日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
ギィンッ!!
シャイニングカリバーを、ライジングタイタンソードで受け止める。金属同士が激突したような甲高い音が響き、金と白の光が弾け飛った。
「ぐっ……!」
重い。両手で剣を握っているのに、じわじわと押し込まれる。力任せに剣を振り抜き、シャイニングカリバーを弾き、そのまま一歩踏み込み、
「はぁっ!」
横薙ぎにライジングタイタンソードを振るう。けれど、光のエルは軽く後ろへ跳んで回避した。
「……遅い。」
「タイタンですからね!」
いや、分かってて言ってるでしょ!
着地した光のエルが地面を蹴る。白い残光を引きながら、一瞬で間合いを詰めてくる。右から来たシャイニングカリバーを剣で受け止める。直後、もう片方の刃が反対側から迫っている。
「うおっ!?」
身体を捻るが、胸部装甲をシャイニングカリバーが掠め、火花が散った。そのまま光のエルは回転し、二本の剣を連続で叩き込んでくる。
ライジングタイタンの防御力なら耐えられるけど――。
「この後、どうすれば……?」
思わず漏れた声に、光のエルが僅かに首を傾げる。
「戦いの最中に、随分と余裕がある。」
「ありません!」
単純に強い。強いがーーアルティメットなら。
いや。それは駄目だ。確かに、あれを使えば勝てる可能性は一気に上がるーーというか普通に勝てる。体感、光のエルの強さは金ガドルの少し上ぐらいだ。
だが、アルティメットはただの最強フォームじゃない。周囲どころか街、下手をすれば日本の一部が消し飛ぶ。使えるわけがない。
「……とりあえず、勝ち筋を考えるならーー」
鍔迫り合いの最中に色々思考を巡らせ、剣を押し返し、光のエルとの距離を作る。今、使える手札で光のエルに効きそうなのはーー
ライジングマイティ。
今まで何度も僕を助けてくれた、金の赤。ガドル戦に向けての準備で金の力に時間制限は無くなってる。問題は特化型じゃないからスピードと耐久力に不安があることか。
そして、金の力を最大にした超変身、アメイジングマイティ。
時間制限はあるけれど、あの金ガドルに競り勝ったフォームだ。ライジングマイティで隙を作ってからアメイジングマイティキックを叩き込む。
いけるか?なんて考えているとーー目の前に光のエルがいて、シャイニングカリバーが振り抜かれる。
「ぐあっ!!」
咄嗟にライジングタイタンソードを挟んだものの、身体ごと吹き飛ばされ、地面を何度も転がる。
「っ……!」
剣を地面へ突き立て、どうにか勢いを殺す。危なっ!今のは普通に危なかった!
「…………。」
光のエルがこちらを見ている。アギトの顔だから表情は分からないけれど、なんとなく言いたいことは分かる。
戦闘中に何を考え込んでいるんだ、と。
考えること自体は悪くない。一条さんも、戦いながら考えろって何度も言ってた。でも、
「ヨシ。………とりあえず、勝ってから考えるか。」
ライジングタイタンソードを手離す。
「武器を捨てるのか?」
「ええ。やっぱり僕は剣で戦うより――」
アークルへ意識を集中させる。
「こっちの方が性に合ってるんで。」
金色の雷光が迸り、
「超変身!」
バヂィッ!!
全身を雷が走り抜け、紫だった装甲が赤へ。重厚だった身体が、一気に戦闘向けの姿へと変化する。そして赤い装甲の上に、金色の意匠が浮かび上がった。
金の赤、ライジングマイティ。
光のエルが二本のシャイニングカリバーを構え直した。
対する僕は拳を握る。余計なことは、もう考えない。
狙うのは一つだけ。
「一発――」
右足へ、金色の雷が走った。
「ぶち込む。」
ーーーーー
地面を蹴って、一気に間合いを詰める。
「はぁっ!」
まずは右拳。光のエルはシャイニングカリバーを振り上げ、正面から迎撃してくる。迫る白銀の刃を拳で受けるのは――
「危ないんで!」
右拳へ意識を集中させ、封印エネルギーで覆う。
ギィンッ!!
