま飛び続けるのは危険だ。G4が再びギガントを構えれば、今度こそ狙われる。一条は即座に判断した。
「屋上へ降ろせますか!?」
「無理です! 着陸できるスペースがありません!」
「着陸しなくていい! 一瞬だけ、高度を下げてください!」
「え!?」
「屋上ぎりぎりまで!」
パイロットが、正気か?と振り返るが、注文を入れてきているのは、あの一条である。すぐに前へ向き直り、
「……分かりました! 掴まってください!」
ヘリが旋回、ローターが激しく空気を叩きながら、建物へ接近していく。
「これ以上は危険です!」
「十分です!」
屋上との距離が縮まった、その瞬間。
一条はライフルを抱え、
「行きます!」
飛んだ。屋上へ着地し、勢いを殺すために転がる。
「ぐっ……!」
肩を打ちつけながらも、すぐに立ち上がった。
その目の前では、G3-XとG4が再び激突している。
『はぁっ!』
氷川が拳を振るう。G4が避ける。さらに二撃目を放つが、それも防がれた。逆にG4の拳が氷川の腹部へ突き刺さり、続けて胸部へ一撃。さらに回し蹴り、全てが直撃する。
「ぐあっ!!」
G3-Xが吹き飛ばされ、屋上を転がった。
『やはり……G4こそ日本の。いえ、人類の守り手に相応しいわ!』
モニター越しにその光景を見ていた深海が、笑みを深める。G3-Xを相手に、G4は明確な優位を見せている。出力、反応速度、何より戦闘を補助するAI。相手の動きを解析し、最適な行動を選択する力。人間が操るG3-Xとは、根本から違う。
これだけでも、G3-Xを凌駕している。ここに超能力者の力――EPSが加われば?未来予知すら戦闘へ組み込むことができれば?
『無敵ね……。』
深海の口元が吊り上がる。その瞬間、
ダンッ!!
『なっ!? 』
銃声と共に、G4の右膝から火花が散った。
『右膝関節部が損傷!?』
「……!」
水城が僅かに体勢を崩す。
ダンッ! ダンッ!
今度は肩、続けて肘。G4の装甲そのものではなく、装甲と装甲の隙間、関節部分が狙われている。
水城が顔を向けると、屋上の端に一条がいた。ライフルを構え、冷静に照準を合わせている。
「悪いが。」
ダンッ!!
G4の足首から火花が散る。
「好き勝手にはさせん!」
『……邪魔を。』
水城が低く呟いた。あの男はこちらの攻撃を妨害し続けている。排除すべきだ。そう思ったが
『損傷軽微、最優先目標はG3-X』
AIが判断を下す。水城の視界に、再び立ち上がろうとしている氷川の姿が映る。一条を狙えば、その間にG3-Xが攻撃してくる。ならば先に、目の前の敵を排除する。それが最も効率的。
『仕方ない。』
水城は一条から視線を外し、G3-Xへ向き直った。
『……まだだ。まだ、終わっていない!』
『敵戦力を再分析』
G4が構える。
先ほどまでの戦闘で、G4はG3-Xの動きは既に解析している。攻撃の癖。反応速度。回避方向。防御姿勢。その全てを解析し、
『最適攻撃パターンを算出』
G4の拳がガードの隙間を抜け、G3-Xの胸部へ直撃する。
『ぐっ!』
体勢が崩れたところへ、脚払い。さらに倒れかけた身体へ肘を叩き込む。
『ぐあっ!』
氷川が地面へ叩きつけられた。
『対象の戦闘継続能力、限界値』
AIの判断では、今ので終わりだ。戦闘は終了。だから水城は、次の標的である一条へ顔を向け――
ガンッ。
背後で、金属音がした。
『……?』
振り返るとG3-Xが、氷川が、立ち上がっていた。
『対象、戦闘続行』
『……何故だ?』
再びG4が動く。今度は先ほど以上に正確な攻撃でG3-Xのガードを崩し、腹部へ拳。続けて顎へ掌底。最後に胸部へ強烈な蹴りを叩き込む。
『ぐああっ!!』
G3-Xが吹き飛び、地面を何度も転がった。
『対象の戦闘継続能力――消失』
今度こそ終わりだ。水城もそう思った。なのに、また。G3-Xの指が動く。
『まだ……。』
氷川が腕をつく。膝を立てる。
『……まだ、戦える!』
そして、立ち上がった。水城には理解できない光景だった。
『対象の戦闘継続能力、限界値を超過』
AIも同じだった。数値上は、既に倒れている。システムはそう判断している。それなのに、目の前の男は立っている。
『……何なんだ。』
水城の声が、僅かに震えた。AIが算出した攻撃は正確だった。間違いなくG3-Xを倒せる威力だった。実際、二度も『戦闘不能』と判定した。なのに、
『何なんだ……お前は……。』
氷川が構えを取る。
『G3-X装着員……氷川誠だ!』
一条がライフルを構えたまま、氷川の答えを聞き、僅かな笑みを浮かべていた。
水城の視線が揺れる。初めてだった。最適な攻撃を選び続けるG4を纏っていながら、水城は目の前の男に――得体の知れない恐怖を覚えていた。