日本からアベンジャーズ入りしました。尊敬する人?五代さんと一条さんです 作:ken4005
この作品のフューリーは若干マイルドです。ご了承ください。
主人公は物理担当の一般脳です。
だいたいの説明が終わり、一息つく。抜けてることもいっぱいあるだろうけど。とりあえず今共有できるだけのことは共有したので振り返り、
「何か質問ある?」
「質問しかないわ。」
フューリーが即答してくる。
「ですよね。」
「まずウルトロンだ。何故スタークが人工知能を作る?」
「確か……地球を守るためです。」
「その結果が、人工知能が人類滅ぼそうとする。………最悪じゃないか。」
「だから止めなきゃいけないって言ってるんじゃないですか!」
僕は改めて事件を整頓する。2015年のウルトロン事件。原因はスタークさん、バナーさん、ロキの杖。ヒドラ残党も敵。なんか強い超能力者みたいな兄妹?姉弟?も出てくる。
「待て。さっきその姉弟の話題は無かったぞ。」
「書くの忘れてました。」
「おい。」
「はい。」
真魚が手を上げた。
「そのウルトロンって、私がクロオと始めて会った時に見た、未来の光景にもいた奴だよね?」
………そうだった。真魚と見た未来の光景。色々な映像が断片的に見えたあの中にウルトロンはいた。
「銀色のロボットみたいなのと戦いながら、名前も叫んでた。『こい、ウルトロン!』って。」
なんでそんな重要なことを忘れるんだ僕は、と頭を抱えてしまう。あの時、僕はもう既にアベンジャーズに関わり始めていた。それなのに真魚の未来視でウルトロンが見えたということは、
「なんか……色々動いても結局出てきそうな気がしてきた……。」
「運命というものでしょうか?」
フリッガさんが静かに言う。
「やめてくださいよ。そういう怖いこと言うの。」
起きる未来を知っているから避けようと動く。その結果、別ルートから同じ出来事が起きる。そんなのは一番困る。
色々と質問が続いたけれど、内戦関係で、
「バッキーさん関連と、スタークさんの両親関係と、ソコヴィア協定とか……。」
「待て。」
フューリーが止めた。
「スタークの両親が何故出てくる?それにバッキーとは誰だ?」
やば。そこ説明してなかった。
「後で詳しく。」
「今言え。」
「重いんですよ!」
「だから言え!」
そんな感じで質問が続き、質問のたびに書き足すことが増えていき、気付けばボードは文字だらけになっていた。
「ねえ。」
真魚が僕の袖を引き、『スパイダーマン』という文字を指差す。
「スパイダーマンって、クロオの好きなヒーロー?」
何故分かった。
「話している時、目がキラキラしてた。」
真魚。
「話している時の勢いが違っていたぞ。」
一条さん。
「情報が異様に詳細だったな。」
フューリー。
「他の者は敵の名前すら怪しいのにな。」
ロキ。
僕はボードを見るとスパイダーマンの項目だけ、本当に色々書いてある。………あ、無意識に花丸まで描いてる。
「……だってカッコいいし。」
「やっぱり。」
真魚が笑った。
「いや、カッコいいんだって! 能力も良いし! 街中飛び回るし! 普通の高校生なのにヒーローやってて!」
「はいはい。クロオも格好いいよ。」
「僕はなんか違うじゃん!」
何が違うのか自分でも分からないけど!