拳とシャイニングカリバーが激突し、拳に衝撃が走るが、切れてはいない。グロンギの身体に流し込めば、霊石を破壊して爆発させる。相手の能力を封じることもできる。ゴウラムを強化したり、物を武器に変えたりもする。
本当に便利だな、封印エネルギー!
「おおおっ!」
弾いたシャイニングカリバーの横を抜ける。懐へ潜り込み、拳を連続で叩き込む。
二発目までは腕で防がれた。
三発目は身体を捻って避けられる。
四発目の右ストレートは、シャイニングカリバーで受け止められた。
「げっ。」
隙を突かれ、光のエルの膝が腹へ突き刺さった。
「ぐっ!?」
身体が浮かされる。そこへ横薙ぎのシャイニングカリバー。左腕に封印エネルギーを集中させて刃を弾く。
「はぁっ!」
お返しは右の回し蹴り。光のエルは僅かに身体を反らし、僕の爪先が胸部装甲を掠めるだけに終わった。
ライジングマイティは、マイティフォームを金の力で強化した万能型だ。でも、目の前のシャイニングフォームは、ほぼ全てのスペックがライジングマイティよりも上だ。純粋にやり合ったら負ける。
相手の意識を逸らす技はあるけど、使っていいかな?
光のエルが動いた。真正面から距離を潰してくる。間合いに入り、シャイニングカリバーが振り上げられる。
その瞬間、僕は両手を顔の前で――
パンッ!!
思いっきり叩いた。
喰らえ、ライジング猫騙し!!
両手へ金の力を集中させた状態で手を叩くと、金色の雷光が弾けるのだ!
光のエルの動きが、ほんの一瞬止まる。
効いた!
アークルへ意識を集中し、金の力を――さらに引き出す。ライジングを超えた限界まで。
バヂィィィィィッ!!
「超変身ッ!!」
赤い装甲が黒へ染まり、全身を走る金色の意匠。両足に現れる金のアンクレット。金の黒。かつて、金ガドルを倒すために辿り着いた姿。
アメイジングマイティ。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
変身と同時に跳ぶ。光のエルの視線が僕を追ってくるが、もう遅い!
空中で身体を捻り、右足を突き出す。金色の雷が右足、そして左足にも奔り、両足のアンクレットからは凄まじい封印エネルギーが溢れ出す。
これなら――!
光のエルは、まだ動きを止めている。
「オリャァァァァァッ!!」
両足を揃えた飛び蹴り。金色の雷を纏った必殺の一撃が、一直線に光のエルへ迫る。
――取った!そう思った、その瞬間。
「――見事だ。」
光のエルの全身が――輝いた。
「え?」
眩い白光が爆発する。光のエルは二本のシャイニングカリバーを手放した。そして、光のエルが両腕を広げ、胸部を中心に、凄まじい光が集まっていく。
「ちょっ――待って、それアギトにそんな技――」
次の瞬間。
ドォッ!!
「あるんですかぁぁぁぁぁぁ!?」
白い光線が放たれた。
避けられない。というか、こっちは必殺キックの真っ最中だ!
「だったら、そのままぶち抜く!!」
アメイジングマイティキックと、光のエルが放った光線が真正面から激突した。
ドォォォォォォォンッ!!!
「ぐぅぅぅぅぅっ!!」
足裏へ白い光が叩きつけられ、全身が押し返される。全身の装甲が軋む。金色の雷と白い光が激しくぶつかり合い、周囲へ放電のように飛び散っていく。
「押し切れぇぇぇぇぇぇっ!!」
バヂィィィィィィィッ!!!
金色の雷が爆発、拮抗していた光線へ、アメイジングマイティキックが食い込み、白い光を突き破った。
「うおおおおおおおおおっ!!」
光線を蹴り裂きながら突き進み、そのまま光のエルへ――!
ドォォォォォォォンッ!!!
金と白の光が爆発した。
「ぐあっ……!」
光のエルの口から、明確な苦悶の声が漏れた。その身体が凄まじい勢いで吹き飛ぶ。そして、施設の壁に背中から叩きつけられた。
ズガァァァン!!
コンクリートが砕け、粉塵が舞い上がる。
「っ……!」
僕も着地する。両足から煙が上がり、息も上がっている。だけど、アメイジングマイティキックが入った。
「さすがに……これは……」
終わっただろ。そう言いかけた、その時。瓦礫が動いた。
「…………嘘でしょ。」
ガラッ。
砕けたコンクリートを押し退け、一つの光のエルは立ち上がってきた。胸部にはアメイジングマイティキックを受けた痕が残り、僅かに煙が上がっている。無傷じゃない、間違いなくダメージは入っている。でも、
「……今ので、仕留めきれないのか。」
「素晴らしい一撃だった。」
「褒められても嬉しくないんですけど……!」
再び構えようとして――。
バヂッ。
「あ。」
全身を覆っていた金色の雷が消え、黒い装甲から金色の意匠が失われていく。そして黒そのものも消え――見慣れた赤い装甲へ戻ってしまう。
僕は自分の身体を見下ろし、立ち上がった光のエルを見る。
光のエルも僕を見る。
「……時間切れみたいです。」
「そのようだな。」
「ちょっと待ってもらったりは?」
「しない。」
「ですよね!」
全然終わってなかった。
ーーーーー
少し離れた場所から、二人の戦いを見つめる闇の力と水のエル。
ドォォォォォォォンッ!!
遠方で金と白の光が激突。衝撃波がここまで届き、水のエルの衣が大きく揺れた。
瓦礫の中から光のエルが立ち上がる。その姿を見て、水のエルは僅かに目を細めた。
「やはり、強い。いえ、強過ぎる、と言うべきでしょうか。」
水のエルにとって、光のエルは特別な存在だった。同じ七柱のエル。立場としては同格であり、共に闇の力へ仕えた者。しかし――その中でも光のエルは最初に生み出された存在だ。
七柱の中で最も古く、最も長く闇の力に仕えてきた。故に、水のエルにとっては同格でありながら、自分たちより一段上にいるような存在でもあった。強いこと自体に疑問はない。だが――
「かつてよりも、明らかに力が増しています。」
遠方では、赤いクウガへ戻った少年が光のエルと向かい合っている。
先ほどの、金色の雷を纏った黒きクウガが放った蹴りは、水のエルから見ても凄まじいものだった。まともに受ければ、自分とて無事では済まない。それを光のエルは正面から受け止め――なお立っている。
「最初に生まれた者であることを差し引いても、あれほどの力を持っていた記憶はありませんが。」
「当然だ。」
闇の力は、あっさりと答えた。
「光のエルは、火のエルを吸収している。」
水のエルが沈黙する。
数秒後。
「……そういえば、いつの間にかいなくなっていましたね。あの変わり者。」
七柱の一角、炎を司ったエル。同じ闇の力より生まれながら、妙に人間へ興味を持ち、時折、自分たちには理解し難い行動を取っていた存在。気がつけば姿を消していたが、
「勝手にどこかへ行ったものだと思っていました。」
そもそも、七柱が揃って行動すること自体が珍しかった。全員が闇の力へ仕えてはいたが、別に仲の良い集団だったわけではない。火のエルが姿を消しても、
『また何かしているのだろう』
程度にしか思っていなかった。まさか――
「光のエルに吸収されていたとは。」
水のエルは改めて戦場へ視線を向ける。
「では、今のあれは光と火、二柱分の力を持っていると。」
「そういうことだ。」
「なるほど。」
それならば納得できる。ただでさえ七柱最古のエル。そこへ、同格だった火のエルの力まで加わっている。強くて当然だ。
「……あの変わり者も、随分と面倒なものを残したものですね。」
ほんの僅かに、本当に僅かにだけ、水のエルはかつての同僚へ思いを馳せる。変わり者だった。何を考えているのか分からない存在だった。だが、もう二度と会うことはないのだと思うと、不思議な感覚が残った。
気を取り直し、水のエルは再び戦場へ目を向ける。
アメイジングマイティから通常のマイティフォームへ戻った少年が、光のエルを前に構えを取っていた。
「しかし――」
このままなら、結果は見えている。先ほどの黒き姿ならともかく、今の少年と光のエルでは力の差が大き過ぎる。
「どうしますか?このままでは、あの少年が敗れてしまいますが。」
返事はなかった。代わりに、闇の力がゆっくりと右腕を上げた。その手のひらが――遠く離れた少年へ向けられている。
「……何を?」
水のエルが尋ねるより早く。闇の力の手のひらに、小さな光が生まれた。最初は豆粒ほどだった光が、一瞬で拳ほどの大きさへ膨れ上がる。
敵意は感じない。攻撃でもない。ならば、これは――。
「まさか。」
闇の力が手を僅かに前へ動かした。
ヒュンッ!!