「赤と青のスーツで、蜘蛛のマークで、糸でビルの間を――」
「クロオ、話が逸れている。」
一条さんに止められた。
危ない。語り始めるところだった。
「あと、」
真魚がボードを上から下まで眺め、
「あの金色の人は?」
「金色?」
「前に見た未来の最後に出てきた人。」
真魚が少し考えて、
「全身が金色っぽく光ってた人。」
僕は改めて記憶を探してみるが、
「……うーん。」
「いないの?」
「うん。」
僕は首を振った。
「少なくとも、僕の知識にはいなかったかな。」
「そっか。」
僕の記憶には存在しない、真魚の未来視にだけ現れた金色の誰か、か。
ーーーーー
「フューリー。」
「何だ。」
「結局、まず何すればいいんですか?」
フューリーが一気に呆れ顔になった。
「本当にお前が聞いてくるんだな。」
「何度も言いますが、僕は未来を知ってるだけです。正体はただの高校生です。」
「ここまで散々未来を変える気満々だった奴の台詞とは思えんし、お前の正体は第4号、クウガだろうが。」
「クウガも僕の正体ですね。………未来を変える気はあります。でも作戦を考えるのは世界を救う専門家に任せたいんです。」
高校生に世界防衛計画を立てさせないでほしい。フューリーはしばらく黙ってから椅子に深く座り直し、腕を組んだ。
「優先順位をつける。お前の話には、今すぐ手を出せるものと、まだ手を出すべきではないものが混ざっている。」
「というと?」
フューリーがボードの前まで歩き『サノス』その文字に丸をつける。
「最終目標はこいつだ。六つの石を集め、宇宙の生命を半分消す。そんな計画は当然、阻止する。」
次はアスガルドの崩壊。
「こっちはアスガルドの問題だ。」
フューリーがオーディン王へと向き直り、
「王よ。そちらで対処できるか。」
「……無論だ。」
オーディン王が低く答える。
「ヘラについては、我が責任において対処すると約束しよう。」
「ではお任せします。」
あっさりしてるけど、その方がいいと思う。オーディンさんが今からヘラ対策を始められるなら、ラグナロク自体を回避できる可能性が高くなる。
フューリーは次に、ドクター・ストレンジ、ワカンダ、アントマン、スパイダーマン。その辺りをまとめて囲んだ。
「これらは保留だ。」
「保留なんですか?」
「ああ。」
「スパイダーマンも?」
「特にだ。」
「何で!?」
「まだ何もしていない少年なんだろう?」
「……はい。」
「なら放っておいてやれ。」
正論が返ってきた。
「未来でヒーローになるからといって、今から接触する理由にはならん。」
僕は若干不満そうにしていると、一条さんが僕を見て、
「普通に生活している高校生のところへ、突然秘密組織の長官が現れたらどう思う。」
まだ蜘蛛に噛まれてすらいないピーターの家にフューリーが現れて、
『ピーター・パーカー。お前は数年後、蜘蛛男になる。』
「…………怖いですね。」
「だろう。」
「蜘蛛男とは言わん。」
フューリーの話は続き、
「ワカンダも同じだ。こちらから藪をつつく必要はない。魔術師もそうだ。アントマンも、現時点で世界規模の脅威ではないなら後回しだ。」
そして、フューリーが二つの場所に線を引いた。
2014年のキャプテン・アメリカ、S.H.I.E.L.D、ヒドラ。
そして、2015年のウルトロン、ソコヴィア、ロキの杖。
「当面は、この二つだ。………ヒドラは既にS.H.I.E.L.D.内部にいる。」
「はい。」
「未来の脅威ではなく、現在進行形の脅威だ。」
その言葉に、一条さんも頷いている。来年起きるから未来の話みたいに感じるけど。ヒドラ自体は今もなお世界で暗躍している。
「最優先はヒドラの排除。ただし、下手には動かん。」
「え?」
「お前の話が正しいなら、S.H.I.E.L.D.の内部にどこまで浸透しているか分からん。」
「確かに。誰がヒドラなのか、分からないですもんね。あ、ピアースは印象に残ってたので覚えてます。」
「それだけでも十分すぎる。」
フューリーの顔が怖い。鉄仮面から怒りが滲み出ている。
「だが、ピアース一人を拘束して終わりではない。むしろ最悪なのは、奴だけを捕まえることだ。」
「……何で?」
僕が聞くと、一条さんが先に答えた。
「他が潜ってしまうからだ。組織犯罪はそれがあるから難しいんだ。」
「その通り。」
フューリーが頷く。
「ヒドラはこちらが存在を把握していないと思っている。なら、その優位を捨てる必要はない。」
なるほど。今すぐに、
『お前ヒドラだろ!』
って捕まえるんじゃなくて。泳がせる、っていうことなのか。
「ピアースを監視する。接触する人間、命令系統、資金、研究施設、関連企業、全部だ。」
「ストラッカーも?アイツも確かS.H.I.E.L.D.で活動してましたよね。」
「ああ。」
フューリーがソコヴィアの文字を叩く。
「特にこいつは最優先監視対象にする。」
「ロキの杖は?」
「今日中に動かす。」
「今日!?」
「当然だ。保管場所を確認し、俺が直接管理できる場所へ移す。」
「それで大丈夫ですか?」
「大丈夫とは言わん。」
即答だった。
「S.H.I.E.L.D.内部に敵がいる以上、S.H.I.E.L.D.施設に置くこと自体が危険だ。」
「じゃあ……。」
フューリーがオーディン王を見る。
「最終的に、可能ならアスガルドで預かってもらいたい。」
おお、それはかなり安全なんじゃない?……………あれ?インフィニティ・ストーンの内、半分が一箇所に集まるってことになるの?