光球が放たれ、一直線に戦場へ飛んでいく。
ーーーーー
「……もう一回ライジングになるまで待ってくれたりは?」
「しないと言ったはずだ。」
「ですよねぇ!」
光のエルがこちらへ一歩踏み出す。ヤバい。普通のマイティでシャイニングフォームと戦えと?
無理無理無理!せめてライジングにーー
急に光のエルが動きを止めた。その視線が、僕ではなく――僕の背後へ向けられる。つられて振り返る。遠くに、闇の力が、こちらへ手を向けていた。
「…………。」
嫌な予感がした。ものすごく嫌な予感がした。
「あの人、何して――」
ドンッ!!
「ぶっ!?」
光の玉が胸へ直撃した。攻撃!?いや、痛くない?そう思った直後――。
バヂッ。
「……え?」
アークルが脈動した。
バヂィッ!!
「ちょっ――」
金色の雷が弾ける。違う。いつもの金の力じゃない。もっと強い。もっと激しい。アークルの中心――霊石アマダムが、今まで感じたことのないほど激しく脈動している。
バヂィィィィィィィッ!!!
「うおっ!?」
全身から金色の雷が噴き上がった。僕の意思とは関係なく。まるで、外から流れ込んできた何かにアマダムが反応するように。
「な、なんだこれ!?」
ーーーーー
「…………。」
遠方で金色の雷光に包まれる少年を、水のエルは静かに見つめていた。その雷は先ほどまでとは比較にならない。周囲の空気が震え、大地に亀裂が走る。
水のエルは、隣に立つ創造主へ視線を向けた。
「力を与えたのですか?」
闇の力は、雷光に包まれた少年を見つめたまま答える。
「報酬の先払いだ。」
「報酬?」
「あれにはこれからも稀有な運命が待ち受けている。しかし、切り札が不便すぎる。故に、」
金色の雷が、さらに大きく弾ける。
闇の力は静かに告げた。
「切っ掛けを与えた。」
水のエルは冷や汗をかく。少年から溢れ出す、これまでとは明らかに異なる力に妙に既視感があったからだ。
「ですがアレは。」
「うむ。」
闇の力は僅かに口元を緩めた。
「エル一柱分の力を込めておいた。」
バヂィィィィィィィッ!!!
遠く離れた戦場で。
金色の雷が、天へと立ち昇った。
ーーーーー
「ぐっ……!」
視界が金色に染まる。全身を駆け巡る雷光に、思わず腕で顔を庇ってしまったが痛くはない。むしろ身体の奥から、際限なく力が湧き上がってくる。アークルから全身へ。今まで使ってきた金の力とは、明らかに何かが違う。
雷が収まり、恐る恐る、自分の身体を見ると、
「……アメイジング?」
時間切れになったばかりなのに、もう一度アメイジングマイティになっている。
「…………あれ?」
加えて、時間切れになる気配がない。アークルへ意識を向けると、金の力が安定している。無理矢理引き出している感覚がない。
「時間制限……なくなってる?」
「そのようだな。」
光のエルが静かに答えた。
「……マジで?」
「随分と気に入られているようだな。あの方に。」
「いや、気に入られる理由が分からないんですけど。」
数回、喫茶店でお茶をした程度の仲です。
というか、何してくれてるの、あのラスボス!?
振り返ると、相変わらずの無表情でこちらを見てくるだけだった。あ、隣にいるの水のエルさんですか?どうも。
少なくとも今は、身体に異常は感じない。それどころか、今まで以上に力が馴染んでいる。だったら――
「これなら、まだやれます。」
バヂッ!!
前に一歩踏み出すだけで、金色の雷が走った。
「今度こそ、話し合いの席に着いてもらいますよ。」
「そうか。………ならば、私も応えよう。」
「……はい?」
光のエルの身体が輝いた。白い光が溢れる、それ自体は、さっきまでと変わらない。けれど、
ゴォッ!!
「……え?」
炎が上がった。光のエルの右半身を包むように、真紅の炎が燃え上がる。いや。ちょっと待って。光と火。光のエルが火のエルを吸収しているって言っていたし。問題は――
ズズズズズズ……。
光のエルの左半身から、黒い何かが滲み出した。光でも、炎でもない。
「…………は?」
光のエルは左半身に闇を纏っていた。
「なんで!?」
白い光、赤い炎、そして黒い闇。三つの力を纏いながら、光のエルは静かにこちらを見る。
「津上翔一の肉体には、あの方の力も宿っている。」
「津上さんの中に込められてた闇の力……?」
「それを解放した。」
「ちょっと待ってください。」
頭が痛くなってきた。
「つまり今のあなたって――」
光のエルと火のエル。さらに、闇の力。
「実質エル三柱分!?」
「概ね、その認識で構わない。」
「構いますよ!?」
なんでこっちがパワーアップしたら、そっちまでパワーアップするの!?ゲームならボスの第二形態じゃん!色々言いたい。めちゃくちゃ言いたい。けれど、とりあえずこの戦いを終わらせよう。
僕は構えを取り、光のエルも構える。
バヂィッ!!
全身に雷を纏う。
「話し合いの席に着いてもらいます!」
「ならば――」
光のエルの全身から、三色の力が噴き上がった。
「力を示せ。」
ドォンッ!!
拳と拳が激突する。
金色の雷と白い光が弾け、大気が爆発した。
「おおおっ!」
光のエルの拳を弾き、こちらも拳を返す。
光のエルの力はさっきより明らかに強い!でも、それはこっちも同じ!力も、速度も、反応も、全部上がっている。今までのアメイジングマイティとは違う。
光のエルが後方へ跳び、その全身を白い光が包んだ。次の瞬間、消えた。
「そこ!」
振り向きざまに拳を振るう。
ギィンッ!!
僕の拳と光のエルの拳がぶつかり、光のエルが動きを止める。
「追いついた!」
白い残光を引いて移動する光のエル。僕も地面を蹴る。
バヂィィッ!!
金色の雷を纏い、一気に加速する。雷光と閃光、二つの光が戦場を縦横無尽に駆け回る。
ドンッ!!
「ぐっ!」
互いの拳が頬へ入り、吹き飛ばされながら着地。
ゴォォォッ!!
炎が来た。光のエルが右手を振るうと、真紅の炎が巨大な奔流となって襲いかかってくる。
「邪魔ぁっ!!」
右拳へ封印エネルギーを集中。
バヂィッ!!
炎の中心へ、拳を叩き込む。
ドォンッ!!
「おおおおおっ!!」
拳から封印エネルギーを一気に放出する。
炎が爆ぜ、赤い奔流が左右へ吹き飛び、消滅していく。
「火だろうが、殴れるなら問題ない!」
「そうか。」
「うわっ!?」
目の前に光のエル。顔面へ拳が飛んでくる。ギリギリで首を捻る。頬を掠めた拳の後ろから、今度は黒い闇が噴き出した。闇が生き物のように広がり、僕の身体を飲み込もうとする。
両拳へ封印エネルギーを集中。
「はぁぁぁっ!!」
迫る闇を、拳で片っ端から叩き潰す。
便利すぎるぜ、封印エネルギー!最後の闇を拳で消し飛ばす。そして、その勢いのまま、僕の右ストレートが光のエルの胸へ突き刺さった。
「ぐっ……!」
光のエルが大きく後退する。
「…………。」
「…………。」
光のエルは、僅かに呼吸を乱している。
次で――決める。光のエルが腰を落とし、右足を後方へ。全身の白い光、赤い炎、黒い闇、その全てが――右足へ集まっていく。
「……やっぱり最後はそれですか。」
だったら僕も、意識を集中する。
バヂィィィィィィッ!!