「フューリー。勢力的にはアスガルドと同程度に安心できる預け先に一つ心当たりがあるので、そっちでも良いですか?流石にインフィニティ・ストーンの内、半分が揃ってしまうのはアスガルドに迷惑になると思うんです。」
僕の言葉にフューリーは少し考える素振りを見せたが、
「良いだろう。他でもないお前が安心できると言うのであれば、な。だが、どこに預ける?」
ちょっとフューリーが僕のことを信頼している、みたいな言い回しをしてきたけど、疑ってしまう僕がいる。いや、真面目な話だ、真面目に返そう。
「闇の力です。地球の神様的な存在ですが、地球を救うために色々動いていて、僕は今共闘関係にあるので、預かってくれると思います。」
なんなら扱い的には僕、アイツの使徒だし。
「………ああ。アンノウン関係か。」
なんかフューリーが遠い目をした。いきなり地球の神様的存在の話題を出したからかな?とりあえず、これでヒドラがロキの杖を使う未来は消せる。なら次は――
「次がウルトロンだが、ここも少し厄介だ。」
「そうなんですか?」
「未来を知ったことで、逆に読めなくなった。」
どういうこと?と思っていると、フューリーがボードを指差し、
「お前の知っている未来では、スタークとバナーが杖を研究し、その中に存在するものを利用してウルトロンを生み出す、で合っているな?」
「はい。」
「なら杖をスタークに渡さなければいい。だが、」
フューリーが真魚を見て、
「彼女が見た未来には、ウルトロンがいた。」
真魚が頷く。
「未来を変え始めた後に見たものなんだな?」
「はい。」
「なら考えられるパターンは二つ。」
フューリーが指を二本立てる。
「一つ。未来視は変化前の未来を見ている。そしてもう一つ。」
指が一本折れる。
「ウルトロンは、別の経路でも生まれる可能性がある。」
そう、それが嫌なパターンだ。
一条さんが口を開く。
「つまり、杖を回収したからといって、ウルトロンが消えるとは限らない。」
「ああ。だからウルトロンについては、発生を防ぐだけでは足りん。発生するものとして備えることも重要だ。」
僕は目を瞬いた。
「作らせちゃうんですか?」
「馬鹿を言うな。」
怒られた。
「作らせはしない。だが、作らないよう警告した結果、別の理由で誕生する可能性までを考えておかなければならない、ということだ。」
なるほど?
「スタークさんには話すんですか?」
「話せる範囲は全て話す。」
フューリーが即答してきた。
「ウルトロンという名称。人工知能。スタークとバナーが関与すること。人類を敵と判断すること。ソコヴィアを浮上させ、隕石として落とそうとすること。」
「そこまで?」
「そこまでだ。そして、本人に対策を考えさせる。」
「えぇー。」
「スターク以上にスタークの技術を理解している人間がいるか?」
「…………いませんね。」
「当然バナーも巻き込む。」
「本人も原因の一人ですけど。」
「だから巻き込むんだ。事故を起こす可能性のある人間を排除するだけが対策じゃない。その人間に、事故がどう起きるかを徹底的に考えさせるのも対策の一つだ。」
なるほど、スタークさんとバナー博士に、『あなたたちが作るAIが人類滅ぼしかけます』って教えて、逆にウルトロン対策を作らせるわけか。
「……スタークさんたち、絶対嫌な顔しますね。」
「させておけ。人類滅亡よりマシだ。」
フューリーが笑いながら冷たく言い放ったけど、その通りである。
「そして、もう一つ。最悪の場合の戦力を用意する。」
その言葉で、全員の視線が一気に僕に向いた。
「何で僕を見るんです?」
「十文字。」
フューリーが真顔で確認してくる。
「お前はウルトロンに勝てるか。」
ウルトロン。映画で見たヴィブラニウム製の最終ボディ。ソー、アイアンマン、ヴィジョンの三人から攻撃を受けてボロボロになってはいたな。
「…………アルティメットなら確実に………。」
でも、
「ただ、倒せはしますが数は厄介です。それに、ネットワーク上を移動する人工知能なんで、力だけでは倒しきれないと思います。」
フューリーが考え込む。
「本体を破壊して終わりではない、ということか。通信網から切り離す必要があるな。」
「そこはスタークさんたちにお願いするしかないですよね。」
スタークさんとバナー博士が電子戦で僕が物理か。………何か嫌な役割分担だな。
フューリーは少し考えた後、ボードに、
対ウルトロン想定
電子戦 スターク・バナー
地上戦 アベンジャーズ
高機動戦力 クウガ+ゴウラム
「…………。」
僕は最後の文字を見る。
「僕、高校生なんですけど、最初から戦力に入ってるんですね。」
「宇宙の半分を消す奴を倒すと言った奴が今さら何を言っている。それにこの事件が起こる頃には、お前も二十歳になっているだろ。」
「それとこれとは話は違いませんか?」
「同じだ。」
酷い。一条さんを見る。
「一条さん。」
「……今回は俺も否定できん。それに含まれていなければいないで、勝手に参戦するだろ。」
味方はいなかった。でも一条さんの言う通りな気がする。
「ですが。」
一条さんがフューリーを見る。
「黒雄を最初から最前線に投入することには反対します。」
「分かっている。俺も馬鹿ではない。」
フューリーがボードを叩く。
「十文字は切り札だ。」
「切り札?」
「キャロルを相手に圧倒できるアルティメットはそう簡単に頼っていい力でない。」
それは僕自身もいつも思っている。正直、あの力は怖い。
「通常戦力で処理できるなら使わせない。」
フューリーは淡々と言う。
「スターク、バナー、ソー、ロジャース、ロマノフ、バートン。他にもその時点で確保できる戦力は投入する。」
そして。
「それでも止まらなければ、お前を出す。ゴウラムによる機動力も使える。市街地なら救助にも回せる。ウルトロンが空へ逃げても追跡できる。そしてキャロル。」
「何?」
「呼んだら来い。」
「簡単に言うわね。」
「世界が滅ぶよりマシだ。」
「……それはそうね。」
キャロルさんが肩をすくめているけど、ウルトロン相手にキャロルさんまでいるの?