両足首のアンクレットが眩く輝き、金の力と封印エネルギーが爆発的に膨れ上がった。同時に地面を蹴り、
「終わりだ!」
「終わらせる!!」
僕と光のエルが互いへ向かって跳び上がる。光のエルの右足には、光、火、闇。僕の両足には、金色の雷。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「おおおおおおおおおっ!!」
激突する。その――寸前。脳裏に蘇ったのは、金ガドルとの戦い。互いの必殺の蹴りが交差する瞬間。僕は咄嗟に上体を捻り、光のエルの蹴りを左腕で受ける。ほんの僅かでいい、軌道を――逸らす!
「おおおおおおおおおっ!!!」
僕の右足は、光のエルの胸に直撃した。
バヂィィィィィィィッ!!!
「ぐっ――!」
金色の雷、封印エネルギー、全てを叩き込む。
「オリャァァァァァァァァッ!!!」
ドォォォォォォォォォォォンッ!!!
ーーーーー
「はぁ……はぁ……。」
着地する。まだは変身が解けていない。アメイジングマイティのままだ。僕はゆっくりと前を見る。光のエルは、立っていた。胸から煙を上げているが、それでも立っている。
「まだ……?」
そう呟いた直後。光のエルの膝が折れた。
ドサッ。
倒れた。
「……勝った?」
返事はない。少し警戒しながら、倒れた光のエルに歩み寄る。
「じゃあ……約束通り。」
戦って勝ったら話を聞く、なんて約束はしてないけれど。
「話し合いを――」
光のエルの身体が震えた。
「ぐ……あ……!」
「ちょっ!?」
苦しみ始めた。蹴り強すぎた!?
「大丈夫ですか!?」
慌てて近づこうとした、その時。光のエルの胸から――赤い光が漏れた。
「……え?」
赤い光は、徐々に光のエルの身体から離れていく。まるで何かが――抜け出してくるように。
「まさか……!?」
赤い光が人の形を作る。
『ハ――』
声が聞こえた。
『ハハハハハハハハハハハハハ!!』
赤い光が弾け、その中から、一つの人影が現れる。炎を思わせる姿、アギトのバーニングフォームだ。そして、やたらと嬉しそうな声で――
「やぁぁぁっと解放されたぜぇぇぇぇぇぇ!!」
火のエルが、大笑いしながら現れた。
「ハハハハハハハハ!! 長かった! 長かったぞ! あいつの中に取り込まれてどれだけ――」
ブチッ。頭の中で、何かが切れた。こいつ、こいつのせいで。アギト本編が崩壊し、色々と苦労させられたわけだ。
「ハハハハハハ――」
「……究極。」
「ん?」
火のエルが笑いを止めるが気にしない。僕は、静かに呟いた。
「変身。」
――世界が、静まった。黒。ただの黒じゃない。全てを呑み込むような、究極の闇。アークルが変質し、身体を覆っていたアメイジングマイティの装甲が、さらに禍々しく、さらに強靭な姿へ変化していく。
金色の角。黒い装甲。全身へ走る金の意匠。そして、圧倒的な力、究極の闇。アルティメットフォーム。
「へ?」
僕は一歩踏み出す。
「ちょ、待――」
もう一歩。
「なんでアルティメッ――」
ドゴォッ!!!!
右拳が、火のエルの顔面へ突き刺さった。
「ぶっ――!?」
一撃。火のエルの身体が地面と水平に吹き飛び――。
ズガァァァァァン!!
瓦礫の山へ突っ込んだ。
「…………。」
動かない、気絶したか。一応、アギト本編の幹部級の力は持っているんだ、そう簡単に死なないだろ。僕は拳を下ろして、ゆっくりと振り返る。倒れていた光のエルが、身体を起こしている。僕はアルティメットフォームのまま。光のエルを見下ろし、
「話し合い、しますよ。」
「……承知した。」
「ありがとうございます。」
こうして。光のエルとの戦いは、なんとも言えない形で、終わったのだった。