それはかなり過剰戦力じゃない?って思ったけど、フューリーの考えは違うらしい。
「未来を知っている最大の利点は、敵を弱くできることじゃない。」
「え?」
「こちらが準備できることだ。」
フューリーがボードを見る。
「本来なら突然起きるはずだったヒドラの蜂起。」
線を引く。
「一年ある。」
ウルトロン。
「二年ある。」
サノス。
「五年以上ある。」
「…………。」
「なら、その時間を使って備える。」
フューリーの声が低くなる。
「時間も、情報も、人脈も、戦力も。全部だ。」
その目が僕を見る。
「お前の未来では、敵が準備を整えてからアベンジャーズが対応していた。今度は逆だ。」
ボードに大きく『準備』と書いた。
「ヒドラが動く前に把握する。ウルトロンが生まれる前に対策を作る。アベンジャーズが割れる原因も、一つずつ潰す。」
「はい。」
「インフィニティ・ストーンは可能な限り敵の手から遠ざけ、アスガルド、地球、必要なら宇宙の連中とも繋がる。」
そしてフューリーが最後に『サノス』その文字を丸で囲った。
「こいつが来た時。……………全員で待ち構える。」
ぞくっとした。僕の知っている未来ではみんなバラバラだった。でもサノスが来るその時、アベンジャーズが揃っていたら?
「………勝てますかね。」
思わず呟いてしまった。
「何にだ。」
「サノスに。」
「知らん。」
えー。
「そこは勝てるって言ってくださいよ!」
「無責任なことを言わせるな。」
「夢がない!」
「だが。」
フューリーがボードを叩く。
「お前の知る未来よりは、遥かにマシな状況で戦える。………今はそれで十分だ。」
確かに。未来を知ってるからって絶対勝てるわけじゃない。それでも『準備』はできる。
「では。」
話を聞いていたフリッガさんが微笑み、最初と同じように手を叩いた。
「最初にすることは決まりましたね。」
僕は頷き、
「はい!まずは――」
「地球に戻るぞ。」
フューリーが言った。
「そしてお前は当分日本で待機だ。」
「何で!?」
思ってたのと違う!
「怪我人が何をするつもりだ。」
「いや、でも作戦とか!」
「俺がやる。」
「杖は!?」
「俺が回収する。」
「スタークさんへの説明!」
「俺がする。」
「ヒドラ!」
「俺が調べる。」
「じゃあ僕は!?」
フューリーが僕を見る。
「寝ろ。」
「…………。」
あ、一条さんが頷いてる。
「賛成だ。」
「一条さん!?」
真魚も手を上げる。
「私も。」
「真魚まで!?」
キャロルさんまで頷いた。
「私も賛成。」
「キャロルさん!?」
ロキが笑う。
「満場一致だな。」
「あなたは関係ないでしょう!」
「私も賛成ですよ。」
フリッガさんまで!?
僕は最後の希望を込めてオーディン王を見る。
「…………。」
「休め。」
「オーディン王まで!」
味方がいない!
「ちょっと待ってください! 未来を変えるための大事な――」
「十文字。」
フューリーが遮り、ボードの『サノス』の文字を指差す。
「五年先の宇宙の危機を心配する前に。」
その指が僕に向く。
「まず自分の身体を治せ。」
何も言えないほどの正論だった。
「……はい。」
結局、未来を救うための最初の作戦は、僕が大人しく寝ることになった。
何か違う気がする。
でも。未来はもう僕の知っている通りには進まない。
だったら今度は、こっちが先に『準備』してやる。